JP7221945B2 - 整合回路及びアンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば車載用のアンテナ装置のように共振波長に対して低背のアンテナに付加される整合回路及びその整合回路を備えた車載用のアンテナ装置に関する。
車載用のアンテナ装置では、アンテナと後段の増幅回路との間に、インピーダンスの整合回路を付加するのが一般的である。例えば、特許文献1に開示されたアンテナ装置では、アンテナ1の給電部にインダクタ(コイル)23とキャパシタ(コンデンサ)24とを直列接続(シリーズ接続)するとともに、後段回路(例えばPINダイオード)の直前に、それぞれ両端のうち一端がグランド接続(シャント接続)されたインダクタ21とキャパシタ22の一端を挿入接続した整合回路(図1)が付加されている。特許文献2には、シリーズ接続されたインダクタLとシャント接続されたキャパシタCとを接続した整合回路(図5)が開示されている。さらに、特許文献3には、アンテナ側のフィルタ3と増幅器76との間に、シャント接続されたキャパシタ72とシリーズ接続されたインダクタ74とを有する整合回路70(図1)が開示されている。整合回路70は、増幅器76(f点)からの反射を問題にするため、フィルタ3の直前は、シャント接続されたキャパシタ72が設けられる。
上記の各整合回路は、いずれも特定周波数の信号を通過させ、それ以外の周波数の信号を遮断するものである。また、共振点(共振周波数)でVSWRが最小、利得が最大になるようにキャパシタC及びインダクタLなどの回路定数が決定される。
特開2015-73200号公報 特開平6-252791号公報 特開平11-261363号公報
特許文献1,2,3に開示された整合回路では、共振点では良好な利得が得られるが、共振点から周波数が離れるにつれて利得が急激に低下する。これは、アンテナの高さ又は長さが共振波長に比べて短いことのほかに、整合回路の後段に接続される直前にシャント接続される回路部品が存在することが原因の一つになっていると考えられる。また、特許文献2に開示された二周波整合回路3(図1)は、アンテナ1の給電部にシリーズ接続されるインダクタLとシャント接続されるキャパシタCとの組を二組縦続することにより二周波(f1,f2)間のSWRの変動差を1.5以下にしている。
しかし、このような整合回路では、互いに接続された回路同士の定数調整が困難となるばかりでなく、低周波数f1未満の周波数と高周波数f2を越える周波数ではSWRが急激に上がる。
そのため、例えばFM波帯のように日本の使用周波数帯(76MHz~95MHz)と日本以外の国の使用周波数帯(87.5MHz~108MHz)とが異なる場合は、同じアンテナであっても異なる整合回路を別途用意しなければならなくなる。
本発明は、所望の周波数帯域のうち共振点から低い方に離れた低域から高い方に離れた高域にわたる利得の最大値と最小値の差を小さくすることができるアンテナ装置を提供することを主たる目的とする。
上記の目的を達成する本発明のアンテナ装置は、車両に取付可能なアンテナ装置であって、共振型のアンテナと、前記アンテナに付加される整合回路とを備えており、前記整合回路は、前記アンテナの給電部に接続される第1整合回路と、この第1整合回路の後段に接続される第2整合回路とを含み、前記第1整合回路は前記アンテナの共振点よりも高域又は低域に離れた周波数帯のインピーダンスを当該回路の接続前よりも低減させ、前記第2整合回路は、前記アンテナの共振点付近のインピーダンスを当該回路の接続前よりも高くすることを特徴とする。
本発明によれば、受信可能な全周波数帯域でみたときの利得の最大値と最小値の差を小さくすることができる。
第1実施形態に係るアンテナ装置の機能構成図。 ポールアンテナの例示図。 封入型アンテナの例示図。 整合回路をリアクタンス素子で構成した場合の例示図。 ポールアンテナのみのインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 シャントCのときのインピーダンスの変化状態を示すスミスチャート。 シャントLのときのインピーダンスの変化状態を示すスミスチャート。 シャントC及びシリーズLによるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 シャントL及びシリーズCによるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 比較例1-5における接続状態の説明図。 比較例1によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 比較例2によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 比較例3によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 比較例4によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 比較例5によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 第2実施形態に係るアンテナ装置の機能構成図。 第3整合回路の構成例を示す図。 シリーズL、シャントC及びシリーズLで構成された整合回路によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 シリーズC、シャントL及びシリーズCで構成された整合回路によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 シリーズC、シャントC及びシリーズLで構成された整合回路によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 シリーズL、シャントL及びシリーズCで構成された整合回路によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 第3実施形態に係るアンテナ装置の機能構成図。 シャントC、シリーズL、シャントC及びシリーズLで構成された整合回路によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 シャントL、シリーズC、シャントL及びシリーズCで構成された整合回路によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 シャントC、シリーズL、シャントL及びシリーズCで構成された整合回路によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 シャントL、シリーズC、シャントC及びシリーズLで構成された整合回路によるインピーダンスの状態と動作特性を示す図。 SFアンテナのみのインピーダンスの状態を示すスミスチャートと従来(比較例)の整合回路を付加したときの動作特性を示す図。 シャントC及びシリーズLで構成される整合回路をSFアンテナに付加したときの動作特性を示す図。 シャントL及びシリーズCで構成される整合回路をSFアンテナに付加したときの動作特性を示す図。 シリーズL、シャントC及びシリーズLで構成される整合回路をSFアンテナに付加したときの動作特性を示す図。 