JP7230417B2 - 粘着剤組成物及びその用途 - Google Patents
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Description
また、接着層と繊維層との間の層間接着強度が高く、しかも繊維層の風合いが損なわれない積層体とするため、アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層が提案されている(引用文献3)。
すなわち、従来のホットメルト型接着フィルムは、溶融接着する際に樹脂が布の網目や発泡シート等の空隙などに含侵するため、生地・素材の風合いを損なうという問題がある。
さらに、特許文献3に使用されるアクリル系ブロック共重合体では、接着層と繊維層との層間接着強度が十分とはいえず、また、貼り合わせ箇所の柔軟性も不十分である。
したがって、生地どうしを簡易な方法で高強度に張り合わせることができ、貼り合わせ箇所が柔軟となる繊維生地貼り合わせ用の接着剤が要望されている。
前記重合体ブロック(A)は、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上350℃以下の重合体であって、前記(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構造単位を50質量%以上99質量%以下含み、かつ、ガラス転移点が-50℃以上-10℃以下の重合体であり、
前記粘着剤組成物の23℃における貯蔵弾性率が0.01MPa以上0.50MPa以下である、粘着剤組成物。
〔2〕前記重合体ブロック(A)と前記(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)との質量比が、1/99~20/80であるブロック共重合体を含む〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔3〕前記重合体ブロック(A)が、マレイミド化合物に由来する構造単位を10質量%以上90質量%以下含む〔1〕または〔2〕に記載の粘着剤組成物。
〔4〕前記重合体ブロック(A)は、さらにスチレン類に由来する構造単位を10質量%以上90質量%以下含む〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔5〕前記ブロック共重合体の数平均分子量が、10,000以上500,000以下である〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔6〕前記ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比が、1.05以上2.50以下である〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔7〕〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の粘着剤組成物によって貼り合わせた繊維生地。
重合体ブロック(A)は、ガラス転移点が50℃以上350℃以下である重合体ブロックであり、重合体ブロック(A)を構成する単量体としては、マレイミド化合物、アミド基含有ビニル化合物、スチレン系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、架橋性官能基を有するビニル系単量体等が挙げられる。
炭素数1~2のアルコキシ基、アセチル基又はハロゲンを表す。)
マレイミド化合物に由来する構造単位を10質量%以上含むブロック共重合体は、耐熱性及び接着性に優れるため好ましい。マレイミド化合物の重合体ブロック(A)の全構成単量体単位に対する使用量が90質量%以下であれば、ブロック共重合体の柔軟性を確保することができるため好ましい。
前記相分離する性質を有することで、ミクロ相分離構造を形成することができる。本願出願時の技術常識に基づいて当業者であれば容易に、(メタ)アリリル系重合体ブロック(B)と相分離する重合体ブロック(A)を設計することができる。例えば、公知の溶解パラメータの算出方法、例えば、以下に示すFedors法により計算したSP値を(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)のSP値と比較したときの差分が0.01(絶対値)以上などとすることができる。また例えば0.05以上、また例えば0.1以上、また例えば0.2以上であってもよい。さらに例えば0.5以上であってもよい。また例えば、意図する重合体ブロック(A)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)のポリマーブレンドを調製して、これらを混合して得られる構造を電子顕微鏡、原子間力顕微鏡又は小角X線散乱等で観察することにより、ブロック間の相分離性を容易に推測することができる。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル系単量体を構成単量体
単位として含み、ガラス転移点が-50℃以上-10℃以下である重合体ブロックであり、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構造単位を、50質量%以上99質量%以下含むものである。
前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n-プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸n-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸n-プロポキシプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、(メタ)アクリル酸n-プロポキシブチル、(メタ)アクリル酸n-ブトキシブチル等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸2-メトキシメチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル及び(メタ)アクリル酸2-エトキシエチルが好ましく、接着後の繊維層の風合い及びコストの面から、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチルが特に好ましい。
前記(メタ)アクリル系単量体としては、下記一般式(2)で表される化合物である、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及びポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
CH2=CR1-C(=O)O(R2O)n-R3 (2)
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数2~6の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表し、R3は水素原子、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のア
リール基を表す。nは0又は1~100の整数を表す。)
本発明で使用するブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)を各々1つ以上有していればよく、例えば重合体ブロック(A)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)からなる(AB)ジブロック体、重合体ブロック(A)/(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)/重合体ブロック(A)からなる(ABA)トリブロック体又は(BAB)トリブロック体等が挙げられる。
