JP7225049B2 - 芯材建込方法 - Google Patents
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Description
当該芯材建込方法では、分割芯材の側面側に被支持部を設け、この被支持部をクレーンで吊ることによって、分割芯材、又は、複数の分割芯材を継いだ継ぎ芯材の吊り込み時におけるクレーンのブームの先端の位置を低くできるため、分割芯材、又は、継ぎ芯材の吊り込み時において、クレーンのブームの先端を上方の障害物に衝突させてしまう可能性を少なくでき、しかも、分割芯材の長さを長くできて、分割芯材、及び、継ぎ芯材の吊り込み回数及び継手数を少なくできるというものである。
即ち、単一の分割芯材又は複数の分割芯材が継がれて構成される継ぎ芯材の重量が大きい場合、当該重量が大きい単一の分割芯材又は継ぎ芯材を確実に吊れるように、クレーンの定格総荷重値が当該単一の分割芯材又は継ぎ芯材の重量よりも十分に大きい能力に余裕のある大型のクレーンを用いなくてはならないが、高さ制限を受ける現場においては、当該大型のクレーンは吊り代(クレーンで吊られた分割芯材が地切りした段階から上方に移動可能な距離)が大きい等の理由により使用できない可能性があり、芯材建込作業を行えない可能性がある。
また、当該単一の分割芯材又は複数の分割芯材が継がれて構成される継ぎ芯材の重量が小さい場合は、当該単一の分割芯材又は継ぎ芯材を確実に吊れるだけの、小さい定格総荷重値を有した小型のクレーンを用いることができるので、高さ制限を受ける場所であっても当該小型のクレーンを使用して芯材建込作業を効率的に行える。しかしながら、定格総荷重値が小さい小型のクレーンを用いる場合、吊ることができる単一の分割芯材又は継ぎ芯材の重量が制限されてしまうので、単一の分割芯材又は継ぎ芯材の重量が大きい場合には、対応できない。
つまり、高さ制限を受ける場所において、単一の分割芯材又は複数の分割芯材が継がれて構成される継ぎ芯材の重量が大きい場合には、定格総荷重値が大きい大型のクレーンや定格総荷重値が小さい小型のクレーンを用いて芯材建込作業を行うことができないという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑み、高さ制限を受ける場所において、単一の分割芯材又は複数の分割芯材が継がれて構成される継ぎ芯材の重量が大きい場合でも、芯材建込作業を効率的に行える芯材建込方法を提供するものである。
本発明に係る芯材建込方法によれば、単一の分割芯材又は複数の分割芯材が継がれて構成される継ぎ芯材の重量が大きい場合でも、芯材建込作業を効率的に行えるようになる。
実施形態に係る芯材の建込方法では、当該高さ制限に対応して、分割芯材3aの長さ及び重さを決めるとともに、少なくとも1本の分割芯材3aを吊ることが可能な吊り能力及び吊り代を考慮して、使用するクレーン20(図3(a)参照)を選定する。
さらに、選定したクレーン20の能力では、所定数以上の分割芯材3aが継がれて構成される継ぎ芯材3X(例えば、後述するように3本の分割芯材3a,3a,3aが継がれて構成される継ぎ芯材3X(第2の継ぎ芯材3X)や、4本の分割芯材3a,3a,3a,3aが継がれて構成される継ぎ芯材3X(第3の継ぎ芯材3X))を吊ることができないため、当該継ぎ芯材3Xを吊り降ろして掘削孔2内に建て込む作業は、芯材建込装置45を用いて行う。
架構4は、例えば、骨組みとなる形鋼を組み合わせた直方体枠形状に形成される。例えば、四角形の下枠と、四角形の上枠と、下枠の四隅と上枠の四隅とを連結する4本の柱とで構成された直方体枠形状に形成される。
