JP2021095427A - (メタ)アクリル系樹脂組成物、樹脂成形体、熱線遮蔽板、屋根材及び窓材 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体の提供.【解決手段】(メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及びタングステン酸化物粒子分散剤(X)を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、タングステン酸化物粒子分散剤(X)が、塩化ビニル(x1)由来の繰り返し単位、及び下記一般式(2)で表されるビニルエステル単量体(x2)由来の繰り返し単位を含む共重合体(X−1)である、(メタ)アクリル系樹脂組成物。[式(2)中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。]【選択図】なし
Description
本発明は、(メタ)アクリル系樹脂組成物、樹脂成形体、熱線遮蔽板、屋根材及び窓材に関するものである。
建造物や自動車、列車、バス等の屋根材や窓材、並びに照明装置や看板等の保護材には、意匠性の面で、透明で存在感の低いことが要求されている。すなわち可視光領域で高い透明性を有し、着色が抑えられた樹脂成形体に対する要求が高まっている。
かかる屋根材や照明装置や看板等の保護材には、太陽光や、蛍光灯・ランプ等の光源からの光に含まれる赤外線領域の光(以下、「熱線」と略する)を遮断する性質(以下、「熱線遮蔽性」と略する。)を有していることが要求されている。すなわち熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体に対する要求が高まっている。
かかる屋根材や照明装置や看板等の保護材には、太陽光や、蛍光灯・ランプ等の光源からの光に含まれる赤外線領域の光(以下、「熱線」と略する)を遮断する性質(以下、「熱線遮蔽性」と略する。)を有していることが要求されている。すなわち熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体に対する要求が高まっている。
樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性を向上する技術として、例えば、特許文献1には、エステル基を有する高分子化合物で表面被覆された複合タングステン酸化物を含有する樹脂成形体が開示されている。
特許文献2には、複合タングステン酸化物微粒子と、官能基としてアミノ基を有するアクリル樹脂系分散剤と、官能基として水酸基又はカルボキシル基を有するアクリル樹脂系分散剤とを含有する熱線遮蔽微粒子含有樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、(複合)タングステン酸化物微粒子を、アクリル主鎖と水酸基またはエポキシ基とを有する高耐熱性分散剤で、アクリル樹脂中に分散させた熱線遮蔽透明樹脂成形体が開示されている。
特許文献4には、投影面積における単位面積あたりの、前記熱線遮蔽膜の前記複合タングステン酸化物粒子の含有量を規定した熱線遮蔽膜が開示されている。
特許文献2には、複合タングステン酸化物微粒子と、官能基としてアミノ基を有するアクリル樹脂系分散剤と、官能基として水酸基又はカルボキシル基を有するアクリル樹脂系分散剤とを含有する熱線遮蔽微粒子含有樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、(複合)タングステン酸化物微粒子を、アクリル主鎖と水酸基またはエポキシ基とを有する高耐熱性分散剤で、アクリル樹脂中に分散させた熱線遮蔽透明樹脂成形体が開示されている。
特許文献4には、投影面積における単位面積あたりの、前記熱線遮蔽膜の前記複合タングステン酸化物粒子の含有量を規定した熱線遮蔽膜が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜4に開示されている樹脂組成物又は樹脂成形体、熱線遮蔽膜は、熱線遮蔽性に優れているが、タングステン酸化物粒子が凝集してヘーズ値が高くなるため、透明性が不十分であり、また着色も大きかった。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体を提供することにある。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体を提供することにある。
本発明の第一の要旨は、(メタ)アクリル重合体(P)、タングステン酸化物粒子(W)及びタングステン酸化物粒子分散剤(X)を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、
タングステン酸化物粒子分散剤(X)が、下記一般式(1)で表される塩化ビニル(x1)由来の繰り返し単位、及び下記一般式(2)で表されるビニルエステル単量体(x2)由来の繰り返し単位を含む共重合体(X−1)である、(メタ)アクリル系樹脂組成物にある。
[式(2)中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。]
本発明の第二の要旨は、前記(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる樹脂成形体にある。
本発明の第三の要旨は、前記樹脂成形体を含む熱線遮蔽板にある。
本発明の第四の要旨は、前記樹脂成形体を含む屋根材にある。
本発明の第五の要旨は、前記樹脂成形体を含む窓材にある。
タングステン酸化物粒子分散剤(X)が、下記一般式(1)で表される塩化ビニル(x1)由来の繰り返し単位、及び下記一般式(2)で表されるビニルエステル単量体(x2)由来の繰り返し単位を含む共重合体(X−1)である、(メタ)アクリル系樹脂組成物にある。
本発明の第二の要旨は、前記(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる樹脂成形体にある。
本発明の第三の要旨は、前記樹脂成形体を含む熱線遮蔽板にある。
本発明の第四の要旨は、前記樹脂成形体を含む屋根材にある。
本発明の第五の要旨は、前記樹脂成形体を含む窓材にある。
本発明により、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体を安定に提供することができる。
本発明の樹脂成形体は、建造物や自動車、列車、バス等の屋根材、窓材、並びに照明装置や看板等の保護材の用途に好適である。
本発明の樹脂成形体は、建造物や自動車、列車、バス等の屋根材、窓材、並びに照明装置や看板等の保護材の用途に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
本発明において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる特定の成分の含有率を示す。
本発明において、特に断らない限り、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A〜B」は、A以上B以下であることを意味する。
本発明において「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
本発明において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる特定の成分の含有率を示す。
本発明において、特に断らない限り、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A〜B」は、A以上B以下であることを意味する。
<樹脂成形体>
本発明の樹脂成形体は、後述する(メタ)アクリル系樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体(以下、単に「樹脂成形体」という。)であって、該(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる樹脂成形体である。
本発明の樹脂成形体は、後述する(メタ)アクリル系樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体(以下、単に「樹脂成形体」という。)であって、該(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる樹脂成形体である。
なお、本明細書において、前記「タングステン酸化物粒子(W)の分散粒子径」とは、タングステン酸化物粒子(W)の一次粒子径又は凝集粒子の二次粒子径の最大粒径の平均値のことをいう。なお、タングステン酸化物粒子(W)の凝集粒子とは、タングステン酸化物粒子(W)(一次粒子)が接触して形成された二次粒子のことをいう。前記分散粒子径の測定方法は、後述する。
