JP7229197B2 - リチウム回収方法 - Google Patents

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Description

この明細書は、リチウム回収方法に関する技術を開示するものである。
近年は、製品寿命もしくは製造不良その他の理由より廃棄されたリチウムイオン二次電池の正極材を含むリチウムイオン電池廃棄物から、そこに含まれるリチウムやコバルト、ニッケル等を湿式処理により回収することが、資源の有効活用の観点から広く検討されている。
リチウムイオン電池廃棄物からリチウムを回収するに当っては、たとえば特許文献1~5に記載されているように、焙焼後のリチウムイオン電池廃棄物を水と接触させ、当該リチウムイオン電池廃棄物中のリチウムを水に浸出させることが提案されている。
具体的には、特許文献1には、「コバルト酸リチウム100質量部に対し、1質量部以上の炭素を混合した混合物を、大気雰囲気下、酸化雰囲気下、及び還元性雰囲気下のいずれかで焙焼してなる酸化リチウムを含有する焙焼物を水で浸出することを特徴とするリチウムの回収方法」等が提案されている。
特許文献2には、「リチウムと、マンガン、コバルト及びニッケルのいずれか1種以上の遷移金属との複合酸化物を含むリチウムイオン電池の正極活物質を焼却した際に生じる焼却灰からリチウムを回収する方法であって、前記焼却灰を水に加えて作製した処理液に無機酸を添加してpHを3~10の範囲に調整しながら焼却灰中の水溶性のリチウムを水へ浸出させる第1工程と、前記リチウムを水へ浸出させた処理液を固液分離する第2工程と、前記固液分離で得られた浸出後液に焼却灰を加えて前記第1及び第2工程を繰返してリチウム濃度を高める第3工程と、前記リチウム濃度を高めた処理液に炭酸化剤を添加してリチウムを炭酸リチウム塩として回収する第4工程と、を備えたリチウム回収方法」が記載されている。
特許文献3及び4には、「リチウムイオン電池スクラップからリチウムを回収する方法であって、リチウムイオン電池スクラップに対し、焙焼工程、破砕工程および篩別工程を順に行うに当り、焙焼工程と破砕工程との間、破砕工程と篩別工程との間、または、篩別工程の後、リチウムイオン電池スクラップを水と接触させ、該リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを前記水に溶解させて、リチウム溶解液を得るリチウム溶解工程と、リチウム溶解液に含まれるリチウムイオンを溶媒抽出するとともに逆抽出し、リチウムイオンを濃縮して、リチウム濃縮液を得るリチウム濃縮工程と、リチウム濃縮液中のリチウムイオンを炭酸化し、炭酸リチウムを得る炭酸化工程とを含むリチウム回収方法」が開示されている。
特許文献5には、「使用済みのリチウムイオン二次電池からの正極材料の回収方法であって、以下の1)から3)の工程を含むことを特徴とする使用済みリチウムイオン二次電池からの正極材料の回収方法。1)使用済みのリチウムイオン二次電池を分解し、正極材料を含む部材を得る工程。2)正極材料を含む部材を500℃~600℃の温度で、大気雰囲気下で加熱処理する工程。3)その後、加熱処理物を水に浸漬させ所定時間超音波処理する工程。」と記載されている。
特開2011-94228号公報 特開2012-172223号公報 特開2018-172732号公報 欧州特許出願公開第3604568号明細書 特開2017-84681号公報
特許文献1~4に記載されているように、焙焼後のリチウムイオン電池廃棄物を単純に水等のリチウム浸出液と接触させても、リチウムイオン電池廃棄物の状態その他の条件によっては、リチウム浸出液へのリチウムの浸出率、ひいてはリチウムの回収率を十分に高めることができない場合がある。このことは、特許文献5に記載されているような超音波処理を施しても同様であった。
この明細書では、リチウムイオン電池廃棄物に含まれるリチウムの浸出率を高めることができるリチウム回収方法を開示する。
