JP7230814B2 - 樹脂成形体、熱線遮蔽板、屋根材、窓材 - Google Patents

樹脂成形体、熱線遮蔽板、屋根材、窓材 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂成形体、熱線遮蔽板、屋根材、窓材に関する。
本願は、2018年7月31日に、日本に出願された特願2018-143463号、2018年7月31日に、日本に出願された特願2018-143464号及び2019年3月15日に、日本に出願された特願2019-048389号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
建造物、自動車、列車、バス等の屋根材及び窓材並びに照明装置、看板等の保護材には、意匠性の面で、透明で存在感の低いことが要求されている。すなわち可視光領域で高い透明性を有し、着色が抑えられた樹脂成形体に対する要求が高まっている。
屋根材及び窓材並びに照明装置、看板等の保護材には、太陽光、蛍光灯、ランプ等の光源からの光に含まれる赤外線領域の光(以下、「熱線」と略する)を遮断する性質(以下、「熱線遮蔽性」と略する。)を有していることが要求されている。近年、熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体に対する要求が高まっている。
樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性を向上させる技術として、例えば、特許文献1には、エステル基を有する高分子化合物で表面被覆された複合タングステン酸化物を含有する樹脂成形体が開示されている。
特許文献2には、複合タングステン酸化物微粒子と、官能基としてアミノ基を有するアクリル樹脂系分散剤と、官能基として水酸基又はカルボキシル基を有するアクリル樹脂系分散剤とを含有する熱線遮蔽微粒子含有樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、(複合)タングステン酸化物微粒子を、アクリル主鎖と水酸基又はエポキシ基とを有する高耐熱性分散剤で、アクリル樹脂中に分散させた熱線遮蔽透明樹脂成形体が開示されている。
特許文献4には、投影面積における単位面積あたりの、前記熱線遮蔽膜の前記複合タングステン酸化物粒子の含有量を規定した熱線遮蔽膜が開示されている。
特開2010-168430号公報 特開2014-231439号公報 特開2008-24902号公報 国際公開第2016/021336号
しかしながら、特許文献1~4に開示されている樹脂組成物、樹脂成形体、熱線遮蔽膜にあっては、タングステン酸化物粒子が凝集してヘーズ値が高くなるため、透明性が不十分であり、着色も大きかった。さらに、樹脂成形体には熱線遮蔽性に優れることが求められている。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体;並びに前記樹脂成形体を含む熱線遮蔽板、屋根材、窓材を提供することである。
本発明は、下記[1]~[25]に関する。
[1] 透明樹脂、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する、複合粒子(XW)を含有する、樹脂成形体。
[2] 透明樹脂、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、前記タングステン酸化物粒子(W)と前記分散剤粒子(X)を含む複合粒子(XW)を含有し、前記複合粒子(XW)の分散粒子径が100nm以上1000nm以下である、樹脂成形体。
[3] 前記複合粒子(XW)が、分散剤粒子(X)の粒子の表面に、タングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に、複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する、[2]の樹脂成形体。
[4] 前記樹脂成形体の投影面積における単位面積あたりの、前記樹脂成形体の前記タングステン酸化物粒子(W)の含有量が、0.05g/m以上3.00g/m以下である、[1]~[3]のいずれかの樹脂成形体。
[5] 前記透明樹脂が(メタ)アクリル重合体(P)であり、前記樹脂組成物が(メタ)アクリル樹脂組成物である、[1]~[4]のいずれかの樹脂成形体。
[6] (メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する(メタ)アクリル樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が吸着された形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する複合粒子(XW)を含有し、前記樹脂成形体の投影面積における単位面積あたりの、前記樹脂成形体の前記タングステン酸化物粒子(W)の含有量が、0.05g/m以上3.00g/m以下である、樹脂成形体。
[7] 前記分散剤粒子(X)が、架橋構造を有する粒子状の共重合体(D)であり、前記複合粒子(XW)が、前記分散剤粒子(X)の粒子の表面に前記タングステン酸化物粒子(W)が存在する形態を有する複合粒子(XW1)を含有する、[1]~[6]のいずれかの樹脂成形体。
[8] (メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する(メタ)アクリル樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、前記分散剤粒子(X)が、架橋構造を有する粒子状の共重合体(D)であり、前記分散剤粒子(X)の粒子の表面に前記タングステン酸化物粒子(W)が吸着された複合粒子(XW1)を形成している、樹脂成形体。
[9] 前記粒子状の共重合体(D)が、架橋構造を有するゴム状共重合体と、該ゴム状共重合体の存在下に、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、及び、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル(a2)の少なくとも一方を含む単量体混合物を重合してなる外層重合体(C)とを有する多段重合共重合体である、[7]又は[8]の樹脂成形体。
[10] 前記ゴム状共重合体が、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、芳香族ビニル化合物(a3)及び多官能単量体(a5)を含む単量体混合物を重合してなる中間層重合体(B)を有する、[9]の樹脂成形体。
[11] 前記ゴム状共重合体が、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、炭素数1以上4以下のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル(a4)、芳香族ビニル化合物(a3)及び多官能単量体(a5)を含む単量体混合物を重合してなる最内層重合体(A)と、該最内層重合体(A)の存在下に、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、芳香族ビニル化合物(a3)及び多官能単量体(a5)を含む単量体混合物を重合してなる中間層重合体(B)とを有する、[9]又は[10]の樹脂成形体。
[12] (メタ)アクリル樹脂組成物中の複合粒子(XW)の分散粒子径が100nm以上1000nm以下である、[6]~[11]のいずれかの樹脂成形体。
[13] 前記分散剤粒子(X)が、炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸メチルを除く)由来の繰り返し単位を含む粒子状の共重合体であり、前記樹脂成形体中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率w(単位:質量ppm)、及び、分散剤粒子(X)の含有率x(単位:質量ppm)が、下記式(3)及び(4)を満たす、[1]~[6]のいずれかの樹脂成形体。
50≦w≦500 (3)
5.11w+444≦x≦10.00w+2000 (4)
[14] (メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する(メタ)アクリル樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、分散剤粒子(X)が、炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸メチルを除く)由来の繰り返し単位を含む粒子状の共重合体であり、分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が吸着された形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する複合粒子(XW)を含有し、樹脂成形体中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率w(単位:質量ppm)、及び、分散剤粒子(X)の含有率x(単位:質量ppm)が、下記式(3)及び(4)を満たす、樹脂成形体。
50≦w≦500 (3)
5.11w+444≦x≦10.00w+2000 (4)
[15] 樹脂成形体中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率w(単位:質量ppm)、及び、分散剤粒子(X)の含有率x(単位:質量ppm)が、下記式(5)及び(6)を満たす、[13]又は[14]の樹脂成形体。
60≦w≦450 (5)
5.38w+477≦x≦7.00w+1150 (6)
[16] (メタ)アクリル樹脂組成物中の複合粒子(XW)の分散粒子径が100nm以上1000nm以下である、[13]~[15]のいずれかの樹脂成形体。
[17] 分散剤粒子(X)が、炭素数2~8のアルキル基をエステル側鎖として有するアクリル酸アルキルエステル(a7)由来の繰り返し単位、及び、炭素数2~8のアルキル基をエステル側鎖として有するメタクリル酸アルキルエステル(a8)由来の繰り返し単位の少なくとも一方を含み、ガラス転移温度(Tg)が10℃以上40℃以下の共重合体(X2-A)である、[13]~[16]のいずれかの樹脂成形体。
[18] 共重合体(X2-A)が、該共重合体(X2-A)の総質量に対して、アクリル酸アルキルエステル(a7)由来の繰り返し単位25質量%以上45質量%以下、及び、メタクリル酸アルキルエステル(a8)由来の繰り返し単位10質量%以上30質量%以下を含有する、[17]の樹脂成形体。
[19] アクリル酸アルキルエステル(a7)が、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、及びアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[17]又は[18]の樹脂成形体。
[20] メタクリル酸アルキルエステル(a8)が、メタクリル酸n-ブチル及びメタクリル酸i-ブチルの少なくとも一方を含む、[17]~[19]のいずれかの樹脂成形体。
[21] (メタ)アクリル樹脂組成物中に複合粒子(XW)が実質的に一次分散の形態で分散している、[1]~[20]のいずれかの樹脂成形体。
[22] 透明樹脂、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、
分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態、の少なくとも一方の形態を有する複合粒子(XW)を含有し、且つ、JIS K7361-1に準拠して波長380~780nmの範囲内で測定した全光線透過率が60%以上であり、JIS K7136に準拠して波長380~780nmの範囲内で測定したヘーズが10%以下であり、ASTM D1925に準拠して測定した、厚み方向のイエローインデックス(YI)が4.0未満であり、波長780~2100nmの範囲内で測定した熱線カット率が40%以上である、樹脂成形体。
[23] [1]~[22]のいずれかの樹脂成形体を含む、熱線遮蔽板。
[24] [1]~[22]のいずれかの樹脂成形体を含む、屋根材。
[25] [1]~[22]のいずれかの樹脂成形体を含む、窓材。
本発明によれば、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体;並びに前記樹脂成形体を含む熱線遮蔽板、屋根材、窓材が提供される。
実施例1の樹脂成形体をTEMにて撮影した写真である。 比較例1の樹脂成形体をTEMにて撮影した写真である。 実施例16~22、及び比較例8~10の樹脂成形体をTEMにて撮影した写真である。 樹脂成形体に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率wと分散剤粒子(X)の含有率xの範囲、並びに、実施例16~22及び比較例8、9を示した模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
本発明において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる特定の成分の含有率を示す。
本発明において、特に断らない限り、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
<樹脂成形体>
本発明の樹脂成形体は、後述する本発明における樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体であって、該樹脂組成物からなる樹脂成形体である。
本発明の第一の実施態様において、分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する、複合粒子(XW)を含有することを特徴とする。
本発明の第二の実施態様において、前記タングステン酸化物粒子(W)と前記分散剤粒子(X)を含む複合粒子(XW)を含有し、前記複合粒子(XW)の分散粒子径が100nm以上1000nm以下であることを特徴とする。
