JP7287270B2 - 研磨部材固定用粘着剤、および粘着シート - Google Patents
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Description
この様に、研磨部材固定用粘着剤には多種の性能が求められている。
また、特許文献2にはアクリル酸モノマーの総量100重量部に対する水酸基含有モノマーの含有量が0.1重量部以上、0.3重量部以下であるアクリル共重合体を含み、ゲル分率が53重量%以上である粘着剤が開示されている。
しかしこれら従来の研磨部材固定用粘着剤では、上記の要求、特に酸化性スラリー耐性を満たすことはできていないのが現状である。
即ち、本発明に係る研磨部材固定用粘着剤は、アクリル系ポリマー、硬化剤、および粘着付与樹脂を含む研磨部材固定用粘着剤であって、前記アクリル系ポリマーは、下記モノマー(a-1)~(a-4)を含むモノマー混合物の共重合体であり、かつ前記モノマー混合物100質量%中にモノマー(a-1)を63~90質量%、モノマー(a-2)を3~30質量%、モノマー(a-3)を2~6質量%、およびモノマー(a-4)を0.3~1質量%含み、前記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、110万~230万であり、前記硬化剤は、イソシアネート化合物およびエポキシ化合物の少なくともいずれかを含み、前記粘着付与樹脂は、軟化点が125℃以上である。
(a-1)アルキル基の炭素数4である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-2)アルキル基の炭素数1~2である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-3)カルボキシル基を有するモノマー
(a-4)水酸基を有するモノマー
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
本発明において、研磨部材固定用粘着剤(単に「粘着剤」と略記することがある)とは、研磨部材に粘着シートを貼り合わせ一体化された、研磨部材積層体を研磨機の定盤に貼り合わせるために用いる粘着シートを形成することが出来る粘着剤のことである。
研磨部材とは、研磨パッドまたはバックパッド等である。
本発明の研磨部材固定用粘着剤は、下記アクリル系ポリマーと、イソシアネート化合物およびエポキシ化合物の少なくともいずれかを含む硬化剤と、軟化点が125℃以上の粘着付与樹脂を含む。
アクリル系ポリマーは、モノマー(a-1)~(a-4)を含むモノマー混合物の共重合体であり、かつ前記モノマー混合物100質量%中にモノマー(a-1)を63~90質量%、モノマー(a-2)を3~30質量%、モノマー(a-3)を2~6質量%、およびモノマー(a-4)を0.3~1質量%含み、前記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、110万~230万である。
このような研磨部材固定用粘着剤であることにより、研磨部材を研磨装置へ固定する場合に、研磨部材および研磨装置に対する粘着力が良好で、耐熱性のみならず薬液耐性が優れた研磨積層部材を形成することができる。
(a-1)アルキル基の炭素数4である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-2)アルキル基の炭素数1~2である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-3)カルボキシル基を有するモノマー
(a-4)水酸基を有するモノマー
粘着剤の周波数1Hz、80℃での貯蔵弾性率(X1)は、3E+4~2E+5Paであることが好ましく、5E+4~1.5E+5Paであることがより好ましい。粘着剤の80℃での貯蔵弾性率が、3E+4Pa~2E+5MPaであると、基材や研磨部材との密着性を向上させつつ薬液耐性や耐熱保持力を向上させることができる。また80℃での貯蔵弾性率が3E+4Pa未満であると、研磨部材への密着性は問題ないが、薬液耐性が低下する場合があり、2E+5Paより大きくなると薬液耐性は問題ないが、流動性が低くなるため研磨部材への密着性が不十分となる場合がある。
本発明の粘着剤は、周波数1Hz、80℃での貯蔵弾性率(X1)と200℃での貯蔵弾性率(X2)との比[(X1)/(X2)]が、1~3であることが好ましく、1.1~2.5であることが好ましく、1.1~2であることがより好ましい。粘着剤の貯蔵弾性率比[(X1)/(X2)]が、1~3であると、基材や研磨部材との密着性を向上させつつ薬液耐性や耐熱保持力をより向上させることができる。
好ましくは[(X1)/(X2)]が、1~2.5である。
本明細書におけるアクリル系ポリマーは、モノマー(a-1)~(a-4)を含むモノマー混合物の共重合体であり、かつ前記モノマー混合物100質量%中にモノマー(a-1)を63~90質量%、モノマー(a-2)を3~30質量%、モノマー(a-3)を2~6質量%、およびモノマー(a-4)を0.3~1質量%含み、前記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、110万~230万である。
