JP2017206677A - アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層と繊維層とを有する積層体 - Google Patents

アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層と繊維層とを有する積層体 Download PDF

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直 奥村
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加那予 中田
小野 友裕
Tomohiro Ono
友裕 小野
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Abstract

【課題】接着層と繊維層との間の層間接着強度が高く、しかも繊維層の風合いが損なわれない積層体を提供すること。【解決手段】アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層と繊維層とを有する積層体。当該アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(A)と、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(B)とを有することが好ましく、また当該繊維層は、綿織物、布織物、フィラメント織物、編み物、メッシュ及び不織布から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層と繊維層とを有する積層体に関する。
従来、織物や不織布などの繊維等の材質・形態の物品間をホットメルト型接着フィルムで接合できることが知られている。これらの場合に用いるホットメルト型接着フィルムとしては、例えばエチレン−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ジエン系ブロック共重合体、変性ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等が知られている(特許文献1〜3などを参照)。
特開2002−161249号公報 特開平8−20096号公報 特開平8―41317号公報 特開平6−93060号公報 特表平5−507737号公報 特開平11−335432号公報
Macromolecualr Chemistry and Physics、2000年、201巻、p.1108〜1114
しかしながら、これら従来のホットメルト型接着フィルムは溶融接着する際に樹脂が布の編目や発泡シート等の空隙等に多量に含浸して布地や発泡シートが硬くなり、生地・素材の風合いを損なうという問題点があった。また、ウレタン系フィルムは100%伸張時の残留歪が大きく、更にブロッキングを起こしやすい等の問題もあった。
本発明の目的は、接着層と繊維層との間の層間接着強度が高く、しかも繊維層の風合いが損なわれない積層体を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層と繊維層とを有する積層体によれば、加熱接着した際に高い層間接着強度が得られ、しかも繊維層の風合いを損なわないことを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
本発明によれば、上記目的は、
[1]アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層と繊維層とを有する積層体;
[2]前記アクリル系ブロック共重合体が、メタクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(A)と、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(B)とを有する、上記[1]の積層体;
[3]前記アクリル酸エステル単位が、一般式CH=CH−COOR(1)(式中、Rは炭素数1〜3の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステル(1)及び一般式CH=CH−COOR(2)(式中、Rは炭素数4〜12の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステル(2)から選ばれる少なくとも1種からなる、上記[2]の積層体;
[4]前記アクリル酸エステル単位が、前記アクリル酸エステル(1)及び前記アクリル酸エステル(2)からなり、前記アクリル酸エステル(1)及び前記アクリル酸エステル(2)の質量比(1)/(2)が90/10〜10/90である、上記[3]の積層体;
[5]前記アクリル系ブロック共重合体における重合体ブロック(B)の含有量が5〜95質量%である、上記[2]〜[4]のいずれかの積層体;
[6]前記アクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が30,000〜300,000である、上記[1]〜[5]のいずれかの積層体;
[7]前記繊維層が、綿織物、布織物、フィラメント織物、編み物、メッシュ及び不織布から選ばれる少なくとも1種からなる、上記[1]〜[6]のいずれかの積層体;
により達成される。
本発明によれば、接着層と繊維層との間の層間接着強度が高く、しかも繊維層の風合いを損なわない積層体が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書では、「メタアクリル」と「アクリル」を総称して「(メタ)アクリル」と記載することがある。
〔アクリル系ブロック共重合体〕
本発明において使用されるアクリル系ブロック共重合体の種類に特に制限はないが、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、メタクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(A)と、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(B)とを有するものが好ましい。