本発明の樹脂成形体においては、樹脂成形体の投影面積における単位面積(単位:m2)あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量(以下、「単位面積あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量」という。)の下限は、樹脂成形体の熱線遮蔽性が良好となる観点から、0.05g/m2以上である。0.15g/m2以上がより好ましく、0.30g/m2以上がさらに好ましい。一方、前記の含有量の上限は、樹脂成形体の透明性、低着色性を良好に維持できる観点から、3.00g/m2以下である。2.00g/m2以下がより好ましく、1.50g/m2以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
或いは又、本発明の樹脂成形体の単位面積あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量は、0.05g/m2以上3.00g/m2以下である。0.15g/m2以上2.00g/m2以下がより好ましく、0.30g/m2以上1.5g/m2以下がさらに好ましい。
或いは又、本発明の樹脂成形体の単位面積あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量は、0.05g/m2以上3.00g/m2以下である。0.15g/m2以上2.00g/m2以下がより好ましく、0.30g/m2以上1.5g/m2以下がさらに好ましい。
なお、本発明において、樹脂成形体の投影面積とは、樹脂成形体を平面上に投影したときの面積、すなわち樹脂成形体を主平面の略垂直方向から見たときの2次元での平面積であり、樹脂成形体の主平面が曲面形状や複雑な凹凸形状を有している場合は、実成形体の展開面積より小さくなる。
また、樹脂成形体の投影面積が小さい場合には、例えば、1平方センチメートルあたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量を、1平方メートルあたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量に換算すれば良い。
また、樹脂成形体の投影面積が小さい場合には、例えば、1平方センチメートルあたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量を、1平方メートルあたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量に換算すれば良い。
<(メタ)アクリル系樹脂組成物>
本発明において、(メタ)アクリル系樹脂組成物は、後述する(メタ)アクリル重合体(P)、後述するタングステン酸化物粒子(W)及び後述するタングステン酸化物粒子分散剤(X)を含有する。
(メタ)アクリル系樹脂組成物が(メタ)アクリル重合体(P)を含むことで、前記(メタ)アクリル系樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形体(以下、単に「樹脂成形体」という。)の透明性が良好となる。
(メタ)アクリル系樹脂組成物がタングステン酸化物粒子(W)を含むことで、樹脂成形体の熱線遮蔽性は良好となる。
(メタ)アクリル系樹脂組成物がタングステン酸化物粒子分散剤(X)を含むことで、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性はより良好となる。
本発明において、(メタ)アクリル系樹脂組成物は、後述する(メタ)アクリル重合体(P)、後述するタングステン酸化物粒子(W)及び後述するタングステン酸化物粒子分散剤(X)を含有する。
(メタ)アクリル系樹脂組成物が(メタ)アクリル重合体(P)を含むことで、前記(メタ)アクリル系樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形体(以下、単に「樹脂成形体」という。)の透明性が良好となる。
(メタ)アクリル系樹脂組成物がタングステン酸化物粒子(W)を含むことで、樹脂成形体の熱線遮蔽性は良好となる。
(メタ)アクリル系樹脂組成物がタングステン酸化物粒子分散剤(X)を含むことで、樹脂成形体の透明性、低着色性及び熱線遮蔽性はより良好となる。
前記(メタ)アクリル系樹脂組成物において、タングステン酸化物粒子(W)の含有率wの下限は、特に限定されるものではなく、得られた樹脂成形体の熱線遮蔽性が良好となる観点から、50質量ppm以上が好ましい。100質量ppm以上がより好ましく、200質量ppm以上がさらに好ましい。一方、タングステン酸化物粒子(W)の含有率wの上限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性及び低着色性を良好に維持できる観点から、600質量ppm以下が好ましい。500質量ppm以下がより好ましく、450質量ppm以下がさらに好ましい。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
前記樹脂成形体において、タングステン酸化物粒子分散剤(X)の含有率xの下限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性及び低着色性が良好となる観点から、100質量ppm以上が好ましい。200質量ppm以上がより好ましく、1000質量ppm以上がさらに好ましい。一方、タングステン酸化物粒子分散剤(X)の含有率xの上限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性及び低着色性を良好に維持できる観点から、10000質量ppm以下である。6000質量ppm以下がより好ましく、4000質量ppm以下がさらに好ましく、3000質量ppm以下が特に好ましい。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
本発明の樹脂成形体は、熱線遮熱性、低着色性、可視光領域の全光線透過率を損なわない範囲で、公知の離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光剤、連鎖移動剤等の各種添加剤を含有することができる。
本発明により、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れた樹脂成形体を得ることができる。より詳しくは、本発明により、蛍光灯・ランプ等の光源の光や太陽光に含まれる赤外線領域の光を遮蔽し、可視光領域で高い全光線透過率を有し、着色が抑えられた樹脂成形体を得ることができる。
<(メタ)アクリル重合体(P)>
(メタ)アクリル重合体(P)は、本発明の樹脂成形体を形成する(メタ)アクリル系樹脂組成物の構成成分の一つである。
本発明の樹脂成形体において、(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(メタ)アクリル重合体(P)を含有することにより、樹脂成形体の透明性が向上するとともに、樹脂成形体の熱分解性が抑制され、加熱成形性、耐熱性、機械的強度を良好にすることができる。
(メタ)アクリル重合体(P)は、本発明の樹脂成形体を形成する(メタ)アクリル系樹脂組成物の構成成分の一つである。
本発明の樹脂成形体において、(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(メタ)アクリル重合体(P)を含有することにより、樹脂成形体の透明性が向上するとともに、樹脂成形体の熱分解性が抑制され、加熱成形性、耐熱性、機械的強度を良好にすることができる。
本発明の(メタ)アクリル重合体(P)としては、(メタ)アクリル重合体(P)の総質量100質量%に対し、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位(以下、「MMA単位」という。)80質量%以上100質量%未満と他の(メタ)アクリル酸エステル単量体(以下、「(メタ)アクリル酸エステル(M)」という。)由来の繰り返し単位0質量%を超えて20質量%以下を含有する共重合体、又は、メタクリル酸メチルの単独重合体を用いることができる。
得られる樹脂成形体の加熱成形性又は及び耐熱分解性が良好となる観点から、(メタ)アクリル重合体(P)は、MMA単位80質量%以上99質量%以下と後述する(メタ)アクリル酸エステル(M)単位1質量%以上20質量%以下を含む共重合体がより好ましく、MMA単位90質量%以上98質量%以下と(メタ)アクリル酸エステル(M)単位2質量%以上10質量%以下を含む共重合体がさらに好ましい。
或いは又、得られる樹脂成形体の透明性、耐熱性及び機械的強度が良好となる観点から、(メタ)アクリル重合体(P)は、MMAの単独重合体であっても良い。
