JP7233056B2 - 手動工具、これに用いられるビットおよびトルクセンサ - Google Patents

手動工具、これに用いられるビットおよびトルクセンサ Download PDF

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Description

本発明は、トルクセンサ付きの手動工具、これに用いられるビットおよびトルクセンサに関する。
半導体製造プロセス等の各種製造プロセスにおいては、正確に計量したプロセスガスをプロセスチャンバに供給するために、開閉バルブ、レギュレータ、マスフローコントローラ等の各種の流体機器を集積化した流体制御装置(例えば、特許文献1参照)が用いられている。
上記のような流体制御装置の組立工程においては、膨大な数の六角穴付きボルトなどのボルトの締め付け作業が必要である一方で、高い組立品質が求められる。
特開2016-050635号公報 特開2012-86284号公報
締め付け作業におけるトルク管理は組立品質を維持管理する上で不可欠であり、電動式や流体駆動式の自動工具においては精密なトルク管理が可能な工具は多数提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、従来においては、ドライバやレンチ等を用いた手作業によるボルトの締付け作業等に適し、精密なトルク管理が可能で作業性、操作性に優れた手動工具が存在しなかった。
本発明の一の目的は、作業性、操作性に優れ、しかも精密な締付トルク管理が可能な手動工具を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の手動工具に適したビットおよびトルクセンサを提供することにある。
本発明に係る手動工具は、ビットを着脱自在に保持するビット保持部を備えるグリップと、
前記ビット保持部に保持されたビットを受け入れて当該ビットの外周を包囲する検出部を備え、前記ビットに作用するトルクを非接触で検出可能な、前記グリップに着脱自在に設けられた磁歪式のトルクセンサと、
を有することを特徴とする。
好適には、前記トルクセンサは、前記ビットが前記グリップのビット保持部に装着された状態で前記グリップに装着可能に形成されている、構成を採用できる。
前記ビットは、締結部材と係合可能な先端部と、前記ビット保持部に装着される基端部と、前記先端部と基端部との間で延びる軸部とを有し、
前記トルクセンサのセンサ部は、前記ビットの軸部の一部を被検出部として当該ビットに作用するトルクを非接触で検出する、構成を採用できる。
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の手動工具。
さらに好適には、前記ビットは、前記軸部の被検出部の断面が多角形状に形成されている、構成を採用できる。
さらに好適には、前記被検出部は、当該被検出部を除く前記軸部の断面積よりも大きな断面積をもつように形成されている、構成を採用できる。
この場合、前記ビットは、前記被検出部の断面に内接する円の直径が10mm以下である、とすることができる。
本発明は、前記締結部材を締め付け可能な最大締付トルクが10N・m 以下である、手動工具を対象とすることができる。
本発明のビットは、上記構成の手動工具に用いられるビットであって、
その一部が磁歪材料で形成され、締結部材と係合可能な先端部と、前記ビット保持部に装着される基端部と、前記先端部と基端部との間で延びる軸部とを有することを特徴とする。
本発明のトルクセンサは、上記構成の手動工具に用いられるトルクセンサであって、前記ビットが貫通可能に形成された検出部と、
前記グリップに着脱自在に装着される装着部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、作業性、操作性に優れ、しかも精密な締付トルク管理が可能な手動工具が得られる。