上記重合体ブロック(A)の構成単位となることのできるメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等の官能基を有さないメタクリル酸エステル;メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等の官能基を有するメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、得られる接着層の耐熱性、耐久性を向上させる観点から、官能基を有さないメタクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニルがより好ましく、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との相分離がより明瞭となり、接着層の凝集力が高くなる点からメタクリル酸メチルがさらに好ましい。重合体ブロック(A)は、これらのメタクリル酸エステルの1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。また、上記アクリル系ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)を2つ以上有することが耐久性を高める観点から好ましい。その場合、それらの重合体ブロック(A)は、同一であっても異なっていてもよい。
重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、1,000〜50,000の範囲にあることが好ましく、4,000〜20,000の範囲にあることがより好ましい。重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)がこの範囲より小さい場合には、得られるアクリル系ブロック共重合体の凝集力が不足する場合がある。また、重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)がこの範囲より大きい場合には、得られるアクリル系ブロック共重合体の溶融粘度が高くなり、アクリル系ブロック共重合体の生産性や共押出成形加工性に劣る場合がある。なお本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
重合体ブロック(A)中に含まれるメタクリル酸エステル単位の割合は、重合体ブロック(A)中60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
上記重合体ブロック(A)のガラス転移温度(Tg)は80〜140℃であることが好ましく、100〜140℃であることがより好ましく、120〜140℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度がこの範囲にあると、アクリル系ブロック共重合体を接着層に用いる際、この重合体ブロック(A)は物理的な疑似架橋点として作用し、凝集力が発現することになり、接着特性に優れる。なお、ガラス転移温度は、DSC測定で得られた曲線の外挿開始温度である。
重合体ブロック(B)を構成するアクリル酸エステル単位は、一般式CH=CH−COOR(1)(式中、Rは炭素数1〜3の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステル(1)及び一般式CH=CH−COOR(2)(式中、Rは炭素数4〜12の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステル(2)から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
アクリル酸エステル(1)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−プロピル等の官能基を有さないアクリル酸エステル:アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸グリシジル等の官能基を有するアクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、得られる接着層の初期タックを小さくする観点から、官能基を有さないアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルがより好ましく、アクリル酸メチルがさらに好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル酸エステル(2)としては、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等の官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の官能基を有するアクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との相分離がより明瞭となり、得られる接着層の凝集力が高まる点から、官能基を有さないアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル又はアクリル酸2−エチルヘキシル及びこれらを混合するものがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、重合体ブロック(B)を構成するアクリル酸エステル単位は、比較的低温(60〜140℃)での接着が可能であり適度な接着性を有する観点から、前記アクリル酸エステル(1)及び前記アクリル酸エステル(2)からなるものが好ましい。前記アクリル酸エステル(1)及び前記アクリル酸エステル(2)の質量比(1)/(2)は、90/10〜10/90が好ましく、80/20〜25/75がより好ましく、80/20〜37/63がより好ましく、70/30〜42/58が特に好ましい。
重合体ブロック(B)を構成するアクリル酸エステル単位が前記アクリル酸エステル(1)及び前記アクリル酸エステル(2)からなる場合、重合体ブロック(B)中のアクリル酸エステル(1)の占める割合の上限は90質量%であることが好ましく、80質量%であることがより好ましく、70質量%であることがさらに好ましい。また、上記重合体ブロック(B)中のアクリル酸エステル(1)の占める割合の下限は25質量%であることが好ましく、37質量%であることがより好ましく、42質量%であることがさらに好ましい。
