本明細書に定義されるように、化合物X、もしくはその塩、または水和物を含むその溶媒和物、および/または中間体を作製するための本発明に基づく方法を、スキーム1に要約する。
本発明者らは、化合物Xは、該方法の最終ステップにおいて、反応性窒素官能基を保護するための窒素保護基を必要とせず、式22の化合物と式2Aの化合物とを反応させることにより組み立てられて化合物Xを得ることができることを驚いたことに見出した。したがって、本発明は、保護基を必要としない簡潔な最終段階を提供し、かつ中間体の精製のためにクロマトグラフィーを使用する必要性もまた低減する。
したがって、別の態様では、本発明は、化合物Xを合成する、この新規の本発明の方法において非常に有用な中間体である化合物22、同様に化合物22を化合物Xに変換する方法を提供する。
中間体22および2Aからの化合物Xの調製
本節は、化合物Xの製造のための方法に関し、式(22)の化合物を、式(2A)の化合物と反応させる。
したがって、本発明の第1の態様は、化合物X
の調製のための方法に関し、方法は、式22の化合物、またはその塩と、式(2A)の化合物とを反応させるステップを含み、スキーム2に明示される。
式22の化合物および式(2A)の化合物を、好適な溶媒中で共に反応させる。該反応は、好ましくは周囲温度で実施される。該反応に好適な溶媒は、任意の極性溶媒であり得る。例えば、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、芳香族炭化水素、水、アセトニトリル、アルコール溶媒、N-ホルミルモルホリン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルフラン、またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の溶媒である。溶媒はジメチルアセトアミド(DMAc)であることが好ましい。
スキーム2の反応は、好ましくは、ジメチルアセトアミド中で、式22の化合物と式2Aの化合物とを周囲温度で反応させ、周囲温度で3日間撹拌することにより実施される。
したがって、化合物Xは、反応性窒素官能基を保護するための窒素保護基を必要とせず組み立てることができる。
式(I)の化合物からの化合物Xの調製
式22の化合物は、式(IB)の化合物および式21の化合物から、スキーム3に基づいて調製され得る。
さらなる態様では、本発明は、化合物22、またはその塩の調製のための方法に関し、方法は、式(IB)の化合物と式21の化合物とを、溶媒の存在下で塩基およびカップリング剤と共に反応させるステップを含み、式中、M+は水素または薬学的に許容される塩形成カチオンである。
さらなる態様では、本発明は、化合物Xの製造のための方法に関し、方法は、式22の化合物、またはその塩を、式(IB)の化合物および式21の化合物から調製し、式22の化合物、またはその塩と、式(2A)の化合物とを反応させるステップを含む。
またさらなる態様では、本発明は、化合物Xの製造のための方法に関し、方法は、式22の化合物、またはその塩を、式(IB)の化合物および式21の化合物から調製し、式22の化合物、またはその塩と、式(2A)の化合物とを反応させるステップを含み、式(IB)の化合物は、式(I)、詳細には式(IA)の化合物から調製される。
したがって、本発明のさらなる態様は、式(IB)の化合物からの化合物Xの調製のための方法を提供し、式(IB)の化合物は式(I)の化合物から調製され、方法は、式(I)の化合物の脱保護のステップを含み、式中、PGは窒素保護基であり、M+は薬学的に許容される塩形成カチオンである。
式21の化合物は、公知の文献の手順に基づいて調製され得る。式(I)の化合物中の保護基(PG)は、脱保護条件下で除去される。利用される保護基に応じて、当業者は、公知の手順を参照することにより、保護基をいかに除去して遊離アミンNH2基を得るかが分かるであろう。これらには、有機化学教科書および文献の手順の参照が含まれる。保護基PG(例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ホルミル、アセチル、またはベンジル)は、酸加水分解、塩基加水分解、触媒および水素の存在下での還元から選択される条件下で除去され得る。酸もしくは塩基または触媒還元により、保護基の除去が起きるが、同時に化合物および中間体の化学分解が起こらないことが好ましい。窒素保護基の除去に一般に利用される酸には、HF.ピリジン、HF.トリエチルアミンアンモニウムフルオリド、ヘキサフルオロイソプロパノール、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
式(I)の化合物中の保護基は、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)であることが好ましい。
保護基は、触媒および水素の存在下で還元により除去されることが好ましい。
式(I)の化合物の還元を実施するために使用される触媒は、当業者が一般の教科書から選択する任意の触媒である。触媒は、ラネーニッケル、Pt/C、Rh/C、Pd/Al2O3、Pd/CaCO3、RhCl(PPh3)3、リンドラー(Lindlar)触媒、PtO2、Pd/C、[Rh(cod)(PPh3)2]+、[Ir(cod)(PCy3)(Py)]+、Pd(OH)2、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、Zn、Fe、Sm、NiCl2、Ni(OAc)2、CoCl2、ZrCl4、TiCl3からなる群から選択され得る。触媒は、約0.005mol%~約20.0mol%の範囲で存在し得る。典型的には、触媒は、10.0mol%未満(約0.005mol%まで)の量で存在し得る。
還元は、アルコールをベースとする溶液などの溶媒中で実施されてもよい。アルコールをベースとする溶液は、C1~C10アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノールおよびブタノール)またはこれらの混合物を含むかまたはこれらからなることができる。
スキーム3に明示されるような、式(I)の化合物の脱保護は、好ましくは昇圧下で、好ましくは1バールと10バールの間、特に1バールと2バールの間で実行される。式(I)の化合物の還元は、好ましくは、反応混合物を24時間、周囲温度でまたは周囲温度近くで、10mol%のPd/Cと共に、水素雰囲気(1~2バール)下でメタノールの存在下で撹拌することにより実施され、式(IB)の化合物を作製する。還元は、好ましくは、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、アリルオキシカルボニル、およびベンジルから選択される保護基PGを用いて実行される。
式21の化合物の塩を形成するための、M+により表される基の例には、無機塩基塩、アンモニウム塩、有機塩基塩、塩基性アミノ酸塩が含まれる。無機塩基塩を形成し得る無機塩基には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)およびアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム)が含まれ;有機塩基塩を形成し得る有機塩基には、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、N-メチルモルホリンなどのアミンが含まれ;塩基性アミノ酸塩を形成し得る塩基性アミノ酸には、リジン、アルギニン、オミチンおよびヒスチジンが含まれる。式21の化合物の好適な塩を形成するための、M+により表される基は、例えばトリ-N-(C1~4)アルキルアンモニウムカチオンのようなアミニウムイオンであることが好ましい。該基は、トリエチルアンモニウムカチオン(Et3NH+)であることが好ましい。
式(IB)の化合物および式21の化合物を、好適な溶媒中で、カップリング剤および任意選択で塩基も存在する下で反応させる。該反応は、好ましくは周囲温度で実施される。該反応に好適な溶媒は、任意の極性溶媒であり得る。例えば、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、芳香族炭化水素、アセトニトリル、2-メチルテトラヒドロフラン(Me-THF)、水、またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の溶媒である。溶媒はジメチルホルムアミド(DMF)であることが好ましい。
カップリング剤は、当業者に公知であろうし、または決定されてもよい。例えば、カップリング剤は、N,N’-カルボニルジイミダゾール、エチルクロロホルメート、2-エトキシル-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、イソブチルクロロホルメート、イソプロペニルクロロホルメート、トリメチルアセチルクロリド、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド、イソブチルクロロホルメート、4-ニトロフェニルクロロホルメート、シアヌル酸クロリド、オキサリルクロリド、ジメチルホルムアミド/POCI3、(ビルスマイヤー試薬)、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、有機リン試薬、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(CDMT)、2-ブロモ-1-エチル-ピリジニウムテトラフルオロボレート(BEP)、トリ(ジメチルアミノ)ベンゾトリアゾール-1-イルオキシホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(AOP)から選択される1つまたは複数のカップリング剤であってもよい。カップリング剤は、有機リン試薬、ビルスマイヤー試薬、CDMTであることが好ましい。好ましくは、カップリング剤は、有機リン試薬であり、最も好ましくはジフェニルホスフィン酸クロリドである。
塩基は、スキーム3の反応を実施するために使用される場合、当業者に公知であろうし、または決定されてもよい。塩基は、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸セシウム(Cs2CO3)、三塩基性リン酸カリウム(K3PO4)、三塩基性リン酸ナトリウム(Na3PO4)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエチルアミン(Et3N)、酢酸ナトリウム(NaOAc)、酢酸カリウム(KOAc)、N-メチルモルホリン(NMM)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、またはこれらの混合物であり得る。本方法における好ましい塩基は、K2CO3、Cs2CO3、K3PO4、DIPEA、NMM、DMAP、およびEt3Nから選択される1つまたは複数の塩基である。反応は、トリエチルアミンの存在下で実施されることが最も好ましい。
スキーム3の化合物22の合成は、好ましくは、式21の化合物およびジフェニルホスフィン酸クロリドを、DMFなどの好適な溶媒中で合わせ、例えば約-20℃のような好適な温度で少なくとも約30分間撹拌しながら反応させることにより実施される。この混合物を、式(IB)の化合物およびトリエチルアミンなどの好適な塩基と合わせる。反応混合物を、例えば周囲温度のような好適な温度で、約20時間または完了したと考えられるまで撹拌する。
式IVの化合物の調製
本節は、式(IV)の化合物の製造のための方法に関し、本明細書に定義されるように、式(VII)の化合物を、動的速度論的分割(DKR)により不斉還元条件下で反応させて、式(VIIc)の化合物、またはその塩を得る。したがって、本発明の一態様は、式(IV)の化合物
[式中、PGは窒素保護基である]の調製のための方法に関し、方法は、式(VII)の化合物を不斉還元条件下で還元し、1つのエナンチオマーおよびジアステレオマーが富化された、式(VIIc)の化合物、またはその塩を作製するステップを含み、PGは窒素保護基であり、Rは分岐または直鎖のC
1~C
7アルキル、ベンジル、C
1~C
4-アルコキシ置換ベンジルであり、Xはハライド、カルボキシレート、およびスルホネートからなる群から選択され、スキーム4に明示されている。
動的速度論的分割(DKR)は、"Enantioselective Synthesis:The Optimum Solution",Partridge,J.J.and Bray,B.L.in Process Chemistry in the Pharmaceutical Industry,(Gadamasetti,K.G.,Ed.)Marcel Dekker,New York,NY,1999,pp.314-315に記載されている。
スキーム4の不斉還元条件は、水素の存在下でキラル遷移金属触媒を利用してもよい。
式(VIIc)の化合物のエナンチオ-およびジアステレオ選択的合成の効率は、基質構造および反応条件により大きく影響される。これには、溶媒、温度および水素圧の選択が含まれる。したがって、スキーム4に概説されるような、式(VII)の化合物の式(VIIc)の化合物への転換のために、反応条件は、非常に慎重に選択しなければならない。
BINAP-ルテニウム(II)錯体および動的速度論的分割による官能化ケトンの立体選択的水素化は、Noyori,et al.,J.Am.Chem.Soc.1993,115,144-152に記載されている。キラル遷移金属触媒は、例えば、式L*RuX2のRu(II)配位錯体であり得て、式中、X2はハライド、好ましくはクロリドまたはブロミドであり、L*はキラル配位子でありかつ得られる生成物の所望の立体化学的配置に応じて、(R)または(S)の立体化学的配置を有し得る。式L*RuX2のRu(II)錯体はまた、例えば、式RuX2[溶媒]または[RuX2(溶媒)]2のルテニウム錯体の配位子交換により、in situで合成することもでき、溶媒は、例えばベンゼン、p-シメンのような、例えば交換可能な配位子溶媒である。配位子は、例えば、BINAP、CHIRAPHOS、SYNPHOS、BnDPAE、TsDPEN、C6F5SO2DPEN、CF3SO2DPEN、N-トリフルオロメタンスルホニル-1,2-シクロヘキサンジアミンであり得るが、これらに限定されない。当業者は、得られる生成物の所望の立体化学的配置に応じて、キラル配位子のどの立体化学的配置が必要とされるかを容易に理解するであろう。化合物(VIIc)を作製する反応には、配位子は(S)-BINAPであることが好ましい。キラル遷移金属触媒は(S)-BINAPRuCl2であることが好ましい。
(S)-BINAPRuCl2の存在下における動的速度論的分割および不斉水素化により、高いエナンチオ選択性およびジアステレオ選択性の、式(VIIc)のアミノアルコール化合物の作製がもたらされ、したがって、本発明の方法の全般的効率および式(VIIc)の中間体化合物の高光学純度に寄与していることを、本反応の発明者らは見出した。
(S)-BINAPRuCl2の存在下における式(VII)の化合物の不斉水素化により、高い化学的変換率で進行し、97.6%の、所望のジアステレオマーVIIIc:VIIdのde、および99.5%を超えるeeを伴う。
したがって、高いエナンチオ選択性およびジアステレオ選択性における、式(VIIc)のアミノアルコール化合物の作製は該方法の全般的効率に寄与し、かつ式(VIIc)の中間体化合物の高光学純度をもたらし、一方、エナンチオ-純粋な出発物質の使用を必要としないで、再使用可能なキラル触媒配位子から所望の絶対立体化学を引き出す。
したがって、別の態様では、本発明は、化合物Xの製造において非常に有用な中間体である式(VIIc)の化合物を提供する。
好ましい態様では、スキーム4に明示されるような不斉還元は、(S)-BINAPRuCl2および水素を利用して、式(VIIc)の化合物を得る。
通常は反応混合物を加熱する。反応で利用され得る好適な溶媒は、例えば、ジクロロメタン、アルコール溶媒、またはこれらの混合物である。