シリーズC、シャントL及びシリーズCで構成される整合回路をSFアンテナに付加したときの動作特性を示す図。 シリーズC、シャントC及びシリーズLで構成される整合回路をSFアンテナに付加したときの動作特性を示す図。 シリーズL、シャントL及びシリーズCで構成される整合回路をSFアンテナに付加したときの動作特性を示す図。 シャントC、シリーズL、シャントC及びシリーズLで構成される整合回路をSFアンテナに付加したときの動作特性を示す図。 シャントL、シリーズC、シャントL及びシリーズCで構成される整合回路をSFアンテナに付加したときの動作特性を示す図。 シャントC、シリーズL、シャントL及びシリーズCで構成される整合回路をSFアンテナに付加したときの動作特性を示す図。 シャントL、シリーズC、シャントC及びシリーズLで構成される整合回路をSFアンテナに付加したときの動作特性を示す図。 上面、側面、斜視、背面から見た比較例エレメントの形状説明図。 上面、側面、斜視、背面から見た実施例エレメントの形状説明図。 比較例1アンテナ装置、比較例2アンテナ装置、実施例アンテナ装置の動作特性を示す図。
以下、本発明を車載用のアンテナ装置に適用した場合の実施の形態例を説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るアンテナ装置の機能ブロック図である。このアンテナ装置1は、アンテナ10、車両側の電子機器と接続するための出力インタフェース20及び整合回路30を備えて構成される。出力インタフェース20は、アンテナ10と導通する整合回路30と車両側の電子機器とを接続するためのインタフェースであり、増幅回路などの電子回路を実装した回路基板(グランド端子付)、車両側に引き回しするケーブルの配線機構、車両に取り付けるための取付機構を含んで構成される。ただし、電子回路を省略した簡易なものであっても良い。
整合回路30は、第1端子301と第2端子302とを有する。第1端子301は、アンテナ10の給電部(例えばアンテナ10を構成するエレメントの基端)に接続される。第2端子302は、出力インタフェース20の入力段に接続される。
第1端子301には、両端のうち一端が接地電位のグランド面に接続(シャント接続)される第1整合回路31の他端と、両端のうち一端が非接地型で第2端子302に直列接続(シリーズ接続)される第2整合回路の他端とが接続される。
アンテナ10は、線状(ジグザグ状、放射状、コイル状を含む)、面状(板状、棒状を含む)、ミアンダ状、フラクタル状、あるいはこれらを組み合わせることにより、従前よりも広範となる所定のFM波帯の周波数帯域の信号を受信する。所定の周波数帯域は、日本のFM放送の使用周波数帯(76MHz~95MHz)と日本以外の国のFM放送の使用周波数帯(87.5MHz~108MHz)とを包含する76MHz~108MHzの周波数帯域である。アンテナ10は、ダイポール型であっても良く、モノポール型であっても良い。第1実施形態では、説明の便宜上、モノポール型の例を示す。
車載用のアンテナ装置の場合、アンテナ10を含むアンテナ部品を、規則で定められた高さ以下の低背のアンテナケースに収容する場合が多い。アンテナケースを有するアンテナ装置1の外観例を図2A及び図2Bに模式的に示す。図2Aはポールアンテナの例であり、アンテナケース101の頂上付近に、樹脂でモールドされたポールアンテナ102を離脱自在あるいは傾斜自在に装着して構成される。ポールアンテナ102は、例えばヘリカルアンテナである。アンテナケース101の内部には、整合回路30のほか、出力インタフェース20のうち車両への取付機構103を除くアンテナ部品が収容される。取付機構103は、アンテナケース101の底面から突出する。アンテナ装置1が車両に取り付けられたときの車両の取付面(グランド面)からの高さは約200mmであり、FM波帯でのリアクタンスがゼロとなる周波数のインピーダンスは20~50Ω、キャパシタンスは2~5pF、インダクタンスは1000nH未満である。
図2Bは封入型アンテナの例であり、例えばシャークフィン状のアンテナケース111の内部に、線状、面状又はミアンダ状のシャークフィンエレメントとコイルエレメントとを組み合わせたアンテナ112と、整合回路30、出力インタフェース20のうち車両への取付機構113を除くアンテナ部品が収容される。このような構造のアンテナ112をポールアンテナ102と区別するため、「SFアンテナ」と称する。取付機構113は、アンテナケース111の底面から突出する。アンテナ装置1が車両に取り付けられたときの車両の取付面(グランド面)からアンテナケース111の上端までの高さは約70mmである。
そのため、アンテナケース111に収容されるSFアンテナ112の頂上付近までの高さは、ポールアンテナ102の先端よりも格段に低い。FM波帯でのリアクタンスがゼロとなる周波数のインピーダンスは10Ω以下、キャパシタンスは2~5pF、インダクタンスは1000nH未満である。
第1整合回路31及び第2整合回路32は、それぞれ最も簡易な例では、単独のリアクタンス素子、すなわちインダクタ、あるいは、キャパシタで構成することができる。図3は、第1整合回路31をシャント接続された第1リアクタンス素子311、第2整合回路32をシリーズ接続された第2リアクタンス素子321で構成した場合の例を示す。本実施形態では、第1リアクタンス素子311と第2リアクタンス素子321は、互いに極性が異なるリアクタンス素子とする。すなわち、図3下段にCL型、LC型として示すように、一方のリアクタンス素子がインダクタLの場合、他方のリアクタンス素子はキャパシタCとなる。
LC型のように第2リアクタンス素子321がキャパシタCの場合、出力インタフェース20からの直流電流が整合回路30に流入しないようにカットする役割も果たす。これにより、アンテナ装置1が備える部品の増加を抑制することができる。
以後の説明において、便宜上、シャント接続されるキャパシタCを「シャントC」、シャント接続されるインダクタLを「シャントL」、シリーズ接続されるインダクタLを「シリーズL」、シリーズ接続されるキャパシタCを「シリーズC」と呼ぶ場合がある。
<整合回路の動作>
次に、第1実施形態における整合回路30の動作の概要を説明する。整合回路30が付加されるアンテナ10は、図2Aに例示されるポールアンテナ102である。ポールアンテナ102のみのインピーダンスの状態(ただし、正規化された状態)を図4上段にスミスチャートで示す。
周知の通り、スミスチャートはインピーダンス(R+(-)jX)の抵抗成分Rの大きさを横軸で表し、リアクタンス成分Xの大きさを横軸右端から放射状に延びる曲線で表した線図である。横軸中心から上側が+j(誘導性)、下側が-j(容量性)を表す。横軸の左側は抵抗成分Rが0、中央部分が1、右端は抵抗成分Rとリアクタンス成分Xがいずれも無限大となる。
横軸右端から延びる弧は、リアクタンス成分Xの大きさを表す真円(等リアクタンス円)の一部であり、径が小さいほどポールアンテナ102が高インピーダンスを表すものとなる。また、横軸を通過する円は等抵抗円であり、リアクタンス円と直交する。キャパシタC及びインダクタLがシャント接続の場合は、等コンダクタンス円(インピーダンスの逆数の実数部の大きさが等しくなる円)上を移動する。また、シリーズLの場合、周波数変化に伴うインピーダンスの軌跡は等抵抗円に沿って時計回りになり、シリーズCの場合は反時計回りになる。