上記重合体ブロック(B)に用いるアクリル酸エステル(1)及びアクリル酸エステル(2)の組み合わせとしては、例えば、アクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル/アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エチル/アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル/アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エチル/アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。また、上記アクリル系ブロック共重合体に、重合体ブロック(B)が2つ以上含まれる場合には、それらの重合体ブロック(B)を構成するアクリル酸エステル単位の組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。
上記重合体ブロック(B)は、アクリル酸エステル(1)及びアクリル酸エステル(2)のランダム共重合体からなるものでもよいし、ブロック共重合体やグラフト共重合体からなるものでもよいし、さらにテーパー状ブロック共重合体(グラジェント共重合体)からなるものでもよい。上記アクリル系ブロック共重合体に、重合体ブロック(B)が2つ以上含まれる場合には、それらの重合体ブロック(B)の構造は、同一であっても異なっていてもよい。
重合体ブロック(B)を構成するアクリル酸エステル単位が前記アクリル酸エステル(1)及び前記アクリル酸エステル(2)から選ばれる少なくとも1種からなる場合重合体ブロック(B)中に含まれるアクリル酸エステル(1)及び(2)の合計単位の割合は、重合体ブロック(B)中60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
上記重合体ブロック(B)のガラス転移温度(Tg)は−30〜30℃であることが好ましく、−10〜30℃であることがより好ましく、0〜30℃であることがさらに好ましく、10〜30℃であることが最も好ましい。ガラス転移温度がこの範囲にあると、アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層が適切なタック及び接着力を有することができる。
上記重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で、互いの成分が含有されていてもよい。また、必要に応じて他の単量体を含有してもよい。かかる他の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の官能基を有するビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン、オクテン等のオレフィン系単量体;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系単量体などが挙げられる。これらの単量体を用いる場合は、各重合体ブロックに使用する単量体の全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下の量で使用される。
本発明に用いる上記アクリル系ブロック共重合体は、上記重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)の他に、必要に応じて他の重合体ブロックを有していてもよい。かかる他の重合体ブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、オクテン、酢酸ビニル、無水マレイン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどからなる重合体ブロック又は共重合体ブロック;ポリエチレンテレフタラート、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサンからなる重合体ブロックなどが挙げられる。また、上記重合体ブロックには、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物を含む重合体ブロックの水素添加物も含まれる。
上記アクリル系ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)を「A」;重合体ブロック(B)を「B」;としたときに、一般式:
(A−B)
(A−B)−A
B−(A−B)
(A−B)−Z
(B−A)−Z
(式中、nは1〜30の整数、Zはカップリング部位(カップリング剤がポリマー末端と反応して化学結合を形成した後のカップリング部位)を表す)で表されるものであることが好ましい。また上記nの値は、1〜15であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましい。上記の構造の中でも、(A−B)、(A−B)−A、B−(A−B)で表される直鎖状のブロック共重合体が好ましい。
上記アクリル系ブロック共重合体の全体の重量平均分子量(Mw)は、30,000〜300,000であることが好ましい。中でも、押出成形法、射出成形法、ホットメルト塗工法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダーラミネート法、押出ラミネート法、プレスシート法などにより本発明の接着層を熱溶融して成形する場合には、表面平滑性などの成形性の点から、上記Mwは30,000〜200,000が好ましく、35,000〜180,000がより好ましく、40,000〜150,000がさらに好ましい。
上記アクリル系ブロック共重合体の全体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.0〜1.5であることが好ましい。本発明の積層体の接着層の凝集力が高い点や可塑剤に対する耐性が高い点から、1.0〜1.4であることがより好ましく、1.0〜1.3であることがさらに好ましい。アクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により標準ポリスチレンを用いて求めることができ、具体的には実施例において後述する方法により測定することができる。