スキーム4の反応は、好ましくは、オートクレーブ中で、式(VII)のラセミ化合物と(S)-BINAPRuCl2とを、ジクロロメタン中で、水素(2.1±0.1MPa)の存在下で40±5℃において24時間反応させることにより実施される。
一実施形態では、本発明は、式(IV)の化合物の調製のための方法を提供し、方法は、式(VII)の化合物を不斉還元条件下で還元し、式(VIIc)の化合物、またはその塩を作製するステップを含む。
本発明のさらなる態様は、スキーム5に要約される、式(IV)の化合物の調製のための方法を提供し、方法は、式(VII)の化合物を不斉還元条件下で還元し、式(VIIc)の化合物、またはその塩を作製するステップを含み、式(VIIc)の化合物中のNH2基を保護し、式(VIIe)の化合物を作製して、続いて式(VIIe)の化合物とアンモニア源とを反応させ、式(IV)の化合物を得るステップをさらに含む。
さらなるステップでは、式(VIIc)の化合物を、本明細書に定義されるように、溶媒中で塩基の存在下で、窒素保護基を導入するのに好適な試薬と反応させる。本保護ステップに好適な試薬および条件は、当技術分野で周知である。反応は、好ましくは周囲温度で実施される。反応で利用され得る好適な溶媒は、例えば、水、トルエン、アルコール溶媒、またはこれらの混合物である。反応で利用され得る好適な塩基は、例えば、金属炭酸水素塩、金属炭酸塩、および金属水酸化物である。
スキーム5に明示されるようなステップ(ii)の反応は、好ましくは、式(VIIc)の化合物を、トルエンおよび水の混合物中で、0~5℃の温度で、ベンジルクロロホルメート(CbzCl)と、NaHCO3などの塩基の存在下で反応させることにより実施される。得られた反応混合物を、好ましくは、25~35℃で18~25時間または反応が実質的に完了するまで撹拌する。
さらなるステップでは、式(VIIe)の化合物をアンモニア源と反応させて、式(IV)の化合物を作製する。該反応は、好ましくは溶媒中で実行される。該反応は、好ましくは加熱される。該反応に好適な溶媒は、任意の極性溶媒であり得る。例えば、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、アルコール溶媒、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、芳香族炭化水素またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の溶媒である。スキーム5に明示されるような反応を実施するために使用されるアンモニア源は、当業者に公知の任意のアンモニア源であってもよい。該反応に好適なアンモニア源には、アンモニア(NH3)、重炭酸アンモニウム(NH4HCO3)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、窒化マグネシウム(Mg3N2)が含まれるが、これらに限定されない。アンモニアは、任意選択で、ガス状、濃縮液体アンモニア、ステップ(iii)の1つまたは複数の溶媒と混合されたガス状アンモニア、例えば、テトラヒドロフランと混合されたアンモニアである。
スキーム5に明示されるようなステップ(iii)の反応は、好ましくは、オートクレーブなどの加圧可能な容器中で、式(VIIe)の化合物を、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で、好ましくは-75と-65℃の間の温度で、例えばガス状アンモニアを反応混合物中で約4時間または十分なアンモニアが添加されるまで通気することにより、アンモニアと合わせることにより実施される。得られた反応混合物を、好ましくは周囲温度で、16~20時間または反応が実質的に完了するまで撹拌する。
式(I)の化合物の調製
さらなる態様では、本発明は、スキーム6に明示されるような式(I)、好ましくは式(IA)の化合物の製造のための方法に関し、式(IV)の化合物のヒドロキシル基を脱離基(OLG)に転換し、式(III)の化合物を作製して、続いてハロスルホン酸を用いて式(III)の化合物をスルホン化して、続いて薬学的に許容される塩形成カチオン試薬と反応させて、式(II)の化合物を作製する。スキーム6に概説されるように、式(II)の化合物と塩基とを反応させることにより、式(II)の化合物の立体特異的環化を実行して、式(I)の化合物を得る。
したがって、一態様では、本発明は式(I)の化合物を調製する方法を提供し、好ましくは式(I)の化合物は式(IA)の化合物であり、方法は、
(iv)式(IV)の化合物を式(III)の化合物に変換するステップであって、LGはSO2Tであり、TはC4F9、CF3、F、C6H4CH3、CH3、C6H6から選択され、PGは本明細書に定義される通りである、ステップと、続く、
(v)式(III)の化合物を、溶媒中で、塩基、およびハロスルホン酸、好ましくはクロロスルホン酸などのスルホニル化剤、および塩形成試薬と接触させて、式(II)の化合物を作製するステップであって、M+は水素または塩形成カチオンであり、LGおよびPGは本明細書に定義される通りである、ステップと、続く、
(vi)式(II)の化合物を溶媒中で塩基と、好ましくは流動調製条件下で反応させ、式(I)の化合物を作製するステップと
を含む。
式(IV)の化合物中のOHを、当技術分野で公知の方法により好適な脱離基(OLG)に変換し、式中、LGは-SO2Tから選択され、TはC4F9、CF3、F、C6H4CH3、CH3、C6H6から選択される。本明細書に開示されるように、脱離基は、結合破壊ステップにおいて分子から切り離され得る分子断片または安定な種である。本発明に基づいて、脱離基は特に限定されず、当業者に公知であろうし、または決定されてもよい。脱離基の離脱能力は、共役酸のpKaと関連し、pKaが低くなるほど、より良好な脱離基の能力と関連する。脱離基の例には、スルホネート、水、アルコール、ニトレートまたはホスフェートなどの無機エステル、カルボキシレート、フェノキシド、アルコキシドが含まれるが、これらに限定されない。スルホネートの例には、限定されることなく、ノナフレート(OLG=-OSO2C4F9)、トリフレート(OLG=-OSO2CF3)、フルオロスルホネート(OLG=-OSO2F)、トシレート(OLG=-OSO2C6H4CH3)、メシレート(OLG=-OSO2CH3)またはベシレート(OLG=OSO2C6H6)が含まれる。ヒドロキシル基の脱離基(OLG)への変換方法は、当業者に公知である。
本発明の一態様では、式(IV)の化合物を、溶媒中で、塩基およびスルホニルハライド、好ましくは式(A)
のスルホニルクロリドと反応させることにより、式(IV)の化合物のヒドロキシル基を脱離基に変換し、式中、Tは
4F
9、CF
3、F、C
6H
4CH
3、CH
3、C
6H
6から選択される。
好ましい態様では、式(IV)の化合物のヒドロキシル基をメシレート基に変換する。
スキーム4のステップ(iv)に概説されるように、式(IV)の化合物を、溶媒中で塩基の存在下で、式(A)の試薬と反応させる。該反応は、好ましくは-5~0℃で実施される。該反応に好適な溶媒は、任意の極性非プロトン溶媒であり得る。例えば、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、芳香族炭化水素、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン(DCE)、またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の溶媒である。スキーム4のステップ(iv)の反応を実施するために好適な塩基は、当業者に公知であろうし、または決定されてもよい。該反応に利用され得る好適な塩基は、アミン塩基である。例えば、アミン塩基は、任意選択で置換されたトリアルキルアミンもしくは任意選択で置換された芳香族アミン、またはこれらの混合物から選択されるが、これらに限定されない。好適なアミンには、例えば、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン(メチル置換ピリジン(2-、3-、または4-ピコリン、2,6-ルチジン)を含む)、ピラジン、DMAP、ピロール、プリン、およびピリミジンが含まれる。塩基はトリエチルアミンであることが好ましい。
スキーム4に明示されるようなステップ(iv)の反応は、好ましくは、式(IV)の化合物を、1,2-ジメトキシエタン中で、スルホニルハライド、好ましくはクロリド、好ましくはメタンスルホニルクロリドと、-5~0℃の間の温度で反応させ、続いてトリエチルアミンを添加することにより実施される。得られた反応混合物を、任意選択で、約-5~0℃で、反応が実質的に完了するまで撹拌する。
さらなるステップでは、式(III)の化合物のアミド基を、スルファメート基に変換して、式(II)の化合物を作製することにより活性化し、これは塩基の存在下で続いて環化を受けて、式(I)のベータ-ラクタム化合物を作製する。脱離基を伴う活性化アミドのこの立体特異的環化は、Epstein,et al.,J.Org.Chem.1982,47,176-178に記載されている。
スキーム6のステップ(v)に概説されるように、式(III)の化合物を、スルホン化剤、および塩形成カチオン、すなわちM+源として作用する好適な試薬と反応させる。スキーム4のステップ(v)用のスルホン化剤は、当業者に公知のまたは決定され得る任意のスルホン化剤である。好適な試薬には、三酸化硫黄、油剤、ハロスルホン酸および三酸化硫黄付加化合物が含まれるが、これらに限定されない。適用可能な三酸化硫黄の付加化合物の中には、三酸化硫黄と、ピリジン、メチル置換ピリジン(2-、3-、または4-ピコリン、2,6-ルチジン)、トリアルキルアミン、ジメチルホルムアミド、およびエーテルなどの錯化剤との錯体が含まれる。スルホン化剤は、本明細書に定義されるように、ハロスルホン酸、および三酸化硫黄の付加化合物から選択されることが好ましい。三酸化硫黄の付加化合物は、in situで合成されることが好ましい。ステップ(v)のスルホン化剤は、三酸化硫黄の付加化合物であることがより好ましい。スルホン化剤は、SO3またはクロロスルホン酸と2-ピコリンとを合わせることにより形成され得る三酸化硫黄と2-ピコリンとの錯体であることが最も好ましい。
式(II)、(I)または(IB)の化合物中のM+により表される、好適な塩を形成するための基の例には、無機塩基塩、四置換アンモニウム塩、有機塩基塩、塩基性アミノ酸塩が含まれる。無機塩基塩を形成し得る無機塩基には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)およびアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム)が含まれ;有機塩基塩を形成し得る有機塩基には、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、およびN-エチルピペリジン、N-メチルモルホリンが含まれ;塩基性アミノ酸塩を形成し得る塩基性アミノ酸には、リジン、アルギニン、オミチンおよびヒスチジンが含まれる。M+により表される、塩を形成するための基は、テトラアルキルアンモニウム塩であることが好ましい。該基は、テトラブチルアンモニウムカチオン(NBu4
+)であることが好ましい。
スキーム6のステップ(v)で概説される反応では、本明細書に定義されるように、式(III)の化合物を、溶媒中で、0~5℃の温度で、スルホン化剤と反応させる。該反応は、好ましくは加熱される。M+源としての好適な塩形成試薬の添加は、本明細書に定義されるように、好ましくは、溶媒中で、10~20℃で行われる。該反応に好適な溶媒は、任意の極性溶媒であり得る。例えば、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、4-ホルミルモルホリン、水またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の溶媒である。スルホン化剤は、好ましくは、ハロスルホン酸、好ましくはクロロスルホン酸と、アミン塩基、好ましくは2-ピコリンとを、溶媒、好ましくはジメチルホルムアミド中で、0~5℃の温度で反応させることにより、in situで調製される。スルホン化剤のin situ形成用の溶媒は、DMFであることが好ましい。薬学的に許容される塩形成カチオン、すなわちM+源として作用する試薬の添加用の溶媒は、好ましくは1:1(v/v)比におけるジクロロメタンおよび水の混合物であることが好ましい。
スキーム6に明示されるようなステップ(v)の反応は、好ましくは、DMF中で、2-ピコリンおよびクロロスルホン酸を、約5℃の温度で反応させることにより実施される。反応混合物を20℃で撹拌し、続いて式(III)の化合物を添加する。反応混合物を、例えば30~45℃のような好適な温度まで加熱して反応を促進し、好ましくは反応混合物を、30~45℃で15~20時間、または出発物質の変換が実質的に完了するまで加熱する。ジクロロメタンおよび水(1:1)(v/v)の混合物中の硫酸水素テトラブチルアンモニウムの溶液を、5℃で添加して、式(II)の化合物を作製する。
スキーム6に明示されるようなステップ(vi)に概説される反応は、塩基を用いて行われる。該反応に利用され得る好適な塩基は、例えば、アルカリ金属炭酸塩、重炭酸塩、または水酸化物、第4級炭酸アンモニウム、重炭酸塩、または水酸化物;および第3級アミンである。塩基は、アルカリ金属重炭酸塩であることが好ましい。塩基は、重炭酸カリウム(KHCO3)であることがより好ましい。
該反応に好適な溶媒は、任意の極性溶媒であり得る。例えば、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、水またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の溶媒である。
式(II)の化合物の構造上の複雑さのために、本発明の発明者らは、式(II)の化合物の式(I)の化合物への、そのような転換を高収率で可能にする新規な流動手順を開発した。流動調製条件には、例えば、ポンプ、2つの注入ループ(式(II)の化合物および塩基のそれぞれに1つ)、クロスミキサー、続いて、例えば油浴中に置かれることにより90~110℃で加熱されるリアクトルコイル(管コイル)、続いて6~20バールの圧力における背圧レギュレータを使用することが含まれる。
スキーム6に明示されるようなステップ(vi)に概説される反応は、好ましくは、流動調製条件下で実施される。スキーム6に明示されるようなステップ(vi)に概説される反応は、流動調製条件下でアルカリ金属重炭酸塩塩基を使用して実施されることがより好ましい。該反応は、流動調製条件下で重炭酸カリウムを使用して実施されることが最も好ましい。
スキーム6に明示されるようなステップ(vi)の反応は、好ましくは、ジクロロメタン中で、流動調製条件下で、式(II)の化合物と水中のKHCO3溶液とを反応させ、約100℃まで加熱することにより実施される。
式(I)の化合物の調製の完全シーケンス
さらなる態様では、式(I)、好ましくは式(IA)の化合物を、スキーム7
に概説される反応シーケンスにより得て、式中、本明細書に定義されるように、PGは窒素保護基であり、Rは分岐または直鎖のC
1~C
7アルキル、ベンジル、およびC
1~C
4-アルコキシ置換ベンジルから選択され、Xはハライド、カルボキシレート、およびスルホネートからなる群から選択され、LGはSO
2Tであり、TはC
4F
9、CF
3、F、C
6H
4CH
3、CH
3、およびC
6H
6から選択され、M
+は水素または好適な塩形成カチオンである。
