JP7552012B2 - 衣料用粘着剤組成物及びその用途 - Google Patents
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Description
〔3〕前記(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキル化合物に由来する構造単位を、前記(メタ)アクリル系重合体が有する全構成単量体単位に対して50モル%以上有する、〔1〕又は〔2〕の衣料用粘着剤組成物。
〔4〕前記(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル化合物に由来する構造単位を有する、〔1〕~〔3〕のいずれかの衣料用粘着剤組成物。
〔7〕上記〔1〕~〔5〕のいずれかの衣料用粘着剤組成物を用いて繊維生地と繊維生地とが接合された衣料用繊維製品。
本発明の粘着剤組成物は、衣料用の繊維生地を接合するための衣料用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう)であり、重合体成分が有機溶剤に溶解された溶液型、又は室温で固形状若しくは半固形状の粘着剤組成物である。本粘着剤組成物は、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、シリコーン系重合体、及びポリアミド系重合体よりなる群から選択される少なくとも一種であって、数平均分子量が30,000以上である重合体(以下、「重合体(A)」ともいう)を含有する。以下に、本粘着剤組成物に配合される重合体(A)、及び必要に応じて配合される成分について詳しく説明する。
ビニル系重合体(以下、「ビニル系重合体(A)」ともいう)は、炭素-炭素二重結合を重合性基として有する単量体を用いて得られる重合体である。ビニル系重合体(A)を構成する単量体としては、ラジカル重合性を有する種々のビニル系不飽和化合物を使用することができる。当該ビニル系不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸の鎖状エステル化合物、(メタ)アクリル酸の脂肪族環式エステル化合物、(メタ)アクリル酸の芳香族エステル化合物、脂肪族ビニル化合物、脂肪族環式ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸、不飽和酸無水物、ヒドロキシ基含有ビニル化合物、アミノ基含有ビニル化合物、アミド基含有ビニル化合物、シアノ基含有不飽和化合物、ニトリル基含有不飽和化合物、イミド基含有ビニル化合物、不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル化合物等が挙げられる。ビニル系重合体(A)の製造に際し、単量体は1種のみ用いられてもよく、2種以上用いられてもよい。
ポリアミド系重合体は、多価カルボン酸とジアミンとを反応させて得られる重合体である。ポリアミド系重合体を構成する多価カルボン酸としては特に限定されず、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。また、ジアミンについても特に限定されず、脂肪族ジアミン、脂肪族環式ジアミン、芳香族ジアミン等の公知のジアミンを適宜用いることができる。
(メタ)アクリル系重合体(A)は、(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位を主体とする重合体であり、粘着性を有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリル系重合体(A)が(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位を「主体」とするとは、(メタ)アクリル系重合体(A)が有する全構成単量体単位に対し、(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位の割合が、50モル%よりも多く、好ましくは65モル%以上であり、より好ましくは75モル%以上であり、更に好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上である。
重合体(A1)は、例えば溶液重合法等の公知のラジカル重合方法を採用して、上記単量体を重合することにより得ることができる。溶液重合法による場合、有機溶剤及び単量体を反応器に仕込み、重合開始剤を添加して、50~300℃に加熱して共重合することにより、目的とする重合体(A1)を得ることができる。単量体を含む各原料の仕込み方法は、全ての原料を一括して仕込むバッチ式の初期一括仕込みでもよく、少なくとも一部の原料を連続的に反応器中に供給するセミ連続仕込みでもよく、全原料を連続供給し、同時に反応器から連続的に生成樹脂を抜き出す連続重合方式でもよい。また、粘着剤組成物の調製の際には、有機溶剤に溶解された重合体溶液として重合体(A1)を用いてもよいし、加熱減圧処理等により有機溶剤を留去して用いてもよい。
有機過酸化物として、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等を;
無機過酸化物として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等を;