上記アクリル系ブロック共重合体中の重合体ブロック(A)の含有量は5〜95質量%であることが好ましい。また、上記アクリル系ブロック共重合体中の重合体ブロック(B)の含有量は95〜5質量%であることが好ましい。本発明の積層体の接着層が優れた柔軟性を有する観点から、重合体ブロック(A)の含有量は15〜60質量%であることがより好ましく、18〜60質量%であることがさらに好ましく、22〜50質量%であることが特に好ましく、22〜40質量%であることが最も好ましい。同様の観点から、重合体ブロック(B)の含有量は、85〜40質量%であることがより好ましく、82〜40質量%であることがさらに好ましく、78〜50質量%であることが特に好ましく、78〜60質量%であることが最も好ましい。
上記アクリル系ブロック共重合体の製造方法は、化学構造に関する本発明の条件を満足する重合体が得られる限りにおいて特に限定されず、公知の手法に準じた方法を採用できる。一般に、分子量分布の狭いブロック共重合体を得る方法としては、構成単位となる単量体をリビング重合する方法が採用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩などの鉱産塩の存在下でリビングアニオン重合する方法(特許文献4および5参照)、有機アルミニウム化合物の存在下で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法(特許文献6参照)、原子移動ラジカル重合法(ATPR)(非特許文献1参照)などが挙げられる。
上記製造方法のうち、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてリビングアニオン重合する方法は、得られるアクリル系ブロック共重合体の透明性が高いものとなり、残存単量体が少なく臭気が抑えられ、接着層として用いる際、貼り合わせ後の気泡の発生を抑制できるため好ましい。また、重合体ブロック(A)の分子構造が高シンジオタクチックとなり、接着層の耐熱性を高める効果がある点からも好ましい。
有機アルミニウム化合物としては、例えば下記一般式(Z)
AlR (Z)
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基又はN,N−二置換アミノ基を表すか、或いはRが上記したいずれかの基であり、R及びRが一緒になって置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基を形成している。)
で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
一般式(Z)で表される有機アルミニウム化合物としては、重合のリビング性の高さや取り扱いの容易さなどの点から、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソビチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)]アルミニウムなどが好ましく挙げられる。
上記有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、テトラメチレンジリチウム等のアルキルリチウム及びアルキルジリチウム;フェニルリチウム、p−トリルリチウム、リチウムナフタレン等のアリールリチウム及びアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応によって生成するジリチウム等のアラルキルリチウム及びアラルキルジリチウム;リチウムアルコキシドなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、重合開始効率が高いことから、アルキルリチウムが好ましく、tert−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムがより好ましく、sec−ブチルリチウムがさらに好ましい。
また、上記リビングアニオン重合は、通常、重合反応に不活性な溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテルなどが挙げられる。
アクリル系ブロック共重合体は、例えば、単量体を重合して得た所望のリビングポリマー末端に、所望の重合ブロック(重合ブロック(A)、重合ブロック(B)など)を形成する工程を所望の回数繰り返した後、重合反応を停止させることにより製造できる。具体的には、例えば有機アルミニウム化合物の存在下、有機アルカリ金属化合物からなる重合開始剤により、第1の重合体ブロックを形成する単量体を重合する第1工程、第2の重合体ブロックを形成する単量体を重合する第2工程、および、必要に応じて第3の重合体ブロックを形成する単量体を重合する第3工程を含む複数段階の重合工程を経て、得られた重合体の活性末端をアルコールなどと反応させ、重合反応を停止させることにより、アクリル系ブロック共重合体を製造できる。上記のような方法によれば、重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)からなる2元ブロック(ジブロック)共重合体や、重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)−重合体ブロック(A)からなる3元ブロック(トリブロック)共重合体、重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)−重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)からなる4元ブロック共重合体などを製造できる。
リビングアニオン重合を行う際の重合温度としては、重合体ブロック(A)を形成する際は0〜100℃、重合体ブロック(B)を形成する際は−50〜50℃が好ましい。上記範囲より重合温度が低いと、反応の進行が遅くなる傾向がなる。一方、上記範囲より重合温度が高いと、リビングポリマー末端の失活が増え、分子量分布が広くなったり、所望のブロック共重合体が得られなくなったりする場合がある。また、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)はそれぞれ1秒〜20時間の範囲で重合できる。