本発明の第三の実施態様において、分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に、複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する複合粒子(XW)を含有し、前記樹脂成形体の投影面積における単位面積あたりの、前記樹脂成形体の前記タングステン酸化物粒子(W)の含有量が、0.05g/m以上3.00g/m以下であることを特徴とする。
本発明の第四の実施態様において、前記分散剤粒子(X)が、架橋構造を有する粒子状の共重合体(D)であり、前記分散剤粒子(X)の粒子の表面に前記タングステン酸化物粒子(W)が存在する複合粒子(XW1)を形成していることを特徴とする。
本発明の第五の実施態様において、前記(メタ)アクリル樹脂組成物は、後述する複合粒子(XW)を含有し、且つ、前記分散剤粒子(X)が、炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸メチルを除く)由来の繰り返し単位を含む粒子状の共重合体であり、且つ、樹脂成形体中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率w(単位:質量ppm)と分散剤粒子(X)の含有率x(単位:質量ppm)の関係が、後述する特定の条件を満たすことを特徴とする。
本発明の第六の実施態様において、前記樹脂組成物は、後述する複合粒子(XW)を含有し、且つ、JIS K7361-1に準拠して波長380~780nmの範囲内で測定した全光線透過率が60%以上であり、JIS K7136に準拠して波長380~780nmの範囲内で測定したヘーズが10%以下であり、ASTM D1925に準拠して測定した、厚み方向のイエローインデックス(YI)が4.0未満であり、波長780~2100nmの範囲内で測定した熱線カット率が40%以上であることを特徴とする。
前記複合粒子(XW)は、分散剤粒子(X)の粒子の表面に1又は複数のタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、前記分散剤粒子(X)の粒子の内部に複数の前記タングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有している。なお、分散剤粒子(X)の粒子の表面及び内部の両方にタングステン酸化物粒子(W)が存在してもよい。分散剤粒子(X)の粒子の表面及び内部の両方にタングステン酸化物粒子(W)が存在している場合は、分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態に含めることとする。分散剤粒子(X)の粒子の表面には、複数のタングステン酸化物粒子(W)が存在することが好ましい。
本発明において、複合粒子(XW)がこれらの形態を有するか否かは、例えば、TEM(Transmission Electron Microscope)等の電子顕微鏡による観察像により判断できる。
本発明者らの検討によれば、樹脂成形体中に含まれる複合粒子(XW)の分散粒子径(樹脂成形体に分散した粒子の粒子径)が小さいほど、入射した可視光の波長域中、比較的波長の短い光が、複合粒子(XW)によって散乱されて樹脂成形体の着色が増加する傾向にあることを見出した。一方、複合粒子(XW)の分散粒子径が大きいほど、樹脂成形体の透明性が低下して着色が増大する傾向にあることを見出した。又、樹脂成形体のタングステン酸化物粒子(W)の含有割合が高いほど、熱線遮蔽性は向上するが、樹脂成形体の透明性が低下し、着色が増加する傾向にあることを見出した。
そこで、本発明者らは更なる検討を行い、タングステン酸化物粒子(W)を上述した複合粒子(XW)の形態で含有することにより、タングステン酸化物粒子(W)を凝集させることなく適度に分散した状態で含むことができ、そのため樹脂成形体の熱線遮蔽性を損なうことなく、透明性、低着色性が良好となることを見出した。なお、複合粒子(XW)は球形である必要はなく、形状は問わない。
複合粒子(XW)の分散粒子径の下限は、樹脂成形体中でタングステン酸化物粒子(W)が再凝集することを抑制でき、樹脂成形体のヘーズ値が低減し、樹脂成形体の透明性が良好となる観点から、100nm以上が好ましい。120nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましい。複合粒子(XW)の分散粒子径の上限は、樹脂成形体のヘーズ値が低減し、樹脂成形体の透明性が良好となる観点から、1000nm以下が好ましい。600nm以下がより好ましく、400nm以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
本明細書において、前記「タングステン酸化物粒子(W)の分散粒子径」とは、タングステン酸化物粒子(W)の一次粒子径又は凝集粒子の二次粒子径の最大粒径の平均値(最大粒径とは、凝集している場合は二次粒子径を、凝集していない場合は一次粒子径を指す。)のことをいい、後述する複合粒子(XW)の分散粒子径とは異なる。なお、タングステン酸化物粒子(W)の凝集粒子とは、タングステン酸化物粒子(W)(一次粒子)が接触して形成された二次粒子のことをいう。前記分散粒子径の測定方法は、後述する複合粒子の分散粒子径の測定方法と同様の方法で測定できる。
本発明の樹脂成形体においては、樹脂成形体の投影面積における単位面積(単位:m)あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量(以下、「単位面積あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量」という。)の下限は、樹脂成形体の熱線遮蔽性が良好となる観点から、0.05g/m以上が好ましい。0.15g/m以上がより好ましく、0.30g/m以上がさらに好ましい。一方、前記の含有量の上限は、樹脂成形体の透明性、低着色性を良好に維持できる観点から、3.00g/m以下が好ましい。2.00g/m以下がより好ましく、1.50g/m以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
或いは又、本発明の樹脂成形体の単位面積あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量は、0.05g/m以上3.00g/m以下が好ましい。0.15g/m以上2.00g/m以下がより好ましく、0.30g/m以上1.50g/m以下がさらに好ましい。
本発明において、樹脂成形体の投影面積とは、樹脂成形体を平面上に投影したときの面積、すなわち樹脂成形体を主平面の略垂直方向から見たときの2次元での平面積である。樹脂成形体の主平面が曲面形状、複雑な凹凸形状を有している場合には、樹脂成形体の投影面積は実成形体の展開面積より小さくなる。
また、樹脂成形体の投影面積が小さい場合には、例えば、1平方センチメートルあたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量を、1平方メートルあたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量に換算すればよい。
或いは又、前記複合粒子(XW)は、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性がより良好となる観点から、樹脂成形体を形成する(メタ)アクリル樹脂組成物中に実質的に一次分散の形態で分散していることが好ましい。「実質的に一次分散の形態で分散している」とは、前記複合粒子(XW)の一次粒子が凝集粒子を形成している形態の全体に対する割合が5%以下であることを意味する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂成形体は、樹脂組成物(以下、「本発明における樹脂組成物」という。)からなる。本発明における樹脂組成物は、後述する透明樹脂、後述するタングステン酸化物粒子(W)及び後述する分散剤粒子(X)を含有する。
本発明における樹脂組成物が透明樹脂を含むことで、前記樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形体の透明性は良好となる。
本発明における樹脂組成物がタングステン酸化物粒子(W)を含むことで、樹脂成形体の熱線遮蔽性は良好となる。
本発明における樹脂組成物が分散剤粒子(X)を含むことで、樹脂成形体の透明性、低着色性は良好となる。
さらに、本発明における樹脂組成物が、上述した複合粒子(XW)を含むことで、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性は良好となる。
本発明における透明樹脂の種類は、可視光領域の光線透過率が高ければ特に限定されない。本発明における透明樹脂の種類としては、例えば、JIS K7361-1に準拠して波長380~780nmの範囲内で測定した全光線透過率が60%以上の樹脂が挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、メタクリル酸メチル-スチレン系樹脂(MS樹脂)に例示される樹脂の中から所望の特性に応じて選択される1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。中でも耐熱性、耐衝撃性の点からはポリカーボネート系樹脂が好ましく、透明性、耐候性の点からは(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。前記(メタ)アクリル系樹脂の一実施形態としては、後述する(メタ)アクリル重合体(P)を挙げることができる。
本発明における樹脂組成物の種類は、可視光領域の光線透過率が高ければ特に限定されない。本発明における樹脂組成物の種類としては、例えば、JIS K7361-1に準拠して波長380~780nmの範囲内で測定した全光線透過率が60%以上の樹脂組成物が挙げられる。具体的には、後述する(メタ)アクリル樹脂組成物、ポリカーボネート系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂組成物、メタクリル酸メチル-スチレン系樹脂(MS樹脂)組成物に例示される透明樹脂組成物の中から所望の特性に応じて選択される1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。中でも耐熱性、耐衝撃性の点からはポリカーボネート系樹脂組成物が好ましく、透明性、耐候性の点からは(メタ)アクリル樹脂組成物が好ましい。
<(メタ)アクリル樹脂組成物>
本発明において、(メタ)アクリル樹脂組成物は、透明樹脂として後述する(メタ)アクリル重合体(P)、後述するタングステン酸化物粒子(W)及び後述する分散剤粒子(X)を含有する。
(メタ)アクリル樹脂組成物が(メタ)アクリル重合体(P)を含むことで、前記(メタ)アクリル樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形体の透明性は良好となる。
(メタ)アクリル樹脂組成物がタングステン酸化物粒子(W)を含むことで、樹脂成形体の熱線遮蔽性は良好となる。
(メタ)アクリル樹脂組成物が分散剤粒子(X)を含むことで、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性はより良好となる。
さらに、(メタ)アクリル樹脂組成物が、上述した複合粒子(XW)を含むことで、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性はより良好となる。
<ポリカーボネート系樹脂組成物>
ポリカーボネート系樹脂組成物としては、透明樹脂として、例えば、公知の二価フェノールと公知のカルボニル化剤とを界面重縮合法、溶融エステル交換法等で反応させることにより得られるポリカーボネート系樹脂;公知のカーボネートプレポリマーを固相エステル交換法等で重合させることにより得られるポリカーボネート系樹脂;公知の環状カーボネート化合物を開環重合法で重合させることにより得られるポリカーボネート系樹脂を、総質量に対して80質量%以上含有する樹脂組成物が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、パンライトシリーズ(商品名、帝人(株)製)、ユーピロンシリーズ(商品名、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)、SDポリカシリーズ(商品名、住化ポリカーボネート(株)製)、APECシリーズ(商品名、コベストロジャパン(株)製)等が挙げられる。
<ポリスチレン系樹脂組成物>
ポリスチレン系樹脂組成物としては、透明樹脂として、スチレン(以下、「St」と略する。)の単独重合体、又は、St由来の繰り返し単位(以下、「St単位」と略する。)の含有率が前記ポリスチレン系樹脂の総質量に対して、70質量%以上100質量%未満であるスチレン共重合体(以下、単に「ポリスチレン系樹脂」という。)を、総質量に対して80質量%以上含有する樹脂組成物が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、具体的にはポリスチレン樹脂、スチレン-アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、メタクリル酸メチル-スチレン樹脂(MS樹脂)が挙げられる。好ましくは、メタクリル酸メチル-スチレン樹脂である。
ポリスチレン樹脂の市販品としては、PSJポリスチレン(商品名、PSジャパン(株)製)が挙げられる。
MS樹脂の市販品として、エスチレンMSシリーズ(商品名、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、セビアンMASシリーズ、(商品名、ダイセルポリマー(株)製)が挙げられる。
<樹脂成形体(1)>
樹脂成形体(1)は、本発明の樹脂成形体の一例である。
樹脂成形体(1)において、前記分散剤粒子(X)は、架橋構造を有する粒子状の共重合体(D)である(以下、「分散剤粒子(X1)」という。)。
さらに、樹脂成形体(1)において、前記複合粒子(XW)は、後述する分散剤粒子(X1)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態を有する(以下、「複合粒子(XW1)」という。)。