スキーム7に概説されるように、最初の3-ステップ反応シーケンスでは、不斉還元条件下における式(VII)の化合物の動的速度論的分割により式(IV)の化合物を得て、式(VII)の化合物と触媒および水素とを反応させることを含み、触媒はRu(II)錯体、好ましくは(S)-BINAPRuCl2である。得られた式(VIIc)の化合物は、1つのエナンチオマーおよびジアステレオマーが富化され、次に、本明細書に定義されるように、窒素保護基で保護され、式(VIIe)の化合物を作製する。窒素保護基はベンジルオキシカルボニル(Cbz)であることが好ましい。次に、得られた式(VIIe)の化合物を、アンモニア源、好ましくはアンモニアと反応させ、式(IV)の化合物を作製する。式(IV)の化合物を、本明細書に定義されるように、溶媒中で塩基の存在下で、ヒドロキシルを脱離基に変換するのに好適な試薬とさらに反応させる。好ましくは、該試薬はスルホニルハライドであり、好ましくはクロリド、好ましくはメタンスルホニルクロリドである。溶媒は1つまたは複数の極性非プロトン溶媒であることが好ましい。例えば、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン(DCE)、またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の溶媒である。溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタンまたはこれらの混合物から選択されることがより好ましい。塩基はアミン塩基であることが好ましい。例えば、アミン塩基は、任意選択で置換されたトリアルキルアミンもしくは任意選択で置換されたピリジン、または任意選択で置換された芳香族アミン、またはこれらの混合物から選択されるが、これらに限定されない。好適なアミンには、例えば、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン(メチル置換ピリジン(2-、3-、または4-ピコリン、2,6-ルチジン)を含む)、ピラジン、ピロール、プリン、ピリミジンが含まれる。塩基はトリエチルアミンであることが好ましい。次に、得られた式(III)の化合物をスルホン化剤と反応させて、式(II)の化合物中のスルファメート基を作製し、続いて、好適な塩形成カチオンM+をもたらす好適な試薬を添加する。スルホン化試薬は、ハロスルホン酸、好ましくはクロロスルホン酸と、アミンまたはピリジン塩基、好ましくは2-ピコリンとを、溶媒中で反応させ、2-ピコリン・SO3錯体を作製することにより、in situで形成されることが好ましい。好適な塩形成カチオンM+として作用する好適な試薬の添加は、本明細書に定義されるように、好ましくは溶媒中で実施される。溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、1,2-ジメトキシエタン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-ホルミルモルホリン、水またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の極性溶媒である。スルホン化剤のin situ形成用の溶媒は、DMFであることが好ましい。塩形成カチオンM+として作用する試薬の添加用の溶媒は、好ましくは1:1(v/v)比におけるジクロロメタンおよび水の混合物であることが好ましい。最後に、式(II)の化合物を、塩基誘起される環化においてさらに反応させて、式(I)、好ましくは式(IA)の化合物を得る。
化合物Xを作製するための式(I)の化合物の反応に関する代替の追加
本発明の別の態様では、本発明の方法の生成物を、本明細書に記載されるように、化合物Xもしくはその塩、または水和物を含むその溶媒和物の合成に使用することができる。本発明の好ましい態様では、式(I)、好ましくは式(IA)の化合物をさらに反応させて、化合物Xを得る。
式(I)、好ましくは式(IA)の化合物は、脱保護反応を受けて、窒素保護基を除去することができる。同様の手順が、例えば、PCT/米国特許出願公開第2015/022011号明細書およびPCT/中国特許出願公開第2016/099482号明細書に記載されている。次に、得られた式(IB)の化合物を、スキーム8に概説されるように、式(3)の化合物とさらに反応させて、式(4)の化合物を作製し、続いてエステル基を脱保護して、化合物Xを得る。
したがって、さらなる態様では、本発明の主題は、本明細書に記載されるように、式(I)、好ましくは式(IA)の化合物から、化合物X、もしくはその塩、または水和物を含むその溶媒和物を調製する方法であり、
(vii)式(I)の化合物中のPG基を、
[式中、PG基は本明細書に定義される通りである]
酸加水分解、触媒および水素の存在下における還元から選択される条件下で除去して、式(IB)の化合物を得るステップであって、触媒はラネーニッケル、Pt/C、Rh/C、Pd/Al2O3、Pd/CaCO3、RhCl(PPh3)3、リンドラー触媒、PtO2、Pd/C、[Rh(cod)(PPh3)2]+、[Ir(cod)(PCy3)(Py)]+、Pd(OH)2、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、Zn、Fe、Sm、NiCl2、Ni(OAc)2、CoCl2、ZrCl4、TiCl3からなる群から選択され、M+は本明細書に定義される通りである、ステップと、続く、
(viii)式(IB)の化合物と式(3)の化合物とを、溶媒中で、塩基およびカップリング剤と共に反応させ、式(4)の化合物を作製するステップであって、R2は分岐または直鎖のC1~C7-アルキル、ベンジル、C1~C4-アルコキシ置換ベンジル、CH(アリール)2から選択される、ステップと、続く、
(ix)式(4)の化合物中のエステル基R2を脱保護し、該脱保護は酸、塩基、酸およびヒドロシランの添加、ならびに触媒および水素の存在下における還元から選択される条件下で実行されるステップと
を含む。
好ましくは、脱保護は、式(4)の化合物と好適な酸とを接触させることにより実行され、酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、ブロモ酢酸、クロロ酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、塩酸、硫酸から選択され、化合物Xを得る。酸はトリフルオロ酢酸であることが好ましい。
式(I)の化合物中の保護基(PG)は、脱保護条件下で除去される。利用される保護基に応じて、当業者は、公知の手順を参照することにより、保護基をいかに除去して遊離アミンNH2基を得るか分かるであろう。これらには、有機化学教科書および文献の手順の参照が含まれる。保護基PG(例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ホルミル、アセチル、またはベンジル)は、酸加水分解、塩基加水分解、触媒および水素の存在下での還元から選択される条件下で除去され得る。酸もしくは塩基または触媒還元により、保護基の除去が起きるが、同時に化合物および中間体の化学分解が起こらないことが好ましい。窒素保護基の除去に一般に利用される酸には、HF.ピリジン、HF.トリエチルアミンアンモニウムフルオリド、ヘキサフルオロイソプロパノール、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
式(I)の化合物中の保護基は、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)であることが好ましい。
保護基は、触媒および水素の存在下で還元により除去されることが好ましい。
式(I)の化合物の還元を実施するために使用される触媒は、当業者が一般の教科書から選択する任意の触媒である。触媒は、ラネーニッケル、Pt/C、Rh/C、Pd/Al2O3、Pd/CaCO3、RhCl(PPh3)3、リンドラー触媒、PtO2、Pd/C、[Rh(cod)(PPh3)2]+、[Ir(cod)(PCy3)(Py)]+、Pd(OH)2、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、Zn、Fe、Sm、NiCl2、Ni(OAc)2、CoCl2、ZrCl4、およびTiCl3からなる群から選択され得る。触媒は、約0.005mol%~約20.0mol%の範囲で存在し得る。典型的には、触媒は、10.0mol%未満(約0.005mol%まで)の量で存在し得る。
還元は、アルコールをベースとする溶液などの溶媒中で実施されてもよい。アルコールをベースとする溶液は、C1~C10アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノールおよびブタノール)またはこれらの混合物を含むかまたはこれらからなることができる。
スキーム8に明示されるようなステップ(vii)の反応は、好ましくは、触媒および水素の存在下で、昇圧下で、好ましくは1バールと10バールの間、特に1バールと2バールの間における還元の条件下で実行される。式(I)の化合物の還元性脱保護は、好ましくは、反応混合物を室温で24時間、10mol%のPd/Cと共に、水素雰囲気(1~2バール)下でメタノールの存在下で撹拌することにより実施され、式(IB)の化合物を作製する。還元は、好ましくは、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、アリルオキシカルボニル、またはベンジルから選択される保護基PGを用いて実行される。
したがって、さらなる態様では、本発明は、式(IB)の化合物、またはその塩を調製する方法に関する。
さらなるステップでは、式(IB)の化合物を、溶媒中で、かつ任意選択で塩基の存在下で、式(3)の化合物およびカップリング剤と反応させ、式(4)の化合物を作製し、式中、R2はC1~C7-アルキル、ベンジル、C1~C4-アルコキシ置換ベンジル、および例えば、-CH(フェニル)2のようなCH(アリール)2から選択される。
該反応は、周囲温度で実施され得る。該反応に使用する好適な溶媒は、任意の極性溶媒であり得る。例えば、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-ブチル-2-ピロリドン、ジクロロメタン(DCM)、アセトニトリル、エタノール、メタノール、酢酸エチル、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、および2-メチル-テトラヒドロフランから選択される1つまたは複数の溶媒である。本ステップで好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸エチル、およびこれらの混合物から選択される1つまたは複数の溶媒である。溶媒はテトラヒドロフランであることが最も好ましい。
塩基は、スキーム8に明示されるようなステップ(viii)の反応を実施するために使用される場合、この種の化学的転換用に当業者に公知であるかまたは決定され得る任意の好適な塩基であってもよい。塩基は、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸セシウム(Cs2CO3)、三塩基性リン酸カリウム(K3PO4)、三塩基性リン酸ナトリウム(Na3PO4)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリエチルアミン(Et3N)、酢酸ナトリウム(NaOAc)、酢酸カリウム(KOAc)、N-メチルモルホリン(NMM)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、またはこれらの混合物であり得る。本方法における好ましい塩基は、K2CO3、Cs2CO3、K3PO4、DIPEA、NMM、DMAP、およびEt3Nから選択される1つまたは複数の塩基である。該反応はN-メチルモルホリン(NMM)の存在下で実施されることが最も好ましい。
スキーム8に明示されるようなステップ(viii)の反応は、カップリング剤の存在下で実施される。カップリング剤は、当業者に公知であろうし、または決定されてもよい。例えば、カップリング剤は、N,N’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、イソブチルカルボノクロリデート(IBCF)、ホスホリルブロミド(POBr3)、ホスホリルクロリド(POCl3)、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスホリナン-2,4,6-トリオキシド(T3P)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(CDMT)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)およびN,N,N’-N’-テトラメチル-O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、フルオロ-N,N,N‘,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(TFFH)、ビス(テトラメチレン)フルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(BTFFH)、2-ブロモ-1-エチル-ピリジニウムテトラフルオロボレート(BEP)、トリ(ジメチルアミノ)ベンゾトリアゾール-1-イルオキシホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(AOP)、およびGhosez試薬(1-クロロ-N,N,2-トリメチル-1-プロペニルアミン)から選択される1つまたは複数のカップリング剤であってもよい。本反応における好ましいカップリング剤は、CDI、EDC、HBTU、HATU、HOBt、IBCF、POBr3、POCl3、T3P、CDMT、PyBOP、DCC、TFFH、BTFFH、BEP、BOP、AOP、Ghosez試薬およびDMTMMから選択される1つまたは複数のカップリング剤である。カップリング剤は、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(CDMT)であることが最も好ましい。
スキーム8に明示されるようなステップ(viii)の反応は、好ましくは、DMF中で、式(3)の化合物、N-メチルモルホリンおよび2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンを、約0℃の温度で反応させることにより実施される。反応混合物を、好ましくは1時間または反応が実質的に完了するまで撹拌し、続いて式(IB)の化合物を添加する。反応混合物を周囲温度まで加温し、好ましくは反応混合物を周囲温度で15~25時間、または完了したと考えられるまで撹拌する。
式(IB)の化合物と式(3)の化合物とのカップリングから生じる式(4)の化合物は、化合物Xに変換され得る。式(4)の化合物中のエステル基R2の、化合物X中のカルボン酸基への変換、すなわち脱保護は、酸、塩基の添加、触媒および水素の存在下における還元、または酸およびヒドロシランから選択される条件下で実施され得る。利用されるR2基に応じて、該エステル基の、化合物X中の遊離酸(COOH)基への変換は、当業者に公知であるかまたは決定され得る条件下で実施され得る。例えば、PCT/米国特許出願公開第2015/022011号明細書、実施例138に記載される、エステル基を脱保護してカルボン酸を形成するために使用されるような条件。R2基は、分岐または直鎖のC1~C7-アルキル、ベンジル、C1~C4-アルコキシ置換ベンジル、CH(アリール)2から選択される。R2は、分岐または直鎖のC1~C7-アルキル、CH(アリール)2であることが好ましい。好ましくは、R2はCH(アリール)2であり、最も好ましくはCH(C6H5)2である。
反応は酸の添加により実施されることが好ましく、酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、ブロモ酢酸、クロロ酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、塩酸、および硫酸から選択される。好ましくは、酸は、カルボン酸、より好ましくはトリフルオロ酢酸、および任意選択で、カチオン捕捉剤の存在下である。酸は、カルボン酸であることが好ましい。カチオン捕捉剤は、当業者に公知であろうし、または決定されてもよい。当業者により一般に利用される捕捉剤には、アニソール、クメン、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、レソルシノール、p-t-ブチルフェノール、4-(2-プロピル)-フェノール、フェノール、チオアニソール、m-クレゾール、p-クレゾール、ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオール、2-メルカプトエタノール、ビス(ヒドロキシメチル)ジスルフィド、D-ペニシラミン、システイン、トリエチルシラン、およびトリイソプロピルシランが含まれるが、これらに限定されない。カチオン捕捉剤はアニソールであることが好ましい。
