JP7223279B2 - 全固体電池 - Google Patents

全固体電池 Download PDF

Info

Publication number
JP7223279B2
JP7223279B2 JP2019163972A JP2019163972A JP7223279B2 JP 7223279 B2 JP7223279 B2 JP 7223279B2 JP 2019163972 A JP2019163972 A JP 2019163972A JP 2019163972 A JP2019163972 A JP 2019163972A JP 7223279 B2 JP7223279 B2 JP 7223279B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid electrolyte
active material
solid
positive electrode
electrode active
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019163972A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021044106A (ja
Inventor
メンドザ ヘイディ ホデス ビスバル
正人 神谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2019163972A priority Critical patent/JP7223279B2/ja
Publication of JP2021044106A publication Critical patent/JP2021044106A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7223279B2 publication Critical patent/JP7223279B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、全固体電池に関する。詳しくは、全固体電池の正極活物質層に含まれる固体電解質の組成に関する。
リチウムイオン二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源さらには車両駆動用電源として好ましく用いられている。リチウムイオン二次電池は、特に、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両の駆動用高出力電源として、益々の普及が期待されている。
近年では、リチウムイオン二次電池の電解質として従来用いられてきた電解液を固体電解質に置き換えた、いわゆる全固体電池の実用化が精力的に進められている。
この種の全固体電池は、正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極とが、固体電解質層を介在させつつ交互に積層されて構成された電極体を備えている。具体的には、例えば、特許文献1では、所定の硫化物系固体電解質ガラス粒子を含むシートを開示しており、当該シートを使用することによって、リチウム電池におけるリチウムイオン伝導性を向上させ、良好な電池性能を得ることができると記載されている。
また、固体電解質は、活物質層におけるイオン伝導性を向上させる目的で、正負極活物質層の構成材料としても使用される場合がある。
特開2010-250982号公報
ところで、固体電解質は、複数種類の構成成分が混合した状態で使用されることがある。例えば、上記特許文献1では、固体電解質は構成成分として、PS 3-、P 4-、および、P 4-を含んでいる。そして、ラマンスペクトルにおけるそれぞれのピーク面積の割合が、良好なリチウムイオン伝導性を実現するよう調整されている。とりわけ、上記成分のうち、P 4-は他の成分に比べてリチウムイオン伝導性が低いとされており、上記面積比が小さくなるように調整されている。
しかし、上述のような固体電解質自体は絶縁性を有する。そのため、固体電解質の含有によって活物質層のリチウムイオン伝導性が向上しても、活物質層における電子の自由な移動が妨げられる虞がある。これによって、活物質層にこのような固体電解質を含ませると、当該活物質層における電池反応が妨げられることによって反応抵抗が上昇し、その結果、電池性能が低下し得るため好ましくない。上記特許文献1では、固体電解質を活物質層に含有させることに起因する、当該活物質層における反応抵抗の変化については詳細な検討がされておらず、まだまだ改善の余地があった。
そこで、本発明は上記課題を解決すべく創出されたものであり、その目的とするところは、充放電時における電池反応がより活発になりやすい正極活物質層に所定の固体電解質を含ませることにより、正極活物質層におけるリチウムイオン伝導性の向上のみならず、反応抵抗の増大を抑制して優れた電池性能を有する全固体電池を提供することである。
