JP7228753B2 - 既設道路トンネルの覆工部の改築工事に用いる換気装置 - Google Patents
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Description
特に、従来の補修方法は、補修中はトンネル内を全面通行止めにしたり、或いは危険性を伴う片側規制で施工を行わなければならないという制約があった。
しかしながら、このトンネル補修方法は、既設トンネルの内壁面を所定厚さではつり取りを行うようにしているため、はつり取り時の衝撃によって既設トンネルの内壁の残存部にクラック等の欠陥が新たに発生したり、新たな内壁面を高強度モルタルを塗着することにより構築するようにしているため、耐久性の点で問題があった。
しかしながら、このトンネル補修方法は、切削作業時等に発生した粉塵が、プロテクタ内に流入して、空気を汚し、プロテクタ内を走行する車両の視界を悪くする等の問題があった。
この換気装置は、プロテクタを用いて既設トンネル内部の交通を許容したまま既設トンネルを拡幅する拡幅工事用換気装置に係るものであって、プロテクタに設けられ、プロテクタ外側と既設トンネル内側との空間を切羽側で閉塞する閉塞手段と、プロテクタの切羽側後方の足周りに取り付けた遮断シートと、プロテクタの切羽側上部に設置した排気用送風機と、作業空間後方に設置し、作業区域へ空気を供給する送気用送風機とからなるものであり、閉塞手段で閉ざした作業空間が正圧となるように送気用送風機を運転するものであった。
前記作業空間の切羽進行方向側の端部を閉塞する閉塞手段と、
前記プロテクタの下端縁とトンネルの地面とを遮蔽する遮蔽手段と、
前記作業空間の切羽進行方向と反対側の端部に、トンネルの外から空気を供給する送気手段と、
前記作業空間の切羽進行方向側の端部から、閉塞手段を通して、送気手段によって供給される空気の量よりも多い量の作業空間内の空気を排気する排気手段と
を備えてなることを特徴とする。
この既設道路トンネルの覆工部の改築方法は、例えば、既設の2車線道路トンネル1内に、車両の通行を可能にする1車線の通路を確保するプロテクタ2をトンネル1の長さ方向に沿って移動可能に設け、プロテクタ2をトンネル1の長さ方向に間欠的に移動させながら、トンネル1の内壁面10A、10Bとプロテクタ2の外壁面との間に形成された作業空間3内で既設の覆工コンクリートからなる内壁面10Aを所定厚さで除去する切削作業と、新たな内壁面10Bを構築する内壁面構築作業とを行うようにしたもので、切削作業が、周面に多数のビットを設けたドラムカッタ41を備えた切削機4を用いた切削工程からなるとともに、内壁面構築作業が、作業空間3内でプロテクタ2に対して移動可能に配設した覆工セントル5を用いた覆工コンクリート打設工程からなることを特徴としている。
そして、プロテクタ2は、台車部21を介して、トンネル1の長さ方向に沿って敷設されたレール22上を走行するようにするとともに、油圧ジャッキ等の移動装置23によってトンネル1の長さ方向に間欠的に移動できるようにしている。
また、プロテクタ2は、単位ブロック状に形成したものを、油圧ジャッキ等の間隙調整機構及び単位ブロック状に形成したプロテクタ2間に隙間が生じないようする遮蔽手段を備えた接続部24を介して、複数接続して構成することで、図3に示すように、トンネル1のカーブにも適応できるようにしている。
なお、既設の覆工コンクリートの全体に亘って補修が必要な場合には、その全部を除去することもでき、これを排除するものでない。
このように、切削機4は、プロテクタ2に対して非接触であり、切削機4の自重及び切削時の反力の支持をプロテクタ2が担わないため、プロテクタ2の剛性を高める必要がなく、切削機4の相対的な移動に制約が生じず、切削機4の切削時の振動がプロテクタ2に伝わらず、プロテクタ2の内部で発塵や騒音をなくしたり、軽減することができる。
また、切削屑をプロテクタ2の両側に振り分けて落下させる水平コンベヤ46によって、切削屑の落下や排除によるプロテクタ2に対する衝撃や振動をなくしたり、軽減することができる。