(a-1)アルキル基の炭素数4である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-2)アルキル基の炭素数1~2である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-3)カルボキシル基を有するモノマー
(a-4)水酸基を有するモノマー
モノマー(a-1)は、アルキル基の炭素数4である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、アクリル系ポリマーに粘着力を付与するために用いられる。
モノマー(a-1)の含有率は、モノマー混合物100質量%中に63~90質量%であり、65~85質量%が好ましく、70~80質量%がより好ましい。63質量%以上とすることで研磨部材への密着性が向上し、特に摩擦熱によって温度上昇したスラリー等の薬品耐熱性が向上する。90質量%以下とすることで研磨部材への粘着剤の耐熱保持力を好適にできる。
これらの中でも、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチルが、研磨部材への密着性が向上し、特に薬品耐熱性評価における密着性の向上に良好である。
モノマー(a-2)は、アルキル基の炭素数1~2である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであり、アクリル系ポリマーに凝集力を付与して粘着剤の貯蔵弾性率を上昇させ、耐熱保持力および薬液耐性を向上させる機能を有する。
モノマー(a-2)の含有率は、モノマー混合物100質量%中に3~30質量%であり、10~26質量%が好ましく、14~26質量%がより好ましい。3~30質量%使用することで、を使用することで上記と同様に粘着剤の貯蔵弾性率を適度に高め耐熱保持力および薬液耐性を向上する。
モノマー(a-3)は、カルボキシル基を有するモノマーであり、粘着力の付与および硬化剤との架橋反応架橋点として機能する。
モノマー(a-3)の含有率は、モノマー混合物100質量%中に2~6質量%であり、3~5質量%がより好ましい。2質量%以上であることで、粘着力が向上する。一方6質量%以下とすることで、特にアルカリ性の薬液耐性が向上する。つまり、カルボキシル基は極性が高いために粘着力付与には欠くことはできないが、一方でアルカリ性薬液耐性に関してはカルボキシル基とアルカリイオン成分との反応のために粘着力が低下することがあるため、この配合率であることが重要である。
これらの中でも、高分子量化のためには(メタ)アクリル酸が好ましい。
モノマー(a-4)は、水酸基を有するモノマーであり、粘着力の付与および硬化剤との架橋反応の架橋点として機能する。
モノマー(a-4)の含有率は、モノマー混合物100質量%中に0.3~1質量%であり、0.3~0.7質量%がより好ましい。0.3~1質量%使用することで、所望の架橋密度が得やすく、研磨部材への密着性が向上する。
これらの中でも、耐薬品性向上のためには(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルが好ましい。
本発明では、粘着剤の研磨部材への密着性や凝集力を損なわない範囲で、モノマー(a-1)、モノマー(a-2)、モノマー(a-3)、およびモノマー(a-4)以外の、その他モノマーを使用することもできる。
その他モノマーは、具体的には、例えばアミド結合を有するモノマー、エポキシ基を有するモノマー、およびアミノ基を有するモノマー等の反応性官能基を有するモノマー、モノマー(a-1)、モノマー(a-2)以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであるアルキル基の炭素数1、2および4以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、芳香環を有するモノマー、アルコキシ(ポリ)アルキレンオキサイドを有するモノマーおよびその他ビニルモノマー等が挙げられるが、これらに限定されない。
アクリル系ポリマーは、モノマー混合物に重合開始剤を加え、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択して行うことができる。これらの中でも、溶液重合が、アクリル系ポリマーの重量平均分子量および分子量分散度の調整が容易である点から好ましい。
連鎖移動剤は、モノマー混合物100質量部に対して0.01~1質量部程度を使用できる。
重合開始剤は単独または2種以上を併用できる。
本発明において硬化剤は、エポキシ化合物およびイソシアネート化合物の少なくともいずれかを使用することが重要であり、エポキシ化合物を単独、またはエポキシ化合物とイソシアネート化合物を併用することが好ましい。エポキシ化合物で硬化させることにより、耐熱保持力を向上させることができ、イソシアネート化合物で硬化させることにより、水酸基を有するモノマー(a-4)との反応によってウレタン結合を生成し極性が増大することで、研磨部材に対する粘着力が向上する。
エポキシ化合物とイソシアネート化合物を併用する場合、好ましい含有比率は、エポキシ化合物:イソシアネート化合物=0.01:1~0.1:1である。