得られる樹脂成形体の加熱成形性又は及び耐熱分解性が良好となる観点から、(メタ)アクリル重合体(P)は、MMA単位80質量%以上99質量%以下と後述する(メタ)アクリル酸エステル(M)単位1質量%以上20質量%以下を含む共重合体がより好ましく、MMA単位90質量%以上98質量%以下と(メタ)アクリル酸エステル(M)単位2質量%以上10質量%以下を含む共重合体がさらに好ましい。
或いは又、得られる樹脂成形体の透明性、耐熱性及び機械的強度が良好となる観点から、(メタ)アクリル重合体(P)は、MMAの単独重合体であっても良い。
前記の(メタ)アクリル酸エステル(M)としては、メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体であれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニルメチル、(メタ)アクリル酸メンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用又は2種以上を併用できる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル及びアクリル酸2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体は、樹脂成形体の熱分解性を抑制し、加熱成形性が良好となる点から好ましい。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル及びアクリル酸2−エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体は、樹脂成形体の熱分解性を抑制し、加熱成形性が良好となる点から好ましい。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した前記(メタ)アクリル重合体(P)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではなく、150,000以上30,000,000以下が好ましい。重量平均分子量(Mw)の下限が150,000以上であることにより、樹脂成形体の切削加工性や機械的強度が向上する。また、重量平均分子量(Mw)の上限が30,000,000以下であることにより、樹脂成形体の加熱成形性が向上する。重量平均分子量(Mw)は160,000以上1,000,000以下がより好ましく、180,000以上700,000以下がさらに好ましく、200,000以上500,000以下が特に好ましい。
前記(メタ)アクリル重合体(P)の重量平均分子量は、(メタ)アクリル系樹脂組成物から形成される樹脂成形体の製造において、重合時の連鎖移動剤の種類や添加量、重合温度、単量体の仕込み組成等を調整することにより制御できる。
前記(メタ)アクリル重合体(P)の重量平均分子量は、(メタ)アクリル系樹脂組成物から形成される樹脂成形体の製造において、重合時の連鎖移動剤の種類や添加量、重合温度、単量体の仕込み組成等を調整することにより制御できる。
<タングステン酸化物粒子(W)>
タングステン酸化物粒子(W)は、本発明の樹脂成形体を形成する(メタ)アクリル系樹脂組成物の構成成分の一つである。
本発明の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子(W)を含有することにより、樹脂成形体の熱線遮蔽性が向上する。
該タングステン酸化物粒子(W)としては、WOX(2.45≦X≦2.999)又はMYWOZ(0.1≦Y≦0.5;2.2≦Z≦3.0;Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素である)で示され、且つ、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物粒子が挙げられる。該複合タングステン酸化物粒子としては、例えば、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3等が挙げられる。タングステン酸化物粒子(W)としては、熱線遮蔽性がより向上する観点から、セシウムタングステン酸化物粒子が好ましい。タングステン酸化物粒子(W)としては、市販品では、例えばYMDS−874(商品名、住友金属鉱山(株)製、Cs0.33WO3)等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タングステン酸化物粒子(W)は、本発明の樹脂成形体を形成する(メタ)アクリル系樹脂組成物の構成成分の一つである。
本発明の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子(W)を含有することにより、樹脂成形体の熱線遮蔽性が向上する。
該タングステン酸化物粒子(W)としては、WOX(2.45≦X≦2.999)又はMYWOZ(0.1≦Y≦0.5;2.2≦Z≦3.0;Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al及びCuからなる群から選択される少なくとも1種の元素である)で示され、且つ、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物粒子が挙げられる。該複合タングステン酸化物粒子としては、例えば、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3等が挙げられる。タングステン酸化物粒子(W)としては、熱線遮蔽性がより向上する観点から、セシウムタングステン酸化物粒子が好ましい。タングステン酸化物粒子(W)としては、市販品では、例えばYMDS−874(商品名、住友金属鉱山(株)製、Cs0.33WO3)等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂成形体の透明性及び着色性は、タングステン酸化物粒子(W)による光散乱が影響する。可視光領域の光散乱を抑制するには、タングステン酸化物粒子(W)の分散粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下である。タングステン酸化物粒子(W)の分散粒子径が光の波長より十分小さくなると、レイリー散乱領域となり、散乱強度は分散粒子径の6乗に比例することから、樹脂成形体の透明性及び低着色性はより向上する。また、タングステン酸化物粒子(W)の分散粒子径が小さいほど比表面積が増えるため、熱線遮蔽効率が向上すると推察する。しかし、分散粒子径が小さくなりすぎると、粒子同士が再凝集しやすくなることから、好ましくは10nm以上である。
<タングステン酸化物粒子分散剤(X)>
タングステン酸化物粒子分散剤(X)(以下、適宜「分散剤(X)」という。)は、本発明の樹脂成形体の構成成分の一つである。
本発明の樹脂成形体は、分散剤(X)を含有することにより、タングステン酸化物粒子(W)の分散性が向上し、これによりタングステン酸化物粒子(W)の一次粒子化、凝集防止、沈降防止を促し、樹脂成形体の熱線遮蔽性と透明性がさらに向上する。
タングステン酸化物粒子分散剤(X)(以下、適宜「分散剤(X)」という。)は、本発明の樹脂成形体の構成成分の一つである。
本発明の樹脂成形体は、分散剤(X)を含有することにより、タングステン酸化物粒子(W)の分散性が向上し、これによりタングステン酸化物粒子(W)の一次粒子化、凝集防止、沈降防止を促し、樹脂成形体の熱線遮蔽性と透明性がさらに向上する。
本発明における分散剤(X)としては、タングステン酸化物粒子(W)の分散性を良好にでき、樹脂成形体の透明性と熱線遮蔽性が良好となる観点から、下記一般式(1)で表される塩化ビニル(x1)由来の繰り返し単位(以下、「(x1)単位」という。)、及び下記一般式(2)で表されるビニルエステル単量体(x2)由来の繰り返し単位(以下、「(x2)単位」という。)を含む共重合体(X−1)の重合体が用いられる。
[式(2)中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。]
共重合体(X−1)が(x1)単位を含むことで、共重合体(X−1)と(メタ)アクリル重合体(P)との相溶性が良好となり、得られた樹脂成形体中でタングステン酸化物粒子(W)が凝集することなく、均一に分散できるので、樹脂成形体の透明性と低着色性を優れたものにできる。特に、タングステン酸化物粒子(W)を高い含有割合で含む場合でも、高い熱線遮蔽性を有しながら、且つ、樹脂成形体の透明性と低着色性を良好に維持できる。
共重合体(X−1)が(x2)単位を含むことで、共重合体(X−1)とタングステン酸化物粒子(W)との親和性が良好となり、得られた樹脂成形体中でタングステン酸化物粒子(W)が凝集することなく、均一に分散できるので、樹脂成形体の透明性と低着色性を優れたものにでき、さらに、樹脂成形体の柔軟性を良好にできる。特に、タングステン酸化物粒子(W)を高い含有割合で含む場合でも、高い熱線遮蔽性を有しながら、且つ、樹脂成形体の透明性と低着色性を良好に維持できる。
