以下に、本発明の実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。まず、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクについて説明する。なお、図1は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。図3は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク内部の概要を説明する斜視図である。図4は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの熱輸送部材と管体の接続部の概要を示す説明図である。図5は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク内部の概要を説明する側面図である。
図1、2に示すように、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンク1は、発熱体100と熱的に接続される蒸発部41(受熱部41)を有する熱輸送部材10と、熱輸送部材10の凝縮部42(放熱部42)に位置する接続部30にて接続された、熱輸送部材10の熱輸送方向とは異なる熱輸送方向を有する管体31と、管体31と熱的に接続された、複数の放熱フィンが配置された放熱フィン群20と、を備えている。放熱フィン群20は、管体31に取り付けられた複数の第1の放熱フィン21、21、21・・・と、熱輸送部材10に取り付けられた複数の第2の放熱フィン22、22、22・・・を備えている。管体31は、熱輸送部材10とは、熱輸送部材10の凝縮部42にて接続されている。
熱輸送部材10は、蒸発部41から管体31との接続部30まで連通し、且つ作動流体が封入された一体である内部空間を有している。熱輸送部材10の内部空間は、複数のヒートパイプが並列配置されたヒートパイプ群の内部空間とは異なり、全体が連通して一体となっている。
熱輸送部材10の内部空間は、接続部30を介して管体31の内部空間と連通している。すなわち、ヒートシンク1では、熱輸送部材10の内部空間と管体31の内部空間とは連通して一体となっており、一体である内部空間には、作動流体が封入されている。
図1、2に示すように、熱輸送部材10は、中空の空洞部13を有するコンテナ19と、空洞部13を流通する作動流体(図示せず)とを有している。また、空洞部13内には、蒸発部41から凝縮部42へ伸延した毛細管力を有する第1のウィック構造体14が設けられている。コンテナ19は、ヒートシンク1の設置面側に位置する一方の板状体11と一方の板状体11と対向する他方の板状体12とを重ね合わせることにより形成されている。
一方の板状体11は平面部の縁部に平面部から立設した側壁を有する板状である。他方の板状体12も、平面部の縁部に平面部から立設した側壁を有する板状である。従って、一方の板状体11と他方の板状体12は、凹形状となっている。一方の板状体11と他方の板状体12とを凹形状を対向させた状態で重ね合わせることにより、コンテナ19の空洞部13が形成される。コンテナ19は、同一平面上に延在している。上記から、熱輸送部材10は、同一平面上に延在する平面型である。コンテナ19の空洞部13は、外部環境に対して密閉された内部空間であり、脱気処理により減圧されている。
コンテナ19外面のうち、冷却対象である発熱体100が熱的に接続される部位が蒸発部41として機能する。発熱体100がコンテナ19に熱的に接続されることで、発熱体100が冷却される。熱輸送部材10では、一方端に発熱体100が熱的に接続されているので、一方端に蒸発部41が形成されている。また、コンテナ19内面のうち、蒸発部41には、受熱部内面表面積増大部44が設けられている。受熱部内面表面積増大部44は、凹凸が繰り返し形成された部位であり、ヒートシンク1では、複数の板状フィン45、45・・・が、一方の板状体11の内面上に立設されている。蒸発部41に受熱部内面表面積増大部44が設けられていることにより、蒸発部41から液相の作動流体への熱伝達が円滑化される。なお、ヒートシンク1の使用条件等に応じて、受熱部内面表面積増大部44は設けなくてもよい。
熱輸送部材10は、発熱体100の位置から所定方向へ延在しており、一方端に対向する他方端に放熱フィン群20を形成する複数の第2の放熱フィン22、22、22・・・が熱的に接続されている。放熱フィン群20が熱的に接続されている熱輸送部材10の他方端が、熱輸送部材10の凝縮部42として機能する。
熱輸送部材10は、コンテナ19の一方端に位置する蒸発部41とコンテナ19の他方端に位置する凝縮部42との間に位置する中間部が、断熱部43として機能する。断熱部43は、放熱フィン群20も発熱体100も熱的に接続されていない部位である。従って、断熱部43は、積極的に受熱と放熱がされていない部位である。発熱体100から蒸発部41へ伝達された熱が、断熱部43の延在方向に沿って、蒸発部41から凝縮部42へ輸送される。
