[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態に係る液浸冷却装置の一例について説明する図である。図1には、液浸冷却装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図1に示す液浸冷却装置1は、液浸槽10及び封止槽20、並びにそれらの間に設けられる断熱部30を備える。
液浸槽10は、液浸槽本体11と蓋体12とを有する。液浸槽本体11は、底部11a及びそこから上方に立ち上がる側壁11bと、その側壁11bの上端に設けられる開口11cとを有する。液浸槽本体11の開口11cを覆うように、蓋体12が設けられる。液浸槽本体11及び蓋体12には、金属材料、樹脂材料、炭素材料、或いはガラス材料や炭素材料のファイバーやクロスと樹脂材料との複合材料等が用いられる。尚、液浸槽本体11及び蓋体12には、同種の材料が用いられてもよいし、異種の材料が用いられてもよい。
液浸槽本体11には、冷媒液40が貯留され、収容される。冷媒液40には、熱の伝達効率が高く、絶縁性を有し、人体や環境への影響が小さい、フッ素系不活性液体等が用いられる。液浸槽本体11に収容される冷媒液40に、動作に伴い発熱する電子機器2が浸漬される。電子機器2で発生する熱が冷媒液40に伝達されることで、電子機器2が冷却される。液浸槽10は、冷媒槽とも称される。尚、液浸槽10の冷媒液40に浸漬される電子機器2の種類や数は限定されない。
液浸槽10には、液浸槽本体11に収容される冷媒液40(その液面)と蓋体12(その内面)との間に、気相部(又は空間)13が設けられる。液浸槽10の気相部13には、大気や、電子機器2からの熱の伝達による温度の上昇によって冷媒液40から蒸発する冷媒蒸気が含まれ得る。液浸槽10には、例えば、液浸槽本体11の側壁11bの一部に、気相部13に通じる通気孔50が設けられる。
封止槽20は、液浸槽10に隣接して設けられる。封止槽20は、封止槽本体21と蓋体22とを有する。封止槽本体21は、底部21a及びそこから上方に立ち上がる側壁21bと、その側壁21bの上端に設けられる開口21cとを有する。封止槽本体21の開口21cを覆うように、蓋体22が設けられる。封止槽本体21及び蓋体22には、金属材料、樹脂材料、炭素材料、或いはガラス材料や炭素材料のファイバーやクロスと樹脂材料との複合材料等が用いられる。尚、封止槽本体21及び蓋体22には、同種の材料が用いられてもよいし、異種の材料が用いられてもよい。また、封止槽本体21及び蓋体22には、液浸槽本体11及び蓋体12と同種の材料が用いられてもよいし、異種の材料が用いられてもよい。
封止槽20は、封止槽本体21の側壁21bが、液浸槽本体11の側壁11bと対向するように、液浸槽10に隣接して設けられる。例えば、封止槽20及び液浸槽10は、対向する互いの側壁21b及び側壁11bの一部同士が接続され、他部同士の間が離間されて、隣接して設けられる。
封止槽本体21には、封止材60が貯留され、収容される。封止材60には、例えば、液浸槽10に収容される冷媒液40と同種のもの(フッ素系不活性液体等)が用いられる。封止材60には、液浸槽10に収容される冷媒液40とは異種のもの、例えば、冷媒液40及びその蒸気が溶解し難いもの(水、油等)や、加熱により溶融し冷却により凝固するもの(ろう材、半田、樹脂等)が用いられてもよい。液体又は液相状態の封止材60は、封止液又は冷媒液とも称される。
封止槽20には、封止槽本体21に収容される封止材60(その表面)と蓋体22(その内面)との間に、気相部(又は空間)23が設けられる。蓋体22には、封止槽本体21に収容される封止材60に下端部24aが入り込む仕切り部材24が設けられる。封止槽20の気相部23は、蓋体22に設けられ下端部24aが封止材60に入り込む仕切り部材24によって、2つの気相部23a及び気相部23bに仕切られる。
封止槽20には、封止槽本体21の側壁21bの一部に、一方の気相部23aに通じる通気孔51、及び他方の気相部23bに通じる通気孔52が設けられる。封止槽20の一方の気相部23aに通じる通気孔51は、液浸槽10の気相部13に通じる通気孔50と対応する位置に設けられる。封止槽20の一方の気相部23aは、通気孔51及び通気孔50を通じて、液浸槽10の気相部13と連通する。封止槽20の他方の気相部23bは、通気孔52を通じて、液浸冷却装置1の外部(以下、「装置外部」と言う。)と連通する。封止槽20の、液浸槽10の気相部13と連通する気相部23aには、大気や、液浸槽10の気相部13から拡散する冷媒蒸気が含まれ得る。封止槽20の、装置外部と連通する気相部23bには、大気が含まれ得る。
断熱部30は、隣接して設けられる液浸槽10と封止槽20との、離間して対向する互いの側壁11bと側壁21bとの間の部位(側壁11b及び側壁21bの一部同士の接続部以外の部位)に設けられる。断熱部30には、液浸槽本体11及び封止槽本体21に用いられる材料よりも低い熱伝導率を有する材料が用いられる。液浸冷却装置1では、この断熱部30によって、液浸槽10から封止槽20への熱の伝達が抑えられる。
ここで、図2は第1の実施の形態に係る液浸冷却装置の使用状況の一例について説明する図である。図2には、液浸冷却装置の一例の使用時の要部断面図を模式的に示している。
液浸冷却装置1では、液浸槽本体11に冷媒液40が収容され、その冷媒液40に、動作に伴い発熱する電子機器2(ここでは一例として断面視で2つ)が浸漬される。電子機器2で発生する熱3が冷媒液40に伝達されることで、電子機器2が冷却される。
冷媒液40は、電子機器2から伝達される熱3によって温度が上昇する。この温度の上昇によって冷媒液40が蒸発すると、冷媒液40から冷媒蒸気41(図2及び後述の図3に点線矢印で図示)が発生する。冷媒蒸気41は、液浸槽10の気相部13に貯まり、その一部は、通気孔50及び通気孔51を通じて気相部13と連通する封止槽20の一方の気相部23aへと拡散する。液浸槽10の気相部13の体積(或いは収容される冷媒液40の体積及び浸漬される電子機器2の体積)、封止槽20の気相部23aの体積(或いは収容される封止材60の体積)は、例えば、発生する冷媒蒸気41の量に基づいて設定される。
封止槽20において、一方の気相部23aは、封止槽本体21に収容された封止材60、及び蓋体22に設けられた仕切り部材24によって、通気孔52を通じて装置外部と連通する他方の気相部23bと仕切られている。この封止材60及び仕切り部材24により、液浸槽10で発生する冷媒蒸気41が封止され、その気相部13から封止槽20の一方の気相部23aへと拡散した冷媒蒸気41の、他方の気相部23bへの拡散、そこから装置外部への排気が抑えられる。即ち、封止槽20がトラップ又はシールとして機能し、液浸槽10で発生する冷媒蒸気41の装置外部への排気が抑えられる。
例えば、通気孔50は、後述(図5)のように、液浸槽10の冷媒液40に浸漬される電子機器2に接続されるケーブルを装置外部へ引き出す孔として、液浸槽10に設けられる。上記のような封止槽20を設けず、液浸槽10に設けたケーブル引き出し用の孔、即ち通気孔50を、装置外部と直接繋がるようにすると、液浸槽10で発生する冷媒蒸気41が装置外部に直接排気されるため、液浸槽10の冷媒液40の減少が速まる。液浸冷却装置1では、上記のような封止槽20を設け、液浸槽10の通気孔50を装置外部と直接繋がず、通気孔50と装置外部との間、即ち各々に通じる気相部23aと気相部23bとの間に、封止材60を介在させる。これにより、液浸槽10で発生する冷媒蒸気41の装置外部への排気を抑えている。液浸冷却装置1では、封止槽20を設けることで、液浸槽10を装置外部と直接連通させずに、液浸槽10の内部から装置外部に通じる経路を形成することができる。ケーブルの引き出しに用いる封止槽20は、ケーブルボックスとも称される。
液浸冷却装置1では更に、封止槽20が、断熱部30を介して液浸槽10と隣接して設けられる。このように封止槽20と液浸槽10との間に断熱部30が設けられることで、電子機器2の発熱に伴って温度が上昇した冷媒液40の熱が、液浸槽本体11から封止槽本体21に伝達され、更に封止槽本体21から封止材60に伝達されることが効果的に抑えられる。これにより、封止材60の温度の上昇、それによる封止材60の蒸発が抑えられる。
比較のため、断熱部30を設けない液浸冷却装置について、図3を参照して説明する。図3は別の形態に係る液浸冷却装置の使用状況の一例について説明する図である。図3には、液浸冷却装置の一例の使用時の要部断面図を模式的に示している。
図3に示す液浸冷却装置1000は、上記のような断熱部30が設けられず、封止槽20が、液浸槽10とその側壁1100の一部を共有する形で隣接して設けられた構成を有する。このような液浸冷却装置1000では、電子機器2で発生する熱3によって温度が上昇した冷媒液40の熱4が、側壁1100を介して封止槽20の封止材60へと比較的伝達され易くなる。