ここで、2台のドラムカッタ41は、ドラムカッタ41の回転支軸の移動支持台43に対する取付位置を移動支持台43の移動方向に対して、互いに逆方向に偏倚して設けた、すなわち、ドラムカッタ41のうち、一方の端部側に配設したドラムカッタ41が、そのドラムカッタ41の回転支軸の移動支持台43に対する位置を移動支持台43の周方向の移動方向に対して一方の端部側に偏倚して設け、他方の端部側に配設したドラムカッタ41が、そのドラムカッタ41の回転支軸の移動支持台43に対する位置を移動支持台43の周方向の移動方向における他方の端部側に偏倚して設けた切削機4を用いて行うようにしている。
これにより、アーチ状に形成された支持部材42の設置角度(移動支持台43の移動角度)よりも実質的に広い範囲で切削を行うようにすることができ、既設の覆工コンクリートからなる内壁面を所定厚さで除去する切削作業を、例えば、トンネル1の踏前部を含むトンネル1の底盤面の位置まで、単一の工程で実施することができるとともに、落下する切削屑を、他の部材に当たって飛散等することなく、水平コンベヤ46で受けることができる。
なお、ドラムカッタ41の台数は、1台又は3台とすることもできる。
そして、アーチ状に形成された支持部材42を安定設置するために、すなわち、支持部材42を切削作業時に所定位置に固定する固定部材として、支持部材42にトンネル1の内壁面に接地するグリッパ装置44及びトンネル路盤面に設置するアウトリガ装置45を付設するようにしている。
また、アーチ状に形成された支持部材42は、台車部47を介して、トンネル1の長さ方向に沿ってプロテクタ2の外側の側方に敷設されたレール48上を走行するようにするとともに、台車部47とレール48を接続する油圧ジャッキ等の移動装置49によって、切削機4をトンネル1の長さ方向に間欠的に移動できるようにしている。ここで、レール48の移動は、アウトリガ装置45によって切削機4を持ち上げた状態で、移動装置49を動作させることによって行うようにしている。
また、切削機4のドラムカッタ41の駆動機構としては、周辺機器や作業環境に合わせて、電動モータや油圧モータを選択的に使用することができる。
これにより、切削屑の搬出作業を行う場所と車両が通行する通路とを完全に分離することができ、これによって、安全性を高めることができる。
この補修、防水シート施工工程は、プロテクタ2の外周囲に移動可能に作業台車82を配置して、トンネル1の内壁面とプロテクタ2の外壁面との間に形成された作業空間3内で作業員が自由に防水シートや補強鉄筋の設置作業をできるようにしている。
このように、覆工セントル5は、プロテクタ2に対して非接触であり、覆工セントル5の自重及び覆工コンクリート打設時の反力の支持をプロテクタ2が担わないため、プロテクタ2の剛性を高める必要がなく、覆工セントル5の相対的な移動に制約が生じないようにすることができる。
この覆工コンクリート打設工程において、覆工セントル5に供給するコンクリートは、トンネル1内のコンクリートポンプ61の位置に到着した生コン車62のドラムミキサに適宜の硬化促進薬剤を直接投入、混練したものを用いることができる。
これにより、打設した覆工コンクリートに急硬性(早強性)を持たせ、タクトタイム(プロテクタ2をトンネル1の長さ方向に間欠的に移動する時間間隔)を短くし、工期の一層の短縮化を図ることができる。
そして、覆工セントル5は、台車部55を介して、トンネル1の長さ方向に沿ってプロテクタ2の外側の側方に敷設されたレール56上を走行するようにするとともに、モータ等の移動装置57によってトンネル1の長さ方向に間欠的に移動できるようにしている。
また、覆工セントル本体51を単独で支持する覆工セントル本体51の四隅に配置した昇降機構52と直列に配した柱状支持部材53、54は、昇降機構52の上端側を覆工セントル本体51に、昇降機構52の下端側を柱状支持部材の内管53の上端側に、内管53の下端側を台車部55に、それぞれ取り付け、内管53を覆工セントル本体51の下部に固定した柱状支持部材の外管54で支持するようにしている。
これにより、覆工セントル本体51の支持構造をコンパクトに構成することができ、トンネル1の内壁面とプロテクタ2の外壁面との間に形成された作業空間3を占有することなく、覆工セントル本体51を安定して支持することができる。