この明細書で開示するリチウム回収方法は、少なくともリチウムを含むリチウムイオン電池廃棄物から、リチウムを回収する方法であって、焙焼工程を経て得られる焙焼済電池粉を、湿式粉砕によりリチウム浸出液中で微細化しながら、前記焙焼済電池粉中のリチウムをリチウム浸出液に浸出させるリチウム浸出工程を含むものである。
上述したリチウム回収方法によれば、リチウムイオン電池廃棄物に含まれるリチウムの浸出率を高めることができる。
一の実施形態のリチウム回収方法を示すフロー図である。
以下に、上述したようなリチウム回収方法の実施の形態について詳細に説明する。
一の実施形態のリチウム回収方法は、少なくともリチウムを含むリチウムイオン電池廃棄物から、リチウムを回収するため、焙焼工程を経て得られる焙焼済電池粉を、湿式粉砕によりリチウム浸出液中で微細化しながら、前記焙焼済電池粉中のリチウムをリチウム浸出液に浸出させるリチウム浸出工程を含む。この実施形態では、さらに、図1に例示するように、リチウム浸出工程で得られるリチウム含有溶液に対して、リチウム濃縮工程及びリチウム炭酸化工程を順次に行い、炭酸リチウムを生成させることが含まれる。
(リチウムイオン電池廃棄物)
対象とするリチウムイオン電池廃棄物は、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用され得るリチウムイオン二次電池で、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄されたものである。このようなリチウムイオン電池廃棄物から有価金属を回収することは、資源の有効活用の観点から好ましい。特に、使用済みのリチウムイオン電池廃棄物に対して、この実施形態を適用すると、リチウムの浸出率について大きな効果が得られる。
リチウムイオン電池廃棄物は、その周囲を包み込む外装として、アルミニウムを含む筐体を有する。この筐体としては、たとえば、アルミニウムのみからなるものや、アルミニウム及び鉄、アルミラミネート等を含むものがある。また、リチウムイオン電池廃棄物は、上記の筐体内に、リチウム、ニッケル、コバルト及びマンガンからなる群から選択される一種の単独金属酸化物又は、二種以上の複合金属酸化物等からなる正極活物質や、正極活物質が、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)その他の有機バインダー等によって塗布されて固着されたアルミニウム箔(正極基材)を含むことがある。またその他に、リチウムイオン電池廃棄物には、銅、鉄等が含まれる場合がある。この実施形態では、銅を含むリチウムイオン電池廃棄物を対象とする。さらに、リチウムイオン電池廃棄物には通常、筐体内に電解液が含まれる。電解液としては、たとえば、エチレンカルボナート、ジエチルカルボナート等が使用されることがある。
リチウムイオン電池廃棄物は、たとえばリチウムが0.5質量%~10質量%、典型的には1.0質量%~6.0質量%で含まれることがある。その他にリチウムイオン電池廃棄物は、コバルトを5.0質量%~25.0質量%、ニッケルを5.0質量%~50.0質量%、マンガンを5.0質量%~25.0質量%、アルミニウムを0.0質量%~15.0質量%、銅を0.0質量%~15.0質量%で含む場合がある。
リチウムイオン電池廃棄物に対しては、多くの場合、前処理工程を行う。前処理工程には、焙焼処理、破砕処理及び篩別処理が含まれることがある。
(焙焼工程)
焙焼処理では、上記のリチウムイオン電池廃棄物を加熱する。焙焼工程では、上記のようなリチウムイオン電池廃棄物を加熱し、それにより焙焼粉を得る。この焙焼工程は一般に、リチウムイオン電池廃棄物の温度を上昇させ、リチウムイオン電池廃棄物に含まれるリチウムやコバルト等の金属を、水又は酸等による浸出で溶かしやすい形態に変化させること等を目的として行う。
ここでは、大気雰囲気の下、リチウムイオン電池廃棄物を550℃~900℃の温度に加熱し、その温度を4時間~8時間にわたって保持することが好ましい。このような温度及び保持時間とすれば、リチウムイオン電池廃棄物中のリチウムを、水等に溶けやすい酸化リチウムや炭酸リチウム等の形態に有効に変化させることができるので、後述するリチウム浸出工程でのリチウム浸出率をさらに高めることができる。