例えば、封止材60に冷媒液40と同種のものが用いられている場合、冷媒液40の熱4が封止材60へと伝達されてその温度が上昇すると、液浸槽10の冷媒液40と同様に、封止材60(封止液又は冷媒液)が蒸発し得る。封止材60が蒸発し、それによって封止材蒸気61(図3に鎖線矢印で図示)が発生すると、その封止材蒸気61が、気相部23bから通気孔52を通じて装置外部に排気されることが起こり得る。このように封止材蒸気61が装置外部に排気されると、収容される封止材60が減少する。尚、図3には、封止材60の表面位置の推移の一例を実線矢印で図示している。
封止槽20の封止材60が減少し、それによって気相部23aの体積が増大すると、その増大分、液浸槽10の気相部13の冷媒蒸気41の、通気孔50を通じた封止槽20の気相部23aへの拡散、液浸槽10での冷媒蒸気41の発生が進行し得る。その結果、液浸槽10に収容される冷媒液40が減少することが起こり得る。尚、図3には、冷媒液40の表面位置の推移の一例を実線矢印で図示している。
蒸発による封止材60の減少が進行し、その表面位置が仕切り部材24の下端24aaよりも下まで低下してしまうと、封止槽20では、気相部23aと気相部23bとが連通することになる。気相部23aと気相部23bとが連通してしまうと、冷媒蒸気41が封止槽20でトラップされずに装置外部へ排気される経路ができてしまう。このような経路ができてしまうと、冷媒蒸気41の装置外部への排気により、液浸槽10の冷媒液40の減少がいっそう起こり易くなる。
また、封止材60に冷媒液40とは異種のものが用いられている場合にも、上記同様のことが起こり得る。例えば、冷媒液40の熱4が封止材60へと伝達されてその温度が上昇した際に、封止材60が蒸発若しくは溶融して蒸発することによって又は昇華することによって、封止材蒸気61が発生する。このような場合にも、上記のような、封止槽20の封止材60の蒸発による減少、それに起因した液浸槽10の冷媒液40の減少が起こり得る。
また、封止材60の種類によっては、冷媒液40の熱4が封止材60へと伝達されてその温度が上昇した際に、冷媒蒸気41が封止材60に溶解或いは吸収され易くなる場合もあり得る。このような場合も、液浸槽10での冷媒蒸気41の発生、封止槽20への冷媒蒸気41の拡散が進行し、液浸槽10の冷媒液40の減少が起こり得る。
液浸冷却装置1000において、液浸槽10の冷媒液40が減少すると、浸漬される電子機器2が冷媒液40から露出し、電子機器2が十分に冷却されず、過熱による電子機器2の性能低下や破壊を招く恐れがある。そのため、液浸槽10には、減少分の冷媒液40が補充される。しかし、前述のように、電子機器2を浸漬する冷媒液40には、熱の伝達効率が高く、絶縁性を有し、人体や環境への影響が小さいものが用いられ、このような冷媒液40は比較的高価になる。そのため、蒸発による冷媒液40の減少が速く、冷媒液40の補充量又は補充頻度が増大すると、冷媒液40の補充に伴うコスト(補充の作業コストや冷媒液40の使用コスト等)が増大してしまう。
このように、液浸槽10からの冷媒蒸気41をトラップするための封止槽20を設けた液浸冷却装置1000においても、発熱する電子機器2の冷却に伴う液浸槽10の冷媒液40の蒸発、それによる冷媒液40の減少は起こり得る。液浸槽10の冷媒液40の減少は、上記のように、封止槽20の封止材60の昇温、蒸発、それによる封止材60の減少に起因して発生する。液浸槽10の冷媒液40の減少を抑えるため、封止槽20には、減少分の封止材60が補充される。例えば、封止材60に冷媒液40と同種のものが用いられる場合であれば、封止槽20には、減少分の封止材60として、冷媒液40と同種のものが補充される。しかし、この場合、封止材60の減少が速く、封止材60の補充量又は補充頻度が増大すると、上記同様、その補充に伴うコストが増大してしまう。封止材60に冷媒液40とは異種のものが用いられる場合も同様であり、その減少分の補充に伴うコストの増大が起こり得る。
これに対し、上記液浸冷却装置1(図1及び図2)では、液浸槽10と封止槽20との間に断熱部30が設けられる。この断熱部30により、電子機器2から冷媒液40に伝達された熱が、液浸槽本体11及び封止槽本体21を介して封止材60に伝達されることが抑えられ、封止材60の温度の上昇、それによる封止材60の蒸発が抑えられる。封止槽20の封止材60の蒸発が抑えられることで、蒸発による封止材60の減少が抑えられ、それに起因した液浸槽10の冷媒液40の減少が抑えられる。即ち、蒸発による封止材60の減少によって発生する、気相部23aの体積の増大に起因した冷媒液40の蒸発の進行、気相部23aと気相部23bとの連通に起因した冷媒液40の装置外部への排気が抑えられ、冷媒液40の減少が抑えられる。
液浸冷却装置1によれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少を抑え、封止材60の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1によれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少に起因した液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、冷媒液40の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1によれば、液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、電子機器2を冷媒液40からの露出を抑えて十分に冷却することが可能になる。
続いて、液浸冷却装置1の構成例について説明する。
図4は第1の実施の形態に係る液浸冷却装置の第1の構成例について説明する図である。図4(A)及び図4(B)にはそれぞれ、液浸冷却装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
液浸冷却装置1の液浸槽10と封止槽20との間の断熱部30としては、例えば、図4(A)に示すような、液浸槽本体11の側壁11bと、それと対向する封止槽本体21の側壁21bとの間に設けられる中空部(又は空間若しくは空洞若しくは空気層)31が用いられる。断熱部30として中空部31が用いられる場合には、対向する液浸槽本体11の側壁11bと封止槽本体21の側壁21bとの間の距離dが、冷媒液40から封止材60への熱の伝達、それによる封止材60の昇温、蒸発が抑えられるような値に設定される。例えば、電子機器2の発熱量、冷媒液40の種類(熱伝導率、蒸気圧等)、液浸槽本体11及び封止槽本体21の材料(熱伝導率等)、封止材60の種類(熱伝導率、蒸気圧等)に基づき、距離dが設定される。
また、液浸冷却装置1の液浸槽10と封止槽20との間の断熱部30としては、例えば、図4(B)に示すような、液浸槽本体11の側壁11bと、それと対向する封止槽本体21の側壁21bとの間に設けられる断熱材32が用いられる。断熱材32には、例えば、ポリスチレンフォーム(発泡スチロール)、ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の発泡系断熱材、グラスウール、ロックウール、セルローズファイバー等の繊維系断熱材が用いられる。断熱部30として断熱材32が用いられる場合には、対向する液浸槽本体11の側壁11bと封止槽本体21の側壁21bとの間の距離d、及びそれらの間に設けられる断熱材32の厚みtが、所定の値に設定される。即ち、距離d及び厚みtが、冷媒液40から封止材60への熱の伝達、それによる封止材60の昇温、蒸発が抑えられるような値に設定される。例えば、電子機器2の発熱量、冷媒液40の種類(熱伝導率、蒸気圧等)、液浸槽本体11及び封止槽本体21の材料(熱伝導率等)、封止材60の種類(熱伝導率、蒸気圧等)、断熱材32の種類(熱伝導率)に基づき、距離d及び厚みtが設定される。
図5及び図6は第1の実施の形態に係る液浸冷却装置の第2の構成例について説明する図である。図5には、液浸冷却装置の一例の要部断面図を模式的に示している。図6(A)~図6(C)にはそれぞれ、液浸冷却装置の封止槽の一例の要部断面斜視図を模式的に示している。
