JP7227662B1 - 電磁気妨害低減装置及び電気回路の設計方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、入力側及び出力側のディファレンシャルモード等価抵抗値にかかわらず、ディファレンシャルモードインピーダンス及びコモンモードインピーダンスをそれぞれ整合させ、EMCを改善する電気回路を開示している。
この発明は、例えばこのような課題を解決し、EMC(特にEMI)を改善することを目的とする。
を有する電磁気妨害低減装置を設計する設計方法は、前記電磁気妨害低減装置が低減すべきノイズの最低周波数を設定する最低周波数設定工程と、前記最低周波数設定工程で設定した前記最低周波数に基づいて、前記最低周波数に反比例する伝送路長さを算出する伝送路長さ算出工程と、前記第一の長さを、前記伝送路長さ算出工程で算出した前記伝送路長さ以上の長さに設定する第一長さ設定工程と、前記第二の長さを、前記伝送路長さ算出工程で算出した前記伝送路長さ以上の長さに設定する第二長さ設定工程とを有する。
前記設計方法は、前記第一接地抵抗と前記第二接地抵抗と前記入力側抵抗と前記第一抵抗と前記第二抵抗と前記第三接地抵抗と前記第四接地抵抗と前記出力側抵抗との抵抗値を設定する抵抗値設定工程と、前記抵抗値設定工程で設定した抵抗値に基づいて、前記電気回路の入力側及び出力側のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値をそれぞれ算出する等価抵抗値算出工程と、前記入力側伝送路のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値が、前記等価抵抗値算出工程で算出した前記電気回路の入力側のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値と整合するよう、前記入力側伝送路を設計する入力側伝送路設計工程と、
前記出力側伝送路のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値が、前記等価抵抗値算出工程で算出した前記電気回路の出力側のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値と整合するよう、前記出力側伝送路を設計する出力側伝送路設計工程とを更に有してもよい。
前記設計方法は、前記第一接地抵抗と前記第二接地抵抗と前記入力側抵抗と前記第三接地抵抗と前記第四接地抵抗と前記出力側抵抗とを接続せず、前記第一抵抗と前記第二抵抗との代わりにジャンパー抵抗を接続した前記電磁気妨害低減装置を試作する試作工程と、前記試作工程で試作した前記電磁気妨害低減装置の前記入力側伝送路の出力側及び前記出力側伝送路の入力側のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値を測定する等価抵抗値測定工程と、前記等価抵抗値測定工程で測定した等価抵抗値に基づいて、前記第一接地抵抗と前記第二接地抵抗と前記入力側抵抗と前記第一抵抗と前記第二抵抗と前記第三接地抵抗と前記第四接地抵抗と前記出力側抵抗との抵抗値を設定する抵抗値設定工程とを更に有してもよい。
前記設計方法は、前記電磁気妨害低減装置が透過すべき信号の周波数を設定する信号周波数設定工程と、前記信号周波数設定工程で設定した前記信号の周波数に基づいて、前記信号の周波数に反比例する立ち上がり時間を算出する立ち上がり時間算出工程とを更に有し、前記等価抵抗値測定工程において、前記立ち上がり時間算出工程で算出した立ち上がり時間以下の立ち上がり時間を有する信号を用いて、時間領域反射率測定法で等価抵抗値を測定してもよい。
第一入力端子と、第二入力端子と、第一出力端子と、第二出力端子と、接地端子と、前記第一入力端子と前記接地端子との間に電気接続された第一接地抵抗と、前記第二入力端子と前記接地端子との間に電気接続された第二接地抵抗と、前記第一入力端子と前記第二入力端子との間に電気接続された入力側抵抗と、前記第一入力端子と前記第一出力端子との間に電気接続された第一抵抗と、前記第二入力端子と前記第二出力端子との間に電気接続された第二抵抗と、前記第一出力端子と前記接地端子との間に電気接続された第三接地抵抗と、前記第二出力端子と前記接地端子との間に電気接続された第四接地抵抗と、前記第一出力端子と前記第二出力端子との間に電気接続された出力側抵抗とを有する電気回路を設計する設計方法は、以下の条件1から条件4をすべて満たす抵抗値R1,R2,R3,R4,R5を算出し、前記第一接地抵抗及び前記第二接地抵抗の抵抗値を、算出した前記抵抗値R1に設定し、前記第三接地抵抗及び前記第四接地抵抗の抵抗値を、算出した前記抵抗値R5に設定し、前記第一抵抗及び前記第二抵抗の抵抗値を、算出した前記抵抗値R3に設定し、算出した前記抵抗値R2が正の値である場合に、前記入力側抵抗の抵抗値を前記抵抗値R2に設定し、算出した前記抵抗値R2が負の値である場合に、前記入力側抵抗の抵抗値を1kΩ以上の所定の値に設定し、算出した前記抵抗値R4が正の値である場合に、前記出力側抵抗の抵抗値を前記抵抗値R4に設定し、算出した前記抵抗値R4が負の値である場合に、前記出力側抵抗の抵抗値を1kΩ以上の所定の値に設定する抵抗値設定工程を備え、(条件1)R3/R1=√(R01・R03+R32)/R01-1、(条件2)R3/R5=√(R01・R03+R32)/R03-1、(条件3)R3/r2=√(Z1・Z2+R32)/Z1-1、(条件4)R3/r4=√(Z1・Z2+R32)/Z2-1。