本発明者は、全固体電池の少なくとも正極活物質層に含まれる固体電解質を、所定の構成成分とすることによって、該全固体電池の電池抵抗が低減されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、ここで開示される全固体電池は、正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極とが、固体電解質層を介在させつつ交互に積層されて構成された電極体を備える。上記正極活物質層は、Li元素、P元素、および、S元素を含む固体電解質を含んでいる。上記固体電解質についてのラマンスペクトルの330cm-1から450cm-1の間に存在するピークを波形分離した際、(A)425cm-1を中心とするPS 3-,(B)415cm-1を中心とするP 4-,(C)390cm-1を中心とするP 4-の3種類のピークの総面積(A+B+C)を100%としたときの各ピークの面積比(%)はそれぞれ、(A)50%以上100%以下、(B)0%以上50%以下、および(C)0%以上5%未満であることを特徴とする。
かかる構成の全固体電池は、正極活物質層にLi元素、P元素、および、S元素を含む固体電解質を含み、かつ、該固体電解質が、ラマンスペクトルにおいて得られる3種類(具体的には、PS 3-,P 4-,P 4-)のピークが所定の面積比を有するものであることによって、正極活物質層におけるリチウムイオン伝導性が向上され、かつ、反応抵抗が低減される。これによって、全固体電池の内部抵抗が低下する。
一実施形態に係る全固体電池の電極体の構造を模式的に示した断面図である。 実施例に係る全固体電池の正極活物質層に使用した固体電解質を測定したラマンスペクトルのピークを波形分離した図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による一実施形態を説明する。なお、以下に説明する図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図1における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、「リチウムイオン二次電池」とは、電解質に含まれる電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間に存在するリチウムイオンにより電気伝導が実現される二次電池をいう。また、「全固体電池」とは、電解質として固体電解質を使用する電池をいう。また、本明細書において「固体電解質」とは、常温(15~25℃)において固体の電解質をいい、典型的には粉末状の電解質をいう。このような固体電解質からなる固体電解質層は正負極間を絶縁するセパレータとしても機能し得る。また、「活物質」とは、リチウムイオン二次電池において電荷担体となる化学種(即ち、リチウムイオン)を化学的に吸蔵および放出(典型的には挿入および脱離)可能な物質(活物質)をいう。
以下、全固体電池の典型例として、全固体リチウムイオン二次電池(以下、単に「全固体電池」ともいう。)に対して本発明を適用する場合を主として、本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、本発明をかかる実施形態に記載されたものに限定することを意図したものではない。
<全体構成>
まず初めに、ここで開示される全固体電池の全体構成について、図1を参照しつつ詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る全固体電池の電極体の構造を模式的に示した断面図である。
図1に示されるように、全固体電池1(ここでは全固体リチウムイオン二次電池)は、大まかにいって、シート状の正極20と負極40とが、正負極間に固体電解質層30を介在させつつ、所定の数だけ積層方向Zに積層されて構成された電極体10を備える電池である。また、電極体10は、図示しない所定の筐体(電池ケース)に収容されている。
筐体としては、高い物理的強度、放熱性等の観点から、金属製(例えばアルミニウム製)のものを好ましく使用することができる。あるいは、積載性や電池モジュール全体の重量が軽量になることから、ラミネートフィルムで構成されていてもよい。この場合の好適例として、2つの合成樹脂層の間にアルミニウム等の金属層を配置した三層構造を有するラミネートフィルムが挙げられる。
<電極体>
電極体10について、正極20は、正極集電体22と、その両面に形成された所定の正極活物質および固体電解質を含む正極活物質層24とを有する。また、負極40は、負極集電体42と、その両面に形成された所定の負極活物質および固体電解質を含む負極活物質層44とを有する。
固体電解質層30は、固体電解質等を含む層であり、イオン導電性を確保しつつ正負極間を絶縁するセパレータとして機能する層である。次に、積層電極体10を構成する各層について詳細に説明する。
-正極集電体-
正極集電体22は、この種の全固体電池の正極集電体として用いられるものを特に制限なく使用することができ、例えば、アルミニウム(例えばアルミニウム箔)が好ましい。
-正極活物質層-