〔接着層〕
上記アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層は、上記アクリル系ブロック共重合体を1種のみ含有するものであってもよく、2種以上含有するものであってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で上記アクリル系ブロック共重合体以外に、他の重合体、粘着付与樹脂、軟化剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、染色剤、屈折率調整剤などの添加剤を1種または2種以上含有していてもよい。
上記他の重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリノルボルネン等のオレフィン系樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂等のスチレン系樹脂;スチレン−メタクリル酸メチル共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマー等のポリアミド;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ポリアセタール;ポリフッ化ビニリデン;ポリウレタン;変性ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンスルフィド;シリコーンゴム変性樹脂;アクリル系ゴム;シリコーン系ゴム;SEPS、SEBS、SIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、EPDM等のオレフィン系ゴムなどが挙げられる。
上記粘着付与樹脂としては、タック、接着力および保持力の調節が容易となる観点から、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等のロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン;これらロジン、変性ロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステル等のロジン系樹脂;α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン等を主体とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂;(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C9系)石油樹脂、(水添)共重合系(C5/C9系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂等の(水添)石油樹脂;ポリα−メチルスチレン、α−メチルスチレン/スチレン共重合体、スチレン系単量体/脂肪族系単量体共重合体、スチレン系単量体/α−メチルスチレン/脂肪族系単量体共重合体、スチレン系単量体共重合体、スチレン系単量体/芳香族系単量体共重合体等のスチレン系樹脂;クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等の合成樹脂などが挙げられる。上記粘着付与樹脂の中でも、高い接着力を発現する点で、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、(水添)石油樹脂およびスチレン系樹脂が好ましく、中でも接着性を高める観点からロジン類が好ましく、耐光劣化や着色、不純物による気泡の発生を抑える観点から、蒸留、再結晶、抽出等の操作により精製処理された不均化または水素化ロジン類がさらに好ましい。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記粘着付与樹脂の軟化点については、高い接着力を発現する点から、50〜150℃のものが好ましい。
また、接着層に粘着付与樹脂を含有させる場合、その含有量としては、接着力と耐久性の観点から、上記アクリル系ブロック共重合体100質量部に対し、1〜100質量部であることが好ましく、3〜70質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることがさらに好ましく、5〜40質量部であることが特に好ましく、5〜35質量部であることが最も好ましい。
ロジン系樹脂としては、パインクリスタルKE−100、パインクリスタルKE−311、パインクリスタルKE−359、パインクリスタルKE−604、パインクリスタルD−6250(いずれも荒川化学工業株式会社製)などの市販品を使用できる。テルペン系樹脂としては、タマノル901(荒川化学工業株式会社製)などの市販品を使用できる。スチレン系樹脂としては、FTR6000シリーズ、FTR7000シリーズ(三井化学株式会社製)などの市販品を使用できる。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ビス−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル、ビス−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート等のアジピン酸エステル、ビス−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−n−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル、ビス−2−エチルヘキシルアゼレート等のアゼライン酸エステル等の脂肪酸エステル;塩素化パラフィン等のパラフィン;ポリプロピレングリコール等のグリコール;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ系高分子可塑剤;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系オリゴマー;ポリブテン;ポリイソブチレン;ポリイソプレン;プロセスオイル;ナフテン系オイルなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、または2種以上を併用してもよい。
