以下に本発明の実施例を詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
図1は、本発明の実施例1に係る半導体発光装置10の構成を示す斜視図である。図1に示すように、半導体発光装置10は、実装基板11上に実装された発光素子20を含んで構成されている。
実装基板11は、実装面11Sを有し、実装面11Sに垂直な方向から見た平面形状が長方形の平板状の基板である。実装基板11には、例えば、AlN、アルミナ等の基板が用いられる。
n側給電パッド12は、実装面11S上に平面形状が矩形の金属の配線電極パターンである。n側給電パッド12の1の辺は、実装基板11の短辺に平行に設けられている。n側給電パッド12は、例えば実装基板11を貫通するスルーホール(図示せず)を介して外部の電源に接続可能に形成されている。
p側給電パッド13は、実装面11S上に形成された平面形状が長方形の金属の配線電極パターンである。p側給電パッド13は、実装面11Sの一方の長辺と、n側給電パッド12との間に設けられている。p側給電パッド13の長辺は、近接するn側給電パッド12の辺に対応する長さ、例えば同じ長さである。p側給電パッド13は、例えば実装基板11を貫通するスルーホール(図示せず)を介して外部の電源に接続可能に形成されている。
発光素子20の支持基板14は、平面形状が矩形の平板状の基板である。支持基板14は、Si基板等の導電性を有する基板である。支持基板14は、実装面11S上に、主面が実装面11Sに平行となるように配置されている。支持基板14は、n側給電パッド12に対応するように配置されている。
裏面電極15は、支持基板14の実装面11Sに面する主面、すなわち支持基板14の下面に形成された金属膜である。裏面電極15は、支持基板14の各々に設けられている。裏面電極15は、例えば導電性の接合材(図示せず)を介して、n側給電パッド12に接合されている。すなわち、裏面電極15がn側給電パッド12に接合されることで、支持基板14と実装基板11とが接合されている。
半導体積層体16は、支持基板14の、裏面電極15が形成されている面の反対側の主面、すなわち支持基板14の上面に設けられている。半導体積層体16は、活性層を含む複数の半導体層からなる。半導体積層体16は矩形の平面形状を有し、各辺が支持基板14の各辺に平行となるように配置されている。
半導体積層体16は、金属の接合層(図示せず)を介して支持基板14に貼り合わせられている。例えば、当該金属の接合層は、支持基板14の上面において互いに離間しており、電気的に絶縁されている2つの層からなっている。2つの層の一方は支持基板14と電気的に接続されており、他方は支持基板14と、例えば、支持基板14の上面に形成された絶縁層によって電気的に絶縁されている。
より詳細には、半導体積層体16は、支持基板14側から、p型半導体層、活性層及びn型半導体層がこの順に積層されて構成されている。活性層から出射される出射光の波長は、半導体積層体16の材料及び組成に応じた波長となる。半導体積層体16の上面が光出射面となる。
例えば、p型半導体層は、MgドープGaN層である。活性層(発光層)は、例えば、InGaN井戸層とGaN障壁層からなる多重量子井戸構造を有する半導体層である。
n型半導体層は、例えばSiドープGaN層である。例えば、当該活性層からは、約450nmの波長の青色光が出射される。
半導体積層体16のp型半導体層は、上記した接合層のうち支持基板14と絶縁されている接合層と電気的に接続されている。半導体積層体16のn型半導体層は、支持基板14と電気的に接続されている接合層と電気的に接続されている。
給電部17は、支持基板14上に設けられた金属の電極である。給電部17は、長方形の形状を有し、長辺が半導体積層体16の一辺と平行になるように配置されている。
例えば、給電部17は、例えば支持基板14の上面に形成された絶縁層(図示せず)によって支持基板14と絶縁されている。また、給電部17の各々は、上述した支持基板14の各々の前記支持基板14と絶縁されている方の接合層(図示せず)と電気的に接続されている。従って、給電部17は、半導体積層体16のp型半導体層に電気的に接続されている。
給電部17は、ボンディングワイヤ19を介して実装面11S上に設けられたp側給電パッド13に電気的に接続されている。
このように、発光素子20は、支持基板14、裏面電極15、半導体積層体16、及び給電部17を含んで構成されている。半導体積層体16は、成長基板(図示せず)上に成長された活性層を含む複数の半導体層が接合層を介して支持基板14に接合され、例えばレーザーリフトオフ等により成長基板が除去されたものである。