また、重合体ブロック(A)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)以外の重合体ブロック(C)を含む、(ABC)又は(ABCA)等の構造を有するものであってもよい。中でも、本ブロック共重合体は、A-(BA)n(nは1以上の整数)構造を有することが好ましい。かかる構造であると、重合体ブロック(A)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)が擬似架橋構造を形成し、粘着物性の観点から好適である。尚、上記A-(BA)n構造は共重合体の全部又は一部に存在すればよく、例えば(BABAB)構造からなる共重合体などであってもよい。
本ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体を得る限りにおいて特段の制限を受けるものではなく、公知の製造方法を採用することができる。例えば、リビングラジカル重合及びリビングアニオン重合等の各種制御重合法を利用する方法や、官能基を有する重合体同士をカップリングする方法等を挙げることができる。これらの中でも、操作が簡便であり、広い範囲の単量体に対して適用することができる観点から、リビングラジカル重合法が好ましい。
リビングラジカル重合法の種類についても特段の制限はなく、可逆的付加-開裂連鎖移動重合法(RAFT法)、ニトロキシラジカル法(NMP法)、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、有機テルル化合物を用いる重合法(TERP法)、有機アンチモン化合物を用いる重合法(SBRP法)、有機ビスマス化合物を用いる重合法(BIRP法)及びヨウ素移動重合法等の各種重合方法を採用することができる。これらの内でも、重合の制御性と実施の簡便さの観点から、RAFT法、NMP法及びATRP法が好ましい。
また、RAFT剤の使用量は、用いる単量体及びRAFT剤の種類等により適宜調整される。
一方、反応温度が100℃以下であれば、副反応が抑制できるとともに、使用できる開始剤や溶剤に関する制限が緩和される。
本発明で使用するブロック共重合体は、単独でも粘着剤材料として適用することが可能であるが、必要に応じて公知の添加剤等を配合した粘着剤組成物の態様としてもよい。特に、本ブロック共重合体が重合体ブロック(A)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)の少なくともいずれかに架橋性官能基を含む場合、当該架橋性官能基と反応可能な架橋剤を配合することができる。さらに必要に応じて、加熱処理等を施すことにより、用途に応じた粘着剤を得ることができる。
上記イソシアネート化合物としては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、これらのイソシアネート化合物の変性物(プレポリマー等)を用いることができる。
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。 脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(H6XDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。
また、変性イソシアネートとしては、上記イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
テルペン系化合物としては、例えば、荒川化学工業社製のタマノル80L、および、タマノル901、あるいは、ヤスハラケミカル社製のYSポリスターG150、YSポリスターG125、YSポリスターT100、YSポリスターT115、YSポリスターT130、および、YSポリスターT145等が例示される。
粘着付与剤の使用量は、本発明で使用するブロック共重合体の使用量に対して、好ましくは0~40質量%であり、より好ましくは0~20質量%であり、さらに好ましくは0~5質量%である。使用量が前記範囲内であれば、接着性の向上効果がある。
実施例及び比較例で使用した重合体の分析方法および製造方法について以下に記載する。
ゲル浸透クロマトグラフ装置(型式名「HLC-8320」、東ソー社製)を用いて、下記の条件よりポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を得た。また、得られた値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
○測定条件
カラム:東ソー社製TSKgel SuperMultiporeHZ-M×4本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI
流速:600μL/min
得られた重合体の組成比は1H-NMR測定より同定・算出した。測定装置にはBRUKER社製AscendTM400核磁気共鳴測定装置を用いた。25℃で、テトラメチルシランを標準物質、重クロロホルムを溶媒として測定を行った。
得られた重合体のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計を用いて得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点での接線の交点から決定した。熱流束曲線は試料約10mgを-50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで300℃まで昇温し、引き続き-50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで350℃まで昇温する条件で得た。
測定機器:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220
測定雰囲気:窒素雰囲気下
なお、実施例及び比較例において使用したブロック共重合体の示差走査熱量(DSC)測定を行うことにより、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)に対応する変曲点が得られ、これらから各重合体ブロックのTgを求めることができる。ブロック共重合体の変曲点が不明確な場合は、重合体ブロック(A)の単独重合体及び重合体ブロック(B)の単独重合体を調製し、DSC測定を行うことで、各重合体ブロックのTgを求めることができる。
攪拌機、温度計を装着した1LフラスコにRAFT剤としてジベンジルトリチオカーボネート(以下、「DBTTC」ともいう。)(3.18g)、重合開始剤として2,2´-アゾビス2-メチルブチロニトリル(以下、「ABN-E」ともいう。)(0.51g)、単量体としてスチレン(75g)及びフェニルマレイミド(以下、「PhMI」ともいう。)(125g)、溶媒としてアセトニトリル(466g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、室温まで冷却して反応を停止した。上記重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体ブロックAを得た。得られた重合体ブロックAの分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定(ポリスチレン換算)より、Mn11,400であった。