液浸冷却装置1の液浸槽10の冷媒液40に浸漬される電子機器2には、各種ケーブルが接続される。液浸冷却装置1では、例えば、図5に示すように、冷媒液40中の電子機器2に接続されるケーブル2aが、液浸槽10の気相部13に引き出され、更に、通気孔50及びこれと対応する通気孔51を通じて、封止槽20の一方の気相部23aに引き出される。そして、そのケーブル2aは、封止槽20の一方の気相部23aから、封止材60の仕切り部材24下を通されて他方の気相部23bへと引き出され、更にそこから通気孔52を通じて装置外部へと引き出される。このように液浸冷却装置1では、液浸槽10の通気孔50、封止槽20の通気孔51及び通気孔52、並びに封止槽20の仕切り部材24下のスペースが利用され、冷媒液40に浸漬される電子機器2に接続されるケーブル2aが装置外部へと引き出される。液浸槽10の気相部13と連通する封止槽20の気相部23aと、装置外部に連通する気相部23bとの間に封止材60が介在されるため、液浸槽10で発生する冷媒蒸気の装置外部への排気を抑えてケーブル2aを外部に引き出すことができる。液浸冷却装置1の封止槽20は、ケーブルボックスとも称される。
液浸冷却装置1では、例えば、封止材60中における仕切り部材24と封止槽本体21の底部21aとの間に、上記のように液浸槽10から装置外部へ引き出すケーブル2aを通すことのできる配線経路が設けられる。図6(A)~図6(C)にはそれぞれ、このような配線経路の例を示している。図6(A)~図6(C)はそれぞれ、封止槽20の一方の気相部23b側から仕切り部材24及び他方の気相部23a側を見た時(例えば上記図5の紙面右側から左側を見た時)の要部断面斜視図を模式的に示したものである。尚、図6(A)~図6(C)では、封止材60の図示を省略している。
液浸冷却装置1では、例えば、図6(A)に示すような、封止槽本体21の底部21aから一定の高さに下端24aaが位置するような仕切り部材24が設けられる。封止槽本体21の底部21aと仕切り部材24の下端24aaとの間にできる隙間25が配線経路として用いられ、その隙間25にケーブル2aが通される。
また、液浸冷却装置1では、例えば、図6(B)に示すような、下端24aa側の縁部の一部に切欠き部26を有していてその切欠き部26以外の下端24aaが封止槽本体21の底部21aに接するような仕切り部材24が設けられてもよい。仕切り部材24に設けられる切欠き部26が配線経路として用いられ、その切欠き部26にケーブル2aが通される。
このほか、液浸冷却装置1では、例えば、図6(C)に示すような、下端24aa側の縁部の一部に貫通孔27を有する仕切り部材24が設けられてもよい。仕切り部材24に設けられる貫通孔27が配線経路として用いられ、その貫通孔27にケーブル2aが通される。
例えば、封止槽本体21の底部21aからの隙間25(図6(A))の高さ、底部11aからの切欠き部26(図6(B))の高さ及びその幅、貫通孔27(図6(C))の径を、配線経路断面積が狭まるように調整する。このようにすると、仕切り部材24に対する気相部23a側の領域から気相部23b側の領域への封止材60の移動、それに伴う熱の移動が起こり難くなる。これにより、気相部23b側の領域に存在する封止材60の温度の上昇、それによる蒸発、及び蒸発により発生する蒸気の装置外部への排気を抑えるようにしてもよい。
図7は第1の実施の形態に係る液浸冷却装置の第3の構成例について説明する図である。図7には、液浸冷却装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
液浸冷却装置1において、液浸槽10の蓋体12は、回動されることによって液浸槽本体11の開口11cを開閉するように設けられてもよい。例えば、図7に示すように、蓋体12の一端と、それに対応する液浸槽本体11の側壁11bの上端とが、ヒンジ部70によって接続される。蓋体12がヒンジ部70を中心として回動されることで、液浸槽本体11の開口11cが開閉される。
図7には、液浸槽本体11の開口11cが開けられた状態の蓋体12を点線で図示している。液浸槽本体11には、その開口11cが開けられた状態で、冷媒液40が供給され、電子機器2がその冷媒液40中に搬入、浸漬される。開口11cが開けられた状態から、蓋体12が、ヒンジ部70を中心として実線矢印方向に回動されることで、液浸槽本体11の開口11cが閉じられた状態になる。
同様に、封止槽20の蓋体22は、回動されることによって封止槽本体21の開口21cを開閉するように設けられてもよい。例えば、図7に示すように、仕切り部材24が設けられた蓋体22の一端と、それに対応する封止槽本体21の側壁21bの上端とが、ヒンジ部80によって接続される。仕切り部材24が設けられた蓋体22がその仕切り部材24と一体でヒンジ部80を中心として回動されることで、封止槽本体21の開口21cが開閉される。
図7には、封止槽本体21の開口21cが開けられた状態における蓋体22及び仕切り部材24を点線で図示している。封止槽本体21には、その開口21cが開けられた状態で、液体又は液相状態の封止材60が供給され、電子機器2に接続されるケーブル2aが、通気孔50及び通気孔51、更に通気孔52に通される。このような状態から、蓋体12及び仕切り部材24が、ヒンジ部80を中心として実線矢印方向に回動されることで、封止槽本体21の開口21cが閉じられた状態になる。この時、ケーブル2aは、液相状態の封止材60中に仕切り部材24で押し込まれ、浸漬される。
このように液浸槽10の蓋体12には、回動されることによって液浸槽本体11を開閉する方式が採用されてもよい。また、封止槽20の蓋体22には、仕切り部材24と一体で回動されることによって封止槽本体21を開閉する方式が採用されてもよい。尚、必ずしも蓋体12及び蓋体22の両方にこのような回動により開閉される方式が採用されることを要しない。
[第2の実施の形態]
図8は第2の実施の形態に係る液浸冷却装置の一例について説明する図である。図8には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図8に示す液浸冷却装置1Aは、液浸槽10及び封止槽20、並びにそれらの間に設けられる断熱部30を備える。液浸冷却装置1Aにおいて、液浸槽10及び封止槽20並びに断熱部30には、上記第1の実施の形態で述べたようなものが用いられる。液浸槽本体11には、冷媒液40が収容され、その冷媒液40に電子機器2が浸漬される。封止槽本体21には、液相状態の封止材60、例えば、冷媒液40と同種の封止材60が収容される。尚、電子機器2に接続されるケーブル2aの図示は省略している。また、断熱部30は、上記のような中空部31(図4(A))又は断熱材32(図4(B))とすることができる。
図8に示す液浸冷却装置1Aは、液浸槽本体11に接続される配管110及び配管120と、それらに接続される熱交換器130と、一方の配管110に設けられるポンプ140とを備える。配管110及び配管120は、冷媒液40が流れる流路として機能し、熱交換器130は、冷媒液40を冷却する冷却器として機能する。液浸冷却装置1Aは更に、封止槽本体21に接続される配管210及び配管220と、それらに接続される熱交換器230と、一方の配管210に設けられるポンプ240とを備える。配管210及び配管220は、液相状態の封止材60が流れる流路として機能し、熱交換器230は、液相状態の封止材60を冷却する冷却器として機能する。
液浸冷却装置1Aでは、液浸槽10に収容される冷媒液40中の電子機器2から発生する熱が、冷媒液40に伝達される。冷媒液40は、ポンプ140により配管110を通じて液浸槽10(液浸槽本体11)から排出され、熱交換器130に送られる。熱交換器130に送られた冷媒液40は、熱交換器130により冷却される。熱交換器130で冷却された冷媒液40は、配管120を通じて液浸槽10(液浸槽本体11)に戻される。液浸冷却装置1Aでは、このように冷媒液40が循環され、電子機器2から熱が伝達される冷媒液40が冷却され、その温度の上昇が抑えられる。
液浸冷却装置1Aでは更に、封止槽20の液相状態の封止材60が、ポンプ240により配管210を通じて封止槽20(封止槽本体21)から排出され、熱交換器230に送られる。熱交換器230に送られた封止材60は、熱交換器230により冷却される。熱交換器230で冷却された封止材60は、配管220を通じて封止槽20(封止槽本体21)に戻される。液浸冷却装置1Aでは、このように封止材60が循環されて冷却され、その温度の上昇が抑えられる。
上記のように、液浸冷却装置1Aでは、液浸槽10と封止槽20との間に断熱部30が設けられる。これにより、電子機器2から冷媒液40に伝達された熱が、液浸槽本体11及び封止槽本体21を介して封止材60に伝達され、封止材60の温度が上昇することが抑えられる。更に、封止槽20の封止材60は、配管210を通じて排出され、熱交換器230で冷却され、配管220を通じて封止槽20に戻される。このような封止材60の循環により、封止材60が冷却され、封止槽20の封止材60の温度の上昇が抑えられる。断熱部30、及び封止材60の循環により、封止槽20の封止材60の温度の上昇が抑えられ、封止材60の蒸発による減少、それに起因した液浸槽10の冷媒液40の減少が抑えられる。
