JP7227747B2 - 茶葉の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熟成香を有する茶葉の製造方法に関する。
玉露や上級煎茶は、長年の経験上製造直後よりも蔵などの冷暗所で貯蔵したもののほうが味がよいと言われている。具体的には、貯蔵による茶の熟成は青臭みが消え、香味がまろやかになるなどの効果が報告されている(非特許文献1~2)。
緑茶の後熟に関して、20℃での貯蔵では21~35日間程度の貯蔵が味がよい(非特許文献1)、また緑茶、半発酵茶、紅茶の冷涼な環境で茶を貯蔵する方法では、半発酵茶では冷凍貯蔵茶に比べ、41日間貯蔵したクラフトの富士山頂貯蔵茶は青臭い香りが強い等貯蔵方法での差が見られたものの、緑茶、紅茶では特に違いがなかったと報告されている(非特許文献2)。
一方、オゾン処理技術は、一般的に殺菌、除菌、脱臭等に利用されている。茶葉に関する利用としては、加熱された湿潤葉にオゾンを接触させることによる茶ポリフェノールの酸化方法(特許文献1)、生葉にオゾンを接触させることによる殺菌および残留農薬の分解除去方法(特許文献2)が開示されている。その他、生茶葉の香味発揚化としてオゾン処理方法が挙げられ、生茶葉をオゾン処理することで、青臭さ(ヘキサナール)が大幅に減少し、リナロール、ゲラニオール、ネロリドールの減少は僅かであったと報告されている(非特許文献3)。
特開平04-258255号公報 特開2001-057846号公報
静岡県経済産業部振興局研究調整課編、あたらしい農業技術No.611 「富士山頂に貯蔵した茶の熟成効果」平成28年3月 斎藤弘、深津修一、岩堀源五郎,緑茶の後熟に関する研究(第1報 ), 日本茶業技術協会講演要旨 p3、1962年 小林裕和、小川剛史 「茶の萎凋工程におけるオゾン処理の効果」 静岡発世界を結ぶ新世代茶飲料と素材の開発 平成23年度研究成果発表会要旨集 p9
従来の方法(非特許文献1、2)では、茶葉の熟成香を得るには、長期保管を要するため生産性が悪いという課題がある。また、天然物であるため、ばらつきがあり、一定の品質にコントロールすることは困難であった。
一方、強力な酸化力を有するオゾンによる処理では、生茶葉や湿潤茶葉では実施されているものの、殺菌方法、ポリフェノールの酸化を目的としているため、製茶された茶葉を一定の条件で長時間保管した際に発生する熟成香が得られることまでは解明されていない。
非特許文献3では茶葉の萎凋工程中にオゾン処理について開示されているが、発酵が進行している生茶葉と、製茶工程によりすでに失活した茶葉を比較した場合、オゾン処理による反応が異なることは明らかである。また、非特許文献3の生茶葉のオゾンガス処理方法では、カフェイン含量が減少するとの記載があるように茶葉の香味を左右する成分に影響を及ぼしかねない。
したがって、上記問題点を克服し、熟成香を有する茶葉を短時間に、安定して得られる製造方法の提供が望まれていた。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、仕上茶、荒茶等の製茶された茶葉において、オゾンを接触することにより、本発明でいう熟成香、すなわち青臭さが低減され、瑞々しい香味とフローラルなまろやかさを併せ持つ完熟フルーツのような香味を増強、あるいは発現した茶葉が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は
[1]製茶された茶葉に対し、オゾンを接触処理することを特徴とする茶葉の香味改良方法、
[2]前記オゾンを接触処理する際のオゾン濃度が乾燥茶葉重量1kgに対して1mg以上であることを特徴とする茶葉の香味改良方法、
[3]製茶された茶葉にオゾンを接触処理することを特徴とする茶葉の製造方法、
[4]製茶された茶葉の水分含量が10重量%以下である茶葉の製造方法、
[5]前記オゾン濃度が乾燥茶葉重量1kgに対して1mg以上である[3]または[4]に記載の茶葉の製造方法、
[6]上記[3]~[5]のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる茶葉を粉砕することを特徴とする粉末茶葉の製造方法、
[7]前記製茶された茶葉が、粉砕茶葉であることを特徴とする[1]から[5]のいずれか一項に記載の茶葉の製造方法。
[8]次の各香気成分グループ(A)~(E)を有する茶葉
(A)青臭成分 n-ヘキサナール、およびジメチルスルフィド
(B)フローラル成分 α―イオノン、β-イオノン、および5,6-エポキシ-β-イオノン
