JP7230501B2 - インクジェット記録用水性インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用水性インク及びインクジェット記録方法に関する。
コート紙への定着性に優れたインクジェット記録用水性インクとして、塩化ビニル-アクリル系共重合体を含む水性インクが提案されている(特許文献1)。
特開2014-19811号公報
しかしながら、塩化ビニル-アクリル系共重合体を含む水性インクをコート紙に定着させるためには、高温、長時間の加熱乾燥を必要とする。
そこで、本発明は、より低温、短時間の乾燥で、コート紙に定着可能なインクジェット記録用水性インクを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録用水性インクは、
着色剤と、水と、を含むインクジェット記録用水性インクであって、
前記着色剤は、樹脂分散顔料を含み、
さらに、
ガラス転移温度が50℃以上である塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンと、
メタクリル酸イオンと、
を含み、
前記水性インク全量における前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンの固形分配合量(E)と、前記メタクリル酸イオンの配合量(A)とが、A/E≧0.01を満たすことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録用水性インクは、ガラス転移温度が所定範囲内の塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンに加え、所定量のメタクリル酸イオンを含むことで、より低温、短時間の乾燥で、コート紙に定着可能である。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す模式図である。
本発明において、「コート紙」とは、例えば、上級印刷紙、中級印刷紙等のパルプを主要な構成要素とした普通紙に、平滑性、白色度、光沢度等の向上を目的として、コート剤を塗布したものをいい、具体的には、上質コート紙、中質コート紙等があげられる。本発明のインクジェット記録用水性インク(以下、「水性インク」又は「インク」と言うことがある。)及びインクジェット記録方法は、コート紙へのインクジェット記録に好適に利用可能であるが、これに限定されるものではなく、例えば、普通紙、光沢紙、マット紙等のコート紙以外の記録媒体へのインクジェット記録にも利用可能である。
本発明の水性インクについて説明する。本発明の水性インクは、着色剤と、水と、を含む。
前記着色剤は、樹脂分散顔料を含む。前記樹脂分散顔料は、例えば、顔料分散用樹脂(樹脂分散剤)によって、水に分散可能なものである。前記樹脂分散顔料は、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、無機顔料及び有機顔料等があげられる。前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等があげられる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料及びカーボンブラック系無機顔料等をあげることができる。前記有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック昼光蛍光顔料;等があげられる。これら以外の樹脂分散顔料として、例えば、C.I.ピグメントブラック1、6及び7;C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、15、16、17、55、74、78、150、151、154、180、185及び194;C.I.ピグメントオレンジ31及び43;C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、12、15、16、48、48:1、53:1、57、57:1、112、122、123、139、144、146、149、150、166、168、175、176、177、178、184、185、190、202、209、221、222、224及び238;C.I.ピグメントバイオレット19及び196;C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、22及び60;C.I.ピグメントグリーン7及び36;並びにこれらの顔料の固溶体等もあげられる。
前記樹脂分散剤としては、例えば、メタクリル酸及びアクリル酸の少なくとも一方をモノマーとして含むものを用いることができ、例えば、市販品を用いてもよい。前記樹脂分散剤は、例えば、モノマーとして、さらに、スチレン、塩化ビニル等を含んでもよい。前記市販品としては、例えば、ジョンソンポリマー(株)製の「ジョンクリル(登録商標)611」(重量平均分子量8100、酸価53mgKOH/g)、「ジョンクリル(登録商標)60」(重量平均分子量8500、酸価215mgKOH/g)、「ジョンクリル(登録商標)586」、「ジョンクリル(登録商標)687」、「ジョンクリル(登録商標)63」及び「ジョンクリル(登録商標)HPD296」;ビックケミー社製の「Disperbyk190」及び「Disperbyk191」;ゼネカ社製の「ソルスパース20000」及び「ソルスパース27000」;等があげられる。