ただし、r2=R1・R2/(2・R1+R2)、r4=R5・R4/(2・R5+R4)、Z1=R01・R02/(2・R01+R02)、Z2=R03・R04/(2・R03+R04)、R01=2・Wc1、R02=4・Wd1・Wc1/(4・Wc1-Wd1)、R03=2・Wc2、R04=4・Wd2・Wc2/(4・Wc2-Wd2)、Wc1は、前記第一入力端子及び前記第二入力端子に電気接続される入力側外部回路のコモンモード等価抵抗値、Wd1は、前記入力側外部回路のディファレンシャルモード等価抵抗値、Wc2は、前記第一出力端子及び前記第二出力端子に電気接続される出力側外部回路のコモンモード等価抵抗値、Wd2は、前記出力側外部回路のディファレンシャルモード等価抵抗値を、それぞれ示す。
前記設計方法は、前記抵抗値設定工程において、算出した前記抵抗値R2が負の値である場合に、前記第一入力端子と前記第二入力端子との間に前記入力側抵抗を電気接続しないこととしてもよい。
前記設計方法は、前記抵抗値設定工程において、算出した前記抵抗値R4が負の値である場合に、前記第一出力端子と前記第二出力端子との間に前記出力側抵抗を電気接続しないこととしてもよい。
前記設計方法は、前記抵抗値設定工程において、前記第一接地抵抗と、前記第二接地抵抗と、前記入力側抵抗と、前記第一抵抗と、前記第二抵抗と、前記第三接地抵抗と、前記第四接地抵抗と、前記出力側抵抗との抵抗値として、所定の複数の抵抗値のなかから選択した抵抗値を設定してもよい。
前記設計方法は、前記電気回路における損失量を設定する損失量設定工程を更に有し、前記抵抗値設定工程において、前記電気回路における損失量が、前記損失量設定工程で設定する損失量になるよう、前記抵抗値を設定してもよい。
電磁気妨害低減装置10は、例えば、プリント配線板11の上にエッチングなどにより形成されたプリント配線パターンと、プリント配線板11の上に実装されたチップ抵抗とによって構成される。
接地パターン12は、プリント配線板11の裏面に形成された接地パターンにビアホールなどを介して電気接続されている。
入力側伝送路13の長さは、後述するとおり、電磁気妨害低減装置10が低減すべきノイズの周波数に基づいて設定される。
出力側伝送路14の長さは、入力側伝送路13と同様、電磁気妨害低減装置10が低減すべきノイズの周波数に基づいて設定される。
入力端子パターン51は、入力側伝送路パターン31に電気接続している。
入力端子パターン52は、入力側伝送路パターン32に電気接続している。
出力端子パターン53は、出力側伝送路パターン41に電気接続している。
出力端子パターン54は、出力側伝送路パターン42に電気接続している。
接地端子パターン55~58は、接地パターン12に電気接続している。
接地抵抗61は、入力端子パターン51と接地端子パターン55との間に電気接続されている。
接地抵抗62は、入力端子パターン52と接地端子パターン56との間に電気接続されている。
接地抵抗63は、出力端子パターン53と接地端子パターン57との間に電気接続されている。
接地抵抗64は、出力端子パターン54と接地端子パターン58との間に電気接続されている。
入力側抵抗65は、入力端子パターン51と入力端子パターン52との間に電気接続されている。
第一抵抗66は、入力端子パターン51と出力端子パターン53との間に電気接続されている。
第二抵抗67は、入力端子パターン52と出力端子パターン54との間に電気接続されている。
出力側抵抗68は、出力端子パターン53と出力端子パターン54との間に電気接続されている。
ケーブルから外部にノイズが放射されるのは、ケーブルがアンテナの役割を果たすからであり、放射されるノイズは、ケーブルを流れる電流に比例する。特に問題となるのは、ケーブルを含む範囲の両端で反射が発生し、共振が起きる場合である。
電磁気妨害低減装置10は、電気回路15の第一抵抗66及び第二抵抗67による減衰を伴う。このため、共振が起きる可能性がある範囲内に電磁気妨害低減装置10を設けることにより、ノイズを減衰させ、共振の発生を防ぐことができる。