具体的には、例えば図2(a),(b)に示すように、下枠は、前後の下梁材41,41と、下梁材41,41の上の左右に設けられて下梁材41,41を連結する左右の下桁材42,42とで構成され、上枠は、前後の上梁材43,43と、上梁材43,43の下の左右に設けられて上梁材43,43を連結する左右の上桁材44,44とで構成され、下枠の四隅と上枠の四隅とが4本の柱材46,46…で連結され、かつ、隣り合う柱材46,46同士がブレース材48,48で補強された構成の直方体枠形状に形成される。尚、上梁材43,43の上の左右側に設けられて上梁材43,43を連結する左右の吊桁材47,47が設けられ、当該左右の吊桁材47,47にそれぞれ後述する電動チェーンブロック50,50が取付けられる。
具体的には、図6に示すように、吊り手段5は、例えば、2つの電動チェーンブロック50,50と、回転自在接続手段60とで構成される。
このように、継ぎ芯材3Xをスイベルジョイント62を介して2つの電動チェーンブロック50,50で吊り下げるので、継ぎ芯材3Xの傾きや姿勢の調整が容易となり、継ぎ芯材3Xの建て込み精度を向上させることができる。
例えば、現場Gの道路の路盤を撤去し、柱列式地下連続壁を形成するための掘削孔2の並ぶ予定の方向に沿って延長させた溝10を形成する。次に、当該溝10の上部側を拡径して覆工桁11を設置するための設置面12(図3参照)を形成する。そして、溝10を介して対向するように設置面12に設置された各覆工桁11,11の上部に覆工版13を掛け渡して敷設する。
そして、掘削孔2を形成する部分の覆工版13を除去して作業口14を形成し、図外のボーリングマシンを使用して、ボーリングマシンのボーリングロッドの先端に取り付けた掘削用ビットを回転させて地盤1を削孔しながら掘削用ビット側に安定液を供給する。また、掘削土砂を孔口側に設置した図外のサンドポンプにより土砂を排出する。排出された土砂をふるいにかけて安定液を分離させ、当該安定液を循環させて使用する。掘削完了後、掘削孔2内のスライム処理を行ってから、掘削孔2内に、所定の長さの1本ものの芯材3の代わりに、複数の分割芯材3a,3a…が継がれて構成された所定の長さの継ぎ芯材3Xを建て込んた後、掘削孔2内にモルタルを打設して杭を造成する。この杭を横に連続して並ぶように複数個施工することにより、柱列式地下連続壁を造成する。
尚、当該具体例においては、高架橋B下における現場Gの空頭制限Hが4.7mであり、掘削孔2内に建て込まれるべき所定の長さの1本ものの芯材が、例えば、長さ11.5mの極厚H形鋼であるため、芯材を分割して建込みを行う必要がある場合を例示する。
例えば、現場Gの地盤1の所定箇所から順番に並ぶように形成された掘削孔2,2…のうち例えば図2(c)に示すように奇数番目の各掘削孔2,2…に建て込まれる先行芯材を、上から長さa=2.7m、長さa=2.7m、長さa=2.7m、長さb=3.4mの4本の分割芯材3aとなるよう分割するとともに、現場Gの地盤1の所定箇所から順番に並ぶように形成された掘削孔2,2…のうち例えば図2(d)に示すように偶数番目の各掘削孔2,2…に建て込まれる後行芯材3を、上から長さb=3.4m、長さa=2.7m、長さa=2.7m、長さa=2.7mの4本の分割芯材3aとなるよう分割し、当該4分割した分割芯材3a,3a…を順次継ぎ足して構成される所定の長さの継ぎ芯材3Xを掘削孔2内に建て込む場合を例にして説明する。
この場合、当該所定の長さの継ぎ芯材3Xは、添接板16を含む総重量が6.3tであることや空頭制限Hが4.7mであることにより、クレーン20の選定において制約を受ける。