前記水性インク全量における前記樹脂分散顔料の固形分配合量(顔料固形分量)は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度又は彩度等により、適宜決定できる。前記顔料固形分量は、例えば、0.1重量%~20重量%、1重量%~15重量%、2重量%~10重量%である。前記顔料固形分量は、顔料のみの重量であり、樹脂分散剤の重量は含まない。前記樹脂分散顔料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水性インクは、前記樹脂分散顔料に加え、さらに、他の顔料及び染料等を含んでもよい。
前記水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。前記水性インク全量における前記水の配合量は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
前記水性インクは、さらに、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上である塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンと、メタクリル酸イオンと、を含む。
前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンのTgが50℃未満であると、吐出前の水性インク中で前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンの膜が形成され、吐出不良を招くことがある。
前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンは、自家調製してもよいし、市販品を用いてもよい。前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンは、例えば、コアシェル型のエマルジョンであってもよい。前記コアシェル型のエマルジョンとしては、例えば、コア部が高分子、シェル部が界面活性剤や乳化剤のものがあげられるが、それらに限定されない。前記コアシェル型のエマルジョンは、従来公知の方法、例えば、界面活性剤を使用した乳化重合、予め調製した高分子乳化剤の存在下での乳化重合等により調製可能である。高分子乳化剤を使用すると、当該高分子乳化剤がエマルジョンの外層であるシェル部を構成し、また、後工程で共重合した共重合体がエマルジョンの内層であるコア部を形成する。前記コアシェル型のエマルジョンは、例えば、ラジカル重合反応等の乳化重合以外の方法で調製してもよい。前記市販品としては、例えば、日信化学工業(株)製の「ビニブラン(登録商標)700」(Tg:70℃、有効成分濃度:30重量%)、「ビニブラン(登録商標)701」(Tg:73℃、有効成分濃度:30重量%)、「ビニブラン(登録商標)745」(Tg:57℃、有効成分濃度:30重量%)等があげられる。
前記メタクリル酸イオンは、例えば、カリウムイオン等の陽イオンとの塩として、前記水性インクに添加されてもよい。
前記水性インク全量における前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンの固形分配合量(E)と、前記メタクリル酸イオンの配合量(A)とは、A/E≧0.01を満たす。耐水性向上の観点から、前記固形分配合量(E)と、前記配合量(A)とは、A/E=0.01~0.16を満たすことが好ましく、A/E=0.01~0.1を満たすことがより好ましい。
前記固形分配合量(E)と、前記配合量(A)とは、A/E≧0.01を満たすように適宜調整すればよく、前記固形分配合量(E)が、例えば、0.1重量%~10重量%、1重量%~8重量%、3重量%~6重量%であり、前記配合量(A)が、例えば、0.001重量%~0.1重量%、0.01重量%~0.08重量%、0.03重量%~0.06重量%である。
前記水性インクは、Tgが50℃以上である塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンと、所定量のメタクリル酸イオンを含むことで、より低温、短時間の乾燥で、コート紙にも定着可能である。前記コート紙への定着性向上のメカニズムは、例えば、つぎのように推定される。すなわち、前記水性インクにメタクリル酸イオンを添加することで、前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンの親水部であるアクリル部に前記メタクリル酸イオンが接近し、その結果、前記エマルジョンの分散が不安定となり、より低温、短時間の乾燥で、コート紙への定着が可能となったと推定される。ただし、このメカニズムは推定に過ぎず、本発明はこれに限定されない。なお、前記乾燥時の温度については、後述の本発明のインクジェット記録方法において説明する。
前記水性インクは、さらに、プロピレングリコール(PG)を含んでもよい。PGは、例えば、インクジェットヘッドのノズル先端部における水性インクの乾燥を防止する湿潤剤として機能し得る。前記水性インク全量におけるPGの配合量(P)と、前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンの固形分配合量(E)とは、P/E=2~7を満たすことが好ましく、P/E=2~3を満たすことがより好ましい。P/E=2~7とすれば、耐水性により優れた水性インクを得ることができ、耐水性及びコート紙への定着性に極めて優れた水性インクを得ることができる。前記配合量(P)は、例えば、5重量%~50重量%、10重量%~35重量%、15重量%~30重量%である。