有線通信システム100は、送信装置110と、受信装置120とを有し、その間をケーブル131によって有線接続している。送信装置110は、プリント配線板111の上に設けられた送信回路(不図示)と、その出力に電気接続されたレセプタクル112とを有する。受信装置120は、プリント配線板121の上に設けられた受信回路(不図示)と、その入力に電気接続されたレセプタクル122とを有する。ケーブル131の一方の端には、プラグ132が設けられ、レセプタクル112に接続される。ケーブル131のもう一方の端には、プラグ133が設けられ、レセプタクル122に接続される。
これを防ぐため、通常は、インピーダンス整合回路を、プリント配線板111,121にレセプタクル112,122をはんだ付けしたはんだ付け部に設け、反射を低減する。
このため、電磁気妨害低減装置10は、反射が発生する位置よりもケーブル131に近い位置であれば、どこに設けてもよい。例えば、レセプタクル112の内部や、レセプタクル112とプラグ132との間の接続点や、プラグ132の内部に設けてもよい。
反射は、複数の位置で発生する可能性があるので、その点を考慮すると、電磁気妨害低減装置10は、なるべくケーブル131に近い位置に設けることが好ましい。したがって、電磁気妨害低減装置10は、プラグ132の内部に設けることが好ましい。
伝送路長さ設定処理70では、入力側伝送路13及び出力側伝送路14の長さを決定する。
伝送路長さ設定処理70は、例えば、最低周波数設計工程71と、伝送路長さ算出工程72と、第一長さ設定工程73と、第二長さ設定工程74とを有する。
なお、送信装置110で発生するノイズの周波数は、有線通信システム100が扱う信号の周波数や、その周波数を基本周波数とする高調波の周波数であることが多い。このため、有線通信システム100が扱う(すなわち、電磁気妨害低減装置10を透過する)信号の周波数を、最低周波数fとして設定してもよい。
p=λ/8
ただし、λは、周波数fにおける波長を示し、λ=c0/(f・√εe)、c0は、真空中における光速を示す。εeは、プリント配線板11の実効比誘電率を示す。
例えば、εe=3.31である場合、f=2.06GHz(ギガヘルツ)のとき、p=10.0mm(ミリメートル)、f=1.03GHzのとき、p=20.0mmとなる。
このため、周波数fにおける実効特性インピーダンスは、長さpの範囲内にある伝送路(又は回路)の特性インピーダンスの影響を受ける。
上述したとおり、入力側伝送路13及び出力側伝送路14は、その長さにわたって一定の特性インピーダンスを有する。このため、伝送路の長さをp以上とすれば、周波数fよりも高い周波数における実効特性インピーダンスは、安定した値となる。
そして、その特性インピーダンスに整合するよう、電気回路15を設計することにより、EMIを改善することができる。
伝送路設計処理80では、電気回路15の各抵抗の抵抗値を先に決定し、それに特性インピーダンスが整合するように、入力側伝送路13及び出力側伝送路14を設計する。
伝送路設計処理80は、例えば、損失量設定工程81と、抵抗値設定工程82と、等価抵抗値算出工程83と、入力側伝送路設計工程84と、出力側伝送路設計工程85とを有する。
なお、ケーブル131の両側に電磁気妨害低減装置10を設ける場合は、送信装置110側における損失量と、受信装置120側における損失量とが異なってもよく、送信装置110側における損失量のほうが、受信装置120側における損失量よりも大きいことが好ましい。
Sd=(Z2・Ad+Bd+Z1・Z2・Cd+Z1・Dd)/2√(Z1・Z2)
Sc=(R03・Ac+Bc+R01・R03・Cc+R01・Dc)/2√(R01・R03)
ただし、
Ad=1+R3/r4、
Bd=R3、
Cd=(r2+R3+r4)/(r2・r4)、
Dd=1+R3/r2、
Ac=1+R3/R5、
Bc=R3、
Cc=(R1+R3+R5)/(R1・R5)、
Dc=1+R3/R1、
r2=R1・R2/(2・R1+R2)、
r4=R5・R4/(2・R5+R4)、
Z1=R01・R02/(2・R01+R02)、
Z2=R03・R04/(2・R03+R04)、
R01=2・Wc1、
R02=4・Wd1・Wc1/(4・Wc1-Wd1)、
R03=2・Wc2、
R04=4・Wd2・Wc2/(4・Wc2-Wd2)、
Sdは、電気回路15におけるディファレンシャル信号の損失量、
Scは、電気回路15におけるコモン信号の損失量、
R1は、接地抵抗61及び接地抵抗62の抵抗値、
R2は、入力側抵抗65の抵抗値、
R3は、第一抵抗66及び第二抵抗67の抵抗値、
R4は、出力側抵抗68の抵抗値、
R5は、接地抵抗63及び接地抵抗64の抵抗値、
Wc1は、入力側伝送路13のコモンモード等価抵抗値、
Wd1は、入力側伝送路13のディファレンシャルモード等価抵抗値、
Wc2は、出力側伝送路14のコモンモード等価抵抗値、
Wd2は、出力側伝送路14のディファレンシャルモード等価抵抗値
をそれぞれ示し、以下の条件を満たす。
(条件1)R3/R1=√(R01・R03+R32)/R01-1、
(条件2)R3/R5=√(R01・R03+R32)/R03-1、
(条件3)R3/r2=√(Z1・Z2+R32)/Z1-1、
