JP2020045576A - リチウム回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを有効に回収することができるリチウム回収方法を提供する。【解決手段】リチウムイオン電池スクラップに対し、焙焼工程、破砕工程および篩別工程を順に行うに当り、焙焼工程と破砕工程との間、破砕工程と篩別工程との間、または、篩別工程の後、リチウムイオン電池スクラップを水と接触させ、該リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを前記水に溶解させて、リチウム溶解液を得るリチウム溶解工程と、リチウム溶解液に含まれるリチウムイオンを溶媒抽出するとともに逆抽出し、リチウムイオンを濃縮して、リチウム濃縮液を得るリチウム濃縮工程と、リチウム濃縮液中のリチウムイオンを炭酸化し、炭酸リチウムを得る炭酸化工程とを含む。【選択図】図1

Description

この発明は、リチウムイオン電池スクラップからリチウムを回収する方法に関するものであり、特に、リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを有効に回収することのできる技術を提案するものである。
近年は、製品寿命その他の理由で廃棄されるリチウムイオン電池スクラップ等から、そこに含まれるニッケルやコバルト等の有価金属を湿式処理等により回収することが、資源の有効活用の観点から広く検討されている。
たとえばリチウムイオン電池スクラップから有価金属を回収するには通常、リチウムイオン電池スクラップを焙焼して有害な電解液を除去し、その後に破砕、篩別を順に行い、次いで、篩別の篩下に得られる粉末状の電池粉を浸出液に添加して浸出し、そこに含まれ得るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、銅、アルミニウム等を液中に溶解させる。
そしてその後、浸出後液に溶解している各金属元素のうち、鉄、銅及びアルミニウム等を順次に又は同時に除去し、コバルト、マンガン及びニッケル等の有価金属を回収する。具体的には、浸出後液に対し、分離させる金属に応じた複数段階の溶媒抽出もしくは中和等を施し、さらには、各段階で得られたそれぞれの溶液に対して、逆抽出、電解、炭酸化その他の処理を施す。それにより、リチウムイオンを含むリチウム含有溶液が得られる。
このようにして得られたリチウム含有溶液に対しては、炭酸塩の添加や炭酸ガスの吹込み等により炭酸化を行うことにより、リチウム含有溶液に含まれるリチウムイオンを炭酸リチウムとして回収することが一般に行われている。
なおこの種の技術として、特許文献1には、リチウムイオンを含む水溶液のpHをリチウムイオンの抽出に用いる酸性系溶媒抽出剤に応じてpH4〜10の範囲に調整し、該酸性系溶媒抽出剤と接触させてリチウムイオンを抽出した後、その溶媒抽出剤をpH3.0以下の水溶液と接触させてリチウムイオンを逆抽出し、得られたリチウムイオン水溶液を用い上記逆抽出操作を繰り返してリチウムイオンを濃縮し、得られた高濃度リチウムイオン水溶液を50℃以上に保った状態で水溶性炭酸塩と混合することにより、リチウムイオンを固体の炭酸リチウムとして回収することが記載されている。
特許第4581553号公報
しかるに、上述した従来の方法では、浸出や多段階の溶媒抽出といった多数の工程を経て最終的に得られるリチウム含有溶液から、リチウムを回収しているので、それまでの多数の工程で使用され得る試薬や添加剤等に起因して、リチウム含有溶液に少なくない量ないし種類の不純物が含まれる。
それにより、炭酸化で得られる炭酸リチウムの品位が低下し、このことが、高品位の炭酸リチウムとするための炭酸リチウムの精製に要する手間およびコストの増大を招くという問題がある。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを有効に回収することができるリチウム回収方法を提供することにある。