前記水性インクは、さらに、PG以外の湿潤剤を含んでもよい。PG以外の前記湿潤剤は、特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール等のポリエーテル;PG以外のアルキレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;2-ピロリドン;N-メチル-2-ピロリドン;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン;等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。PG以外のアルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらのPG以外の前記湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中で、PG以外のアルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。
前記水性インク全量におけるPG以外の前記湿潤剤の配合量は、例えば、0重量%~95重量%、5重量%~80重量%、5重量%~50重量%である。
前記水性インクは、さらに、浸透剤を含んでもよい。前記浸透剤は、例えば、記録媒体上での乾燥速度を調整する。
前記浸透剤は、例えば、グリコールエーテルがあげられる。前記グリコールエーテルは、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングルコール-n-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール-n-プロピルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール-n-プロピルエーテル及びトリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水性インク全量における前記浸透剤の配合量は、例えば、0重量%~20重量%、0重量%~15重量%、1重量%~6重量%である。
前記水性インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース等があげられる。
前記水性インクは、例えば、前記樹脂分散顔料と、前記水と、前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンと、前記メタクリル酸イオンと、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
つぎに、本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部及びインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、さらに、前記インクによる記録部分を加熱乾燥させる乾燥手段を含み、前記インク収容部に、本発明のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に水性インクをインクジェット方式により吐出して記録する記録工程と、前記記録媒体の記録部分を加熱乾燥する乾燥手段を用いて、前記水性インクを前記記録媒体に定着させる定着工程と、を含み、前記記録工程において、前記水性インクとして、本発明のインクジェット記録用水性インクを用い、前記定着工程における加熱温度が、前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンのTgの0.2倍~4倍の温度であることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、例えば、本発明のインクジェット記録装置を用いて実施可能である。前記記録は、印字、印画、印刷等を含む。
図1の模式図に、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す。図1に示すように、このインクジェット記録装置100は、給紙トレイ101、ローラ等の搬送機構(図示せず)、記録機構102A及び102B、プラテン103、乾燥手段104、排紙トレイ105、並びに、インクカートリッジ又はインクタンク等のインク収容部(図示せず)を備えている。給紙トレイ101は、積層された複数の記録媒体(例えば、コート紙)Pを支持可能である。
インクジェット記録装置100内部には、ガイド部材により搬送経路(図示せず)が形成されている。記録用紙Pは、図1に破線の矢印で示すように、前記搬送機構及び前記搬送経路により、給紙トレイ101から排紙トレイ105に向けて搬送される。
前記記録機構は、キャリッジ102Aと、インクジェットヘッド(インク吐出手段)102Bと、を備えている。キャリッジ102Aは、記録用紙Pの搬送方向と垂直に延設された2本のガイドレール(図示せず)に支持されている。前記2本のガイドレールは、インクジェット記録装置100の筐体(図示せず)に支持されている。キャリッジ102Bは、前記2本のガイドレールに設けられた公知のベルト機構(図示せず)に連結されている。このベルト機構は、キャリッジモータ(図示せず)によって駆動される。前記ベルト機構に連結されたキャリッジ102Aは、前記キャリッジモータの駆動によって、記録用紙Pの搬送方向と垂直方向に往復移動する。
また、キャリッジ102Aからは、前記インク収容部及びインクジェットヘッド102Bを接続する4本のインクチューブ(図示せず)と、制御基板(図示せず)及びインクジェットヘッド102Bを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル(図示せず)とが延出されている。前記4本のインクチューブは、前記インク収容部に収容されたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色の水性インクをインクジェットヘッド102Bに供給する。前記4色の水性インクのうちの少なくとも1つが、本発明のインクジェット記録用水性インクである。前記フレキシブルフラットケーブルは、前記制御基板から出力される制御信号をインクジェットヘッド102Bに伝達する。