(条件4)R3/r4=√(Z1・Z2+R32)/Z2-1。
Sd=(R3+√(Z1・Z2+R32))/√(Z1・Z2)
Sc=(R3+√(R01・R03+R32))/√(R01・R03)
となる。
そこで、例えば、この式によって求められるSd及びScが、損失量設定工程81で設定した範囲に入るように、各抵抗の抵抗値R1~R5を決定する。
ここで、上述した条件1~条件4は、電気回路15の入力側及び出力側のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値が、入力側伝送路13及び出力側伝送路14の特性インピーダンスと整合するための条件なので、上述した式に出てきたWc1は、電気回路15の入力側のコモンモード等価抵抗値に一致し、Wd1は、電気回路15の入力側のディファレンシャルモード等価抵抗値に一致し、Wc2は、電気回路15の出力側のコモンモード等価抵抗値に一致し、Wd2は、電気回路15の出力側のディファレンシャルモード等価抵抗値に一致する。
したがって、上述した式に出てきたWc1,Wd1,Wc2,Wd2の値を計算すれば、電気回路15の入力側及び出力側のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値を算出することができる。
例えば、以下の式を計算することにより、Wc1,Wd1,Wc2,Wd2の値を計算する。
Wc1=√(R1・R3・R5/(R1+R3+R5)・(1+R3/R5)/(1+R3/R1))/2
Wd1=2・√(r2・R3・r4/(r2+R3+r4)・(1+R3/r4)/(1+R3/r2))
Wc2=√(R1・R3・R5/(R1+R3+R5)・(1+R3/R1)/(1+R3/R5))/2
Wd2=2・√(r2・R3・r4/(r2+R3+r4)・(1+R3/r2)/(1+R3/r4))
入力側伝送路13の特性インピーダンスは、入力側伝送路パターン31,32の幅及び厚さ、入力側伝送路パターン31,32の間の間隔、プリント配線板11の厚さ、プリント配線板11の比誘電率などによって定まる。このうち、設計の自由度が高いのは、入力側伝送路パターン31,32の幅と、入力側伝送路パターン31,32の間の間隔とである。したがって、入力側伝送路13のディファレンシャルモード等価抵抗値がWd1に一致し、入力側伝送路13のコモンモード等価抵抗値がWc1に一致するように、例えば、入力側伝送路パターン31.32の幅と、入力側伝送路パターン31,32の間の間隔とを決定する。
出力側伝送路14のディファレンシャルモード等価抵抗値がWd2に一致し、出力側伝送路14のコモンモード等価抵抗値がWc2に一致するよう、例えば、出力側伝送路パターン41.42の幅と、出力側伝送路パターン41,42の間の間隔とを決定する。
抵抗値設定処理90では、伝送路設計処理80とは逆に、入力側伝送路13及び出力側伝送路14の特性インピーダンスを実際に測定し、測定した特性インピーダンスと整合するように、電気回路15の各抵抗の抵抗値を決定する。
抵抗値設定処理90は、例えば、試作工程91と、信号周波数設定工程92と、立ち上がり時間算出工程93と、等価抵抗値測定工程94と、損失量設定工程95と、抵抗値設定工程96とを有する。
なお、電磁気妨害低減装置10を実際に試作してもよいし、コンピュータシミュレーションにより仮想的に試作してもよい。
Tr=1/f0
例えば、f0=8.24GHzのとき、Tr=121.4ps(ピコ秒)、f0=4.12GHzのときTr=242.7psとなる。
試作工程91で電磁気妨害低減装置10をコンピュータシミュレーションにより仮想的に試作した場合は、特性インピーダンスの測定も、コンピュータシミュレーションによって行う。
抵抗値設定工程82についての説明で記載したとおり、電気回路15の損失量と、各抵抗の抵抗値との間には、以下のような関係がある。
Sd=(Z2・Ad+Bd+Z1・Z2・Cd+Z1・Dd)/2√(Z1・Z2)
Sc=(R03・Ad+Bd+R01・R03・Cd+R01・Dd)/2√(R01・R03)
ただし、
Ad=1+R3/r4、
Bd=R3、
Cd=(r2+R3+r4)/(r2・r4)、
Dd=1+R3/r2、
Ac=1+R3/R5、
Bc=R3、
Cc=(R1+R3+R5)/(R1・R5)、
Dc=1+R3/R1、
r2=R1・R2/(2・R1+R2)、
r4=R5・R4/(2・R5+R4)、
Z1=R01・R02/(2・R01+R02)、
Z2=R03・R04/(2・R03+R04)、
R01=2・Wc1、
R02=4・Wd1・Wc1/(4・Wc1-Wd1)、
R03=2・Wc2、
R04=4・Wd2・Wc2/(4・Wc2-Wd2)、
Sdは、電気回路15におけるディファレンシャル信号の損失量、
Scは、電気回路15におけるコモン信号の損失量、
R1は、接地抵抗61及び接地抵抗62の抵抗値、
R2は、入力側抵抗65の抵抗値、
R3は、第一抵抗66及び第二抵抗67の抵抗値、
