図1は、本発明の実施例1に係る半導体発光装置10の構成を示す斜視図である。図1に示すように、半導体発光装置10は、実装基板11上に実装された2つの発光素子20を含んで構成されている。
実装基板11は、実装面11Sを有し、実装面11Sに垂直な方向から見た平面形状が長方形の平板状の基板である。実装基板11には、例えば、AlN、アルミナ等の基板が用いられる。
n側給電パッド12は、実装面11S上に平面形状が矩形の金属の配線電極パターンである。n側給電パッド12の1の辺は、実装基板11の短辺に平行に設けられている。図1において、実装基板11の長辺に沿って2つのn側給電パッド12が互いに離間して配列されている。n側給電パッド12は、例えば実装基板11を貫通するスルーホール(図示せず)を介して外部の電源に接続可能に形成されている。
p側給電パッド13は、実装面11S上に形成された平面形状が長方形の金属の配線電極パターンである。p側給電パッド13は、実装面11Sの一方の長辺と、n側給電パッド12との間に設けられている。p側給電パッド13の長辺は、近接するn側給電パッド12の辺に対応する長さ、例えば同じ長さである。p側給電パッド13は、2つのn側給電パッド12の各々に沿って、配列されている。p側給電パッド13は、例えば実装基板11を貫通するスルーホール(図示せず)を介して外部の電源に接続可能に形成されている。
2つの発光素子20は、実装基板11の実装面11S上に設けられている。2つの発光素子20の各々は、n側給電パッド12の各々の上に配されている。
発光素子20の支持基板14は、平面形状が矩形の平板状の基板である。支持基板14は、Si基板等の導電性を有する基板である。支持基板14は、実装面11S上に、主面が実装面11Sに平行となるように配置されている。支持基板14は、n側給電パッド12に対応するように配置されている。支持基板14は、2つのn側給電パッド12の各々の上に配置されている。
裏面電極15は、支持基板14の実装面11Sに面する主面、すなわち支持基板14の下面に形成された金属膜である。裏面電極15は、支持基板14の各々に設けられている。裏面電極15は、例えば導電性の接合材(図示せず)を介して、n側給電パッド12に接合されている。すなわち、裏面電極15がn側給電パッド12に接合されることで、支持基板14と実装基板11とが接合されている。
半導体積層体16は、支持基板14の、裏面電極15が形成されている面の反対側の主面、すなわち支持基板14の上面に設けられている。半導体積層体16は、活性層を含む複数の半導体層からなる。半導体積層体16は矩形の平面形状を有し、各辺が支持基板14の各辺に平行となるように配置されている。
半導体積層体16は、金属の接合層(図示せず)を介して支持基板14に貼り合わせられている。例えば、当該金属の接合層は、支持基板14の上面において互いに離間しており、電気的に絶縁されている2つの層からなっている。2つの層の一方は支持基板14と電気的に接続されており、他方は支持基板14と、例えば、支持基板14の上面に形成された絶縁層によって電気的に絶縁されている。半導体積層体16は、2つの支持基板14の各々に設けられている。
より詳細には、半導体積層体16は、支持基板14側から、p型半導体層、活性層及びn型半導体層がこの順に積層されて構成されている。活性層から出射される出射光の波長は、半導体積層体16の材料及び組成に応じた波長となる。半導体積層体16の上面が光出射面となる。
例えば、p型半導体層は、MgドープGaN層である。活性層(発光層)は、例えば、InGaN井戸層とGaN障壁層からなる多重量子井戸構造を有する半導体層である。
n型半導体層は、例えばSiドープGaN層である。例えば、当該活性層からは、約450nmの波長の青色光が出射される。
半導体積層体16のp型半導体層は、上記した接合層のうち支持基板14と絶縁されている接合層と電気的に接続されている。半導体積層体16のn型半導体層は、支持基板14と電気的に接続されている接合層と電気的に接続されている。
給電部17は、支持基板14上に設けられた金属の電極である。給電部17は、長方形の形状を有し、長辺が半導体積層体16の一辺と平行になるように配置されている。
例えば、給電部17の各々は、例えば支持基板14の上面に形成された絶縁層(図示せず)によって支持基板14と絶縁されている。また、給電部17の各々は、上述した支持基板14の各々の前記支持基板14と絶縁されている方の接合層(図示せず)と電気的に接続されている。従って、給電部17は、半導体積層体16のp型半導体層に電気的に接続されている。