本発明における共重合体(X−1)は、さらにヒドロキシ基を含むビニル単量体(x3)由来の繰り返し単位(但し、ビニルエステル単量体(x2)由来の繰り返し単位を除く。)(以下、「(x3)単位」という。)を含むことができる。
共重合体(X−1)が(x3)単位を含むことで、樹脂成形体の透明性と低着色性をさらに優れたものにできる。その理由は定かではないが、タングステン酸化物粒子(W)に対する共重合体(X−1)の親和性がさらに向上することにより、樹脂成形体中でタングステン酸化物粒子(W)が凝集することなく、均一に分散できるためと推察される。
共重合体(X−1)が(x3)単位を含むことで、樹脂成形体の透明性と低着色性をさらに優れたものにできる。その理由は定かではないが、タングステン酸化物粒子(W)に対する共重合体(X−1)の親和性がさらに向上することにより、樹脂成形体中でタングステン酸化物粒子(W)が凝集することなく、均一に分散できるためと推察される。
(x3)単位として、少なくともビニルアルコール単位由来の繰り返し又は下記一般式(3)で表されるヒドロキシアルキルアクリレート(x4)由来の繰り返し単位のいずれかを挙げることができる。
[式(3)中、R2は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。]
共重合体(X−1)は、該共重合体(X−1)の総質量に対して、(x1)単位を80質量%以上99質量%以下及び(x2)単位を1質量%以上20質量%以下含むことができる。
共重合体(X−1)中の(x1)単位の含有割合の下限は、特に限定されるものではなく、共重合体(X−1)と(メタ)アクリル重合体(P)との相溶性が良好となることで、樹脂成形体の透明性と低着色性が良好となる観点から、共重合体(X−1)の総質量に対して、80質量%以上が好ましい。82質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。一方、(x1)単位の含有割合の上限は、特に限定されるものではなく、共重合体(X−1)とタングステン酸化物粒子(W)との親和性を良好に維持でき、且つ、共重合体(X−1)の耐熱分解性を良好に維持できる観点から、共重合体(X−1)の総質量に対して、99質量%以下が好ましい。95質量%以下がより好ましく、93質量%以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
共重合体(X−1)中の(x2)単位の含有割合の下限は、特に限定されるものではなく、共重合体(X−1)とタングステン酸化物粒子(W)との親和性が良好となり、かつ、樹脂成形体の柔軟性が良好となる観点から、共重合体(X−1)の総質量に対して、1質量%以上が好ましい。2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、(x2)単位の含有割合の上限は、特に限定されるものではなく、共重合体(X−1)と(メタ)アクリル重合体(P)との相溶性を良好に維持できる観点から、共重合体(X−1)の総質量に対して、20質量%以下が好ましい。15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
共重合体(X−1)中の(x1)単位の含有割合の下限は、特に限定されるものではなく、共重合体(X−1)と(メタ)アクリル重合体(P)との相溶性が良好となることで、樹脂成形体の透明性と低着色性が良好となる観点から、共重合体(X−1)の総質量に対して、80質量%以上が好ましい。82質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。一方、(x1)単位の含有割合の上限は、特に限定されるものではなく、共重合体(X−1)とタングステン酸化物粒子(W)との親和性を良好に維持でき、且つ、共重合体(X−1)の耐熱分解性を良好に維持できる観点から、共重合体(X−1)の総質量に対して、99質量%以下が好ましい。95質量%以下がより好ましく、93質量%以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
共重合体(X−1)中の(x2)単位の含有割合の下限は、特に限定されるものではなく、共重合体(X−1)とタングステン酸化物粒子(W)との親和性が良好となり、かつ、樹脂成形体の柔軟性が良好となる観点から、共重合体(X−1)の総質量に対して、1質量%以上が好ましい。2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。一方、(x2)単位の含有割合の上限は、特に限定されるものではなく、共重合体(X−1)と(メタ)アクリル重合体(P)との相溶性を良好に維持できる観点から、共重合体(X−1)の総質量に対して、20質量%以下が好ましい。15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
さらに、共重合体(X−1)は、(x3)単位を含むことができる。(x3)単位を含むことで、得られた樹脂成形体の樹脂成形体の透明性と低着色性を良好に維持しつつ、さらに耐吸湿性を良好にできる。共重合体(X−1)中の(x3)単位の含有割合は、樹脂成形体の透明性と低着色性を良好に維持でき、さらに耐吸湿性を良好に維持できる観点から、該共重合体(X−1)の総質量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましく、5質量%以上8質量%以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
なお、上述したように、(x3)単位を含まない、(x1)単位及び(x2)単位を含む共重合体(X−1)を用いることもできる。
なお、上述したように、(x3)単位を含まない、(x1)単位及び(x2)単位を含む共重合体(X−1)を用いることもできる。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、厚さ0.1〜50mmの範囲内に成形してなる板状の成形体において、前記成形体の投影面積における単位面積あたりの、前記樹脂成形体の前記タングステン酸化物粒子(W)の含有量を、0.05g/m2以上3.00g/m2以下とすることができる。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、厚さ0.1〜50mmの範囲内に成形してなる板状の成形体において、樹脂成形体の投影面積における単位面積(単位:m2)あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量(以下、「単位面積あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量」という。)の下限は、樹脂成形体の熱線遮蔽性が良好となる観点から、0.05g/m2以上とすることができる。0.15g/m2以上がより好ましく、0.30g/m2以上がさらに好ましい。一方、前記の含有量の上限は、樹脂成形体の透明性、低着色性を良好に維持できる観点から、3.00g/m2以下とすることができる。2.00g/m2以下がより好ましく、1.50g/m2以下がさらに好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
或いは又、本発明の樹脂成形体の単位面積あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量は、0.05g/m2以上3.00g/m2以下である。0.15g/m2以上2.00g/m2以下がより好ましく、0.30g/m2以上1.50g/m2以下がさらに好ましい。
なお、本発明において、樹脂成形体の投影面積とは、樹脂成形体を平面上に投影したときの面積、すなわち樹脂成形体を主平面の略垂直方向から見たときの2次元での平面積であり、樹脂成形体の主平面が曲面形状や複雑な凹凸形状を有している場合は、実成形体の展開面積より小さくなる。
また、樹脂成形体の投影面積が小さい場合には、例えば、1平方センチメートルあたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量を、1平方メートルあたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量に換算すれば良い。
樹脂成形体のタングステン酸化物粒子(W)の含有量を測定する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂成形体を可溶溶剤に溶解し、濾過することにより、濾過物から回収されたタングステン酸化物粒子(W)の質量を測定する方法が挙げられる。
或いは又、本発明の樹脂成形体の単位面積あたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量は、0.05g/m2以上3.00g/m2以下である。0.15g/m2以上2.00g/m2以下がより好ましく、0.30g/m2以上1.50g/m2以下がさらに好ましい。