前記樹脂成形体(1)は、該樹脂成形体(1)中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率をw(単位:質量ppm)、及び、分散剤粒子(X1)の含有率をx(単位:質量ppm)としたとき、下記式(1)及び(2)を満たすことができる。
4≦w≦13000 (1)
50≦x≦20000 (2)
前記樹脂成形体(1)において、タングステン酸化物粒子(W)の含有率wの下限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の熱線遮蔽性が良好となる観点から、4質量ppm以上が好ましい。50質量ppm以上がより好ましく、60質量ppm以上がさらに好ましく、100質量ppm以上が特に好ましい。一方、タングステン酸化物粒子(W)の含有率wの上限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性及び低着色性を良好に維持できる観点から、13000質量ppm以下が好ましい。600質量ppm以下がより好ましく、500質量ppm以下がさらに好ましく、450質量ppm以下が特に好ましい。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
前記樹脂成形体(1)において、分散剤粒子(X1)の含有率xの下限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性及び低着色性が良好となる観点から、50質量ppm以上が好ましい。500質量ppm以上がより好ましく、1000質量ppm以上がさらに好ましく、1500質量ppm以上が特に好ましい。一方、分散剤粒子(X1)の含有率xの上限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性及び低着色性を良好に維持できる観点から、20000質量ppm以下が好ましい。10000質量ppm以下がより好ましく、8000質量ppm以下がさらに好ましく、6000質量ppm以下が特に好ましい。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
前記樹脂成形体(1)において、前記複合粒子(XW1)は、樹脂成形体(1)の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性がより良好となる観点から、実質的に分散剤粒子(X1)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が吸着された形態又は存在する形態を有することが好ましい。「実質的に分散剤粒子(X1)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が吸着された形態又は存在する形態」とは、分散剤粒子(X1)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の、全体に対する割合が10%以下であることを意味する。
分散剤粒子(X1)については、タングステン酸化物粒子(W)に分散剤粒子(X1)を予め吸着等により付着させてから透明樹脂と混合してもよく、透明樹脂、タングステン酸化物粒子(W)、及び分散剤粒子(X1)を同時に混合してもよく、透明樹脂とタングステン酸化物粒子(W)の混合物に、後から分散剤粒子(X1)を添加して混合してもよい。
複合粒子(XW1)の形態は、前記分散剤粒子(X1)の種類及び含有率、並びに樹脂成形体の製造条件を調整することにより制御できる。
なお、複合粒子(XW1)の詳細については後述する。
<樹脂成形体(2)>
樹脂成形体(2)は、本発明の樹脂成形体の別の一例である。
樹脂成形体(2)において、前記分散剤粒子(X)は、炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸メチルを除く)由来の繰り返し単位を含む粒子状の共重合体である(以下、「分散剤粒子(X2)」という。)。
さらに、樹脂成形体(2)において、前記複合粒子(XW)は、後述する分散剤粒子(X2)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X2)の粒子の内部に、複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する(以下、「複合粒子(XW2)」という。)。
樹脂成形体(2)において、前記樹脂成形体(2)中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率w(単位:質量ppm)、及び、分散剤粒子(X)の含有率x(単位:質量ppm)としたとき、下記式(3)及び(4)を満たすことができる。
50≦w≦500 (3)
5.11w+444≦x≦10.00w+2000 (4)
前記樹脂成形体(2)において、タングステン酸化物粒子(W)の含有率wの下限は、樹脂成形体の熱線遮蔽性が良好となる観点から、50質量ppm以上が好ましい。60質量ppm以上がより好ましく、100質量ppm以上がさらに好ましい。一方、タングステン酸化物粒子(W)の含有率wの上限は、樹脂成形体の透明性及び低着色性を良好に維持できる観点から、500質量ppm以下が好ましい。450質量ppm以下がより好ましく、400質量ppm以下がさらに好ましい。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
分散剤粒子(X2)の含有率xの下限は、樹脂成形体の透明性及び低着色性が良好となる観点から、「5.11w+444」以上が好ましい。「5.38w+477」以上がより好ましい。一方、分散剤粒子(X2)の含有率xの上限は、樹脂成形体の透明性及び低着色性を良好に維持できる観点から、「10.00w+2000」以下が好ましく、「7.00w+1150」以下がより好ましい。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
さらに、前記w及び前記xは、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性のバランスがより良好となる観点から、下記式(5)及び(6)を満たすことが好ましい。
60≦w≦450 (5)
5.38w+477≦x≦7.00w+1150 (6)
前記樹脂成形体(2)において、前記複合粒子(XW2)は、タングステン酸化物粒子の分散状態を制御して、樹脂成形体(2)の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性が良好となる観点から、分散剤粒子(X2)の粒子の表面に前記タングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X2)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有することが好ましい。
さらに、前記複合粒子(XW2)は、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性がより良好となる観点から、実質的に分散剤粒子(X2)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態であることが好ましい。「実質的に分散剤粒子(X2)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態である」とは、分散剤粒子(X2)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の、全体に対する割合が10%以下であることを意味する。
分散剤粒子(X2)については、タングステン酸化物粒子(W)に分散剤粒子(X2)を予め吸着等により付着させてから透明樹脂と混合してもよく、透明樹脂、タングステン酸化物粒子(W)、及び分散剤粒子(X2)を同時に混合してもよく、透明樹脂とタングステン酸化物粒子(W)の混合物に、後から分散剤粒子(X2)を添加して混合してもよい。
本発明の複合粒子(XW2)の形態は、前記分散剤粒子(X2)の種類及び含有率、並びに樹脂成形体の製造条件を調整することにより制御できる。
複合粒子(XW2)の詳細については後述する。
本発明の樹脂成形体は、熱線遮熱性、低着色性、可視光領域の全光線透過率を損なわない範囲で各種添加剤をさらに含有することができる。添加剤の具体例としては、例えば、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光剤、連鎖移動剤等が挙げられる。
本発明により、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体を得ることができる。より詳しくは、本発明により、蛍光灯、ランプ等の光源の光、太陽光に含まれる赤外線領域の光を遮蔽し、可視光領域で高い全光線透過率を有し、着色が抑えられた樹脂成形体を得ることができる。
<(メタ)アクリル重合体(P)>
本発明においては、透明樹脂として(メタ)アクリル重合体(P)を用いることが好ましい。
本発明の樹脂成形体において、樹脂組成物が、(メタ)アクリル重合体(P)を含有することにより、樹脂成形体の透明性が向上するとともに、樹脂成形体の熱分解性が抑制され、加熱成形性、耐熱性、機械的強度を良好にすることができる。
本発明の(メタ)アクリル重合体(P)としては、メタクリル酸メチルの単独重合体を用いてもよいし、(メタ)アクリル重合体(P)の総質量100質量%に対し、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位(以下、「MMA単位」という。)80質量%以上100質量%未満と他の(メタ)アクリル酸エステル単量体(以下、「(メタ)アクリル酸エステル(M)」という。)由来の繰り返し単位0質量%を超えて20質量%以下を含有する共重合体を用いてもよい。
得られる樹脂成形体の加熱成形性、耐熱分解性が良好となる観点から、(メタ)アクリル重合体(P)は、MMA単位80質量%以上99質量%以下と後述する(メタ)アクリル酸エステル(M)単位1質量%以上20質量%以下を含む共重合体がより好ましく、MMA単位90質量%以上98質量%以下と(メタ)アクリル酸エステル(M)単位2質量%以上10質量%以下を含む共重合体がさらに好ましい。
或いは又、得られる樹脂成形体の透明性、耐熱性及び機械的強度が良好となる観点からは、(メタ)アクリル重合体(P)は、MMAの単独重合体であることが好ましい。
前記の(メタ)アクリル酸エステル(M)は、メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体であれば特に限定されない。(メタ)アクリル酸エステル(M)としては、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニルメチル、(メタ)アクリル酸メンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル、(メタ)アクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用又は2種以上を併用できる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、及びアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体は、樹脂成形体の熱分解性を抑制し、加熱成形性が良好となる点から好ましい。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した前記(メタ)アクリル重合体(P)の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではなく、150,000以上30,000,000以下が好ましい。質量平均分子量(Mw)の下限を150,000以上とすることにより、樹脂成形体の切削加工性、機械的強度が向上する。また、質量平均分子量(Mw)の上限を30,000,000以下とすることにより、樹脂成形体の加熱成形性が向上する。質量平均分子量(Mw)は160,000以上1,000,000以下がより好ましく、180,000以上700,000以下がさらに好ましく、200,000以上500,000以下が特に好ましい。
前記(メタ)アクリル重合体(P)の質量平均分子量は、(メタ)アクリル樹脂組成物から形成される樹脂成形体の製造において、重合時の連鎖移動剤の種類、添加量、重合温度、単量体の仕込み組成等を調整することにより制御できる。
<複合粒子(XW)>
複合粒子(XW)は、本発明の樹脂成形体を形成する樹脂組成物の構成成分の一つである。
前記複合粒子(XW)は、前記分散剤粒子(X)の粒子の表面に、前記タングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に、複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する。
さらに、上述したように、本発明の樹脂成形体の一例である樹脂成形体(1)において、前記複合粒子(XW)は前記複合粒子(XW1)を含有している。また、別の一例である樹脂成形体(2)において、前記複合粒子(XW)は前記複合粒子(XW2)を含有している。
分散剤粒子(X)を使用することなくタングステン酸化物粒子(W)を配合した場合、タングステン酸化物粒子(W)が樹脂成形体を形成する樹脂組成物中で凝集して、樹脂成形体の透明性が低下し、着色する傾向がある。
しかし、本発明の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子(W)を上述した複合粒子(XW)の形態で含有することにより、タングステン酸化物粒子(W)を凝集させることなく適度に分散した状態で含むことできる。そのため樹脂成形体の熱線遮蔽性を損なうことなく、透明性、低着色性がより良好となる。
本明細書において、「分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態」は、吸着、付着等その機構は特に限定されない。好ましくは吸着である。
「分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在した形態」とは、タングステン酸化物粒子(W)がファンデルワールス力等によって分散剤粒子(X)の粒子の表面に弱く束縛されている状態(物理吸着)、又は、吸着したタングステン酸化物粒子(W)と分散剤粒子(X)の粒子の表面との間で電子の交換が行われ、タングステン酸化物粒子(W)と分散剤粒子(X)の粒子の表面との間に強い結合(共有結合、イオン結合、金属結合、配位結合)が生じている状態(化学吸着)をいう。