R4は、出力側抵抗68の抵抗値、
R5は、接地抵抗63及び接地抵抗64の抵抗値、
Wc1は、入力側伝送路13のコモンモード等価抵抗値、
Wd1は、入力側伝送路13のディファレンシャルモード等価抵抗値、
Wc2は、出力側伝送路14のコモンモード等価抵抗値、
Wd2は、出力側伝送路14のディファレンシャルモード等価抵抗値
をそれぞれ示し、以下の条件を満たす。
(条件1)R3/R1=√(R01・R03+R32)/R01-1、
(条件2)R3/R5=√(R01・R03+R32)/R03-1、
(条件3)R3/r2=√(Z1・Z2+R32)/Z1-1、
(条件4)R3/r4=√(Z1・Z2+R32)/Z2-1。
このように、Wc1,Wd1,Wc2,Wd2として、等価抵抗値測定工程94で測定した実際の値を使用して、抵抗値を算出するので、入力側伝送路13及び出力側伝送路14の長さp1,p2は、伝送路長さ設定処理70で算出される長さpより短くてもよい。その場合、入力側伝送路13及び出力側伝送路14の先にある回路も含めて、長さpの範囲内にある部分が、Wc1,Wd1,Wc2,Wd2に影響することになるので、その部分も含めて試作工程91で試作する必要がある。
Sd=(R3+√(Z1・Z2+R32))/√(Z1・Z2)
Sc=(R3+√(R01・R03+R32))/√(R01・R03)
R1=R3/√(R01・R03+R32)/R01-1)
R2=2・R1・r2/(R1-r2)
R5=R3/√(R01・R03+R32)/R03-1)
R4=2・R5・r4/(R5-r4)
その場合、入手可能なチップ抵抗の抵抗値のなかから、算出された各抵抗の抵抗値に近いものを選択し、各抵抗の抵抗値として設定してもよい。
例えば、条件1において、R3>0かつR1>0であるR3及びR1が存在するためには、R32>R01(R01-R03)であることが必要である。
同様に、条件2において、R3>0かつR5>0であるR3及びR5が存在するためには、R32>R03(R03-R01)であることが必要である。
また、条件3において、R3>0かつR2>0であるR3及びR2が存在するためには、R32>Z1(Z1-Z2)かつR32>(R03・Z1-R01・Z2)/(R01/Z1-Z1/R01)であることが必要である。
更に、条件4において、R3>0かつR4>0であるR3及びR4が存在するためには、R32>Z2(Z2-Z1)かつR32>(R01・Z2-R03・Z1)/(R03/Z2-Z2/R03)であることが必要である。
例えば、Wd1=98.0Ω、Wc1=25.0Ω、Wd2=85.6Ω、Wc2=23.6Ωである場合、R3を65.4Ω以上にしなければ、R2が負の値になってしまう。しかし、R3を65.4Ωに設定すると、Sd=3.17(-10.0dB)、Sc=3.02(-9.6dB)になる。したがって、電気回路15の減衰量をそれよりも小さくすることはできない。
この場合、R2の値が負なので、このままでは、電気回路15を実現することはできない。そこで、計算上の抵抗値が負の値になった場合は、十分に大きな抵抗値(例えば1kΩ以上。好ましくは10kΩ以上)で代用する。あるいは、対応する抵抗(この例では入力側抵抗65)を実装しない。
例えば、R2=10kΩで代用した場合、Sd=1.46(-3.3dB)、Sc=1.36(-2.6dB)になる。また、入力側抵抗65を実装しない場合も、Sd=1.46(-3.3dB)、Sc=1.36(-2.6dB)と、同様の値になる。
このように、インピーダンス整合と所望の減衰量の達成とが両立しない場合は、所望の減衰量の達成を優先させることにより、EMIを改善することができる。
上述した例、すなわち、Wd1=98.0Ω、Wc1=25.0Ω、Wd2=85.6Ω、Wc2=23.6Ωの場合において、R3=15Ωとした場合を線201、R3=30Ωとした場合を線202、R3=51Ωとした場合を線203、R3=64Ωとした場合を線204でそれぞれ示す。横軸は、計算上、負の値となるR2を代用する抵抗値、縦軸は、その場合のディファレンシャルモードにおける反射係数を示す。なお、代用するR2の値はコモンモードにおける反射係数には影響しないので、代用するR2の値にかかわらず、コモンモード反射係数は、0である。
このグラフを見てわかるとおり、代用するR2の値を1kΩ以上とすれば、ディファレンシャルモード反射係数が十分小さくなる。
ディファレンシャルモードノイズとコモンモードノイズとでは、コモンモードノイズのほうがEMIに対する影響が大きい。このため、ディファレンシャルモード等価抵抗値の整合と、コモンモード等価抵抗値の整合とが両立しない場合は、コモンモード等価抵抗値の整合を優先して、抵抗値を設定することが好ましい。
したがって、例えばZ1を小さくしたりZ2を大きくしたりすることにより、Z1(Z1-Z2)及び(R03・Z1-R01・Z2)/(R01/Z1-Z1/R01)を小さくして、R32よりも小さくなるようにすれば、R2の値が負になるのを防ぐことができる。