発明者は、焙焼工程後のリチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムは水に溶解しやすい一方で、それ以外の金属は水に溶解し難い形態となっていることに着目し、焙焼工程後のリチウムイオン電池スクラップを水と接触させることで、リチウム溶解液を得ることができ、その上で、このリチウム溶解液に対し、溶媒抽出及び逆抽出を行うことにより、リチウムイオンの濃度を効果的に高めることができると考えた。
かかる知見に基き、この発明のリチウム回収方法は、リチウムイオン電池スクラップからリチウムを回収する方法であって、リチウムイオン電池スクラップに対し、焙焼工程、破砕工程および篩別工程を順に行うに当り、焙焼工程と破砕工程との間、破砕工程と篩別工程との間、または、篩別工程の後、リチウムイオン電池スクラップを水と接触させ、該リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを前記水に溶解させて、リチウム溶解液を得るリチウム溶解工程と、リチウム溶解液に含まれるリチウムイオンを溶媒抽出するとともに逆抽出し、リチウムイオンを濃縮して、リチウム濃縮液を得るリチウム濃縮工程と、リチウム濃縮液中のリチウムイオンを炭酸化し、炭酸リチウムを得る炭酸化工程とを含むものである。
リチウム溶解工程は篩別工程の後に行うことが好ましい。
リチウム濃縮工程では、溶媒抽出および逆抽出を複数回にわたって繰り返し行うことが好ましい。
リチウム濃縮工程の溶媒抽出には、2−エチルヘキシルホスホン酸2−エチルヘキシルまたはジ−2−エチルヘキシルリン酸を含む溶媒抽出剤を用いることが好適である。
リチウム濃縮工程の溶媒抽出時のpHは5.0〜6.5とすることが好ましい。
リチウム濃縮工程で得られるリチウム濃縮液がニッケルイオンを含む場合、この発明のリチウム回収方法は、炭酸化工程の前に、リチウム濃縮液を中和してニッケルを回収する中和工程をさらに含むことが好ましい。
炭酸化工程では、リチウムイオンの炭酸化を、リチウム濃縮液中への炭酸塩の添加または炭酸ガスの吹込みにより行い、当該炭酸化の際の液温を50℃以上とすることが好ましい。
この発明のリチウム回収方法では、焙焼工程と破砕工程との間、破砕工程と篩別工程との間または、篩別工程の後のいずれかの時期でリチウム溶解工程を行い、それにより得られるリチウム溶解液のリチウムイオンを、溶媒抽出及び逆抽出で濃縮することから、炭酸化工程で比較的高い品位の炭酸リチウムを得ることができる。
したがって、この発明のリチウム回収方法によれば、リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを有効に回収することができる。
この発明の一の実施形態のリチウム回収方法を示すフロー図である。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態のリチウム回収方法では、リチウムイオン電池スクラップに対し、焙焼工程、破砕工程および篩別工程をこの順序に行うに際して、図1に例示するように、焙焼工程と破砕工程との間(焙焼の直後)、破砕工程と篩別工程との間(焙焼及び破砕を順に行った直後)または、篩別工程の後(焙焼、破砕及び篩別を順に行った直後)のいずれかの時期に、リチウム溶解工程を行い、リチウム溶解工程の後、リチウム濃縮工程および炭酸化工程を順に行う。
ここで、リチウム溶解工程では、リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを水に溶解させて、リチウム溶解液を得る。また、リチウム濃縮工程は、リチウム溶解液に含まれるリチウムイオンを溶媒抽出するとともに逆抽出することにより、リチウムイオンが濃縮されたリチウム濃縮液を得る工程であり、また、炭酸化工程は、そのリチウム濃縮液中のリチウムイオンを炭酸化し、炭酸リチウムを得る工程である。
(リチウムイオン電池スクラップ)
この発明で対象とするリチウムイオン電池スクラップは、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用され得るリチウムイオン電池で、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄されたものである。このようなリチウムイオン電池スクラップからリチウムを回収することは、資源の有効活用の観点から好ましい。