給電部17は、ボンディングワイヤ19を介して実装面11S上に設けられたp側給電パッド13に電気的に接続されている。
このように、発光素子20は、支持基板14、裏面電極15、半導体積層体16、及び給電部17を含んで構成されている。半導体積層体16は、成長基板(図示せず)上に成長された活性層を含む複数の半導体層が接合層を介して支持基板14に接合され、例えばレーザーリフトオフ等により成長基板が除去されたものである。
つまり、発光素子20は、いわゆるシンフィルム(Thin-film)型の貼り合わせ構造を有する上面発光タイプの素子である。半導体積層体16の上面は、発光素子20の光出射面となる。
透光性部材23は、2つの発光素子20上に、2つの発光素子20の配列方向に沿って延在している。透光性部材23は、発光素子20から出射される光に対して透過性を有する透光性の部材である。透光性部材23は、透光性の接着材(図示せず)によって、発光素子20上の半導体積層体16の上面に接着されている。透光性部材23は、第1の部分24、第2の部分25及び第3の部分26を有している。
第1の部分24は、下方に向かって窄んでいる角錐台形状を有している。第1の部分24は、発光素子20の上面と対向する下面を有し、上方に向かって発光素子20の光出射面に平行な方向における幅が広がる形状を有する部分である。
第1の部分24は、当該下面に平行でありかつ当該下面よりも面積が大きい上面を有している。第1の部分24の下面及び上面は長方形の形状を有している。第1の部分24の下面の長手方向は、発光素子20の配列方向に沿っている。以下、発光素子20の配列方向を半導体発光装置10の長手方向とする。
第2の部分25は、第1の部分24の上面と対向する下面を有し、上方に向かって光出射面に平行な方向における幅が狭まる形状を有する部分である。第2の部分25は、下面に平行であり、かつ、第1の部分24の下面よりも面積が小さい、すなわち発光素子20の光出射面よりも面積が小さい上面を有している。
より詳細には、第2の部分25の下面は、第1の部分24の上面と大きさ及び形状が一致しており、長方形の形状を有している。また、第2の部分25の上面も長方形の形状を有している。第2の部分25は、上方に向かって窄んでいる角錐台形状を有している。
第3の部分26は、第2の部分25と接する下面及び発光素子20の光出射面よりも小さい上面を有しかつ光出射面に垂直な方向に沿って上方に向かって伸長する柱状の形状(柱形状)を有する部分である。第3の部分26は、直方体形状を有しており、第3の部分26の上面及び下面は長方形である。
図1に示すように、第3の部分26の上面26Tは、透光性部材23の上面である。また、当該上面26Tは、半導体発光装置10の光取り出し面である。
透光性部材23は、少なくとも一部に、発光素子20からの出射光を吸収して蛍光を発する蛍光体等の波長変換材を含んでいてもよい。透光性部材23は、例えば、蛍光材料を焼結したセラミックプレートである。本実施例において、例えば、蛍光体粒子が透光性部材23中に均一に含まれている。
本実施例において、例えば、透光性部材23は、アルミナとYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット、Y3Al5O12)蛍光体を高温焼成して作製されたセラミックプレートである。なお、透光性部材23は、例えばYAG:Ce蛍光体等の蛍光体粒子を含有する樹脂層であってもよい。あるいは、透光性部材23は、ガラス製の支持体の表面に蛍光体を含む薄膜が形成されたものから構成されていてもよい。
上記のような蛍光体粒子は、例えば、青色の光によって励起されて黄色蛍光を発する。例えば、発光素子20の光出射面から出射された青色光が蛍光体粒子を含む透光性部材23に導入されると、当該青色光と蛍光体粒子からの蛍光との混色によって、半導体発光装置10の光取り出し面26Tから、白色光が取り出される。
なお、例えば、透光性部材23が波長変換材を含まない場合、発光素子20から出射された波長の光が光取り出し面26Tから取り出される。例えば、発光素子20から青色光が出射される場合に、波長変換されていない青色光を光取り出し面26Tから取り出すことができる。