(C)酸化臭成分 (E,Z)-2,6-ノナジエナール、(E,Z)-3,5-オクタジエン-2-オン、および(E,E)-3,5-オクタジエン-2-オン
(D)(E,Z)-2,6-ノナジエナール
(E)ジメチルスルフィド
について、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS分析法)にて分析した際の各グループ内ピークエリア合計の比が、[(B)/(A)]が3.5以上、[(C)/(A)]が1.4以上、および(E)/(D)が15以下である茶葉、
を提供するものである。
本発明によれば、熟成香、すなわち、不快な青臭が低減しているもの関わらず、瑞々しい香味とフローラルなまろやかさを併せ持つ完熟フルーツのような香味をもつ茶葉を提供することができる。当該茶葉を微粉砕化することで飲食品への熟成香の賦与が可能な微粉砕茶葉を提供することができる。また、熱水などで抽出することにより熟成茶エキスを提供することができる。さらには、これらの茶葉を利用することにより、熟成香を有し、苦渋味が抑制された茶飲料を提供することができる。
以下において本発明を詳細に説明する。
本発明でいう熟成香とは、青臭さが低減され、瑞々しい香味とフローラルなまろやかさを併せ持つ完熟フルーツのような香味である。
本発明の製造に用いる原料茶葉は、ツバキ目ツバキ科ツバキ属の常緑樹である「チャノキ」であるCamellia sinensisの中国種(var.sinensis)、アッサム種(var.assamica)やそれらの雑種から得られる生葉や生茎、あるいはこれらを一次原料として製造された茶葉を使用する。
例えば、煎茶、玉露、覆茶、番茶、茎茶、釜炒緑茶などの不発酵茶の他、不発酵茶に花の香りを移したジャスミン茶や桂花茶などの花茶、白茶などの弱発酵茶、烏龍茶などの半発酵茶、紅茶などの発酵茶、プアール茶などの微生物発酵茶を熟成したものを原料茶葉として使用しても良い。これらの茶葉のうち、着香前の茶葉であることが好ましく、特に発酵前の茶葉、いわゆる緑茶を利用することが好ましい。また、1ヶ月間以上貯蔵した茶葉を利用しても良い。
更には、製茶された茶葉を粉砕してからオゾン処理をしてもよい。粉砕方法については、後述した方法を用いればよい。
粉砕茶葉の粒子径は平均粒子径が1.0μm以上、30.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上20.0μm以下であることがより好ましく、4.0μm以上10.0μm以下であることが更に好ましい。なお、本発明において、平均粒子径は市販のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができ、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(LMS-350(株)セイシン企業)、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製LA―960)を使用することができる。
本発明に使用される原料茶葉の水分含量は10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。10重量%を超える茶葉では、オゾンによる酸化力が強く働き、酸化劣化が起こりやすくなるため、十分な熟成香が得られない。茶葉の水分含量は、乾燥減量法で測定した。具体的には、105℃、4時間乾燥前後の重量を測定して算出した。
本発明の茶葉の製造方法では、製茶された茶葉を密閉容器内に投入し、その中にオゾンを充填することで、一定時間、茶葉とオゾンを接触処理する。
オゾンはオゾン発生器により生じさせることができるが、オゾン発生器は特に限定されず、電子線、放射線、紫外線等高エネルギーの光を酸素に照射する方法や、化学的方法、電解法、放電法等を用いたものが挙げられる。市販品のオゾン発生装置として汎用のオゾン発生器(例えばエコデザイン(株)「ED-OG-AP1」)が挙げられる。処理容器は密閉できるものであれば、形状などは特に限定されないが、回転できる機構を有すると均一な処理ができるため好適である。
茶葉とオゾンを接触処理する際のオゾン濃度は熟成香に富む茶葉を得るためには一定の範囲内にコントロールすることが必要である。
例えば、茶葉を投入後にオゾンを注入する。ドラム内のオゾン濃度は乾燥茶葉重量1kgに対して、1mg以上100mg以下が好ましく、2mg以上50mg以下がより好ましい。更に好ましくは2.5mg以上10mg以下である。オゾン濃度を過剰(例えば茶葉1kgに対して100mgを超える場合)に接触した場合、酸化臭が発生し、単一茶葉としては本発明の熟成香が得られない。