液浸冷却装置1Aによれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少を抑え、封止材60の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1Aによれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少に起因した液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、冷媒液40の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1Aによれば、液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、電子機器2を冷媒液40からの露出を抑えて十分に冷却することが可能になる。
[第3の実施の形態]
図9は第3の実施の形態に係る液浸冷却装置の第1の例について説明する図である。図9には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図9に示す液浸冷却装置1Bは、液浸槽10及び封止槽20、それらの間に設けられる断熱部30、並びに封止槽20下(封止槽本体21の底部11aの外側)に設けられるクーリングプレート300を備える。
液浸冷却装置1Bにおいて、液浸槽10及び封止槽20並びに断熱部30には、上記第1の実施の形態で述べたようなものが用いられる。液浸槽本体11には、冷媒液40が収容され、その冷媒液40に電子機器2が浸漬される。封止槽本体21には、液相状態の封止材60、例えば、冷媒液40と同種の封止材60が収容される。尚、電子機器2に接続されるケーブル2aの図示は省略している。また、断熱部30は、上記のような中空部31(図4(A))又は断熱材32(図4(B))とすることができる。
液浸冷却装置1Bにおいて、クーリングプレート300は、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60を冷却する冷却部として機能する。クーリングプレート300には、アルミニウム、銅、ステンレスといった金属材料や、カーボンナノチューブ、グラフェンといった炭素材料等、比較的熱伝導率の高い材料が用いられる。クーリングプレート300には、例えば、封止槽本体21に用いられる材料よりも高い熱伝導率を有する材料が用いられる。
図9に示す液浸冷却装置1Bは、液浸槽本体11に接続される配管110及び配管120と、それらに接続される熱交換器130と、一方の配管110に設けられるポンプ140とを備える。配管110及び配管120は、冷媒液40が流れる流路として機能し、熱交換器130は、冷媒液40を冷却する冷却器として機能する。
液浸冷却装置1Bにおいて、熱交換器130と液浸槽本体11との間を繋ぐ配管120は、その一部が、封止槽20下に設けられるクーリングプレート300と熱的に接続される。配管120は、例えば、クーリングプレート300の下面に接続される。配管120は、クーリングプレート300の下面に限らず、クーリングプレート300の側面に接続されてもよい。配管120の、少なくともクーリングプレート300と接続される部位には、比較的熱伝導率の高い材料が用いられることが望ましい。尚、液浸冷却装置1Bにおける配管120とクーリングプレート300との接続については後述する(図11(A))。
液浸冷却装置1Bでは、液浸槽10と封止槽20との間に断熱部30が設けられることで、電子機器2から冷媒液40に伝達された熱が、液浸槽本体11及び封止槽本体21を介して封止槽20の封止材60に伝達され、封止材60の温度が上昇することが抑えられる。液浸冷却装置1Bでは更に、液浸槽10の冷媒液40が、配管110を通じて排出され、熱交換器130で冷却され、配管120を通じて液浸槽10に戻される。このように熱交換器130で冷却されて液浸槽10に戻される冷媒液40が流れる配管120が、封止槽20下のクーリングプレート300と熱的に接続される。これにより、クーリングプレート300の熱が、配管120を流れる冷媒液40に伝達され、クーリングプレート300が冷却される。クーリングプレート300が冷却されることで、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60の熱がクーリングプレート300に伝達され、封止槽20の封止材60が冷却され、その温度の上昇が抑えられる。
このように液浸冷却装置1Bでは、断熱部30、熱交換器130で冷却される冷媒液40、及びクーリングプレート300が利用され、封止槽20の封止材60の温度の上昇が抑えられる。これにより、封止槽20の封止材60の蒸発による減少、それに起因した液浸槽10の冷媒液40の減少が抑えられる。
液浸冷却装置1Bによれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少を抑え、封止材60の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1Bによれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少に起因した液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、冷媒液40の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1Bによれば、液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、電子機器2を冷媒液40からの露出を抑えて十分に冷却することが可能になる。
図10は第3の実施の形態に係る液浸冷却装置の第2の例について説明する図である。図10には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図10に示す液浸冷却装置1Cでは、封止槽20下に、内部に流路を有するクーリングプレート310が設けられ、その流路(入口及び出口)に、熱交換器130で冷却されて液浸槽10に戻される冷媒液40が流れる配管120(配管120a及び配管120b)が接続される。或いは、配管120の一部(配管120aと配管120bとの間の部位)が、熱的に接続されてクーリングプレート310の内部を通るように設けられる。この場合、配管120の、少なくともクーリングプレート310の内部を通る部位には、比較的熱伝導率の高い材料が用いられることが望ましい。液浸冷却装置1Cは、このような点で、上記液浸冷却装置1B(図9)と相違する。尚、液浸冷却装置1Cにおける配管120とクーリングプレート310との接続については後述する(図11(B))。
液浸冷却装置1Cでは、クーリングプレート310の熱が、クーリングプレート310の内部に設けられた流路又は内部を通る配管120の一部を流れる冷媒液40に伝達され、クーリングプレート310が冷却される。クーリングプレート310が冷却されることで、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60の熱がクーリングプレート310に伝達され、封止槽20の封止材60が冷却され、その温度の上昇が抑えられる。
液浸冷却装置1Cによっても、上記液浸冷却装置1Bについて述べたのと同様の効果が得られる。
ここで、配管120とクーリングプレート310との接続について説明する。
図11は第3の実施の形態に係る液浸冷却装置の配管とクーリングプレートとの接続について説明する図である。図11(A)及び図11(B)にはそれぞれ、配管及びクーリングプレートの接続部の断面図を模式的に示している。
上記図9に示した液浸冷却装置1Bにおいて、熱交換器130と液浸槽本体11との間を繋ぐ配管120の一部と、封止槽20下に設けられるクーリングプレート300との熱的な接続は、例えば、図11(A)に示すような手法で行われる。即ち、配管120の管壁121と、クーリングプレート300の下面301とが、比較的熱伝導率の高い接合材400を介して接合される。接合材400には、銀ペーストや半田ペーストといった導電性ペースト、サーマルシートやサーマルグリースといった熱界面材料(Thermal Interface Material;TIM)等を用いることができる。
このほか、配管120の一部とクーリングプレート300とは、互いの管壁121及び下面301の少なくとも表面に金属材料が用いられている場合であれば、そのような管壁121と下面301との直接接合(金属-金属接合)によって接続されてもよい。
液浸冷却装置1Bでは、図11(A)等の手法が用いられて配管120とクーリングプレート300とが熱的に接続されることで、配管120内を流れる冷媒液40によってクーリングプレート300が冷却される。