カチオン捕捉剤は、本脱保護ステップにおいて形成される、得られたアルキルカルボカチオンに対する捕捉剤として作用する。アルキルカルボカチオンは、酸およびエステルの平衡を維持しながら、容易にカルボン酸と反応し得て、かつ他の求核試薬をアルキル化し、所望されない副生成物を作製し、化合物Xの全般的収率を低減する場合がある。酸捕捉剤の存在により、この影響を低減する。
反応に使用される好適な溶媒は、任意の極性非プロトン溶媒であり得る。例えば、溶媒は、2-メチルテトラヒドロフラン、テトルヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、クロロベンゼン、および1,2-ジクロロエタンから選択される1つまたは複数の溶媒である。溶媒はジクロロメタンであることが好ましい。
スキーム8に明示されるようなステップ(ix)に概説される反応は、好ましくは、ジクロロメタン中で、約0℃において、式(4)の化合物とトリフルオロ酢酸およびアニソールとを反応させることにより実施される。反応混合物を、好ましくは周囲温度まで加温し、15~20時間、または反応が完了したと考えられるまで撹拌する。
本発明のさらなる態様は、スキーム9に概説されるように、合成される式(3)の化合物を提供することである。
式(W)の化合物は、米国特許出願公開第2011/0190254号に記載されるものと類似の手順を使用して調製され得る。式(Y)の化合物は市販されている。好ましい態様では、化合物Yと式Wの化合物とを、溶媒中で、好適な塩基と共に反応させることにより、式(3)の化合物を得る。
PCT/米国特許出願公開第2015/022011号明細書は、例えば、提出された出願の45頁に、式(4)の化合物から化合物Xを調製するための類似の転換を記載している。驚いたことに、式(3)の化合物から化合物Xを合成するために開発された現時の反応条件は、スキーム8のステップ(viii)および(ix)における窒素保護基の使用を回避し、したがって、本発明の方法の全般に改善された効率に寄与している。
スキーム9の反応に使用される好適な溶媒は、任意の極性溶媒であり得る。例えば、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-ブチル-2-ピロリドン、ジクロロメタン(DCM)、アセトニトリル、エタノール、メタノール、酢酸エチル、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、および2-メチル-テトラヒドロフランから選択される1つまたは複数の溶媒である。本ステップで好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸エチルおよびエタノールから選択される1つまたは複数の溶媒である。溶媒はジメチルアセトアミドであることが最も好ましい。
スキーム9の反応を実施するために使用される塩基は、第3級アミンなどの任意の好適な塩基であってもよい。第3級アミンは、任意選択で置換されたトリアルキルアミンもしくは任意選択で置換された芳香族アミン、またはこれらの混合物から選択される。好適なアミンには、例えば、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン(メチル置換ピリジン(2-、3-、または4-ピコリン、2,6-ルチジン)を含む)、ピラジン、ピロール、プリン、ピリミジンが含まれる。塩基はトリエチルアミンであることが好ましい。
スキーム9に概説される反応は、好ましくは、ジメチルアセトアミド中で、式(W)の化合物と、化合物Yとをトリエチルアミンの存在下で反応させることにより実施される。反応混合物を、周囲温度で3~6時間、または出発物質の完全な変換が見られるまで撹拌する。
式(VII)の化合物の調製
本発明のさらなる態様は、式(VII)の化合物を提供することであり、式中、Rは分岐または直鎖のC1~C7アルキル、ベンジル、またはC1~C4-アルコキシ置換ベンジルであり、Xはハライド、カルボキシレート、およびスルホネートからなる群から選択され、スキーム10に概説されるように合成される。
式(8)のβ-ケトエステル化合物は、市販の式(6)の化合物および式(7)の化合物から合成され得る。利用されるR基に応じて、当業者は、市販されていない場合は、一般常識を用いて、式(6)の化合物の合成の仕方が分かるであろう。反応は、クライゼン縮合(または、Rがメチルでない場合は交差縮合)を介して起こり、当業者に公知である。クライゼン縮合反応は、強塩基の存在下で、2つのエステルの間で、または1つのエステルと別のカルボニル化合物の間で起こり、少なくとも1つのエステルからエノレートを作製し、β-ケトエステルまたはβ-ジケトンの作製をもたらす反応として一般に公知である。
該反応を実施するために使用される塩基は、任意の非求核的な、好ましくはヒンダード塩基であってもよい。そのような塩基には、例えば、アルカリ金属アミド、アルコキシド、および水素化物が含まれる。塩基は、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドであることが好ましい。
式(7)の化合物は、Fryer,et al.,J.Org.Chem.1991,56,3715-3719に基づいて合成することができる。
次に、式(8)の化合物を、ニトロソ化反応により、式(9)の化合物に変換する。β-ケトエステル、すなわち、式(8)の化合物を、式(9)の3-ケト-2-オキシミノエステル化合物にニトロソ化する手法は、当技術分野で公知の有機化学の標準的方法に基づいて実行され得る。そのような方法は、例えば、Blatt,Organic Syntheses,Collective Vol.2,John Wiley & Sons,New York,pp.204-208;Baumgarten,Organic Syntheses,Collective Vol.5,John Wiley & Sons,New York,pp.32-35 and 373-375;およびAdkins,et al.,J.Am.Chem.Soc.1938,60,1328-1331に記載されている。
式(8)の化合物は、例えば、亜硝酸イソアミルなどの亜硝酸アルキル、もしくは亜硝酸フェニルなどの亜硝酸アリールを用いて;または、より好ましくは、亜硝酸もしくはその塩を用いた水溶液中で、酸の存在下でニトロソ化され得る。好ましい亜硝酸塩は、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸マグネシウムであり、特に好ましいのは亜硝酸ナトリウムである。好ましい酸は、塩酸、酢酸または式R*-COOHの他のカルボン酸[式中、R*はC1~C6アルキル、H、またはC1~C6ハロアルキルであり得る]、硫酸、およびニトロ硫酸、またはそのような酸の組み合わせであり;特に好ましいのは酢酸である。
特に好適であると見出されたニトロソ化条件は、式(8)のβ-ケトエステル化合物の亜硝酸ナトリウムおよび酢酸を用いた処理である。
式(9)の化合物は、2-ステップの方法において、式(VII)の化合物へと変換され、2-ステップの方法は、
aa)式(9)の化合物を還元し、続いてアミン保護により、式(9a)の化合物
[式中、Rは分岐または直鎖のC
1~C
7アルキル、ベンジル、C
1~C
4-アルコキシ置換ベンジルであり、PGはtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ホルミル、アセチルまたはベンジルから選択される]を作製するステップと、続く、
bb)式(9a)の化合物を脱保護して、式(VII)の化合物を作製するステップと
を含む。
式(9)の化合物中のヒドロキシルイミン(オキシム)基は、対応するアミンに還元され、引き続き、当技術分野で公知の有機化学の標準的方法に基づいて保護(アセチル化)され得る。これらには、例えば、触媒および水素の存在下における還元、および例えば亜鉛のような金属の存在下における還元が含まれる。これらの方法は、例えば、Gregory,et al.,J.Chem.Soc.1951,2453-2456に記載されている。
式(9)の化合物は、(Boc)2Oの存在下で酸性条件下において亜鉛により還元され、式(9a)の化合物を作製することが好ましく、式中、PGは-C(O)-O-tブチルである。反応混合物を加熱することが好ましい。式(9a)の化合物を、引き続き、酸と、好ましくはハロゲン化水素酸と、より好ましくは塩酸と反応させて、式(VII)の化合物を作製する。
式(VII)の化合物の代替的合成
式(VII)の化合物を、スキーム11に基づいて、代替的に合成することができる。
式(VII)の化合物を、スキーム11に概説されるように、より短い反応時間で、より少ない反応ステップで合成することができる。
式(9a)の化合物を、市販の化合物5aから合成することができる。化合物5aを、CDIなどのカップリング剤と反応させ、活性化された中間体を得て、次にこれを引き続き式(5b)の化合物およびMg(OtBu)2と反応させて、式(9a)の化合物を作製し、続いてスキーム11に示すように、式(9a)の化合物を脱保護し、式(VII)の化合物を得る。
したがって、本発明のさらなる態様は、式(VII)の化合物の提供であり、式中、Rは分岐または直鎖のC1~C7アルキル、ベンジル、またはC1~C4-アルコキシ置換ベンジルであり、Xはハライド、カルボキシレート、およびスルホネートからなる群から選択され、スキーム11に概説されるように合成することができる。
式5bの化合物を、公知の文献の手順に基づいて合成することができる。これらの方法は、例えば、Seebach,et al.,Helv.Chim.Acta 1998,81,1845-1895に記載されている。
反応は、周囲温度で、式(5a)の化合物と、カップリング剤と、好ましくはCDIとを反応させ、反応が実質的に完了するまで、または約3時間撹拌することにより実行される。反応混合物に、式(5b)の化合物およびカリウムt-ブトキシドまたはMg(OtBu)2などの非求核的な塩基を添加し、混合物を引き続き周囲温度で約24時間または反応が実質的に完了するまで撹拌する。
一般用語
用語「PG」は、本明細書に定義される窒素保護基を指す。
用語「保護基」または「窒素保護基」は、存在する場合もあり、関係する官能基を、アシル化、エーテル化、エステル化、酸化、加溶媒分解、および同様の反応などの望まれない2次反応から保護する部分を指す。好適な保護基およびそれらを導入し、使用し、かつ除去する方法は、当技術分野で周知である。保護基は、容易に、すなわち、所望されない2次反応を伴うことなく、典型的には、加溶媒分解、還元、光分解により、または例えば生理学的条件と類似の条件下で酵素活性によっても除去され、且つ最終生成物中には存在しないことが保護基の特徴である。専門家は、どの保護基が上記および下記の反応に好適であるかを知っているか、または容易に確定することができる。好ましくは、本明細書で言及される1つの中間体に2個以上の保護基が存在する場合で、該基の1個を除去する必要がある場合、例えば、異なる条件下で開裂する2個以上の異なる保護基を使用して、例えば、1個の基は穏やかな加水分解により、他方はより厳しい条件下での加水分解により、1個の基は酸の存在下での加水分解により、他方は塩基の存在下での加水分解により、または1個の基は還元的開裂(例えば、触媒水素化による)により、他方は加水分解によるなどの、選択的に行うことができるように、2個以上の保護基を選択する。
好適な窒素保護基は、ペプチド化学反応において従来的に使用され、例えば、J.F.W.McOmie,"Protective Groups in Organic Chemistry",Plenum Press,London and New York 1973;T.W.Greene and P.G.M.Wuts,"Greene's Protective Groups in Organic Synthesis",Fourth Edition,Wiley,New York 2007;"The Peptides";Volume 3(editors:E.Gross and J.Meienhofer),Academic Press,London and New York 1981,および"Methoden der organischen Chemie"(Methods of Organic Chemistry),Houben Weyl,4th edition,Volume 15/I,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974などの標準的な参照研究の関係する章に記載されている。
好適な窒素保護基には、一般に:C1~C6-アルキル、好ましくはC1~C4-アルキル、より好ましくはC1~C2-アルキル、(例えば、アセチル、アリル、tert-ブチル)、最も好ましくはトリアルキルシリル-C1~C7-アルコキシ(例えばトリメチルシリエトキシ)によりモノ-、ジ-またはトリ-置換されたC1-アルキル、アリール、好ましくはフェニル、または複素環基(例えば、ベンジル、クミル、ベンズヒドリル、ピロリジニル、トリチル、ピロリジニルメチル、1-メチル-1,1-ジメチルベンジル、(フェニル)メチルベンゼン)、ここでアリール環または複素環基は非置換であるか、または例えば、C1~C7-アルキル、ヒドロキシ、C1~C7-アルコキシ、C2~C8-アルカノイル-オキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、およびCF3からなる群から選択されるような1個もしくは複数の、例えば、2個または3個の、残基により置換され;アリール-C1~C2-アルコキシカルボニル(好ましくはフェニル-C1~C2-アルコキシカルボニル(例えばベンジルオキシカルボニル(Cbz))、ベンジルオキシメチル(BOM)、ピバロイルオキシメチル(POM));C1~C10-アルケニルオキシカルボニル;C1~C6アルキルカルボニル(例えばアセチルまたはピバロイル);C6~C10-アリールカルボニル;C1~C6-アルコキシカルボニル(例えばtertブトキシカルボニル(Boc)、メチルカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、ピバロイル(Piv)、アリルオキシカルボニル);C6~C10-アリールC1~C6-アルコキシカルボニル(例えば、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc));アリルまたはシンナミル;スルホニルまたはスルフェニル;スクシンイミジル基、シリル基(例えば、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリエチルシリル(TES)、トリメチルシリルエトキシメチル(SEM)、トリメチルシリル(TMS)、トリイソプロピルシリルまたはtert-ブチルジメチルシリル)が含まれる。好ましい窒素保護基は本明細書に開示され、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニルおよびtertブトキシカルボニル(Boc)などのカルバメート、同様にベンジル、メトキシベンジル、ベンジルオキシメチル(BOM)、およびピバロイルオキシメチル(POM)が含まれる。
アルキルは、ラジカルまたはラジカルの一部と定義され、直鎖または分岐(1回もしくは、所望されかつ可能ならば、数回)の炭素鎖であり、特にC1~C7-アルキル、好ましくはC1~C4-アルキルである。
