JP3996818B2 - トンネル拡幅工事用作業台車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル拡幅工事用作業台車に関するもので、特にプロテクタを用いて既設トンネル内部の交通を許容したまま拡幅工事を行う場合の作業台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トンネルは、築造後に、交通量を増加させるために拡幅する場合がある。
既設トンネルを拡幅する場合において、トンネル内の交通を確保しつつ拡幅工事を行うことが望まれており、トンネル上部からの落下物を保護するために断面略門型のプロテクタを設置し、このプロテクタの内部にて交通を確保しつつ高所作業車や、プロテクタを跨ぐ梁部材の大きい作業台車を使用して拡幅工事を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の拡幅工事用の作業台車においては、次のような問題点があった。
<イ>高所作業車を使用する場合は、作業空間を大きく占有するため、切羽作業の工事用車両の通行を阻害し、切羽作業に支障をきたす。
<ロ>プロテクタを跨ぐ作業台車を使用する場合は、スパンが長くなる分だけ梁部材が大きくなったり、作業台車そのものが大型化し、作業台車を設置するスペースがなく、使用することができない場合がある。
<ハ>上記ロの問題点を解消するために、プロテクタに隣接して作業台車を並設したものがあるが、作業台車が門型に形成されているため、支柱の分だけ作業範囲が狭まる。
【0004】
【発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題点に鑑みて考えられたもので、切羽作業の工事用車両の通行を阻害することのないトンネル拡幅工事用作業台車を提供することを目的とする。
また本発明は、作業台車の梁スパンを短くしたトンネル拡幅工事用作業台車を提供することを目的とする。
また本発明は、作業範囲を極力広くしたトンネル拡幅工事用作業台車を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的のうち少なくとも一つを達成するようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するために本発明は、既設トンネルの軸方向に走行可能なプロテクタを用いて既設トンネル内部の交通を許容したまま拡幅工事を行う場合の作業台車であって、前記作業台車を、支柱及び側壁を適宜組み合わせた垂直部材と、この垂直部材の上端から水平に張り出した作業台とから、断面略L字形に形成し、前記作業台の端部のプロテクタ上に乗せた走行装置と、拡幅トンネルの底面に乗せた、前記垂直部材下端の走行装置とによって、作業台車が、トンネルの軸方向に工事車両の通行を確保したまま走行可能に構成したことを特徴とするトンネルの拡幅工事用作業台車を特徴としたものである。
【0006】
ここで、本発明のトンネル拡幅工事用作業台車は、前記プロテクタを移動させるときは、作業台車を固定することができる。
【0007】
【本発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0008】
<イ>全体の構成
図1は、拡幅工事を行う拡幅トンネル5内に作業台車2を設置した状態をトンネル軸方向からみた概略図である。
既設トンネル1上部の覆工壁を取り除く際に落下する落下物から保護するために、断面略門型のプロテクタ3を既設トンネル1内の施工範囲に設置する。
プロテクタ3の内部にて交通を確保しつつ、プロテクタ3の上部に作業台車2を走行可能に設置して拡幅工事を行う。
【0009】
<ロ>既設トンネル
既設トンネル1は、拡幅工事を行う前のトンネルである。
既設トンネル1の底面11に、拡幅工事を行う区間に亘って、レール10を敷設する。
このレール10は、プロテクタ3が走行するためのレールである。
既設トンネル1と平行に、掘削機8などで切羽を掘削して、拡幅トンネル5を施工する(図2参照)。
拡幅トンネル5の底面51に、後述する作業台車2が走行するためのレール50を敷設する。
【0010】
<ハ>作業台車
作業台車2は、支柱及び側壁を適宜組み合わせた垂直部材20と、この垂直部材20の上端からプロテクタ3に向けて水平に張り出した作業台21とからなり、全体の形状が断面略L字形となっている。
作業台車2は、拡幅トンネル5のシート張り作業や鉄筋組立作業等を行うに十分な大きさを有し、拡幅トンネル5内に設置する。
作業台21の下端に車輪25を取り付け、プロテクタ3の屋根32に敷設したレール34に乗せる。
垂直部材20の下端にも車輪24を取り付け、レール50に乗せる。
これによって、作業台車2はトンネル軸方向へ走行することができ、車輪24、25及びレール50、34は作業台車2の走行装置4、40を構成する。
【0011】
なお、走行装置4、40は、車輪24、25とレール50、34を組み合わせたものに限定することなく、タイヤやローラ等の方式でもよい。
作業台車2の垂直部材20及び作業台21には、適宜間隔で受台22や仕切壁23を設置して各種資機材やコンクリート吹付け装置などを設置可能にしている。
【0012】
<ニ>プロテクタ
プロテクタ3は、トンネル1上部からの落下物に対する保護空間を形成するもので、断面の形状を略門型に形成する。
プロテクタ3は、トンネル内の交通を許容するに十分な大きさである。