ここで、この発明では、少なくともリチウムを含むリチウムイオン電池スクラップを対象とする。この発明の実施形態では、リチウムイオン電池スクラップは、リチウムを一般に0.1質量%〜10質量%で含む。
なお一般には、リチウムイオン電池スクラップは、その周囲を包み込む外装として、アルミニウムを含む筐体を有する。この筐体としては、たとえば、アルミニウムのみからなるものや、アルミニウム及び鉄、アルミラミネート等を含むものがある。
また、リチウムイオン電池スクラップは、上記の筺体内に、リチウム、ニッケル、コバルト及びマンガンのうちの一種以上の単独金属酸化物又は、二種以上の複合金属酸化物等からなる正極活物質や、正極活物質が、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)その他の有機バインダー等によって塗布されて固着されたアルミニウム箔(正極基材)を含むことがある。またその他に、リチウムイオン電池には、銅、鉄等が含まれる場合がある。
さらに、リチウムイオン電池スクラップには通常、筺体内に電解液が含まれる。電解液としては、たとえば、エチレンカルボナート、ジエチルカルボナート等が使用されることがある。
(焙焼工程)
焙焼工程では、上記のリチウムイオン電池スクラップを加熱する。この焙焼工程は一般に、リチウムイオン電池スクラップの温度を上昇させ、内部の電解液を除去して無害化するとともに、アルミニウム箔と正極活物質を結着させているバインダーを分解し、破砕・篩別時のアルミニウム箔と正極活物質の分離を促進して篩下に回収される正極活物質の回収率を高くし、さらには、リチウムイオン電池スクラップに含まれるコバルト等の金属を、酸による浸出で溶かしやすい形態に変化させること等を目的として行う。
焙焼工程を経ることにより、リチウムイオン電池スクラップ中のリチウムは、酸化リチウムや炭酸リチウム等の形態となり、この形態のリチウムは水に容易に溶解する。一方、コバルト等の金属は水に溶けにくい。
焙焼工程後のリチウムイオン電池スクラップに含まれる金属の、このような水に対する溶解度の違いを利用して、後述のリチウム溶解工程を行うことにより、リチウムイオン電池スクラップ中のリチウムのみを選択的に取り出し、リチウムイオン電池スクラップの処理における早い段階でリチウムを回収することができる。その結果として、リチウムイオン電池スクラップの処理に使用され得る各種の試薬等に含まれる物質が、最終的に得られる炭酸リチウムに混入することを抑制することができ、高品位の炭酸リチウムが生成される。
このような観点から、焙焼工程では、リチウムイオン電池スクラップを、550℃〜650℃の温度範囲で1時間〜4時間にわたって保持する加熱を行うことが好適である。加熱温度が低すぎるか、時間が短すぎると、リチウムの水に溶けやすい形態への変化が不十分となることが考えられ、リチウム溶解工程で十分多くのリチウムを溶解させることができない懸念がある。一方、加熱温度が高すぎるか、時間が長すぎると、アルミニウムが劣化して破砕の際に粉体状となり、篩下物に多く混入してしまうおそれがある。なお、上記の温度は、リチウムイオン電池スクラップの筐体の表面温度を測定することにより計測可能である。
上記のようにリチウムイオン電池スクラップの温度を制御することができるものであれば、この焙焼工程は、ロータリーキルン炉その他の各種の炉や、大気雰囲気で加熱を行う炉等の様々な加熱設備を用いて行うことができる。
(破砕工程)
上記の焙焼工程でリチウムイオン電池スクラップを加熱した後、この実施形態では、筺体から正極材及び負極材を取り出すための破砕工程を行う。
なお、他の実施形態では、焙焼工程後のリチウムイオン電池スクラップに対し、後述のリチウム溶解工程を行うことができる。この場合、リチウム溶解工程で溶けずに残った残渣に対して、この破砕工程および、その後の篩別工程を行うことができる。