このうち、設備の撤去工程は、プロテクタ2の前方で、作業台車81を用いて行うようにしている。
また、養生シート11の着脱や設備の復旧工程は、プロテクタ2の外周囲に移動可能に作業台車83を配置して、トンネル1の内壁面とプロテクタ2の外壁面との間に形成された作業空間3内で作業員が自由に作業をできるようにしている。
この換気装置9は、図8~図10に示すように、作業空間3の切羽進行方向側の端部を閉塞する閉塞手段(風門)91と、プロテクタ2の下端縁とトンネル1の地面とを遮蔽する遮蔽手段92と、作業空間3の切羽進行方向と反対側の端部に、トンネル1の外から空気を供給する送気手段(送気風管・送気用送風機)93と、作業空間3の切羽進行方向側の端部から、閉塞手段91を通して、送気手段93によって供給される空気の量よりも多い量の作業空間内の空気を排気する排気手段(排気用送風機)94とを備えるようにしている。
そして、閉塞手段(風門)91(後述の作業空間3の切羽進行方向の反対側の端部を閉塞する閉塞手段(風門)99も同様。)及び遮蔽手段92は、バルーンや弾性体、可動の遮蔽板を備えるようにしている。より具体的には、本実施例においては、閉塞手段(風門)91は、閉塞板本体と、閉塞板本体の外縁に取り付けた、トンネル1の内壁面に接触するバルーンとで構成するようにしている。また、遮蔽手段92は、図9に示すように、プロテクタ2の下端部に上下動可能に配設した遮蔽板本体92aと、遮蔽板本体92aの下端縁に取り付けた、トンネル1の地面に接触するシート状の弾性体92bと、遮蔽板本体92aの上端縁に形成した操作片92cとで構成するようにしている。
また、閉塞手段(風門)91(後述の作業空間3の切羽進行方向の反対側の端部を閉塞する閉塞手段(風門)99も同様。)には、作業車や作業者が出入りするためのシートシャッタ91aを設け、作業を効率化できるようにしている。
これにより、プロテクタ2を移動する場合に、バルーンを収縮させたり、可動の遮蔽板を収納することによって、閉塞手段(風門)91や遮蔽手段92が障害にならないようにしている。
また、送気手段93の送気風管の先端には、拡散装置を取り付け、作業空間3内に新鮮な空気を均一に供給するようにしている。
また、排気手段94は、集塵機能(集塵機95)を備えるようにしている。ここで、集塵機95は、プロテクタ2の上部の両側部に配設され、切削機4側から作業空間3内の粉塵を含有した空気を効率よく均一に吸引し、内部に備えたフィルタで除塵を行った後、トンネル1内に排気するようにしている。フィルタで集塵された粉塵は、フィルタを振動させることで払い落とされた後、フライトコンベヤやサイクロン式分離機等を介して集積されるようにする。
これにより、作業空間3内の空気をトンネル1内に排気することができるようにしている。
また、作業空間3内の空気を吸気し、切削作業を行う切削機4に対して、切羽進行方向の反対側から切羽進行方向側に向けて、空気を噴射させる送気装置96を備えるようにしている。ここで、送気装置96は、図10に示すように、吸気・排気側にそれぞれサイレンサ96b、96cを備えたターボファン96aと、ターボファン96aの排気側のサイレンサ96cの出口に接続される半円形状の通気管96dと、通気管96dに略等間隔に形成された噴射ノズルを兼ねた複数(本実施例においては、10個。)の噴射空気の風量調節ダンパ96eとから構成するようにしている。
これにより、切削機4の周囲で粉塵が滞留することを防止することができる。
そして、送気装置96を搭載した構造体を、台車部97を介して、トンネル1の長さ方向に沿ってプロテクタ2の外側の側方に敷設されたレール48上を走行するようにするとともに、トンネル路盤面に設置するアウトリガ装置98を付設するようにし、さらに、切削機4と接続するようにしている。
これにより、1つの移動装置49を用いて、切削機4及び送気装置96を搭載した構造体を、トンネル1の長さ方向に間欠的に移動できるようにしている。
以下に、図11に示す換気装置9との変更点を挙げる。