プロテクタ3は、一定間隔毎に立設される支柱30と、支柱30の間に設置される側壁31と、トンネル1の上部(内面を覆う覆工壁等を含む)からの落下物を防ぐ屋根32とで構成される。
支柱30または側壁31の下部には車輪33が設けられ、既設トンネル1の底面11上に敷設したレール10によって、プロテクタ3はトンネル軸方向へ移動可能である。
屋根32は、例えば支柱30、側壁31の上に配置、固定される周知の横桁、縦桁及び覆工板等により構成し、作業台車2を支え、且つ作業台車2の走行が可能な剛性を有する。
プロテクタ3の外側で、作業台車2の下方には、工事用車両9が通行可能となっている(図1参照)。
なお、プロテクタ3は移動式に限らず、固定式でもよい。
【0013】
<ホ>セントル
セントル6は、拡幅トンネル5の内側に組み立てて設置する移動型枠で、セントル6の外側と拡幅トンネル5の内側との間に形成される空間にコンクリートを打設する。
セントル6は、図示してないが、例えば型枠と移動台車とを組み合わせた鋼製移動型枠等を使用することができる。
コンクリートの打設が終わり、所定の強度を発現してから、次の打設位置へ移動する。
セントル6の移動方法は、電気、エアまたは油圧を動力とする駆動方式でよく、あるいは人力か他の車両にて牽引することでもよい。
【0014】
次に本発明の作業台車を使用した既設トンネルの拡幅工事について簡単に説明する。
【0015】
<イ>作業台車の設置
まず、既設トンネル1の内部に、プロテクタ3を設置する。
プロテクタ3が移動式の場合は、移動範囲にわたってレール10を敷設しておく。
掘削機8等によってプロテクタ3で保護された既設トンネル1の外側を掘削し、既設トンネル1を拡幅し、底面51にレール50を敷設する。
プロテクタ3で保護されているので、例えば既設トンネル1の覆工壁を取り除く際にその破片が落下しても、走行する一般車両90に危険は及ばない。
プロテクタ3の屋根32にレール34を敷設する。
これらレール50、34の敷設区間は、拡幅トンネル5のシート張り作業や鉄筋組立作業等の作業範囲である。
作業台車2を拡幅トンネル5内で組み立てて、車輪24、25を夫々レール50、34に乗せて走行可能に設置する。
本発明では、作業台車2をプロテクタ3上を走行可能に設置しているため、作業台車2の梁スパンを短くしたり、作業台21の中間に走行装置40を設けて支持することができる。
【0016】
<ロ>作業台車の移動
作業台車2を拡幅トンネル5内で走行しながら、シート張り作業や鉄筋組立作業等を行う。
作業台車2には、受台22や仕切壁23が設けられているので、施工箇所に適した各種資機材を設置することができ、作業を行いやすい。
プロテクタ3に走行車輪33を取り付けた移動式プロテクタの場合は、施工現場に応じてプロテクタ3、作業台車2の移動を個別または同時に行うことを可能とし、作業効率を高めることができる。
従来のように移動式プロテクタに隣接して門型の作業台車を並設したのでは、大型の工事用車両の走行に作業台車の支柱が邪魔をして走行に支障が生じていたが、本発明によれば作業台車2をL字形に形成し、その片側をプロテクタ3上に走行可能に載置しているため、大型の工事用車両の走行に支障がない。
【0017】
【本発明の効果】
本発明は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>作業台車を移動式プロテクタの側方で、しかも作業台車の片側を移動式プロテクタ上に走行可能としたので、工事用車両の通行を常時確保しながら、トンネルの拡幅工事を行うことができる。
<ロ>従来のように移動式プロテクタに隣接して門型の作業台車を並設するのと異なり、作業台車をL字形に形成し、その片側を移動式プロテクタ上に走行可能に載置しているため、作業台車の資材を少なくすることができ、また、片方に支柱がない分工事用車両の走行範囲が広がる。
<ハ>作業台車は移動式プロテクタ上を走行可能のため、移動式プロテクタの移動作業に影響させることなく、作業台車を独立して移動しながらトンネル拡幅作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】拡幅トンネルに作業台車を設置した状態を示す概略構成図。
【図2】トンネルの拡幅工事の状態を示す説明図。
【符号の説明】
1・・・・既設トンネル
2・・・・作業台車
20・・・垂直部材
21・・・作業台
3・・・・プロテクタ
4・・・・走行装置
40・・・走行装置
5・・・・拡幅トンネル
8・・・・掘削機
9・・・・工事用車両

Claims (1)

  1. 既設トンネルの軸方向に走行可能なプロテクタを用いて既設トンネル内部の交通を許容したまま拡幅工事を行う場合の作業台車であって、
    プロテクタの外側に作業台車を、その下方に車両の通行が可能なように設置し、
    前記作業台車を、
    支柱及び側壁を適宜組み合わせた垂直部材と、
    この垂直部材の上端から水平に張り出した作業台とから、
    断面略L字形に形成し、
    前記作業台の端部のプロテクタ上に乗せた走行装置と、
    拡幅トンネルの底面に乗せた、前記垂直部材下端の走行装置とによって、
    作業台車が、トンネルの軸方向に工事車両の通行を確保したまま走行可能に構成したことを特徴とする、
    トンネルの拡幅工事用作業台車。
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