ここでは、ポールアンテナ102が92MHzで共振し、抵抗成分Rが上述の通り20~50Ωに設計されているものとする。
図4上段のスミスチャートにおいて、400は、ポールアンテナ102のインピーダンスの軌跡である。インピーダンス400のうち、401は共振点(本実施形態における共振周波数である92MHz)、402は共振点から低い周波数の方向に離れた低域(第1周波数帯:本実施形態における代表値は76MHz)、403は共振点から高い周波数の方向に離れた高域(第2周波数帯:本実施形態における代表値は108MHz)のときのインピーダンスである。
以下の説明では、92MHz及びその付近のインピーダンス401を「共振点インピーダンス」、76MHzを含む低域のインピーダンス402を「低域インピーダンス」、108MHzを含む高域のインピーダンス403を「高域インピーダンス」と呼ぶ場合がある。スミスチャートに示される通り、ポールアンテナ102は、そのインピーダンスが全周波数帯域のうち低域で容量性、高域で誘導性を呈するものとなる。
図4中段は、整合回路30が付加される前のポールアンテナ102のVSWR-周波数(Frequency:以下同じ)特性図、図4下段はポールアンテナ102の利得(Gain:以下同じ)―周波数特性図である。それぞれ横軸は周波数(MHz)である。VSWR-周波数特性、利得―周波数特性を総称する場合、あるいは、それにインピーダンス状態を含める場合、「動作特性」と表記する。
図4に示される動作特性によると、76MHz~108MHzの全周波数帯域において、VSWRの最大値は76.58、最小値は2.20であり、最大値と最小値との差(偏差、以下同じ)は74.38である。また、利得の最大値は-0.66dB、最小値は-12.9dBであり、偏差は12.28dBである。このようにVSWR及び利得の偏差が大きいのは、車載用のアンテナ装置1は、共振型のアンテナ(例えばポールアンテナ102)を用いており、限られた領域でアンテナを構成するため、キャパシタンスよりもインダクタンスが大きくなるためである。また、FM波帯のうち主に使用される周波数の共振波長に比べてアンテナ10のグランド面からの高さが極端に低く、放射抵抗も十分でないためと考えられる。
特許文献1,2,3に開示されている従来の整合回路は、上記のサイズ上の制約の下で共振点の前後約10MHzのVSWRと利得を実用レベルに改善して広帯域化を図るものであり、76MHzのような低域又は108MHzのような高域までを含めた全周波数帯域におけるVSWRと利得の偏差を小さくするという視点がない。これについては、比較例1~5を用いて後述する。
本実施形態のアンテナ装置1では、整合回路30が、図1及び図3に示されるように、第1整合回路31(第1リアクタンス素子311)がシャント接続され、第2整合回路32(第2リアクタンス素子321)がシリーズ接続される。そして、第1整合回路31でポールアンテナ102の共振点付近から高い方向に離れた高域又は低い方向に離れた低域におけるインピーダンスを当該第1整合回路31の接続前よりも低減させる。
また、第2整合回路32で高域及び低域のインピーダンスが低い状態を保ちつつ、共振点付近のインピーダンスを当該第2整合回路32の接続前よりも高くする。これにより、低域から高域までの全周波数帯域におけるVSWRの偏差及び利得の偏差を小さくすることができる。
第1整合回路31をシャントCとする場合において、シャントCのみを接続し、キャパシタンスの大きさを変えたときの第1端子301のインピーダンスの状態を図5のスミスチャートで表す。図5(1)はポールアンテナ102のみのインピーダンスの状態であり、図4上段と同じである。シャントCでは高域インピーダンス403をスミスチャートの第四象限(横軸の中心(1,0)を通過する等抵抗円の下半分の領域)500に移動させる。これにより、第2整合回路32が接続された際に、高域及び低域のインピーダンスを下げ、共振点付近のインピーダンスを上げることが可能となる。
図5(2)はキャパシタンスが5pFの場合のポールアンテナ102のインピーダンスの軌跡を表す。同様に図5(3)は10pF、図5(4)は20pF、図5(5)は35pFの場合のポールアンテナ102のインピーダンスの軌跡である。図示の通り、高域インピーダンス403は、キャパシタンスが大きくなるにつれてスミスチャートの第四象限500に向かって移動する。実際にはインダクタンスの影響を受ける場合もあるが、いずれにしてもスミスチャートの第四象限500を逸脱する大きさのキャパシタンスでは、第2整合回路32を接続してもVSWRは小さくならない。
第1整合回路31をシャントLとする場合において、シャントLのインダクタンスを変えたときのポールアンテナ102のインピーダンスの状態を図6のスミスチャートで表す。
図6(1)はポールアンテナ102のみのインピーダンスの状態であり、図4上段と同じである。シャントLでは低域インピーダンス402を図6(1)のスミスチャートの第一象限600(横軸の中心(1,0)を通過する等抵抗円の上半分の領域)に移動させる。これにより、第2整合回路32が接続された際に、高域及び低域のインピーダンスを下げ、共振点付近のインピーダンスを上げることが可能となる。図6(2)はインダクタンスが400nHの場合のインピーダンスの軌跡である。同様に図6(3)は350nH、図6(4)は150nH、図6(5)は90nHの場合のインピーダンスの軌跡である。
図示の通り、低域インピーダンス402は、インダクタンスが小さくなるにつれてスミスチャートの第一象限600に向かって移動する。実際にはキャパシタンスの影響を受ける場合があるが、いずれにしてもスミスチャートの第一象限600を逸脱する大きさのインピーダンスでは、第2整合回路32を接続してもVSWRは小さくならない。
以下、整合回路30におけるキャパシタC及びインダクタLの接続態様に応じたポールアンテナ102のインピーダンスの状態及び動作特性について具体的に説明する。
(1-1)シャントC+シリーズL
図7は、整合回路30をシャントC及びシリーズLで構成したときの動作特性例を示す図である。図7上段(1)に示すように、シャントCにより高域インピーダンス403がスミスチャート上で容量性に向かって移動する(破線矢印)。つまり、図5(1)に示されるスミスチャートの第四象限500に向かって移動する。また、シリーズLにより共振点インピーダンス401が、図7上段(2)に示すように高インピーダンス側に移動する(破線矢印)。
このときのVSWR-周波数特性図を図7中段、利得-周波数特性図を図7下段に示す。第1実施形態において着目する76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は18.3、最小値は9.9であり、偏差は8.4となる。また、利得の最大値は-4.9dB、最小値は-7.2dBであり、偏差は2.4dBとなる。
ポールアンテナ102のみの場合(図4の各特性図参照)と比べて、VSWRの偏差は74.38から8.4まで小さくなり、利得の偏差も12.28dBから2.4dBまで小さくなっている。
低くなった利得は、図示しない増幅回路などで補償が容易である。そのため、一つのポールアンテナ102で、日本のFM放送の使用周波数帯(76MHz~95MHz)のみならず、日本以外の国のFM放送の使用周波数帯(87.5MHz~108MHz)でも受信が可能となり、量産に適したアンテナ装置1を実現することができる。