エポキシ化合物は、例えばビスフェノールA-エピクロロヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1、3-ビス(N、N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、およびN,N,N',N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタン等が挙げられる。中でも、窒素原子を分子内に有するエポキシ化合物が反応性の観点で好ましい。
エポキシ化合物は単独または2種以上を併用できる。
イソシアネート化合物は、例えばトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のジイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、ならびにそのビュレット体、ならびにそのイソシアヌレート体、ならびに前記ジイソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、およびポリイソプレンポリオール等のうちのいずれかのポリオールとのアダクト体などの分子内に3個以上のイソシアネート基を有する化合物;
トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のジイソシアネート、ならびにヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体等の分子内に2個のイソシアネート基を有する化合物;等が挙げられる。なお、イソシアネート基の個数は平均個数である。
イソシアネート化合物は単独または2種以上を併用できる。
これらの中でも、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体が粘着物性を容易に調整できるため好ましい。
本発明の粘着剤は、軟化点が125℃以上の粘着付与樹脂を含む。軟化点が125℃以上であることで、研磨部材への密着性に加えて、耐熱保持力を向上することができる。上記の観点から、軟化点は140℃以上がより好ましい。好ましくは、軟化点300℃以下である。
本願における軟化点の測定は、例えば示差走査熱量測定(DSC)装置を使用し、JIS K7121-1987に規定された方法で求めることができる。
昇温速度10℃/分の場合の、融解変極点の温度である。
これらのなかでも、アクリル系ポリマーへの相溶性に優れ、粘着剤の凝集力低下を引き起こすことなく、熱ラミネートや熱プレスした際、研磨部材等への密着性がより向上させることができるため、テルペンフェノール樹脂が好ましい。
本発明の研磨部材固定用粘着シートは、本発明の研磨部材固定用粘着剤から形成されてなる粘着剤層を備える。基材の少なくとも片面に本発明の研磨部材固定用粘着剤から形成されてなる粘着剤層を備える粘着シートの形態でもよく、基材を有さず粘着剤層のみで構成されたキャスト粘着シートの形態であってもよい。
好ましくは、基材を有する粘着シートの場合である。基材を有している粘着シートの方が、貼り合わせる材料に適した粘着剤を選択でき、また、粘着シートに剛性を付与させ、研磨部材積層体全体の剛性向上に寄与させることができるためである。
なお、粘着剤層の基材と接していない面は、通常、異物の付着防止のため使用する直前まで剥離性シートを貼り合せる。
基材の一方の面に本発明の粘着剤から形成されてなる粘着剤層を備える場合、他方の面の粘着剤層を形成する粘着剤は、従来公知の粘着剤を用いることができる。好ましくは、基材の両面の粘着剤層の形成に、本発明の粘着剤を用いた場合である。
また、本発明の研磨部材固定用粘着剤は、この研磨パッドと研磨用クッション材を積層するために用いることもできる。
バックパッドは、例えば、ウレタン系研磨パッド、不織布系研磨パッド、スウェード系研磨パッド等が挙げられ、被研磨材の保持を目的とした研磨部材を構成するために使用されるものであれば、これらに限定されない。
粘着剤の塗布は、例えばロールコーター法、コンマコーター法、リップコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、グラビアコーター法等の公知の方法が使用できる。塗布後は、熱風オーブン、赤外線ヒーター等で乾燥することができる。
また、表中の配合量は、質量部であり、溶剤以外は、不揮発分換算値である。尚、表中の空欄は配合していないことを表す。
なお、アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)および粘着付与樹脂の軟化点の測定方法は以下の通りである。
重量平均分子量(Mw)の測定はGPCを用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、Mwの決定はポリスチレン換算で行った。
装置名 : 島津製作所製、LC-GPCシステム「Prominence」
カラム : 東ソー社製GMHXL 4本、東ソー(株)製HXL-H 1本を直列に連結した。
移動相溶媒 : テトラヒドロフラン
流量 : 1.0ml/分
カラム温度 : 40℃
粘着付与樹脂の軟化点は下記の方法で測定した。
装置名 : セイコーインスツル製、DSC6220
昇温速度 : 10℃/分
《材料》
<モノマー>
[(a-1)アルキル基の炭素数4である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー]
BA : アクリル酸ブチル
IBA : アクリル酸イソブチル