正極活物質層24は、正極活物質、固体電解質、必要に応じて、導電助剤やバインダ等が含まれる。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な材料であって、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素とを含むリチウム含有化合物を好適に用いることができる。具体的には、例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(具体的には、例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)等のリチウム遷移金属酸化物、LiFePO等のリチウム遷移金属リン酸化合物が挙げられる。正極活物質は、例えばリチウム(Li)、酸素(O)、チタン(Ti)、ジルコニア(Zr)、およびニオブ(Nb)等のうち1つまたは2つ以上の元素を含む被覆物により被覆されていてもよい。
導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック(AB)等が挙げられる。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ブチルゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。
-正極活物質層に含まれる固体電解質-
ここで開示される全固体電池において、正極活物質層24に含まれる固体電解質はLi元素、P元素、および、S元素を含む。当該固体電解質は、Li元素、P元素、および、S元素を主成分とするが、例えば、Cl、Br、および、I等のハロゲン元素を含んでいることが好ましい。また、この固体電解質は、例えば、Al、B、Si、Ge等の元素を含んでもよく、Li元素、P元素、および、S元素のみからなる固体電解質であってもよい。具体的には、例えば、LiS-P系、LiS-B系等のガラスもしくはガラスセラミックス、LiI-LiS-P、LiI-LiS-SiS等のLiSとハロゲン化リチウム(例えばLiCl、LiBr、LiI)とから構成されるLiSベースの固溶体、Li10GeP12等が挙げられる。これらの固体電解質を単独あるいは2種類以上を選択して使用してもよい。
なお、LiS-P系の固体電解質としては、以下の式(1)によってあらわされる固体電解質を用いることが好ましい。
XLiS-(1-X)P (1)
ここで、式(1)中、0.65≦X≦0.80であることが好ましい。
さらに、例えば、作業性の観点から、固体電解質は十分に柔らかいことが好ましい。具体的には、例えば、弾性係数(ヤング率)が0.08~30GPa(より好ましくは0.08~20GPa)である。
-固体電解質の原料および合成方法-
固体電解質は、Li元素、P元素、および、S元素、ならびに、上述するハロゲン元素やその他所望する任意の元素を含む原料を混合し、所定の合成処理を行うことにより得ることができる。
Li元素を含有する原料としては、例えば、Liの硫化物(具体的には、例えば、LiS等)、ハロゲン化リチウム(具体的には、例えば、LiCl、LiBr、LiI等)、および、リチウムリン酸塩(具体的には、例えば、LiPO等)等が挙げられる。P元素を含む原料としては、例えば、Pの単体、Pの硫化物(具体的には、例えば、P等)、および、上述したリチウムリン酸塩等が挙げられる。S元素を含有する原料としては、例えば、Sの単体、上述したLiの硫化物、Pの硫化物等が挙げられる。ハロゲン元素を含有する原料としては、例えば、上述したハロゲン化リチウムが挙げられる。その他、任意の元素を含む原料としては、例えば、Si、SiS、LiSiO、Al、GeS、B、LiGeO、LiBO、および、LiAlO等が挙げられる。
上記原料の混合、および、上記合成処理の方法としては、この種の固体電解質の製造に使用される方法を適宜採用することができ、特に限定されない。具体的には、例えば、ボールミル、振動ミル等のメカニカルミリング法、溶融急冷法等が挙げられる。なお、固体電解質の製造方法自体は、本発明を特徴づけるものではないため詳細な説明は省略する。
-ラマン分光分析-
固体電解質の組成は、例えば、ラマン分光法により分析することができる。図2には、後述する実施例に係る全固体電池の正極活物質層に含まれる固体電解質を測定したラマンスペクトルのピークを波形分離した図を示している。
ラマン分光分析の装置としては、市販のラマン分光光度計(例えば、日本分光株式会社のNRS-3100等)を使用することができる。測定条件としては、例えば、励起レーザ波長が532nm、分解能が4cm-1、減光率が0.6、露光時間が120秒であることが好ましい。また、測定回数は例えば5回程度であるとよい。
上述のような固体電解質についてラマン分光分析を行うと、図2に示されるように、ラマンシフト400cm-1付近(具体的には、おおよそ330cm-1から450cm-1の間)に特徴的なピークが検出される。検出されたピークの形状が左右非対称である場合、複数成分の混合ピークとして同定される。ラマン分光法により測定されたピークは、装置専用の波形解析ソフト等を用いることによって、個別のピークとして波形分離して解析することができる。具体的には、例えば、(A)425cm-1を中心とするPS 3-、(B)415cm-1を中心とするP 4-、および、(C)390cm-1を中心とするP 4-の3種類のピークに波形分離することができる。