本発明の一実施形態に係る手動工具の外観斜視図。 グリップの斜視図。 ビットの斜視図。 トルクセンサの斜視図。 図1の手動工具の一部に断面を含む正面図。 トルクセンサの電気系の構成例を示す機能ブロック図。 グリップの変形例を示す図。 本発明の一実施形態に係る手動工具の使用例を示す斜視図。 図8Aの流体制御装置および手動工具の正面図。 ビットの他の例(丸型)を示す図。 ビットの他の例(六角型)を示す図。 ビットの他の例(四角型)を示す図。 ビットの他の例(三角型)を示す図。 ビットの他の例(二面割型)を示す図。 ビットの他の例(二面割型)を示す図。 ビットの他の例(星形型)を示す図。 六角型のビットにトルクを印可したときに発生するひずみのシミュレーション結果を示す図。 丸型のビットにトルクを印加したときに発生するひずみのシミュレーション結果を示す図。 本実施形態に係るトルクセンサのトルクと検出電圧との関係の一例を示すグラフ。 トルクセンサの動作原理の説明図。 磁歪膜の磁化に及ぼす磁気異方性の影響を説明する図。 電圧とトルクの関係図。 他の実施形態に係る手動工具の一部に断面を含む正面図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面においては、機能が実質的に同様の構成要素には、同じ符号を使用することにより重複した説明を省略する。
第1実施形態
図1~図5に第1実施形態に係る手動工具としてのドライバ1の構造を示す。
ドライバ1は、グリップ10、ビット20、トルクセンサ30を有する。ドライバ1は六角穴付きのボルト(締結部材)の締結に用いられ、最大締付トルクが10N・m以下の範囲で用いられるが、これに限定されるわけではない。
締結部材は、六角穴付きボルト、六角ボルト、十字穴付きネジなどが用いられるが、これらに限られない。
グリップ10は、図2に示すように、樹脂等の材料からなる円柱状の部材であり、外周面に滑り止め用の複数条の溝が形成された本体部11と、先端部に形成された円筒状のビット保持部12、本体部11とビット保持部12との間に形成され、トルクセンサ30を着脱自在に装着するセンサ装着部13とを有する。ビット保持部12には、断面が正六角形状のブラインドホールからなる保持穴12aが形成され、これにビット20が挿入保持される。
ビット20は、図3に示すように、上記のグリップ10のビット保持部12に挿入保持される断面が正六角形状の基端部22と、基端部22とは反対側の先端部21と、基端部22と先端部21との間で延びる軸部23とを有する。先端部21および軸部23の六角形状の断面は同一寸法に形成されている。先端部21および軸部23の断面積は、基端部22よりも小さくなっている。先端部21が六角穴付きボルトの六角穴に係合する。後述するように、軸部23の基端部22寄りの一部は、トルクセンサ30により検出される被検出部24となっている。
ビット20は、具体的には、炭素鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロムバナジウム鋼等の合金鋼で形成されている。
被検出部24には、磁歪材料が形成されており、検出感度を高めるために、例えば、Ni(40%)-Fe(60%)のメッキが施されている。
ビット20の寸法は、例えば、基端部22の断面に内接する円の直径が10mm以下で、軸部23の断面に内接する円の直径が4mm程度であり、全長は200mm程度であるが、これに限定されるわけではなく、作業性、操作性を考慮して適宜選択される。
ビット20は、軸部23と被検出部24が一体に形成されていても良く、分割できるようになっていても良い。
トルクセンサ30は、図4および図5に示すように、ケース部31、装着部32、検出部33、回路収容部35を有する。
検出部33は、その中心部に貫通孔33aが形成され、この貫通孔33a内をビット20が貫通する。検出部33の内部には、貫通孔33aの一部を画定するように円筒状のコイル保持部33bが形成され、外周面に励磁・検出用のコイル36が設けられている。検出部33を貫通すするビット20の被検出部24はコイル36によって外周が包囲される。
ケース部31、装着部32、検出部33は樹脂材料により一体的に形成され、ケース部31の内部には空洞39が形成されている。空洞39は、装着部32を通じてグリップ10のビット保持部12を収容可能となっている。
円筒状に形成された装着部32は、グリップ10のセンサ装着部13が内周に嵌合し、図示しないねじ部材により、センサ装着部13に固定される。
回路収容部35は、マイクロプロセッサ、メモリ、バッテリー、外部入出力回路、通信回路、トルク検出用の各種回路等から構成されるハードウエアを収容し、メモリにストアーされた所要のソフトウエアにより動作する。