加熱温度が高すぎると、アルミニウムとリチウムがアルミン酸リチウムを形成し、リチウム浸出によるリチウム回収が困難になるおそれがある。一方、加熱温度が低すぎると、リチウムイオン電池廃棄物中の正極活物質の分解が不十分になり、またリチウムが、水等に容易に溶ける炭酸リチウム等に十分に変化しないことが懸念される。また、リチウムが酸化リチウムや炭酸リチウムへ変化する反応が十分に起こった後には、それ以上加熱状態を維持する必要はなく、保持時間が長すぎる場合は、コストが増加するため、好ましくない。これに対し、保持時間が短すぎる場合は、正極活物質の分解が十分に行われず、廃棄物中のリチウムが水等に容易に溶ける炭酸リチウム等に十分に変化しないために、リチウム回収が困難になる。
焙焼工程では、上記のようにリチウムイオン電池廃棄物の温度を制御することができるものであれば、ロータリーキルン炉その他の各種の炉や、大気雰囲気で加熱を行う炉等の様々な加熱設備を用いて行うことができる。
(破砕工程)
上述した焙焼工程の後、リチウムイオン電池廃棄物の筐体から正極材及び負極材を取り出すための破砕処理を行うことができる。破砕工程は、リチウムイオン電池廃棄物の筐体を破壊するとともに、正極活物質が塗布されたアルミニウム箔から正極活物質を選択的に分離させるために行う。これにより、破砕粉が得られる。
ここでは、種々の公知の装置ないし機器を用いることができるが、その具体例としては、リチウムイオン電池廃棄物を切断しながら衝撃を加えて破砕することのできる衝撃式の破砕機、たとえば、サンプルミル、ハンマーミル、ピンミル、ウィングミル、トルネードミル、ハンマークラッシャ等を挙げることができる。なお、破砕機の出口にはスクリーンを設置することができ、それにより、リチウムイオン電池廃棄物は、スクリーンを通過できる程度の大きさにまで破砕されると破砕機よりスクリーンを通じて排出される。
(篩別工程)
篩別工程では、破砕工程で得られた破砕粉に対し、適切な目開きの篩を用いて篩別を行うことができる。それにより、篩上物として、たとえば、アルミニウムや銅が得られるとともに、篩下物として、アルミニウムや銅がある程度除去された、リチウム、コバルト等を含む焙焼済電池粉を得ることができる。
焙焼済電池粉の作製方法について、上述した方法に限らず種々の方法が用いられる。例えば、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼した後に解体し、正極活物質を含む部材を取り出し、当該部材から正極活物質を含む粉体を回収して、焙焼済電池粉を得てもよい。また、未焙焼のリチウムイオン電池廃棄物を公知の方法で解体し、正極活物質を含む部材を取り出し、当該部材から正極活物質を含む粉体を回収し、上述した焙焼工程を行うことにより、焙焼済電池粉を得てもよい。
(リチウム浸出工程)
リチウム浸出工程では、焙焼済電池粉に対して湿式粉砕を行い、焙焼済電池粉をリチウム浸出液中で粉砕して微細化しながら、焙焼済電池粉中のリチウムをそのリチウム浸出液に浸出させる。なお、ここでいう焙焼済電池粉とは、破砕工程及び篩別工程を行わなかった場合は上記の焙焼粉を意味し、破砕工程を行って篩別工程を行わなかった場合は破砕粉を意味し、あるいは、破砕工程を行わずに篩別工程を行った場合や、破砕工程及び篩別工程を行った場合は篩下物を意味する。いずれの場合でも、焙焼済電池粉は、少なくとも焙焼工程を経て得られたものである。
このようなリチウムの浸出工程では、湿式粉砕により焙焼済電池粉の新生面が表出しつつ、その新生面からリチウムがリチウム浸出液へ溶出する。これにより、リチウム浸出液へのリチウムの浸出率を高めることができると考えられる。リチウム浸出工程の後、固液分離を行うことにより、焙焼済電池粉中のリチウムが溶解したリチウム含有溶液と、微細化された粉末を含む残渣とが得られる。