反射部材27は、図1において、透光性部材23等の形状を明確にするため、破線で示されている。反射部材27は、透光性部材23の側面を覆うように設けられている。反射部材27は、光反射性の粒子を含む部材である。反射部材27は、例えば、樹脂に光反射性の粒子を混合したものである。例えば、反射部材27の光反射性の材料として、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の粒子が用いられる。また、反射部材27には、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。
発光素子20の光出射面から出射されて透光性部材23に入射した光のうち、透光性部材23の側面に進行した光は、透光性部材23と反射部材27との界面で反射される。
反射部材27の上面と、透光性部材23の上面、すなわち第3の部分26の上面26Tとは、光出射面からの高さが同等である。図1に示すように、反射部材27は、上面に開口部27OPを有する。開口部27OPには、透光性部材23の上面26Tが収容されている。透光性部材23の上面26Tの外縁と開口部27OPの内縁とが一致していることが好ましい。本実施例において、反射部材27の上面の開口部27OP及び透光性部材23の上面26Tによって、半導体発光装置10の光取出し面が画定されている。
また、反射部材27によって、発光素子20、p側給電パッド13及びボンディングワイヤ19が、実装基板11上において埋設されている。反射部材27は、半導体発光装置10の封止材としても機能し得る。
図2は、半導体発光装置10の上面図である。図2において、反射部材27を省略して示している。図2に示すように、実装基板11は、上面視において長方形の形状を有している。上述したように、実装基板11の実装面11S上に、矩形形状の支持基板14を有する2つの発光素子20が実装基板11の長手方向に沿って配列されて実装されている。また、発光素子20の各々に、矩形形状の半導体積層体16が設けられている。
上述したように、透光性部材23は、発光素子20上に設けられている。図2に示すように、上面視において、透光性部材23の第1の部分24の下面24Bの輪郭が、2つの発光素子20上の半導体積層体16の輪郭を囲んでいる。言い換えれば、下面24Bは、上面視において半導体積層体16を覆う大きさを有している。
また、第1の部分24の上面24Tは、当該下面24Bよりも大きい。透光性部材23の第2の部分25の下面25Bは、第1の部分24の上面24Tと一致している。
透光性部材23の第3の部分26の上面26Tは、第2の部分25の上面25Tと一致している。図2において、下面24B、下面25B、上面25T及び上面26Tはいずれも長方形の形状を有している。上面26Tは、第1の部分24の下面24Bよりも小さく、上面視において、上面26Tは下面24Bの外周よりも内側に収まっている。すなわち、上面視において下面24Bの輪郭が上面26Tの輪郭を囲んでいる。
上述したように、第1の部分24は下方に向かって窄む角錐台形状を有し、第2の部分25は上方に向かって窄む角錐台形状を有している。従って、第1の部分24の4つの側面及び第2の部分25の4つの側面は、透光性部材23の下面に対して傾斜している。第1の部分24及び第2の部分25の形状はこれに限られず、それぞれの4つの側面は、透光性部材23の下面に対して垂直な側面を1つ以上含んでいてもよい。
図3は、図2の半導体発光装置10を3-3線に沿って切断した断面図である。図3において、反射部材27も含めた断面の構成を示している。上述したように、実装基板11の実装面11S上に、支持基板14が裏面電極15を介して配置されている。
上述したように、半導体積層体16は、支持基板14の上面に、導電性の接合層(図示せず)を介して接合されている。
接着層29は、半導体積層体16の上面及び側面を覆うように形成されている。接着層29は、発光素子20から出射される光に対して透過性を有する透光性の接着材からなる。また、接着層29は、透光性部材23の下面を覆っている。すなわち、透光性部材23は、接着層29を介して半導体積層体16の上面に接着されている。
本実施例において、透光性部材23の下面、すなわち第1の部分24の下面24Bの上面視における外縁は、2つの半導体積層体16が2つの発光素子20の各々の上に配された状態における当該2つの半導体積層体16の上面視における外縁と同等の寸法及び形状を有している。また、当該下面24Bの寸法及び形状は、接着層29の上面の寸法及び形状と一致している。