分散剤粒子(X)の粒子にタングステン酸化物粒子(W)を吸着させる方法は、特に限定されない。例えば、タングステン酸化物粒子(W)と分散剤粒子(X)を溶媒に溶解、攪拌して分散液を調製した後、真空乾燥等の処理で溶媒を除去する方法等が挙げられる。
「分散剤粒子(X)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態」は、複数のタングステン酸化物粒子(W)を含んでいれば状態は特に限定されず、タングステン酸化物粒子(W)が一次粒子又は凝集粒子のいずれとして含有されていてもよい。
分散剤粒子(X)の粒子にタングステン酸化物粒子(W)を含有させる方法は、特に限定されない。例えば、分散剤組成物中にタングステン酸化物粒子(W)を予め分散混合しておき、その後粒子を形成し分散剤粒子(X)とする方法等が挙げられる。
本発明の樹脂成形体中における、前記複合粒子(XW)の分散粒子径の下限は、樹脂成形体中でタングステン酸化物粒子(W)が再凝集することを抑制でき、樹脂成形体のヘーズ値が低減し、樹脂成形体の透明性が良好となる観点から、100nm以上が好ましい。120nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましい。複合粒子(XW)の分散粒子径の上限は、樹脂成形体のヘーズ値が低減し、樹脂成形体の透明性が良好となる観点から、1000nm以下が好ましい。600nm以下がより好ましく、400nm以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
或いは又、樹脂成形体中における前記複合粒子(XW)の分散粒子径は、100nm以上1000nm以下が好ましい。120nm以上600nm以下がより好ましく、150nm以上400nm以下がさらに好ましい。
<タングステン酸化物粒子(W)>
タングステン酸化物粒子(W)は、本発明の樹脂成形体を形成する樹脂組成物の構成成分の一つである。
本発明の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子(W)を含有することにより、樹脂成形体の熱線遮蔽性が向上する。
該タングステン酸化物粒子(W)としては、WO(2.45≦X≦2.999)又はMWO(0.1≦Y≦0.5;2.2≦Z≦3.0;Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素である)で示され、且つ、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物粒子が挙げられる。該複合タングステン酸化物粒子としては、例えば、Cs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WO等が挙げられる。タングステン酸化物粒子(W)としては、熱線遮蔽性がより向上する観点から、セシウムタングステン酸化物粒子が好ましい。タングステン酸化物粒子(W)としては、市販品では、例えばYMDS-874(商品名、住友金属鉱山(株)製、Cs0.33WO)等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂成形体の透明性及び着色性は、タングステン酸化物粒子(W)による光散乱が影響する。可視光領域の光散乱を抑制するには、タングステン酸化物粒子(W)の分散粒子径は200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。タングステン酸化物粒子(W)の分散粒子径が光の波長より十分小さくなると、レイリー散乱領域となり、散乱強度は分散粒子径の6乗に比例することから、樹脂成形体の透明性及び低着色性はより向上する。また、タングステン酸化物粒子(W)の分散粒子径が小さいほど比表面積が増えるため、熱線遮蔽効率が向上すると推察する。しかし、分散粒子径が小さくなりすぎると、粒子同士が再凝集しやすくなることから、タングステン酸化物粒子(W)の分散粒子径は10nm以上が好ましい。
<分散剤粒子(X)>
分散剤粒子(X)は、本発明の樹脂成形体の構成成分の一つである。本発明における分散剤粒子(X)は、タングステン酸化物粒子(W)を分散させる分散剤である。なお、分散剤粒子(X)は球形である必要はなく、形状は問わない。
本発明における分散剤粒子(X)は粒子形状を有している。そして、本発明における分散剤粒子(X)は、その粒子の表面に前記タングステン酸化物粒子(W)が吸着又は存在した形態、及び、その粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する。これにより、本発明における分散剤粒子(X)は、樹脂成形体中においてタングステン酸化物粒子(W)同士の凝集を抑制する作用を有し、その結果、得られた樹脂成形体の透明性及び低着色性が良好となることは、本発明者らの検討により初めて明らかとなったものである。
上述したように、本発明の樹脂成形体の一例である樹脂成形体(1)において、前記分散剤粒子(X)は後述する分散剤粒子(X1)である。
また、別の一例である樹脂成形体(2)において、前記分散剤粒子(X)は後述する分散剤粒子(X2)である。
<分散剤粒子(X1)>
分散剤粒子(X1)は、本発明の樹脂成形体の一例である樹脂成形体(1)の構成成分の一つであり、架橋構造を有する粒子状の共重合体(D)(以下、「粒子状共重合体(D)」という。)である。
本発明の樹脂成形体においては、分散剤粒子(X1)である粒子状共重合体(D)の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在して前記複合粒子(XW1)を形成する。その結果、樹脂成形体の製造中にタングステン酸化物粒子(W)が凝集したり原料中で沈降することを防止できる。すなわち、タングステン酸化物粒子(W)の一次粒子化、凝集防止、沈降防止を促し、分散性が向上する。これにより樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性が良好になる。
その理由としては、粒子状共重合体(D)は架橋構造を有し粒子形状を維持できるため、透明樹脂との混合時にも、その表面に存在させたタングステン酸化物粒子(W)を均一に分散することができると推定される。
樹脂成形体中の前記粒子状共重合体(D)の分散粒子径は、特に制限されない。樹脂成形体中の前記粒子状共重合体(D)の分散粒子径は、一般的には100~1000nmが好ましい。
本発明における粒子状共重合体(D)の形態としては、最内層重合体(A)と中間層重合体(B)と外層重合体(C)からなる3層の構造が好ましく挙げられるが、これに限定されない。この他にも、最内層重合体(A)と中間層重合体(B)との間に他の層をさらに有する構造であってもよい。以下に詳述する。
前記粒子状共重合体(D)の好ましい形態としては、架橋構造を有するゴム状共重合体と、該ゴム状共重合体の存在下に、後述する炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、及び、後述する炭素数1以上8以下のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル(a2)の少なくとも一方を含む単量体混合物を重合してなる外層重合体(C)とを有する多段重合共重合体を挙げることができる。
前記外層重合体(C)としては、該外層重合体(C)の総質量に対して、前記アクリル酸アルキルエステル(a1)由来の繰り返し単位0質量%を超えて50質量%以下と前記メタクリル酸アルキルエステル(a2)由来の繰り返し単位50質量%以上100質量%未満を含む共重合体、又は、前記メタクリル酸アルキルエステル(a2)の単独共重合体を挙げることができる。
前記粒子状共重合体(D)の他の形態としては、後述するゴム状共重合体を有する層と、該層の外層側に、前記外層重合体(C)を有する層を最外層として有する形態が挙げられる。
前記粒子状共重合体(D)が、前記外層重合体(C)を有する層を最外層に有することにより、粒子状共重合体(D)の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する複合粒子(XW1)を形成する。その結果、樹脂成形体の製造中にタングステン酸化物粒子(W)が凝集したり、原料中で沈降することを防止できる。すなわち、タングステン酸化物粒子(W)の分散性が向上するため、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性が良好となる。
本発明の粒子状共重合体(D)において、前記ゴム状共重合体の形態は、特に限定されないが、ゴム状共重合体としては、例えば、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、後述する芳香族ビニル化合物(a3)及び多官能単量体(a5)とを含む単量体混合物を重合してなる中間層重合体(B)を有するゴム状共重合体を好ましく挙げることができる。
或いは又、前記ゴム状共重合体の別の好ましい形態として、例えば、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、後述する炭素数1以上4以下のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル(a4)、芳香族ビニル化合物(a3)及び多官能単量体(a5)を含む単量体混合物を重合してなる最内層重合体(A)と、該最内層重合体(A)の存在下に、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、芳香族ビニル化合物(a3)及び多官能単量体(a5)を含む単量体混合物を重合してなる中間層重合体(B)とを有するゴム状共重合体を好ましく挙げることができる。
前記最内層重合体(A)としては、該最内層重合体(A)の総質量に対して、前記アクリル酸アルキルエステル(a1)由来の繰り返し単位30~59.9質量%、前記メタクリル酸アルキルエステル(a4)由来の繰り返し単位40~69.9質量%と前記芳香族ビニル化合物(a3)由来の繰り返し単位0~20質量%及び多官能単量体(a5)由来の構造単位0.1~10質量%を含む共重合体を挙げることができる。
前記中間層重合体(B)としては、該中間層重合体(B)の総質量に対して、前記アクリル酸アルキルエステル(a1)由来の繰り返し単位70~89.9質量%と前記芳香族ビニル化合物(a3)由来の繰り返し単位10~29.9質量%及び多官能単量体(a5)由来の構造単位0.1~5質量%を含む共重合体を好ましく挙げることができる。
前記粒子状共重合体(D)においては、樹脂成形体の透明性を良好なものとする観点から、屈折率を調整し、良好な透明性を確保することが好ましい。
例えば図1に係る実施例1の樹脂成形体を例として説明する。該樹脂成形体は、(メタ)アクリル樹脂組成物を、(メタ)アクリル重合体(P)(4)と複合粒子(XW1)(3)とを含有する(メタ)アクリル樹脂組成物からなり、該複合粒子(XW1)(3)は、タングステン酸化物粒子(W)(1)と粒子状共重合体(D)(2)からなる。
この例では製造例1に記載した原料組成で粒子状共重合体(D)を形成したが、その結果、樹脂成形体を3mm程度の板状としたときに、全光線透過率(Tt)が60%以上となり、ヘーズ(H)が10%以下と透明性が良好であり、イエローインデックス(YI)が4.0未満で着色が抑制された樹脂成形体が得られた。
なお、全光線透過率およびヘーズは実施例に記載した方法で測定することができる。
<アクリル酸アルキルエステル(a1)>
アクリル酸アルキルエステル(a1)は、前記粒子状共重合体(D)の外層重合体(C)、中間層重合体(B)及び最内層重合体(A)の構成成分の一つである。
前記粒子状共重合体(D)の外層重合体(C)、中間層重合体(B)、及び最内層重合体(A)が、構成成分の一つとして、アクリル酸アルキルエステル(a1)由来の繰り返し単位を含むことにより、樹脂成形体の透明性と低着色性が良好となる。
アクリル酸アルキルエステル(a1)としては、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルを用いることができる。具体的には、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチル、アクリル酸i-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中間層重合体(B)に用いるアクリル酸アルキルエステル(a1)としては、タングステン酸化物粒子(W)を粒子状共重合体(D)の粒子表面に存在させて、その分散性が良好となる観点からアクリル酸n-ブチルが好ましい。また、外層重合体(C)に用いるアクリル酸アルキルエステル(a1)としては、粒子状共重合体(D)の熱安定性の観点から、アクリル酸メチルが好ましい。
<メタクリル酸アルキルエステル(a2)>
メタクリル酸アルキルエステル(a2)は、前記粒子状共重合体(D)の外層重合体(C)の構成成分の一つである。
前記粒子状共重合体(D)の外層重合体(C)が、構成成分の一つとして、メタクリル酸アルキルエステル(a2)由来の繰り返し単位を含むことにより、樹脂成形体の透明性と低着色性が良好となる。
メタクリル酸アルキルエステル(a2)としては、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを用いることができる。具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸i―プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。粒子状共重合体(D)の(メタ)アクリル樹脂組成物への分散性の観点からメタクリル酸メチルが好ましい。
<芳香族ビニル化合物(a3)>
芳香族ビニル化合物(a3)は、前記粒子状共重合体(D)の最内層重合体(A)、中間層重合体(B)の構成成分の一つである。
前記粒子状共重合体(D)の中間層重合体(B)が、構成成分の一つとして、芳香族ビニル化合物(a3)由来の繰り返し単位を含むことにより、樹脂成形体の透明性と低着色性が良好となる。