つまり、発光素子20は、いわゆるシンフィルム(Thin-film)型の貼り合わせ構造を有する上面発光タイプの素子である。半導体積層体16の上面は、発光素子20の光出射面となる。
波長変換部材23は、発光素子20の半導体積層体16上に配置されている。波長変換部材23は、発光素子20から出射される光に対して透過性を有する透光性の部材である。波長変換部材23は、直方体の形状を有している。図1に示すように、波長変換部材23の下面23Bは、半導体積層体16の上面よりも僅かに大きく、半導体積層体16の上面の外側まで広がっている。
溝部23Gは、半導体積層体16の上面に対向する波長変換部材23の下面23Bに形成されている溝形状の凹部である。溝部23Gは、波長変換部材23の下面23Bの端部から面内方向に延在している。
波長変換部材23の下面23Bは、透光性の接着材によって、発光素子20上の半導体積層体16の上面に接着されている。すなわち、波長変換部材23は、透光性の接着材を介して、発光素子20に接着されている。溝部23Gには、当該透光性の接着材が充填されている。なお、図1においては、図の単純化のため、透光性の接着材を図示していない。
波長変換部材23は、発光素子20からの出射光を吸収して蛍光を発する蛍光体等の波長変換材を含んでいる。波長変換部材23は、例えば、蛍光材料を焼結したセラミックプレートである。本実施例において、例えば、蛍光体粒子が波長変換部材23中に均一に含まれている。
本実施例において、例えば、波長変換部材23は、アルミナとYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット、Y3Al5O12)蛍光体を高温焼成して作製されたセラミックプレートである。なお、波長変換部材23は、例えばYAG:Ce蛍光体等の蛍光体粒子を含有する樹脂層であってもよい。あるいは、波長変換部材23は、ガラス製の支持体の表面に蛍光体を含む薄膜が形成されたものから構成されていてもよい。
上記のような蛍光体粒子は、例えば、青色の光によって励起されて黄色蛍光を発する。例えば、発光素子20の光出射面から出射された青色光が波長変換部材23に導入されると、当該青色光と波長変換部材23に含まれる蛍光体粒子からの蛍光との混色によって、半導体発光装置10の光取り出し面23Tから、白色光が取り出される。
半導体積層体16の上面から出射された光は、波長変換部材23に入り、上面23Tに向かう。波長変換部材23の上面23Tは、発光素子20の光取り出し面となる。
反射部材25は、図1において、波長変換部材23等の形状を明確にするため、破線で示されている。反射部材25は、波長変換部材23の側面を覆うように設けられている。反射部材25は、光反射性の粒子を含む部材である。反射部材25は、例えば、樹脂に光反射性の粒子を混合したものである。例えば、反射部材25の光反射性の材料として、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の粒子が用いられる。また、反射部材25には、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。
発光素子20の光出射面から出射されて波長変換部材23に入射した光のうち、波長変換部材23の側面に進行した光は、波長変換部材23と反射部材25との界面で反射される。
反射部材25の上面と、波長変換部材23の23Tとは、光出射面からの高さが同等である。図1に示すように、反射部材25は、上面に開口部25OPを有する。開口部25OPには、波長変換部材23の上面23Tが収まっている。波長変換部材23の上面23Tの外縁と開口部25OPの内縁とが一致していることが好ましい。本実施例において、反射部材25の上面の開口部25OP及び波長変換部材23の上面23Tによって、半導体発光装置10の光取出し面が画定されている。
また、反射部材25によって、発光素子20、p側給電パッド13及びボンディングワイヤ19が、実装基板11上において埋設されている。反射部材25は、半導体発光装置10の封止材としても機能し得る。
図2は、半導体発光装置10の上面図である。図2は、上述した反射部材25を省略して示している。図2に示すように、実装基板11は、上面視において長方形の形状を有している。上述したように、実装基板11の実装面11S上に、矩形形状の支持基板14を有する発光素子20が、支持基板14の1の辺が実装基板11の1の辺に平行となるように実装されている。また、支持基板14上に、矩形形状の半導体積層体16が設けられている。