接着層における上記アクリル系ブロック共重合体の含有量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上がより好ましく、85質量%以上が特に好ましい。また、接着層は上記アクリル系ブロック共重合体のみを含有するものであってもよい。
上記アクリル系ブロック共重合体を2種以上または上記アクリル系ブロック共重合体及びその他の成分を含有する樹脂組成物を製造して接着層に用いる場合、当該樹脂組成物の製造方法は特に制限されず、例えば、各成分を、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の既知の混合又は混練装置を使用して、100〜250℃の範囲内の温度で混合することにより製造できる。また、各成分を有機溶媒に溶解して混合した後、該有機溶媒を留去することによって製造してもよい。
接着層を形成するには、例えば、上記アクリル系ブロック共重合体又は上記アクリル系ブロック共重合体を含む樹脂組成物を加熱溶融し、ホットメルト塗工法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー成形法、ラミネーション法などを用いてシート状やフィルム状などの形状に形成できる。
〔繊維層〕
繊維層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な繊維層を採用し得る。繊維層は、綿織物、布織物、フィラメント織物、編み物、メッシュ及び不織布から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
繊維層を構成する素材としては、天然繊維であってもよいし、合成繊維であってもよいし、天然繊維と合成繊維とからなるものであってもよい。特に制限されるものではないが、天然繊維としては、綿、絹(シルク)、麻及び毛から選択される少なくとも1種が好ましい。また、合成繊維としては、ポリエステル繊維、アクリル繊維(ポリアクリロニトリル)、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維及びビニロン繊維から選択される少なくとも1種であることが好ましい。ポリアミド繊維としては、ナイロン6、ナイロン6,6などが挙げられる。ポリオレフィン繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などが挙げられる。また、レーヨン、セルロース等であってもよい。
〔積層体〕
本発明の積層体は、前記アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層と前記繊維層とを有する限りどのような層構成であってもよいが、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、少なくとも1つの接着層と少なくとも1つの繊維層とが互いに接している層構成が好ましい。ここで互いに接している接着層と繊維層とにおいて、当該接着層を構成する成分の一部が当該繊維層の接着層側の一部に含浸されていてもよい。また本発明の積層体は、繊維層の風合いを損なわない範囲において、上記接着層および繊維層以外のその他の層を有してもよく、例えば、当該その他の層として接着層側に剥離層や繊維層側に印刷層を有してもよい。積層体の層構成としては、例えば2〜5層構成とすることができ、具体的には、例えば接着層/繊維層の2層構成;繊維層/接着層/繊維層、その他の層/接着層/繊維層、接着層/繊維層/その他の層等の3層構成;接着層/繊維層/接着層/繊維層、その他の層/接着層/繊維層/接着層、繊維層/接着層/繊維層/その他の層、その他の層/接着層/繊維層/その他の層等の4層構成;繊維層/接着層/繊維層/接着層/繊維層、その他の層/接着層/繊維層/接着層/繊維層、接着層/繊維層/接着層/繊維層/その他の層、その他の層/接着層/繊維層/接着層/その他の層、その他の層/繊維層/接着層/繊維層/その他の層等の5層構成などが挙げられる。
積層体の接着層の厚みとしては、特に限定されるものではないが、製膜性、接着作業性、接着強度、価格等の面から、1μm〜2mmが好ましく、20μm〜1mmがより好ましい。
本発明の積層体の製造方法としては、特に限定されるものではないが、接着層と繊維層をそれぞれ形成したのちラミネーション法などによりそれらを貼り合わせてもよいし、繊維層上に直接接着層を形成してもよい。
〔用途〕
本発明の積層体は、接着層及び繊維層間で高い層間接着強度が得られ、しかも、繊維層の風合いを損なわないため、自動車内装材、自動車外装材等の塗装代替用途、窓枠、浴室設備、壁紙、床材等の建築用部材、農業用ビニルシート等の農業用部材、自動車塗装ブース養生用フィルム、建築養生シート、防水シート、工業用ホース、ターポリン、表面保護フィルム、粘着シート、粘着テープ等の工業用部材、輸液バッグ、輸液チューブ等の医療用部材、デスクマット、手帳の表装材等の文具用部材、シャワーカーテン等の家具装飾用部材、手袋、靴、バック、傘、空気入り玩具等の日用雑貨用部材等に好適に使用することができる。特に、靴等の日用雑貨用部材への使用が好適である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例、参考例及び比較例の各種物性は以下の方法により測定又は評価した。
(1)アクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記する)により標準ポリスチレン換算の分子量として求めた。
・装置:東ソ−株式会社製GPC装置「HLC−8020」
・分離カラム:東ソ−株式会社製の「TSKgel GMHXL」、「G4000HXL」及び「G5000HXL」を直列に連結
・溶離剤:テトラヒドロフラン
・溶離剤流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
(2)アクリル系ブロック共重合体における各重合体ブロックの含有量
H−NMR測定によって求めた。
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「JNM−ECX400」
・溶媒:重水素化クロロホルム