熱輸送部材10の幅方向の寸法は、特に限定されず、ヒートシンク1では、説明の便宜上、蒸発部41、断熱部43及び凝縮部42は、略同じ寸法となっている。また、蒸発部41における熱輸送部材10の幅方向の寸法は、発熱体100の幅方向の寸法等に応じて適宜選択可能である。
図1、3に示すように、第1のウィック構造体14は、熱輸送部材10の幅方向中央部にてコンテナ19の蒸発部41から凝縮部42まで伸延している。コンテナ19が同一平面上に延在していることに対応して、第1のウィック構造体14は、同一平面上に伸延している。
第1のウィック構造体14の構成としては、特に限定されないが、例えば、銅粉等の金属粉の焼結体、金属線からなる金属メッシュ、グルーブ(複数の細溝)、不織布、金属繊維等を挙げることができる。熱輸送部材10では、第1のウィック構造体14として、金属粉の焼結体が用いられている。空洞部13のうち、第1のウィック構造体14の設けられていない部位が、気相の作動流体の流通する蒸気流路15として機能する。蒸気流路15は、第1のウィック構造体14が熱輸送部材10(コンテナ19)の蒸発部41から凝縮部42まで伸延していることに対応して、熱輸送部材10(コンテナ19)の蒸発部41から凝縮部42まで延在している。熱輸送部材10は、作動流体の動作による熱輸送特性によって、蒸発部41にて受けた発熱体100の熱を蒸発部41から凝縮部42へ輸送する。
図1~3に示すように、熱輸送部材10の他方端には、コンテナ19の空洞部13と内部空間の連通した複数の管体31、31、31・・・が設けられている。管体31の内部空間は、接続部30を介して熱輸送部材10の空洞部13と連通している。従って、空洞部13を流通する作動流体は、空洞部13から管体31内部までの空間に封入されている。
ヒートシンク1では、管体31は、長手方向に対して直交方向(径方向)の形状が円形状である円形部36と、長手方向に対して直交方向(径方向)の形状が扁平形状である扁平部37と、を有している。扁平部37の形状としては、例えば、楕円形状、角丸長方形等が挙げられる。また、扁平部37は、熱輸送部材10の延在方向に沿った扁平形状(すなわち、横扁平)となっている。扁平部37は、径方向の形状が円形状である部位を扁平加工することで形成することができる。管体31の円形部36は熱輸送部材10との接続部30に位置し、管体31の扁平部37は複数の放熱フィン21、21、21・・・が熱的に接続された部位に位置する。
また、管体31は、円形部36と扁平部37の間に境界部38を有している。境界部38の径方向の形状は、円形状でも扁平形状でもなく、円形状から扁平形状へ変化する過程の形状である。上記から、管体31は、長手方向に沿って接続部30から順に、円形部26、境界部38、扁平部37を有している。また、円形部26、境界部38及び扁平部37の内部空間は、相互に連通しており、作動流体が流通可能となっている。
ヒートシンク1では、複数の管体31、31、31・・・は、いずれも、径方向の形状が円形状である円形部36と径方向の形状が扁平形状である扁平部37とを有している構造となっている。上記から、相互に隣接する管体31同士の間隔は、熱輸送部材10と管体31の接続部30が、複数の放熱フィン21、21、21・・・が熱的に接続された部位よりも広い態様となっている。
図4に示すように、管体31では、円形部36と扁平部37との間が、扁平部37から円形部36へ向かって傾斜した傾斜部39となっている。傾斜部39は、ヒートシンク1の設置面方向へ傾斜している。ヒートシンク1では、境界部38は、管体31の長手方向に沿ってスロープ状に傾斜した傾斜部39となっている。
管体31の内部空間において、円形部36の直径と扁平部37の厚さの割合は、特に限定されず、ヒートシンク1の使用条件等により、適宜選択可能である。管体31の内部空間において、円形部36の直径に対する扁平部37の厚さの比率は、例えば、0.30以上0.90以下が好ましく、0.50以上0.80以下が特に好ましい。なお、管体31の長手方向の形状は、特に限定されないが、ヒートシンク1では、略直線状となっている。また、いずれの管体31も、形状、寸法は略同じとなっている。
ヒートシンク1では、管体31は、熱輸送部材10の凝縮部42の平面方向に沿って、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向に延在している。管体31の延在方向が熱輸送部材10の熱輸送方向と平行ではないので、管体31は、熱輸送部材10の熱輸送方向とは異なる熱輸送方向を有する。熱輸送部材10にて蒸発部41から凝縮42へ輸送された熱は、管体31によって、熱輸送部材10の延在方向とは異なる方向へ輸送される。従って、熱輸送部材10の延在方向(熱輸送方向)におけるヒートシンク1の寸法の増大を防止することができるので、ヒートシンク1の省スペース化を図ることができる。