上述したように、波長変換部材23は、半導体積層体16の上面に設けられている。図2に示すように、上面視において、波長変換部材23の輪郭は、半導体積層体16の輪郭と同等であるが僅かに大きく、半導体積層体16の輪郭を囲んでいる。言い換えれば、波長変換部材23の下面23B(図1参照)は、上面視において半導体積層体16を覆う大きさを有している。
上述したように、波長変換部材23の下面23Bには、溝形状の凹部である溝部23Gが形成されている。図2中、溝部23Gを破線で示している。本実施例において、溝部23Gは、1の辺に平行な方向に伸長する溝と、当該1の辺に垂直な方向に伸長する溝とが交差した十字型の溝である。
また、当該交差している2本の溝の各々は、下面23Bの一方の端部から延在してこれに対向する端部に達している。すなわち、溝部23Gは、下面23Bの端部から面内方向に延在する溝を含んでいる。
例えば、波長変換部材23が半導体積層体16の上面に接着される際に、接着層27に用いられる接着材が、流動性のある状態で下面23Bの中心から外周に向かって広がることによって、接着層27が形成される。上述したように、溝部23Gは、下面23Bの端部に達している。これによって、接着材が下面23Bの中心から外周に向かって広がる際に、下面23Bと半導体積層体16の上面との間に存在する空気を押し出しながら広がり、接着層27が形成される際に気泡が混入し難い。なお、接着層27は、気泡を含んでいてもよい。 図3は、図2に示した半導体発光装置10を3-3線で切断した断面図である。図3において、反射部材25も含めた断面の構成を示している。上述したように、実装基板11の実装面11S上に、支持基板14が裏面電極15を介して配置されている。上述したように、半導体積層体16は、支持基板14の上面に、導電性の接合層(図示せず)を介して接合されている。
波長変換部材23は、直方体形状を有し、下面23Bに溝部23Gが形成されている。図3において、波長変換部材23は、長方形の下面23Bに対応する長辺の中央が欠けている断面形状を有している。
接着層27は、半導体積層体16の上面及び側面を覆うように形成されている。接着層27は、発光素子20から出射される光に対して透過性を有する透光性の接着材からなる。接着層27は、光変換部材23よりも低い屈折率を有している。例えば、接着層27は、シリコーン樹脂等の樹脂を用いて形成される。
また、接着層27は、波長変換部材23の下面23Bを覆っている。本実施例において、波長変換部材23の下面23Bの外縁と接着層27の外縁が一致している。また、下面23Bに形成された溝部23Gの空洞部23Cには、接着層27の接着材が充填されている。従って、溝部23Gの表面23GSは、波長変換部材23と接着層27との間の界面となっている。
上述したように、接着層27の接着材は、波長変換部材23よりも屈折率が低いので、波長変換部材23から接着層27に向かって入射角が臨界角以下となるように光が入射すると、波長変換部材23と接着層27との間の界面、すなわち表面23GSにおいて全反射が起こり得る。溝部23Gにおいて、半導体積層体16の上面と、波長変換部材23の下面の表面23GSとの間に、表面23GSにおいて当該全反射が起こるために十分な、すなわち光学的に有意な接着層27の厚みが確保されている。
反射部材25は、波長変換部材23の側面を覆っている。また、反射部材25の上面は、波長変換部材23の上面23Tと同一平面上にある。
n側裏面配線32は、実装面11Sと反対側の主面上の、n側給電パッド12に対応する部分に設けられた金属配線である。n側裏面配線32は、スルーホール32Hを介してn側給電パッド12に電気的に接続されている。
p側裏面配線33は、実装基板11の実装面11Sと反対側の主面上の、p側給電パッド13に対応する部分に設けられた金属配線である。p側裏面配線33は、スルーホール33Hを介してp側給電パッド13に電気的に接続されている。
半導体積層体16から出射された光は、下面23Bから波長変換部材23に入射する。上面視において、下面23Bの外縁は、接着層27の外縁と一致している。また、上述したように、接着層27の上面視における外縁は、半導体積層体16の上面を覆う大きさ及び形状を有している。これによって、半導体積層体16からの出射光が効率良く波長変換部材23に導入される。