Z1を小さくするには、入力側伝送路13のディファレンシャルモード等価抵抗値Wd1を小さくすればよい。また、Z2を大きくするためには、出力側伝送路14のディファレンシャルモード等価抵抗値Wd2を大きくすればよい。
例えば、Wd1=94.0Ω、Wd2=88.0Ωにすれば、Z1(Z1-Z2)=141.0Ω2、(R03・Z1-R01・Z2)/(R01/Z1-Z1/R01)=148.6Ω2となるので、R3=15Ωとした場合でも、R1=889.8Ω、R2=15.17kΩ、R4=2.697kΩ、R5=194.4Ωとなり、抵抗値が負になることはない。
このように、計算の結果、実現できない抵抗値になってしまう場合は、入力側伝送路13や出力側伝送路14の設計を変更して、特性インピーダンスを変更してもよい。
また、入力側伝送路13や出力側伝送路14の設計を変更できない場合は、入力側伝送路13や出力側伝送路14の特性インピーダンスが、計算の結果得られる抵抗値が実現可能な値となる値であるものとして、各抵抗の抵抗値を決定してもよい。そうすれば、インピーダンスの整合は不完全となるが、所望の減衰量を得ることができるので、EMIを改善することができる。
抵抗値設定処理90aでは、抵抗値設定処理90と同様に、入力側伝送路13及び出力側伝送路14の特性インピーダンスを実際に測定し、測定した特性インピーダンスと整合するように、電気回路15の各抵抗の抵抗値を決定する。
抵抗値設定処理90aは、例えば、試作工程91と、信号周波数設定工程92と、上限周波数算出工程93aと、等価抵抗値測定工程94と、損失量設定工程95と、抵抗値設定工程96とを有する。
f1=k・f0
ただし、kは、所定の定数であり、例えば、k=0.99。好ましくは、0.45≦k≦1.48。
また、電磁気妨害低減装置による信号の減衰を補うため、例えば受信回路に増幅回路を設けてもよい。
また、電磁気妨害低減装置を試作する前に、コンピュータシミュレーションにより所望の特性インピーダンスを得ることができるかを確認してもよい。
Claims (9)
- 所定の第一の長さを有し、ディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値が前記第一の長さにわたって一定である一対の入力側伝送路と、
所定の第二の長さを有し、ディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値が前記第二の長さにわたって一定である一対の出力側伝送路と、
前記入力側伝送路と、前記出力側伝送路との間に電気接続された電気回路と
を有し、
前記電気回路は、
前記一対の入力側伝送路のうち第一の入力側伝送路に電気接続された第一入力端子と、
前記一対の入力側伝送路のうち第二の入力側伝送路に電気接続された第二入力端子と、
前記一対の出力側伝送路のうち第一の出力側伝送路に電気接続された第一出力端子と、
前記一対の出力側伝送路のうち第二の出力側伝送路に電気接続された第二出力端子と、
接地端子と、
前記第一入力端子と前記接地端子との間に電気接続された第一接地抵抗と、
前記第二入力端子と前記接地端子との間に電気接続された第二接地抵抗と、
前記第一入力端子と前記第二入力端子との間に電気接続された入力側抵抗と、
前記第一入力端子と前記第一出力端子との間に電気接続された第一抵抗と、
前記第二入力端子と前記第二出力端子との間に電気接続された第二抵抗と、
前記第一出力端子と前記接地端子との間に電気接続された第三接地抵抗と、
前記第二出力端子と前記接地端子との間に電気接続された第四接地抵抗と、
前記第一出力端子と前記第二出力端子との間に電気接続された出力側抵抗と
を有する電磁気妨害低減装置を設計する設計方法において、
前記電磁気妨害低減装置が低減すべきノイズ又は前記電磁気妨害低減装置を透過する信号の最低周波数を設定する最低周波数設定工程と、
前記最低周波数設定工程で設定した前記最低周波数に基づいて、前記最低周波数に反比例する伝送路長さを算出する伝送路長さ算出工程と、
前記第一の長さを、前記伝送路長さ算出工程で算出した前記伝送路長さ以上の長さに設定する第一長さ設定工程と、
前記第二の長さを、前記伝送路長さ算出工程で算出した前記伝送路長さ以上の長さに設定する第二長さ設定工程と、
前記第一接地抵抗と前記第二接地抵抗と前記入力側抵抗と前記第一抵抗と前記第二抵抗と前記第三接地抵抗と前記第四接地抵抗と前記出力側抵抗との抵抗値を設定する抵抗値設定工程と、
前記抵抗値設定工程で設定した抵抗値に基づいて、前記電気回路の入力側及び出力側のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値をそれぞれ算出する等価抵抗値算出工程と、
前記入力側伝送路のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値が、前記等価抵抗値算出工程で算出した前記電気回路の入力側のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値と整合するよう、前記入力側伝送路を設計する入力側伝送路設計工程と、