レドックス型重合開始剤として、例えば、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等を還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、tert-ブチルハイドロパーオキサイド等を酸化剤としたもの等を、それぞれ挙げることができる。重合体(A1)の製造に際し、重合開始剤の使用量は、重合に使用する全単量体100質量部に対して、例えば0.01~20質量部である。
ブロック共重合体(A2)が有する重合体ブロックAは、重合体ブロックBよりもガラス転移点が高いセグメントであることが好ましく、具体的には、ガラス転移点が50℃以上のセグメントであることが好ましい。重合体ブロックAのガラス転移点が50℃以上であると、ブロック共重合体(A2)に良好な耐熱性を付与できる点で好ましい。また、ブロック共重合体(A2)がミクロ相分離構造を形成する等により疑似架橋を形成し得るため好ましい。粘着剤層を構成する重合体が疑似架橋構造を形成すると凝集力が向上する傾向があり、接着強度が高まる傾向がある。
ブロック共重合体(A2)は、重合体ブロックA及び重合体ブロックBを有するブロック共重合体を得ることができる限り、製造方法に特段の制限を受けるものではなく、公知の製造方法により得ることができる。ブロック共重合体(A2)の製造方法としては、例えば、リビングラジカル重合及びリビングアニオン重合等の各種制御重合法を利用する方法や、官能基を有する重合体同士をカップリングする方法等を挙げることができる。これらの中でも、操作が簡便であり、広い範囲の単量体に対して適用することができる観点から、リビングラジカル重合法が好ましい。
重合体(A)は、単独で粘着剤材料として使用できるが、必要に応じて、重合体(A)以外の成分(以下、「その他の成分」ともいう)を粘着剤組成物に配合して使用してもよい。以下に、本粘着剤組成物に配合されてもよいその他の成分について説明する。
本粘着剤組成物は、粘着付与樹脂を含有していてもよい。粘着付与樹脂としては、例えば、数平均分子量が10,000以下のビニル系重合体(以下、「ビニル系重合体(B)」ともいう);ロジンエステル、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジンエステル、マレイン化ロジン、不均化ロジンエステル等のロジン誘導体;テルペンフェノール樹脂、α-ピネン、β-ピネン、リモネン等を主体とするテルペン系樹脂;クマロン-インデン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂等が挙げられる。
重合体(A)が架橋性官能基を有する場合、当該架橋性官能基と反応可能な架橋剤を粘着剤組成物に配合してもよい。また、必要に応じて更に加熱処理等を施すことにより、用途に応じた粘着剤を得ることができる。
イソシアネート化合物として、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等の芳香族イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)等の脂肪族イソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(H6XDI)、水添化MDI(H12MDI)等の脂環族イソシアネート化合物;ウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等の変性イソシアネート化合物等を;
アジリジン化合物として、1,6-ビス(1-アジリジニルカルボニルアミノ)ヘキサン、1,1’-(メチレン-ジ-p-フェニレン)ビス-3,3-アジリジル尿素、エチレンビス-(2-アジリジニルプロピオネート)、2,4,6-トリアジリジニル-1,3,5-トリアジン、トリメチロールプロパン-トリス-(2-アジリジニルプロピオネート)等を、それぞれ挙げることができる。
粘着剤組成物は、可塑剤が配合されていてもよい。可塑剤としては、ジn-ブチルフタレート、ジn-オクチルフタレート、ビス(2-エチルヘキシル)フタレート、ジn-デシルフタレート等のフタル酸エステル類;ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジn-オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類;セバシン酸エステル類;アゼライン酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ変性植物油類;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3-ブチレングリコールとのエステル化物等のエステルオリゴマー類;低分子量ポリブテン、低分子量ポリイソブチレン、低分子量ポリイソプレン等の低分子量重合体;プロセスオイル、ナフテン系オイル等のオイル類等が挙げられる。可塑剤の含有量は、重合体(A)の全量に対して、好ましくは0~20質量%であり、より好ましくは0~10質量%であり、更に好ましくは0~5質量%である。
本粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を介して、被着体としての繊維生地どうしを貼り合わせることにより、繊維生地と繊維生地との間に粘着剤層が配置された衣料用繊維製品を得ることができる。当該衣料用繊維製品は、本粘着剤組成物を用いて繊維生地どうしが接着されていることから、接合部において繊維生地の柔軟性及び風合いがそのまま保持されており、しかも接合部の剥離強度が高い。