オゾンを充填後の茶葉との接触処理においては、接触時間は10分から2時間が好ましい。その際ドラム回転させて茶葉を攪拌することがより好ましい。
オゾン処理した茶葉は、特に仕上げのための火入れ処理を実施する必要はない点で、長期保存による熟成茶の製造方法とは異なる。
また、オゾン処理後の茶葉は、オゾン処理をしていない茶葉と混合して利用してもよく、熟成香を有する茶葉を混合することによって、熟成香を付与することができる。その際は、必要に応じて火入れしても良い。
本発明の茶葉は青臭さが低減され、瑞々しい香味とフローラルなまろやかさを併せ持つ完熟フルーツのような香味が得られるという特徴を有する。前記香味の特徴は下記の成分である、(A)青臭成分である、n-ヘキサナールおよびジメチルスルフィド、(B)フローラル成分である、α―イオノン、β-イオノンおよび5,6-エポキシ-β-イオノン、(C)酸化臭成分である(E,Z)-2,6-ノナジエナール、(E,Z)-3,5-オクタジエン-2-オンおよび(E,E)-3,5-オクタジエン-2-オンを表す。更に(D)(E,Z)-2,6-ノナジエナール、(E)ジメチルスルフィドを加えて、茶葉をガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS分析法)にて分析し、各々の香気成分のピークエリアから(A)~(C)のグループ毎については合計した結果と(D)と(E)を評価対象とする。
本発明で得られる茶葉では、(A)青臭成分に対する(B)フローラル成分の比が[(B)/(A)]が3.5以上、(A)青臭成分に対する(C)酸化臭成分の比が[(C)/(A)]が1.4以上、および(E)/(D)が15以下である。上記香気成分を以上のような範囲に設定することにより、青臭さと瑞々しさとフローラルな香気をバランスよく発現することができる。これらの比は、 [(B)/(A)]が4.0以上、[(C)/(A)]が1.8以上、および(E)/(D)が9以下であることがより好ましい。
本発明の茶葉は抽出して、熟成香を有する茶抽出液を製造することができる。
本発明における茶葉の抽出方法としては、ニーダーや抽出用タンクなどを用いたバッチ式抽出法や抽出塔などを用いたカラム式抽出法などの公知の方法が挙げられる。抽出の条件は該茶葉の種類、抽出機の種類、風味などにより適宜選択されるものであるが、例えば茶葉1重量部に対して3~50重量部の抽出溶媒を用いれば良く、4~30重量部が抽出効率、製造コストおよび品質などの点で好ましい。抽出溶媒は水、温水、熱水を用いるのが、安全上問題が無く好ましい。抽出温度は特に制限されないが、10~100℃が好ましく、15~40℃がより好ましい。抽出時間は抽出溶媒の量や抽出温度にも依存するが、30秒~6時間、好ましくは3分~3時間、さらに好ましくは4分~1時間が良い。抽出時は必要に応じて撹拌を行い、上記抽出工程の後にカートリッジフィルター、ネルろ布、ろ過板、ろ紙、ろ過助剤を併用したフィルタープレスなどのろ過や遠心分離などにより固液分離して茶抽出液を得るようにすれば良い。また、抽出工程においては茶抽出液の酸化を抑制するために酸化防止剤を添加しても良い。酸化防止剤としては、食品添加物として認められているアスコルビン酸、エリソルビン酸またはそれらの金属塩などが挙げられる。
本発明の茶葉を抽出して得られた液体状エキスは各種飲食物製造用途への添加素材として利用することもできるし、茶エキスを乾燥してそのままインスタント茶飲料にすることもできる。本発明の熟成茶エキスを添加する対象としては茶飲料の他、スポーツ飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳飲料、酒類などの飲料類、アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類などの冷菓類、和・洋菓子類、チューインガム類、チョコレート類、パン類、各種のスナック類などが挙げられる。