リチウム浸出液は、弱酸性溶液、水又はアルカリ性溶液のいずれかとする。リチウム浸出液は、焙焼済電池粉と接触させる前のpHが、好ましくは2~13、より好ましくは3~12であるものとする。
先述した焙焼工程を経たことにより焙焼済電池粉中のリチウムは、水等に溶けやすい炭酸リチウム等の形態に変化している。それにより、焙焼済電池粉中のリチウムは上記のリチウム浸出液に溶解する。一方、他の金属は、弱酸性溶液にはほぼ溶解せず、水やアルカリ性溶液にはさらに溶解しない。それ故に、焙焼済電池粉からリチウムを有効に分離させることができる。たとえば、焙焼済電池粉中の炭酸リチウム等がリチウム浸出液に溶解すると、pHは11~12程度になることがあり、ニッケル、コバルト、マンガン等は溶け出さない。
リチウム浸出工程においてリチウム浸出液として水を用いる場合は、当該水は具体的には、水道水、工業用水、蒸留水、精製水、イオン交換水、純水、超純水等である。pHを調整するため、必要に応じて硫酸等の酸を添加してもよい。酸の添加は、粉砕前、粉砕中および/または粉砕後のいずれの時期であってもよい。最終的に得られるリチウム含有溶液のpHが7~12となるように調整することが望ましい。リチウム含有溶液のpHが7未満になるとCo等の金属が溶け出すおそれがあり、12を超えるとアルミニウム等が溶け出すことが懸念されるからである。
リチウム浸出工程における湿式粉砕には、様々な湿式粉砕機を用いることができるが、なかでもビーズミル、ボールミルまたはロッドミルなどのように粉砕媒体を回転させて粉砕を行う粉砕機を使用することが好ましい。このような粉砕機であれば、粉砕媒体と焙焼済電池粉との摩擦や粉砕媒体と焙焼済電池粉との衝突などにより、粒子の大きさを減少させつつ新しい表面を作ることができる。粉砕媒体については焙焼済電池粉の粒径等によって適宜選択できるが、例えばビーズミルを用いる場合、ミル内に、リチウム浸出液及び焙焼済電池粉を、たとえば、球径が0.1mm~2.0mm程度のジルコニア製又はセラミック製等のビーズとともに投入する。そして、ビーズミルの内部を、たとえば500~5000rpm程度の回転数で回転させる。これにより、当該ビーズで焙焼済電池粉が新生面を表出しながらすりつぶされて微細化するとともに、そこからリチウムが有効に溶け出す。
リチウム浸出工程における湿式粉砕は1時間~2時間にわたって行うことが好ましい。1時間未満とした場合は、リチウムの浸出が不十分となってリチウムの浸出率がそれほど高くならないことが懸念される。2時間より長い時間で湿式粉砕を行っても、リチウムの浸出率の更なる向上はあまり見込まれず、リチウム浸出工程の効率が低下し得る。
リチウム浸出工程においての焙焼済電池粉を添加したリチウム浸出液の液温は、10℃~60℃とすることができる。パルプ濃度は、50g/L~450g/Lとすることができる。このパルプ濃度は、焙焼済電池粉と接触させるリチウム浸出液の量(L)に対する焙焼済電池粉の乾燥重量(g)の比を意味する。
リチウム浸出工程では湿式粉砕により、多くの場合、リチウム浸出工程後に得られる残渣のメディアン径(d50)は、焙焼済電池粉のメディアン径よりも小さくなる。ここで、具体的には、当該リチウム浸出工程後に得られる残渣のメディアン径が、焙焼済電池粉のメディアン径の80%以下になるように、湿式粉砕を行うことが好適である。メディアン径の減少割合がこの範囲を上回ると、焙焼済電池粉の新生面の表出によるリチウムの浸出率向上の効果があまり得られない可能性がある。たとえば、リチウム浸出工程後に得られる残渣のメディアン径が、焙焼済電池粉のメディアン径の20%~80%になることがある。粒径は、レーザー回折・散乱法により測定する。なお、粒径が小さくなりすぎると疎水性が発現し、リチウム浸出工程でリチウム浸出液に溶けずに残った残渣からニッケルやコバルトを回収する工程において粉体の処理が困難になるため、リチウム浸出工程後のメディアン径は5μm以上であることが望ましい。たとえば、焙焼済電池粉のメディアン径は20μm~10μmである場合があり、リチウム浸出工程後に得られるメディアン径の粒径は15μm~8μmとなることがある。