合成例で得られたアクリル系ブロック共重合体のH−NMRスペクトルにおいて、3.6ppm、3.7ppm及び4.0ppm付近のシグナルは、それぞれ、メタクリル酸メチル単位のエステル基(−O−CH)、アクリル酸メチル単位のエステル基(−O−CH)及びアクリル酸n−ブチル又はアクリル酸2−エチルヘキシル単位のエステル基(−O−CH−CH−CH−CH又はO−CH−CH(−CH−CH)−CH−CH−CH−CH)に帰属され、その積分値の比によって共重合成分の含有量を求めた。
(3)複素粘度
実施例及び比較例で用いた樹脂をトルエンに溶解して30質量%濃度のトルエン溶液を作製し、溶液キャスト法により1mm厚のシートを作製した。これを以下の条件にてねじり振動での動的粘弾性を測定し、50℃での複素粘度を求めた。
・装置:Rhemetric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System」
・平行プレート:直径8mm
・振動モード;ねじり振動
・振動数:6.28rad/秒
・測定温度範囲:−50℃〜250℃
・昇温速度:3℃/分
・歪:0.05%(−50℃〜−37℃)、1.0%(−37℃〜−15℃)、5.0%(−15℃〜250℃)
(4)層間接着力(メッシュ接着力)の評価
実施例及び比較例で得た積層体・シートを幅10mm、長さ143mmの大きさにカットし、得られたサンプルを室温(23℃)にて24時間保管後、ISO29862に準拠して、計測器「5566型」(インストロン社製)を用いて、23℃において50mm/minの速度で90゜の方向に剥離して層間接着力を測定し評価した。
(5)シート風合い評価法(引張応力)
実施例、比較例及び参考例で得た積層体・シートを幅10mm、長さ143mmの大きさにカットし、得られたサンプルを計測器「万能試験機」(インストロン社製)を用いて、つかみ冶具間距離を20mmにしてサンプルを挟み、23℃において500mm/minの速度で180゜の方向に引っ張って測定し、積層体・シートの硬さを評価した。繊維層のみからなる積層体(参考例1)の数値と近いほど、繊維層の風合いを損なうことなく保持できている。
[合成例1]
(1)2Lの三口フラスコの内部を窒素置換した後、室温にてトルエン940g、1,2−ジメトキシエタン46.6gを加え、さらにsec−ブチルリチウム5.37mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液3.15gを加えた。続いて、この混合液にメタクリル酸メチル40.6gを加えた。室温にて60分間攪拌後、メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。次に反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル265gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間攪拌した。このときのアクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。続いて、この反応混合液にメタクリル酸メチル40.6gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノール13.7gを添加して重合反応を停止した。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。白色沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることにより、アクリル系ブロック共重合体330gを得た。
(2)得られたアクリル系ブロック共重合体について、H−NMR測定とGPC測定を行った結果、ポリメタクリル酸メチル−ポリアクリル酸n−ブチル−ポリメタクリル酸メチルからなるトリブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は71,900、数平均分子量(Mn)は67,700であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。また、ポリアクリル酸n−ブチルブロックの含有量は76.5質量%であった。
[合成例2]
(1)2Lの三口フラスコの内部を窒素置換した後、室温にてトルエン940g、1,2−ジメトキシエタン46.6gを加え、さらにsec−ブチルリチウム5.37mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液3.15gを加えた。続いて、この混合液にメタクリル酸メチル40.6gを加えた。室温にて60分間攪拌後、メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。次に反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチルの混合物(質量比75/25)265gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間攪拌した。このときのアクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチルの混合物の重合転化率は99.9%以上であった。続いて、この反応混合液にメタクリル酸メチル40.6gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノール13.7gを添加して重合反応を停止した。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。白色沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることにより、アクリル系ブロック共重合体330gを得た。
(2)得られたアクリル系ブロック共重合体について、H−NMR測定とGPC測定を行った結果、ポリメタクリル酸メチル−ポリ(アクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル)−ポリメタクリル酸メチルからなるトリブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は71,900、数平均分子量(Mn)は67,700であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。また、ポリ(アクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル)共重合体ブロックの含有量は76.5質量%であった。