[(a-2)アルキル基の炭素数1~2である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー]
MA : アクリル酸メチル
EA : アクリル酸エチル
MMA : メタクリル酸メチル
[(a-3)カルボキシル基を有するモノマー]
AA : アクリル酸
MAA : メタクリル酸
[(a-4)水酸基を有するモノマー]
HEA : アクリル酸2-ヒドロキシエチル
4HBA : アクリル酸4-ヒドロキシブチル
HEMA : メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
[エポキシ化合物]
B1-1 : TETRAD X(N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、三菱ガス化学社製)
B1-2 : N,N,N',N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタン
[イソシアネート化合物]
B2-1 : TDI/TMP(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)
B2-2 : XDI/TMP(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)
C-1 : YSポリスターT160(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点160℃)
C-2 : YSポリスターT145(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点145℃)
C-3 : YSポリスターS145(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点145℃)
C-4 : YSポリスターT130(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点130℃)
CC-1 : YSポリスターT115(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点115℃)
[合成例1:アクリル系ポリマー(A-1)]
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に窒素雰囲気下、アクリル酸ブチル90部、アクリル酸メチル5.5部、アクリル酸4部、アクリル酸4-ヒドロキシブチル0.5部、アセトン100部、トルエン25部、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」と記載する)0.01部を仕込んだ。撹拌しながら加熱を行い重合反応の開始を確認して還流温度で2時間反応した。次いで、AIBN 0.01部を反応溶液に添加し2時間反応し、さらにAIBN 0.01部を反応溶液に添加し12時間反応を継続した。その後、反応容器を冷却し酢酸エチル150部を加え、重量平均分子量130万のアクリル系ポリマー(A-1)溶液を得た。
モノマーの種類及び配合量を表1、2の記載に従った以外は、合成例1と同様に行うことで合成例2~18のアクリル系ポリマー(A-2~10、AC-1~8)溶液を得た。
アクリル系ポリマー(A-1)100部(不揮発分)に対して、エポキシ系硬化剤(B-1)N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンを0.07部、粘着付与樹脂(C-1)YSポリスターT160を20部配合し、更に溶剤として酢酸エチルを加えて不揮発分を15%に調整して粘着剤溶液を得た。
前記粘着剤溶液を、厚さ50μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート製)の剥離層上に、乾燥後の厚さが50μmになるようにコンマコーターで塗布を行い、100℃で2分間乾燥することで粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層に、厚さ50μmの基材(ポリエチレンテレフタレート製(以下、PETシートという))を貼り合せて「剥離性シート/粘着剤/PETシート」という構成とした。同様に、前記粘着剤溶液を、厚さ50μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート製)上に、乾燥後の厚さが50μmになるようにコンマコーターで塗布を行い、100℃で2分間乾燥することで粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層と、前述した「剥離性シート/粘着剤層/PETシート」のPETシートの露出面とを貼り合せ、温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成することで「剥離性シート/粘着剤層/PETシート/粘着剤層/剥離性シート」という構成の粘着シートを得た。
表3、4記載の組成、および配合量とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2~10および比較例1~9の粘着シートをそれぞれ得た。