芳香族ビニル化合物(a3)としては、具体的には、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤粒子(X)を乳化重合法、懸濁重合法で製造する際に、芳香族ビニル化合物(a3)の水への溶解性が高く、重合の制御が容易である観点からスチレンが好ましい。
<メタクリル酸アルキルエステル(a4)>
メタクリル酸アルキルエステル(a4)は、本発明の最内層重合体(A)の構成成分の一つである。
前記粒子状共重合体(D)の最内層重合体(A)が、構成成分の一つとして、メタクリル酸アルキルエステル(a4)由来の繰り返し単位を含むことにより、本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物を成形して樹脂成形体の透明性と低着色性が良好となる。
メタクリル酸アルキルエステル(a4)としては、炭素数1以上4以下のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを用いることができる。具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸i-プロピル、メタクリル酸n-ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、樹脂成形体の透明性に優れる観点からメタクリル酸メチルが好ましい。
本発明の最内層重合体(A)、中間層重合体(B)、及び外層重合体(C)は、得られる樹脂成形体の性能を損なわない範囲で、それぞれ独立して、後述する多官能単量体(a5)由来の構造単位、又は、後述する他の単官能単量体(a6)由来の繰り返し単位をさらに含むことができる。
<多官能単量体(a5)>
多官能単量体(a5)は、本発明の最内層重合体(A)、中間層重合体(B)の構成成分の一つとして用いることができる。
多官能単量体(a5)は、共重合可能な官能基を2以上有する単量体であり、前記単量体(a1)~(a4)及び後述する他の単官能単量体(a6)と共重合可能な化合物であれば特に限定されない。多官能単量体(a5)としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3-ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン等の架橋剤、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の架橋剤、マレイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、トリメリット酸トリアリル等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<他の単官能単量体(a6)>
他の単官能単量体(a6)は、本発明の最内層重合体(A)、中間層重合体(B)、及び外層重合体(C)の構成成分の一つとして用いることができる。
他の単官能単量体(a6)は、前記単量体(a1)~(a4)及び前記多官能単量体(a5)と共重合可能な単量体であれば特に限定されない。他の単官能単量体(a6)としては、例えば、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の炭素数9以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、或いは又、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、上述した粒子状共重合体(D)は、公知の方法により製造できる。例えば、特開2006-160990号公報の段落0048~0054に記載の方法、国際公開第2005/097856号の段落0030~0036に記載の方法を用いることができる。
<分散剤粒子(X2)>
分散剤粒子(X2)は、本発明の樹脂成形体の別の一例である樹脂成形体(2)の構成成分の一つである。
本発明の樹脂成形体は、分散剤粒子(X2)を含有することにより、タングステン酸化物粒子(W)の分散性が向上する。これによりタングステン酸化物粒子(W)の一次粒子化、凝集防止、沈降防止を促し、樹脂成形体の熱線遮蔽性と透明性がさらに向上する。
本発明における分散剤粒子(X2)としては、タングステン酸化物粒子(W)の分散性を良好にでき、樹脂成形体の透明性と熱線遮蔽性が良好となる観点から、炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸メチルを除く)由来の繰り返し単位(以下、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位」という。)を含む粒子状の重合体が用いられる。前記重合体の前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位の含有量は、樹脂成形体の透明性と熱線遮蔽性がより良好となる観点から、前記重合体の総質量に対して、35質量%以上75質量%以下が好ましい。
炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有するメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸i-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有するアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸i-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アクリル酸n-ブチルを使用することが好ましい。
さらに、分散剤粒子(X2)を構成する前記共重合体は、得られる樹脂成形体の透明性がより良好となる観点から、MMA単位を含むことができる。分散剤粒子(X2)を構成する前記重合体の前記MMA単位の含有量は、樹脂成形体の透明性がより良好となる観点から、総質量に対して、25質量%以上65質量%以下が好ましい。
前記共重合体の具体的な実施形態としては、アクリル酸ブチル単位とメタクリル酸ブチル単位とメタクリル酸メチル単位を含む共重合体、アクリル酸エチル単位とメタクリル酸エチル単位とメタクリル酸メチル単位を含む共重合体等が挙げられる。
さらに、本発明における前記分散剤粒子(X2)のより好ましい実施形態として、タングステン酸化物粒子(W)の分散性をより良好にでき、樹脂成形体の透明性と熱線遮蔽性がより良好となる観点から、後述する共重合体(X2-A)が挙げられる。
<共重合体(X2-A)>
共重合体(X2-A)は、上述した分散剤粒子(X2)を構成する重合体の実施形態の一つとして用いることができる。
本発明の樹脂成形体は、分散剤粒子(X2)として共重合体(X2-A)を含有することにより、樹脂成形体の熱線遮蔽性を損なうことなく、透明性と低着色性を優れたものにできる。
共重合体(X2-A)は、炭素数2~8のアルキル基をエステル側鎖として有するアクリル酸アルキルエステル(a7)由来の繰り返し単位(以下、「アクリル酸アルキルエステル(a7)単位」という。)、及び、炭素数2~8のアルキル基をエステル側鎖として有するメタクリル酸アルキルエステル(a8)由来の繰り返し単位(以下、「メタクリル酸アルキルエステル(a8)単位」という。)の少なくとも一方を含む共重合体である。
共重合体(X2-A)が、アクリル酸アルキルエステル(a7)単位を含むことで、樹脂成形体の熱分解性を抑制し、加熱成形性が良好となる点から好ましい。さらにタングステン酸化物粒子(W)の分散性が良好となり、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性が向上する。
共重合体(X2-A)が、メタクリル酸アルキルエステル(a8)単位を含むことで、分散剤粒子(X)の分散性が良好となる。その結果、タングステン酸化物粒子(W)の分散性が良好となることで、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性が向上する。
共重合体(X2-A)中の、アクリル酸アルキルエステル(a7)単位の含有量の下限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性が良好となる観点から、共重合体(X2-A)の総質量に対して、5質量%以上が好ましい。25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、アクリル酸アルキルエステル(a7)単位の含有量の上限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性が良好となる観点から、共重合体(X2-A)の総質量に対して、65質量%以下が好ましい。40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
共重合体(X2-A)中の、メタクリル酸アルキルエステル(a8)単位の含有量の下限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性が良好となる観点から、共重合体(X2-A)の総質量に対して、10質量%以上が好ましい。15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。一方、メタクリル酸アルキルエステル(a8)単位の含有量の上限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性が良好となる観点から、共重合体(X2-A)の総質量に対して、30質量%以下が好ましい。25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
或いは又、共重合体(X2-A)は、該共重合体(X2-A)の総質量に対して、アクリル酸アルキルエステル(a7)単位5質量%以上65質量%以下と、メタクリル酸アルキルエステル(a8)単位10質量%以上30質量%以下とを含むことが好ましい。
さらに、共重合体(X2-A)は、樹脂成形体の透明性がより良好となる観点から、MMA単位を含むことができる。前記重合体の前記MMA単位の含有量の下限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性がより良好となる観点から、該共重合体(X2-A)の総質量に対して、25質量%以上とすることができる。一方、MMA単位の含有量の上限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性がより良好となる観点から、該共重合体(X2-A)の総質量に対して、65質量%以下とすることができる。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
共重合体(X2-A)の一実施態様として、MMA単位を含む場合、該共重合体(X2-A)の総質量に対して、アクリル酸アルキルエステル(a7)単位5質量%以上65質量%以下と、メタクリル酸アルキルエステル(a8)単位10質量%以上30質量%以下と、MMA単位25質量%以上65質量%以下を含む共重合体を挙げることができる。アクリル酸アルキルエステル(a7)単位20質量%以上40質量%以下と、メタクリル酸アルキルエステル(a8)単位10質量%以上30質量%以下と、MMA単位40質量%以上60質量%以下を含む共重合体がより好ましい。
前記アクリル酸アルキルエステル(a7)としては、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸i-プロピル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸i-ブチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用又は2種以上を併用できる。前記アクリル酸アルキルの中でも、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸n-エチル、アクリル酸n-プロピル及びアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体は、タングステン酸化物粒子(W)の分散性が良好となる上、(メタ)アクリル重合体(P)との屈折率差が小さくなることで、得られる樹脂成形体の透明性が向上する点から好ましい。
前記メタクリル酸アルキルエステル(a8)としては、具体的には、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸i-プロピル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用又は2種以上を併用できる。前記メタクリル酸アルキルエステルの中でも、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸i-ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体は、タングステン酸化物粒子(W)の分散性が良好となる上、(メタ)アクリル重合体(P)との屈折率差が小さくなることで樹脂成形体の透明性が向上する点から好ましい。
共重合体(X2-A)として、具体的には、MMA単位25~65質量%、メタクリル酸n-ブチル(BMA)単位10~30質量%及びアクリル酸n-ブチル(BA)単位5~65質量%を含む共重合体を挙げることができる。
共重合体(X2-A)は、樹脂成形体の性能を損なわない範囲で、他の単量体(a9)由来の繰り返し単位を含むことができる。
前記他の単量体(a9)は、前記前記アクリル酸アルキルエステル(a7)、前記メタクリル酸アルキルエステル(a8)、及びメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体であれば特に限定されない。他の単量体(a9)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等の等の炭素数9以上のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体が挙げられる。これらは単独で使用又は2種以上を併用できる。
<樹脂成形体の製造方法>
本発明の樹脂成形体を得る方法としては、後述する重合性組成物(M2)を重合する方法が挙げられる。