ドライバ1は、図5に示したように、グリップ10にビット20を装着した状態で後からトルクセンサ30を取付け可能となっている。このため、グリップ10およびビット20が従来から使用されていた汎用的な工具であるとすると、トルクセンサ30を後付けすることで、工具の作業性、操作性を損なうことなくビット20に作用するトルク検出が可能となる。
なお、本実施形態では、トルクセンサ30を後付け可能な場合を例示するが、グリップ10に予めトルクセンサ30を取付け、その後に、グリップ10にビット20を装着する構成も採用可能である。
図6は、トルクセンサ30の電気系の一例を示す機能ブロック図である。
本発明において、コイル36は1つでも良いが、励磁コイル36aと検出コイル36bとの2つを使用しても良い。
本実施例では、コイルが励磁コイルと検出コイルの2つの場合を説明する。
トルクセンサ30の電気系は、発振回路110、バッファーアンプ120、位相調整回路130、V-Iコンバータ140、インバータ160、同期検波回路170、および、反転増幅器180を有する。
(励磁側)
発振回路110は、励磁コイル36aを励磁する基準周波数信号(100kHz)を生成する。
発振回路110から励磁側回路には正弦波として信号が出力されるが、発振回路110を安定動作させるため、バッファーアンプ120を経由して位相調整回路130に出力される。
位相調整回路130は、波形の位相を調整し、V-Iコンバータ140に出力する。
V-Iコンバータ140は、入力電圧を電流に変換し、励磁コイル36に出力する。
(検出側)
検出コイル36bは、逆磁歪効果により発生した誘起電圧を同期検波回路170に出力する。
発振回路110から検出側へは、参照信号として矩形波が出力される。この矩形波の周波数は、励磁側へ出力される正弦波と同じである。出力された矩形波は2つに分岐され、一方はそのまま同期検波回路170へ出力され、他方はインバータ160で位相を反転され同期検波回路170へ出力される。
同期検波回路170は、参照信号を参照して、検出コイル36bからの誘起電圧を同期検波し、反転増幅器180へ出力する。
反転増幅器180は、同期検波回路170からの出力を平均化し、オフセット調整、ゲイン調整を行い、トルク信号SGとして出力する。トルク信号SGは、図示しないメモリに記憶され、あるいは、通信回路を通じて無線信号で外部に送信される。
なお、本実施形態では、位相調整回路130をバッファーアンプ120の下流、V-Iコンバータ140の上流に設置したが、検出コイル36bと同期検波回路170の間に設置することも可能である。
上記したようにトルクセンサ30では、ビット20の被検出部に作用するトルク変化を、ビット20を形成する磁歪材料の透磁率の変化としてコイル36で検出する。
図7にグリップ10の変形例を示す。
図7に示すドライバ1Aは、グリップ10に直交するように設けられた補助バー50を備える。
グリップ10に補助バー50を設けることで、より大きな締緩トルクを手動で生み出すことができる。
ここで、ドライバ1Aを用いた作業例について図8A、図8Bを参照して説明する。
図8A,8Bに示す流体制御装置200は、半導体製造装置等の反応器へ各種のガスを供給するために使用され、ベース板金BS上には、それぞれ長手方向に沿って配置された自動バルブやマスフローコントローラからなる各種流体機器210,220,230,240,280,250で構成される流体制御アセンブリが複数(3列)に並列されている。
ベース板金BS上に設けられた複数の継手ブロック260,270は各種流体機器間を接続する流路を備えている。流体機器のボディと継手ブロック260,270とは、六角穴付きボルトBTで連結される。
ドライバ1Aは、六角穴付きボルトBTの締付け作業に使用される。各種流体機器が集積化されていると、六角穴付きボルトBTを締め付ける際に、流体機器とドライバ1Aのビットが干渉しないように、六角穴付きボルトBTに対してドライバ1Aを傾斜させながら締め付ける場合がある。このような作業を多数の六角穴付きボルトBTについて正確な締付トルクで実施するのは容易ではない。
本実施形態によれば、ドライバ1Aには給電線が接続されておらず、しかも、最小化されたトルクセンサ30はビットの根元部分に後付けされているので、上記のようなボルトの締付作業における作業性や操作性は確保されている。加えて、締付作業中にリアルタイムに締付トルクが検出できるので、正確な締付トルクで装置の組立作業が可能となる。