液体状エキスを配合して容器詰茶飲料を製造する場合、製造工程のいずれかの段階で殺菌を行い、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるペットボトル)、瓶などの通常の状態で提供することができる。金属缶や瓶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合は、レトルト殺菌(110~140℃、1~数十分間)により製造されるが、ペットボトルや紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、充填前に、例えばプレート式熱交換機などで高温短時間殺菌(UHT殺菌:110~150℃、1~数十秒間)し、一定の温度まで冷却後、あらかじめ殺菌された容器に充填するなどの方法が選択できる。該茶飲料のpHは25℃換算値で5.5~7.0に調整するのが好ましい。
また、本発明の茶葉を粉砕して利用することができる。粉砕方法については、所望の粒子径に加工できれば特に限定されるものではなく、一般的に知られる粉砕機、例えば気流式粉砕機、機械式粉砕機、ボールミル、石臼等を用いて微粉末化すればよい。粉砕方式は、乾式粉砕、湿式粉砕、凍結粉砕があり特には限定されない。
微粉砕茶葉の粒子径は、平均粒子径が1.0μm以上、30μm以下であることが好ましく、3.0μm以上20μm以下であることがより好ましく、4.0μm以上10μm以下であることが更に好ましい。平均粒子径が1.0μm未満の場合は、固結は抑制されるが、製造時に茶葉が舞いやすく、製造装置への付着が多くなるなど作業性が悪くなる。平均粒子径が30μmを超える場合は、ざらつき感や渋みが残りやすく、飲用として不適である。なお、本発明において、平均粒子径は、前述と同様に粒度分布測定装置により測定することができる。得られた粉砕茶葉は、インスタント粉末飲料、ティーバッグ用、液体飲料の添加用として利用することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
<試験例1>
<オゾン処理茶葉の製造方法>
製造用ドラム(容積21.5L)に、水分含量5%の荒茶(2番茶)2.78kgを投入後、荒茶に対して、オゾン発生器(エコデザイン株式会社製ED-OG-AP1)でオゾンガスを充填した。その後、ドラムを密閉、ドラムごと回転させて、茶葉を撹拌させた。詳細な試験条件等と評価結果を表1に示す。尚、オゾン処理は室温で実施した。
また、ドラム内オゾン濃度は、体積濃度で算出した。
Figure 0007227747000001
上記操作によって得られた比較例1、2および実施例1~4の茶葉について、以下に示す条件にて香気成分、タンニン量、カフェイン量を分析した。
<香気成分の分析方法>
フードプロセッサーで粉砕した茶葉200mgおよび塩化ナトリウム3gを20mLバイアルに入れ、水10mL(内部標準物質としてシクロヘプタノール(東京化成工業(株)製)を終濃度で500ppbとなるように添加)を加えた。このサンプル液について固相マイクロ抽出法(Solid Phase Micro Extraction:SPME)を用いたGC/MS分析に供した。評価は各香気成分のピークエリアと内部標準物質のピークエリアの比によって求めた。
<SPME-GC/MS条件>
GC:TRACE GC ULTRA(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
MS:TSQ QUANTUM XLS(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
SPMEファイバー:50/30μm Divinylbenzene/Carboxen/Polydimethylsiloxane Stableflex
抽出:60℃、30分
カラム:SUPELCO WAX10(0.25mmI.D.×60m×0.25μm、シグマアルドリッチ社製)
オーブンプログラム:40℃で2分間保持した後、160℃まで3℃/分で昇温し、その後280℃まで10℃/分で昇温
キャリアーガス:ヘリウム(100kPa、一定圧力)
インジェクター:スプリットレス、240℃
イオン化:電子イオン化
イオン化電圧:70eV
<タンニンの測定方法>
タンニンの定量は「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」(日本食品分析センター編、中央法規、2001年7月)の252~254ページに記載の酒石酸鉄吸光光度法に従って行った。なお、定量用標準物質には没食子酸エチル(東京化成工業(株)製)を用い、調製溶液には1M塩酸を0.4%添加した32%メタノール(v/v)を用いた。また、本発明においてタンニンは茶に含まれるポリフェノールのことであり、茶ポリフェノールや茶タンニン等の用語と同義に扱う。
<カフェインの測定方法>
カフェインの定量はHPLC分析法により次の条件で行った。