ゲル浸透クロマトグラフ装置(型式名「HLC-8320」、東ソー社製)を用いて、下記の条件よりポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を得た。また、得られた値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
○測定条件
カラム:東ソー社製TSKgel SuperMultiporeHZ-M×4本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI
流速:600μL/min
重合体のモノマー組成比(モル%)は、仕込み量とガスクロマトグラフ(GC)測定によるモノマー消費量とから計算した。GC測定は以下の条件にて実施した。
GC:Agilent Technolosies製(7820A GC System)、検出器:FID、カラム:100%ジメチルシロキサン(CP-Sil 5CB) カラム長さ30m、カラム内径0.32mm、算出方法:内部標準法
重合体のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計を用いて得られた熱流束曲線のベースラインと、変曲点での接線との交点から決定した。熱流束曲線は、試料約10mgを-50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで300℃まで昇温し、引き続き-50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで350℃まで昇温する条件で得た。
測定機器:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220
測定雰囲気:窒素雰囲気下
なお、重合体ブロックA及び重合体ブロックBのガラス転移点は、各重合体ブロックの単独重合体を製造し、得られた単独重合体につき、上記の測定方法に従い示差走査熱量(DSC)測定を行うことにより求めた。
[合成例1]実施例1~3及び比較例1に用いた重合体A-1
内容積3リットルの4つ口フラスコに、アクリル酸2-メトキシエチル(以下、「MEA」ともいう)(421質量部)、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(以下、「HEA」ともいう)(21質量部)、アクリル酸n-ブチル(以下、「BA」ともいう)(78質量部)、及び酢酸エチル(770質量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を75℃に上昇し、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、V-65)(0.35質量部)を仕込み、重合を開始した。5時間後、固形分が30質量%になるように酢酸エチルを追加して、重合体A-1の酢酸エチル溶液である粘着剤溶液を得た。得られた重合体A-1は、Mn92,000、Mw/Mn8.72、Tg=-35℃であった。
内容積3リットルの4つ口フラスコに、HEA(24質量部)、BA(506質量部)、及び酢酸エチル(974質量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を75℃に上昇し、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製、V-65)(0.25質量部)を仕込み、重合を開始した。5時間後、固形分が30質量%になるように酢酸エチルを追加して、重合体A-2の酢酸エチル溶液である粘着剤溶液を得た。得られた重合体A-2は、Mn87,000、Mw/Mn5.38、Tg=-41℃であった。
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに、RAFT剤としてジベンジルトリチオカーボネート(以下、「DBTTC」ともいう)(3.18質量部)、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(以下、「ABN-E」ともいう)(0.51質量部)、単量体としてスチレン(以下、「St」ともいう)(75質量部)、及びN-フェニルマレイミド(以下、「PhMI」ともいう)(125質量部)、溶媒としてアセトニトリル(466質量部)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、室温まで冷却して反応を停止した。上記重合溶液をメタノールから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体ブロックAを得た。得られた重合体ブロックAは、Mn10,900、Tg=206℃であった。次に、攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに、得られた重合体ブロックA(21.1質量部)、重合開始剤としてABN-E(0.08質量部)、単量体としてMEA(234質量部)、BA(51質量部)、及びHEA(15質量部)、溶媒としてアセトニトリル(107質量部)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、室温まで冷却し、アセトニトリルを追加することで固形分濃度が30質量%になるように調整し、重合体ブロックAと重合体ブロックBとを有するA-B-Aトリブロック共重合体である重合体A-3を含む粘着剤溶液を得た。得られた重合体A-3は、Mn160,000、Mw/Mn1.77であった。重合体ブロックBのガラス転移点は-35℃であった。