また、管体31は、複数設けられており、熱輸送部材10の凝縮部42から複数の方向に延在している。ヒートシンク1では、管体31は、熱輸送部材10を中心にして左右両方向、すなわち、2方向へ延在している。また、管体31は、熱輸送部材10を中心にして左右両方向に同じ本数ずつ設けられている。複数の管体31、31、31・・・が熱輸送部材10から複数の方向(ヒートシンク1では2方向)に延在しているので、熱輸送部材10から管体31へ輸送された熱は、熱輸送部材10の延在方向(熱輸送方向)とは異なる複数の方向(ヒートシンク1では2方向)へ分岐して輸送される。従って、熱輸送部材10の延在方向(熱輸送方向)におけるヒートシンク1の寸法の増大をより確実に防止することができる。
図1~4に示すように、管体31の熱輸送部材10側端部(以下、「基部」ということがある。)32は、接合部30に位置し、開口している。開口している基部32は、円形部36を構成している。一方で、熱輸送部材10とは反対の端部(以下、「先端部」ということがある。)33は閉塞している。閉塞している先端部33は、扁平部37を構成している。また、コンテナ19の空洞部13と管体31の内部空間は連通しており、管体31の内部空間は、空洞部13と同様に、脱気処理により減圧されている。従って、作動流体は、コンテナ19の空洞部13と管体31の内部空間との間で流通可能となっている。
また、コンテナ19の側面部には、管体31をコンテナ19に取り付けるための貫通孔(図示せず)が形成されている。貫通孔の形状と寸法は、管体31の基部32の形状と寸法に対応しており、管体31の基部32が、コンテナ19の貫通孔に嵌挿されることで、管体31がコンテナ19に接続されている。従って、管体31とコンテナ19は、別の部材からなっている。コンテナ19に取り付けた管体31を固定する方法としては、特に限定されないが、例えば、ろう等の接合材料による接合手段を挙げることができる。
ヒートシンク1では、管体31と熱輸送部材10とは別の部材からなっているので、管体31の配置、寸法等を自由に選択でき、ヒートシンク1の設計の自由度が向上する。また、ヒートシンク1では、コンテナ19の貫通孔に管体31を嵌挿することで、管体31をコンテナ19に取り付けることができるので、組み立てが容易である。
図3、4に示すように、管体31の内部には、コンテナ19に設けられた第1のウィック構造体14とは異なる、毛細管力を有する第2のウィック構造体34が設けられている。熱輸送部材10に、蒸発部41から凝縮部42へ伸延した第1のウィック構造体14が設けられ、管体31の内部に、第2のウィック構造体34が設けられていることにより、管体31の内部空間にて気相から液相へ相変化した作動流体は、熱輸送部材10の蒸発部41へ円滑に還流できる。第2のウィック構造体34としては、特に限定されないが、例えば、銅粉等の金属粉の焼結体、金属線からなる金属メッシュ、グルーブ、不織布、金属繊維等を挙げることができる。管体31では、第2のウィック構造体34として、管体31の内面全体を覆うように、複数の細溝が形成されている。細溝は、管体31の長手方向に沿って延在している。
図4に示すように、熱輸送部材10に設けられた第1のウィック構造体14は、接続部30に位置する接続部材35を介して、管体31に設けられた第2のウィック構造体34と接続されていてもよい。管体31内部で気相から液相へ相変化した作動流体は、管体31内部の第2のウィック構造体34の毛細管力によって、第2のウィック構造体34内を管体31の先端部33から基部32の方向へ還流し、管体31の基部32まで還流した液相の作動流体は、第2のウィック構造体34から接続部材35の一端へ流通する。第2のウィック構造体34から接続部材35の一端へ流通した液相の作動流体は、接続部材35を一端から他端へ流通し、接続部材35の他端から熱輸送部材10の第1のウィック構造体14へ還流することができる。
従って、接続部30に接続部材35を設けることで、第2のウィック構造体34から第1のウィック構造体14への液相の作動流体の還流が円滑化される。上記から、接続部材35により、管体31と熱輸送部材10間における液相の作動流体の流通性能が向上するので、ヒートシンク1の冷却性能が向上する。接続部材35としては、例えば、毛細管力を有するウィック部材を挙げることができ、具体的には、金属メッシュ、金属線の編組体、金属繊維等を挙げることができる。
コンテナ19及び管体31の材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス、チタン、チタン合金等を挙げることができる。コンテナ19の空洞部13及び管体31の内部空間に封入する作動流体としては、コンテナ19及び管体31の材料との適合性に応じて、適宜選択可能であり、例えば、水、フルオロカーボン類、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、シクロペンタン、エチレングリコール、これらの混合物等を挙げることができる。