前記重合性組成物(M2)を重合して樹脂成形体を得る際に使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等の公知のアゾ化合物、及び、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の公知の有機過酸化物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。必要に応じて、ラジカル重合開始剤と共にアミン、メルカプタン等の公知の重合促進剤を併用することができる。
重合性組成物(M2)中のラジカル重合開始剤の含有率は、特に限定されるものでなく、当業者が周知技術に従い適宜決めることができる。通常は、前記重合性組成物(M2)の総質量100質量部に対して、0.01質量部以上0.5質量部以下である。
重合性組成物(M2)を重合する際の重合温度は、特に限定されるものでなく、当業者が周知技術に従い適宜決めることができる。通常、使用するラジカル重合開始剤の種類に応じて20~150℃の範囲で適宜設定される。また、重合性組成物(M2)は必要に応じて多段階の温度条件で重合を行うことができる。
重合性組成物(M2)の重合法としては、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法及び分散重合法が挙げられる。これらの中でも、生産性の点で塊状重合法が好ましく、塊状重合法の中でもキャスト重合(注型重合)法がより好ましい。
キャスト重合法としては、例えば、板状の形態を有する樹脂成形体を得る場合、対向する2枚のガラス板又は金属板(SUS板)と、その縁部に配置された軟質樹脂チューブ等のガスケットとから形成された空間を鋳型として、重合性組成物(M2)又は重合性組成物(M2)の一部を重合したシラップを前記鋳型に注入し、加熱・重合処理することによって重合を完結させ、鋳型から樹脂成形体を取り出すセルキャスト法が挙げられる。或いは又、同一方向に同一速度で所定の間隔をもって対向して走行する2枚のステンレス製エンドレスベルトと、その両側辺部に配置された軟質樹脂チューブ等のガスケットとで形成された空間を鋳型として、前記エンドレスベルトの一端から連続的に重合性組成物(M2)又は重合性組成物(M2)の一部を重合したシラップを前記鋳型の注入し、加熱・重合処理することによって重合を完結させ、エンドレスベルトの他端から連続的に樹脂成形体を取り出す連続キャスト法が挙げられる。
鋳型の空隙の間隔を、ガスケットの太さ(直径)で適宜調整して、所望の厚さの樹脂成形体を得ることができる。樹脂成形体の厚さは、通常は0.1~50mmの範囲に設定される。
<重合性組成物(M2)>
重合性組成物(M2)は、本発明の樹脂成形体を得るための原料の一実施態様であり、後述する原料組成物(M1)、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)、並びに公知のラジカル重合開始剤を含有する組成物である。
本発明の樹脂成形体の一例である樹脂成形体(1)において、前記重合性組成物(M2)は、後述する原料組成物(M1)、タングステン酸化物粒子(W)及び前記分散剤粒子(X1)、並びに公知のラジカル重合開始剤を含有する組成物である。
樹脂成形体(1)の製造において、重合性組成物(M2)中に含まれる前記タングステン酸化物粒子(W)の含有率wM2(単位:質量ppm)は、特に限定されるものではなく、該重合性組成物(M2)の総質量に対して、4質量ppm以上13000質量ppm以下の範囲とすることができる。
重合性組成物(M2)中に含まれる前記分散剤粒子(X1)の含有率xM2(単位:質量ppm)は、特に限定されるものではなく、50質量ppm以上20000質量ppm以下の範囲とすることができる。
また、別の一例である樹脂成形体(2)において、前記重合性組成物(M2)は、後述する原料組成物(M1)、タングステン酸化物粒子(W)及び前記分散剤粒子(X2)、並びにラジカル重合開始剤を含有する組成物である。ここで、ラジカル重合開始剤は特に限定されない。
樹脂成形体(2)の製造において、重合性組成物(M2)中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率wM2(単位:質量ppm)、及び、前記分散剤粒子(X2)の含有率xM2(単位:質量ppm)は、下記式(7)及び(8)の範囲とすることができる。
50≦wM2≦500 (7)
5.11wM2+444≦xM2≦10.00wM2+2000 (8)
なお、分散剤粒子(X2)は、そのまま原料組成物(M1)に添加してもよく、分散剤粒子(X2)と適当な(メタ)アクリル系樹脂とを溶融混練ないし混合して得られたペレットを原料組成物(M1)に添加してもよい。
<原料組成物(M1)>
原料組成物(M1)は、前記重合性組成物(M2)の構成成分であり、前記(メタ)アクリル重合体(P)の原料成分でもある。
原料組成物(M1)とは、MMAを含む単量体組成物であり、具体的には、MMAと(メタ)アクリル酸エステル(M)を含む単量体組成物、又は、MMA単独からなる組成物である。(メタ)アクリル酸エステル(M)としては、上述した(メタ)アクリル重合体(P)の欄に記載した「(メタ)アクリル酸エステル(M)」と同様の単量体を用いることができる。
原料組成物(M1)が、(メタ)アクリル酸エステル(M)を含むことにより、樹脂成形体の加熱成形性、耐熱分解性が向上する。
原料組成物(M1)が、MMAを含むことにより、樹脂成形体は透明性、耐熱性及び機械的強度をより優れたものにできる。
また、原料組成物(M1)中のMMA、(メタ)アクリル酸エステル(M)の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば最終的に得られた(メタ)アクリル重合体(P)中に、該(メタ)アクリル重合体(P)の総質量を100質量%として、MMA単位60質量%以上100質量%以下、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)単位0質量%以上40質量%以下となるように、適宜設定すればよい。
また、前記原料組成物(M1)は、MMA単位を含む重合体を予め含むことができる。具体的には、原料組成物(M1)は、後述する重合体(a)を、予め含むことができる。原料組成物(M1)が重合体(a)を含むことにより、重合性組成物(M2)は粘性を有する液体(以下、「シラップ」という)となるため、重合時間を短縮でき、生産性を向上することができる。
上述したシラップを得る方法としては、例えば、原料組成物(M1)に重合体を溶解させる方法、或いは原料組成物(M1)に公知のラジカル重合開始剤を添加して、その一部を重合させる方法が挙げられる。
重合性組成物(M2)の一実施態様として、重合性組成物(M2)がシラップである場合には、下記の重合体(a)と単量体組成物(m)を含む組成物が挙げられる。
重合体(a):重合体(a)の総質量に対して、MMA単位60質量%以上100質量%未満と前記(メタ)アクリル酸エステル(M)単位0質量%を超えて40質量%以下を含む重合体、又は、MMA単位100質量%からなる重合体。
単量体組成物(m):単量体組成物(m)の総質量に対して、MMA60質量%以上100質量%未満、(メタ)アクリル酸エステル(M)0質量%を超えて40質量%以下を含む単量体組成物、又は、MMA単独からなる単量体組成物。
<樹脂成形体>
本発明の樹脂成形体は、上述した(メタ)アクリル樹脂組成物からなる場合、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性がさらに優れる。
本発明の樹脂成形体は、上述した(メタ)アクリル樹脂組成物からなる場合、JIS K7361-1に準拠して、波長380~780nmの範囲内で測定した透過する光の光路長3mmの全光線透過率が60%以上であり、JIS K7136に準拠して測定した透過する光の光路長3mmのヘーズが10%以下であり、ASTM D1925に準拠して測定した透過する光の光路長3mmのイエローインデックス(YI)が4.0未満であり、後述する方法に従って波長780~2100nmの範囲内で測定した透過する光の光路長3mmの熱線カット率が40%以上であるという条件を満たすことができる。
透過する光の光路長が3mmのときの全光線透過率が60%以上とは、樹脂成形体の厚みを3mmに限定するものでなく、透過する光の光路長を3mmとして全光線透過率を測定したときの値を規定するものである。
透過する光の光路長が3mmのときのヘーズが10%以下とは、樹脂成形体の厚みを3mmに限定するものでなく、透過する光の光路長を3mmとしてヘーズを測定したときの値を規定するものである。
透過する光の光路長が3mmのときのYIが4.0未満とは、樹脂成形体の厚みを3mmに限定するものでなく、透過する光の光路長を3mmとしてYIを測定したときの値を規定するものである。
透過する光の光路長が3mmのときの熱線カット率が40%以上とは、樹脂成形体の厚みを3mmに限定するものでなく、透過する光の光路長を3mmとして熱線カット率を測定したときの値を規定するものである。
これにより、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性を良好とすることができる。
全光線透過率の下限は、樹脂成形体の透明性に優れる観点から、60%以上である。70%以上がより好ましい。一方、全光線透過率の上限は、特に限定されるものではなく、熱線遮蔽性を良好に維持できる観点から、通常は、90%以下、好ましくは85%以下に設定される。
ヘーズの上限は、樹脂成形体の透明性に優れる観点から、10%以下である。8%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。ヘーズの下限は、特に限定されるものではなく、熱線遮蔽性を良好に維持できる観点から、通常は、0.2%以上に設定される。
YIの上限は、樹脂成形体の低着色性に優れる観点から、4.0未満である。1.0未満がより好ましく、0.5未満がさらに好ましい。一方、YIの下限は、特に限定されるものではなく、小さい値ほど好ましい。ただ、YIの値が小さすぎると、青味がかった色味に見えて好まれない場合があり、通常は-4.0以上、より好ましくは-3.0以上、さらに好ましくは-2.0以上に設定される。
熱線カット率の下限は40%以上である。55%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。一方、熱線カット率の上限は、特に限定されるものではなく、100%とすることもできる。
上述した、前記全光線透過率が60%以上、前記ヘーズが10%以下、前記YIが4.0未満、及び前記熱線カット率が40%以上である樹脂成形体は、(メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する(メタ)アクリル樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に、複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する複合粒子(XW)を含有する、(メタ)アクリル樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体である。前記樹脂成形体においては、前記樹脂成形体の投影面積における単位面積あたりの、前記樹脂成形体の前記タングステン酸化物粒子(W)の含有量が0.05g/m以上3.00g/m以下が好ましい。
本発明の樹脂成形体は、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れているので、可視光領域で高い透明性を有し、着色が抑えられている。そのため、透明で存在感の低いことが要求されている、照明装置、看板等の保護材、特に、建造物、自動車、列車、バス等の屋根材、窓材の用途に適している。また、優れた透明性を生かし、顔料、染料を添加することで様々な調色が可能となる。
以下に本発明を、実施例を用いて説明する。以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。また、実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下のとおりである。
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
ST:スチレン
BA:アクリル酸n-ブチル
BMA:メタクリル酸n-ブチル
MA:アクリル酸メチル
1,3BDDM:ジメタクリル酸1,3-ブタンジオール
BDMA:ジメタクリル酸1,3-ブチレングリコール
AMA:メタクリル酸アリル
SFS:ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
HPP:t-ヘキシルパーオキシピバレート(日油(株)製)
BHP:t-ブチルヒドロペルオキシド(東京化成工業(株)製)
CHP:クメンヒドロペルオキシド(東京化成工業(株)製)
DBP:ジ-t-ブチルペルオキシド(東京化成工業(株)製)
OcSH:n-オクチルメルカプタン
AVN:2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(商品名、富士フイルム和光純薬(株)製)
W酸化物粒子(W-1):タングステン酸化物粒子含有分散粉(商品名:YMDS-874、住友金属鉱山(株)製、タングステン酸化物粒子を23.0質量%含有)
粒子状共重合体(D-1):製造例1で製造した分散剤粒子
粒子状共重合体(D-2):製造例2で製造した分散剤粒子
共重合体(D-3):架橋アクリル系微粒子(商品名:MA1002、(株)日本触媒製)
共重合体(D-4):市販のアクリル系共重合体(MMA単位とEA単位とMAA単位からなる共重合体、質量平均分子量35,000)
共重合体(D-5):市販のアクリル系共重合体(MMA単位とEA単位とMAA単位からなる共重合体、質量平均分子量55,000)
分散剤共重合体(X-1):製造例3で製造した分散剤粒子
分散剤共重合体(X-2):ポリエステル樹脂(商品名:BYK-W9010、ビックケミー・ジャパン(株)製)
乳化剤(1):モノ-n-ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸ナトリウム
乳化剤(2):モノ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸40%とジ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸60%混合物の水酸化ナトリウム部分中和物
<評価方法>
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
(1)全光線透過率(Tt)
透明性の指標として、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業(株)製、機種名:NDH4000)を用い、JIS K7361-1に準拠して樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)に平行光を入射して、波長380~780nmの範囲における、全光線透過率(平衡入射光束に対する全透過光束の割合)を測定した。試験片3点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値を全光線透過率(Tt)とした。
(2)ヘーズ(H)
透明性の指標として、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業(株)製、機種名:NDH4000)を用い、JIS K7136に準拠して樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)に平行光を入射して、波長380~780nmの範囲における、ヘーズ(%)(平衡入射光束に対する拡散透過光束の割合)を測定した。試験片3点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値をヘーズ値とした。
(3)透明性の判定
全光線透過率(Tt)とヘーズ(H)の測定値に基づいて、透明性を以下の判定基準に従い三段階で評価した。
(判定基準)
AA:全光線透過率(Tt)が70%以上、且つ、ヘーズ(H)が10%以下である。
A :全光線透過率(Tt)が60%以上70%未満、且つ、ヘーズ(H)が10%以下である。
B :AA、Aに該当しない。
(4)イエローインデックス(YI)
低着色性の指標として、分光式色差計(日本電色工業(株)製、機種名:SE-7700)を用い、ASTM D1925に準拠して、C光源を使用して、樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)のイエローインデックス(YI)を測定した。試験片3点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値をイエローインデックス(YI)とした。さらに、以下の判定基準に従い三段階評価した。
(判定基準)
AA:YIが1.0未満である。
A :YIが1.0以上4.0未満である。
B :YIが4.0以上である。
(5)熱線カット率
熱線遮蔽性の指標として、波長780~2100nmの範囲における熱線カット率を下記の手順で測定した。樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)について、紫外可視近赤外分光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製、機種名:UH4150)を用いて、波長780~2100nmの分光透過率(単位:%)を測定した。次いで、得られた分光透過率に、下記式(9)に従って、JIS R3106で規定される日射の標準スペクトル分布を示す重価係数を乗じて加重平均して、熱線透過率τe(単位:%)を得た。
Figure 0007230814000001
[式(9)中、E(λ)は波長λにおける重価係数であり、τ(λ)は波長λにおける分光透過率(単位:%)である。]
次いで、下記式(10)より波長780~2100nmの熱線カット率(単位:%)を算出した。
Figure 0007230814000002
さらに、以下の判定基準に従い熱線カット率を四段階で評価した。
(判定基準)
S :熱線カット率が90%以上である。
AA:熱線カット率が55%以上90%未満である。
A :熱線カット率が40%以上55%以上である。
B :熱線カット率が40%未満である。
(6)複合粒子(XW)の分散粒子径
樹脂成形体の試験片を、主平面に対して垂直方向に切断した。ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ(株)製、機種名:EM-ULTRACUTUCT)を用いて、前記切断面から、透過型電子顕微鏡用のサンプル1片を切り出した。透過型電子顕微鏡(日本電子工業(株)製、機種名:JEM-1011)を用いて、前記サンプルを倍率5万倍で観察し、TEM観察像を取得した。
分散剤粒子(X)の粒子にタングステン酸化物粒子(W)が吸着している複合粒子(XW)が観察された場合には、任意の20個の複合粒子(XW)について、TEM観察像上で観察される粒子の最大直径を測定し、その平均値を、複合粒子(XW)の分散粒子径とした。
(7)質量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)にて、(メタ)アクリル重合体(P)の質量平均分子量(Mw)を測定した。THF10mlに(メタ)アクリル重合体(P)20mgを溶解させ、40℃で加温した状態で一晩静置した。これに内部標準として、W400(2-2‘-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール))を添加し、0.2μmフィルターで濾過した溶液をGPC測定用のサンプルとした。GPC測定では、高速液体クロマトグラフィー測定装置(東ソー(株)製、機種名:HLC-8320型)に、分離カラム(東ソー(株)製、商品名:SUPER HM-H)を2本直列で使用した。また検出器には示差屈折計を用いた。分離カラム温度:40℃、移動層:THF、移動層の流量:0.6ml/min、サンプル注入量:10μlの条件で測定を行った。分子量が既知であるポリスチレン数種類(Mw:340~1,950,000)を標準ポリマーとして、標準ポリマー換算分子量を求めた。
[製造例1]粒子状共重合体(D-1)の製造:
攪拌機、還流冷却器、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、以下の成分を仕込んだ。(かっこ内の数字は質量部を示す。以下同様に記載する。)
脱イオン水(300部)
SFS(0.48部)
硫酸第1鉄(0.4×10-6部)
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(1.2×10-6部)
次に、系を窒素置換しながら80℃に昇温し、下記の組成の混合物(e-1)を2時間かけて投入し、80℃に保ったまま1時間保持して重合を完結させ、ラテックス(L-1)を得た。
得られたラテックス(L-1)の重合率は99%以上であった。
<混合物(e-1)>
MMA(22部)
ST(2.0部)
BA(16部)
1,3BDDM(1.0部)
AMA(0.1部)
BHP(0.04部)
乳化剤(1)(1.3部)
次いで、得られたラテックス(L-1)に、下記の組成の混合物(e-2)を加え、80℃で15分間保持した後、下記の組成の混合物(e-3)を3時間かけて滴下し、80℃で3時間保持して重合を完結させ、ラテックス(L-2)を得た。
得られたラテックス(L-2)の重合率は99%以上であった。
<混合物(e-2)>
SFS(0.2部)
脱イオン水(5.0部)
<混合物(e-3)>
ST(10部)
BA(50部)
1,3BDDM(0.2部)
AMA(1.2部)
CHP(0.2部)
乳化剤(1)(2.5部)
次いで、得られたラテックス(L-2)に、下記の組成の混合物(e-4)を入れ、80℃で15分間保持した後、下記の組成の混合物(e-5)を2時間かけて滴下し、80℃で1時間保持して重合を完結させ、ラテックス(L-3)を得た。
得られた最終ラテックス(L-3)の重合率は99%以上であった。
<混合物(e-4)>
SFS(0.2部)
脱イオン水(5.0部)
<混合物(e-5)>
MMA(57.0部)
MA(3.0部)
BHP(0.1部)
OcSH(0.2部)
ステンレス製の容器に凝固剤として1.6%酢酸カルシウム水溶液300部を仕込み、混合攪拌下90℃に昇温し、得られた最終ラテックス(L-3)300部を10分間にわたって連続的に添加しながら凝固し、その後5分間保持した。そして、室温まで冷却し、脱イオン水で洗浄しながら、1300Gで3分間、遠心脱水し、ろ別して湿潤状の重合体を得た。
この湿潤状の重合体を75℃で48時間乾燥させて白色粉体状の重合体を得た。これを粒子状共重合体(D-1)とした。
[製造例2]粒子状共重合体(D-2)の製造:
攪拌機、還流冷却器、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、以下の成分を仕込んだ。
脱イオン水(300部)
炭酸ナトリウム(0.09部)
ほう酸(0.9部)
次に、系を窒素置換しながら80℃に昇温し、下記の組成の混合物(e-6)63.6部の内、3.8部を添加して15分保持し、その後残りの前記混合物(e-6)を5.1部/時間の速度で連続的に添加し、その後1時間保持して最内層の重合を行った。
<混合物(e-6)>
ST(10部)
BA(50部)
BDMA(0.2部)
AMA(1.2部)
CHP(0.2部)
乳化剤(2)(2.0部)
次いで、下記の組成の混合物(e-7)を5.2部加え、15分保持した後、下記の組成の混合物(e-8)60.6部を0.61部/時間の速度で連続的に添加し、その後1時間保持して最外層の重合を行い、ラテックス(L-4)を得た。
<混合物(e-7)>
SFS(0.2部)
脱イオン水(5部)
<混合物(e-8)>
MMA(57.0部)
BA(3.0部)
DBP(0.1部)
OcSH(0.2部)
次いで、このラテックス(L-4)を、製造例1と同様の条件で、凝固、洗浄、脱水、乾燥を行い、白色粉体状の重合体を得た。これを粒子状共重合体(D-2)とした。
[製造例3]分散剤共重合体(X-1)の製造:
攪拌機及び還流冷却器付き反応容器内に、イオン交換水260部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.5部、過硫酸カリウム0.2部、MMA30部、OcSH0.05部の混合物を仕込み、容器内を窒素置換したのち、攪拌下で反応容器を65℃に昇温して2時間加熱攪拌した。
続いて、この反応系にBMA20部とBA30部及びOcSH0.5部の混合物を1時間かけて添加し、添加終了後、さらに2時間攪拌した。
続いて、この反応系にMMA20部及びOcSH0.05部の混合物を30分間かけて添加し、さらに2時間加熱攪拌したのち、重合反応を終了、冷却しラテックスを得た。
得られたラテックスを塩化アルミニウム水溶液に加えて塩析凝固したのち、得られた凝固物を、洗浄、乾燥して重合体を得た。これを分散剤共重合体(X-1)とし、分散剤粒子として用いた。分散剤共重合体(X-1)のガラス転移温度は23℃であった。またH-NMR法を用いた公知の組成分析法の結果、分散剤共重合体(X-1)は、MMA単位50質量%、BMA単位20質量%及びBA単位30質量%を含む共重合体であった。
[実施例1]
(1)シラップの製造
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)にMMA100質量部を供給し、窒素ガスでバブリングしながら、15分間撹拌した後、温度60℃まで攪拌しながら昇温した。次いで、ラジカル重合開始剤としてAVN0.1質量部を添加し、更に前記単量体組成物を100℃になるまで攪拌しながら昇温した後、13分間保持した。次いで、反応器の内温が室温になるまで冷却してシラップ(Z)を得た。シラップ(Z)中の重合体(a)の含有率は20質量%であった。
(2)注型重合
上記のシラップ(Z)92質量部に、MMA8質量部、製造例1で製造した粒子状共重合体(D-1)0.3質量部、タングステン酸化物粒子(W)としてW酸化物粒子(W-1)を0.06質量部(タングステン酸化物粒子を13.8×10-3質量部含む)及び重合開始剤としてHPP0.4質量部を撹拌しながら添加して、溶解したものを重合性組成物(M2)とした。
対向して配置した2枚のSUS板の端部に、2枚のSUS板の空隙間隔が4.1mmとなるように軟質樹脂製ガスケットを設置して、鋳型を作製した。次いで、上記の鋳型の中に、前記重合性組成物(M2)を流し込んだ後、軟質樹脂製ガスケットで封止し、80℃まで昇温して40分間保持した後、次いで130℃まで昇温して30分間保持して、重合性組成物(M2)を重合させた。その後、室温まで冷却し、SUS板を取り除いて厚さ3mmの板状の樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表1に、TEMで撮影した写真を図1に示す。表中、樹脂成形体に対する(P)、(W)、(X)の量は、それぞれ重合性組成物に占める仕込み量から算出した。
また、樹脂成形体中の(メタ)アクリル重合体(P)の質量平均分子量(Mw)は350,000であった。
[比較例1]
分散剤粒子(X)を不使用とした以外は実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表1に、TEMで撮影した写真を図2に示す。
Figure 0007230814000003
[実施例2~15]
タングステン酸化物粒子(W)又は分散剤粒子(X)の種類又は配合量を、表2記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表2に示す。
Figure 0007230814000004
[比較例2~7]
タングステン酸化物粒子(W)又は分散剤粒子(X)の種類又は配合量を、表3記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表3に示す。
Figure 0007230814000005
[実施例16]
実施例1で製造したシラップ(Z)92質量部、MMA8質量部、製造例3で製造した分散剤共重合体(X-1)0.1質量部、タングステン酸化物粒子(W)としてW酸化物粒子(W-1)を0.03質量部(タングステン酸化物粒子を6.9×10-3質量部含む)及び重合開始剤としてHPP0.4量部を撹拌しながら添加して溶解したものを重合性組成物(M2)とした。