なお、本発明において、樹脂成形体の投影面積とは、樹脂成形体を平面上に投影したときの面積、すなわち樹脂成形体を主平面の略垂直方向から見たときの2次元での平面積であり、樹脂成形体の主平面が曲面形状や複雑な凹凸形状を有している場合は、実成形体の展開面積より小さくなる。
また、樹脂成形体の投影面積が小さい場合には、例えば、1平方センチメートルあたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量を、1平方メートルあたりのタングステン酸化物粒子(W)の含有量に換算すれば良い。
樹脂成形体のタングステン酸化物粒子(W)の含有量を測定する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂成形体を可溶溶剤に溶解し、濾過することにより、濾過物から回収されたタングステン酸化物粒子(W)の質量を測定する方法が挙げられる。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物において、タングステン酸化物粒子分散剤(X)の含有割合を、該(メタ)アクリル系樹脂組成物の総質量に対して、100質量ppm以上10000質量ppm以下とすることができる。
タングステン酸化物粒子分散剤(X)の含有割合の下限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性及び低着色性が良好となる観点から、100質量ppm以上が好ましい。2000質量ppm以上がより好ましく、1000質量ppm以上がさらに好ましい。一方、タングステン酸化物粒子分散剤(X)の含有割合の上限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性及び低着色性を良好に維持できる観点から、10000質量ppm以下である。6000質量ppm以下がより好ましく、4000質量ppm以下がさらに好ましく、3000質量ppm以下が特に好ましい。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
タングステン酸化物粒子分散剤(X)の含有割合の下限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性及び低着色性が良好となる観点から、100質量ppm以上が好ましい。2000質量ppm以上がより好ましく、1000質量ppm以上がさらに好ましい。一方、タングステン酸化物粒子分散剤(X)の含有割合の上限は、特に限定されるものではなく、樹脂成形体の透明性及び低着色性を良好に維持できる観点から、10000質量ppm以下である。6000質量ppm以下がより好ましく、4000質量ppm以下がさらに好ましく、3000質量ppm以下が特に好ましい。上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
<樹脂成形体の製造方法>
本発明の樹脂成形体は、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる樹脂成形体である。
本発明の樹脂成形体を得る方法としては、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の原料である後述する重合性組成物(M2)を重合する方法が挙げられる。
前記重合性組成物(M2)を重合して樹脂成形体を得る際に使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等の公知のアゾ化合物、及び、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の公知の有機過酸化物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。必要に応じて、ラジカル重合開始剤と共にアミン、メルカプタン等の公知の重合促進剤を併用することができる。
重合性組成物(M2)中のラジカル重合開始剤の含有率は、特に限定されるものでなく、当業者が周知技術に従い適宜決めることができる。通常は、前記重合性組成物(M2)の総質量100質量部に対して、0.01質量部以上0.5質量部以下である。
本発明の樹脂成形体は、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる樹脂成形体である。
本発明の樹脂成形体を得る方法としては、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の原料である後述する重合性組成物(M2)を重合する方法が挙げられる。
前記重合性組成物(M2)を重合して樹脂成形体を得る際に使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等の公知のアゾ化合物、及び、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の公知の有機過酸化物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。必要に応じて、ラジカル重合開始剤と共にアミン、メルカプタン等の公知の重合促進剤を併用することができる。
重合性組成物(M2)中のラジカル重合開始剤の含有率は、特に限定されるものでなく、当業者が周知技術に従い適宜決めることができる。通常は、前記重合性組成物(M2)の総質量100質量部に対して、0.01質量部以上0.5質量部以下である。
重合性組成物(M2)を重合する際の重合温度は、特に限定されるものでなく、当業者が周知技術に従い適宜決めることができる。通常、使用するラジカル重合開始剤の種類に応じて20〜150℃の範囲で適宜設定される。また、重合性組成物(M2)は必要に応じて多段階の温度条件で重合を行うことができる。
重合性組成物(M2)の重合法としては、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法及び分散重合法が挙げられるが、これらの中で、生産性の点で塊状重合法が好ましく、塊状重合法の中でもキャスト重合(注型重合)法がより好ましい。
キャスト重合法としては、例えば、板状の形態を有する樹脂成形体を得る場合、対向する2枚のガラス板または金属板(SUS板)と、その縁部に配置された軟質樹脂チューブ等のガスケットとから形成された空間を鋳型として、重合性組成物(M2)又は重合性組成物(M2)の一部を重合したシラップを前記鋳型に注入し、加熱・重合処理することによって重合を完結させ、鋳型から樹脂成形体を取り出すセルキャスト法が挙げられる。或いは又、同一方向に同一速度で所定の間隔をもって対向して走行する2枚のステンレス製エンドレスベルトと、その両側辺部に配置された軟質樹脂チューブ等のガスケットとで形成された空間を鋳型として、前記エンドレスベルトの一端から連続的に重合性組成物(M2)又は重合性組成物(M2)の一部を重合したシラップを前記鋳型の注入し、加熱・重合処理することによって重合を完結させ、エンドレスベルトの他端から連続的に樹脂成形体を取り出す連続キャスト法が挙げられる。
鋳型の空隙の間隔を、ガスケットの太さ(直径)で適宜調整して、所望の厚さの樹脂成形体を得ることができる。樹脂成形体の厚さは、通常は0.1〜50mmの範囲に設定される。
鋳型の空隙の間隔を、ガスケットの太さ(直径)で適宜調整して、所望の厚さの樹脂成形体を得ることができる。樹脂成形体の厚さは、通常は0.1〜50mmの範囲に設定される。
<重合性組成物(M2)>
重合性組成物(M2)は、本発明の樹脂成形体を得るための原料の一実施態様であり、後述する原料組成物(M1)、タングステン酸化物粒子(W)及びタングステン酸化物粒子分散剤(X)、並びに公知のラジカル重合開始剤を含有する組成物である。
重合性組成物(M2)は、本発明の樹脂成形体を得るための原料の一実施態様であり、後述する原料組成物(M1)、タングステン酸化物粒子(W)及びタングステン酸化物粒子分散剤(X)、並びに公知のラジカル重合開始剤を含有する組成物である。
本発明の樹脂成形体の実施態様の一例である樹脂成形体において、前記重合性組成物(M2)は、後述する原料組成物(M1)、タングステン酸化物粒子(W)及び前記タングステン酸化物粒子分散剤(X)、並びに公知のラジカル重合開始剤を含有する組成物である。
樹脂成形体の製造において、重合性組成物(M2)中に含まれる前記タングステン酸化物粒子(W)の含有率wM2(単位:質量ppm)は、特に限定されるものではなく、該重合性組成物(M2)の総質量に対して、50質量ppm以上600質量ppm以下の範囲とすることができる。
重合性組成物(M2)中に含まれる前記タングステン酸化物粒子分散剤(X)の含有率xM2(単位:質量ppm)は、特に限定されるものではなく、100質量ppm以上10000質量ppm以下の範囲とすることができる。