第2実施形態
図9A~図9Gは、ビットの他の実施形態を示す図である。
図9A~図9Gに示すビット20A~20Gは、先端部21Aは断面が正六角形状に形成され、内接円の直径が3mmとなっている。
軸部23Aは、直径4mmの丸棒である。軸部23Aの根元部分に位置する被検出部24A~24Gの断面形状は、軸部23Aとはそれぞれ異なる。重要な点は、(1)被検出部24A~24Gの断面積が軸部23Aの断面積よりも拡大されている点と、(2)ビット20B~20Gの被検出部24B~24Gの断面形状が非円形状である点である。
図9Aの被検出部24Aは軸部23Aよりも大径(10mm)の丸型である。
図9Bの被検出部24Bは正六角形型(内接円が10mm)である。
図9Cの被検出部24Cは四角形(正方形)型である。
図9Dの被検出部24Dは正三角形型である。
図9Eの被検出部24Eは二面割型(外径が7mm)である。
図9Fの被検出部24Fは二面割型(外径が8mm)である。六角形型、
図9Gの被検出部24Gは星形である。
ビットで、締結部材を締め付けているトルクを測定するには、ビットに作用するトルクを検出すれば良い。
ビットに作用するトルクを検出するには、逆磁歪効果を利用するが、印加トルクによる軸(被検出部)表面の透磁率変化を、軸(被検出部)を取りまくソレノイドコイルのインピーダンス変化に換算し、ブリッジ回路の非平衡電圧として検出する必要がある。
軸(被検出部)の表面に作用する応力(歪み)と、軸(被検出部)の直径との関係は以下の式で表わされる。
σ=16T/(πD
ここで、σは軸(被検出部)表面の応力(歪み)、Tは軸(被検出部)に作用するトルク、Dは軸(被検出部)の直径である。
すなわち、軸(被検出部)の径の異なるビットに同じトルクが印加された場合、軸(被検出部)の径が小さなビットの方が、軸(被検出部)表面の応力(歪み)は著しく大きくなる。
軸(被検出部)表面の応力(歪み)は、軸(被検出部)表面の透磁率を変化させる。
透磁率の変化は、外部からの力に応じ、原子サイズで構成されている微小磁石の向きが変化することで起こるが、微小磁石の向きが揃い切ってしまうとそれ以上は変化しない(飽和状態)。
ビット(軸)に印加されたトルクを精密に検出するには、印加されるトルクの範囲で、透磁率の変化がリニアであることが望ましい。
軸(被検出部)表層の微小磁石の向きが揃い切ってしまう応力(歪み)は一定であるため、同じトルクを印加しようとする場合、軸(被検出部)の径が小さいほど、印加しようとするトルクに達する前に、透磁率の変化が無くなってしまう(飽和する)。
通常使用されるφ4のビットでは、磁歪トルクセンサのトルクに応じた電圧変化がすぐに飽和してしまう。例えば、通常使用されるφ4のビット(被検出部の直径:4mm)を使用して、3N・mのトルクで締結部材を締め付けようとすると、トルクが3N・mに達する前に、トルクセンサからの出力(電圧)が一定になってしまう。
このため、被検出部24A~24Gの断面積を軸部23Aよりも拡大した。
同じトルクを印加しようとする場合、軸(被検出部)の径を大きくするほど、軸表面の応力(歪み)は小さくなる。そのため、トルクの印加が完了した状態においても、軸(被検出部)表層の微小磁石の向きが揃い切っていない状態にすることが可能である。このような状態であれば、印加されるトルクの範囲で、透磁率の変化がリニアとなる。
しかし、図8A,図8Bからわかるように、流体制御装置200上の各種流体機器の間隔は広くないため、ビット(被検出部)の外径を拡大するには限界がある。
このため、図9B~図9Gに示すビット20B~20Gの被検出部24B~24Gの断面形状が非円形状にしてある。この構成により、トルクセンサからの出力の飽和をさらに遅らせることができる。軸表面の応力(歪み)の大きさは、直径に依るため、同じ断面積であっても非円形状にすることにより、応力(歪み)の分布ができるためである。
シミュレーション
ここで、図10にビットにトルクを印加したときに発生するひずみのシミュレーション結果を示す。
図10は、六角形型のビットに生じるひずみを示す図である。また、比較例として、図11に丸型のビットに生じるひずみを示す。図11の丸型のビットの断面積は、図10の六角形型のビットの断面積と同じにしてある。

シミュレーションの条件は、以下の通りである。
・境界条件