標準物質:カフェイン(関東化学(株)製)
装置:Alliance HPLCシステム(ウォーターズ社製)
カラム:Poroshell 120 EC‐C18(4.6×100mm,粒子径2.7μm、アジレント社製)
カラム温度:40℃
移動相:A液0.05%リン酸水/アセトニトリル=1000/25(体積比)、B液メタノール
グラジエントプログラム:0~1分(B液0%)、1~11分(B液0~33%)、11~11.25分(B液33~95%)、11.25~13.25分(B95%)、13.25~13.5分(B液95~0%)、13.5~15.5分(B液0%)
流速:1.5mL/min
検出:UV275nm
香気成分の測定結果を表2に示す。
Figure 0007227747000002
<発明品および比較品の官能評価>
試験例1の比較例と実施例で得られた茶葉をイオン交換水で60倍に希釈し、パネリスト5名により熟成香として青臭さ、瑞々しさおよびフローラルなまろやかさ、並びに茶特有の苦渋味について官能評価を行った。評価基準を以下に示す。
(青臭さの評価基準)
飲用時に感じる青臭さを評価した。
評価点:4(感じられない)、3(あまり感じられない)、2(感じられる)1(強く感じられる)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7~3.3を○、1.7~2.6を△、1.6以下を×とした。
(フローラルなまろやかさの評価基準)
飲用時に感じるフローラルなまろやかさを評価した。
評価点:4(強く感じる)、3(感じる)、2(わずかしか感じない)、1(ほとんど感じない)
評価:5人の平均評価点が、3.5以上を◎、2.7~3.4を○、1.5~2.6を△、1.5以下を×とした。
(瑞々しさの評価基準)
飲用時に感じる瑞々しさを評価した。
評価点:4(強く感じる)、3(感じる)、2(わずかしか感じない)、1(ほとんど感じない)
評価:5人の平均評価点が、3.5以上を◎、2.7~3.4を○、1.5~2.6を△、1.5以下を×とした。
(苦渋味の評価基準)
茶本来の苦渋味を感じるかを評価した。
評価点:4(強く感じる)、3(感じる)、2(わずかしか感じない)、1(ほとんど感じない)
評価:5人の平均評価点が、3.5以上を◎、2.7~3.4を○、1.5~2.6を△、1.5以下を×とした。
(熟成香総合評価)
熟成香の評価として、青臭さ、フローラルなまろやか、瑞々しさの評価で×が少なくとも一つある場合は×、×がなく△が少なくとも一つある場合は△、×および△がなく○のみの場合は○、×および△がなく◎が1つ以上の場合は◎とした。
(総合評価)
熟成香の総合評価、苦渋味、香気成分の評価を総合的に評価した。×が少なくとも一つある場合は×、×がなく△が少なくとも一つある場合は△、×および△がなく○のみの場合は○、×および△がなく◎が1つ以上の場合は◎とした。
評価結果を表3に示す。
Figure 0007227747000003
実施例1~4ではフローラルなまろやかな熟成香が感じられ、青臭さは無かった。フローラルな香味は特に飲用した後に口の中に残り、茶本来の苦渋味がまろやかに感じられた。比較品1~2では熟成香が十分に感じられなかった。比較品1は青臭さが強く感じられた。実施例4は、実施例3と比較して、わずかではあるが、酸化臭が感じられた。
また、オゾン処理によって、茶独特な風味である苦渋味は損失することはなかった。
また、試験例1の茶葉3gに熱湯150mLを注いで3分間抽出させ、茶殻を取り除くことにより調製したものを用いて、上記の酒石酸鉄法によるタンニン、HPLC分析法によりカフェイン茶葉のタンニン量、カフェイン量は分析した結果、オゾン処理の有無による違いはなかった。本発明の方法では、タンニン、カフェインが減少することなく、茶葉本来の苦渋味が保持されることがわかった。
<試験例2>
茶葉を仕上茶(茶葉水分含量3%)にした以外は試験例1の実施例1と同様に、オゾン処理を実施した。その結果、青臭さが低減され、瑞々しい香味とフローラルなまろやかさを併せ持つ完熟フルーツのような香味の茶葉が得られた。
<試験例3>
対象茶葉を粉砕茶葉に変更した以外は、試験例1と同様にオゾン処理を実施した。試験例1と同様の茶葉をジェットミル((株)セイシン企業製)で粉砕した後、100メッシュの篩で未粉砕物や異物を除去して得た平均粒子径10.0μmの粉砕茶葉を実施例5乃至7に使用した。
同様に作製した平均粒子径20.0μm、30.0μmの粉砕茶葉を実施例8乃至13に使用した。オゾン処理をしていないものを比較例3乃至5とした