前記出力側伝送路のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値が、前記等価抵抗値算出工程で算出した前記電気回路の出力側のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値と整合するよう、前記出力側伝送路を設計する出力側伝送路設計工程と
を備え、
前記抵抗値設定工程において、前記第一接地抵抗と、前記第二接地抵抗と、前記入力側抵抗と、前記第一抵抗と、前記第二抵抗と、前記第三接地抵抗と、前記第四接地抵抗と、前記出力側抵抗との抵抗値として、市販されている入手可能なチップ抵抗の抵抗値のなかから選択した抵抗値を設定する、
設計方法。 - 前記抵抗値設定工程において、以下の条件1から条件4をすべて満たす抵抗値R1,R2,R3,R4,R5を算出し、前記第一接地抵抗及び前記第二接地抵抗の抵抗値を、算出した前記抵抗値R1に設定し、前記第三接地抵抗及び前記第四接地抵抗の抵抗値を、算出した前記抵抗値R5に設定し、前記第一抵抗及び前記第二抵抗の抵抗値を、算出した前記抵抗値R3に設定し、前記入力側抵抗の抵抗値を、算出した前記抵抗値R2に設定し、前記出力側抵抗の抵抗値を、算出した前記抵抗値R4に設定し、
(条件1)R3/R1=√(R01・R03+R32)/R01-1、
(条件2)R3/R5=√(R01・R03+R32)/R03-1、
(条件3)R3/r2=√(Z1・Z2+R32)/Z1-1、
(条件4)R3/r4=√(Z1・Z2+R32)/Z2-1
ただし、
r2=R1・R2/(2・R1+R2)、
r4=R5・R4/(2・R5+R4)、
Z1=R01・R02/(2・R01+R02)、
Z2=R03・R04/(2・R03+R04)、
R01=2・Wc1、
R02=4・Wd1・Wc1/(4・Wc1-Wd1)、
R03=2・Wc2、
R04=4・Wd2・Wc2/(4・Wc2-Wd2)、
Wc1は、前記第一入力端子及び前記第二入力端子に電気接続される入力側外部回路のコモンモード等価抵抗値、
Wd1は、前記入力側外部回路のディファレンシャルモード等価抵抗値、
Wc2は、前記第一出力端子及び前記第二出力端子に電気接続される出力側外部回路のコモンモード等価抵抗値、
Wd2は、前記出力側外部回路のディファレンシャルモード等価抵抗値を、それぞれ示す、
請求項1の設計方法。 - 前記電気回路における損失量を設定する損失量設定工程
を更に備え、
前記抵抗値設定工程において、前記電気回路における損失量が、前記損失量設定工程で設定する損失量になるよう、前記抵抗値を設定する、
請求項1又は2の設計方法。 - 所定の第一の長さを有し、ディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値が前記第一の長さにわたって一定である一対の入力側伝送路と、
所定の第二の長さを有し、ディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値が前記第二の長さにわたって一定である一対の出力側伝送路と、
前記入力側伝送路と、前記出力側伝送路との間に電気接続された電気回路と
を有し、
前記電気回路は、
前記一対の入力側伝送路のうち第一の入力側伝送路に電気接続された第一入力端子と、
前記一対の入力側伝送路のうち第二の入力側伝送路に電気接続された第二入力端子と、
前記一対の出力側伝送路のうち第一の出力側伝送路に電気接続された第一出力端子と、
前記一対の出力側伝送路のうち第二の出力側伝送路に電気接続された第二出力端子と、
接地端子と、
前記第一入力端子と前記接地端子との間に電気接続された第一接地抵抗と、
前記第二入力端子と前記接地端子との間に電気接続された第二接地抵抗と、
前記第一入力端子と前記第二入力端子との間に電気接続された入力側抵抗と、
前記第一入力端子と前記第一出力端子との間に電気接続された第一抵抗と、
前記第二入力端子と前記第二出力端子との間に電気接続された第二抵抗と、
前記第一出力端子と前記接地端子との間に電気接続された第三接地抵抗と、
前記第二出力端子と前記接地端子との間に電気接続された第四接地抵抗と、
前記第一出力端子と前記第二出力端子との間に電気接続された出力側抵抗と
を有する電磁気妨害低減装置を設計する設計方法において、
前記電磁気妨害低減装置が低減すべきノイズ又は前記電磁気妨害低減装置を透過する信号の最低周波数を設定する最低周波数設定工程と、
前記最低周波数設定工程で設定した前記最低周波数に基づいて、前記最低周波数に反比例する伝送路長さを算出する伝送路長さ算出工程と、
前記第一の長さを、前記伝送路長さ算出工程で算出した前記伝送路長さ以上の長さに設定する第一長さ設定工程と、
前記第二の長さを、前記伝送路長さ算出工程で算出した前記伝送路長さ以上の長さに設定する第二長さ設定工程と、
