JP7236401B2 - ガスタービン燃焼器取出し移送用吊治具および取出し移送方法。 - Google Patents
ガスタービン燃焼器取出し移送用吊治具および取出し移送方法。 Download PDFInfo
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燃焼器は、2つの部品例えば、ヘッドエンド(重量約600kg)とユニボディ(重量約400kg)から構成され、ガスタービン本体前方の軸心回りに所定の傾斜角で複数個(10~20個)配置されている。
燃焼器は、稼働中、高温高圧にさらされるので、耐久性に難があり、その性能を維持するため、一定時間稼働毎にガスタービン本体から取り出して点検し、補修または部品の取替が行われている。
このため、燃焼器を簡便に引き出すための種々の手段が開発されており、燃焼器のフランジの上方に燃焼器を引き出す吊持フレームを設置したもの(特許文献1)や、天井クレーンに燃焼器の把持手段と角度調整手段を備え各燃焼器に対応できるようにしたもの(特許文献2)などがある。
また、特許文献2の燃焼器組立装置は、逆コ字状に形成された水平アームと垂直なアームとからなるクレーンアーム部に把持手段を搭載し、これに燃焼器の傾斜角に調節する調節部を設けている。
しかしながら、把持部材を燃焼器のフランジ面に位置調整するため、第1~第3調節ユニットを備えているので装置が大型で重量も大きなものとなっており、この装置を使うには、燃焼器付近の構造物や配管などを取り外してスペースを確保する必要がある。また、この調節ユニットは手動ハンドルの操作で行うので、労力がかかり多くの時間を要する。なお、この調節ユニットで燃焼器を把持した状態で載置台へ天井クレーンで移送することは、吊荷のバランスが悪く無理があり、他の移送手段が必要となる。
特に、ガスタービンの周りは機材や配管が多数敷設されており、燃焼器を取出すに際しては、これらを取り除いて必要なスペースを確保しなければならない。
また、特許文献1または特許文献2の装置を使用すれば、燃焼器の取出しと組み付けは容易となるが、載置台への移送は他の移送手段によることとなり、移送手段への積替え作業および移送路の確保をしなければならず、作業が中断するといった問題があった。
なお、この明細書において、前後左右の方向は、水平枠の短辺の延長方向へ縦柱が移動する方向を前後といい、長辺の延長方向へ移動する方向を左右というものとする。また、燃焼器は、上記のようにヘッドエンドとユニボディに分割されるが、本吊治具の係止部材はいずれとも連結できるように構成しているので、ヘッドエンドおよびユニボディに対しても特に区別せず、単に燃焼器というものとする。
旋回ドライブは、縦柱の下端に固設されたウオーム減速機とその出力軸に取り付けられた取付材とで構成されている。ウオーム減速機は携帯用電動機を連結して駆動させるもので、減速比は1/50~1/100のものでよい。
ウオーム減速機の入力軸に携帯用電動機を連結して作動させれば取付材が回動する。
そして、取付材には燃焼器のフランジ面と連結するための係止部材がスラスト軸受を介して、手動で回動可能に設けられ、また、回動を摩擦でロックする機能が備えられている。
旋回ドライブを作動させると燃焼器の姿勢が変化し、重心の位置が移動するので吊芯の位置も変わるが、水平枠は釣り合いがとられているので、吊荷が振られたり、縦柱が大きく傾くことは避けられる。
旋回ドライブを作動させる場合は、携帯用電動機をウオーム減速機の入力軸へ連結して、短時間作動させ、回動した状態を確かめながら、繰り返し作動させて吊荷の姿勢を変えるとよい。特に、第2工程における吊荷の姿勢を変えて狭隘な航路を通り抜ける作業では、吊荷が周囲のものに接触しないように注意をして行う必要がある。
また、ガスタービン近傍の機器や配管を取り外してスペースをつくる必要がなく、専用の燃焼器取出し装置の設置や足場の組立作業を必要とせず、取り出した燃焼器を吊持したまま載置台へ移送できるので、吊荷の積替えなどの作業で中断することなく保守点検期間を従来に比べ、大幅に短縮できる。
図1は、本吊治具の全体を示す斜視図であり、図2は、正面図および側面図である。 また、図3は、旋回ドライブおよび係止部材の詳細を示す図である。
縦柱12は上端を水平枠11の一方の長辺11aの中央に固設され、水平枠11の四隅から縦柱12へ斜めのステー11dが固設されている。