従って、図3において、第1の部分24の下面24Bの幅と接着層29の幅とが一致している。また、図3において、第1の部分24の下面24Bは、半導体積層体16と同等の幅を有している。
なお、当該下面24Bは、半導体積層体16の上面視における外縁よりも大きくともよい。その場合にも、下面24Bの全体を覆うように、接着層29が形成されることが好ましい。例えば、下面24Bの外周部分の半導体積層体16の外側の部分まで接着層29が形成され、下面24Bを覆っていてもよい。その結果、例えば接着層の29の側面が、上に向かって広がるフィレット状となっていてもよい。
透光性部材23は、第1の部分24、第2の部分25及び第3の部分26を有している。上述したように、第1の部分24は、発光素子20の上面と対向する下面を有している。図3に示すように、第1の部分24は、上方に向かって光出射面に平行な方向における幅が広がる台形の断面形状を有している。第1の部分24の側面24Sは、光出射面に垂直な方向に対して、下面24Bから上面24Tに向かうに従って、外側に向かって傾斜している。
第2の部分25は、第1の部分24の上面24Tと対向する下面25Bを有している。第2の部分25は、上方に向かって光出射面に平行な方向の幅が狭まる台形の断面形状を有している。第2の部分25の側面25Sは、光出射面に垂直な方向に対して、下面25Bから上面25Tに向かうに従って、内側に向かって傾斜している。
また、図3に示すように、第1の部分24の上面の幅と、第2の部分25の下面の幅とは一致している。また、第2の部分25の上面の幅は、発光素子20の光出射面の幅よりも小さくなっている。
第3の部分26は、第2の部分25の上面と接する下面及び発光素子20の光出射面よりも小さい上面を有している。図3に示すように、第3の部分26は、光出射面に垂直な方向に沿って伸長する長方形の断面形状を有している。第3の部分26の側面26Sは、光出射面に垂直な側面である。
p側裏面配線32は、実装基板11の実装面11Sと反対側の主面上の、p側給電パッド13に対応する部分に設けられた金属配線である。p側裏面配線32は、スルーホール32Hを介してp側給電パッド13に電気的に接続されている。
n側裏面配線33は、実装面11Sと反対側の主面上の、n側給電パッド12に対応する部分に設けられた金属配線である。n側裏面配線33は、スルーホール33Hを介してn側給電パッド12に電気的に接続されている。
図3中の「A」は、第2の部分25の、光出射面に垂直な方向における高さを示している。図3中の「B」は、第1の部分24の光出射面に垂直な方向における高さを示している。図3に示すように、透光性部材23は、第2の部分の高さ「A」は、第1の部分の高さ「B」よりも大きく(A>B)なるように構成されている。
半導体積層体16から出射された光は、第1の部分24の下面24Bから透光性部材23に入射する。上述のように第1の部分24の下面24Bは、2つの接着層29の上面全体を覆うサイズ及び形状を有しているため、並置された2つの半導体積層体16の外縁と同等のサイズ及び形状を有している。これによって、半導体積層体16からの出射光が効率良く透光性部材23に導入される。
また、接着層29が半導体積層体16の側面を覆っていることで、半導体積層体16の側面からも出射光が出射され得る。出射した光は、直ちに半導体積層体16側に戻されることなく、接着層29を介して透光性部材23に導入され易くなる。このことからも、半導体積層体16からの出射光が効率良く透光性部材23に導入されるといえる。
透光性部材23に入射した光は、その一部が蛍光体粒子によって波長変換され、波長変換されていない光と共に上方へ向かう。当該透光性部材23に入射した光のうち、第1の部分24の側面24Sに到達した光は、反射部材27との界面である側面24Sに反射されて上方の第2の部分25に向かう。側面24Sは、光出射面の外側に向かって傾斜しているので、側面24Sに到達した光を上方に向けて反射させることができる。従って、半導体積層体16から出射されて第1の部分24に入射した出射光が半導体積層体16の方向に戻ること(戻り光)が抑制される。
例えば、透光性部材23が第1の部分24を有していない場合において、蛍光体粒子による反射又は透光性部材23の側面での反射等によって、一旦半導体積層体16から