破砕工程は、リチウムイオン電池スクラップの筺体を破壊するとともに、正極活物質が塗布されたアルミニウム箔から正極活物質を選択的に分離させるために行う。
ここでは、種々の公知の装置ないし機器を用いることができるが、特に、リチウムイオン電池スクラップを切断しながら衝撃を加えて破砕することのできる衝撃式の粉砕機を用いることが好ましい。この衝撃式の粉砕機としては、サンプルミル、ハンマーミル、ピンミル、ウィングミル、トルネードミル、ハンマークラッシャ等を挙げることができる。なお、粉砕機の出口にはスクリーンを設置することができ、それにより、リチウムイオン電池スクラップは、スクリーンを通過できる程度の大きさにまで粉砕されると粉砕機よりスクリーンを通じて排出される。
(篩別工程)
破砕工程でリチウムイオン電池スクラップを破砕した後は、この実施形態では、たとえばアルミニウムの粉末を除去する目的で、適切な目開きの篩を用いて、リチウムイオン電池スクラップを篩別する。それにより、篩上には、たとえば、アルミニウムや銅が残り、篩下には、アルミニウムや銅がある程度除去された粉末状のリチウムイオン電池スクラップを得ることができる。
但し、他の実施形態では、破砕工程後に、リチウムイオン電池スクラップ中のリチウムを溶解させる後述のリチウム溶解工程を行うことができ、この場合、リチウム溶解工程で溶けずに残った残渣に対して、篩別工程を行うことができる。
(リチウム溶解工程)
上述した焙焼工程の後、破砕工程の後、または篩別工程の後、リチウム溶解工程で、リチウムイオン電池スクラップを水と接触させ、リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを水に溶解させる。それにより、リチウムイオンを含むリチウム溶解液を得ることができる。
なお、取扱いを考慮すると、焙焼工程、破砕工程および篩別工程のすべてを経た後に、リチウム溶解工程を行うことが好ましい。たとえば、破砕工程前または篩別工程前にリチウム溶解工程を行った場合、リチウム溶解後の残渣を乾燥させる必要がある。
リチウム溶解工程では、先述したように、焙焼工程を経たリチウムイオン電池スクラップ中のリチウムは水に溶解するが、他の金属はほぼ溶解しない。それ故に、ここで、リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを有効に分離させることができる。
リチウムイオン電池スクラップに接触させる水は、具体的には、水道水、工業用水、蒸留水、精製水、イオン交換水、純水、超純水等である。
リチウムを溶解した後に得られるリチウム溶解液は、リチウムの溶解によりpHが高くなるところ、このリチウム溶解液のpHが7〜10となるように、上記の水に硫酸等の酸を添加することもできる。酸の添加は、リチウムの溶解前、溶解中および/または溶解後のいずれの時期であってもよい。最終的に得られるリチウム溶解液のpHが7〜10とすることが好適である。
その理由は、リチウム溶解液のpHが7未満になると、Co等の金属が溶けだすおそれがあり、10を超えると、アルミニウムが溶けだすおそれがあるからである。
リチウムイオン電池スクラップと水との接触方法としては、撒布や浸漬、通液等といった様々な方法があるが、反応効率の観点から、水中にリチウムイオン電池スクラップを浸漬させて撹拌する方法が好ましい。
なお、リチウムイオン電池スクラップと水との接触時の液温は、10℃〜60℃とすることができる。パルプ濃度は、50g/L〜150g/Lとすることができる。このパルプ濃度は、リチウムイオン電池スクラップと接触させる水の量(L)に対するリチウムイオン電池スクラップの乾燥重量(g)の比を意味する。
リチウム溶解工程で、水へのリチウムの浸出率は、30%〜70%であることが好ましく、特に45%〜55%であることがより一層好ましい。
リチウム溶解液のリチウム濃度は、1.0g/L〜3.0g/Lであることが好ましく、特に1.5g/L〜2.5g/Lであることがより一層好ましい。なお、リチウム溶解液には、ナトリウムが0mg/L〜1000mg/L、アルミニウムが0mg/L〜500mg/Lで含まれることがある。