また、上記図10に示した液浸冷却装置1Cにおいては、例えば、図11(B)に示すような、内部に流路311が設けられたクーリングプレート310が用いられる。クーリングプレート310に設けられる流路311の入口311a及び出口311bにそれぞれ、熱交換器130で冷却されて液浸槽10に戻される冷媒液40が流れる配管120の、分割された配管120a及び配管120bが接続される。尚、図11(B)に示すようなクーリングプレート310の断面は、クーリングプレート310をその平面方向に沿って切断した時の断面であってもよいし、クーリングプレート310をその厚さ方向に沿って切断した時の断面であってもよい。また、クーリングプレート310の内部に設ける流路311のレイアウトは、図11(B)の例には限定されない。
上記図10に示した液浸冷却装置1Cにおいては、このほか、配管120の一部がクーリングプレート310の内部を通るようにしてもよい。例えば、クーリングプレート310に、上記流路311に相当する孔を設け、その孔に沿って配管120の一部を配置する。
液浸冷却装置1Cでは、図11(B)等の手法が用いられて配管120とクーリングプレート310とが熱的に接続されることで、クーリングプレート310内を流れる冷媒液40によってクーリングプレート310が冷却される。
液浸冷却装置1B及び液浸冷却装置1Cのように、熱交換器130で冷却される冷媒液40を利用してクーリングプレート300及びクーリングプレート310を冷却し、それによって封止材60を冷却し、その蒸発を抑えるようにしてもよい。
また、液浸冷却装置1B及び液浸冷却装置1Cにおいて、上記液浸冷却装置1A(図8)の例に従い、封止槽20の封止材60を循環して冷却する冷却機構を更に設けてもよい。即ち、液浸冷却装置1B及び液浸冷却装置1Cの各々について、封止槽本体21に接続される配管210及び配管220と、それらに接続される熱交換器230と、一方の配管210に設けられるポンプ240とを備える冷却機構を設ける。このような冷却機構を設けることで、封止材60の昇温、蒸発が、より効果的に抑えられるようになる。
[第4の実施の形態]
図12は第4の実施の形態に係る液浸冷却装置の第1の例について説明する図である。図12には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図12に示す液浸冷却装置1Dは、封止槽本体21に接続される配管210及び配管220と、それらに接続される熱交換器230と、一方の配管210に設けられるポンプ240とを備え、配管220がクーリングプレート300と熱的に接続される構成を有する。液浸冷却装置1Dは、このような構成を有する点で、上記液浸冷却装置1B(図9及び図11(A))と相違する。
液浸冷却装置1Dでは、液浸槽10と封止槽20との間に断熱部30が設けられることで、電子機器2から冷媒液40に伝達された熱が、液浸槽本体11及び封止槽本体21を介して封止槽20の封止材60に伝達され、その温度が上昇することが抑えられる。液浸冷却装置1Dでは更に、封止槽20の液相状態の封止材60が、配管210を通じて排出され、熱交換器230で冷却され、配管220を通じて封止槽20に戻される。配管210及び配管220は、封止材60が流れる流路として機能し、熱交換器230は、封止材60を冷却する冷却器として機能する。熱交換器230で冷却されて封止槽20に戻される封止材60が流れる配管220が、封止槽20下のクーリングプレート300と熱的に接続される。これにより、クーリングプレート300の熱が、配管220を流れる封止材60に伝達され、クーリングプレート300が冷却される。封止槽20の封止槽本体21及び封止材60の熱がクーリングプレート300に伝達され、それにより、封止槽20の封止材60が冷却され、その温度の上昇が抑えられる。
液浸冷却装置1Dにおいて、配管220を流れる封止材60は、上記液浸冷却装置1C(図10及び図11(B))のクーリングプレート310の例に従い、液浸冷却装置1Dのクーリングプレート300の内部を流れる構成とされてもよい。このような構成によっても、クーリングプレート300が冷却され、封止槽20の封止材60が冷却され、その温度の上昇が抑えられる。
このように液浸冷却装置1Dでは、断熱部30、熱交換器230で冷却される封止材60、及びクーリングプレート300が利用され、封止槽20の封止材60の温度の上昇が抑えられる。これにより、封止槽20の封止材60の蒸発による減少、それに起因した液浸槽10の冷媒液40の減少が抑えられる。
液浸冷却装置1Dによれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少を抑え、封止材60の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1Dによれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少に起因した液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、冷媒液40の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1Dによれば、液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、電子機器2を冷媒液40からの露出を抑えて十分に冷却することが可能になる。
図13は第4の実施の形態に係る液浸冷却装置の第2の例について説明する図である。図13には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図13に示す液浸冷却装置1Eは、封止槽20の封止材60を冷却するための冷却機構200とは別に、封止槽20下のクーリングプレート300を冷却するための冷却機構201が設けられた構成を有する点で、上記液浸冷却装置1D(図12)と相違する。
液浸冷却装置1Eでは、配管110、ポンプ140、熱交換器130及び配管120を含む冷却機構100により、液浸槽10の冷媒液40が冷却される。また、液浸冷却装置1Eでは、配管210、ポンプ240、熱交換器230及び配管220を含む冷却機構200により、封止槽20の液相状態の封止材60が冷却される。液浸冷却装置1Eには、これらの冷却機構100,200とは別に、クーリングプレート300と熱的に接続される配管250と、配管250が接続される熱交換器260と、配管250に設けられるポンプ270とを含む冷却機構201が設けられる。例えば、この冷却機構201の系内には、所定の冷媒が封入され、その冷媒が熱交換器260を流れることで又は熱交換器260で相変化されることで冷却され、冷却された冷媒が配管250に送られる。これにより、配管250と熱的に接続されるクーリングプレート300が冷却され、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60が冷却される。
液浸冷却装置1Eでは、断熱部30、熱交換器260で冷却される冷媒、及びクーリングプレート300が利用され、封止槽20の封止材60の温度の上昇が抑えられる。これにより、封止槽20の封止材60の蒸発による減少、それに起因した液浸槽10の冷媒液40の減少が抑えられる。液浸冷却装置1Eによっても、上記液浸冷却装置1Dについて述べたのと同様の効果が得られる。
尚、液浸冷却装置1Eにおいて、配管250を流れる冷媒は、上記液浸冷却装置1C(図10)の例に従い、クーリングプレート300の内部を流れる構成とされてもよい。また、液浸冷却装置1Eにおいて、冷却機構201によって封止槽20の封止材60を十分に冷却することができるような場合には、冷却機構200(配管210、ポンプ240、熱交換器230及び配管220)を省略することもできる。
[第5の実施の形態]
図14は第5の実施の形態に係る液浸冷却装置の第1の例について説明する図である。図14には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図14に示す液浸冷却装置1Fは、液浸槽10及び封止槽20と、それらの間の断熱部30と、封止槽20下のクーリングプレート300と、冷却液循環装置(Coolant Distribution Unit;CDU)500とを備える。
液浸冷却装置1Fにおいて、液浸槽10及び封止槽20並びに断熱部30には、上記第1の実施の形態で述べたようなものが用いられる。液浸槽本体11には、冷媒液40が収容され、その冷媒液40に電子機器2が浸漬される。封止槽本体21には、液相状態の封止材60、例えば冷媒液40と同種の封止材60が収容される。尚、電子機器2に接続されるケーブル2aの図示は省略している。また、断熱部30は、上記のような中空部31(図4(A))又は断熱材32(図4(B))とすることができる。クーリングプレート300は、金属材料等が用いられ、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60を冷却する冷却部として機能する。