出射した光が半導体積層体16に再度入射した場合、当該再度入射した光は半導体積層体16に吸収され、光取り出し面から取り出すことができず、光損失となる。本実施例によれば、傾斜面である側面24Sを有する第1の部分24の形状によってこのような現象を抑制し得る。
第2の部分25に入射した光は、第2の部分25の下面25Bから上面25Tに向かう。上面25Tは、下面25Bよりも小さく、第2の部分25は上方に向かって窄んだ形状を有する。第2の部分25に入射した光は、側面25Sにおいて、透光性部材23の内方にその進行方向が変化させられる。その結果、第2の部分25に入射した光は、上面25Tに向かうに従って絞られて輝度が高くなる。上面25Tに到達した光は、第3の部分26に導入される。
第3の部分26に導入された光は、第3の部分26の上面26Tから取り出される。当該上面26Tは、第2の部分25の上面25Tと寸法及び形状が一致しており、発光素子20の光出射面よりも小さい。従って、第2の部分25によって集光されて高輝度化された出射光を上面26Tから取り出すことができる。
このように、外側に向かって傾斜する側面24Sを有する第1の部分24によって、半導体積層体16から出射されて第1の部分24に入射した出射光が半導体積層体16の方向に戻ることを抑制し、半導体積層体16に吸収される光を少なくすることができ、高い光取り出し効率を確保することができる。
ここで、光取り出し効率は、例えば、発光素子20の光出射面から出射した光の光量と、半導体発光装置10の光取り出し面から出る光の光量との比によって規定される効率である。
また、内側に向かって傾斜する側面25Sを有する第2の部分25によって、半導体積層体16の上面である光出射面よりも小さい光取り出し面26Tに出射光を集めることができる。従って、光出射面からの出射光を高輝度化して光取り出し面から取り出すことができる。例えば、半導体発光装置10を自動車用前照灯に用いる場合、光取り出し面が小さいことで、レンズ等を含む光学系の小型化を実現することができる。
なお、上記したような戻り光の抑制及び高輝度化を両立させるために、例えば、第2の部分の高さ「A」が第1の部分の高さ「B」よりも大きく(A>B)なるようにすることが好ましい。
図4A及び図4Bを参照しつつ、透光性部材23の製造方法の一例について説明する。図4Aは、ダイシングテープ33上に配置された蛍光体セラミックプレート35及び蛍光体セラミックプレート35を加工するために用いられる第1のブレード37の先端部分の近傍を示す断面図である。
図4Aに示すように、第1のブレード37は、互いに平行な側面37Fを有し、先端部分において傾斜面37Sを有している。傾斜面37Sは、透光性部材23の第2の部分25の側面である側面25Sの傾斜角度に対応する加工が可能であるように調整されている。第1のブレード37の先端部分の頂部は、側面37Fに対して垂直な部分37Eを有している。
図4Aの工程において、ダイシングテープ33上に蛍光体セラミックプレート35を配置し、第1のブレード37を用いて、蛍光体セラミックプレート35の上面に溝を形成する。図4Aは、当該溝を形成する際に、蛍光体セラミックプレート35に第1のブレード37が挿入されている状態を示している。
例えば、当該溝の形成は、蛍光体セラミックプレート35の上面視(図示せず)においてX方向とこれに垂直な方向であるY方向について行う。X方向の溝とY方向の溝とによって囲まれた部分の大きさが所定の面積となるようにブレードの間隔を設定する。例えば、当該溝と隣接する溝との間隔は、透光性部材23の上面、すなわち第3の部分26の上面26Tの設計寸法に合わせて設定される。
図4Aに示すように、第1のブレード37の先端部分を蛍光体セラミックプレート35に対して側面37Fが垂直となるように挿入すると、側面37Fによって加工された部分は、透光性部材23の第3の部分26となる。また、第1のブレード37の傾斜面37Sによって加工された部分は、透光性部材23の第2の部分25となる。
図4Bは、図4Aの工程で溝が形成された蛍光体セラミックプレート35の上面と下面とを反転させたもの及び当該上下反転された蛍光体セラミックプレート35を加工するために用いられる第2のブレード38の先端部分の近傍を示す断面図である。
図4Bに示すように、第2のブレード38は、互いに平行な側面38Fを有し、先端部分において傾斜面38Sを有している。傾斜面38Sは、透光性部材23の第1の部分24の側面である側面24Sの傾斜角度に対応する加工が可能であるように調整されている。第2のブレード38は、第1のブレード37と同様に、先端部分の頂部において、側面38Sに対して垂直な部分38Eを有している。