実施例および比較例で得られた粘着剤溶液を用い、厚さ50μmの剥離性シート上に、乾燥後の厚さが50μmになるようにコンマコーターで塗布を行い、100℃で2分間乾燥することで粘着剤層を形成した。次いで、粘着剤層が重なるように積層を繰り返し、厚みが1mmの粘着剤層を得た。オートクレーブで気泡を除去した後、温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成し、「剥離性シート/粘着剤層/剥離性シート」という構成の2枚の剥離性シートで挟まれた粘着剤層を作製した。次いで、片方の剥離性シートを剥がし、直径8mmの円柱形に型抜きして貯蔵弾性率測定用の試料とした。両側の剥離性シートを剥がし、この試料をねじり剪断法により、下記の条件で貯蔵弾性率を測定した。
周波数:1Hz
測定温度: -50℃から210℃まで測定し、80℃、および200℃での貯蔵弾性率を読み取った。
昇温速度: 10℃/分
試料作製
実施例および比較例で得られた粘着シートにおける粘着剤層の非測定面に、PETシートを貼合せ、幅25mm、長さ150mmの大きさに切り出した。23℃、相対湿度50%雰囲気下、切り出した粘着シートから剥離性シートを剥がして露出した粘着剤層をウレタン発泡体シート(日本発条社製 EXT)のウレタン発泡体側に貼り付け、加熱ロール(90℃)、圧力0.1MPa、速度1m/分にて圧着後、24時間放置した試料を作製した。
作製した試料を引張試験機にて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験によって粘着力を測定した。(JIS Z1528:2000に準拠)
作製した試料を水酸化カリウムでpH11に調整し65℃に加熱した水溶液に24時間浸漬し、蒸留水で洗浄後、23℃、50%恒温恒湿室内で3時間静置した。この親戚処理後の試料を引張試験機にて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験によって粘着力を測定した。(JIS Z1528:2000に準拠)
作製した試料を2.5%過酸化水素水を65℃に加熱した水溶液に24時間浸漬し、蒸留水で洗浄後、23℃、50%恒温恒湿室内で3時間静置した。この浸漬処理後の試料を引張試験機にて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験によって粘着力を測定した。(JIS Z1528:2000に準拠)
下記の評価基準に基づいて評価を行った。
◎:「dryおよび2種のwet粘着力が20N/25mm以上であり、非常に良好。」
○:「dryおよび2種のwet粘着力が16N/25mm以上20N/25mm未満であり、良好。」
×:「dryおよび2種のwet粘着力が16N/25mm未満であり、実用不可。」
実施例および比較例で得られた粘着シートにおける粘着剤層の非測定面にPETシートを貼合せ、幅25mm、長さ150mmの大きさに切り出した。切り出した粘着シート1から剥離性シートを剥がして露出した粘着剤層を、研磨した幅30mm、長さ150mmのステンレス板の下端部幅25mm、長さ25mmの部分に貼着し、2kgロールで1往復させて圧着後、100℃雰囲気で粘着シートの下端部に2kgの荷重をかけ、3時間放置することで耐熱保持力を測定した(JIS Z0237:2000に準拠)。
評価は、粘着シートの貼付面上端部が元の位置から下にずれた長さを測定して下記の基準に基づいて行った。
◎:「ずれた長さが0.4mm以下であり、非常に良好。」
○:「ずれた長さが0.4mmを超え0.9mm未満であり、良好。」
×:「ずれた長さが0.9mm以上であり、実用不可。」
これに対し、比較例1~9の粘着剤では、いずれかの項目が不良となっており、実用不可であることが判る。
2 粘着シート
3 研磨機定盤
4 被研磨材
5 駆動軸
Claims (3)
- アクリル系ポリマー、硬化剤、および粘着付与樹脂を含む研磨部材固定用粘着剤であって、
前記アクリル系ポリマーは、下記モノマー(a-1)~(a-4)を含むモノマー混合物の共重合体であり、かつ前記モノマー混合物100質量%中にモノマー(a-1)を63~90質量%、モノマー(a-2)を3~30質量%、モノマー(a-3)を2~6質量%、およびモノマー(a-4)を0.3~1質量%含み、
前記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、110万~230万であり、
前記硬化剤は、イソシアネート化合物およびエポキシ化合物の少なくともいずれかを含み、
前記粘着付与樹脂は、軟化点が125℃以上であることを特徴とする研磨部材固定用粘着剤。
(a-1)アルキル基の炭素数4である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-2)アルキル基の炭素数1~2である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-3)カルボキシル基を有するモノマー
(a-4)水酸基を有するモノマー - 周波数1Hz、80℃での貯蔵弾性率(X1)が、3E+4Pa~2E+5Paであり、
かつ、周波数1Hz、80℃での貯蔵弾性率(X1)と、200℃での貯蔵弾性率(X2)の比[(X1)/(X2)]が、1~3であることを特徴とする請求項1記載の研磨部材固定用粘着剤。 - 請求項1または2記載の研磨部材固定用粘着剤により形成されてなる粘着剤層を備える粘着シート。
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