上述したような湿式粉砕を行うことで、リチウムイオン電池廃棄物中のリチウムがリチウム浸出液に十分に溶け出す。これにより、リチウム浸出工程後に得られるリチウム含有溶液は、リチウムイオン濃度が1.0g/L~2.5g/Lであることが好ましい。リチウム浸出工程でのリチウムの浸出率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。リチウムの浸出率は、リチウム浸出工程前のリチウムイオン廃棄物中のリチウム含有量と、リチウム浸出工程後の残渣中のリチウム含有量から算出することができる。
なお、リチウム浸出工程でリチウム浸出液に溶けずに残った残渣は、公知の方法にて、たとえば酸浸出、溶媒抽出、電解採取その他の処理を施して、そこに含まれるコバルトやニッケル等の各種金属を回収することができる。ここでは、当該残渣に対する処理についての詳細な説明は省略する。
(リチウム濃縮工程)
破砕工程で得られたリチウム含有溶液は、リチウムイオンが比較的低い濃度で含まれることがある。このような場合、必要に応じて、リチウム含有溶液のリチウムイオンを濃縮するため、溶媒抽出及び逆抽出によるリチウム濃縮工程を行うことができる。
ここで用いる溶媒抽出剤は、2-エチルヘキシルホスホン酸2-エチルヘキシルまたはジ-2-エチルヘキシルリン酸を含むものであることが好ましい。
このような溶媒抽出剤を用いて溶媒抽出を行うと、リチウムがリチウム含有溶液(水相)から溶媒抽出剤(有機相)へ抽出され、そしてこの有機相に対して逆抽出を行う。抽出と逆抽出を複数回にわたって繰り返すと、逆抽出液中のリチウム濃度が上昇し、最終的にリチウムイオンを濃縮することができる。それによりリチウムイオンが高濃度で含まれるリチウム濃縮液を得ることができる。
この溶媒抽出の際のpHは、5.0~6.5とすることが好ましい。pHが5.0未満である場合は、リチウムが逆抽出されるおそれがあり、またpHが6.5を超える場合は、高すぎて分相不良となり、工程トラブルを引き起こすおそれがある。
リチウム濃縮液のリチウム濃度は、5.0g/L~30.0g/Lであることが好ましく、特に10.0g/L~20.0g/Lあることがより一層好ましい。
(リチウム炭酸化工程)
破砕工程で得られるリチウム含有溶液又は、リチウム濃縮工程で得られるリチウム濃縮液からリチウムを回収するため、リチウム炭酸化工程を行うことができる。ここでは、リチウム含有溶液又はリチウム濃縮液に炭酸塩を添加し、又は炭酸ガスを吹き込むことにより、リチウム含有溶液又はリチウム濃縮液中のリチウムイオンを炭酸リチウムとして回収する。
炭酸塩の添加ないし炭酸ガスの吹込み後は、好ましくは液温を50℃~90℃の範囲内として、必要に応じて攪拌して所定の時間を保持する。
炭酸塩としては、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。炭酸塩の添加量は、たとえば1.0~2.0倍モル当量、好ましくは1.0~1.2倍モル当量とすることができる。
このようにして得られた炭酸リチウムのリチウム品位が、目標とする品位より低い場合、必要に応じて、高品位の炭酸リチウムを得るため、炭酸リチウムの精製を行ってもよい。なおここで、炭酸リチウムの目標とするリチウム品位は、たとえば16%以上、好ましくは17%以上とすることができる。
炭酸リチウムの精製は具体的には、リチウム含有溶液又はリチウム濃縮液への炭酸塩の添加等により得られた炭酸リチウムに対してリパルプ洗浄を行うとともに、そこに炭酸ガスを吹き込んで、液中に炭酸を溶解させ、次いで、固液分離により、炭酸水素リチウム液と、カルシウムやマグネシウムなどを分離させる。その後、脱酸・濃縮を行った後、固液分離により、精製炭酸リチウムと濾液とに分離させる。この精製炭酸リチウム中の不純物品位が高い場合は、さらに洗浄を行うことができる。
次に、上述したようなリチウム回収方法を試験的に実施したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
(試験例1)