実施例1と同様の製造条件で、厚さ3mmの板状の樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
[実施例17~22]
タングステン酸化物粒子(W)又は分散剤粒子(X)の配合量を表4記載のとおりに変更した以外は実施例16と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
[比較例8]
分散剤粒子(X)を不使用とした以外は実施例16と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
[比較例9]
タングステン酸化物粒子(W)を不使用とした以外は実施例16と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
[比較例10]
分散剤粒子(X)の分散剤共重合体(X-1)を、分散剤共重合体(X-2)に変更し、その配合量を表4記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
Figure 0007230814000006
実施例1~15の樹脂成形体は、分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が吸着して複合粒子(XW)を形成していた。そのため、実施例1~15の樹脂成形体は、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れていた。
比較例1及び2の樹脂成形体は、分散剤粒子(X)を含まない。そのため、比較例1及び2の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子(W)が凝集粒子を形成しており、透明性が不十分であり、着色が大きかった。
比較例3及び4の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子(W)を含まない。そのため、比較例3及び4の樹脂成形体は、熱線遮蔽性が劣っていた。
比較例5~7の樹脂成形体は、分散剤粒子(X)の代わりに、それぞれ複合粒子(XW)を形成しない共重合体(D-3)~(D-5)をその他の分散剤として含む。そのため、比較例5~7の樹脂成形体は、着色が大きかった。
実施例16~22の樹脂成形体は、(メタ)アクリル重合体(P)と、タングステン酸化物粒子(W)と分散剤粒子(X)を含有する。そのため、実施例16~22の樹脂成形体は、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れていた。
比較例8の樹脂成形体は、分散剤粒子(X)を含まない。そのため、比較例8の樹脂成形体は、着色が大きかった。
比較例9の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子(W)を含まない。そのため、比較例9の樹脂成形体は、熱線遮蔽性が劣っていた。
比較例10の樹脂成形体は、分散剤粒子(X)の代わりに、複合粒子(XW)を形成しない分散剤共重合体(X-2)をその他の分散剤として含む。そのため、比較例10の樹脂成形体は、透明性が不十分であり、着色が大きかった。
本発明の樹脂成形体は、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れているので、建造物、自動車、列車又はバスに使用される屋根材、窓材、照明、看板に使用される保護材に好適に用いることができる。
1 タングステン酸化物粒子(W)
2 分散剤粒子(X)(粒子状共重合体(D))
3 複合粒子(XW)
4 (メタ)アクリル重合体(P)

Claims (14)

  1. (メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する(メタ)アクリル樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、
    前記タングステン酸化物粒子(W)が、アクリル系高分子分散剤でコーティングされた分散粉であり、
    前記分散剤粒子(X)が、架橋構造を有し、炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸メチルを除く)由来の繰り返し単位を含む粒子状の共重合体であり、
    分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する、複合粒子(XW)を含有し、
    前記複合粒子(XW)の分散粒子径が100nm以上1000nm以下であり、
    前記複合粒子(XW)が、前記分散剤粒子(X)の粒子の表面に前記タングステン酸化物粒子(W)が存在する形態を有する複合粒子(XW1)を含有し、
    樹脂成形体中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率w(単位:質量ppm)、及び、分散剤粒子(X)の含有率x(単位:質量ppm)が、下記式(1)及び(2)を満たす、樹脂成形体。
    4≦w≦13000 (1)
    50≦x≦20000 (2)
  2. (メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する(メタ)アクリル樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、
    前記タングステン酸化物粒子(W)が、アクリル系高分子分散剤でコーティングされた分散粉であり、
    前記分散剤粒子(X)が、架橋構造を有し、炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸メチルを除く)由来の繰り返し単位を含む粒子状の共重合体であり、
    前記タングステン酸化物粒子(W)と前記分散剤粒子(X)を含む複合粒子(XW)を含有し、
    前記複合粒子(XW)の分散粒子径が100nm以上1000nm以下であり、
    前記複合粒子(XW)が、前記分散剤粒子(X)の粒子の表面に前記タングステン酸化物粒子(W)が存在する形態を有する複合粒子(XW1)を含有し、
    樹脂成形体中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率w(単位:質量ppm)、及び、分散剤粒子(X)の含有率x(単位:質量ppm)が、下記式(1)及び(2)を満たす、樹脂成形体。
    4≦w≦13000 (1)
    50≦x≦20000 (2)
  3. 前記樹脂成形体の投影面積における単位面積あたりの、前記樹脂成形体の前記タングステン酸化物粒子(W)の含有量が、0.05g/m以上3.00g/m以下である、請求項1又は2に記載の樹脂成形体。
  4. (メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する(メタ)アクリル樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、
    前記タングステン酸化物粒子(W)が、アクリル系高分子分散剤でコーティングされた分散粉であり、
    前記分散剤粒子(X)が、架橋構造を有し、炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸メチルを除く)由来の繰り返し単位を含む粒子状の共重合体であり、
    分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が吸着された形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態の少なくとも一方の形態を有する複合粒子(XW)を含有し、
    前記複合粒子(XW)の分散粒子径が100nm以上1000nm以下であり、
    前記複合粒子(XW)が、前記分散剤粒子(X)の粒子の表面に前記タングステン酸化物粒子(W)が存在する形態を有する複合粒子(XW1)を含有し、
    前記樹脂成形体の投影面積における単位面積あたりの、前記樹脂成形体の前記タングステン酸化物粒子(W)の含有量が、0.05g/m以上3.00g/m以下であり、
    樹脂成形体中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率w(単位:質量ppm)、及び、分散剤粒子(X)の含有率x(単位:質量ppm)が、下記式(1)及び(2)を満たす、樹脂成形体。
    4≦w≦13000 (1)
    50≦x≦20000 (2)
  5. (メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する(メタ)アクリル樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、
    前記タングステン酸化物粒子(W)が、アクリル系高分子分散剤でコーティングされた分散粉であり、
    前記分散剤粒子(X)が、架橋構造を有し、炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸メチルを除く)由来の繰り返し単位を含む粒子状の共重合体(D)であり、
    樹脂成形体中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率w(単位:質量ppm)、及び、分散剤粒子(X)の含有率x(単位:質量ppm)が、下記式(1)及び(2)を満たし、
    前記分散剤粒子(X)の粒子の表面に前記タングステン酸化物粒子(W)が吸着された複合粒子(XW1)を形成し
    前記複合粒子(XW1)の分散粒子径が100nm以上1000nm以下である、樹脂成形体。
    4≦w≦13000 (1)
    50≦x≦20000 (2)
  6. 前記粒子状の共重合体(D)が、
    架橋構造を有するゴム状共重合体と、
    該ゴム状共重合体の存在下に、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、及び、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル(a2)の少なくとも一方を含む単量体混合物を重合してなる外層重合体(C)と
    を有する多段重合共重合体である、請求項に記載の樹脂成形体。
  7. 前記ゴム状共重合体が、
    炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、芳香族ビニル化合物(a3)及び多官能単量体(a5)を含む単量体混合物を重合してなる中間層重合体(B)を有する、請求項に記載の樹脂成形体。
  8. 前記ゴム状共重合体が、
    炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、炭素数1以上4以下のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル(a4)、芳香族ビニル化合物(a3)及び多官能単量体(a5)を含む単量体混合物を重合してなる最内層重合体(A)と、
    該最内層重合体(A)の存在下に、炭素数1以上8以下のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(a1)、芳香族ビニル化合物(a3)及び多官能単量体(a5)を含む単量体混合物を重合してなる中間層重合体(B)と
    を有する、請求項又はに記載の樹脂成形体。
  9. (メタ)アクリル樹脂組成物中の複合粒子(XW)の分散粒子径が100nm以上1000nm以下である、請求項のいずれか一項に記載の樹脂成形体。
  10. (メタ)アクリル樹脂組成物中に複合粒子(XW)が実質的に一次分散の形態で分散している、請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂成形体。
    ここで、「実質的に一次分散の形態で分散している」とは、複合粒子(XW)の一次粒子が凝集粒子を形成している形態の全体に対する割合が5%以下であることを意味する。
  11. (メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及び分散剤粒子(X)を含有する樹脂組成物からなる樹脂成形体であって、
    前記タングステン酸化物粒子(W)が、アクリル系高分子分散剤でコーティングされた分散粉であり、
    前記分散剤粒子(X)が、架橋構造を有し、炭素数が1~8のアルキル基をエステル側鎖として有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(但し、メタクリル酸メチルを除く)由来の繰り返し単位を含む粒子状の共重合体であり、
    分散剤粒子(X)の粒子の表面にタングステン酸化物粒子(W)が存在する形態、及び、分散剤粒子(X)の粒子の内部に複数のタングステン酸化物粒子(W)が含有された形態、の少なくとも一方の形態を有する複合粒子(XW)を含有し、且つ、
    樹脂成形体中に含まれるタングステン酸化物粒子(W)の含有率w(単位:質量ppm)、及び、分散剤粒子(X)の含有率x(単位:質量ppm)が、下記式(1)及び(2)を満たし、
    JIS K7361-1に準拠して波長380~780nmの範囲内で測定した全光線透過率が60%以上であり、
    JIS K7136に準拠して波長380~780nmの範囲内で測定したヘーズが10%以下であり、
    ASTM D1925に準拠して測定した、厚み方向のイエローインデックス(YI)が4.0未満であり、
    波長780~2100nmの範囲内で測定した熱線カット率が40%以上である、樹脂成形体。
    4≦w≦13000 (1)
    50≦x≦20000 (2)
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂成形体を含む、熱線遮蔽板。
  13. 請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂成形体を含む、屋根材。
  14. 請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂成形体を含む、窓材。
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