用語「C1~C7」-は、最大7個まで、特に最大4個までの炭素原子を有する部分と定義され、前記部分は分岐(1つもしくは複数の回数)または直鎖であり、末端または非末端炭素を介して結合する。C1~C7-アルキルは、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシルまたはn-ヘプチル、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、詳細にはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルである。
用語「アルコキシ」は、ラジカルまたはラジカルの一部であると定義され、アルキル-O-を指し、用語アルキルは本明細書に定義される通りであり、例えば、C1~C7-アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシを含み、対応するペンチルオキシ、ヘキシルオキシおよびヘプチルオキシラジカルも含む。C1~C4アルコキシが好ましい。
ハライドは、好ましくはフルオリド、クロリド、ブロミドまたはヨージドであり、最も好ましくは、クロリド、ブロミドまたはヨージドである。
ラジカルまたはラジカルの一部であるアリールは、例えばC6~10アリールであり、好ましくは6~10個の炭素原子を有する単環式または多環式、特に単環式、2環式または3環式のアリール部分、好ましくはフェニルであり、これは非置換であるか、または、芳香環上で、例えば、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ-C1~C4-アルキルもしくはC1~C4-アルコキシから独立して選択される1つもしくは複数の置換基により置換され得る。
C1~C4-アルコキシ-C1~C4-アルキルという用語は、式-Rb-O-Raのラジカルを指し、式中、上に定義されるように、RaはC1~C7アルキルラジカルであり、RbはC1~C7アルキルラジカルである。酸素原子は、いずれかのアルキルラジカル中の任意の炭素原子と結合してもよい。C1~C4アルコキシ-C1~C4-アルキルの例には、メトキシ-メチル、メトキシ-エチル、エトキシ-エチルが含まれるが、これらに限定されない。
C1~C4-アルコキシ置換ベンジルという用語は、芳香環上で、好ましくは4位において、本明細書に定義されるC1~C4-アルコキシ基で置換されているベンジルラジカルを指す。
用語「アミン」または「アミノ」は、当技術分野で一般に理解されているように、分子、または部分もしくは官能基の両方に広く適用されると理解すべきであり、第1級、第2級、または第3級であり得る。用語「アミン」または「アミノ」には、窒素原子が少なくとも1個の炭素、水素またはヘテロ原子に共有結合している化合物が含まれる。該用語には、例えば、「アルキルアミノ」、「アリールアミノ」、「ジアリールアミノ」、「アルキルアリールアミノ」、「アルキルアミノアリール」、「アリールアミノアルキル」、「アルカミノアルキル」、「アミド(amide)」、「アミド(amido)」および「アミノカルボニル」が含まれるが、これらに限定されない。
用語「アルコール溶媒」は、当技術分野で一般に理解されているように理解すべきであり、第1級、第2級、または第3級であり得る。用語「アルコール溶媒」には、分岐または直鎖のC1~C4アルコールである化合物が含まれる。該用語には、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノールが含まれるが、これらに限定されない。
芳香族炭化水素という用語は、例えばC6~10アリールのような溶媒を指し、好ましくは6~10個の炭素原子を有する単環式または多環式、特に単環式、2環式または3環式のアリール部分であり、これは非置換であるか、または、芳香環上で、例えば、C1~C4-アルキルから独立して選択される1つもしくは複数の置換基により置換され得る。芳香族炭化水素という用語には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メシチレンが含まれるが、これらに限定されない。
有機リン試薬という用語は、ホスフィン酸ハライドなどの、少なくとも1個のリン原子を含有する有機化合物を指す。例えば、有機リン試薬という用語には、ジフェニルホスフィン酸クロリド、ジアルキルホスフィン酸クロリドが含まれるが、これらに限定されず、アルキルは本明細書に定義される通りである。有機リン試薬は、ジフェニルホスフィン酸クロリドであることが好ましい。
ヒドロシランという用語は、少なくとも1個のSi-H結合を含有する有機化合物を指す。例えば、ヒドロシランという用語には、R3SiH、R2SiH2、RSiH3が含まれる。各R基は、本明細書に定義されるアルキルまたはアリールから独立して選択され得る。例えば、ヒドロシランは、Ph2(CH3)SiH、Et3SiH、またはPh2SiH2であり得る。
用語「キラル」は、鏡像対と重ね合わせることができないという特性を有する分子を指す。
本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を有し得る。好ましい絶対配置は、本明細書に明確に示されている。
本出願の式では、C-sp3上の用語「
」は、(R)か(S)のいずれかの絶対立体化学を示す。
本出願の式では、C-sp3上の用語「
」は、(R)か(S)のいずれかの絶対立体化学を示す。
本発明の目的上、用語「エナンチオマー富化」とは、試料中で、1つのエナンチオマーが、その光学的対掌体(反対のエナンチオマー)より多量に存在することを意味し、主流を成すエナンチオマーは50%より多く100%以下の範囲で存在する。ee(エナンチオマー過剰)値は:([エナンチオマー1]-[エナンチオマー2])/([エナンチオマー1]+[エナンチオマー2])=ee値
のように算出される。例えば、式(VIIc)の化合物は、99.5%より大きいee値を有する。
用語「ジアステレオマー富化」または「ジアステレオマー純度」または「ジアステレオマー過剰」は、範囲中にその他のジアステレオマーを伴う混合物中の1つのジアステレオマーの比率であり、富化調製では、1つのジアステレオマーは50%より多く100%以下の範囲である。例えば、式(VIIc)の化合物は、97.6%のVIIIc:VIIdであるジアステレオマー過剰を有する。
別段の指示がない限り、分子および基の名称は、全ての可能なジアステレオマーを含むことを意図し、任意のジアステレオマーの2つのエナンチオマーもまた含まれる。
立体異性体という用語は、少なくとも1つの不斉炭素を有する単一の有機分子の絶対配置の1つを意味する。立体異性体の定義内に含まれるのは、エナンチオマーおよびジアステレオマーである。
用語「配位子」とは、遷移金属と錯体を形成することができる、アキラルまたはキラルの任意の化合物を意味する。好ましくは、配位子は、キラル配位子であり、例えば、BINAP、CHIRAPHOS、SYNPHOS、BnDPAE、TsDPEN、C6F5SO2DPEN、CF3SO2DPEN、N-トリフルオロメタンスルホニル-1,2-シクロヘキサンジアミンであり得る。当業者は、得られる生成物の所望の立体化学的配置に応じて、キラル配位子のどの立体化学的配置が必要とされるかを容易に理解するであろう。
用語「触媒」は、本明細書で使用される場合、化学反応のための活性化エネルギーを低下させることにより、化学反応の速度を向上させる化学薬剤を指す。触媒は、不均一系触媒または均一系触媒であり得る。
用語「不均一系触媒」は、反応媒体に溶解せず、かつ担体に、典型的には、必ずしも、例えば炭素、ケイ素および/または酸化アルミニウムなどの多孔質材料のような無機材料からなる基材である必要はないが、それらに担持されることが多い触媒を指す。
用語「均一系触媒」は、反応媒体に可溶性である触媒を指す。
用語「水素化」は、水素の存在下で別の化合物を還元する作用を指す化学反応を表すために使用される。水素源は、ガス状水素(H2)、水素供与体(移動型水素化、例えば、ギ酸またはその塩)、水素化試薬(BH3、B2H6、NaBH4)などから選択され得る。
用語「室温」または「周囲温度」とは、本明細書で使用される場合、別段に規定されない限り、15~30℃、例えば20~30℃など、特に20~25℃などの温度を意味する。
「塩(Salt)」または「塩(salts)」は、本明細書で使用される場合、本明細書で言及される任意の中間体の塩を指し、塩は、当業者が容易に理解する化学的理由で排除されることはない。塩は、水溶液中で、例えば4~10のpH範囲内で、少なくとも部分的に解離した形態で存在し得る塩基性基または酸性基などの塩形成基が存在する場合に形成され得るか、または、特に固体で、特に結晶体で単離され得る。
そのような塩は、例えば、塩基性窒素原子(例えば、イミノまたはアミノ)を有する、本明細書で言及される化合物または任意の中間体から、好ましくは有機酸または無機酸との酸付加塩として、特に薬学的に許容される塩として形成される。好適な無機酸は、例えば、塩酸などのハロゲン酸、硫酸、またはリン酸である。好適な有機酸は、例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸またはスルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸などのアミノ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、安息香酸、メタン-もしくはエタン-スルホン酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、N-シクロヘキシルスルファミン酸、N-メチル-、N-エチル-もしくはN-プロピル-スルファミン酸、またはアスコルビン酸などの他の有機プロトン酸である。
酸基を有する本発明の化合物の塩は、例えば、該化合物を、例えば好適な有機カルボン酸のアルカリ金属塩、例えば、2-エチルヘキサン酸のナトリウム塩のような塩基性化合物と、例えば対応する水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩、例えばナトリウムもしくはカリウムの水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩のような無機アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の化合物と、対応するカルシウム化合物と、またはアンモニアもしくは第1級、第2級および第3級のアミンを含む好適な有機アミンと、処理することにより形成され得て;化学量論的量またはわずかな過剰の塩形成剤が、好ましくは使用される。本発明の化合物の酸付加塩は、慣用的手法で、例えば、該化合物を酸または好適なアニオン交換試薬と処理することにより得られる。塩基性基および酸基が同じ分子中に存在する場合、本明細書で言及される任意の中間体は分子内塩もまた形成し得る。例えば、遊離カルボキシ基および遊離アミノ基のような酸および塩基の塩形成基を含有する本発明の化合物の分子内塩は、例えば、酸付加塩などの塩を、例えば、弱塩基を用いて等電点まで中和することによるか、またはイオン交換体との処理により形成され得る。
式2Aの化合物は、双性イオンとして存在し得る。例えば、式2Aの化合物は、プロトン化アミノ基および脱プロトン化カルボキシル基を示し得る。
化合物と、遊離形態および中間体として使用され得るその塩を含むその塩形態における中間体との間の密接な関係を考慮すると、例えば化合物またはその塩の精製または同定における、「化合物」、「出発物質」および「中間体」に対する以上および以下の任意の言及は、1つもしくは複数のその塩、または対応する遊離化合物、中間体もしくは出発物質および1つもしくは複数のその塩の混合物にも言及していると理解されるべきであり、そのそれぞれは、適切でかつ当を得て、別段に明示的に述べられていない限り、任意の溶媒和物またはこれらの任意の1つもしくは複数の塩も含むことを意図する。異なる結晶形態を得ることができ、またそれらも含まれる。
化合物Xという用語は、特に定義されていない場合、遊離酸としておよび塩として、特に薬学的に許容される塩としての両方、または水和物を含むその溶媒和物と理解されるべきである。化合物X、もしくは薬学的に許容される塩、または水和物を含むその溶媒和物は、例えば、それ自体で公知の手法で、例えばPCT/中国特許出願公開第2016/099482号記載されるように、詳細には、化合物Xのアルギニン塩、ナトリウム塩および水和された固体に、調製され得る。
溶媒和物という用語は、本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)と、1つまたは複数の溶媒分子との分子複合体を指す。そのような溶媒分子は、医薬分野で一般に使用される溶媒であり、受容者に対して無害であることが公知で、例えば、水、エタノールなどである。水和物という用語は、溶媒分子が水である場合の複合体を指す。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈により明確に別段の指示がされない限り、複数の指示内容を含む。
同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含んでいる(including)」は互換的であり、限定することを意図するものではない。
略語
全般的な実験詳述
合成
一般に、本開示に基づく化合物は、本明細書に示されるスキーム1~11に記載される経路により合成され得る。
当業者は、本出願に詳述される全般的合成経路は、必要に応じて出発物質を転換するための一般的反応を示すことを十分に認識しているであろう。特定の反応が提供されない場合、当業者は、そのような反応は当業者に公知であり、適切な条件は当業者の一般常識の範囲内であると考えられることが分かるであろう。出発物質は、市販の化合物であるかまたは公知の化合物のいずれかであり、有機化学分野に記載される手順から調製され得る。
全般的条件
NMRスペクトルは、Bruker AVANCE 400MHz分光計で、ICON-NMRを使用して、TopSpinプログラム制御下で行われた。スペクトルは、別段の指示がない限り、298Kにおいて、溶媒共鳴またはテトラメチルシラン共鳴を基準として参照された。
計測手段
HPLC法:
カラム:Agilent Poroshell 3.0×75mm、2.7um
カラム温度:40℃
移動相:A 水中の0.1%H3PO4、移動相 B アセトニトリル
流量:0.7mL/分
勾配:11分間で10%のアセトニトリルから90%のアセトニトリルへ、5分間保持、0.1分間で90%のアセトニトリルから10%のアセトニトリルへ、3分間保持
検出器:UV 210nm
キラルHPLC法:
カラム:CHIRALCEL OZ-H 0.46cm I.D.×15cm L
温度:35℃
移動相:ヘキサン/EtOH=85/15(v/v)
流量:1.0ml/分
検出器:波長 UV 214nm
以下の実施例は、本開示の単なる例示であり、これらの実施例およびそれらの他の均等物は、本開示、および添付の特許請求の範囲を考慮して当業者に明白となるため、本開示の範囲に制限を加えるものと解釈されるべきではない。
化合物8の合成(R=ベンジル)
1.50kgのオキサゾリジン-2-オン(7b)を、反応器に入れた。7.50kgのTHFを投入し、撹拌を開始した。この混合物を10~20℃まで冷却した。2.18kgのカリウムtert-ブトキシドを12.00kgのTHFに投入して、撹拌して溶解させた。
カリウムtert-ブトキシド溶液を、温度を10~20℃に維持しながら反応器に滴下添加した。添加後に、反応物を、10~20℃で1~2時間撹拌した。3.00kgのTHF中の2.36kgのメチル-2-クロロアセテート(7a)の溶液を、温度を10~20℃に維持しながら反応器に添加した。反応混合物を、20~25℃で16~18時間撹拌した。IPC(プロセス制御における)は、反応完了を示した。この混合物を遠心分離にかけ、ウェットケーキを7.50kgのTHFで洗浄した。濾液を濃縮し、粗製の7を赤褐色液体として得て、これはさらなる精製を行うことなく、次のステップで使用した。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 3.65 - 3.71 (m, 2 H) 3.74 (s, 3 H) 4.02 (s, 2 H) 4.34 - 4.45 (m, 2 H).