図4Bの工程において、ダイシングテープ33上に蛍光体セラミックプレート35を、溝が加工されていない主面を上にして配置し、第2のブレード38を用いて、蛍光体セラミックプレート35の当該主面に溝を形成する。図4Bは、当該溝を形成する際に、蛍光体セラミックプレート35に第2のブレード38が挿入されている状態を示している。
例えば、図4Bの工程における溝の形成は、反転された蛍光体セラミックプレート35の上面視(図示せず)において、図4Aの工程において溝が形成されたX方向とこれに垂直な方向であるY方向について行う。X方向の溝とY方向の溝とによって囲まれた部分の大きさが所定の面積となるように第2のブレード38の間隔を設定する。例えば、当該溝と隣接する溝との間隔は、透光性部材23の下面、すなわち第1の部分24の下面24Bの寸法に合わせて設定される。また、例えば、当該溝同士の間隔は、並置された2つの半導体積層体16の外縁の寸法及び形状に合わせて設定される。
図4Bに示すように、第2のブレード38の先端部分を蛍光体セラミックプレート35に対して側面38Fが垂直となるように挿入すると、第2のブレード38の傾斜面38Sによって加工された部分は、透光性部材23の第1の部分24の側面24Sとなる。また、図4Bの工程において、側面24Sの形成に伴って、蛍光体セラミックプレート35が切断されて個片化される。このようにして、透光性部材23が製造される。
なお、上述した例のように、ブレードによる切削加工により透光性部材23を作製する場合には、蛍光体セラミックプレート35の加工された面は、加工されていない透光性部材23の上面26Tや下面24Bよりも粗くなり得る。
個片化された透光性部材23は、各々が発光素子20の半導体積層体16の上に接着層29を介して配される。その後、発光素子20及び透光性部材23の側面と、枠体(図示せず)との間に反射部材21を充填することで、図1に示したような半導体発光装置10を作製することができる。
上述したように、第1のブレード37によって、第3の部分26を加工することができる。第3の部分26の側面26Sは、第1のブレード37の側面37Fによって加工される。第3の部分の上面26Tの寸法及び形状は、隣り合う第1のブレード37の側面37Fの間隔によって画定される。
図4Aに示したように、第1のブレード37が蛍光体セラミックプレート35に対して垂直に挿入される場合、隣り合う第1のブレード37の側面37Fはいずれも挿入方向に沿っている。従って、第1のブレード37の挿入深さが変動しても、第3の部分26の上面26Tの寸法は変動しない。言い換えれば、第3の部分26が発光素子の上面に垂直な側面26Sを有していることで、上面26Tの寸法及び形状は、第1のブレード37が蛍光体セラミックプレートに挿入される挿入深さの影響を受け難い。
例えば、第1のブレード37の挿入深さに設計値からの誤差や個体差が生じても、上面26Tの寸法及び形状に当該誤差や個体差は発生し難い。従って、透光性部材23の上面であり光取り出し面である上面26Tの設計通りの寸法及び形状に加工することができる。
また、第3の部分26の当該形状によって、反射部材27の材料となる流動性のある樹脂を充填する際に、第3の部分26の側面26Sを伝って上面26Tまで当該樹脂が這い上がり難くなっている。従って、反射部材27が上面26Tからの光出射を妨げることなく、反射部材27の開口部27OPの輪郭が上面26Tと一致している。
従って、半導体発光装置10の光取出し面の形状及び大きさを所望の形状及び大きさに精度良く画定することができる。
以上、詳細に説明したように、本実施例の半導体発光装置10は、発光素子20、発光素子20上に設けられた透光性部材23及びこれらの側面を覆う反射部材27を有している。透光性部材23は、発光素子20の上面と対向する下面24Bを有しかつ上方に向かって発光素子20の光出射面に平行な方向における幅が広がる形状を有する第1の部分24を有している。
また、透光性部材23は、第1の部分24の上面24Tと対向する下面25Bを有しかつ上方に向かって発光素子20の光出射面に平行な方向における幅が狭まる形状を有する第2の部分25を有する。