メディアン径が17.6μmでリチウムを2.2質量%で含有する未焙焼の使用済みリチウムイオン電池廃棄物の電池粉を、大気雰囲気の下、800℃の温度で2時間にわたって加熱して焙焼した。これにより焙焼済電池粉を得た。焙焼済電池粉は、メディアン径は18.7μであり、リチウム含有量が2.5質量%であった。なお粒径の測定には、マイクロトラック・ベル社製のMT3300を用いた。
実施例1では、上記の焙焼済電池粉3gを、水300mLとともにビーズミル内に投入し、室温で60分間の湿式粉砕を行い、リチウム浸出を行った。湿式粉砕後に濾過を行って濾液と残渣を得た。濾液のリチウムイオン濃度は0.22g/Lであり、残渣のリチウム含有量は0.3質量%であった。リチウム浸出率は87.9%であった。また、残渣のメディアン径は12.6μmであり、湿式粉砕前の焙焼済電池粉のメディアン径の67%程度に小さくなっていた。
比較例1では、上記の焙焼済電池粉3gを300mLの水に添加し、これを室温で60分間攪拌した。その後、濾過を行って得られた濾液と残渣を得た。濾液のリチウムイオン濃度は0.18g/Lであり、残渣のリチウム含有量は0.74質量%であった。リチウム浸出率は70.5%であった。
上記の結果から、実施例1では、水中で粉砕しながらリチウムを当該水に浸出させたことにより、比較例1に比してリチウム浸出率が高くなったことが解かる。
(試験例2)
試験例1で用いたものとは異なるリチウムイオン電池廃棄物の電池粉であって、リチウムの含有量が2.5質量%、メディアン径が20.2μmであるものを準備した。
比較例2では、上記の電池粉を、大気雰囲気の下、800℃で2時間にわたって加熱して焙焼し、焙焼済電池粉を得た。焙焼済電池粉のリチウム含有量は3.0質量%であった。
その後、上記の焙焼済電池粉をビーズミルにより大気中にて乾式で粉砕し、それにより得られた粉砕粉を水に添加して60分間にわたって攪拌した。乾式粉砕の時間を5分、20分、60分と変化させたときの、その後の水浸出による各リチウム浸出率と、乾式粉砕を行わず焙焼済電池粉を水に添加して水浸出させたときの浸出率とを比較した割合を表1に示す。
Figure 0007229197000001
表1に示すように、粉砕時間を変化させても、リチウム浸出率はほぼ変化が無かった。このことから、水浸出前の事前の粉砕の程度が、リチウム浸出率に影響を及ぼすわけではないことが解かる。したがって、先述の実施例1のような湿式粉砕中のリチウムの浸出が有効であることが示唆された。

Claims (6)

  1. 少なくともリチウムを含むリチウムイオン電池廃棄物から、リチウムを回収する方法であって、
    焙焼工程を経て得られる焙焼済電池粉を、湿式粉砕によりリチウム浸出液中で微細化しながら、前記焙焼済電池粉中のリチウムをリチウム浸出液に浸出させるリチウム浸出工程
    を含む、リチウム回収方法。
  2. 前記リチウム浸出工程の湿式粉砕に、ビーズミルを用いる、請求項1に記載のリチウム回収方法。
  3. 前記リチウム浸出工程で、前記湿式粉砕を1時間~2時間にわたって行う、請求項1又は2に記載のリチウム回収方法。
  4. 前記リチウム浸出工程後に得られる残渣のメディアン径を、前記焙焼済電池粉のメディアン径の20%~80%とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
  5. 前記リチウム浸出工程後に得られるリチウム含有溶液中のリチウムイオン濃度が、1.0g/L~2.5g/Lである、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
  6. 前記焙焼工程で、大気雰囲気の下、リチウムイオン電池廃棄物を550℃~900℃の温度に加熱し、該温度を4時間~8時間にわたって保持する、請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
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