乾燥した反応器を、N2で3回交換した。THF/Hep(1M)中の3.71kgのLiHMDS溶液および1.30kgのTHFを、窒素保護下で投入した。撹拌を開始し、溶液を-70~-60℃まで冷却した。5.20kgのTHF中の0.71kgの酢酸ベンジル(6)の溶液を、-70~-60℃で滴下添加し、添加後、得られた混合物を1~1.5時間撹拌した。3.90kgのTHF中の0.65kgの7の溶液を、温度を-70~-60℃に維持しながら滴下添加し、次に30~40分間撹拌した。反応混合物を20~25℃まで加温し、撹拌を0.5~1.0時間継続した。IPCにより、6が1.0%未満であることが示された(そうでない場合は、IPCに合格するまで反応を継続する)。反応混合物を、13.65kgのクエン酸水溶液に10℃未満で注入した。添加後、この混合物を15~20分間撹拌した。相を分離させ、有機層を収集した。水性層をEAで抽出した(6.50kg×2)。有機層を合わせて、6.50kgの28%NaCl溶液により洗浄し、0.65kgの無水MgSO4で乾燥した。この混合物を濾過し、ウェットケーキを1.30kgのEAで洗浄した。濾液を真空下で濃縮して、粗製の8を得た。粗製の8を、2.60kgのMTBE中で、20~25℃で1~1.5時間撹拌した。この混合物を0~10℃まで冷却し、1.5~2.0時間撹拌し、濾過した。濾過ケーキを0.65kgの予冷却したMTBEで洗浄し、真空下(-0.096Mpa以下)で、20~25℃で12~16時間、一定重量まで乾燥して、513gの8を白色固体として、収率:45%、HPLC純度96.4%で得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 3.48 - 3.55 (m, 1 H) 3.56 - 3.63 (m, 2 H) 3.66 - 3.74 (m, 1 H) 4.17 - 4.26 (m, 2 H) 4.31 - 4.44 (m, 2H) 5.12 - 5.24 (m, 2 H) 7.30 - 7.44 (m, 5 H).
化合物9の合成(R=ベンジル)
3.75kgのHOAcおよび1.50kgの8を、乾燥した反応器に入れた。撹拌を開始し、反応混合物を0~5℃まで冷却した。3.53kgのNaNO
2水溶液を0~10℃で滴下添加し、添加後、反応混合物を15~30分間撹拌した。IPCにより、8が0.2%未満であることが示された。反応混合物を、7.50kgのEAおよび7.50kgの水で処理した。相を分離させ、有機層を収集した。水性層をEAで抽出した(7.50kg×2)。有機層を合わせて、7.50kgの28%NaCl溶液で洗浄し、真空下で濃縮して、粗製の9を得た。粗製の9を、5.25kgの水を用いて10~20℃で3~4時間スラリー化して、濾過した。ウェットケーキを1.50kgの水で洗浄した。固体を真空下(-0.096Mpa以下)で、45~50℃で5~6時間、一定重量まで乾燥して、1.44kgの9を、収率:86.9%、HPLC純度92.9%で得た。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 3.60 - 3.76 (m, 2 H) 4.44 (t, J=8.07 Hz, 2 H) 4.60 (s, 2 H) 5.25 - 5.41 (m, 2 H) 7.30 - 7.43 (m, 5 H) 11.62 (br s, 1 H).
化合物9aの合成(R=ベンジル)
0.58kgのZn、4.72kgの(Boc)
2O、6.00kgの水、1.20kgのNH
4Clおよび6.00kgのTHFを、乾燥した反応器に入れた。反応混合物を撹拌し、50~55℃まで加熱した。4.20kgのTHF中の0.60kgの9の溶液を、温度を50~55℃に維持しながら滴下添加した。添加後、反応混合物を0.5~1.0時間撹拌した。IPCにより、9が0.1%未満であることが示された。反応混合物を、1.50kgの酢酸エチルで処理し、15~20分間撹拌した。相を分離させ、水層を1.50kgの酢酸エチルにより抽出した。有機層を合わせて、6.00kgの28%NaCl溶液で洗浄し、真空下で濃縮して粗製の9aを得た。粗製の9aを、3.60kg×2のn-ヘプタンと共に撹拌し、過剰の(Boc)
2Oを除去した。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィーによりカラムを酢酸エチル:ヘプタン=1:1で溶離して精製し、粗製の9a溶液を得た。該溶液を減圧下で濃縮して、粗製の9aを得た。粗製の9aを、1.80kgのMTBEを用いて2.0~3.0時間スラリー化して、濾過し、ウェットケーキをMTBEで洗浄した。固体を真空下(-0.096Mpa以下)で、50~55℃で16~18時間、一定重量まで乾燥して、392gの9aを白色固体として、収率:51%、HPLC純度98.1%で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 1.17 - 1.57 (m, 9 H) 3.39 - 3.61 (m, 2 H) 4.20 - 4.45 (m, 3 H) 5.10 - 5.32 (m, 3 H) 5.75 (s, 1 H) 7.38 (br s, 5 H) 7.75 - 7.99 (m, 1 H).
化合物(VII)の合成(R=ベンジル、X=Cl)
IPA中の13.0kgのHClを乾燥した反応器に入れ、撹拌を開始した。1.33kgの9aを、20~25℃で、分割して投入した。この混合物を20~25℃で3~4時間撹拌した。IPCにより、9aが0.1%未満であることが示された。反応溶液を、40~45℃において真空下で濃縮した。残留物を、21.58kgのMTBEで、20~25℃で3~4時間処理した。この混合物を濾過し、ウェットケーキを2.60kgのMTBEで洗浄した。固体を真空下(-0.096Mpa以下)で、45~50℃で5~6時間、一定重量まで乾燥して、1.045kgの化合物VII(R=ベンジル、X=Cl)を黄色固体として、収率:93.7%、HPLC純度99.2%で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 3.16 - 3.74 (m, 3 H) 4.10 - 4.35 (m, 4 H) 5.09 - 5.39 (m, 2 H) 7.27 - 7.60 (m, 5 H) 8.72 (br s, 2 H).
化合物(VIIc)の合成(R=ベンジル)
VII(R=ベンジル、X=Cl)(100g、304.2mmol、1.0当量)、DCM(2650g、26.5当量、w/w)および(S-BINAP)RuCl
2(2.4g、3.04mmol、0.01当量)を、オートクレーブ(3L)に連続して添加した。オートクレーブ中の空気を、N
2で5回置き換えた。オートクレーブ中のN
2を、H
2で5回置き換えた。この溶液を、250~260r/分で、H
2(2.1±0.1MPa)、40±5℃で24時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾過ケーキをDCM(400g、4.0当量、w/w)で洗浄した。該濾過ケーキを、IPA(785g、7.85当量、w/w)およびH
2O(40g、0.4当量、w/w)を用いて、終夜(18~20時間)、スラリー化した。この混合物を濾過した。濾過ケーキを、IPA(200g、2.0当量、w/w)で洗浄し、45±5℃で終夜(18~20時間)乾燥した。VIIc(R=ベンジル)を、灰色がかった白色固体として、80.4g、収率79.9%、純度95.5%、97.6%のde、99.5%を超えるeeで得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 3.34-3.38 (m, 2 H) 3.50-3.52 (m, 1 H) 3.60-3.62 (m, 1 H) 4.18-4.24 (m, 4 H) 5.23 (s, 2H) 6.16 (s, 1H) 7.32 (m, 5H) 8.74 (s, 1H).
化合物9aの代替的合成(R=ベンジル)
5a(1.88g、12.93mmol)、THF(40mL)、およびCDI(2.20g、13.58mmol)を、25℃でフラスコに添加した。この混合物を3時間撹拌した。反応混合物に、5b(2.00g、6.47mmol)、およびMg(OtBu)
2(2.21g、12.93mmol)を添加した。反応混合物を25℃で24時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮して、大部分のTHF溶媒を除去した。濃縮した溶液にMTBE(40mL)を添加し、続いてHCl水溶液(1M、60mL)を添加して、pH=2~3に調節した。2相を分離させ、水相をMTBE(20mL)で抽出した。合わせた有機相を、NaHCO
3水溶液(5%、50mL)およびブライン(20%、40mL)で洗浄した。有機相を約19gの重量まで濃縮し、濃縮プロセスにおいて多くの白色固体を得た。懸濁液を0℃まで冷却し、濾過した。濾過ケーキを冷MTBE(5mL)で洗浄し、真空下で乾燥して、生成物9aを得た(1.6g、収率63%)。
化合物(VIIe)の合成(R=ベンジル、PG=Cbz)
VIIc(R=ベンジル)(140g、423.2mmol、1.0当量)、H
2O(1273g、9.09当量、w/w)およびトルエン(2206g、15.76当量、w/w)を、フラスコ(5L)に添加した。この溶液を撹拌し、氷浴で0~5℃まで冷却した。次に、NaHCO
3(78.4g、933mmol、2.22当量)を添加し、撹拌している溶液に、CbzCl(89.6g、527mmol、1.24当量)をそれぞれ滴下した。この溶液を、30±5℃で終夜(18~20時間)撹拌した。ヘプタン(3612g、25.8当量、w/w)を、撹拌している溶液に、20~30℃で1時間にわたり滴下添加した。この混合物を濾過した。濾過ケーキを、ヘプタン(280g、2.00当量、w/w)およびMTBE(377g、2.69当量、w/w)で、それぞれ洗浄した。該濾過ケーキを、45±5℃で終夜(18~20時間)乾燥した。VIIe(R=ベンジル、PG=Cbz)を、灰色がかった白色固体として、169.4g、収率93%、純度96.7%、98%のde、99.5%を超えるeeで得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 3.23-3.24 (m, 1 H) 3.30 (m, 1 H) 3.51-3.55 (m, 2 H) 3.99 (s, 1 H) 4.17-4.21 (m, 3 H) 5.02-5.03 (m, 2H) 5.12 (s, 2H) 5.46-5.48 (d, 1H) 7.33-7.36 (m, 10H) 7.75-7.73 (d, 1H).
化合物(IV)の合成(PG=Cbz)
VIIe(R=ベンジル)(220g、513.5mmol、1.0当量)をTHF(1464g、6.65当量、w/w)に溶解した。この溶液を濾過した。濾過ケーキをTHF(488g、2.22当量、w/w)で洗浄した。濾液(VIIe)を収集した。濾液(VIIe)をオートクレーブ(3L)に添加した。反応器をドライアイス/EtOH浴で-75~-65℃まで冷却し、NH
3を4時間以上吹き込んだ。次に、この溶液を25±5℃でNH
3(0.5~0.6MPa)を用いて24時間撹拌した。オートクレーブのガスを抜いてNH
3を放出させた。反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、残留物がおよそ440gになるまでTHFを除去した。残留物を、EA(2200g、10当量、w/w)を用いて70±2℃でスラリー化し、次に25±5℃まで冷却し、16~18時間撹拌した。この混合物を濾過した。濾過ケーキをEA(440g)で洗浄した。濾過ケーキを、EA(1320g、6.00当量w/w)を用いてスラリー化し、温度を70±2℃まで上昇させ、次に25±5℃まで冷却し、16~20時間撹拌した。この混合物を濾過した。濾過ケーキをEAで洗浄し、50±5℃で終夜(18~20時間)乾燥した。IV(PG=Cbz)を、灰色がかった白色固体として、141g、収率81.5%、純度99.1%、99.5%を超えるアッセイで得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 3.12 - 3.23 (m, 2 H) 3.31 (br s, 1 H) 3.56 (t, J=8.01 Hz, 2 H) 3.88 (五重線, J=6.02 Hz, 1 H) 3.93 - 4.03 (m, 1 H) 4.20 (t, J=8.01 Hz, 2 H) 5.02 (s, 2 H) 5.27 (d, J=5.87 Hz, 1 H) 7.12 (s, 1 H) 7.22 - 7.45 (m, 5 H).