-ラマンスペクトルのピーク面積-
ここで、上述のように波形分離で得られた3種類のピークの総面積(A+B+C)に対する面積比(%)はそれぞれ、(A)50%以上100%以下、(B)0%以上50%以下、および(C)0%以上5%未満であることが好ましい。正極活物質層に含まれる固体電解質の構成成分は上記範囲にあることによって、例えば、リチウムイオン伝導性が低いP 4-の面積比を0%以上5%未満にすることによって、正極活物質層におけるリチウムイオン伝導性を向上させることができる。さらには、正極活物質層における反応抵抗の増大を抑制することができる。これは、P 4-のような成分を所定量含ませることによって、リチウム伝導パスおよび電子伝導パスが良好な部分に優先的にリチウムイオンおよび電子の移動を促進させることができるためであると考えられる。なお、固体電解質のリチウムイオン伝導度は、室温(25℃)において、例えば、1×10-5S/cm以上、さらには、1×10-4S/cm以上であるとよい。
-負極集電体-
負極集電体42は、この種の全固体電池の負極集電体として用いられるものを特に制限なく使用することができ、例えば、銅(例えば銅箔)が好ましい。
-負極活物質層-
負極活物質層44は、正極活物質、固体電解質、必要に応じて、導電助剤やバインダが含まれる。
負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な天然黒鉛(石墨)や人工黒鉛などの黒鉛系材料、SiおよびSnならびにこれらの化合物が挙げられる。
導電助剤およびバインダとしては上述のものを適宜使用することができる。
-負極活物質層に含まれる固体電解質-
負極活物質層44に含まれる固体電解質は、特に限定されない。正極活物質層24に含まれる固体電解質と同じものでもよいが、異なる種類の固体電解質でもよい。
例えば、LiS-SiS系、LiS-P系、LiS-P系、LiS-GeS系、LiS-B系、LiPO-P系、LiSiO-LiS-SiS系、等のガラスもしくはガラスセラミックス、LiBr-LiS-P、LiI-LiS-P、LiBr-LiI-LiS-P等のLiSとハロゲン化リチウム(例えばLiCl、LiBr、LiI)とから構成されるLiSベースの固溶体が挙げられる。
-固体電解質層-
固体電解質層30は、従来の全固体電池と同様、種々の固体電解質を含む。固体電解質層30には、固体電解質の他に、種々の任意の部材および材料を含ませることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のキャリアシート、および、必要に応じて正負極活物質層と同様にバインダを含ませることができる。
-固体電解質-
固体電解質層に含まれる固体電解質は、特に限定されない。正極活物質層24に含まれる固体電解質と同じものでもよいが、異なる種類の固体電解質でもよい。
<全固体電池の構築>
上述した部材および材料を用いて、従来公知の方法によって全固体電池1を構築する。
具体的には、例えば、正極活物質層24、負極活物質層44、固体電解質層30それぞれの形成は、従来のこの種の電池と同様、上述した各種成分を適当な溶媒(例えば、水系溶媒、NMP等の有機溶媒等)に分散させてペースト(スラリー)状組成物を調製し、正極集電体22または負極集電体42上に当該ペースト(スラリー)状組成物を塗布し、乾燥させ、適当な圧力(例えば5MPa~300MPa程度)でプレスすることにより、形成することができる。
そして、正極活物質層24が形成された正極20、負極活物質層44が形成された負極40、正極集電体22または負極集電体42上に形成された固体電解質層30を交互に積層することにより電極体10を作製することができる。
次いで、電極体10を所定のプレス圧(例えば2~4トン/cm)でプレスすることにより、電極体10の機械的強度と各層における導電性(換言すればイオン伝導経路)を向上させる。そして、外部接続用の正極端子および負極端子(図示せず)を電極体10の正極20および負極40にそれぞれ接続することにより、電池組立体を得ることができる。
得られた電池組立体を初回充電処理、さらには初回放電処理を行い、所望によりさらに適当なエージング処理を施すことによって、目的の全固体電池1(本実施形態では全固体リチウムイオン二次電池)を製造することができる。
ここで開示される全固体電池は、正極活物質層において、Li元素、P元素、および、S元素を含む固体電解質が含まれている。そして、この固体電解質が、ラマンスペクトルにおいて得られる3種類(具体的には、PS 3-,P 4-,P 4-)のピークが所定の面積比を有するものであることによって、正極活物質層におけるリチウムイオン伝導性が向上する。それに加えて、正極活物質層における反応抵抗が低減される。これによって、全固体電池の内部抵抗が低下し、優れた電池性能が実現される。
以下、ここで開示される全固体電池(ここでは全固体リチウムイオン二次電池)に関するいくつかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
[試験例1:全固体電池の製造]
以下に説明するプロセスにより、実施例および比較例の計2種類の全固体リチウムイオン二次電池を製造した。