さらに、透光性部材23は、第2の部分25の上面25Tと接する下面26B及び発光素子20の光出射面よりも小さい上面26Tを有しかつ光出射面に垂直な方向に沿って柱状に伸長する形状を有する第3の部分26を有している。第3の部分26の上面26Tは、半導体発光素子10の光取り出し面となっている。
第3の部分26の形状によって、透光性部材23の加工精度が確保され、かつ第3の部分26の上面26Tと反射部材27の上面との境界が明確となり、光取り出し面26Tの形状及び寸法が画定されている。
このような構成により、発光素子20からの出射光が透光性部材23に入射して光取り出し面26Tから取り出される際に、発光素子20の方向へ戻ることを抑制して高い光取り出し効率を確保しつつ、発光素子20の光出射面よりも小さい光取り出し面に集光して高い輝度で光を取り出すことができる。同時に、第3の部分26の形状によって、光取出し面である上面26Tの寸法及び形状を設計通りに安定して加工することができる。従って、光取出し面の形状及び大きさを所望の形状及び大きさに精度良く画定しかつ光取り出し効率が高い半導体発光装置を提供することができる。
図8は、実施例5に係る半導体発光装置70の構成を示す断面図である。半導体発光装置70は、実施例1の透光性部材23と異なる構成の透光性部材71及び波長変換層77を有する点において実施例1の半導体発光装置10と異なり、その余の点については半導体発光装置10と同様に構成されている。
透光性部材71は、透光性部材23と同様に、発光素子20上に設けられている。透光性部材71は、第1の部分74、第2の部分75及び第3の部分76を有している。透光性部材71は、透光性部材23と同様の形状を有している。すなわち、第1の部分74、第2の部分75及び第3の部分76はそれぞれ第1の部分24、第2の部分25及び第3の部分26と同様の形状を有している。
第1の部分74、第2の部分75及び第3の部分76は、蛍光体粒子を含まない点において、実施例1の透光性部材23と異なる。第1の部分74、第2の部分75及び第3の部分76は、例えばガラスからなり、発光素子20から出射される光に対して透過性を有する。
半導体発光装置70は、透光性部材71と発光素子20の光出射面との間に、波長変換層77を有している。波長変換層77は、透光性部材71の第1の部分74の下面74Bから光出射面に垂直な方向に沿って、発光素子20に向かって伸長する柱状の形状を有している。例えば、波長変換層77は、薄膜状に形成されていてもよい。本実施例において、例えば、波長変換層77の側面77Sは、光出射面に対して垂直な面となっている。
波長変換層77は、発光素子20からの出射光を吸収して蛍光を発する蛍光体粒子を含んでいる。例えば、波長変換層77は、ガラス又は樹脂にYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット、Y3Al5O12)等の蛍光体粒子を混合して形成される。
波長変換層77の下面77Bは、接着層29に覆われている。半導体積層体16の活性層から出射した出射光は、波長変換層77の下面77Bから波長変換層77を経て透光性部材71に導入される。
波長変換層77に導入された出射光は、波長変換層77を透過する際に、波長変換層77に含まれる蛍光体粒子によって波長変換された光と波長変換されていない光とによって混色されて透光性部材71の第1の部分74に入射する。
第1の部分74に入射した光は、上方の光出射面に向かう。第1の部分74に入射した光のうち、第1の部分74の側面74Sに到達した光は、反射部材27との界面である側面74Sに反射されて上方の第2の部分75に向かう。側面74Sは、光出射面の外側に向かって傾斜しているので、側面74Sに到達した光を上方に向けて反射させることができる。従って、半導体積層体16から出射されて波長変換層77を経て第1の部分74に入射した出射光が半導体積層体16の方向に戻ること(戻り光)が抑制される。
例えば、透光性部材71が第1の部分74を有していない場合において、透光性部材71の側面での反射等によって、出射光が半導体積層体16に入射した場合、当該出射光は半導体積層体16に吸収され、光取り出し面から取り出すことができず、光損失となる。本実施例によれば、傾斜面である側面74Sを有する第1の部分74の形状によってこのような現象を抑制し得る。
第2の部分75に入射した光は、第2の部分75の下面75Bから上面75Tに向かう。上面75Tは、下面75Bよりも小さいため、第2の部分75に入射した光は、上面75Tに向かうに従って絞られて輝度が高くなる。上面75Tに到達した光は、第3の部分76に導入される。