[実施例1]
前記合成例1で合成したアクリル系ブロック共重合体を200℃にて熱プレス成形し、200mm×200mm×厚み1mmのプレスシートを作製した。得られたプレスシートを繊維基材(クラレクラフレックス社製カウンタークロス)で挟みこんで120℃で圧着して三層構造の積層体を得た。得られた積層体について、前記方法によって積層体の硬さ(引張応力)、複素粘度、メッシュ接着力を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
前記合成例2で合成したアクリル系ブロック共重合体を200℃にて熱プレス成形し、200mm×200mm×厚み1mmのプレスシートを作製した。得られたプレスシートを繊維基材(クラレクラフレックス社製カウンタークロス)で挟みこんで120℃で圧着して三層構造の積層体を得た。得られた積層体について、前記方法によって積層体の硬さ(引張応力)、複素粘度、メッシュ接着力を評価した。結果を表1に示す。
[参考例1]
繊維基材(クラレクラフレックス社製カウンタークロス)を2枚重ね合わせた積層体について、前記方法によって積層体の硬さ(引張応力)を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
エーテル系熱可塑性ポリウレタン樹脂(Pandex社製T1195)を200℃にて熱プレス成形し、200mm×200mm×厚み1mmのプレスシートを作製した。得られたプレスシートを繊維基材(クラレクラフレックス社製カウンタークロス)で挟みこんで120℃で圧着して三層構造の積層体を得た。得られた積層体について、前記方法によって積層体の硬さ(引張応力)、複素粘度、メッシュ接着力を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
エステル系熱可塑性ポリウレタン樹脂(BASF社製TPU:NY82A10)を200℃にて熱プレス成形し、200mm×200mm×厚み1mmのプレスシートを作製した。得られたプレスシートを繊維基材(クラレクラフレックス社製カウンタークロス)で挟みこんで120℃で圧着して三層構造の積層体を得た。得られた積層体について、前記方法によって積層体の硬さ(引張応力)、複素粘度、メッシュ接着力を評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
EVA系熱可塑性ポリウレタン樹脂(ヘンケル社製ホットメルトスティック)を200℃にて熱プレス成形し、200mm×200mm×厚み1mmのプレスシートを作製した。得られたプレスシートを繊維基材(クラレクラフレックス社製カウンタークロス)で挟みこんで120℃で圧着して三層構造の積層体を得た。得られた積層体について、前記方法によって積層体の硬さ(引張応力)、複素粘度、メッシュ接着力を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2017206677
表1の結果から、実施例1の積層体は引張応力の値が参考例1(基材のみ)と同程度であり、実施例2も参考例1に近い数値を示しており、繊維層の風合いを保持している。また、複素粘度が小さいことから接着層の柔軟性に優れ、メッシュ接着力にも優れていることがわかる。一方、比較例1は複素粘度が小さく接着層の柔軟性には優れるものの、破断時の引張応力の値が高いため繊維層の風合いを損なっており、メッシュ接着力にも劣る。比較例2はメッシュ接着力が低く、更に接着層の柔軟性に劣り、引張応力の値が高いため繊維層の風合いを損なう点で劣っている。また、比較例3はメッシュ接着力は高いが、接着層の柔軟性に劣り、引張応力の値が高いため繊維層の風合いを損なう点で劣っている。

Claims (7)

  1. アクリル系ブロック共重合体を含有する接着層と繊維層とを有する積層体。
  2. 前記アクリル系ブロック共重合体が、メタクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(A)と、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(B)とを有する、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記アクリル酸エステル単位が、一般式CH=CH−COOR(1)(式中、Rは炭素数1〜3の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステル(1)及び一般式CH=CH−COOR(2)(式中、Rは炭素数4〜12の有機基を表す)で示されるアクリル酸エステル(2)から選ばれる少なくとも1種からなる、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記アクリル酸エステル単位が、前記アクリル酸エステル(1)及び前記アクリル酸エステル(2)からなり、前記アクリル酸エステル(1)及び前記アクリル酸エステル(2)の質量比(1)/(2)が90/10〜10/90である、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記アクリル系ブロック共重合体における重合体ブロック(B)の含有量が5〜95質量%である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記アクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が30,000〜300,000である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記繊維層が、綿織物、布織物、フィラメント織物、編み物、メッシュ及び不織布から選ばれる少なくとも1種からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
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