(1-2)シャントL+シリーズC
図8は、整合回路30をシャントL及びシリーズCで構成したときの動作特性例を示す図である。図8上段(1)に示すように、シャントLにより低域インピーダンス402は、スミスチャート上で誘導性に移動する(破線矢印)。つまり、図6(1)に示されるスミスチャートの第一象限600に向かって移動する。また、図8上段(2)に示すように、シリーズCにより共振点インピーダンス401が、スミスチャート上で高インピーダンス側に移動する(破線矢印)。
このときのVSWR-周波数特性図を図8中段、利得-周波数特性図を図8下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は16.8、最小値は8.3であり、偏差は8.6となる。また、利得の最大値は-4.2dB、最小値は-6.8dBであり、偏差は2.6dBとなる。ポールアンテナ102のみの場合(図4の各特性図参照)と比べて、VSWRの偏差は74.38から8.6に小さくなり、利得の偏差は12.28dBから2.6dBに小さくなっている。低くなった利得は、図示しない増幅回路などで補償が容易である。
そのため、一つのポールアンテナ102で、日本のFM放送の使用周波数帯(76MHz~95MHz)のみならず、日本以外の国のFM放送の使用周波数帯(87.5MHz~108MHz)でも受信が可能となり、量産に適したアンテナ装置1を実現することができる。
<比較例>
ここで、整合回路30との比較のため、インダクタL及びキャパシタCの接続態様が整合回路30と異なるいくつかの整合回路を比較例として説明する。
図9は、比較例1-比較例5の構成図である。比較例1はシリーズC及びシャントLで構成される。比較例2はシリーズL及びシャントCで構成される。比較例3はシャントL及びシリーズLで構成される。比較例4はシャントC及びシリーズCで構成される。比較例5はシリーズC、シリーズL、シャントL及びシャントCで構成される。この比較例5は、従来技術例として挙げた特許文献1に開示された整合回路である。それぞれ左側の端子に、図4で説明した動作特性のポールアンテナ102が接続され、右側の端子に出力インタフェース30が接続される。
(1-3)比較例1(シリーズC+シャントL)
比較例1の動作特性を図10を参照して説明する。この整合回路では、図10上段(1)に示すように、シリーズCによりスミスチャート上で共振点インピーダンス401が反時計回りに移動する(破線矢印)。また、図10上段(2)に示すように、シャントLにより低域インピーダンス402がスミスチャート上で誘導性へ移動する(破線矢印)。その際、周波数によってはシャントLのインダクタLを介して低インピーダンスとなる。
このときのVSWR-周波数特性図を図10中段、利得-周波数特性図を図10下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は114.9、最小値は1.9であり、偏差は113.0である。また、利得の最大値は-0.5dB,最小値は-14.8dBであり、偏差は14.3dBである。
このように、比較例1の整合回路は、整合回路30と異なる思想のものであり、VSWRの偏差、利得の偏差がいずれも小さくならない。
(1-4)比較例2(シリーズL+シャントC)
比較例2の動作特性を図11を参照して説明する。この整合回路では、図11上段(1)に示すように、シリーズLによりスミスチャート上で共振点インピーダンス401が時計回りに移動する(破線矢印)。また、図11上段(2)に示すように、シャントCにより高域インピーダンス403がスミスチャート上で容量性へ移動する(破線矢印)。その際、周波数によってはシャントCのキャパシタンスを介して低インピーダンスになる。
このときのVSWR-周波数特性図を図11中段、利得-周波数特性図を図11下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は91.4、最小値は2.2であり、偏差は89.2である。利得の最大値は-0.7dB,最小値は-13.7dBであり、偏差は13.0dBである。このように、比較例2の整合回路も、整合回路30と異なる思想のものであり、VSWRの偏差、利得の偏差がいずれも小さくならない。
(1-5)比較例3(シャントL+シリーズL)
比較例3の動作特性を図12を参照して説明する。この整合回路では、図12上段(1)に示すように、シャントLにより低域インピーダンス402がスミスチャート上で誘導性へ移動する(破線矢印)。また、図12上段(2)に示すように、シリーズLにより共振点インピーダンス401がスミスチャート上で時計回りに移動する(破線矢印)。つまり、全周波数帯域が高インピーダンスになるだけとなる。
このときのVSWR-周波数特性図を図12中段に示す。また、利得-周波数特性図を図12下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は107.8、最小値は1.3であり、偏差は106.5である。利得の最大値は-0.1dB,最小値は-14.5dBであり、偏差は14.4dBである。このように、比較例3では、図3の第1リアクタンス素子がシャント接続され、第2リアクタンス素子がシリーズ接続されていても、各リアクタンス素子の極性が同一である。このため、全周波数帯域で高インピーダンスになるだけとなる。
つまり、比較例3の整合回路もまた、整合回路30と異なる思想のものであり、VSWRの偏差、利得の偏差がいずれも小さくならない。
(1-6)比較例4(シャントC+シリーズC)
比較例4の動作特性を図13を参照して説明する。この整合回路では、図13上段(1)に示すように、シャントCにより高域インピーダンス403がスミスチャート上で容量性へ移動する(破線矢印)。また、図13上段(2)に示すように、シリーズCにより共振点インピーダンス401がスミスチャート上で反時計回りに移動する(破線矢印)。つまり、全周波数帯域が高インピーダンスになるだけとなる。
このときのVSWR-周波数特性図を図13中段に示す。また、利得-周波数特性図を図14下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は275.3、最小値は1.2であり、偏差は274.2である。利得の最大値は-0.0dB,最小値は-18.4dBであり、偏差は18.4dBである。
このように、比較例4に係る整合回路では、比較例3に係る整合回路と同様、各リアクタンス素子の極性が同一であるため、全周波数帯域で高インピーダンスになるだけとなる。つまり、比較例4の整合回路もまた、整合回路30と異なる思想のものであり、VSWRの偏差、利得の偏差がいずれも小さくならない。
(1-7)比較例5(シリーズC+シリーズL+シャントL+シャントC)
比較例5の動作特性を図14を参照して説明する。この整合回路では、図14上段(1)に示すように、シリーズCにより共振点インピーダンス401がスミスチャート上で反時計回りに移動する(破線矢印)。また、図14上段(2)に示すように、シリーズLにより共振点インピーダンス401がスミスチャート上で時計回りに移動する(破線矢印)。また、図14上段(3)に示すように、シャントLにより低域インピーダンス402がスミスチャート上で誘導性へ移動する(破線矢印)。しかし、図14上段(4)に示すように、シャントCにより高域インピーダンス403(低域インピーダンス402も同様)が容量性へ移動する(破線矢印)。そのため、結果は整合回路の付加前と変わらない。