攪拌機、温度計を装着した2Lフラスコに、RAFT剤としてDBTTC(1.9質量部)、重合開始剤としてABN-E(0.25質量部)、単量体としてSt(56質量部)、及びPhMI(94質量部)、溶媒としてアセトニトリル(337質量部)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。3時間後、室温まで冷却して反応を停止した。得られた重合体ブロックAは、Mn15,100、Tg=212℃であった。次に、重合体ブロックAが入った2Lフラスコに、単量体としてMEA(303質量部)、BA(66質量部)、及びHEA(19質量部)、溶媒としてアセトニトリル(188質量部)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。6時間後、室温まで冷却し、アセトニトリルを追加することで固形分濃度が30質量%になるように調整し、重合体ブロックAと重合体ブロックBとを有するA-B-Aトリブロック共重合体である重合体A-5を含む粘着剤溶液を得た。得られた重合体A-5は、Mn48,000、Mw/Mn1.35であった。重合体ブロックBのガラス転移点は-35℃であった。
[合成例5]実施例2及び比較例1に用いた重合体B-1
内容積1リットルの4つ口フラスコに、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」ともいう)(19質量部)、St(11質量部)、酢酸ブチル(224質量部)、及びV?601(8.7質量部)からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に昇温した。別途、MMA(108質量部)、St(93質量部)、V?601(78質量部)、及び酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4200質量部)及び蒸留水(1800質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体B-1を得た。得られた重合体B-1は、Mn1,910、Mw/Mn1.47、Tg=44℃であった。
[実施例1]
上記合成例1で得られた重合体A-1の酢酸エチル溶液(固形分濃度30質量%)を厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製セパレーター上に、乾燥後の粘着剤層の厚みが100μmとなるように塗布した。粘着剤組成物を100℃で6分間乾燥することにより酢酸エチルを除去した。乾燥後、上記セパレーターとは剥離力の異なる厚さ38μmのPET製セパレーターを貼り合わせて、両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。得られた粘着フィルム試料を用いて、以下に示す方法により各種評価を行った。評価結果を表2に示した。
1.0cm幅にカットした粘着フィルム試料の片側のセパレーターを剥がし、粘着剤層の表面をポリエステル生地と接触させた。ポリエステル生地と粘着剤層とが接触された状態でその表面に2kgローラーを3往復させた。その後、もう一方のセパレーターを剥がそうとした際に、粘着剤層がセパレーターと剥がれてポリエステル生地側に残れば「○」とし、部分的に生地に残れば「△」とし、粘着剤層が生地から完全に剥がれてセパレーター側に付いてきた場合を「×」として、仮圧着性を評価した。
<剥離強度測定>
1.0cm幅にカットした粘着フィルム試料により、ポリエステル生地どうしを貼り合わせ、ポリエステル生地/粘着フィルム/ポリエステル生地の構成の積層体を得た。得られた積層体を熱プレス処理(条件:130℃、3kg/cm2、10秒間)により圧着した。圧着後の積層体を試験片とし、引張り試験機INSTRON 5566A(インストロンジャパン社製)を用いて、測定温度23℃、試験片幅10mm、剥離速度300mm/分の条件でT型剥離強度を測定し、接着強度とした。
粘着フィルム試料の粘着剤層を積層して、粘着剤層が800μm厚の試験片を作製した。この試験片を直径1cmの円状に打ち抜き、粘弾性測定装置Physica MCR301(AntonPaar社製)を用いて、-50℃から150℃まで2℃/minで昇温しながら、ひずみ0.1%、周波数1Hzで動的粘弾性を測定し、23℃における貯蔵弾性率G’を読み取った。なお、測定には直径8mmのパラレルプレートを用いた。
<接着部の風合い>
熱プレス処理により貼り合わせた試験片の接着箇所の曲げ硬さ及び伸縮性を手触りで確認し、以下の基準により評価した。
○:柔らかく伸縮性あり。
△:少し硬さを感じ、伸縮時にやや抵抗を感じる。
×:硬さを感じ、あまり伸縮性がない。
剥離強度測定と同様の手順で作製した試験片を卓上洗濯機(ALUMiSALUMiS製、AHB-02)で水洗いを6分間行い、次いで浸水状態で1時間静置し、その後脱水を1分間行った。脱水後、温度23℃、湿度50%の環境下で24時間静置して乾燥させた後に上記の剥離強度測定と同様にして剥離強度を測定した。洗濯処理後に測定した剥離強度が洗濯処理前の剥離強度に比べて50%以上の強度を保持していた場合は「○」、50%未満であった場合は「△」、洗濯処理工程で剥がれた場合は「×」として評価した。