(1)最初の分割芯材(掘削孔2の底部に最も近い位置に設置されることになる分割芯材)3aを掘削孔2内に吊り降ろす作業。即ち、3.4m(約1.86t)の最初の分割芯材3aを奇数番目の掘削孔2内に吊り降ろす作業、あるいは、2.7m(約1.48t)の最初の分割芯材3aを偶数番目の掘削孔2内に吊り降ろす作業。
(2)最初の分割芯材3aの上端に次の分割芯材3aを継ぎ足した第1の継ぎ芯材3X、即ち、2つの分割芯材3a,3aが継がれて構成された継ぎ芯材3X(6.1m(約3.34t)、又は、5.4m(約2.96t))を掘削孔2内に吊り降ろす作業。
従って、当該クローラクレーン20を使用して、次の(3),(4)の作業(3つ以上の分割芯材3a,3a…が継がれて構成された第2の継ぎ芯材3Xを掘削孔2内に吊り降ろして建て込む作業)を行うことは困難であるので、次の(3),(4)の作業は、芯材建込装置45を使用して行う。
(3)2つの分割芯材3a,3a…が継がれて構成された第1の継ぎ芯材3Xの上端に3番目の分割芯材3aを継ぎ足した第2の継ぎ芯材3X、即ち、3つの分割芯材3a,3a,3aが継がれて構成された第2の継ぎ芯材3X(8.8m(約4.82t)、又は、8.1m(約4.44t)を掘削孔2内に吊り降ろす作業。
(4)3つの分割芯材3a,3a,3aが継がれて構成された第2の継ぎ芯材3Xの上端に4番目の分割芯材3aを継ぎ足した第3の継ぎ芯材3X、即ち、4つの分割芯材3a,3a,3a,3aが継がれて構成されることによって掘削孔2内に建て込まれるべき所定の長さ(元の1本ものの芯材と同じ所定の長さ)に形成された継ぎ芯材3X(11.5m(6.3t))を掘削孔2内に吊り降ろす作業。
つまり、この場合、芯材建込装置45により吊り降ろすことができる所定数以上の分割芯材3aが継がれて構成される継ぎ芯材3Xは、所定数が3以上の分割芯材3aが継がれて構成される継ぎ芯材3Xである。換言すれば、この場合に選定されるクローラクレーン20は、3以上の分割芯材3aが継がれて構成される継ぎ芯材3Xを吊ることができないが、単一の分割芯材3a又は所定数よりも少ない数の分割芯材3a、即ち、2以下の分割芯材3aが継がれて構成される継ぎ芯材3Xを掘削孔2内に吊り降ろすことが可能なクレーンである。
そして、図3(b)と同様に、添接板16により接続された最初の分割芯材3aと2番目の分割芯材3aとが継がれて構成された第1の継ぎ芯材3Xを掘削孔2内に建て込んで、当該第1の継ぎ芯材3Xの上端側を支持部15,15に固定して支持部15,15に吊るす。
この位置決め作業を行うにあたっては、まず、図4(b)に示すように、クローラクレーン20を用いて、芯材建込装置45の架構4を掘削孔2の坑口の真上の位置まで移動させる。
尚、この際、掘削孔2に建て込んだ第1の継ぎ芯材3Xの上端部に、架構4の下桁材42が衝突しないように、図4(b)に示すように、第1の継ぎ芯材3Xの上端3tを下桁材42よりも下方に位置させた状態で当該第1の継ぎ芯材3Xを支持部15に固定しておく。
そして、芯材建込装置45の架構4を、掘削孔2の坑口の真上の位置まで移動させて、掘削孔2の坑口の真上の周囲に敷設されている覆工版13の上に設置した後、クローラクレーン20を使用して3番目の分割芯材3aを架構4の近傍の仮置き場所17まで移動させる。
そして、図5(a)に示すように、3番目の分割芯材3aの一端側に近い両方の側面に設けた各吊部3d,3dに、各電動チェーンブロック50,50のフック54,54を連結するとともに、3番目の分割芯材3aの他端3e側をクローラクレーン20で吊った状態で、各電動チェーンブロック50,50を駆動することにより、当該3番目の分割芯材3aを第1の継ぎ芯材3Xの上方に吊り込み、第1の継ぎ芯材3Xの上端に、3番目の分割芯材3aの下端を位置決めする位置決め作業を行う。