このときのVSWR-周波数特性図を図14中段に示す。また、利得-周波数特性を図14下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は85.0、最小値は2.3であり、偏差は82.8である。利得の最大値は-0.9dB,最小値は-13.5dBであり、偏差は12.7dBである。つまり、比較例5に係る整合回路(従来技術例)もまた、整合回路30と異なる思想のものであり、VSWRの偏差、利得の偏差がいずれも小さくならない。
このように、比較例1-5に係る整合回路をポールアンテナ102に付加した場合、76MHz~108MHzの全周波数帯域では、ポールアンテナ102の利得の偏差が12.7dB以上となる。よって、広帯域化には限界がある。そのため、各整合回路の後段に、受信信号を増幅する増幅回路を設ける場合、共振点付近用、低域及び共振点付近用、共振点付近及び高域用のものを独立に設ける必要がある。
これに対して、第1実施形態の整合回路30では、VSWRの偏差が小さくなり、利得の偏差も10.0dB以下まで小さくできるので、後段の増幅回路は一つだけで足りるようになる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図15は、第2実施形態に係るアンテナ装置2の機能ブロック図である。このアンテナ装置2は、整合回路230の構成だけが第1実施形態のアンテナ装置1の整合回路30と異なる。第2実施形態の整合回路230は、ポールアンテナ102と第1整合回路31の前段との間に接続される非接地型の第3整合回路33を含んで構成される。
第3整合回路33には、単純な回路例としては、図16に示すように、インダクタLのみ、キャパシタCのみ、キャパシタCとインダクタLをシリーズ接続したものを用いることができる。アンテナ装置2及び整合回路230の他の構成については、第1実施形態のアンテナ装置1及び整合回路30と同じである。
以下、整合回路230におけるキャパシタC及びインダクタLの接続態様に応じたポールアンテナ102の動作特性について具体的に説明する。
(2-1)シリーズL+シャントC+シリーズL
図17は、整合回路230をシリーズL、シャントC及びシリーズLで構成したときの動作特性を示す図である。この整合回路230では、図17上段(1)に示すように、シリーズLにより共振点インピーダンス401がスミスチャート上で時計回りに移動する(破線矢印)。また、図17上段(2)に示すように、シャントCにより高域インピーダンス403がスミスチャート上で容量性に移動する(破線矢印)。さらに図17(3)に示すように、シリーズLにより共振点インピーダンス401が高インピーダンス側に移動する(破線矢印)。
このときのVSWR-周波数特性図を図17中段、利得-周波数特性図を図17下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は16.2、最小値は10.4であり、偏差は5.8となる。また、利得の最大値は-5.0dB、最小値は-6.8dBであり、偏差は1.7dBである。そのため、第1実施形態の整合回路30と同様、VSWRの偏差及び利得の偏差が小さくなり、ポールアンテナ102を全周波数帯域にわたって安定して動作させることができる。
(2-2)シリーズC+シャントL+シリーズC
図18は、整合回路230をシリーズC、シャントL及びシリーズCで構成したときの動作特性を示す図である。この整合回路230では、図18上段(1)に示すように、シリーズCにより共振点インピーダンス401が反時計回りでスミスチャート上で移動する(破線矢印)。また、図18上段(2)に示すように、シャントLにより、低域インピーダンス402がスミスチャート上で誘導性に移動する(破線矢印)。また、図18上段(3)に示すように、シリーズCにより共振点インピーダンス401が高インピーダンス側に移動する(破線矢印)。
このときのVSWR-周波数特性図を図18中段、利得-周波数特性図を図18下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は18.1、最小値は7.6であり、偏差は10.4である。また、利得の最大値は-4.0dB、最小値は-7.0dBであり、偏差は3.0dBである。そのため、第1実施形態の整合回路30と同様、VSWRの偏差及び利得の偏差が小さくなり、ポールアンテナ102を全周波数帯域にわたって安定して動作させることができる。
(2-3)シリーズC+シャントC+シリーズL
図19は、整合回路230をシリーズC、シャントC及びシリーズLで構成したときの動作特性を示す図である。この整合回路230では、図19上段(1)に示すように、シリーズCにより共振点インピーダンス401がスミスチャート上で反時計回りに移動する(破線矢印)。また、図19上段(2)に示すように、シャントCにより高域インピーダンス403がスミスチャート上で容量性に移動する(破線矢印)。また、図19上段(3)に示すように、シリーズLにより共振点インピーダンス401が高インピーダンス側へ移動する(破線矢印)。
このときのVSWR-周波数特性図を図19中段、利得-周波数特性図を図19下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は19.6、最小値は9.2、偏差は10.4である。また、利得の最大値は-4.5dB、最小値は-7.5dB、偏差は3.0dBである。そのため、第1実施形態の整合回路30と同様、VSWRの偏差及び利得の偏差が小さくなり、ポールアンテナ102を全周波数帯域にわたって安定して動作させることができる。
(2-4)シリーズL+シャントL+シリーズC
図20は、整合回路230をシリーズL、シャントL及びシリーズCで構成したときの動作特性を示す図である。この整合回路230では、図20上段(1)に示すように、シリーズLにより共振点インピーダンス401がスミスチャート上で時計回りに移動する(破線矢印)。また、図20上段(2)に示すように、シャントLにより低域インピーダンス402がスミスチャート上で誘導性に移動する(破線矢印)。また、図20上段(3)に示すように、シリーズCにより共振点インピーダンス401が高インピーダンス側に移動する(破線矢印)。
このときのVSWR-周波数特性図を図20中段、利得-周波数特性図を図20下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は18.7、最小値は7.8であり、偏差は10.9である。また、利得の最大値は-4.1dB、最小値は-7.3dBであり、偏差は3.2dBである。そのため、第1実施形態の整合回路30と同様、VSWRの偏差及び利得の偏差が小さくなり、ポールアンテナ102を全周波数帯域にわたって安定して動作させることができる。