また、接着層27が半導体積層体16の側面を覆っていることで、半導体積層体16の側面からも出射光が出射され得る。出射した光は、直ちに半導体積層体16側に戻されることなく、接着層27を介して波長変換部材23に導入され易くなる。このことからも、半導体積層体16からの出射光が効率良く波長変換部材23に導入されるといえる。波長変換部材23に入射した光は、その一部が蛍光体粒子によって波長変換され、波長変換されていない光と共に上方の光取り出し面23Tに向かう。
図4を参照しつつ、波長変換部材23の溝部23G付近における光の進行方向について説明する。図4は、図3中の破線で囲まれた部分Aの拡大図である。図4に示すように、支持基板14と半導体積層体16との間に、ミラー層29が形成されている。
ミラー層29は、例えばAg、Ag合金等の光反射性の高い金属からなる層である。ミラー層29は、半導体積層体16の活性層から出射された光のうち、支持基板14側、すなわち半導体積層体16の下面側に向かって進んだ光を反射させ、光取り出し面23Tに向かう方向、すなわち半導体積層体16の上面側に向かわせる。
従って、光出射面である半導体積層体16の上面からは、活性層から上面に向かう光に加えてミラー層29によって反射された光が出射される。図4中、半導体積層体16から出射された光を、矢印L1によって模式的に示している。
図4に示すように、半導体積層体16から出射された光L1は、接着層27を経て波長変換部材23に入り、上方に向かう。その後、光L1は、例えば波長変換部材23に含まれる蛍光体粒子に反射されて進行方向が変更されて下方に向かう。
その後、光L1は、溝部23Gの近傍に到達すると、波長変換部材23と接着層27との界面である表面23GSに入射し得る。接着層27は波長変換部材23よりも低い屈折率を有している。また、上述したように溝部23Gにおいて接着層27は十分な厚みを有しているので、光L1は、表面23GSに入射角が臨界角以上となるように入射した場合、表面23GSで全反射されて上方に向かう。
例えば、溝部23Gが形成されていない場合、上述したような接着層27の十分な厚みが確保されない。半導体積層体16の近傍で下方に向かった光は、接着層27を透過して半導体積層体16に再び入射し易くなる。半導体積層体16に再び入射した光は、波長変換部材23とミラー層29との間で反射を繰り返して減衰する。従って、当該光は光取り出し面から出射せずに損失され易い。
本実施例においては、蛍光体粒子による反射等によって、半導体積層体16の近傍で進行方向が下方に変更された光は、表面23GSで反射され得るので、波長変換部材23中で下方に向かった光を再び上方に向かわせることができる。その結果、当該光が半導体積層体16に再び入射する光の割合が少なくなる。
従って、半導体発光装置10の高い光取り出し効率が確保される。ここで、光取り出し効率は、例えば、発光素子20の光出射面から出射した光の光量と、半導体発光装置10の光取り出し面から出る光の光量との比によって規定される効率である。
なお、波長変換部材23の下面23Bのうち、溝部23Gを形成する箇所は、任意である。例えば、溝部23Gは、半導体積層体16の上面から出て波長変換部材23側から半導体積層体16に再び入射する光の量が多い箇所に形成することが好ましい。
また、接着層27の厚みを波長変換部材23の下面23B全体において大きくするよりも、下面23Bの一部に溝部23Gを設けて局所的に接着層27が十分に厚い箇所を形成することが好ましい。溝部23G以外の部分においては半導体積層体16と波長変換部材23との距離を短くして放熱の効率を確保することが好ましい。例えば、溝部23Gの平面形状及び位置は、波長変換部材23の形状等に応じて適宜調整されてもよい。
以上、説明したように、本実施例の半導体発光装置10は、支持基板14上に配置された半導体積層体16を有するいわゆるシンフィルム型の発光素子20と、半導体積層体16上に接着層27を介して接着された波長変換部材23とを有している。波長変換部材23は蛍光体粒子を含む。波長変換部材23は直方体形状を有し、波長変換部材23の上面23Tは半導体発光装置10の光出射面となっている。
波長変換部材23の下面23Bには、十字型の平面形状を有する溝部23Gが形成されている。溝部23Gの空洞部23Cには、接着層27の接着材が充填されている。溝部23Gの表面23GSは、波長変換部材23接着層27との界面となっている。接着層27は、波長変換部材23よりも低い屈折率を有している。
このような構成により、発光素子20の光出射面である半導体積層体16の上面から出射した光は、下面23Bから波長変換部材23に入射し、上方の光取り出し面23Tに向かう。波長変換部材23に入射した光のうち、蛍光体粒子による反射等によって進行方向が変更されて下方に向かった光は、溝部23Gに到達すると、界面である表面23GSで反射されて再び上方に向かって進み得る。当該界面に臨界角以上の角度で入射した光が全反射されることで、当該下方に向かう光が半導体積層体16に再び入射することが抑制される。その結果、当該下方に向かう光が半導体積層体に再入射して減衰すること、すなわち光吸収が抑制される。