インクジェットヘッド102Bは、図1に示すように、キャリッジ102Aに搭載されている。インクジェットヘッド102Bの下面には、複数のノズル102Cが形成されている。複数のノズル102Cの先端は、キャリッジ102A及びインクジェットヘッド102Bの下面から露出されている。インクジェットヘッド102Bは、前記インク収容部から前記インクチューブを介してインクジェットヘッド102Bに供給された水性インクを吐出する力を付与するためのアクチュエータ(図示せず)を有している。前記アクチュエータは、圧電素子方式、サーマルインク方式、静電吸引方式等、いかなる方式であってもよい。キャリッジ102Aが記録用紙Pの搬送方向と垂直方向に往復移動する過程において、インクジェットヘッド102Bは、複数のノズル102Cから水性インクを微小なインク滴として吐出する。これにより、記録用紙Pに画像が記録される。プラテン103は、前記記録機構と対向するように配置されており、給紙トレイ101から搬送されてきた記録用紙Pを支持する。
乾燥手段104は、記録用紙Pの記録部分を加熱乾燥する。この乾燥時の温度は、前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンのTgの0.2倍~4倍の温度である。前記温度は、例えば、前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンのTgの0.2倍~2倍の温度、0.2倍~1倍の温度であってもよい。前記温度は、乾燥手段104の設定変更により適宜調整可能であり、具体的には、例えば、20℃~200℃、50℃~100℃である。また、前記乾燥の時間も、乾燥手段104の設定変更により適宜調整可能であり、例えば、0秒を超えて300秒以下、0.1秒~60秒、30秒~60秒である。本発明の水性インクは、高温、長時間の加熱乾燥を要した従来の水性インクと比べて、より低温、短時間の乾燥で、コート紙に定着可能である。乾燥手段104は、前記記録部分を加熱乾燥可能なものであればいかなるものであってもよい。乾燥手段104としては、例えば、市販のドライヤー、オーブン、ベルトコンベアオーブン、アイロン、ホットプレス機等があげられ、ドライヤー、オーブン、ベルトコンベアオーブン等の記録用紙Pの記録部分に接触することなく前記記録部分を加熱乾燥する非接触乾燥手段が好ましい。
記録・乾燥後の記録用紙Pは、排紙トレイ105へと搬送される。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例及び比較例により限定及び制限されない。
〔顔料分散液A及びBの調製〕
顔料(カーボンブラック)20重量%、スチレン-アクリル酸共重合体の水酸化ナトリウム中和物 7重量%(酸価175mgKOH/g、分子量10000)に、純水を加え全体を100重量%とし、撹拌混合して混合物を得た。この混合物を、0.3mm径ジルコニアビーズを充填した湿式サンドミルに入れ、6時間分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレータにより取り除き、孔径3.0μmセルロースアセテートフィルターでろ過することにより、顔料分散液Aを得た。また、前記スチレン-アクリル酸共重合体の水酸化ナトリウム中和物 7重量%に代えて、スチレン-メタクリル酸共重合体の水酸化ナトリウム中和物 9重量%(酸価175mgKOH/g、分子量10000)を用いたこと以外は、顔料分散液Aの調製と同様にして、顔料分散液Bを得た。なお、スチレン-アクリル酸共重合体及びスチレン-メタクリル酸共重合体は、一般に顔料の分散剤として用いられる水溶性のポリマーである。
[実施例1~18及び比較例1~8]
インク組成(表1及び表2)における、顔料分散液A、B又はCAB-O-JET(登録商標)300を除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、顔料分散液A、B又は水に分散させたCAB-O-JET(登録商標)300に、前記インク溶媒を加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過することで、表1及び表2に示す実施例1~18及び比較例1~8のインクジェット記録用水性インクを得た。
実施例1~18及び比較例1~8の水性インクについて、(a)コート紙への定着性評価及び(b)耐水性評価を、下記方法により実施した。
(a)コート紙への定着性評価
バーコータを使用して、コート紙(王子製紙(株)製の「OKトップコート+」)に対して、塗布厚が3μmとなるように実施例及び比較例の水性インクを塗布し、塗布サンプルを作製した。つぎに、前記塗布サンプルを、60℃、30秒の条件で乾燥させた。その後、綿棒で、前記水性インクの塗布部から非塗布部に向けて、前記塗布サンプル表面を擦った。前記塗布部及び前記非塗布部それぞれの擦れ及び汚れ具合を目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。
コート紙への定着性評価 評価基準
AA:前記塗布部に擦れがなく、前記非塗布部に汚れもなかった。
A :前記塗布部を擦った部分の15%に擦れ跡があったが、前記非塗布部に汚れはなかった。
B :前記塗布部を擦った部分の30%に擦れ跡があったが、前記非塗布部に汚れはなかった。
C :前記塗布部を擦った部分の全体に擦れ跡があり、前記非塗布部に汚れもあった。
(b)耐水性評価