図16に示したシリーズCとシリーズLで第3整合回路33を構成する整合回路230についても、ほぼ同様の動作となるため、説明を省略する。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図21は、第3実施形態に係るアンテナ装置3の機能ブロック図である。このアンテナ装置3は、整合回路330の構成が第1実施形態のアンテナ装置1及び第2実施形態のアンテナ装置2と異なる。この整合回路330は、第1実施形態の整合回路30が有する第1整合回路31と第2整合回路32との組を縦列に複数組接続して構成される。図示の例は、2組の場合の例である。アンテナ装置3及び整合回路330の他の構成については、第1実施形態のアンテナ装置1及び整合回路30と同じである。
以下、整合回路330におけるキャパシタC及びインダクタLの接続態様に応じたポールアンテナ102のインピーダンスの状態及び動作特性について具体的に説明する。
(3-1)シャントC+シリーズL+シャントC+シリーズL
図22は、整合回路330をシャントC、シリーズL、シャントC及びシリーズLで構成したときの動作特性を示す図である。この整合回路330では、図22上段(1)に示すように、シャントCにより、高域インピーダンス403がスミスチャート上で容量性に移動する(破線矢印)。また、図22上段(2)に示すように、シリーズLにより共振点インピーダンス401がスミスチャート上で高インピーダンス側へ移動する(破線矢印)。この時点で広帯域化が可能となる。また、図22上段(3)に示すように、シャントCにより高域インピーダンス403がスミスチャート上で等コンダクタンス円上を時計回りに移動する(破線矢印)。これにより高域のインピーダンスが低下する。さらに、図22上段(4)に示すように、シリーズLにより高域インピーダンス403(低域インピーダンス402も同様)がスミスチャート上で時計回りに移動する(破線矢印)。これによりVSWRの微細な変動(リップル)が低減する。
このときのVSWR-周波数特性図を図22中段、利得-周波数特性図を図22下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は21.9、最小値は9.3であり、偏差は12.6である。また、利得の最大値は-4.6dB、最小値は-8.0dBであり、偏差は3.3dBである。そのため、第1実施形態及び第2実施形態と同様、VSWRの偏差及び利得の偏差が小さくなり、ポールアンテナ102を全周波数帯域にわたって安定して動作させることができる。これにより、ポールアンテナ102で受信できる帯域幅を第1実施形態よりもさらに拡げることができる。
(3-2)シャントL+シリーズC+シャントL+シリーズC
図23は、整合回路330をシャントL、シリーズC、シャントL及びシリーズCで構成したときの動作特性を示す図である。この整合回路330では、図23上段(1)に示すように、シャントLにより低域インピーダンス402がスミスチャート上で誘導性に移動する(破線矢印)。また、図23上段(2)に示すように、シリーズCにより共振点インピーダンス401が高インピーダンス側へ移動する(破線矢印)。この時点で広帯域化が可能となる。さらに、図23上段(3)に示すように、シャントLにより低域インピーダンス402が等コンダクタンス円上を反時計回りに移動する(破線矢印)。これにより低域インピーダンス402が低下する。さらに、図23上段(4)に示すように、シリーズCにより低域インピーダンス402(高域インピーダンス403も同様)がスミスチャート上で反時計回りに移動する(破線矢印)。これによりVSWRの微細な変動(リップル)が低減する。
このときのVSWR-周波数特性図を図23中段、利得-周波数特性図を図23下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は16.8、最小値は8.9であり、偏差は7.9である。また、利得の最大値は-4.5dB、最小値は-6.8dB、偏差は2.3dBである。そのため、第1実施形態及び第2実施形態と同様、VSWRの偏差及び利得の偏差が小さくなり、アンテナ10を全周波数帯域にわたって安定して動作させることができる。これにより、アンテナ10で受信できる帯域幅を第1実施形態よりもさらに拡げることができる。
(3-3)シャントC+シリーズL+シャントL+シリーズC
図24は、整合回路330をシャントC、シリーズL、シャントL及びシリーズCで構成したときの動作特性を示す図である。この整合回路330では、図24上段(1)に示すように、シャントCにより高域インピーダンス403がスミスチャート上で容量性に移動する(破線矢印)。また、図24上段(2)に示すように、シリーズLにより共振点インピーダンス401が高インピーダンス側へ移動する(破線矢印)。この時点で広帯域化が可能となる。さらに、図24上段(3)に示すように、シャントLにより低域インピーダンス402が誘導性側に移動する(破線矢印)。さらに、図24上段(4)に示すように、シリーズCによりVSWRの周波数特性を調整する。すなわち微細な変動(リップル)を低減させる。
このときのVSWR-周波数特性図を図24中段、利得-周波数特性図を図24下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は16.8、最小値は11.5であり、偏差は5.3である。また、利得の最大値は-5.5dB、最小値は-6.8dB、偏差は1.3dBである。そのため、第1実施形態及び第2実施形態と同様、VSWRの偏差及び利得の偏差が小さくなり、アンテナ10を全周波数帯域にわたって安定して動作させることができる。これにより、アンテナ10で受信できる帯域幅を第1実施形態よりもさらに拡げることができる。
(3-4)シャントL+シリーズC+シャントC+シリーズL
図25は、整合回路330をシャントL、シリーズC、シャントC及びシリーズLで構成したときの動作特性を示す図である。この整合回路330では、図25上段(1)に示すように、シャントLにより低域インピーダンス402がスミスチャート上で誘導性に移動する(破線矢印)。また、図25上段(2)に示すように、シリーズCにより共振点インピーダンス401が高インピーダンス側へ移動する(破線矢印)。この時点で広帯域化が可能となる。さらに、図25上段(3)に示すように、シャントCにより高域インピーダンス403が容量性側に移動する(破線矢印)。さらに、図25上段(4)に示すように、シリーズLによりVSWRの微細な変動(リップル)が低減する。
このときのVSWR-周波数特性図を図25中段、利得-周波数特性図を図25下段に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は17.2、最小値は10.5であり、偏差は6.7である。また、利得の最大値は-5.0dB、最小値は-7.0dB、偏差は1.9dBである。そのため、第1実施形態及び第2実施形態と同様、VSWRの偏差及び利得の偏差が小さくなり、ポールアンテナ102を全周波数帯域にわたって安定して動作させることができる。これにより、ポールアンテナ102で受信できる帯域幅を第1実施形態よりもさらに拡げることができる。
図22~図25は、第1整合回路31と第2整合回路32とを2組縦列接続した場合の例であるが、2組以上であっても良い。
[SFアンテナの場合の動作]
以上の説明は、アンテナ10が図2Aのポールアンテナ(ヘリカルアンテナ)102であることを前提としたものであるが、図2BのSFアンテナ112の場合も上記と同様に動作する。むしろ、SFアンテナ112の方が、整合回路30,230,330による広帯域化の効果がより顕著になる場合もある。以下、このことを説明する。