従って、光取り出し効率が高く、高輝度の発光を効率良く実現可能な半導体発光装置を提供することができる。
図5及び図6を参照しつつ、実施例2に係る半導体発光装置30について説明する。図5は、半導体発光装置30の上面図である。半導体発光装置30は、波長変換部材23の代わりに波長変換部材31を有している点において実施例1の半導体発光装置10と異なり、その余の点においては半導体発光装置10と同様に構成されている。図5は、半導体発光装置30の反射部材25を省略して示している。波長変換部材31は、半導体積層体16の上面に設けられている。
図5に示すように、波長変換部材31は、上面視において矩形の輪郭を有している。波長変換部材31は、上方に向かって窄んだ角錐台形状の部分を含み、矩形の上面31Tを有している。
図5に示すように、波長変換部材31の輪郭は、半導体積層体16の輪郭と同等であるが僅かに大きく、半導体積層体16の輪郭を囲んでいる。言い換えれば、波長変換部材31は、上面視において半導体積層体16を覆う大きさを有している。
波長変換部材31の下面は、上面視において、波長変換部材31の輪郭に一致する外形を有している。波長変換部材31の下面には、溝形状の凹部である溝部31Gが形成されている。溝部31Gは、平面視において、当該下面の各辺に沿って形成されている4つの溝を含み、当該4つの溝のうち直交する2つの溝が当該下面の四隅で互いに交差した形状を有している。
本実施例において、溝部31Gは、線対称な形状を有している。また、溝部31Gに含まれる上記の4つの溝は、波長変換部材31の上面31Tの各辺と平行である。また、当該4つの溝は、波長変換部材31の下面の外周と、上面31Tの外周との間に形成されている。また、当該4つの溝の各々は、波長変換部材31の端部から、当該端部に対向する端部まで延在している。
図6は、図5の半導体発光装置30を6-6線で切断した断面図である。図6において、反射部材25も含めた断面の構成を示している。実施例1の場合と同様に、半導体積層体16は、支持基板14の上面に、導電性の接合層(図示せず)を介して接合されている。
波長変換部材31は、半導体積層体16上に設けられている。波長変換部材31は、
四角錐台形状の部分である四角錐台部33、四角錐台部33の底面から下方に向かって伸長する直方体形状の部分である直方体部34、及び四角錐台部33の上面から上方に向かって伸長する柱形状の部分である柱形状部35を有している。
図6に示すように、四角錐台部33は、台形の断面形状を有している。四角錐台部33は、半導体積層体16の上面と対向する底面33Bを有し、当該底面33Bから上方に向かって窄む四角錐台形状の部分である。四角錐台部33は、底面33Bに平行であり、かつ、底面33Bよりも面積が小さい上面33Tを有している。
また、四角錐台部33の側面33Sは、光出射面に垂直な方向に対して、底面33Bから上面33Tに向かうに従って、内側に向かって傾斜している。溝部31Gは、四角錐台部33の底面33Bの各辺に沿って形成されている溝を含むといえる。
直方体部34は、四角錐台部33の底面から下方に向かって伸長する直方体形状の部分である。直方体部34は、波長変換部材31の下面31Bを底面とする直方体形状を有する。当該下面31Bに、溝部31Gが形成されている。直方体部34は、半導体積層体16の上面、すなわち発光素子20の光出射面に対して垂直な側面34Sを有している。
図6に示すように、本実施例において、溝部31Gの断面形状は矩形となっている。溝部31Gの断面形状は矩形に限られず、例えば半円形等の曲線を含む断面形状を有していてもよい。
柱形状部35は、直方体部34と接する下面及び発光素子20の光出射面よりも小さい上面を有しかつ光出射面に垂直な方向に沿って上方に向かって伸長する柱状の形状(柱形状)を有する部分である。柱形状部35の上面は波長変換部材31の上面31Tであり、半導体発光装置30の光取出し面である。柱形状部35は、発光素子20の光出射面に垂直な側面35Sを有している。
接着層27は、半導体積層体16の上面及び側面を覆うように形成されている。また、接着層27は、波長変換部材31の下面31Bを覆っている。本実施例において、波長変換部材31下面31Bの外縁と接着層27の外縁が一致している。下面31Bに形成された溝部31Gの空洞部31Cには、接着層27の接着材が充填されている。従って、溝部31Gの表面31GSは、波長変換部材31と接着層27との界面となっている。