CDU500は、液浸槽本体11に接続される配管510及び配管520と、それらに接続される熱交換器530と、一方の配管510に設けられるポンプ540とを備える。配管510及び配管520は、冷媒液40が流れる流路として機能し、熱交換器530は、冷媒液40を冷却する冷却器として機能する。CDU500は更に、熱交換器530に接続される配管550及び配管560と、それらに接続されるチラー570とを備える。配管550及び配管560は、水等の冷媒が流れる流路として機能し、チラー570は、その冷媒を冷却する冷却器として機能する。チラー570には、例えば、冷媒の気液2相変化(蒸発及び凝縮)を利用して冷媒を冷却する冷却システム又は冷凍システムを用いることができる。
液浸冷却装置1Fでは、発熱する電子機器2を冷却する冷媒液40が、ポンプ540により配管510を通じて液浸槽10(液浸槽本体11)から排出され、熱交換器530に送られる。熱交換器530に送られた冷媒液40は、熱交換器530において、チラー570を用いて配管550、熱交換器530及び配管560を循環される冷媒と熱交換され、冷却される。熱交換器530で冷却された冷媒液40は、配管520を通じて液浸槽10(液浸槽本体11)に戻される。液浸冷却装置1Fでは、このように冷媒液40が循環され、電子機器2から熱が伝達される冷媒液40が冷却され、その温度の上昇が抑えられる。尚、図14では、配管510及び配管520の冷媒液40の流れ方向を実線矢印で図示し、配管550及び配管560の冷媒の流れ方向点線矢印で図示している。
液浸冷却装置1Fでは、液浸槽10、及び断熱部30を介して液浸槽10と隣接する封止槽20下のクーリングプレート300が、CDU500の熱交換器530の出口側に接続される配管520上に位置するように設けられる。熱交換器530で冷却された冷媒液40が流れる配管520と、液浸槽10及びクーリングプレート300とが、熱的に接続される。配管520と液浸槽10(液浸槽本体11の底部11a)との接続、及び配管520とクーリングプレート300との接続は、例えば、上記図11(A)に示したような、熱伝導性の接合材400を介した接合によって行われる。
液浸冷却装置1Fでは、CDU500の熱交換器530で冷却された冷媒液40が流れる配管520上に液浸槽10が配置されることで、液浸槽本体11及び冷媒液40の熱が、配管520を流れる冷媒液40に伝達され、液浸槽10の冷媒液40が冷却される。
液浸冷却装置1Fでは更に、CDU500の熱交換器530で冷却された冷媒液40が流れる配管520上にクーリングプレート300が配置されることで、クーリングプレート300の熱が、配管520を流れる冷媒液40に伝達され、クーリングプレート300が冷却される。クーリングプレート300が冷却されることで、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60の熱がクーリングプレート300に伝達され、封止槽20の封止材60が冷却される。
また、液浸冷却装置1Fでは、液浸槽10と封止槽20との間に断熱部30が設けられることで、液浸槽10から封止槽20への熱の伝達が抑えられる。
このように液浸冷却装置1Fでは、断熱部30、CDU500で冷却される冷媒液40、及びクーリングプレート300が利用され、封止槽20の封止材60の温度の上昇が抑えられる。これにより、封止槽20の封止材60の蒸発による減少、それに起因した液浸槽10の冷媒液40の減少が抑えられる。
液浸冷却装置1Fによれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少を抑え、封止材60の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1Fによれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少に起因した液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、冷媒液40の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1Fによれば、液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、電子機器2を、冷媒液40からの露出を抑えて、十分に冷却することが可能になる。
図15は第5の実施の形態に係る液浸冷却装置の第2の例について説明する図である。図15には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図15に示す液浸冷却装置1Gは、液浸槽10の冷媒液40を冷却するCDU500と、封止槽20の封止材60を冷却するCDU600とを含む。
CDU600は、封止槽本体21に接続される配管610及び配管620と、それらに接続される熱交換器630と、一方の配管610に設けられるポンプ640とを備える。配管610及び配管620は、液相状態の封止材60が流れる流路として機能し、熱交換器630は、封止材60を冷却する冷却器として機能する。CDU600は更に、熱交換器630に接続される配管650及び配管660と、それらに接続されるチラー670とを備える。配管650及び配管660は、水等の冷媒が流れる流路として機能し、チラー670は、その冷媒を冷却する冷却器として機能する。チラー670には、例えば、冷媒の気液2相変化(蒸発及び凝縮)を利用して冷媒を冷却する冷却システム又は冷凍システムを用いることができる。
液浸冷却装置1Gでは、液浸槽10が、CDU500の熱交換器530の出口側に接続される配管520上に位置するように設けられる。液浸冷却装置1Gでは、断熱部30を介して液浸槽10と隣接する封止槽20下のクーリングプレート300が、CDU600の熱交換器630の出口側に接続される配管620上に位置するように設けられる。CDU500の配管520と液浸槽10(液浸槽本体11の底部11a)との接続、及びCDU600の配管620とクーリングプレート300との接続は、例えば、上記図11(A)に示したような、熱伝導性の接合材400を介した接合によって行われる。
液浸冷却装置1Gでは、CDU500の熱交換器530で冷却された冷媒液40が流れる配管520上に液浸槽10が配置されることで、液浸槽本体11及び冷媒液40の熱が、配管520を流れる冷媒液40に伝達され、液浸槽10の冷媒液40が冷却される。
液浸冷却装置1Gでは更に、CDU600の熱交換器630で冷却された封止材60が流れる配管620上にクーリングプレート300が配置されることで、クーリングプレート300の熱が、配管620を流れる封止材60に伝達され、クーリングプレート300が冷却される。クーリングプレート300が冷却されることで、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60の熱がクーリングプレート300に伝達され、封止槽20の封止材60が冷却される。
また、液浸冷却装置1Gでは、液浸槽10と封止槽20との間に断熱部30が設けられることで、液浸槽10から封止槽20への熱の伝達が抑えられる。
このように液浸冷却装置1Gでは、断熱部30、CDU600で冷却される封止材60、及びクーリングプレート300が利用され、封止槽20の封止材60の温度の上昇が抑えられる。これにより、封止槽20の封止材60の蒸発による減少、それに起因した液浸槽10の冷媒液40の減少が抑えられる。
液浸冷却装置1Gによれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少を抑え、封止材60の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1Gによれば、封止槽20の封止材60の蒸発による減少に起因した液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、冷媒液40の補充量又は補充頻度を低減し、その補充に伴うコストを低減することが可能になる。液浸冷却装置1Gによれば、液浸槽10の冷媒液40の減少を抑え、電子機器2を、冷媒液40からの露出を抑えて、十分に冷却することが可能になる。
[第6の実施の形態]