上記合成例1で得られた重合体A-1の酢酸エチル溶液(固形分濃度30質量%)100質量部に、架橋剤としてタケネートD-110N(固形分濃度75質量%、三井化学社製)を0.08質量部(固形分換算で、重合体A-1の100質量部に対し、架橋剤0.2質量部)混合し、粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。その後、40℃で5日間養生することで架橋反応を促進した。得られた粘着フィルム試料を用いて実施例1と同様に各種評価を行った。評価結果を表2に示した。
[実施例3]
上記合成例1で得られた重合体A-1の酢酸エチル溶液を、重合体A-1が固形分で100質量部となる量、及び上記合成例5で得られた重合体B-1を4質量部取り、酢酸エチルを追加して固形分濃度が30質量%の粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。また、得られた粘着フィルム試料を用いて実施例1と同様に各種評価を行った。評価結果を表2に示した。
実施例4では合成例2で得られた重合体A-2の粘着剤溶液を用い、実施例5では合成例3で得られた重合体A-3の粘着剤溶液を用いた以外は実施例1と同様にして両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。また、得られた粘着フィルム試料を用いて実施例1と同様に各種評価を行った。評価結果を表2に示した。
[実施例6]
ポリエステル系接着剤(東亞合成社製 「PES310S30」、固形分濃度30質量%であるトルエンとメチルエチルケトン(MEK)との混合溶液)を用いて、実施例1と同様にして両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。また、得られた粘着フィルム試料を用いて実施例1と同様に各種評価を行った。評価結果を表2に示した。
重合体B-1の配合量を10質量部に変更した点以外は実施例3と同様にして固形分濃度が30質量%の粘着剤組成物を調製した。また、調製した粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして両面セパレーター付き粘着フィルム試料を製造し、実施例1と同様に各種評価を行った。評価結果を表2に示した。
[比較例2]
合成例4で得られた重合体A-5の粘着剤溶液を用いて実施例1と同様にして両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。また、得られた粘着フィルム試料を用いて実施例1と同様に各種評価を行った。評価結果を表2に示した。
[比較例3]
エマルジョン粘着剤(東亞合成社製 アロンタック「HV-C5166」、固形分濃度55質量%)を用いて実施例1と同様にして両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。また、得られた粘着フィルム試料を用いて実施例1と同様に各種評価を行った。評価結果を表2に示した。
[比較例4]
市販のウレタン系ホットメルト接着剤のフィルム(膜厚50μm)を2枚重ねて熱プレス処理(条件:130℃、0.5kg/cm2、10秒間)することで、粘着剤層が100μmの両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。また、得られた粘着フィルム試料を用いて実施例1と同様に各種評価を行った。評価結果を表2に示した。
A-4:ポリエステル系接着剤「PES310S30」(東亞合成社製)
A-6:エマルジョン粘着剤「アロンタックHV-C5166」(東亞合成社製)
A-7:市販ウレタン系ホットメルト接着剤
D-110N:タケネートD-110N(三井化学社製)
なお、表2中、重合体及び架橋剤は、固形分換算での配合量(質量部)を表す。
Claims (3)
- 重合体成分が有機溶剤に溶解された溶液型であるか又は固形状若しくは半固形状であり、衣料用の繊維生地を接合するための粘着剤組成物であって、
数平均分子量が30,000以上である(メタ)アクリル系重合体(A)を含有し、かつ前記粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層の23℃での貯蔵弾性率が1.0MPa以下であり、
数平均分子量が10,000以下であるビニル系重合体(B)の含有量が、前記(メタ)アクリル系重合体(A)の100質量部に対して5質量部以下であり、
前記(メタ)アクリル系重合体(A)は、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル化合物に由来する構造単位を、前記(メタ)アクリル系重合体(A)が有する全構成単量体単位に対して1モル%以上20モル%以下有し、かつ(メタ)アクリル酸アルキル化合物に由来する構造単位を、前記(メタ)アクリル系重合体(A)が有する全構成単量体単位に対して50モル%以上有する、衣料用粘着剤組成物。 - 支持体と、請求項1に記載の衣料用粘着剤組成物を用いて前記支持体上に形成された粘着剤層と、を備える、粘着性製品。
- 請求項1に記載の衣料用粘着剤組成物を用いて繊維生地と繊維生地とが接合された衣料用繊維製品。
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