反射部材25は、波長変換部材31の側面を覆っている。波長変換部材31の側面に到達した光は、波長変換部材31と反射部材25との界面で反射される。
また、上述したように、反射部材25は、上面に開口部25OPを有する。波長変換部材31の上面31Tの外縁と開口部25OPの内縁とが一致していることが好ましい。本実施例において、反射部材25の上面は、波長変換部材31の上面31Tと同一平面上にある。反射部材25の上面の開口部25OP及び波長変換部材31の上面31Tによって、半導体発光装置30の光取出し面が画定されている。
半導体積層体16から出射された光は、下面31Bから波長変換部材31に入射する。波長変換部材31に入射した光は、その一部が蛍光体粒子によって波長変換され、波長変換されていない光と共に上方の光取り出し面31Tに向かう。
波長変換部材31に入射した光のうち、蛍光体粒子による反射等によって、進行方向が下方に変更された光は、溝部31Gの表面31GSに臨界角以上の角度で入射した場合、表面31GSで全反射されて上方に向かう。従って、波長変換部材31に入射した光が半導体積層体16に再び入射することが抑制される。
このように、波長変換部材31と反射部材25との界面によって、波長変換部材31中で下方に向かった光を再び上方に向かわせることができる。従って、半導体発光装置30の高い光取り出し効率が確保される。
また、波長変換部材31の四角錘台部33は、上面33Tが底面33Bよりも小さく、上方に向かって窄んだ形状を有している。具体的には、四角錘台部33は、内側に向かって傾斜している側面33Sを有している。このような形状により、四角錘台部33に入射した光は、波長変換部材31の内方にその進行方向が変化させられる。その結果、四角錘台部33に入射した光は、上面33Tに向かうに従って絞られて輝度が高くなる。
上面33Tに達した光は、柱形状部35に導入されて上面31Tから半導体発光装置30の外部に取り出される。上面31Tは発光素子20の光出射面よりも小さい。従って、四角錘台部33によって集光されて高輝度化された出射光が波長変換部材31の上面31Tから取り出される。
例えば、波長変換部材31は、蛍光体セラミックプレートを切削加工して製造される。当該切削加工の際に、例えば切削用のブレードが発光素子20の光出射面に垂直な方向に沿って挿入される。例えば、当該ブレード挿入深さの変動等によって側面34S又は35Sの上下方向の寸法が変動する場合がある。そのような場合でも、側面34S及び35Sは発光素子20の光出射面に垂直であることで、上面31T及び下面31Bの寸法は変動しない。従って、光出射面からの出射光が導入される下面31B及び光取り出し面である上面31Tを、設計値通りに安定して製造することができる。
以上、説明したように、本実施例の半導体発光装置30は、支持基板14上に配置された半導体積層体16を有するいわゆるシンフィルム型の発光素子20と、半導体積層体16上に接着層27を介して接着された波長変換部材31とを有している。
波長変換部材31は、上方に向かって窄まる四角錐台形状の部分である四角錐台部33、四角錐台部33の底面から下方に向かって伸長し半導体積層体16に対向する下面31Bを有する直方体形状の部分である直方体部34、及び四角錐台部33の上面から上方に向かって伸長する柱形状の部分であり半導体発光装置30の光取り出し面31Tを有する柱形状部35を有している。
波長変換部材31の下面31Bには、溝形状の凹部である溝部31Gが形成されている。溝部31Gは、平面視において、下面31Bの各辺に沿って形成されている4つの溝を含み、当該4つの溝のうちの2つずつが下面31Bの四隅で互いに交差した形状を有している。溝部31Gの空洞部31Cには、接着層27の接着材が充填されている。溝部31Gの表面31GSは、波長変換部材31と接着層27との界面となっている。接着層27は、波長変換部材31よりも低い屈折率を有している。
このような構成により、発光素子20の光出射面である半導体積層体16の上面から出射した光は、下面31Bから波長変換部材31に入射し、上方の光取り出し面31Tに向かう。波長変換部材31に入射した光のうち、蛍光体粒子による反射等によって進行方向が変更されて下方に向かった光は、溝部31Gに到達すると、表面31GSで反射されて再び上方に向かって進み得る。表面31GSに臨界角以上の角度で入射した光が全反射されることで、当該下方に向かう光が半導体積層体16に再び入射することが抑制される。つまり、当該下方に向かった光が半導体積層体16に再び入射して減衰すること、すなわち光吸収が抑制される。