化合物(III)の合成(PG=Cbz、LG=SO2CH3)
IV(PG=Cbz)(14.00g、41.50mmol、1.00当量)、および乾燥1,2-ジメトキシエタン(300mL)を、N
2下でフラスコに添加した。この混合物を、-5℃~0℃で1時間撹拌し、良好な懸濁液を得た。1,2-ジメトキシエタン(20.00mL)中のMsCl(7.89g、68.89mmol、5.33mL、1.66当量)を30分間滴下添加し、かつ1,2-ジメトキシエタン(20.00mL)中のEt
3N(12.60g、124.50mmol、17.26mL、3.00当量)を30分間並行して滴下添加した。反応混合物を、-5℃~0℃でさらに5分間撹拌し、水(6mL)でクエンチした。反応混合物を濃縮して、DMEを除去した。この固体を、水(250mL)およびMTBE(125mL)中で1時間、スラリー化した。固体を濾取し、次に水(250mL)中で1時間、スラリー化した。固体を濾取し、水(25mL)で洗浄して、白色固体を得た。該固体をEA(150mL)中でスラリー化し、60℃で、24時間真空中で乾燥して、III(PG=Cbz、LG=SO
2CH
3)(15.00g、36.11mmol、収率87.01%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 3.17 (s, 3 H) 3.26 (br d, J=15.04 Hz, 1 H) 3.47 - 3.57 (m, 1 H) 3.64 (br d, J=6.36 Hz, 2 H) 4.22 (br dd, J=17.79, 8.50 Hz, 2 H) 4.50 (br s, 1 H) 4.95 - 5.17 (m, 3 H) 7.21 - 7.56 (m, 5H) 7.43 (s, 1 H) 7.63 - 7.89 (m, 2 H).
化合物IIの合成(PG=Cbz、LG=SO2CH3、M+=NBu4
+)
2-ピコリン(11.50g、12.23mL)およびDMF(10mL)をフラスコに添加した。この溶液を5℃まで冷却し、続いてクロロスルホン酸(7.20g、4.14mL)をゆっくりと添加した。温度を20℃まで上昇させた。III(PG=Cbz、LG=SO
2CH
3)(5.13g、12.35mmol)を、反応混合物に添加した。反応混合物を、42℃まで18時間加熱した。IPC(プロセス制御における)により、出発物質の完全変換が示された。反応物を20℃まで冷却し、ジクロロメタン(100mL)および水(100mL)の混合溶媒中の硫酸水素テトラブチルアンモニウム(4.6g、13.6mmol)の溶液に、5℃において滴下添加した。相を分離させ、水相をジクロロメタンで抽出した(2×50mL)。合わせた有機相を水で洗浄した(5×100mL)。有機相を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=15/1 v/v)により精製して、II(PG=Cbz、LG=SO
2CH
3、M
+=NBu
4
+)(8.4g、92.30%)を得た。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.99 (t, J=7.34 Hz, 12 H) 1.36 - 1.50 (m, 8 H) 1.54 - 1.76 (m, 8 H) 3.15 (br d, J=8.31 Hz, 2 H) 3.21 - 3.35 (m, 8 H) 3.47 (br dd, J=14.73, 7.27 Hz, 1 H) 3.54 - 3.65 (m, 1 H) 3.67 - 3.81 (m, 2 H) 4.17 - 4.32 (m, 1 H) 4.39 - 4.62 (m, 1 H) 4.74 (br s, 1 H) 5.11 (s, 3 H) 5.32 - 5.50 (m, 1 H) 6.47 (br s, 1 H) 7.29 - 7.47 (m, 5 H) 8.69 - 8.94 (m, 1 H).
化合物(IA)の合成
ジクロロメタン(38mL)中のII(PG=Cbz、LG=SO
2CH
3、M
+=NBu
4
+)(4.0g)の溶液を、管Aまで2.0844mL/分の流量で、ポンプで送り、かつ水(100mL)中のKHCO
3(3.0g)の溶液を、管Bまで1.4156mL/分の流量で並行してポンプで送った。これらの2つの流れをクロスミキサー中で混合し、次に100℃における油浴中に置かれた管コイルまで流動させた。コイル中における混合流の滞留時間は2分間であった。反応混合物を、約7バールに設定した背圧レギュレータを通して流動させ、ビーカーに収集した。収集完了後、2相を分離した。有機相を濃縮乾固した。残留物を、酢酸エチル(5mL)中でスラリー化した。固体を濾過し、濾過ケーキを乾燥して、IA(2.6g、75%)を得た。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.00 (t, J=7.27 Hz, 12 H) 1.42 (sxt, J=7.31 Hz, 8 H) 1.62 (五重線, J=7.83 Hz, 8 H) 3.13 - 3.39 (m, 8 H) 3.54 - 3.69 (m, 2 H) 3.81 (dd, J=14.98, 2.51 Hz, 1 H) 3.96 - 4.13 (m, 1 H) 4.22 - 4.47 (m, 3 H) 4.99 - 5.23 (m, 3 H) 6.42 (br d, J=9.29 Hz, 1 H) 7.26 - 7.44 (m, 5 H).
化合物2Aの合成
ステップ1
DMF(20mL)中の化合物16b(2g、10.14mmol、1.0当量)の撹拌している溶液に、Cs
2CO
3(5.29g、16.22mmol、1.6当量)を添加し、次に、得られた溶液を室温で10分間撹拌し、次にこの混合物に化合物16a(5.27g、20.28mmol、2eq)を2分間滴下添加し、次に、得られた溶液をさらに2時間撹拌した。TLCにより、出発物質が完全に消費されたことが示された。この混合物に水(60mL)を添加し、MTBEで抽出した(20mL×3)。合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。粗製物をヘプタン中でスラリー化し、1.65gの16を白色固体として得た(収率:57%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 7.48-7.28 (m, 10 H), 5.00-4.96 (t, J=6.0 Hz, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.44-3.42 (m, 2H), 2.40-2.37 (m, 2H).
ステップ2
化合物16(1g、2.66mmol、1当量)を、THF(20mL)に窒素下で溶解し、-40℃まで冷却した。NaHMDS(1.6mL、2.0MのTHF溶液、1.2当量)を滴下添加した。反応物を-40℃で1時間撹拌した。HPLCにより、反応が終了したことが示された。反応物を10%クエン酸でクエンチし、MTBEで抽出した(25mL×2)。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、濃縮して、17を黄色固体として得て、これは精製を行うことなく、次のステップで使用した(アッセイ収率:65%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 7.27-7.13 (m, 10 H), 3.46 (s, 3H), 1.21-1.17(dd, J=7.2, 10.4 Hz, 2H ); 1.14-1.11 (dd, J=7.2, 10.4 Hz, 2H).
ステップ3
化合物17(100mg)を、メタノール(5mL)および2.0MのHCl IPAC溶液(5mL)に溶解した。この溶液を45℃で3日間加熱した。HPLCにより、反応が終了したことが示された。反応物を室温まで冷却し、10mLの水で希釈した。反応混合物をMTBE(10mL×2)で洗浄し、有機層を廃棄し、水性層を濃縮して、化合物2A HCl(32mg、収率62%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 3.80-3.44 (br, 4H), 1.56 (s, 2H), 1.38 (s, 2H).
ステップ4
メタノール(5mL)中の2A HCl(0.70g、4.57mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.26mL、9.14mmol)を室温で添加した。この溶液を20分間撹拌し、溶媒を真空下で除去した。残留物にIPAC(10mL)を添加し、沈殿を引き起こした。固体を濾過し、濾液を濃縮して、約6wt%のEt3N-HClを含有する2A(0.50g、収率94%)を得た。
式(I)、(IA)の化合物からの化合物Xの合成
21(1.00g、68.43wt%、2.50mmol)およびDMF(10mL)を、フラスコに入れた。懸濁液を-20℃まで冷却し、これにジフェニルホスフィン酸クロリド(0.52mL、2.75mmol)を添加した。この溶液を-20℃で30分間撹拌し、続いてDMF(2mL)中の(IA)(1.52g、3.00mmol)およびトリエチルアミン(0.52mL、3.76mmol)の混合溶液を添加した。反応混合物を20℃で20時間撹拌し、続いてMTBE(20mL)を添加した。反応混合物を、HCl水溶液(37%)を使用してpH=2~3に調節した。この混合物に、イソプロパノール(100mL)を添加した。得られた混合物を4時間撹拌し、懸濁液を得た。該懸濁液を濾過し、濾過ケーキを真空下で乾燥して、粗製の22(1.17g)を得た。粗製の22を、THF/H
2O(=12mL/3mL)の合わせた溶媒中でスラリー化し、濾過して、22(0.744g、Q-NMRにより75wt%、収率53.3%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 3.47 - 3.55 (m, 2 H) 3.59 - 3.63 (m, 2 H) 4.13 - 4.21 (m, 3 H ) 5.05 (dd, J=8.8, 5.6 Hz, 1 H) 8.22 (s, 1 H) 9.73 (d, J=8.7 Hz, 1 H).
DMAC(1.5mL)中の22(580mg、75wt%、1.037mmol)の懸濁液に、2A(214.3mg、85wt%、1.556mmol)を添加した。この反応物を25℃で3日間撹拌し、プロセス制御において、22/化合物X=4/96、およびZ/E=91/9が示され、この混合物を15mlのアセトン中にゆっくりと添加し、黄色がかった固形を沈殿させた。反応混合物を濾過して、化合物X(0.7g、QNMRにより34wt%、収率44%)を得た。
化合物3の合成(R2=CH(Ph)2)
2-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-オキソ酢酸(Y)(10.00g、47.93mmol)および化合物W(R
2=CH(Ph)
2)(13.31g、46.98mmol)を、DMAC(40mL)中で懸濁させ、続いてトリエチルアミン(5.01mL、35.95mmol)を添加した。反応混合物を20℃で5時間撹拌した。HPLCにより、反応完了およびZ/E=97/3が示された。反応混合物に、撹拌しながら水(120mL)を添加した。この混合物を20分間撹拌し、懸濁液を得た。該懸濁液を濾過し、濾過ケーキを水(50mL)で洗浄した。該濾過ケーキを、THF/酢酸エチル(50mL/50mL)の合わせた溶媒中で60℃においてスラリー化し、20℃まで冷却した。固体を濾過し、50℃で3時間乾燥して、3(R
2=CH(Ph)
2)(19.5g、収率88%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 1.37 -1.42 (m, 2 H) 1.44 - 1.49 (m, 2 H) 6.87 (s, 1 H) 6.94 (s, 1 H) 7.22 - 7.30 (m, 6 H) 7.45 - 7.49 (m, 4 H).
式(I)、(IA)の化合物からの化合物Xの代替的合成
IA(40.14g、62.63mmol)をメタノール(200mL)に溶解し、続いてPd/C(10%、1.1g)を添加した。反応混合物を、水素雰囲気下で(1~2バール)、20℃で24時間維持した。プロセス制御において、反応完了が示された。反応混合物を濾過した。濾液を濃縮して、IB(M
+=NBu
4
+)の油状物(58.20g、Q-NMRにより55wt%、収率100%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 0.93 (t, J=7.3 Hz, 12 H) 1.23 - 1.36 (m, 8 H) 1.57 (m, 8 H) 2.99 - 3.28 (m, 8 H) 3.37 (dd, J=14.3, 7.5 Hz, 1 H) 3.65 - 3.70 (m, 3 H) 3.84 - 3.88 (m, 1 H) 4.08 (d, J=5.6 Hz, 1 H) 4.18 - 4.22 (m, 2 H).
3(R2=CH(Ph)2)(0.95g、2.17mmol)をTHF(20mL)に溶解した。この溶液に、N-メチルモルホリン(0.77g、7.60mmol)および2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(0.57g、3.26mmol)を添加した。反応混合物を20℃で1時間撹拌し、続いてIB(M+=NBu4
+)(2.70g、48.98wt%、2.61mmol)を添加した。反応物を20℃で5時間撹拌した。プロセス制御において、反応完了が示された。反応混合物に酢酸エチル(20ml)を添加した。有機相をブライン(10ml)で洗浄した。溶媒を除去した。アセトン(40ml)を添加し、残留物を溶解させた。アセトン(3mL)に溶解したTFA(1.24g、10.86mmol)をゆっくりと添加した。白色固体を濾過し、アセトン(10mL)により2回洗浄した。40℃で5時間乾燥して、化合物4(R2=CH(Ph)2)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.49 - 1.55 (m, 4 H) 3.27 (dd, J=14.4, 6.2 Hz, 1 H) 3.49 - 3.65 (m, 2 H) 3.71 (dd, J=14.4, 6.2 Hz, 1 H) 4.04 - 4.10 (m, 1 H) 4.07 (dd, J=16.0, 8.6 Hz, 1 H) 4.17 (dd, J=11.8, 6.0 Hz, 1 H) 5.28 (dd, J=9.0, 5.7 Hz, 1 H) 6.88 (s, 1 H) 7.03 (s, 1 H) 7.18 - 7.32 (m, 6 H) 7.43 (m, 4 H) 9.45 (d, J=9.0 Hz, 1 H).
粗製の4(R
2=CH(Ph)
2)(2.13g)をジクロロメタン(20mL)に溶解した。この溶液を、0℃まで冷却した。該溶液に、アニソール(0.68mL、6.24mmol)およびトリフルオロ酢酸(2.16mL、28.08mmol)を添加した。反応物を20℃まで加温し、15時間撹拌した。プロセス制御において、反応完了が示された。水性相を分離し、アセトン(40mL)に添加して、懸濁液を得た。該懸濁液を濾過して、化合物X(0.98g、2ステップにわたる収率54.5%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 1.40 (m, 4 H) 3.26 (dd, J=14.4, 6.0 Hz, 1 H) 3.54 - 3.69 (m, 3 H) 4.14 - 4.21 (m, 3 H) 5.25 (dd, J= 8.9, 5.7 Hz, 1 H) 7.02 (s, 1 H) 9.38 (d, J=9.0 Hz, 1 H).