前記第一接地抵抗と前記第二接地抵抗と前記入力側抵抗と前記第三接地抵抗と前記第四接地抵抗と前記出力側抵抗とを接続せず、前記第一抵抗と前記第二抵抗との代わりにジャンパー抵抗を接続した前記電磁気妨害低減装置を試作する試作工程と、
前記試作工程で試作した前記電磁気妨害低減装置の前記入力側伝送路の出力側及び前記出力側伝送路の入力側のディファレンシャルモード等価抵抗値及びコモンモード等価抵抗値を測定する等価抵抗値測定工程と、
前記電気回路における損失量を設定する損失量設定工程と、
前記第一接地抵抗と前記第二接地抵抗と前記入力側抵抗と前記第一抵抗と前記第二抵抗と前記第三接地抵抗と前記第四接地抵抗と前記出力側抵抗との抵抗値として、入手可能なチップ抵抗の抵抗値のなかから選択した抵抗値を設定する抵抗値設定工程と
を備え、
前記抵抗値設定工程において、前記等価抵抗値測定工程で測定した等価抵抗値に基づいて、前記電気回路における損失量が、前記損失量設定工程で設定した損失量になるよう、前記抵抗値を選択する、
設計方法。 - 前記抵抗値設定工程において、以下の条件1から条件4をすべて満たす抵抗値R1,R2,R3,R4,R5を算出し、前記第一接地抵抗及び前記第二接地抵抗の抵抗値を、入手可能なチップ抵抗の抵抗値のなかから、算出した前記抵抗値R1に近い抵抗値を選択して設定し、前記第三接地抵抗及び前記第四接地抵抗の抵抗値を、入手可能なチップ抵抗の抵抗値のなかから、算出した前記抵抗値R5に近い抵抗値を選択して設定し、前記第一抵抗及び前記第二抵抗の抵抗値を、入手可能なチップ抵抗の抵抗値のなかから、算出した前記抵抗値R3に近い抵抗値を選択して設定し、算出した前記抵抗値R2が正の値である場合に、前記入力側抵抗の抵抗値を、入手可能なチップ抵抗の抵抗値のなかから、前記抵抗値R2に近い抵抗値を選択して設定し、算出した前記抵抗値R2が負の値である場合に、前記入力側抵抗の抵抗値を1kΩ以上の所定の値に設定し、算出した前記抵抗値R4が正の値である場合に、前記出力側抵抗の抵抗値を、入手可能なチップ抵抗の抵抗値のなかから、前記抵抗値R4に近い抵抗値を選択して設定し、算出した前記抵抗値R4が負の値である場合に、前記出力側抵抗の抵抗値を1kΩ以上の所定の値に設定し、
(条件1)R3/R1=√(R01・R03+R32)/R01-1、
(条件2)R3/R5=√(R01・R03+R32)/R03-1、
(条件3)R3/r2=√(Z1・Z2+R32)/Z1-1、
(条件4)R3/r4=√(Z1・Z2+R32)/Z2-1
ただし、
r2=R1・R2/(2・R1+R2)、
r4=R5・R4/(2・R5+R4)、
Z1=R01・R02/(2・R01+R02)、
Z2=R03・R04/(2・R03+R04)、
R01=2・Wc1、
R02=4・Wd1・Wc1/(4・Wc1-Wd1)、
R03=2・Wc2、
R04=4・Wd2・Wc2/(4・Wc2-Wd2)、
Wc1は、前記第一入力端子及び前記第二入力端子に電気接続される入力側外部回路のコモンモード等価抵抗値、
Wd1は、前記入力側外部回路のディファレンシャルモード等価抵抗値、
Wc2は、前記第一出力端子及び前記第二出力端子に電気接続される出力側外部回路のコモンモード等価抵抗値、
Wd2は、前記出力側外部回路のディファレンシャルモード等価抵抗値を、それぞれ示す、
請求項4の設計方法。 - 前記抵抗値設定工程において、算出した前記抵抗値R2が負の値である場合に、前記第一入力端子と前記第二入力端子との間に前記入力側抵抗を電気接続しないこととする、
請求項5の設計方法。 - 前記抵抗値設定工程において、算出した前記抵抗値R4が負の値である場合に、前記第一出力端子と前記第二出力端子との間に前記出力側抵抗を電気接続しないこととする、
請求項5の設計方法。 - 前記電磁気妨害低減装置が透過すべき信号の周波数を設定する信号周波数設定工程と、
前記信号周波数設定工程で設定した前記信号の周波数に基づいて、前記信号の周波数に反比例する立ち上がり時間を算出する立ち上がり時間算出工程と
を更に備え、
前記等価抵抗値測定工程において、前記立ち上がり時間算出工程で算出した立ち上がり時間以下の立ち上がり時間を有する信号を用いて、時間領域反射率測定法で等価抵抗値を測定する、
請求項4乃至7いずれかの設計方法。 - 前記電磁気妨害低減装置が透過すべき信号の周波数を設定する信号周波数設定工程と、
前記信号周波数設定工程で設定した前記信号の周波数に基づいて、前記信号の周波数に比例する上限周波数を算出する上限周波数算出工程と
を更に備え、
前記等価抵抗値測定工程において、前記上限周波数算出工程で算出した上限周波数以下の周波数範囲においてベクトルネットワークアナライザを用いて周波数特性を測定し、測定した周波数特性に基づいて等価抵抗値を算出する、
請求項4乃至7いずれかの設計方法。
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