コンテナ19の厚さとしては、機械的強度、重量等から適宜選択可能であり、例えば、0.5~3mmを挙げることができ、熱輸送部材10の幅は、例えば、4~20mmを挙げることができる。また、管体31の円形部36の直径としては、機械的強度、重量等から適宜選択可能であり、例えば、5~10mmを挙げることができる。
図1~4に示すように、放熱フィン群20は、複数の第1の放熱フィン21、21、21・・・、複数の第2の放熱フィン22、22、22・・・が、それぞれ、並列配置されて形成されている。第1の放熱フィン21、第2の放熱フィン22ともに、薄い平板状の部材である。このうち、放熱フィン群20の両側部に位置する第1の放熱フィン21は、管体31の長手方向に対して略平行方向に所定間隔にて並列配置されている。従って、管体31は、複数の第1の放熱フィン21、21、21・・・の配置方向に沿って延在している。また、第1の放熱フィン21は、管体31の位置に取り付け、固定されて、管体31と熱的に接続されている。第1の放熱フィン21は、いずれも、略同じ形状、寸法となっている。放熱フィン群20の中央部に位置する第2の放熱フィン22は、熱輸送部材10の位置に取り付け、固定されて、熱輸送部材10と熱的に接続されている。第2の放熱フィン22が取り付けられた熱輸送部材10の部位が、凝縮部42として機能する。第2の放熱フィン22は、熱輸送部材10に立設されるように取り付けられている。
第1の放熱フィン21の主表面が、主に第1の放熱フィン21の放熱機能を発揮する面である。第2の放熱フィン22の主表面が、主に第2の放熱フィン22の放熱機能を発揮する面である。第1の放熱フィン21の主表面、第2の放熱フィン22の主表面は、管体31の延在方向、すなわち長手方向に対して、略直交方向となるように配置されている。
第1の放熱フィン21の管体31への熱的接続方法は、特に限定されず、公知の方法をいずれも使用可能であり、例えば、第1の放熱フィン21に貫通孔(図示せず)を形成し、この貫通孔に管体31を嵌挿する方法が挙げられる。第2の放熱フィン22の熱輸送部材10への熱的接続方法は、特に限定されず、公知の方法をいずれも使用可能であり、例えば、第2の放熱フィン22の端部に、放熱フィン22の主表面に対して鉛直方向に伸延した固定用片部を設け、該固定用片部を熱輸送部材10の平面に接続して熱輸送部材10に放熱フィン22を立設させる方法が挙げられる。
ヒートシンク1は、例えば、送風ファン(図示せず)により強制空冷される。送風ファン由来の冷却風Fは、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略平行方向から供給される。冷却風Fが、第1の放熱フィン21の主表面及び第2の放熱フィン22の主表面に沿って供給されて、放熱フィン群20が冷却される。
第1の放熱フィン21及び第2の放熱フィン22の材質は、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属、黒鉛等の炭素材料、炭素材料を用いた複合部材などを挙げることができる。
次に、図1、3、5を用いて、ヒートシンク1の冷却機能のメカニズムについて説明する。まず、熱輸送部材10のコンテナ19の一方端に被冷却体である発熱体100を熱的に接続して、一方端を蒸発部41として機能させる。コンテナ19の一方端が発熱体100から受熱すると、コンテナ19の一方端において、空洞部13の液相の作動流体へ熱が伝達されて、コンテナ19の一方端の空洞部13にて、液相の作動流体が気相の作動流体へと相変化する。気相の作動流体は、蒸気流路15をコンテナ19の一方端から凝縮部42である他方端へ流通する。気相の作動流体が、コンテナ19の一方端(蒸発部41)から他方端(凝縮部42)へ流通することで、熱輸送部材10が、その一方端から他方端へ熱を輸送する。コンテナ19の他方端へ流通した気相の作動流体の一部が、潜熱を放出して液相の作動流体Lへ相変化し、放出された潜熱は、熱輸送部材10と熱的に接続されている第2の放熱フィン22へ伝達される。第2の放熱フィン22へ伝達された熱は、第2の放熱フィン22を介してヒートシンク1の外部環境へ放出される。コンテナ19の他方端にて液相に相変化した作動流体Lは、第1のウィック構造体14の毛細管力により、コンテナ19の他方端から一方端へ還流する。