図16は第6の実施の形態に係る液浸冷却装置の第1の例について説明する図である。図16には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図16に示す液浸冷却装置1Hは、封止槽本体21の底部21a及び側壁21bの一部を覆うクーリングプレート320が設けられている点で、上記液浸冷却装置1F(図14)と相違する。液浸冷却装置1Hでは、クーリングプレート320の側面と液浸槽10の側壁11bとの間に断熱部30が設けられる。クーリングプレート320は、上記クーリングプレート300と同様に、金属材料等、比較的熱伝導率の高い材料が用いられ、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60を冷却する冷却部として機能する。
液浸冷却装置1Hでは、封止槽本体21の底部21a及び側壁21bの一部を覆うクーリングプレート320が設けられることで、封止槽本体21及び封止材60を冷却する能力が高められる。これにより、封止材60の蒸発による減少、それに起因した冷媒液40の減少が効果的に抑えられ、それらの補充量又は補充頻度の低減、それらの補充に伴うコストの低減、及び電子機器2の十分な冷却が可能になる。
図17は第6の実施の形態に係る液浸冷却装置の第2の例について説明する図である。図17には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図17に示す液浸冷却装置1Iは、封止槽本体21の底部21a及び側壁21bの一部を覆うクーリングプレート320が設けられている点で、上記液浸冷却装置1G(図15)と相違する。液浸冷却装置1Iでは、クーリングプレート320の側面と液浸槽10の側壁11bとの間に断熱部30が設けられる。クーリングプレート320は、金属材料等、比較的熱伝導率の高い材料が用いられ、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60を冷却する冷却部として機能する。CDU600の配管610及び配管620は、クーリングプレート320を貫通し、封止槽本体21に接続される。
液浸冷却装置1Iでは、封止槽本体21の底部21a及び側壁21bの一部を覆うクーリングプレート320が設けられることで、封止槽本体21及び封止材60を冷却する能力が高められる。これにより、封止材60の蒸発による減少、それに起因した冷媒液40の減少が効果的に抑えられ、それらの補充量又は補充頻度の低減、それらの補充に伴うコストの低減、及び電子機器2の十分な冷却が可能になる。
[第7の実施の形態]
図18は第7の実施の形態に係る液浸冷却装置の第1の例について説明する図である。図18には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図18に示す液浸冷却装置1Jは、封止槽本体21の底部21a及び側壁21bの一部を覆うクーリングプレート320が設けられ、そのクーリングプレート320の側面を覆うように断熱材32が設けられた構成を有する。この液浸冷却装置1Jは、上記液浸冷却装置1H(図16)における断熱部30として、断熱材32を用いた例の1つである。クーリングプレート320の側面を覆う断熱材32のうち、少なくとも液浸槽10と封止槽20との間に設けられる部位が、上記断熱部30として機能する。
液浸冷却装置1Jでは、クーリングプレート320の側面が断熱材32で覆われることで、封止槽本体21及び封止材60からクーリングプレート320に伝達された熱が、クーリングプレート320下に配置されるCDU500の配管520に効率的に伝達される。これにより、封止槽本体21及び封止材60を冷却する能力が高められる。封止材60の蒸発による減少、それに起因した冷媒液40の減少が効果的に抑えられ、それらの補充量又は補充頻度の低減、それらの補充に伴うコストの低減、及び電子機器2の十分な冷却が可能になる。
図19は第7の実施の形態に係る液浸冷却装置の第2の例について説明する図である。図19には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図19に示す液浸冷却装置1Kは、封止槽本体21の底部21a及び側壁21bの一部を覆うクーリングプレート320が設けられ、そのクーリングプレート320の側面を覆うように断熱材32が設けられた構成を有する。この液浸冷却装置1Kは、上記液浸冷却装置1I(図17)における断熱部30として、断熱材32を用いた例の1つである。クーリングプレート320の側面を覆う断熱材32のうち、少なくとも液浸槽10と封止槽20との間に設けられる部位が、上記断熱部30として機能する。CDU600の配管610及び配管620は、断熱材32及びクーリングプレート320を貫通し、封止槽本体21に接続される。
液浸冷却装置1Kでは、クーリングプレート320の側面が断熱材32で覆われることで、封止槽本体21及び封止材60からクーリングプレート320に伝達された熱が、クーリングプレート320下に配置されるCDU600の配管620に効率的に伝達される。これにより、封止槽本体21及び封止材60を冷却する能力が高められる。封止材60の蒸発による減少、それに起因した冷媒液40の減少が効果的に抑えられ、それらの補充量又は補充頻度の低減、それらの補充に伴うコストの低減、及び電子機器2の十分な冷却が可能になる。
[第8の実施の形態]
図20は第8の実施の形態に係る液浸冷却装置の第1の例について説明する図である。図20には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図20に示す液浸冷却装置1Lは、封止槽本体21の底部21a及び側壁21bの一部にフィン28が設けられている点で、上記液浸冷却装置1J(図18)と相違する。フィン28は、封止槽本体21の表面積を増大させるようにその表面に設けられる凹凸部の一例である。
フィン28を有する封止槽本体21は、底部21a及び側壁21bの一部がフィン状に加工された図20に示したようなものでもよいし、或いは別途形成されたフィン状部材が底部21a及び側壁21bの一部に取り付けられたものでもよい。例えば、封止槽本体21に金属材料が用いられる場合には、板金、研削、溶接、接着等の手法を用いて、フィン28を有する封止槽本体21が形成される。例えば、封止槽本体21に樹脂材料や炭素材料、それらの複合材料が用いられる場合には、成型、研削、溶接、接着等の手法を用いて、フィン28を有する封止槽本体21が形成される。
液浸冷却装置1Lでは、封止槽本体21にフィン28が設けられることで、封止槽本体21とクーリングプレート320との接触面積が増大され、封止槽本体21の熱がクーリングプレート320に効率的に伝達される。これにより、封止槽本体21及び封止材60を冷却する能力が高められる。封止材60の蒸発による減少、それに起因した冷媒液40の減少が効果的に抑えられ、それらの補充量又は補充頻度の低減、それらの補充に伴うコストの低減、及び電子機器2の十分な冷却が可能になる。
図21は第8の実施の形態に係る液浸冷却装置の第2の例について説明する図である。図21には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図21に示す液浸冷却装置1Mは、封止槽本体21の底部21a及び側壁21bの一部にフィン28が設けられている点で、上記液浸冷却装置1K(図19)と相違する。フィン28は、封止槽本体21の表面積を増大させるようにその表面に設けられる凹凸部の一例である。
フィン28を有する封止槽本体21は、底部21a及び側壁21bの一部がフィン状に加工された図21に示したようなものでもよいし、或いは別途形成されたフィン状部材が底部21a及び側壁21bの一部に取り付けられたものでもよい。例えば、封止槽本体21に金属材料が用いられる場合には、板金、研削、溶接、接着等の手法を用いて、フィン28を有する封止槽本体21が形成される。例えば、封止槽本体21に樹脂材料や炭素材料、それらの複合材料が用いられる場合には、成型、研削、溶接、接着等の手法を用いて、フィン28を有する封止槽本体21が形成される。CDU600の配管610及び配管620は、断熱材32及びクーリングプレート320を貫通し、封止槽本体21に接続される。
液浸冷却装置1Mでは、封止槽本体21にフィン28が設けられることで、封止槽本体21とクーリングプレート320との接触面積が増大され、封止槽本体21の熱がクーリングプレート320に効率的に伝達される。これにより、封止槽本体21及び封止材60を冷却する能力が高められる。封止材60の蒸発による減少、それに起因した冷媒液40の減少が効果的に抑えられ、それらの補充量又は補充頻度の低減、それらの補充に伴うコストの低減、及び電子機器2の十分な冷却が可能になる。
[第9の実施の形態]