また、波長変換部材31は角錐台形状の部分である四角錘台部33を含む。このような形状により、四角錘台部33に入射した光は、上面33Tに向かうに従って絞られて輝度が高くなる。
加えて、下面31Bを含む直方体部34及び光取り出し面31Tを含む柱形状部35は、発光素子20の光出射面に垂直な側面34S及び35Sをそれぞれ有している。このような構成により、波長変換部材31を製造するための加工の際に、下面31B及び上面31Tの寸法の変動を少なくすることができる。
従って、光取り出し効率が高く、高輝度の発光を効率良く実現可能であり、加えて歩留まりの高い半導体発光装置を提供することができる。
図7は、実施例3に係る半導体発光装置40の上面図である。半導体発光装置40は、支持基板11上に2つの発光素子20が配列されて実装されている点、及び波長変換部材31とは形状が異なる波長変換部材41を有している点において実施例2の半導体発光装置30と異なる。半導体発光装置40は、その余の点においては半導体発光装置30と同様に構成されている。図7は、半導体発光装置40の反射部材25を省略して示している。
図7に示すように、実装基板11の実装面11S上に、支持基板14を有する2つの発光素子20が、実装基板11の長辺に沿って配列されて実装されている。並置された2つの矩形形状の支持基板14上に、2つの矩形形状の半導体積層体16がそれぞれ設けられている。
波長変換部材41は、2つの半導体積層体16の上面に亘って、当該2つの上面の両方を覆うように設けられている。図7に示すように、上面視において、波長変換部材41の輪郭は、2つの半導体積層体16を囲んでいる。波長変換部材41の下面の外形は波長変換部材41の輪郭と一致し、当該下面は、上面視において2つの半導体積層体16の上面全体を覆う大きさを有している。また、波長変換部材41は、当該下面よりも小さい上面41Tを有している。
波長変換部材41の下面には、溝形状の凹部である溝部41Gが形成されている。溝部41Gは、平面視において、波長変換部材41の下面の各辺に沿って形成されている4つの溝を含んでいる。当該4つの溝は、当該下面の四隅においてそれぞれ交差している。さらに、溝部41Gは、隣接する2つの半導体積層体16の各々の辺のうち隣の半導体積層体16に対向する2つの辺に沿って形成されている2つの溝を含んでいる。
換言すれば、溝部41Gは、2つの半導体積層体16の各々の4つの辺に沿って形成されている4つの溝を含んでいる。また、当該各々の4つの辺に沿った溝のうち、波長変換部材41の下面の長辺に沿っている溝は、当該下面の一方の短辺から他方の短辺までの一続きの溝となっている。1つの発光素子20について、実施例2と同様の平面形状を有する溝が形成されている。
本実施例において、溝部41Gは、線対称な形状を有している。また、波長変換部材41の下面の各辺に沿って形成されている4つの溝は、平面視において、波長変換部材41の下面の外周と、上面41Tとの間に形成されている。
図8は、図7の半導体発光素子40を8-8線で切断した断面図である。図8に示すように、2つの支持基板14の各々の上面に、導電性の接合層(図示せず)を介して半導体積層体16がそれぞれ接合されている。
波長変換部材41は、2つの半導体積層体16上に亘って設けられている。波長変換部材41は、上方に向かって窄まる四角錐台形状の部分である四角錐台部43、四角錐台部43の底面から下方に向かって伸長し半導体積層体16に対向する下面41Bを有する直方体形状の部分である直方体部44、及び四角錐台部43の上面から上方に向かって伸長する柱形状の部分であり半導体発光装置40の光取り出し面41Tを有する柱形状部45を有している。
四角錐台部43は、台形の断面形状を有している。四角錐台部43は、2つの半導体積層体16と対向する底面43Bから上方に向かって窄む四角錐台形状を有する。四角錐台部43は、底面43Bに平行であり、かつ、底面43Bよりも面積が小さい上面43Tを有している。
また、四角錐台部43の側面43Sは、光出射面に垂直な方向に対して、底面43Bから上面43Tに向かうに従って、内側に向かって傾斜している。
直方体部44は、四角錐台部43の底面Bから下方に向かって伸長し半導体積層体16に対向する下面41Bを有する直方体形状を有する。当該直方体部44下面41Bに溝部41Gが形成されている。直方体部44は、半導体積層体16の上面、すなわち発光素子20の光出射面に対して垂直な側面44Sを有している。