図26上段は、SFアンテナ112のインピーダンスの軌跡を示すスミスチャートであり、図4上段に示したポールアンテナ102のスミスチャートに対応する。図26のスミスチャートにおいて、400はSFアンテナ112のインピーダンスの軌跡であり、インピーダンス400、共振点インピーダンス401、低域インピーダンス402、高域インピーダンス403の定義は、ポールアンテナ102と同じである。SFアンテナ112の場合、実軸の抵抗成分が10Ω以下であることから、ポールアンテナ102よりも等抵抗円の径が大きい。インピーダンスは1000nH未満である。SFアンテナ112も、ポールアンテナ102と同様、そのインピーダンスが全周波数帯域のうち低域で容量性、高域で誘導性を呈するものとなる。
SFアンテナ112に、例えば図9に示した比較例5(従来型の整合回路)を付加したとする。このときのインピーダンスの推移は、図14上段(1)-(4)のスミスチャートのようになる。図26中段はSFアンテナ112のVSWR-周波数特性図、図26下段はSFンテナ102の利得-周波数特性図である。それぞれ横軸は周波数(MHz)である。76MHz~108MHzの全周波数帯域において、VSWRは、共振周波数である90MHz付近で最小値が10.4であり、高域の108MHzで最大値が305.5である。VSWRの偏差は、295.2である。ポールアンテナ102よりもVSWRの偏差が大きいのは、SFアンテナ112が複数のエレメントで構成される点、及び、SFアンテナ112のアンテナ長がポールアンテナ102の約18/50以下である点に起因する。利得は、共振周波数である90MHz付近で最大値が-5.7dBであり、高域の108MHzで最小値が-19.6dBである。利得の偏差は13.9である。
次に、比較例5に代えて第1実施形態の整合回路30を付加したときのSFアンテナ112のインピーダンスの状態と動作特性について、以下説明する。
(4-1)シャントC+シリーズL
整合回路30をシャントC及びシリーズLで構成したときのSFアンテナ112のインピーダンスは、図7上段(1),(2)のように変化する。このときのVSWR-周波数特性図と利得-周波数特性図を図27に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は70.7、最小値は45.4であり、偏差は25.2となる。比較例5を付加したときのVSWRの偏差が295.2であったのに比べて、270小さくなっている。また、利得の最大値は-11.1dB、最小値は-13.3dBであり、偏差は2.2dBとなる。比較例5を付加したときの利得の偏差が13.9dBであったのに比べて、11.7dB小さくなっている。
(4-2)シャントL+シリーズC
整合回路30をシャントL及びシリーズCで構成したときのSFアンテナ112のインピーダンスは、図8上段(1),(2)のように変化する。このときのVSWR-周波数特性図と利得-周波数特性図を図28に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は79.5、最小値は39.4であり、偏差は40.1となる。比較例5を付加したときのVSWRの偏差が295.2であったのに比べて、255.1小さくなっている。また、利得の最大値は-10.7dB、最小値は-13.1dBであり、偏差は2.4dBとなる。比較例5を付加したときの利得の偏差が13.9であったのに比べて、11.5dB小さくなっている。
次に、第1実施形態の整合回路30に代えて第2実施形態の整合回路230を付加したときのSFアンテナ112のインピーダンスの状態と動作特性について説明する。
(5-1)シリーズL+シャントC+シリーズL
整合回路230をシリーズL、シャントC及びシリーズLで構成したときのSFアンテナ112のインピーダンスは、図17上段(1)-(3)のように変化する。このときのVSWR-周波数特性図と利得-周波数特性図を図29に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は66.0、最小値は42.0であり、偏差は24.0となる。比較例5を付加したときのVSWRの偏差が295.2であったのに比べて、271.2小さくなっている。また、利得の最大値は-10.7dB、最小値は-13.1dBであり、偏差は2.4dBとなる。比較例5を付加したときの利得の偏差が13.9であったのに比べて、11.5dB小さくなっている。
(5-2)シリーズC+シャントL+シリーズC
整合回路230をシリーズC、シャントL及びシリーズCで構成したときのSFアンテナ112のインピーダンスは、図18上段(1)-(3)のように変化する。このときのVSWR-周波数特性図と利得-周波数特性図を図30に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は53.1、最小値は39.4であり、偏差は13.7となる。比較例5を付加したときのVSWRの偏差が295.2であったのに比べて、281.5小さくなっている。また、利得の最大値は-10.8dB、最小値は-11.7dBであり、偏差は0.9dBとなる。比較例5を付加したときの利得の偏差が13.9であったのに比べて、13.0dB小さくなっている。
(5-3)シリーズC+シャントC+シリーズL
整合回路230をシリーズC、シャントC及びシリーズLで構成したときのSFアンテナ112のインピーダンスは、図19上段(1)-(3)のように変化する。このときのVSWR-周波数特性図と利得-周波数特性図を図31に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は73.8、最小値は47.5であり、偏差は26.3となる。比較例5を付加したときのVSWRの偏差が295.2であったのに比べて、268.9小さくなっている。また、利得の最大値は-11.3dB、最小値は-13.5dBであり、偏差は2.1dBとなる。比較例5を付加したときの利得の偏差が13.9であったのに比べて、11.8dB小さくなっている。
(5-4)シリーズL+シャントL+シリーズC
整合回路230をシリーズL+シャントL+シャントCで構成したときのSFアンテナ112のインピーダンスは、図20上段(1)-(3)のように変化する。このときのVSWR-周波数特性図と利得-周波数特性図を図32に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は65.6、最小値は40.4であり、偏差は25.2となる。比較例5を付加したときのVSWRの偏差が295.2であったのに比べて、270.0小さくなっている。また、利得の最大値は-10.8dB、最小値は-12.3dBであり、偏差は1.5dBとなる。比較例5を付加したときの利得の偏差が13.9であったのに比べて、12.4dB小さくなっている。
次に、第2実施形態の整合回路230に代えて第3実施形態の整合回路330を付加したときのSFアンテナ112のインピーダンスの状態と動作特性について説明する。
(6-1)シャントC+シリーズL+シャントC+シリーズL