また、トルネードミル(三庄インダストリー(株)製)により粉砕し、上記同様に作製した平均粒子径40.0μmの粉砕茶葉を比較例6乃至9に使用した。
尚、粒子径の測定は、水を分散媒として、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(粒度分布)LA―960((株)堀場製作所製)を用いて行い、体積基準での累積50%径を平均粒子径として示した。得られた粉砕茶葉を表4に示す条件でオゾン処理を実施した。
Figure 0007227747000004
試験例3で得られたオゾン処理した粉砕茶葉をイオン交換水で90倍に希釈し、試験例1と同様に官能評価を実施した。オゾン処理をしていない比較例3乃至6についても実施例と同様に官能評価を実施した。評価結果を表5に示す。
この結果より、粉砕茶葉においても、オゾン処理の効果が十分に得られることがわかった。
Figure 0007227747000005
[製造例1]インスタント粉末茶
実施例1で得られた茶葉をエアータグミル(ミクロパウテック(株)製)で粉砕した後、100メッシュの篩で未粉砕物や異物を除去し、微粉砕茶葉を製造した。デキストリン、ビタミンCを配合してインスタント粉末茶を調製した。配合は下記に示す。
1.デキストリン 74.0重量%
2.実施例1 23.0重量%
3.ビタミンC 3.0重量%
[製造例2]容器詰茶飲料
実施例3で得られた茶葉(100g)を抽出、温水(40℃)3000gに投入した。10分間の撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28,アドバンテック(株)製)でろ過を行い、抽出液を2380g得た。アスコルビン酸濃度30mg/100mL、タンニン量55mg/100mLとなるよう、水で調整した。更にpH6.8となるように重曹を加えて調合液を調製した。調合液をレトルト殺菌(121℃、10分間)して容器詰茶飲料を得た。
前記のように官能評価を行った結果、まろやかな熟成香を有する容器詰茶飲料が得られた。
本発明の製造方法により、長期間を要する熟成香を有する茶葉の製造が、短時間に得ることができる。また、熟成茶葉を茶飲料に利用することによって、まろやかな熟成香を有する茶飲料を提供することができる。

Claims (6)

  1. 製茶された緑茶葉に対し、オゾンを接触処理することを特徴とする緑茶葉の香味改良方法であって、オゾンを接触処理する際のオゾン濃度が乾燥茶葉重量1kgに対して1mg以上であることを特徴とする緑茶葉の香味改良方法。
  2. 製茶された緑茶葉にオゾンを接触処理することを特徴とする緑茶葉の製造方法であって、オゾン濃度が乾燥茶葉重量1kgに対して1mg以上であることを特徴とする緑茶葉の製造方法。
  3. 製茶された緑茶葉の水分含量が10重量%以下である、請求項に記載の緑茶葉の製造方法。
  4. 請求項2または3のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる緑茶葉を粉砕することを特徴とする粉末緑茶葉の製造方法。
  5. 前記製茶された緑茶葉が、粉砕緑茶葉であることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の緑茶葉の製造方法。
  6. 製造される緑茶葉が、次の各香気成分グループ(A)~(E)を有し、
    (A)青臭成分 n-ヘキサナール、およびジメチルスルフィド
    (B)フローラル成分 α―イオノン、β-イオノン、および5,6-エポキシ-β-イオノン
    (C)酸化臭成分 (E,Z)-2,6-ノナジエナール、 (E,Z)-3,5-オクタジエン-2-オン、および(E,E)-3,5-オクタジエン-2-オン
    (D)(E,Z)-2,6-ノナジエナール
    (E)ジメチルスルフィド
    について、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS分析法)にて分析した際の各グループ内ピークエリア合計の比が、[(B)/(A)]が3.5以上、[(C)/(A)]が1.4以上、および(E)/(D)が15以下である緑茶葉であるを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の緑茶葉の製造方法。
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