また、コンテナ19の空洞部13と管体31の内部空間とは連通しているので、コンテナ19の一方端(蒸発部41)にて液相から気相へ相変化した作動流体のうち、コンテナ19の他方端(凝縮部42)にて液相に相変化しなかった作動流体は、空洞部13から管体31の内部空間へ流入する。管体31の内部空間へ流入した気相の作動流体は、管体31内部にて潜熱を放出して、液相の作動流体Lへ相変化する。管体31内部にて放出された潜熱は、管体31と熱的に接続されている第1の放熱フィン21へ伝達される。第1の放熱フィン21へ伝達された熱は、第1の放熱フィン21を介してヒートシンク1の外部環境へ放出される。管体31内部にて気相から液相へ相変化した作動流体Lは、管体31内面の第2のウィック構造体34の毛細管力によって、扁平部37である管体31の先端部33及び中央部から、円形部36である管体31の基部32へ還流する。管体31の基部32へ還流した液相の作動流体Lは、管体31の基部32から第1のウィック構造体14へ還流する。第1のウィック構造体14へ還流した液相の作動流体Lは、第1のウィック構造体14の毛細管力により、コンテナ19の他方端からコンテナ19の一方端へ還流する。
ヒートシンク1では、管体31が、径方向の形状が円形状である円形部36と径方向の形状が扁平形状である扁平部37とを有し、円形部36が熱輸送部材10との接続部30に位置するので、接続部30における気相の作動流体の圧力損失が低減されて、気相の作動流体の流通特性に優れている。また、接続部30における管体31の径方向の形状が円形状であることにより、ヒートシンク1の冷却特性を向上させるために管体31の設置数を増加させても、接続部30に位置する管体31の基部32において管体31間の間隔を十分に確保することができるので、優れた冷却性能を得つつ、管体31と熱輸送部材10の接触等、例えば、管体31を熱輸送部材10に取り付ける作業時における管体31と熱輸送部材10の接触等によって管体31と管体31の間の部位における熱輸送部材10に亀裂(クラック)が発生することを防止できる。熱輸送部材10に亀裂(クラック)が発生することを防止できることで、管体31を熱輸送部材10に固定するろう等の接合材料が、亀裂(クラック)から管体31と熱輸送部材10の内部空間へ侵入することを防止できる。その結果、管体31と熱輸送部材10の内部空間に設けられた、接続部材35等の毛細管力を有する部材に、ろう等の接合材料が吸収されることで毛細管力が低減することを防止できる。また、熱輸送部材10に亀裂(クラック)が発生することを防止できることで、気相の作動流体の漏れ(リーク)を防止できる。また、ヒートシンク1では、管体31の扁平部37が、放熱フィン群20が熱的に接続された部位に位置することにより、ヒートシンク1を省スペース化することができる。
また、ヒートシンク1では、内部空間が一体である熱輸送部材10が発熱体100の熱を蒸発部41から放熱フィン群20と熱的に接続された管体31との接続部30まで輸送するので、作動流体の流通特性に優れ、また、発熱体100からの発熱量が増大しても、蒸発部41における入熱を均一化でき、蒸発部41における熱抵抗を低減できる。また、ヒートシンク1では、熱輸送部材10の内部空間は全体が連通して一体となっているので、発熱体100に発熱ムラが生じていても、発熱体100全体を均一に冷却できる。
また、ヒートシンク1では、管体31が、円形部36と扁平部37との間に、扁平部37から円形部36へ向かって傾斜した傾斜部39を有するので、管体31から熱輸送部材10への液相の作動流体の還流がさらに円滑化され、管体31から熱輸送部材10への液相の作動流体の還流特性がさらに向上する。
また、ヒートシンク1では、熱輸送部材10が同一平面上に延在する平面型であることにより、熱輸送部材10が省スペース化、特に、熱輸送部材10の厚さ方向において省スペース化され、狭小空間であってもヒートシンク1を設置することができる。
次に、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第2実施形態例に係るヒートシンクは、第1実施形態例に係るヒートシンクと主要部は共通しているので、同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図6は、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する斜視図である。図7は、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの概要を説明する側面図である。図8は、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンク内部の概要を説明する斜視図である。図9は、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの熱輸送部材と管体の接続部の概要を示す説明図である。図10は、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンク内部の概要を説明する側面図である。