図11(a)は、排気手段94の排気を、トンネル1の外に直接排気するようにしている。
さらに、作業空間3の切羽進行方向の反対側の端部を閉塞する閉塞手段(風門)99を備えるようにしている。
図11(b)は、排気手段94の排気を、トンネル1の外に直接排気するようにしたもので、排気手段94の集塵機能(集塵機95)を省略したり、簡略化することができる。
さらに、作業空間3の切羽進行方向の反対側の端部を閉塞する閉塞手段(風門)99を備えるようにしている。
図11(c)は、作業空間3の切羽進行方向の反対側の端部を閉塞する閉塞手段(風門)99を備えるようにしている。
ここで、覆工部の改築は、補修の必要がある区間の既設の覆工コンクリートからなる内壁面10Aに対して行うことができ、その必要がない区間については、既設の覆工コンクリートからなる内壁面10Aを残存させるようにして工事を行うことができる(上記実施例の既設の道路トンネルの覆工部の改築方法も同様。)。
そして、プレキャストコンクリートパネル設置装置によって設置されたプレキャストコンクリートパネルの背面側には、裏込モルタル充填機(図示省略)を用いて、プレキャストコンクリートパネルと切削された既設の覆工コンクリートからなる内壁面との空隙にモルタルを充填するようにする。
そして、その後に、照明器具や換気装置等の設備の復旧工程を行うことができる。
なお、この既設の道路トンネルの覆工部の改築方法のその他の構成及び作用は、上記第1実施例の既設の道路トンネルの覆工部の改築方法と同様である。
2 プロテクタ
21 台車部
22 レール
23 移動装置
24 接続部
3 作業空間
4 切削機
41 ドラムカッタ
42 支持部材
43 移動支持台
44 グリッパ装置(固定部材)
45 アウトリガ装置(固定部材)
46 水平コンベヤ
47 台車部
48 レール
49 移動装置
5 覆工セントル
51 覆工セントル本体
52 昇降機構
53 内管(柱状支持部材)
54 外管(柱状支持部材)
55 台車部
56 レール
57 移動装置
61 コンクリートポンプ
62 生コン車
7 搬出装置
71 シャフローダ
72 切削屑キャリヤ
81、82、83 作業台車
9 換気装置
91 閉塞手段(風門)
91a シートシャッタ
92 遮蔽手段
93 送気手段
94 排気手段
95 集塵機
96 送気装置
97 台車部
98 アウトリガ装置
99 閉塞手段(風門)
10A トンネルの内壁面(既設)
10B トンネルの内壁面(新設)
11 養生シート
Claims (2)
- 既設の道路トンネル内に、車両の通行を可能にする通路を確保するプロテクタをトンネルの長さ方向に沿って移動可能に設け、プロテクタをトンネルの長さ方向に間欠的に移動させながら、トンネルの内壁面とプロテクタの外壁面との間に形成された作業空間内で既設の覆工コンクリートからなる内壁面を所定厚さで除去する切削作業と、新たな内壁面を構築する内壁面構築作業とを行うようにした既設道路トンネルの覆工部の改築工事に用いる換気装置において、
前記作業空間の切羽進行方向側の端部を閉塞する閉塞手段と、
前記プロテクタの下端縁とトンネルの地面とを遮蔽する遮蔽手段と、
前記作業空間の切羽進行方向と反対側の端部に、トンネルの外から空気を供給する送気手段と、
前記作業空間の切羽進行方向側の端部から、閉塞手段を通して、送気手段によって供給される空気の量よりも多い量の作業空間内の空気を排気する排気手段とを備え、
前記排気手段が、切削作業によって生じた切削屑をプロテクタの両側に振り分けて落下させる水平コンベヤの切羽進行方向側のプロテクタの上部の両側部に集塵機を備え、作業空間内の空気をトンネル内に排気するようにしてなる
ことを特徴とする既設道路トンネルの覆工部の改築工事に用いる換気装置。 - 前記切削作業を行う切削機に対して、切羽進行方向の反対側から切羽進行方向側に向けて、空気を噴射させる送気装置を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の既設道路トンネルの覆工部の改築工事に用いる換気装置。
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