第3の部分76に導入された光は、第3の部分76の上面76Tから取り出される。当該上面76Tは、第2の部分75の上面75Tと寸法及び形状が一致しており、光出射面よりも小さい。従って、第2の部分75によって集光されて高輝度化された出射光を上面76Tから取り出すことができる。第3の部分76の上面76Tは、半導体発光装置70の光取り出し面となる。
例えば、透光性部材71及び波長変換層77は、板状のガラス製の支持体の表面に蛍光体薄膜が形成されたものをブレードにより切削加工して作製することができる。波長変換層77中の蛍光体粒子の濃度は、目的の色度等に応じて適宜調整され得る。
本実施例によれば、蛍光体粒子を含む波長変換層77は、発光素子20の半導体積層体16に接着層29を介して隣接している。蛍光体粒子による波長変換に伴って発生する熱は、半導体積層体16の接合層(図示せず)、支持基板14を介して放熱される。
このように、蛍光体粒子を含む波長変換層77を半導体積層体16に近い位置に配置し、透光性部材71は蛍光体粒子を含まない構成とすることで、放熱性の観点から有利な半導体発光装置70を提供することができる。
また、外側に向かって傾斜する側面74Sを有する第1の部分74によって、半導体積層体16から出射されて第1の部分74に入射した出射光が半導体積層体16の方向に戻ることを抑制し、半導体積層体16に吸収される光を少なくすることができ、高い光取り出し効率を確保することができる。
また、内側に向かって傾斜する側面75Sを有する第2の部分75によって、半導体積層体16の上面である光出射面よりも小さい光取り出し面76Tに光を集めることができる。従って、光出射面からの出射光を高輝度化して光取り出し面から取り出すことができる。
なお、本実施例において、透光性部材71が蛍光体粒子を含まない例について説明したが、これに限られない。透光性部材71は、蛍光体粒子を含んでいてもよい。例えば、蛍光体粒子の含有率を、波長変換層77について高く、透光性部材71について低くすることで、放熱性の高い半導体発光装置70とすることができる。
また、実施例1~4において、透光性部材中に蛍光体粒子が均一に分散されている例について説明したが、これに限られない。透光性部材は、例えば、濃度勾配を有するように、又は部分的に蛍光体粒子を含んでいてもよい。例えば、蛍光体粒子による波長変換に伴って発生する熱を放出する観点から、透光性部材のうち発光素子20に近い部分に蛍光体粒子を含むことが好ましい。
実施例1~5において説明したように、本実施例の半導体発光装置によれば、発光素子からの出射光が発光素子の方へ戻ることを抑制しつつ、発光素子の光出射面よりも小さい光取り出し面に集光することができる。同時に、透光性部材の形状によって、光出射面の大きさを設計通りとすることができる。
特に、本実施例の発光素子20のようないわゆるシンフィルム型の発光素子を用いる場合、出射光が発光素子の方へ戻ることを抑制することで、光取り出し効率が大きく向上し得る。
なお、上記の実施例において、発光素子20がいわゆるシンフィルム型の発光素子である場合について説明したが、これに限られない。例えば、発光素子20の代わりに、フリップチップ型の発光素子を用いてもよい。
なお、上記の実施例において、2つの発光素子20が実装基板11に実装されている例について説明したが、実装基板11に実装される発光素子20の数はこれに限られない。1つ又は3つ以上の発光素子20が実装基板11に実装されていてもよい。
透光性部材は、1つの発光素子20上に設けられる場合、透光性部材の下面の大きさ及び形状が当該1つの発光素子20上の光出射面の外縁を覆う大きさ及び形状で設けられていればよい。透光性部材の下面は、当該光出射面の外縁と同等の大きさ及び形状であることが好ましい。
また、透光性部材は、複数の発光素子20上に設けられる場合、例えば、当該透光性部材に割り当てられた複数の発光素子20の全ての光出射面を覆う大きさ及び形状の下面を有するように設けられていればよい。例えば、透光性部材の下面は、当該複数の光出射面の配列の外縁と同等の大きさ及び形状であることが好ましい。
上記の実施例において、発光素子20及び透光性部材の各部の上面及び下面の平面形状が矩形である場合について説明したが、これに限られない。
上述した実施例及び製造方法における構成は例示に過ぎず、用途等に応じて適宜変更可能である。