柱形状部45は、四角錐台部43と接する下面を有し発光素子20の光出射面に垂直な方向に沿って上方に向かって伸長する柱状の形状(柱形状)を有する。柱形状部45の上面は波長変換部材41の上面41Tであり、半導体発光装置40の光取出し面である。柱形状部45は、2つの発光素子20の光出射面に垂直な側面45Sを有している。
接着層27は、2つの半導体積層体16の上面及び側面を覆うように形成されている。本実施例において、例えば、隣接する2つの半導体積層体16の間にも接着層27が形成されている。なお、2つの支持基板14の間は、空隙となっていてもよく、反射部材25が充填されていてもよい。
また、接着層27は、波長変換部材41の下面41Bを覆っている。本実施例において、波長変換部材41下面41Bの外縁と接着層27の外縁が一致している。下面41Bに形成された溝部41Gの空洞部41Cには、接着層27の接着材が充填されている。従って、溝部41Gの表面41GSは、波長変換部材41と接着層27との界面となっている。
上記のような構成により、発光素子20の各々から波長変換部材41に入射して上方に向かった光のうち、進行方向が下方に変更された光は、溝部41Gに到達すると、表面41GSで反射されて再び上方に向かって進み得る。従って、実施例1及び実施例2の場合と同様に、溝部41Gの近傍で光吸収が抑制される。
なお、2つの支持基板14の間にも反射部材25が充填されている場合、例えば当該反射部材25と接着層27又は波長変換部材41との界面に到達した光が拡散反射され得る。
また、波長変換部材41は、上方に向かって窄む四角錐台形状の四角錐台部43を有している。従って、実施例2の場合と同様に、四角錐台部43に入射した光は、上面41Tに向かうに従って絞られて輝度が高くなる。
また、波長変換部材41は、光出射面に対して垂直な側面44S及び45Sを含む。このような形状によって、実施例2の場合と同様に、波長変換部材41の製造時の寸法誤差の発生が抑制される。
従って、複数の発光素子20を用いた場合でも、光取り出し効率が高く、高輝度の発光を効率良く実現可能であり、加えて歩留まりの高い半導体発光装置を提供することができる。
なお、実施例3において、2つの発光素子20が実装基板11に実装されている例について説明したが、実装基板11に実装される発光素子20の数はこれに限られない。例えば3つ以上の発光素子20が実装基板11に実装されていてもよい。並置された複数の支持基板14の各々の上に複数の半導体積層体16がそれぞれ配され、当該複数の半導体積層体16上の全体に亘って波長変換部材41が設けられていれば良い。
上記の実施例において、発光素子20及び透光性部材の各部の上面及び下面の平面形状が矩形である場合について説明したが、これに限られない。例えば、発光素子20及び透光性部材の各部の上面及び下面の平面形状は、多角形又は曲面を含む形状であってもよい。
また、上記の実施例において、波長変換部材の下面の端部に達している溝を含む溝部について説明したが、これに限られない。波長変換部材は、当該端部に達している溝
に代えて、又は当該溝に加えて、波長変換部材の下面の端部に達していない凹部を有していても良い。例えば、波長変換部材の下面には、例えばディンプル形状のような、多角形又は円形の不連続な凹部が形成されていてもよい。
なお、上記の実施例において、溝部23G等の溝部の断面形状が矩形となっている例を示した。溝部の断面形状は矩形に限られず、例えば半円形等の曲線を含む断面形状を有していてもよい。
上記の実施例において、波長変換部材の下面に形成された溝部に含まれる溝の各々が、波長変換部材の下面の端部から延在している例について説明した。このような場合、接着層27が形成される際に気泡が混入し難く、蛍光体粒子からの熱に関する放熱性の観点で好ましい。なお、接着層27が形成される際に気泡が混入してもよい。波長変換部材と接着層27との界面で光を全反射させる観点からは気泡が存在してもよい。
なお、上記の実施例において、発光素子20がいわゆるシンフィルム型の発光素子である場合について説明したが、これに限られない。例えば、発光素子20の代わりに、フリップチップ型の発光素子を用いてもよい。
また、上記の実施例において、波長変換部材が蛍光体粒子を含む例について説明したが、これに限られない。例えば、波長変換部材に代えて、蛍光体粒子を含まない透光性の光学部材を用いてもよい。この場合においても、例えば発光素子20の半導体積層体16の上面から出射されて当該光学部材の側壁で反射された光が再び半導体積層体16に入射することを抑制することができる。
上述した実施例における構成は例示に過ぎず、用途等に応じて適宜変更可能である。