重合性組成物(M2)中に含まれる前記タングステン酸化物粒子分散剤(X)の含有率xM2(単位:質量ppm)は、特に限定されるものではなく、100質量ppm以上10000質量ppm以下の範囲とすることができる。
尚、タングステン酸化物粒子分散剤(X2)は、そのまま原料組成物(M1)に添加してもよいし、或いは又、タングステン酸化物粒子分散剤(X2)と適当な(メタ)アクリル系樹脂とを溶融混練〜混合して得られたペレットを原料組成物(M1)に添加してもよい。
<原料組成物(M1)>
原料組成物(M1)は、前記重合性組成物(M2)の構成成分であり、前記(メタ)アクリル重合体(P)の原料成分である。
原料組成物(M1)とは、MMAを含む単量体組成物であり、具体的には、MMAと(メタ)アクリル酸エステル(M)を含む単量体組成物、若しくは、MMA単独からなる組成物である。(メタ)アクリル酸エステル(M)としては、上述した(メタ)アクリル重合体(P)の欄に記載した「(メタ)アクリル酸エステル(M)」と同様の単量体を用いることができる。
原料組成物(M1)が、(メタ)アクリル酸エステル(M)を含むことにより、得られた樹脂成形体の加熱成形性又は及び耐熱分解性が向上する。
原料組成物(M1)が、MMAを含むことにより、得られた樹脂成形体は透明性、耐熱性及び機械的強度をより優れたものにできる。
また、原料組成物(M1)中のMMA、(メタ)アクリル酸エステル(M)の含有割合は、特に限定されるものではなく、例えば最終的に得られた(メタ)アクリル重合体(P)中に、該(メタ)アクリル重合体(P)の総質量を100質量%として、MMA単位60質量%以上100質量%以下、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)単位0質量%以上40質量%以下となるように、適宜設定すれば良い。
原料組成物(M1)は、前記重合性組成物(M2)の構成成分であり、前記(メタ)アクリル重合体(P)の原料成分である。
原料組成物(M1)とは、MMAを含む単量体組成物であり、具体的には、MMAと(メタ)アクリル酸エステル(M)を含む単量体組成物、若しくは、MMA単独からなる組成物である。(メタ)アクリル酸エステル(M)としては、上述した(メタ)アクリル重合体(P)の欄に記載した「(メタ)アクリル酸エステル(M)」と同様の単量体を用いることができる。
原料組成物(M1)が、(メタ)アクリル酸エステル(M)を含むことにより、得られた樹脂成形体の加熱成形性又は及び耐熱分解性が向上する。
原料組成物(M1)が、MMAを含むことにより、得られた樹脂成形体は透明性、耐熱性及び機械的強度をより優れたものにできる。
また、原料組成物(M1)中のMMA、(メタ)アクリル酸エステル(M)の含有割合は、特に限定されるものではなく、例えば最終的に得られた(メタ)アクリル重合体(P)中に、該(メタ)アクリル重合体(P)の総質量を100質量%として、MMA単位60質量%以上100質量%以下、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)単位0質量%以上40質量%以下となるように、適宜設定すれば良い。
また、前記原料組成物(M1)は、MMA単位を含む重合体を予め含むことができる。具体的には、原料組成物(M1)は、後述する重合体(a)を、予め含むことができる。原料組成物(M1)が重合体(a)を含むことにより、重合性組成物(M2)は粘性を有する液体(以下、「シラップ」という)となるため、重合時間を短縮でき、生産性を向上することができる。
上述したシラップを得る方法としては、例えば、原料組成物(M1)に重合体を溶解させる方法、或いは原料組成物(M1)に公知のラジカル重合開始剤を添加して、その一部を重合させる方法が挙げられる。
上述したシラップを得る方法としては、例えば、原料組成物(M1)に重合体を溶解させる方法、或いは原料組成物(M1)に公知のラジカル重合開始剤を添加して、その一部を重合させる方法が挙げられる。
重合性組成物(M2)の一実施態様として、重合性組成物(M2)がシラップである場合には、下記の重合体(a)と単量体組成物(m)を含む組成物が挙げられる。
重合体(a):重合体(a)の総質量に対して、MMA単位60質量%以上100質量%未満と前記(メタ)アクリル酸エステル(M)単位0質量%を超えて40質量%以下を含む重合体、若しくは、MMA単位100質量%からなる重合体。
単量体組成物(m):単量体組成物(m)の総質量に対して、MMA60質量%以上100質量%未満、(メタ)アクリル酸エステル(M)0質量%を超えて40質量%以下を含む単量体組成物、若しくは、MMA単独からなる単量体組成物。
重合体(a):重合体(a)の総質量に対して、MMA単位60質量%以上100質量%未満と前記(メタ)アクリル酸エステル(M)単位0質量%を超えて40質量%以下を含む重合体、若しくは、MMA単位100質量%からなる重合体。
単量体組成物(m):単量体組成物(m)の総質量に対して、MMA60質量%以上100質量%未満、(メタ)アクリル酸エステル(M)0質量%を超えて40質量%以下を含む単量体組成物、若しくは、MMA単独からなる単量体組成物。
<樹脂成形体>
本発明の樹脂成形体は、上述した(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるので、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れている。
本発明の樹脂成形体は、上述した(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるので、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れている。
<熱線遮蔽板、屋根材、窓材>
本発明の樹脂成形体は、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れているので、可視光領域で高い透明性を有し、着色が抑えられている。そのため、透明で存在感の低いことが要求されている、照明装置や看板等の保護材や、特に、建造物や自動車、列車、バス等の熱線遮蔽板、屋根材、窓材の用途に適している。また、優れた透明性を生かし、顔料や染料を添加することで様々な調色が可能となる。
本発明の樹脂成形体は、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れているので、可視光領域で高い透明性を有し、着色が抑えられている。そのため、透明で存在感の低いことが要求されている、照明装置や看板等の保護材や、特に、建造物や自動車、列車、バス等の熱線遮蔽板、屋根材、窓材の用途に適している。また、優れた透明性を生かし、顔料や染料を添加することで様々な調色が可能となる。
以下に本発明を、実施例を用いて説明する。以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。また、実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下のとおりである。
MMA:メタクリル酸メチル
HPP:t−ヘキシルパーオキシピバレート(日油(株)製)
タングステン酸化物粒子(W−1):タングステン酸化物粒子含有分散粉(商品名:YMDS−874、住友金属鉱山(株)製、タングステン酸化物粒子を23.0質量%含有)
共重合体(D−1):塩化ビニル単位93質量%及び酢酸ビニル単位2質量%及びビニルアルコール単位5質量%を含む共重合体(商品名:ソルバインAL、日信化学(株)製)
共重合体(D−2):塩化ビニル単位86質量%及び酢酸ビニル単位14質量%を含む共重合体(商品名:ソルバインCL、日信化学(株)製)
共重合体(D−3):塩化ビニル単位83質量%及び酢酸ビニル単位4質量%及びヒドロキシアルキルアクリレート単位13質量%を含む共重合体(商品名:ソルバインTA3、日信化学(株)製)
共重合体(D−4):アクリル系共重合体(MMA単位とEA単位とMAA単位からなる共重合体、質量平均分子量35,000)
共重合体(D−5):アクリル系共重合体(MMA単位とEA単位とMAA単位からなる共重合体、質量平均分子量55,000)
共重合体(D−6):ポリエステル樹脂(商品名:BYK−W9010、ビックケミー・ジャパン(株)製)
MMA:メタクリル酸メチル
HPP:t−ヘキシルパーオキシピバレート(日油(株)製)
タングステン酸化物粒子(W−1):タングステン酸化物粒子含有分散粉(商品名:YMDS−874、住友金属鉱山(株)製、タングステン酸化物粒子を23.0質量%含有)
共重合体(D−1):塩化ビニル単位93質量%及び酢酸ビニル単位2質量%及びビニルアルコール単位5質量%を含む共重合体(商品名:ソルバインAL、日信化学(株)製)
共重合体(D−2):塩化ビニル単位86質量%及び酢酸ビニル単位14質量%を含む共重合体(商品名:ソルバインCL、日信化学(株)製)