縦柱12は、ここでは、長さ5000mmとしており、下端には、座板13が固設され、これに、旋回ドライブ14が固設されている。
これを作動させるときは、入力軸に別途用意した携帯用電動機20を連結する。このように、動力源を別体としたので、電線などの引き回しを必要とせずコンパクトにできる。
燃焼器1をケーシングから引き出す作業と、載置台へ移送する作業は、燃焼器1を吊持したまま連続して行う。この場合狭隘な場所を通るときなど必要により旋回ドライブを操作して吊荷の姿勢を変える必要がある。なお、燃焼器1の姿勢をフランジ面が上端に位置させれば、吊荷の重心が水平枠11のほぼ中央に位置するので、振られることもなく安定した移送ができるので、狭隘な場所以外ではこの姿勢にする。
このガスタービン燃焼器取出し移送方法は、本吊治具を用いてガスタービン本体から燃焼器を取出して、中断せずに載置台へ移送する作業であり、本吊治具10の係止部材16を燃焼器1のフランジ面に連結する第1工程と、燃焼器1をガスタービン本体から取出して旋回ドライブを作動させて燃焼器1の吊り姿勢を変えながら狭隘な場所を通過する第2工程と、燃焼器1のフランジ面を上端にして垂直な状態として載置台へ移送する第3工程とから構成される。
第1工程では、天井クレーンと旋回ドライブの作動によって係止部材を燃焼器のフランジ面に位置合わせをして係止部材を回動させてボルトで連結するが、各燃焼器ごとにフランジ面の角度が異なるのでその都度天井クレーンと旋回ドライブを操作する必要がある。
そして、第3工程では、スペースのある場所へ抜けたら旋回ドライブを操作して燃焼器1のフランジ面が上端に位置するように、燃焼器1の姿勢を変える。この姿勢は吊荷の重心が水平枠11のほぼ中央に位置するので、振られることもなく最も安定した吊荷状態といえる。
1a フランジ面
5 チェンブロック
10 吊治具
11 水平枠
11a 長辺
11b 短辺
11c 吊金具
11d ステー
12 縦柱
13 座板
14 旋回ドライブ
14a ウオーム減速機
14b 取付材
16 係止部材
16a 腕
17 スラスト軸受
17a ロック手段
20 携帯用電動機
25 延長部材
Claims (3)
- ガスタービンのケーシング外周部に複数個取り付けられた燃焼器を取り出して載置台へ移送するため天井クレーンに吊持される燃焼器用吊治具であって、四隅がチェンブロックで天井クレーンのフックに吊持される矩形の水平枠と、該水平枠の長辺の一方の中央に固設された垂直な縦柱と、該縦柱の下端に固設された他方の長辺中央へ向いた水平な軸心を有する旋回ドライブと、該旋回ドライブに連結され該燃焼器のフランジ面と連結するための係止部材とからなり、該旋回ドライブは入力軸に携帯用電動モータを連結して回動させるウオーム減速機とその出力軸に取り付けられた取付材とからなり、該係止部材は中心部にスラスト軸受を備えて該取付材に回動可能に取り付けられるとともに該係止部材の回動をロックする手段を備えたことを特徴とするガスタービン燃焼器取出し移送用吊治具。
- 前記複数の燃焼器のうち平面視圧縮器に隠れる位置に取り付けられた2~3個の燃焼器を取り出すため、前記縦柱と前記旋回ドライブの間に延長部材を取り付けて前記係止部材を前方へ位置させることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃焼器取出し移送用吊治具。
- 請求項1記載のガスタービン燃焼器取出し移送用吊治具の水平枠の四隅を、チェンブロックを介して天井クレーンのフックで吊持して天井クレーンの前後左右への移動と前記縦柱の上下の移動で前記縦柱の下端をガスタービンの燃焼器の近傍へ移動させ、前記旋回ドライブを作動させて燃焼器のフランジ面に前記係止部材を対向させ、前記係止部材を回動可能にして取付穴の位置合わせを行い、ボルトで前記係止部材を燃焼器のフランジ面へ連結する第1工程と、天井クレーンを移動させて燃焼器をガスタービンのケーシングから抜き出して、前記旋回ドライブと前記係止部材を回動させて燃焼器の吊り姿勢を変えて狭隘な場所を通り抜ける第2工程と、スペースのあるところで、前記旋回ドライブを作動させて燃焼器のフランジ面が上方へ向いたほぼ垂直な姿勢にして載置台へ移送する第3工程とからなることを特徴とするガスタービン燃焼器取出し移送方法。
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