締付トルク 3N・m

・材料特性
SNCM439
縦銃弾性係数 207GPa
ポアソンン比 0.3
0.2%耐力 980MPa
引張り強さ 1720Mpa
最大伸び 0.6
密度(t/mm) 7.89×10-9
適用部 ボディ

・拘束条件 剛体接触面、六角穴差込部

・摩擦係数 SUS/SUS面 μ=0.3
図10から分かるように、六角形型のビットの表面では、平面部のエッジ部分から中央部に向けて、ひずみ量が徐々に大きくなっており、平面部内で応力分布が形成されている。
一方、図11に示すように、丸型のビットの表面では、応力は均一に形成されており、ひずみ量が六角形型のビットのエッジ部分よりも大きいことが分かる。
図12に、本実施形態に係るトルクセンサのトルクと検出電圧との関係の一例を示す。
なお、ビットの被検出部は、平行な2面の間隔が6.35mm (1/4インチ)の六角形である。
ここで、トルクセンサの動作原理について補足を行う。
例えば図13は、65%Ni35%Fe組成のパーマロイ磁歪膜メッキが施された軸で、それを取り囲むようにソレノイドコイルが配置されている場合である。ソレノイドコイルは例えば、直径0.2~0.3mmの銅線で、巻き数は140ターンである。交流励磁電源から抵抗Rを介して電流iが供給されている。コイルのインダクタンスをLとした場合、コイル両端にはコイルインピーダンスに比例する電圧 i×(R+jωL) が発生している。ここで、ωは交流励磁電流の角周波数、jは虚数単位である。図13のように軸トルク(ねじる力)Tが加わると、軸の表面には、軸方向に対して45度方向に主応力σと-45度方向に-σが対になって発生する。そしてこの応力は軸にメッキされた磁歪膜に伝達される。
軸の外径をD[m]、トルクT[N・m]とすると主応力σ[N/m]は次式で与えられる。ここで、磁歪膜の厚さはDに比べ十分に小さくねじりに対する反力は無視できるとしている。
Figure 0007233056000001
これによって、磁歪膜には磁気異方性(Kuとする)が誘導される。磁歪膜の飽和磁歪定数をλsとすれば(簡単のためλs>0と仮定する)、Kuは図14のように正の主応力方向に現れる。この大きさは、
Figure 0007233056000002
で与えられる。
(2)式においては軸材と磁歪膜の弾性係数が同じと仮定しているが、2 つの弾性係数の差異を考慮する場合には(磁歪膜の横弾性係数)/(軸材の横弾性係数)で表される比を(2)式に乗ずればよい。
磁気異方性Kuが磁歪膜の磁化Jに及ぼす影響は、Jの方向をKuの方向にとどめておこうとする。一方励磁磁界Hは、磁化Jをその方向に引き寄せようとする。Jcosθの時間変化に磁歪膜断面積およびコイルの巻き数をかけたものがコイルの誘起電圧となる。(Hは交番する磁界であるので、θはその周波数で大きさが変動する)Kuが大きくなると図14のθの振れ幅は小さくなり、一方、Kuが小さくなるとその振れ幅は大きくなる。つまり、トルクTが大きくなるとθの振れ幅が小さくなりコイルの誘起電圧は減少し、トルクTが小さくなるとその逆となる。
誘起電圧を必要に応じて増幅し、同期検波して得られる出力電圧vは、トルクTに対して図15のように単調減少する。
これから電圧vの変化からトルクTを検出できる。このとき軸の外径Dが大きければこのカーブがより直線的になり、ダイナミックレンジの大きいトルクセンサを得ることができる。
図13では、1つのコイルを用いているが、第2のコイルを第1のコイルと同じように施し、第2のコイルから出力電圧を得ることもできる。こうすれば第1のコイルの抵抗分に発生するトルクに無関係な電圧降下を排除することができ、より精度の高い検出が可能となる。また、第1のコイルの巻き数を調整することで必要な励磁電流iを調整することができて、電力損失を軽減するような設計を容易にする。
第三実施形態
図16にビットの他の実施形態を示した。なお、図16中で図5と同じ部品は、同じ番号を付して説明を省略した。
ビット40は、エクステンションバー41と交換用ビット42が組み合って構成されている。エクステンションバー41は先端側に第2ビット保持部43を有しており、第2ビット保持部43によって交換用ビット42が交換可能に保持されている。第2ビット保持部43もビット保持部12と同様に、断面が正六角形状のソケット構造である。