(a)コート紙への定着性評価における乾燥後の前記塗布サンプル表面を、水で濡らした綿棒で、前記水性インクの塗布部から非塗布部に向けて擦った。この動作を、前記塗布部において、前記コート紙の地色の白が見えるようになるまで繰り返し、その回数を、下記評価基準に従って評価した。
耐水性評価 評価基準
AA:5回以上擦ったときに、前記塗布部に剥がれがあり、前記コート紙の地色の白が見えた。
A :2回~4回擦ったときに、前記塗布部に剥がれがあり、前記コート紙の地色の白が見えた。
B :1回擦ったときに、前記塗布部に剥がれがあり、前記コート紙の地色の白が見えた。
実施例1~18及び比較例1~8のインク組成及び評価結果を、表1及び表2に示す。
Figure 0007230501000001
Figure 0007230501000002
表1に示すとおり、実施例1~18では、コート紙への定着性の評価結果が良好であった。特に、A/E=0.01~0.1である実施例1~4では、A/E>0.1であること以外は同条件である実施例5~7よりも、耐水性の評価結果が優れていた。また、特に、P/E=2~7である実施例9~12では、P/E=1であること以外は同条件である実施例8よりも、耐水性の評価結果が優れており、P/E=2~3である実施例9及び10では、耐水性及びコート紙への定着性の評価結果が極めて優れていた。さらに、特に、P/E=2~4である実施例14~16では、P/E=1であること以外は同条件である実施例13よりも、耐水性の評価結果が優れており、P/E=2~3である実施例14及び15では、耐水性及びコート紙への定着性の評価結果が極めて優れていた。一方、表2に示すとおり、メタクリル酸イオンを用いなかった比較例1、及び、メタクリル酸イオンに代えて、アクリル酸イオン、安息香酸イオン、フマル酸イオン又はコハク酸イオンを用いた比較例2~5では、コート紙への定着性の評価結果が悪かった。また、Tgが50℃未満である塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンを用いた比較例6でも、コート紙への定着性の評価結果が悪かった。そして、樹脂分散顔料を用いず、自己分散顔料のみを用いた比較例7でも、コート紙への定着性の評価結果が悪かった。さらに、A/E<0.01である比較例8でも、コート紙への定着性の評価結果が悪かった。
以上のように、本発明の水性インクは、より低温、短時間の乾燥で、コート紙にも定着可能である。本発明の水性インクの用途は、コート紙へのインクジェット記録に限定されず、普通紙、光沢紙、マット紙等の各種記録媒体へのインクジェット記録に広く適用可能である。
100 インクジェット記録装置
101 給紙トレイ
102A キャリッジ
102B インクジェットヘッド(インク吐出手段)
102C ノズル
103 プラテン
104 乾燥手段
105 排紙トレイ

Claims (6)

  1. 着色剤と、水と、を含むインクジェット記録用水性インクであって、
    前記着色剤は、樹脂分散顔料を含み、
    さらに、
    ガラス転移温度が50℃以上である塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンと、
    メタクリル酸イオンと、
    を含み、
    前記水性インク全量における前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンの固形分配合量(E)と、前記メタクリル酸イオンの配合量(A)とが、A/E≧0.01を満たすことを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
  2. 前記水性インク全量における前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンの固形分配合量(E)と、前記メタクリル酸イオンの配合量(A)とが、A/E=0.01~0.1を満たす請求項1記載のインクジェット記録用水性インク。
  3. さらに、プロピレングリコールを含み、
    前記水性インク全量におけるプロピレングリコールの配合量(P)と、前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンの固形分配合量(E)とが、P/E=2~7を満たす請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インク。
  4. 前記水性インク全量におけるプロピレングリコールの配合量(P)と、前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンの固形分配合量(E)とが、P/E=2~3を満たす請求項3記載のインクジェット記録用水性インク。
  5. 記録媒体に水性インクをインクジェット方式により吐出して記録する記録工程と、
    前記記録媒体の記録部分を加熱する乾燥手段を用いて、前記水性インクを前記記録媒体に定着させる定着工程と、
    を含み、
    前記記録工程において、前記水性インクとして、請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インクを用い、
    前記定着工程における加熱温度(℃)が、前記塩化ビニル-アクリル系共重合体エマルジョンのガラス転移温度(℃)の0.2倍~4倍の温度であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 前記記録媒体が、コート紙である請求項5記載のインクジェット記録方法。
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