共重合体(D−3):塩化ビニル単位83質量%及び酢酸ビニル単位4質量%及びヒドロキシアルキルアクリレート単位13質量%を含む共重合体(商品名:ソルバインTA3、日信化学(株)製)
共重合体(D−4):アクリル系共重合体(MMA単位とEA単位とMAA単位からなる共重合体、質量平均分子量35,000)
共重合体(D−5):アクリル系共重合体(MMA単位とEA単位とMAA単位からなる共重合体、質量平均分子量55,000)
共重合体(D−6):ポリエステル樹脂(商品名:BYK−W9010、ビックケミー・ジャパン(株)製)
<評価方法>
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
(1)全光線透過率(Tt)
透明性の指標として、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業(株)製、機種名:NDH4000)を用い、JIS K7361−1に準拠して樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)に平行光を入射して、波長380〜780nmの範囲における、全光線透過率(平衡入射光束に対する全透過光束の割合)を測定した。試験片3点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値を全光線透過率(Tt)とした。
透明性の指標として、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業(株)製、機種名:NDH4000)を用い、JIS K7361−1に準拠して樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)に平行光を入射して、波長380〜780nmの範囲における、全光線透過率(平衡入射光束に対する全透過光束の割合)を測定した。試験片3点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値を全光線透過率(Tt)とした。
(2)ヘーズ(H)
透明性の指標として、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業(株)製、機種名:NDH4000)を用い、JIS K7136に準拠して樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)に平行光を入射して、波長380〜780nmの範囲における、ヘーズ(%)(平衡入射光束に対する拡散透過光束の割合)を測定した。試験片3点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値をヘーズ値とした。
透明性の指標として、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業(株)製、機種名:NDH4000)を用い、JIS K7136に準拠して樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)に平行光を入射して、波長380〜780nmの範囲における、ヘーズ(%)(平衡入射光束に対する拡散透過光束の割合)を測定した。試験片3点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値をヘーズ値とした。
(3)透明性の判定
全光線透過率(Tt)とヘーズ(H)の測定値に基づいて、透明性を以下の判定基準に従い三段階評価した。
(判定基準)
AA:全光線透過率(Tt)が70%以上、且つ、ヘーズ(H)が10%以下。
A :全光線透過率(Tt)が60%以上70%未満、且つ、ヘーズ(H)が10%以下。
B :AA、Aに該当しない。
全光線透過率(Tt)とヘーズ(H)の測定値に基づいて、透明性を以下の判定基準に従い三段階評価した。
(判定基準)
AA:全光線透過率(Tt)が70%以上、且つ、ヘーズ(H)が10%以下。
A :全光線透過率(Tt)が60%以上70%未満、且つ、ヘーズ(H)が10%以下。
B :AA、Aに該当しない。
(4)イエローインデックス(YI)
低着色性の指標として、分光式色差計(日本電色工業(株)製、機種名:SE−7700)を用い、ASTM D1925に準拠して、C光源を使用して、樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)のイエローインデックス(YI)を測定した。試験片3点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値をイエローインデックス(YI)とした。さらに、以下の判定基準に従い三段階評価した。
(判定基準)
AA:YIが4.0未満
A :YIが4.0以上14未満
B :YIが14以上
低着色性の指標として、分光式色差計(日本電色工業(株)製、機種名:SE−7700)を用い、ASTM D1925に準拠して、C光源を使用して、樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)のイエローインデックス(YI)を測定した。試験片3点を用いて、各試験片につき1回測定を行い、その平均値をイエローインデックス(YI)とした。さらに、以下の判定基準に従い三段階評価した。
(判定基準)
AA:YIが4.0未満
A :YIが4.0以上14未満
B :YIが14以上
(5)熱線カット率
熱線遮蔽性の指標として、波長780〜2100nmの範囲における熱線カット率を下記の手順で測定した。樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)について、紫外可視近赤外分光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製、機種名:UH4150)を用いて、波長780〜2100nmの分光透過率(単位:%)を測定した。次いで、得られた分光透過率に、下記式(4)に従って、JIS R3106で規定される日射の標準スペクトル分布を示す重価係数を乗じて加重平均して、熱線透過率τe(単位:%)を得た。
[式(4)中、E(λ)は波長λにおける重価係数、τ(λ)は波長λにおける分光透過率(単位:%)]
次いで、下記式(5)より波長780〜2100nmの熱線カット率(単位:%)を算出した。
さらに、以下の判定基準に従い四段階評価した。
(判定基準)
S :熱線カット率が90%以上
AA:熱線カット率が55%以上90%未満
A :熱線カット率が40%以上55%以上
B :熱線カット率が40%未満
熱線遮蔽性の指標として、波長780〜2100nmの範囲における熱線カット率を下記の手順で測定した。樹脂成形体の試験片(縦50mm×横50mm、厚さ:3mm)について、紫外可視近赤外分光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製、機種名:UH4150)を用いて、波長780〜2100nmの分光透過率(単位:%)を測定した。次いで、得られた分光透過率に、下記式(4)に従って、JIS R3106で規定される日射の標準スペクトル分布を示す重価係数を乗じて加重平均して、熱線透過率τe(単位:%)を得た。
次いで、下記式(5)より波長780〜2100nmの熱線カット率(単位:%)を算出した。
(判定基準)
S :熱線カット率が90%以上
AA:熱線カット率が55%以上90%未満
A :熱線カット率が40%以上55%以上
B :熱線カット率が40%未満
[実施例1]
(1)シラップの製造
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)にMMA100質量部を供給し、窒素ガスでバブリングしながら、15分間撹拌した後、温度60℃まで攪拌しながら昇温した。次いで、ラジカル重合開始剤としてAVN0.1質量部を添加し、更に前記単量体組成物を100℃になるまで攪拌しながら昇温した後、13分間保持した。次いで、反応器の内温が室温になるまで冷却してシラップ(Z)を得た。シラップ(Z)中の重合体(a)の含有率は20質量%であった。
(2)注型重合
上記のシラップ(Z)92質量部に、MMA8質量部、共重合体(D−1)0.13質量部、タングステン酸化物粒子(W)としてタングステン酸化物粒子(W−1)を0.06質量部(タングステン酸化物粒子を13.8×10−3質量部含む)及び重合開始剤としてHPP0.4質量部を撹拌しながら添加して、溶解したものを重合性組成物(M2)とした。
対向して配置した2枚のSUS板の端部に、2枚のSUS板の空隙間隔が4.1mmとなるように軟質樹脂製ガスケットを設置して、鋳型を作製した。次いで、上記の鋳型の中に、前記重合性組成物(M2)を流し込んだ後、軟質樹脂製ガスケットで封止し、80℃まで昇温して40分間保持した後、次いで130℃まで昇温して30分間保持して、重合性組成物(M2)を重合させた。その後、室温まで冷却し、SUS板を取り除いて厚さ3mmの板状の樹脂成形体を得た。本実施例の樹脂成形体においては、シラップ(Z)(92質量部)とMMA(8質量部)の重合物が、(メタ)アクリル重合体(P)である。得られた樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