エクステンションバー41の軸部23の一部が、トルクセンサ30によってトルク検出が行われる被検出部24となっている。
トルクセンサ30によって検出される値は、メッキの種類や厚みなどの表面処理状態によって影響を受けるため、ビットの交換などで被検出部24の構造が変化した場合にはトルク値の校正を取りなおすことが望ましい。
エクステンションバー41と交換用ビット42による分割可能な構造とすることで、被検出部24に影響を与えずに交換用ビット42のみの交換が可能になり、ビット交換を短時間に行うことができる。また、交換用ビット42として使用するビットには素材や表面処理の制約がないため汎用のビットを用いることができ、ビットの交換費用を低減や、六角以外の先端形状が必要な特殊ねじへの対応容易化につながる。
1,1A :ドライバ
10 :グリップ
11 :本体部
12 :ビット保持部
12a :保持穴
13 :センサ装着部
20,20A~20G :ビット
21,21A :先端部
22 :基端部
23,23A :軸部
24,24A~24G :被検出部
30 :トルクセンサ
31 :ケース部
32 :装着部
33 :検出部
33a :貫通孔
33b :コイル保持部
35 :回路収容部
36 :コイル
36a :励磁コイル
36b :検出コイル
39 :空洞
40 :ビット
41 :エクステンションバー
42 :交換用ビット
43 :第2ビット保持部
50 :補助バー
110 :発振回路
120 :バッファーアンプ
130 :位相調整回路
140 :V-Iコンバータ
160 :インバータ
170 :同期検波回路
180 :反転増幅器
200 :流体制御装置
210~250,280 :流体機器
260,270 :継手ブロック
BS :ベース板金
BT :六角穴付きボルト
D :外径
H :一方励磁磁界
J :磁化
Ku :磁気異方性
R :抵抗
SG :トルク信号
T :トルク
i :電流
v :電圧
σ :主応力

Claims (10)

  1. ビットを着脱自在に保持するビット保持部を備えるグリップと、
    前記ビット保持部に保持されたビットを受け入れて当該ビットの外周を包囲する検出部を備え、前記ビットに作用するトルクを非接触で検出可能な、前記グリップに着脱自在に設けられた磁歪式のトルクセンサと、
    を有し、
    前記トルクセンサは、前記ビットが前記ビット保持部に装着された状態で前記グリップに装着可能に形成されている、手動工具。
  2. 前記ビットは、締結部材と係合可能な先端部と、前記ビット保持部に装着される基端部と、前記先端部と前記基端部との間で延びる軸部とを有し、
    前記トルクセンサのセンサ部は、前記軸部の一部を被検出部として当該ビットに作用するトルクを非接触で検出する、
    請求項1に記載の手動工具。
  3. 前記ビットは、前記被検出部の断面が多角形状に形成されている、
    請求項2に記載の手動工具。
  4. 前記被検出部は、当該被検出部を除く前記軸部の断面積以上の断面積をもつように形成されている、請求項2又は3に記載の手動工具。
  5. 前記ビットは、前記被検出部の断面に内接する円の直径が10mm以下である、請求項2ないし4のいずれかに記載の手動工具。
  6. 前記ビットはエクステンションバーと交換用ビットからなり、前記エクステンションバーが前記基端部と前記軸部を有し、交換用ビットが前記先端部を有する、請求項2ないし5のいずれかに記載の手動工具。
  7. 結部材を締め付け可能な最大締付トルクが10N・m 以下である、請求項1ないし5のいずれかに記載の手動工具。
  8. 前記トルクセンサは、前記検出部で検出された検出信号を処理する処理回路を有する、請求項1ないし6のいずれかに記載の手動工具。
  9. 請求項1ないし7のいずれかに記載の手動工具に用いられるビットであって、
    磁歪材料で形成され、締結部材と係合可能な先端部と、
    前記ビット保持部に装着される基端部と、
    前記先端部と前記基端部との間で延びる軸部とを有する、ビット。
  10. 請求項1ないし7のいずれかに記載の手動工具に用いられるトルクセンサであって、
    前記ビットが貫通可能に形成された検出部と、
    前記グリップに着脱自在に装着される装着部と、を有するトルクセンサ。
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