その後、図5(b)に示すように、添接板16を用いて、第1の継ぎ芯材3Xの上端側と3番目の分割芯材3aの下端側とが継がれて構成された第2の継ぎ芯材3Xを構成する。
即ち、電動チェーンブロック50,50のフック54,54と接続板61の上面の左右側とを接続するとともに、スイベルジョイント62の上部接続部と接続板61の下面中央とを接続し、かつ、スイベルジョイント62の下部接続部と継ぎ芯材3Xの上端部とを接続した後、電動チェーンブロック50,50を操作して当該継ぎ芯材3Xを掘削孔2内に吊り降ろす。
以上により、1つの掘削孔2内に建て込むべき所定長さの継ぎ芯材3Xが建て込まれる。
また、単一の芯材3Xを、芯材建込装置45を使用して掘削孔2内に建て込むようにしてもよい。
即ち、本発明の芯材建込方法は、単一の分割芯材3a又は複数の分割芯材3aが継がれて構成される継ぎ芯材3Xを、芯材建込装置45を使用して掘削孔2内に建て込むようにしてもよい。
また、本発明の芯材建込装置は、架構4と、架構4に取付けられて、単一の分割芯材3a又は複数の分割芯材3aが継がれて構成される継ぎ芯材3Xを吊ることが可能な吊り手段5とを備えた構成であってもよい。
このような芯材建込方法又は芯材建込装置であっても、高さ制限を受ける現場において、単一の分割芯材又は複数の分割芯材が継がれて構成される継ぎ芯材の重量が大きい場合に、芯材建込作業を効率的に行えるようになるという効果が得られる。
4 架構、5 吊り手段、20 クレーン、45 芯材建込装置、
50 電動チェーンブロック、60 回転自在接続手段、G 現場(場所)、
H 高さ制限。
Claims (1)
- 高さ制限を受ける場所の地盤に形成した掘削孔内に芯材を建て込む際に、掘削孔内に建て込まれるべき所定の長さの芯材を複数に分割し、当該分割した分割芯材を順次継ぎ足して建て込む芯材建込方法において、
掘削孔の孔口の周囲の地盤上に設置した架構に、単一の分割芯材又は複数の分割芯材が継がれて構成される継ぎ芯材を吊ることが可能な吊り手段を設けて構成された芯材建込装置を用いて、当該単一の分割芯材又は当該継ぎ芯材を吊り降ろすことにより掘削孔内に建て込むようにした芯材建込方法であって、
所定数以上の分割芯材が継がれて構成される継ぎ芯材を吊ることができないが、単一の分割芯材又は所定数よりも少ない数の分割芯材が継がれて構成される継ぎ芯材を掘削孔内に吊り降ろすことが可能なクレーンを使用して、当該単一の分割芯材又は当該継ぎ芯材を掘削孔内に建て込む第1ステップと、
掘削孔内に建て込んだ当該単一の分割芯材の上端側又は当該継ぎ芯材の上端側を掘削孔の孔口側に設けた支持部に固定した状態として、当該単一の分割芯材の上端又は当該継ぎ芯材の上端と次に継ぎ足す分割芯材の下端とを接続する際に、上端側が芯材建込装置の吊り手段に連結された次に継ぎ足す分割芯材の下端を当該単一の分割芯材の上端又は当該継ぎ芯材の上端に位置決めする位置決め作業を、クレーン及び芯材建込装置を用いて行う第2ステップと、
位置決め作業後に、上端側が芯材建込装置の吊り手段に連結された次に継ぎ足す分割芯材の下端と当該単一の分割芯材の上端又は当該継ぎ芯材の上端とを接続して所定数以上の分割芯材が継がれて構成された継ぎ芯材を、芯材建込装置を用いて吊り降ろして掘削孔内に建て込む第3ステップとを備えたことを特徴とする芯材建込方法。
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