次に、攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに得られた重合体ブロックA(21.1g)、重合開始剤としてABN-E(0.08g)、単量体としてアクリル酸メトキシエチル(以下、「MEA」ともいう。)(290g)及びアクリル酸ヒドロキシエチル(以下、「HEA」ともいう。)(15g)、溶媒としてアセトニトリル(107g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、室温まで冷却し、アセトニトリルを追加することで固形分濃度が30%になるように調整し、粘着剤溶液を得た。得られたA-B-Aブロック共重合体の分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定(ポリスチレン換算)より、Mn122,100、Mw/Mn1.97であった。
攪拌機、温度計を装着した1LフラスコにRAFT剤としてDBTTC(3.18g)、重合開始剤としてABN-E(0.51g)、単量体としてスチレン(75g)、および、PhMI(125g)、溶媒としてアセトニトリル(466g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、室温まで冷却して反応を停止した。上記重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体ブロックAを得た。得られた重合体ブロックAの分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)より、Mn10,900であった。
次に、攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに得られた重合体ブロックA(21.1g)、重合開始剤としてABN-E(0.08g)、単量体としてMEA(234g)、アクリル酸ブチル(以下、「n-BA」ともいう。)(51g)、および、HEA(15g)、溶媒としてアセトニトリル(107g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、室温まで冷却し、アセトニトリルを追加することで固形分濃度が30%になるように調整し、粘着剤溶液を得た。得られたA-B-Aブロック共重合体の分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)より、Mn160,000、Mw/Mn2.24であった。
攪拌機、温度計を装着した1LフラスコにRAFT剤としてDBTTC(3.18g)、重合開始剤としてABN-E(0.51g)、単量体としてスチレン(75g)及びPhMI(125g)、溶媒としてアセトニトリル(466g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、室温まで冷却して反応を停止した。上記重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体ブロックAを得た。得られた重合体ブロックAの分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)より、Mn10,900であった。
次に、攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに得られた重合体ブロックA(21.1g)、重合開始剤としてABN-E(0.08g)、単量体としてMEA(205g)、BA(87g)及びHEA(15g)、溶媒としてアセトニトリル(107g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、室温まで冷却し、アセトニトリルを追加することで固形分濃度が30%になるように調整し、粘着剤溶液を得た。得られたA-B-Aブロック共重合体の分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)より、Mn152,000、Mw/Mn1.84であった。
攪拌機、温度計を装着した1LフラスコにRAFT剤としてDBTTC(3.18g)、重合開始剤としてABN-E(0.51g)、単量体としてスチレン(75g)及びPhMI(125g)、溶媒としてアセトニトリル(466g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、室温まで冷却して反応を停止した。上記重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体ブロックAを得た。得られた重合体ブロックAの分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)より、Mn10,900であった。
次に、攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに得られた重合体ブロックA(21.1g)、重合開始剤としてABN-E(0.08g)、単量体としてMEA(168g)、BA(112g)及びHEA(15g)、溶媒としてアセトニトリル(107g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、室温まで冷却し、アセトニトリルを追加することで固形分濃度が30%になるように調整し、粘着剤溶液を得た。得られたA-B-Aブロック共重合体の分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)より、Mn150,000、Mw/Mn1.72であった。
攪拌機、温度計を装着した1LフラスコにRAFT剤としてDBTTC(3.18g)、重合開始剤としてABN-E(0.51g)、単量体としてスチレン(75g)及びPhMI(125g)、溶媒としてアセトニトリル(466g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、室温まで冷却して反応を停止した。上記重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体ブロックAを得た。得られた重合体ブロックAの分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)より、Mn10,900であった。
次に、攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに得られた重合体ブロックA(21.1g)、重合開始剤としてABN-E(0.08g)、単量体としてBA(285g)及びHEA(15g)、溶媒としてアセトニトリル(107g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、室温まで冷却し、アセトニトリルを追加することで固形分濃度が30%になるように調整し、粘着剤溶液を得た。得られたA-B-Aブロック共重合体の分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)より、Mn156,900、Mw/Mn1.56であった。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、溶媒として酢酸ブチル(210質量部)と、重合開始剤としてジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(和光純薬社製、V-601)(0.9質量部)とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に昇温した。別途、単量体としてメタクリル酸メチル(以下、「MMA」ともいう)(165質量部)、メタクリル酸イソボルニル(以下、「IBXMA」ともいう)(44質量部)及びV-601(17質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をヘキサン(6000質量部)に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離した。得られた重合体のモノマー組成は、仕込量とGC測定によるモノマー消費量から計算した結果、MMA80質量%、IBXMA20質量%からなり、Mw7390、Mn4760、Mw/Mn1.55であった。Tgは100℃であった。