<実施例>
-正極活物質層に含ませる固体電解質の調製-
Li元素、P元素、および、S元素、ならびに、Cl元素およびBr元素を含む原料を混合して合成処理を行うことによって、正極活物質層に含ませる固体電解質を得た。そして、固体電解質の組成をラマン分光法により解析した。測定装置としては、ラマン分光光度計(日本分光株式会社のNRS-3100)を使用した。測定条件は、励起レーザ波長が532nm、分解能が4cm-1、減光率が0.6、露光時間が120秒、測定回数が5回であった。当該5回の測定によって得られたラマンスペクトルの一例を図2に示す。
各々の測定回ごとに得られたラマンスペクトルの330cm-1から450cm-1の間に検出されたピークを、波形分離ソフトを用いて波形分離した。即ち、波形分離ソフトによってPS 3-(A),P 4-(B),P 4-(C)の3種類のピークに分離し、それぞれのピーク面積および総面積(A+B+C)に対する面積比を算出した。
結果を表1に示す。なお、表1中に記載される面積比は、5回の測定によって得られた面積比の平均値である。
また、当該固体電解質のイオン伝導度は4.5×10-3S/cmであった。
-正極の作製-
正極活物質としてリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LNCM)と、上記固体電解質と、バインダとしてPVdFと、導電助剤としてABとを、LNMC:固体電解質:バインダ:導電助剤=84.7:12.6:0.6:2.1の割合となるように量り取り、これらの材料を、超音波ホモジナイザー(SMT社製、UH-50)を用いて溶媒(NMP)に分散させることで正極ペーストを調製した。このペーストを、正極集電体の片面に塗布し、乾燥させたものにプレス処理することにより正極活物質層を形成し、正極とした。
-負極の作製-
負極活物質粉末としてSiと、固体電解質としての硫化物固体電解質と、バインダとしてSBRと、導電助剤としてABとを、Si:固体電解質:バインダ:導電助剤=55:40:0.6:4.4の割合となるように量り取り、これらの材料を、超音波ホモジナイザーを用いて溶媒(NMP)に分散させることで負極ペーストを調製した。このペーストを負極集電体の片面に塗布し、乾燥させたものにプレス処理することにより負極活物質層を形成し、負極とした。
-固体電解質層の作製-
固体電解質として硫化物固体電解質粉末と、バインダとを、99.4:0.6の割合で口量し、溶媒中に分散させることで固体電解質ペーストを調製した。このペーストを、上記で用意した活物質層の表面に塗布し、乾燥させることにより固体電解質層を形成した。そして、用意した各電極の活物質層間を固体電解質層で絶縁するように重ねて電極体を作製した。
-全固体電池の作製-
そして、上記電極体を、2枚のラミネートフィルムで挟み込み、全周縁部を熱溶着することで実施例に係るサンプル電池を作製した。
そして、所定の条件で初回充電処理、初回放電処理、および、エージング処理を施し、上記サンプル電池を使用可能状態とした。
<比較例>
-正極活物質層に含ませる固体電解質の調製-
PS 3-(A),P 4-(B),P 4-(C)の3種類のピークの、総面積(A+B+C)に対するそれぞれの面積比が表1中に示されるものとなるように原料を選択したこと以外は実施例と同様の手法で、比較例の正極活物質層に含ませる固体電解質を調製した。
上記固体電解質のイオン伝導度は3.6×10-3S/cmであった。
-全固体電池の作製-
正極活物質層に含ませる固体電解質として上記のものを使用した以外は実施例と同様の手法で使用可能状態の比較例に係るサンプル電池を作製した。
[試験例2:全固体電池の内部抵抗の測定]
上記エージング処理を行った各サンプル電池を温度25℃にて、SOCが90%~0%となるまで定電流(CC)放電させた。
次いで、サンプル電池を所定の電圧となるまでCC充電し、続いて所定時間定電圧(CV)充電した。そして、25℃における直流内部抵抗(direct current internal resistance;DICR)を測定した。即ち、各サンプル電池に対し、0.01C~2Cの間の所定の電流値でそれぞれ10秒間ずつ放電および充電を行い、放電開始から10秒後の電圧を測定した。このときの電流値(X軸)および電圧値(Y軸)を直線回帰し、当該直線の傾きから、25℃におけるサンプル電池のDICR(Ω)を求めた。
結果を表1に示す。
Figure 0007223279000001
表1に示されるように、実施例に係る正極用固体電解質のイオン伝導度は、比較例に係る正極用固体電解質のイオン伝導度よりも高かった。また、実施例に係るサンプル電池は、比較例に係るサンプル電池よりも低いDICRを有していた。即ち、正極用固体電解質は、ラマンスペクトルにおいてPS 3-、P 4-、P 4-のピーク面積比が、これらの総面積に対して所定の割合であるものを使用することにより、リチウムイオン伝導性を向上させることのみならず、全固体電池の内部抵抗(即ち、反応抵抗)の増大を抑制させることができる。
1 全固体電池
10 電極体
20 正極
22 正極集電体
24 正極活物質層
30 固体電解質層
40 負極
42 負極集電体
44 負極活物質層
Z 積層方向