図22は第9の実施の形態に係る液浸冷却装置の第1の例について説明する図である。図22には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図22に示す液浸冷却装置1Nは、封止槽本体21の底部21a及び側壁21bの一部を覆い、内部に流路が設けられたクーリングプレート330が用いられ、その流路に、冷媒液40が流れるようにしている点で、上記液浸冷却装置1L(図20)と相違する。クーリングプレート330の内部の流路には、CDU500の熱交換器530で冷却されて配管520(配管520a)を流れる冷媒液40が送られる。クーリングプレート330の内部の流路を流れた冷媒液40は、配管520(配管520b)を通じて液浸槽10に送られる。
液浸冷却装置1Nでは、熱交換器530で冷却された冷媒液40がクーリングプレート330の内部の流路を流れることで、クーリングプレート330が冷却され、封止槽本体21及び封止材60が冷却される。これにより、封止材60の蒸発による減少、それに起因した冷媒液40の減少が効果的に抑えられ、それらの補充量又は補充頻度の低減、それらの補充に伴うコストの低減、及び電子機器2の十分な冷却が可能になる。
図23は第9の実施の形態に係る液浸冷却装置の第2の例について説明する図である。図23には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図23に示す液浸冷却装置1Oは、封止槽本体21の底部21a及び側壁21bの一部を覆い、内部に流路が設けられたクーリングプレート330が用いられ、その流路に、封止材60が流れるようにしている点で、上記液浸冷却装置1M(図21)と相違する。クーリングプレート330の内部の流路には、CDU600の熱交換器630で冷却されて配管620(配管620a)を流れる封止材60が送られる。クーリングプレート330の内部の流路を流れた封止材60は、配管620(配管620b)を通じて封止槽20に送られる。
液浸冷却装置1Oでは、熱交換器630で冷却された封止材60がクーリングプレート330の内部の流路を流れることで、クーリングプレート330が冷却され、封止槽本体21及び封止材60が冷却される。これにより、封止材60の蒸発による減少、それに起因した冷媒液40の減少が効果的に抑えられ、それらの補充量又は補充頻度の低減、それらの補充に伴うコストの低減、及び電子機器2の十分な冷却が可能になる。
ここで、内部に流路を有するクーリングプレート330について説明する。
図24及び図25は第9の実施の形態に係る液浸冷却装置のクーリングプレートについて説明する図である。図24(A)及び図24(B)にはそれぞれ、クーリングプレートの一例の要部断面図を模式的に示している。また、図25には、クーリングプレートの一例の分解斜視図を模式的に示している。
上記のような液浸冷却装置1N及び液浸冷却装置1Oのクーリングプレート330には、例えば、図24(A)に示すような、入口331aから出口331bまで蛇行しながら延びる1本の流路331が内部に設けられたものが用いられる。このほか、クーリングプレート330には、例えば、図24(B)に示すような、入口332aから出口332bまでの途中に分岐路を有する流路332が内部に設けられたものが用いられる。クーリングプレート330の内部に、このような流路331又は流路332が設けられることで、冷媒液40とクーリングプレート330との接触面積、封止材60とクーリングプレート330との接触面積が増大され、クーリングプレート330の冷却効率が高められる。
例えば、図24(A)に示したような流路331を内部に有するクーリングプレート330は、図25に示すように、流路331に相当する溝333b,334bを互いの表面333a,334aに設けた部材333,334同士を貼り合わせて形成される。部材333,334同士の貼り合わせは、接着や溶接等の手法を用いて行うことができる。図24(B)に示したような流路332を内部に有するクーリングプレート330も、これと同様に形成することができる。また、図25に示すような部材333の溝333b又は部材334の溝334bに沿って配管620の一部を設け、当該一部を挟んだ状態で部材333,334同士を貼り合わせることで、クーリングプレート330を形成することもできる。
[第10の実施の形態]
図26は第10の実施の形態に係る液浸冷却装置の第1の例について説明する図である。図26には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図26に示す液浸冷却装置1Pは、封止槽20下に、クーリングプレートに代えて、ペルチェ素子700が設けられている点で、上記液浸冷却装置1F(図14)と相違する。ペルチェ素子700は、電源710から電気の供給を受けて、一方側の面700aが他方側の面700bよりも低温になる。液浸冷却装置1Pでは、ペルチェ素子700が、その比較的高温になる面700bがCDU500の配管520側に向き、比較的低温になる面700aが封止槽20側に向くように、配置される。ペルチェ素子700は、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60を冷却する冷却部として機能する。
液浸冷却装置1Pでは、ペルチェ素子700が設けられることで、封止槽本体21及び封止材60を冷却する能力が高められる。これにより、封止材60の蒸発による減少、それに起因した冷媒液40の減少が効果的に抑えられ、それらの補充量又は補充頻度の低減、それらの補充に伴うコストの低減、及び電子機器2の十分な冷却が可能になる。
図27は第10の実施の形態に係る液浸冷却装置の第2の例について説明する図である。図27には、液浸冷却装置の一構成例を模式的に示している。
図27に示す液浸冷却装置1Qは、封止槽20下に、クーリングプレートに代えて、ペルチェ素子700が設けられている点で、上記液浸冷却装置1G(図15)と相違する。液浸冷却装置1Qでは、ペルチェ素子700が、その比較的高温になる面700bがCDU600の配管620側に向き、比較的低温になる面700aが封止槽20側に向くように、配置される。ペルチェ素子700は、封止槽20の封止槽本体21及び封止材60を冷却する冷却部として機能する。
液浸冷却装置1Qでも、ペルチェ素子700が設けられることで、封止槽本体21及び封止材60を冷却する能力が高められる。これにより、封止材60の蒸発による減少、それに起因した冷媒液40の減少が効果的に抑えられ、それらの補充量又は補充頻度の低減、それらの補充に伴うコストの低減、及び電子機器2の十分な冷却が可能になる。
尚、以上の説明では、液浸槽10及び封止槽20として、断面視で略矩形状の箱型の液浸槽10及び封止槽20を例示したが、液浸槽10及び封止槽20の形状は、上記のような形状のものに限定されない。
図28は液浸冷却装置に用いられる槽の形状について説明する図である。図28(A)~図28(C)にはそれぞれ、槽の要部断面図を模式的に示している。
例えば、電子機器2を浸漬する冷媒液40が収容される上記液浸槽10として、図28(A)に示すような、底部11aから上方に立ち上がる側壁11bが外側に膨らんで湾曲した形状を有する液浸槽10Aが用いられてもよい。或いは、電子機器2を浸漬する冷媒液40が収容される上記液浸槽10として、図28(B)に示すような、底部11aが外側に膨らんで湾曲した形状を有する液浸槽10Bが用いられてもよい。或いはまた、電子機器2を浸漬する冷媒液40が収容される上記液浸槽10として、底部11a及び側壁11bがいずれも外側に円弧状に湾曲した、図28(C)に示すような球状を有する液浸槽10Cが用いられてもよい。尚、液浸槽10B及び液浸槽10Cのような形状の場合には、内部に電子機器2を搭載するための台座14が設けられてもよい。
このような液浸槽10A、液浸槽10B又は液浸槽10Cに隣接して、間に断熱部30を介して、且つ、気相部13に気相部23aが連通するようにして、封止材60が収容される上記封止槽20が設けられる。また、上記封止槽20として、図28(A)~図28(C)の例に従い、側壁21b又は底部21aを湾曲したものや、球状にしたもの等、各種形状を有するものが用いられてもよい。
また、以上の説明で述べた液浸槽10には、冷媒液40の蒸発による気相部13の過度の内圧上昇を抑えるため、気相部13に接続される圧力調整弁が設けられてもよい。或いは、液浸槽10の気相部13に連通する封止槽20気相部23aに接続される圧力調整弁が設けられてもよい。
また、液浸槽10と封止槽20とは、互いの気相部13と気相部23aとを連通させることができ、液浸槽10に浸漬される電子機器2に接続されるケーブル2aを通すことができるものであれば、互いの通気孔50,51同士を繋ぐ配管で接続されてもよい。液浸槽10と封止槽20とを配管で接続する場合、通気孔50は、液浸槽本体11に限らず、液浸槽10の蓋体12に設けられてもよく、通気孔51は、封止槽本体21に限らず、封止槽20の蓋体22に設けられてもよい。