上記合成例1で得られた固形分濃度30質量%の粘着剤溶液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」)製セパレーター上に、乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布した。粘着剤組成物を100℃、6分間乾燥することで、アセトニトリルを除去した。乾燥後は前記セパレーターとは剥離力の異なる厚さ38μmのPET製セパレーターを貼りあわせて、両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。
使用した粘着剤組成物を表1に記載したように変更した以外は、実施例1と同様の操作により、両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。
上記合成例2で得られた固形分濃度30質量%の粘着剤溶液に架橋剤としてタケネートD-110N(固形分濃度75質量%、三井化学社製)(0.08質量部)を混合し、粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を、厚さ50μmのPET製セパレーター上に、乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布した。粘着剤組成物を100℃、6分間乾燥することで、アセトニトリルを除去した。乾燥後は前記セパレーターとは剥離力の異なる厚さ38μmのPET製セパレーターを貼りあわせて、両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。その後、40℃で5日間養生することで架橋反応を促進した。
上記合成例1で得られた固形分濃度30質量%の粘着剤溶液に添加剤として、<合成例6>で調製したタッキファイヤ(粘着剤固形分に対して4質量部)を混合し、粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を、厚さ50μmのPET製セパレーター上に、乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布した。粘着剤組成物を100℃、6分間乾燥することで、アセトニトリルを除去した。乾燥後は前記セパレーターとは剥離力の異なる厚さ38μmのPET製セパレーターを貼りあわせて、両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。
ペレット状のウレタン系ホットメルト接着剤(バイエル社製Desmocoll500)を離型紙に挟み、130℃、1kg/cm2で熱プレスして100μm厚の粘着フィルム試料を得た。
100μm厚の粘着剤シートを積層して、800μm厚のサンプルを作製した。この積層シートを1cmφに打ち抜き、粘弾性測定装置Physica MCR301(AntonPaar社製)を用いて、ひずみ0.1%、周波数1Hzで23℃における貯蔵弾性率を測定した。
風合いは熱プレスで貼り合せた接着箇所の曲げ硬さを以下の基準で評価した。
○:非接着部の生地と同程度の柔らかさ
×:接着剤由来の硬さを感じる
ポリエステル生地2枚を1.0cm幅にカットした粘着剤シートで貼り合せた。貼り合わせた生地の積層体を熱プレスで130℃、3kg/cm2、10秒の条件で圧着した。圧着した試験片は恒温槽付き引張り試験機INSTRON 5566A(インストロンジャパン社製)を用いて、測定温度23℃、試験片幅1.0cm、剥離速度300mm/分で接着面に対して垂直方向に剥離強度を測定し、接着強度とした。
上記方法で測定した剥離強度を用いて、以下の基準によって接着性を評価した。
〇:10N/10mm以上
△:8N/10mm以上10N/10mm未満
×:8N/10mm未満
PhMI:フェニルマレイミド
St:スチレン
MEA:アクリル酸2-メトキシエチル
n-BA:アクリル酸n-ブチル
HEA:アクリル酸ヒドロキシエチル
架橋剤: 三井化学製タケネートD-110N
タッキファイヤ: [合成例6]で調製したタッキファイヤ
一方、(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)に(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構造単位を含まない粘着剤組成物を用いた比較例1では、生地に対する接着力が低下した。また従来汎用されてきたウレタン系ホットメルト接着剤を用いた比較例2では、剥離強度が高く、良好な接着性を示したものの、貯蔵弾性率が高いため接着部が固く、また、接着部の風合いも良くないことが分かった。
Claims (6)
- 重合体ブロック(A)及び(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体を含む粘着剤組成物であって、
前記重合体ブロック(A)は、マレイミド化合物に由来する構造単位とスチレン系化合物に由来する構造単位とを含み、かつ、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上350℃以下の重合体であり、前記(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構造単位を60モル%以上95モル%以下含み、かつ、ガラス転移点が-50℃以上-10℃以下の重合体であり、
前記ブロック共重合体における前記重合体ブロック(A)と前記(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)との質量比が1/99~20/80であり、
前記粘着剤組成物の、周波数1Hzで測定した23℃における貯蔵弾性率が0.01MPa以上0.50MPa以下である、粘着剤組成物。 - 前記重合体ブロック(A)が、マレイミド化合物に由来する構造単位を10質量%以上90質量%以下含む請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 前記重合体ブロック(A)は、スチレン系化合物に由来する構造単位を10質量%以上90質量%以下含む請求項2に記載の粘着剤組成物。
- 前記ブロック共重合体の数平均分子量が、10,000以上500,000以下である請求項1~3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- 前記ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比が、1.05以上2.50以下である、請求項1~4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- 請求項1~請求項5のいずれかに記載の粘着剤組成物によって貼り合わせた繊維生地。
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