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載の発明を列挙する。
[発明1]
化合物Xもしくはその塩、または水和物を含むその溶媒和物の調製のための方法であって、式22の化合物、またはその塩と、式2Aの化合物、またはその塩とを反応させるステップを含む、前記方法。
[発明2]
化合物22、またはその塩の調製のための方法であって、式(IB)の化合物と、式21の化合物とを、溶媒の存在下で、塩基およびカップリング剤と共に反応させるステップを含む、前記方法。
[式中、M
+
は水素または塩形成カチオンである。]
[発明3]
化合物Xもしくはその塩、または水和物を含むその溶媒和物の調製のための方法であって、発明2に記載のように化合物22、またはその塩を調製し、かつ発明1に記載のように化合物22と、化合物2Aとを反応させる方法を含む、前記方法。
[発明4]
前記溶媒には、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、芳香族炭化水素、アセトニトリル、2-メチルテトラヒドロフラン、水、またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の溶媒が含まれ、好ましくは前記溶媒が、ジメチルホルムアミドである、発明2に記載の方法。
[発明5]
前記塩基が、K
2
CO
3
、Cs
2
CO
3
、K
3
PO
4
、DIPEA、NMM、DMAP、Et
3
Nから選択され、好ましくは前記塩基が、Et
3
Nである、発明2または4に記載の方法。
[発明6]
前記カップリング剤が、N,N’-カルボニルジイミダゾール、エチルクロロホルメート、2-エトキシル-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、イソブチルクロロホルメート、イソプロペニルクロロホルメート、トリメチルアセチルクロリド、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド、イソブチルクロロホルメート、4-ニトロフェニルクロロホルメート、シアヌル酸クロリド、オキサリルクロリド、ジメチルホルムアミド/POCI
3
、(ビルスマイヤー試薬)、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、有機リン試薬、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(CDMT)、2-ブロモ-1-エチル-ピリジニウムテトラフルオロボレート(BEP)、トリ(ジメチルアミノ)ベンゾトリアゾール-1-イルオキシホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(AOP)から選択される1つまたは複数のカップリング剤であり、好ましくは、前記カップリング剤が、有機リン試薬であり、最も好ましくはジフェニルホスフィン酸クロリドである、発明2、4~5のいずれか一つに記載の方法。
[発明7]
式(IB)の化合物が、式(I)の化合物から調製され、前記方法が、式(I)の化合物の脱保護のステップを含む、発明2または3に記載の方法。
[式中、PGは窒素保護基であり、M
+
は水素または塩形成カチオンである。]
[発明8]
前記窒素保護基PGが、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、またはベンジルである、発明7に記載の方法。
[発明9]
式(I)の化合物の脱保護が、触媒および水素の存在下における還元により実行され、前記触媒が、ラネーニッケル、Pt/C、Rh/C、Pd/Al
2
O
3
、Pd/CaCO
3
、RhCl(PPh
3
)
3
、リンドラー触媒、PtO
2
、Pd/C、[Rh(cod)(PPh
3
)
2
]
+
、[Ir(cod)(PCy
3
)(Py)]
+
、Pd(OH)
2
、Pd(OAc)
2
、Pd
2
(dba)
3
、Zn、Fe、Sm、NiCl
2
、Ni(OAc)
2
、CoCl
2
、ZrCl
4
、またはTiCl
3
からなる群から選択される、発明7または8に記載の方法。
[発明10]
前記触媒が、Pd/Cである、発明9に記載の方法。
[発明11]
前記窒素保護基PGが、ベンジルオキシカルボニルである、発明7~10のいずれか一つに記載の方法。
[発明12]
式(I)の化合物が、式(IA)
の化合物である、発明7に記載の方法。
[発明13]
式(IV)
の化合物の調製のための方法であって、式(VII)の化合物を不斉還元条件下で還元し、式(VIIc)の化合物、またはその塩を作製するステップを含む、前記方法。
[式中、PGは窒素保護基であり、Rは分岐または直鎖のC
1
~C
7
アルキル、ベンジル、またはC
1
~C
4
-アルコキシ置換ベンジルであり、Xはハライド、カルボキシレート、およびスルホネートからなる群から選択される。]
[発明14]
前記不斉還元条件が、キラル金属触媒および水素の使用を伴う、発明13に記載の方法。
[発明15]
前記キラル金属触媒が、(S)-BINAPRuCl
2
である、発明14に記載の方法。
[発明16]
(ii)式(VIIc)の化合物中のNH
2
基を保護し、式(VIIe)
[式中、PGは窒素保護基であり、Rは発明13に定義される通りである。]
の化合物を作製するステップと、
(iii)式(VIIe)の化合物とアンモニア源とを反応させて、式(IV)の化合物を得るステップと
をさらに含む、発明13~15のいずれか一つに記載の方法。
[発明17]
ステップ(iii)のアンモニア源が、アンモニアである、発明16に記載の方法。
[発明18]
式(VIIe)の化合物が、式(VIIe-1)
の化合物である、発明16に記載の方法。
[発明19]
式(I)
の化合物の調製のための方法であって、発明13~18のいずれか一つに記載のように、式(IV)の化合物、またはその塩を調製する方法を含み、
(iv)式(IV)の化合物を式(III)
[式中、PGは窒素保護基であり、LGは-SO
2
Tであり、TはC
4
F
9
、CF
3
、F、C
6
H
4
CH
3
、CH
3
、およびC
6
H
6
から選択される。]
の化合物に変換するステップと、
(v)式(III)の化合物を溶媒中で塩基と反応させ、続いてハロスルホン酸、好ましくはクロロスルホン酸、および塩形成試薬を添加し、式(II)
[式中、M
+
は水素または塩形成カチオンであり、LGおよびPGは式(III)の化合物に関して定義された通りである。]
の化合物を作製するステップと、
(vi)式(II)の化合物を溶媒中で塩基と、好ましくは流動調製条件下で反応させ、式(I)の化合物を作製するステップと
をさらに含む、前記方法。
[発明20]
ステップ(iv)において、式(IV)の化合物を、溶媒中で、塩基およびスルホニルハライド、好ましくは式(A)
[式中、Tは、発明19に定義された通りである。]
のクロリドと反応させることにより、式(III)の化合物を得る、
発明19に記載の方法。
[発明21]
ステップ(iv)、(v)、(vi)の溶媒には、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2-メチル-テトラヒドロフラン、4-ホルミルモルホリン、またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の極性溶媒が含まれる、発明19~20のいずれか一つに記載の方法。
[発明22]
ステップ(iv)およびステップ(v)の塩基が、アミンであり、ステップ(vi)の塩基が、アルカリ金属重炭酸塩である、発明19~21のいずれか一つに記載の方法。
[発明23]
ステップ(iv)の溶媒が1,2-ジメトキシエタンであり、ステップ(iv)の塩基がトリエチルアミンであり、ステップ(v)の溶媒がDMFであり、ステップ(v)の塩基が2-ピコリンであり、ステップ(vi)の溶媒がジクロロメタンであり、ステップ(vi)の塩基が重炭酸カリウムである、発明19~20のいずれか一つに記載の方法。
[発明24]
式(I)の化合物が、式(IA)の化合物である、発明19~23のいずれか一つに記載の、式(I)の化合物の調製のための方法。
[発明25]
化合物X、もしくはその塩、または水和物を含むその溶媒和物の調製のための方法であって、発明19~24のいずれか一つに記載の、式(I)の化合物を調製する方法を含む、前記方法。
[発明26]
(vii)式(I)の化合物中のPG基を、発明8~11のいずれか一つに記載のように除去して、式(IB)の化合物を作製するステップと、
(viii)式(IB)の化合物と、式(3)
[式中、R
2
は分岐または直鎖のC
1
~C
7
-アルキル、ベンジル、C
1
~C
4
-アルコキシ置換ベンジル、およびCH(アリール)
2
から選択される。]
の化合物とを、溶媒中で、塩基およびカップリング剤と共に反応させ、式(4)の化合物を作製するステップと、続く、
(ix)式(4)の化合物中のエステル基を脱保護し、前記脱保護が酸、塩基、酸およびヒドロシランの添加、または触媒および水素源の存在下における還元から選択される条件下で実行され、化合物Xまたはその塩を得るステップと
をさらに含む、発明25に記載の方法。
[発明27]
ステップ(viii)の溶媒が、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸エチル、またはこれらの混合物から選択される1つまたは複数の溶媒であり、好ましくは前記溶媒が、テトラヒドロフランである、発明26に記載の方法。
[発明28]
ステップ(viii)の塩基が、K
2
CO
3
、Cs
2
CO
3
、K
3
PO
4
、DIPEA、NMM、DMAP、Et
3
Nから選択され、好ましくは前記塩基が、NMMである、発明26~27のいずれか一つに記載の方法。
[発明29]
ステップ(viii)のカップリング剤が、CDI、EDC、HBTU、HATU、HOBt、IBCF、POBr
3
、POCl
3
、T3P、CDMT、PyBOP、DCC、TFFH、BTFFH、BEP、BOP、AOP、Ghosez試薬、DMTMMから選択され、好ましくは前記カップリング剤が、CDMTである、発明26~28のいずれか一つに記載の方法。
[発明30]
ステップ(ix)の条件が、酸の添加であり、前記酸が、酢酸、トリフルオロ酢酸、ブロモ酢酸、クロロ酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、塩酸、硫酸から選択され、好ましくは前記酸が、トリフルオロ酢酸である、発明26~29のいずれか一つに記載の方法。
[発明31]
ステップ(vii)における前記PG基の除去が、触媒および水素の存在下における還元により実施され、好ましくは前記触媒がPd/Cであり、ステップ(viii)の溶媒がテトラヒドロフランであり、ステップ(viii)の塩基がNMMであり、ステップ(viii)のカップリング剤がCDMTであり、ステップ(ix)の酸がトリフルオロ酢酸である、発明26に記載の方法。
[発明32]
化合物X、もしくはその塩、または水和物を含むその溶媒和物を調製する方法であって、
(a-1)発明13~18のいずれか一つに記載のように、
を
から調製するステップと、
(b-1)発明19~24のいずれか一つに記載のように、
を
から調製するステップと、
(c-1)
と
とを反応させて、
化合物Xを形成するステップと
を含み、化合物22を、発明2、4~6のいずれか一つに記載のように得る、前記方法。
[発明33]
化合物X、もしくはその塩、または水和物を含むその溶媒和物を調製する方法であって、
(a)発明13~18のいずれか一つに記載のように、
を
から調製するステップと、
(b)発明19~24のいずれか一つに記載のように、
を
から調製するステップと、
(c)発明26、27~29のいずれか一つに記載のように、
と
とを反応させて、
を形成するステップであって、式(IB)の化合物を、発明8~11、26のいずれか一つに記載のように得る、ステップと、
(d)発明26または30に記載のように、式(4)の化合物を、酸を用いて脱保護して、化合物Xを得るステップと
を含む、前記方法。
[発明34]
化合物X、もしくはその塩、または水和物を含むその溶媒和物の調製における、発明13により定義される式(IV)の化合物の使用。
[発明35]
化合物X、もしくはその塩、または水和物を含むその溶媒和物の調製における、発明7または発明12により定義される式(I)の化合物の使用。
[発明36]
PGが、窒素保護基である、式(IV)
の化合物。
[発明37]
前記保護基が、ベンジルカルバメート(Cbz)である、発明36に記載の式(IV)の化合物。
[発明38]
Rが、分岐または直鎖のC
1
~C
7
-アルキル、ベンジル、またはC
1
~C
4
-アルコキシ置換ベンジルであり、Xが、ハライド、カルボキシレート、およびスルホネートからなる群から選択される、式(VII)
の化合物。
[発明39]
Rがベンジルであり、かつXがクロリドである、発明38に記載の式(VII)の化合物。
[発明40]
Rが、分岐または直鎖のC
1
~C
7
-アルキル、ベンジル、C
1
~C
4
-アルコキシ置換ベンジルであり、R
3
が、H、PGから選択され、PGが、窒素保護基である、式(IV-B)
の化合物。
[発明41]
Rがベンジルであり、かつR
3
がHである、発明40に記載の式(IV-B)の化合物。
[発明42]
Rがベンジルであり、かつR
3
がベンジルカルバメート(Cbz)である、発明40に記載の式(IV-B)の化合物。
[発明43]
LGが発明19に定義される通りであり、PGが窒素保護基であり、YがH、SO
3
-
M
+
から選択され、M
+
は水素または塩形成カチオンである、式(IV-C)
の化合物。
[発明44]
LGがSO
2
CH
3
であり、PGがベンジルカルバメート(Cbz)であり、かつYがHである、発明43に記載の式(IV-C)の化合物。
[発明45]
LGがSO
2
CH
3
であり、PGがベンジルカルバメート(Cbz)であり、かつYがSO
3
-
NBu
4
+
である、発明43に記載の式(IV-C)の化合物。
[発明46]
式(IA)
の化合物。
[発明47]
R
2
が、分岐または直鎖のC
1
~C
7
-アルキル、ベンジル、C
1
~C
4
-アルコキシ置換ベンジル、CH(アリール)
2
から選択され、好ましくはR
2
が、CH(アリール)
2
であり、より好ましくはR
2
が、CH(C
6
H
5
)
2
である、式(4)
の化合物。
[発明48]
式(22)
の化合物、またはその塩。
[発明49]
式(2A)
の化合物、またはその塩。