Claims (1)

  1. 正極活物質層を有する正極と、負極活物質層を有する負極とが、固体電解質層を介在させつつ交互に積層されて構成された電極体を備える全固体電池であって、
    前記正極活物質層は、Li元素、P元素、S元素、Cl元素、および、Br元素を含む固体電解質を含んでおり、
    前記固体電解質についてのラマンスペクトルの330cm-1から450cm-1の間に存在するピークを波形分離した際、
    (A)425cm-1を中心とするPS 3-
    (B)415cm-1を中心とするP 4-,および、
    (C)390cm-1を中心とするP 4-
    の3種類のピークの総面積(A+B+C)を100%としたときの各ピークの面積比(%)はそれぞれ、(A)50%以上100%以下、(B)0%以上50%以下、および(C)0%以上5%未満である、
    ことを特徴とする、全固体電池。
JP2019163972A 2019-09-09 2019-09-09 全固体電池 Active JP7223279B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019163972A JP7223279B2 (ja) 2019-09-09 2019-09-09 全固体電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019163972A JP7223279B2 (ja) 2019-09-09 2019-09-09 全固体電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021044106A JP2021044106A (ja) 2021-03-18
JP7223279B2 true JP7223279B2 (ja) 2023-02-16

Family

ID=74864205

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019163972A Active JP7223279B2 (ja) 2019-09-09 2019-09-09 全固体電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7223279B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023234352A1 (ja) * 2022-06-01 2023-12-07 富士フイルム株式会社 全固体リチウムイオン二次電池及び全固体リチウムイオン二次電池の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011028893A (ja) 2009-07-22 2011-02-10 Toyota Motor Corp 全固体電池システム
WO2013042371A1 (ja) 2011-09-22 2013-03-28 出光興産株式会社 ガラス粒子
WO2014010172A1 (ja) 2012-07-10 2014-01-16 出光興産株式会社 硫化物系ガラスと硫化物系ガラスセラミックスの製造方法
JP2015072773A (ja) 2013-10-02 2015-04-16 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. 硫化物固体電解質、および硫化物固体電解質の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011028893A (ja) 2009-07-22 2011-02-10 Toyota Motor Corp 全固体電池システム
WO2013042371A1 (ja) 2011-09-22 2013-03-28 出光興産株式会社 ガラス粒子
WO2014010172A1 (ja) 2012-07-10 2014-01-16 出光興産株式会社 硫化物系ガラスと硫化物系ガラスセラミックスの製造方法
JP2015072773A (ja) 2013-10-02 2015-04-16 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. 硫化物固体電解質、および硫化物固体電解質の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021044106A (ja) 2021-03-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9300011B2 (en) Solid state electrolyte layer, electrode active material layer, all solid state lithium battery, manufacturing method for solid state electrolyte layer, and manufacturing method for electrode active material layer
KR101716995B1 (ko) 전고체 전지 및 그 제조 방법
JP6127528B2 (ja) 電極、全固体電池、およびそれらの製造方法
WO2014027492A1 (ja) リチウム二次電池およびその製造方法
JP6621532B2 (ja) 固体電解質組成物、固体電解質含有シート、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池ならびに固体電解質含有シート、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
CN110416598B (zh) 全固体电池和其制造方法
TW201322527A (zh) 鋰離子電池及其製造方法
CN113206254A (zh) 正极材料、包括正极材料的正极和包括正极的锂电池
CN110416630B (zh) 全固体电池
JP7223279B2 (ja) 全固体電池
JP7106748B2 (ja) 電極、電池及び電池パック
JP7267163B2 (ja) 全固体電池用正極および全固体電池
JP2005317469A (ja) リチウムイオン二次電池用負極、およびこれを用いてなるリチウムイオン二次電池
JP2014041732A (ja) 正極活物質及び二次電池
JPH11283612A (ja) リチウム二次電池
JP2013143262A (ja) リチウムイオン二次電池
JP7476788B2 (ja) 電池モジュール
JP7433004B2 (ja) 全固体電池
US20230231185A1 (en) Positive electrode layer, method for manufacturing positive electrode layer, and all solid-state battery
US20230139370A1 (en) Positive electrode active material for secondary battery, positive electrode for secondary battery, and secondary battery
JP2023060591A (ja) 固体電解質材料および全固体電池
JP4017079B2 (ja) リチウム二次電池及びその製造方法
JP3887140B2 (ja) リチウム二次電池用電極スラリーの調製方法
JP2023161322A (ja) 全固体電池
JP2022170190A (ja) 二次電池用正極

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191002

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220915

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230118

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7223279

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151