リチウムイオン電池スクラップのうち、水に溶けずに残った残渣は、固液分離により取り出した後、これに対して、公知の方法にて、酸浸出、溶媒抽出、電解採取その他の処理を施して、そこに含まれる各種金属を回収することができる。ここでは、当該残渣についての詳細な説明は省略する。
(リチウム濃縮工程)
リチウム溶解工程で得られたリチウム溶解液は、リチウムイオンが比較的低い濃度で含まれる。リチウム溶解液のリチウムイオンの濃縮させるため、溶媒抽出及び逆抽出によるリチウム濃縮工程を行う。
ここで用いる溶媒抽出剤は、2−エチルヘキシルホスホン酸2−エチルヘキシルまたはジ−2−エチルヘキシルリン酸を含むものであることが好ましい。
このような溶媒抽出剤を用いて溶媒抽出を行うと、リチウムがリチウム溶解液(水相)から溶媒抽出剤(有機相)へ抽出され、そしてこの有機相に対して逆抽出を行う。抽出と逆抽出を複数回にわたって繰り返すと、逆抽出液中のリチウム濃度が上昇し、最終的にリチウムイオンを濃縮することができる。それによりリチウムイオンが高濃度で含まれるリチウム濃縮液を得ることができる。
この溶媒抽出の際のpHは、5.0〜6.5とすることが好ましい。pHが5.0未満である場合は、Liが逆抽出されるおそれがあり、またpHが6.5を超える場合は、高すぎて分相不良となり、工程トラブルを引き起こすおそれがある。
リチウム濃縮液のリチウム濃度は、5.0g/L〜30.0g/Lであることが好ましく、特に10.0g/L〜20.0g/Lあることがより一層好ましい。
(中和工程)
リチウム濃縮液には、リチウムイオン電池スクラップ等に由来するニッケルイオンが、たとえば50g/L〜150g/Lで含まれる場合がある。この場合は、リチウム濃縮液からニッケルを分離させて回収するため、中和工程を行うことができる。
一方、リチウム濃縮液にニッケルが含まれない場合や、含まれていてもごく微量である場合は、この中和工程は省略することができる。
中和工程では、リチウム濃縮液に、カルシウム塩やナトリウム塩等を添加してリチウム濃縮液を中和し、それにより、リチウム濃縮液中のニッケルイオンを固体として沈殿させ、これを固液分離により分離させる。
カルシウム塩としては、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム等を挙げることができ、ナトリウム塩としては、水酸化ナトリウムを挙げることができる。但し、所期したpHまで上げることのできるものであれば、添加剤の種類は特に問わない。
中和前のリチウム濃縮液のpHは、たとえば−1〜2程度であるところ、中和後のリチウム濃出液のpHは、上記のカルシウム塩等の添加により9以上、特に9〜13とすることが好適である。中和後のpHが低すぎる場合は、ニッケルの分離が不十分となり、炭酸リチウムの品位を下げる原因となる可能性がある。一方、中和後のpHが高すぎる場合は、液中に不純物として両性金属が含まれていた場合に、再溶解してしまう可能性がある。
なお、リチウム濃縮液にカルシウム塩等を添加した後、リチウム濃縮液を所定の時間にわたって撹拌して、反応を促進させることができる。なお、反応効率改善の観点から、温度を比較的高くし、撹拌は比較的強く行うことが好ましい。
カルシウム塩等の添加によりニッケルを水酸化物等の所定の化合物として沈殿させた後は、フィルタープレスやシックナー等の公知の装置ないし方法を用いて固液分離を行い、ニッケルを分離させることができる。
中和後液中のニッケル濃度は5mg/L以下、特に1mg/L以下であることが好ましい。
(リチウム炭酸化工程)
リチウム濃縮工程または中和工程の後、リチウム濃縮液に含まれるリチウムを回収するため、リチウム濃縮液に対してリチウム炭酸化工程を行う。ここでは、リチウム濃縮液に炭酸塩を添加し、又は炭酸ガスを吹き込むことにより、リチウム濃縮液中のリチウムイオンを炭酸リチウムとして回収する。
炭酸塩の添加ないし炭酸ガスの吹込み後は、好ましくは液温を50℃〜90℃の範囲内として、必要に応じて撹拌して所定の時間を保持する。
中和後液に添加する炭酸塩としては、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。