(1)シラップの製造
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)にMMA100質量部を供給し、窒素ガスでバブリングしながら、15分間撹拌した後、温度60℃まで攪拌しながら昇温した。次いで、ラジカル重合開始剤としてAVN0.1質量部を添加し、更に前記単量体組成物を100℃になるまで攪拌しながら昇温した後、13分間保持した。次いで、反応器の内温が室温になるまで冷却してシラップ(Z)を得た。シラップ(Z)中の重合体(a)の含有率は20質量%であった。
(2)注型重合
上記のシラップ(Z)92質量部に、MMA8質量部、共重合体(D−1)0.13質量部、タングステン酸化物粒子(W)としてタングステン酸化物粒子(W−1)を0.06質量部(タングステン酸化物粒子を13.8×10−3質量部含む)及び重合開始剤としてHPP0.4質量部を撹拌しながら添加して、溶解したものを重合性組成物(M2)とした。
対向して配置した2枚のSUS板の端部に、2枚のSUS板の空隙間隔が4.1mmとなるように軟質樹脂製ガスケットを設置して、鋳型を作製した。次いで、上記の鋳型の中に、前記重合性組成物(M2)を流し込んだ後、軟質樹脂製ガスケットで封止し、80℃まで昇温して40分間保持した後、次いで130℃まで昇温して30分間保持して、重合性組成物(M2)を重合させた。その後、室温まで冷却し、SUS板を取り除いて厚さ3mmの板状の樹脂成形体を得た。本実施例の樹脂成形体においては、シラップ(Z)(92質量部)とMMA(8質量部)の重合物が、(メタ)アクリル重合体(P)である。得られた樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
タングステン酸化物粒子分散剤(X)を不使用とした以外は実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
タングステン酸化物粒子分散剤(X)を不使用とした以外は実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
[実施例2〜9]
タングステン酸化物粒子(W)又はタングステン酸化物粒子分散剤(X)の種類又は配合量を、表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同じ条件にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
タングステン酸化物粒子(W)又はタングステン酸化物粒子分散剤(X)の種類又は配合量を、表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同じ条件にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
[比較例2〜7]
タングステン酸化物粒子(W)又はタングステン酸化物粒子分散剤(X)の種類又は配合量を、表1記載のとおりに変更した以外は実施例1と同じ条件にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
タングステン酸化物粒子(W)又はタングステン酸化物粒子分散剤(X)の種類又は配合量を、表1記載のとおりに変更した以外は実施例1と同じ条件にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
実施例1〜9の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子分散剤(X)、タングステン酸化物粒子(W)を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるので、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れていた。
比較例1及び2の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子分散剤(X)を含まないため、低着色性が不十分であった。さらに、比較例2の樹脂成形体は透明性も不十分であった。
比較例3及び4の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子(W)を含まないため、熱線遮蔽性が不十分であった。
比較例5〜7の樹脂成形体は、本発明のタングステン酸化物粒子分散剤(X)を含まないため、低着色性が不十分であった。さらに、比較例7の樹脂成形体は透明性も不十分であった。
比較例3及び4の樹脂成形体は、タングステン酸化物粒子(W)を含まないため、熱線遮蔽性が不十分であった。
比較例5〜7の樹脂成形体は、本発明のタングステン酸化物粒子分散剤(X)を含まないため、低着色性が不十分であった。さらに、比較例7の樹脂成形体は透明性も不十分であった。
本発明の樹脂成形体は、透明性、低着色性及び熱線遮蔽性に優れているので、建造物、自動車、列車又はバスに使用される屋根材や窓材、照明や看板に使用される保護材に好適に用いることができる。
Claims (11)
- 共重合体(X−1)が、さらにヒドロキシ基を含むビニル単量体(x3)由来の繰り返し単位(但し、ビニルエステル単量体(x2)由来の繰り返し単位を除く。)を含む、請求項1に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 共重合体(X−1)が、該共重合体(X−1)の総質量に対して、塩化ビニル(x1)由来の繰り返し単位を80〜99質量%及びビニルエステル単量体(x2)由来の繰り返し単位を1〜20質量%含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 共重合体(X−1)が、該共重合体(X−1)の総質量に対して、ヒドロキシ基を含むビニル単量体(x3)由来の繰り返し単位を1質量%以上20質量%以下含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- (メタ)アクリル系樹脂組成物を、厚さ0.1〜50mmの範囲内に成形してなる板状の成形体において、前記成形体の投影面積における単位面積あたりの、前記樹脂成形体の前記タングステン酸化物粒子(W)の含有量は、0.05g/m2以上3.00g/m2以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- (メタ)アクリル系樹脂組成物中の、タングステン酸化物粒子分散剤(X)の含有割合が、該(メタ)アクリル系樹脂組成物の総質量に対して、100質量ppm以上10000質量ppm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる樹脂成形体。
- 請求項8に記載の樹脂成形体を含む熱線遮蔽板。
- 請求項9に記載の樹脂成形体を含む屋根材。
- 請求項9に記載の樹脂成形体を含む窓材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019225073A JP2021095427A (ja) | 2019-12-13 | 2019-12-13 | (メタ)アクリル系樹脂組成物、樹脂成形体、熱線遮蔽板、屋根材及び窓材 |
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JP2021095427A true JP2021095427A (ja) | 2021-06-24 |
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JP (1) | JP2021095427A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023087678A1 (zh) * | 2021-11-22 | 2023-05-25 | 中国科学院理化技术研究所 | 一种可自适应光照强度的智能窗箔,制备及应用 |
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2019
- 2019-12-13 JP JP2019225073A patent/JP2021095427A/ja active Pending
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WO2023087678A1 (zh) * | 2021-11-22 | 2023-05-25 | 中国科学院理化技术研究所 | 一种可自适应光照强度的智能窗箔,制备及应用 |
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