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、熱輸送部材10が同一平面上に延在する平面型であったが、これに代えて、図6~8に示すように、第2実施形態例に係るヒートシンク2では、熱輸送部材10が、蒸発部41と凝縮部42の間に位置する断熱部43と凝縮部42との間に、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して平行方向ではない方向に段差が設けられた放熱側段差部50を有している。
ヒートシンク2では、放熱側段差部50は、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差となっている。また、放熱側段差部50は、ヒートシンク2の設置面に対して略鉛直方向の段差となっている。放熱側段差部50を有することにより、ヒートシンク2の設置スペースが制限される環境下、凝縮部42近傍の設置スペースに禁止領域101が存在していてもヒートシンク2を設置することができる。
放熱側段差部50は、一方の板状体11に設けられた熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差である段差部51と、他方の板状体12に設けられた熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差である段差部52とから形成されている。従って、一方の板状体11においては、断熱部43と凝縮部42は同一平面上に位置していない。また、他方の板状体12においても、断熱部43と凝縮部42は同一平面上に位置していない。
また、図6~8に示すように、ヒートシンク2では、熱輸送部材10が、蒸発部41と断熱部43との間に、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して平行方向ではない方向に段差が設けられた受熱側段差部60を有している。
ヒートシンク2では、受熱側段差部60は、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差となっている。また、受熱側段差部60は、ヒートシンク2の設置面に対して略鉛直方向の段差となっている。受熱側段差部60を有することにより、ヒートシンク2の設置スペースが制限される環境下、蒸発部41近傍の設置スペースに禁止領域101が存在していてもヒートシンク2を設置することができる。
受熱側段差部60は、一方の板状体11に設けられた熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差である段差部61から形成されている。他方の板状体12には、受熱側段差部60を形成する段差は設けられていない。従って、一方の板状体11においては、断熱部43と蒸発部部41は同一平面上に位置していない。一方で、他方の板状体12においては、断熱部43と蒸発部41は同一平面上に位置している。
図6、8に示すように、ヒートシンク2では、第1のウィック構造体14は、放熱側段差部50の段差に追従した第1の段差部70を有する。すなわち、第1のウィック構造体14のうち、熱輸送部材10の断熱部43と凝縮部42との間の部位に、第1の段差部70が設けられている。第1の段差部70の段差は、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して平行方向ではない方向に設けられている。ヒートシンク2では、放熱側段差部50が熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差となっていることに対応して、第1の段差部70は熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差となっている。また、放熱側段差部50がヒートシンク2の設置面に対して略鉛直方向の段差となっていることに対応して、第1の段差部70はヒートシンク2の設置面に対して略鉛直方向の段差となっている。さらに、放熱側段差部50は、断熱部43から凝縮部42へ向かってヒートシンク2の設置面方向への段差となっていることに対応して、第1の段差部70は断熱部43から凝縮部42へ向かってヒートシンク2の設置面方向への段差となっている。
第1の段差部70は、断熱部43側に設けられた、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差である段差部71と、凝縮部42側に設けられた、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差である段差部72とから形成されている。従って、第1のウィック構造体14は、一方の板状体11側においては、断熱部43に位置する部位と凝縮部42に位置する部位は同一平面上に位置していない。また、第1のウィック構造体14は、他方の板状体12側においても、断熱部43に位置する部位と凝縮部42に位置する部位は同一平面上に位置していない。上記から、第1のウィック構造体14は、凝縮部42に位置する部位が断熱部43に位置する部位よりもヒートシンク1の設置面側に位置している。