炭酸塩の添加量は、たとえば1.0〜2.0倍モル当量、好ましくは1.0〜1.2倍モル当量とすることができる。
このようにして得られた炭酸リチウムのリチウム品位が、目標とする品位より低い場合、必要に応じて、高品位の炭酸リチウムを得るため、炭酸リチウムの精製を行うことができる。なおここで、炭酸リチウムの目標とするリチウム品位は、たとえば16%以上、好ましくは17%以上とすることができる。
炭酸リチウムの精製は具体的には、リチウム濃縮液への炭酸塩の添加等により得られた炭酸リチウムに対してリパルプ洗浄を行うとともに、そこに炭酸ガスを吹き込んで、液中に炭酸を溶解させ、次いで、固液分離により、炭酸水素リチウム液と、カルシウムやマグネシウムなどを分離させる。その後、脱酸・濃縮を行った後、固液分離により、精製炭酸リチウムと濾液とに分離させる。この精製炭酸リチウム中の不純物品位が高い場合は、さらに洗浄を行うことができる。
次に、この発明のリチウム回収方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
焙焼工程、破砕工程および篩別工程をこの順序で行い、篩下(<1mm)の表1に示す二種類のリチウムイオン電池スクラップA、Bを混合し、これをパルプ濃度117g/Lで水に添加し、10℃の液温dで、1hにわたって撹拌した後に2h静置して、リチウム溶解液を得た。その結果を表2に示す。
なお水は、リチウムイオン電池スクラップ中のMn〜Znの1倍モル当量に対して3%の硫酸を添加したものを用いた。
Figure 2020045576
Figure 2020045576
以上より、リチウムイオン電池スクラップ中のリチウムを水に有効に溶解させることができ、リチウム溶解液にはナトリウム等がほとんど含まれないことが解かった。

Claims (7)

  1. リチウムイオン電池スクラップからリチウムを回収する方法であって、リチウムイオン電池スクラップに対し、焙焼工程、破砕工程および篩別工程を順に行うに当り、
    焙焼工程と破砕工程との間、破砕工程と篩別工程との間、または、篩別工程の後、リチウムイオン電池スクラップを水と接触させ、該リチウムイオン電池スクラップに含まれるリチウムを前記水に溶解させて、リチウム溶解液を得るリチウム溶解工程と、
    リチウム溶解液に含まれるリチウムイオンを溶媒抽出するとともに逆抽出し、リチウムイオンを濃縮して、リチウム濃縮液を得るリチウム濃縮工程と、
    リチウム濃縮液中のリチウムイオンを炭酸化し、炭酸リチウムを得る炭酸化工程と
    を含むリチウム回収方法。
  2. リチウム溶解工程を篩別工程の後に行う請求項1に記載のリチウム回収方法。
  3. リチウム濃縮工程で、溶媒抽出および逆抽出を複数回にわたって繰り返し行う請求項1又は2に記載のリチウム回収方法。
  4. リチウム濃縮工程の溶媒抽出に、2−エチルヘキシルホスホン酸2−エチルヘキシルまたはジ−2−エチルヘキシルリン酸を含む溶媒抽出剤を用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
  5. リチウム濃縮工程の溶媒抽出時のpHを5.0〜6.5とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
  6. リチウム濃縮工程で得られるリチウム濃縮液がニッケルイオンを含み、
    炭酸化工程の前に、リチウム濃縮液を中和してニッケルを回収する中和工程をさらに含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
  7. 炭酸化工程で、リチウムイオンの炭酸化を、リチウム濃縮液中への炭酸塩の添加または炭酸ガスの吹込みにより行い、当該炭酸化の際の液温を50℃以上とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
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