また、図6、8に示すように、第1のウィック構造体14は、受熱側段差部60の段差に追従した第2の段差部80を有する。すなわち、熱輸送部材10の断熱部43と蒸発部41との間の部位に、第2の段差部80が設けられている。第2の段差部80の段差は、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して平行方向ではない方向に設けられている。ヒートシンク2では、受熱側段差部60が熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差となっていることに対応して、第2の段差部80は熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差となっている。また、受熱側段差部60がヒートシンク2の設置面に対して略鉛直方向の段差となっていることに対応して、第2の段差部80はヒートシンク2の設置面に対して略鉛直方向の段差となっている。さらに、受熱側段差部60が断熱部43から蒸発部41へ向かってヒートシンク2の設置面方向への段差となっていることに対応して、第2の段差部80は断熱部43から蒸発部41へ向かってヒートシンク2の設置面方向への段差となっている。
第2の段差部80は、断熱部43側に設けられた、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差である段差部81と、蒸発部41側に設けられた、熱輸送部材10の熱輸送方向に対して略直交方向の段差である段差部82とから形成されている。従って、第1のウィック構造体14は、一方の板状体11側においては、断熱部43に位置する部位と蒸発部41に位置する部位は同一平面上に位置していない。また、第1のウィック構造体14は、他方の板状体12側においても、断熱部43に位置する部位と蒸発部41に位置する部位は同一平面上に位置していない。上記から、第1のウィック構造体14は、蒸発部41に位置する部位が断熱部43に位置する部位よりもヒートシンク2の設置面側に位置している。
図6~8に示すように、ヒートシンク2でも、管体31は、長手方向に対して直交方向(径方向)の形状が円形状である円形部36と、長手方向に対して直交方向(径方向)の形状が扁平形状である扁平部37と、を有している。管体31の円形部36は熱輸送部材10との接続部30に位置し、管体31の扁平部37は複数の放熱フィン21、21、21・・・が熱的に接続された部位に位置する。
図9に示すように、ヒートシンク2でも、管体31では、円形部36と扁平部37との間の境界部38が、扁平部37から円形部36へ向かってスロープ状に傾斜した傾斜部39となっている。
また、図9に示すように、ヒートシンク2でも、熱輸送部材10に設けられた第1のウィック構造体14は、接続部30に位置する接続部材35を介して、管体31に設けられた第2のウィック構造体34と接続されていてもよい。
図10に示すように、ヒートシンク2では、禁止領域101を回避するために、熱輸送部材10が放熱側段差部50と受熱側段差部60を有していても、第1のウィック構造体14は、放熱側段差部50の段差に追従した第1の段差部70と受熱側段差部60の段差に追従した第2の段差部80を有するので、コンテナ19の他方端にて液相に相変化した作動流体Lは、第1のウィック構造体14の毛細管力により、コンテナ19の他方端から放熱側段差部50と受熱側段差部60を流通してコンテナ19の一方端へ還流することができる。
ヒートシンク2でも、管体31が、径方向の形状が円形状である円形部36と径方向の形状が扁平形状である扁平部37とを有し、円形部36が熱輸送部材10との接続部30に位置するので、接続部30における気相の作動流体の圧力損失が低減されて、気相の作動流体の流通特性に優れている。また、接続部30における管体31の径方向の形状が円形状であることにより、ヒートシンク1の冷却特性を向上させるために管体31の設置数を増加させても、接続部30に位置する管体31の基部32において管体31間の間隔を十分に確保することができるので、優れた冷却性能を得つつ、管体31と熱輸送部材10の接触等によって管体31と管体31の間の部位における熱輸送部材10に亀裂(クラック)が発生することを防止できる。
次に、本発明のヒートシンクの他の実施形態例について、以下に説明する。上記各実施形態例のヒートシンクでは、第1のウィック構造体14は、接続部30に位置する接続部材35を介して第2のウィック構造体34と接続されていたが、接続部材35を設けなくてもよく、第1のウィック構造体14は、接続部材35を介さずに第2のウィック構造体34と接続されていてもよい。