整合回路230をシャントC+シリーズL+シャントC+シリーズLで構成したときのSFアンテナ112のインピーダンスは、図22上段(1)-(4)のように変化する。このときのVSWR-周波数特性と利得-周波数特性を図33に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は73.9、最小値は57.9であり、偏差は15.9となる。比較例5を付加したときのVSWRの偏差が295.2であったのに比べて、279.3小さくなっている。また、利得の最大値は-12.2dB、最小値は-13.3dBであり、偏差は1.1dBとなる。比較例5を付加したときの利得の偏差が13.9であったのに比べて、12.8dB小さくなっている。
(6-2)シャントL+シリーズC+シャントL+シリーズC
整合回路230をシャントL+シリーズC+シャントL+シリーズCで構成したときのSFアンテナ112のインピーダンスは、図23上段(1)-(4)のように変化する。このときのVSWR-周波数特性図と利得-周波数特性図を図34に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は71.8、最小値は44.2であり、偏差は27.6となる。比較例5を付加したときのVSWRの偏差が295.2であったのに比べて、267.6小さくなっている。また、利得の最大値は-11.1dB、最小値は-13.1dBであり、偏差は2.0dBとなる。比較例5を付加したときの利得の偏差が13.9であったのに比べて、11.9dB小さくなっている。
(6-3)シャントC+シリーズL+シャントL+シリーズC
整合回路230をシャントC+シリーズL+シャントL+シリーズCで構成したときのSFアンテナ112のインピーダンスは、図24上段(1)-(4)のように変化する。このときのVSWR-周波数特性と利得-周波数特性を図35に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は78.8、最小値は55.1であり、偏差は23.7となる。比較例5を付加したときのVSWRの偏差が295.2であったのに比べて、271.5小さくなっている。また、利得の最大値は-11.9dB、最小値は-13.5dBであり、偏差は1.6dBとなる。比較例5を付加したときの利得の偏差が13.9であったのに比べて、12.3dB小さくなっている。
(6-4)シャントL+シリーズC+シャントC+シリーズL
整合回路230をシャントL+シリーズC+シャントC+シリーズLで構成したときのSFアンテナ112のインピーダンスは、図25上段(1)-(4)のように変化する。このときのVSWR-周波数特性図と利得-周波数特性図を図36に示す。76MHz~108MHzの全周波数帯域でみると、VSWRの最大値は68.0、最小値は52.3であり、偏差は15.7となる。比較例5を付加したときのVSWRの偏差が295.2であったのに比べて、279.5小さくなっている。また、利得の最大値は-11.5dB、最小値は-12.8dBであり、偏差は1.3dBとなる。比較例5を付加したときの利得の偏差が13.9であったのに比べて、12.6dB小さくなっている。
このように、アンテナ構造によって、SFアンテナ112におけるVSWRの偏差は、ポールアンテナ102の場合と異なるが、利得の偏差はポールアンテナ102の場合と同様10.0dB以下となる。そのため、後段の増幅回路は一つだけで足りるようになる。
第1ないし第3実施形態では、76MHz~108MHzの周波数帯域で使用するアンテナ10に付加する整合回路30,230,330の例を説明したが、共振型のアンテナに付加する整合回路であれば、上記と同様の動作特性になるため、本発明の範囲は、上記周波数帯域に限られるものではない。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態として、アンテナサイズに着目した場合の実施の形態例を説明する。整合回路30,230,330を付加した効果(共振点から低い方に離れた低域から高い方に離れた高域にわたる利得の最大値と最小値の差が小さくなる)がSFアンテナで顕著になる場合があることは、第3実施形態で説明した通りである。SFアンテナは、前述の通りシャークフィンエレメントとコイルエレメントとを組み合わせた構造のアンテナであるが、アンテナサイズを決定づけるのは、コイルエレメントに対地静電容量を装荷するためのシャークフィンエレメントの形状・構造及びサイズである。
本発明者は、本発明の整合回路がアンテナサイズに与える影響を検証するために、使用周波数で共振可能な比較例エレメントと実施例エレメントとを作成した。図37は、比較例エレメントの形状・サイズの説明図である。アンテナ装置が取り付けられる車両の前方ないし前進方向をX、幅方向をY、地面からの高さ方向をZとする。比較例エレメント371は、前方に向かうにつれて幅が広く且つ高さが低くなる頂部371aを有し、グランド面に最も近くなる底部371bに近づくにつれて拡がりを持つシャークフィン状の導体板である。X方向の長さL1は94mm、最大幅W1は15mm、最大高H1は20mmである。
一方、実施例エレメントは、図38に示される形状・サイズのものである。すなわち、実施例エレメント381は、X方向の長さL2が34mm、最大幅W2が4mm、最大高H2が20mmで、比較例エレメント371と同じ材質で同じ厚みの導体板である。比較例エレメント371よりも著しく小型であり、比較例エレメント371と相似形の頂部381aを有するが、底部381bに向かって拡がることはない。
比較例エレメント371を有するアンテナに、前述の比較例5、すなわち従来技術例として挙げた特許文献1に開示された整合回路を比較例整合回路として接続したアンテナ装置を比較例1アンテナ装置とする。また、実施例エレメント381を有するアンテナに、上記比較例整合回路を接続したアンテナ装置を比較例2アンテナ装置とする。さらに、実施例エレメント381を有するアンテナに、第3実施形態で説明したシャントL+シリーズC+シャントL+シリーズCの整合回路330を実施例整合回路として接続したアンテナ装置を実施例アンテナ装置とする。
これらのアンテナ装置の利得-周波数特性図を図39に示す。図39において横軸は周波数(MHz)、縦軸は利得(dB)を表す。また、実線は比較例1アンテナ装置の特性、一点鎖線は比較例2アンテナ装置の特性、点線は実施例アンテナ装置の特性である。
図39に示される通り、比較例1アンテナ装置では、87.5MHzにおける利得が-14.2dB、108MHzにおける利得が-13.9dB、帯域内平均利得が-8.7dBである。また、比較例2アンテナ装置では、87.5MHzにおける利得が-16.1dB、108MHzにおける利得が-15.6dB、帯域内平均利得が-9.4dBである。したがって、相対的にサイズの小さい実施例エレメント381を有する比較例2アンテナ装置では、比較例1アンテナ装置よりも帯域が狭くなり、帯域内の利得も低下している。
これに対して、実施例アンテナ装置では、87.5MHzにおける利得が-14.3dB、108MHzにおける利得が-13.8dB、帯域内平均利得が-8.9dBである。したがって、相対的にサイズの小さい実施例エレメント381を有するアンテナであっても、比較例1アンテナ装置と同等の利得-周波数特性が得られている。特に、76MHz~95MHz、87MHz~108MHzの範囲では、比較例1アンテナ装置と同等の利得-周波数特性及び偏差が確保されている。
この事実は、たとえば比較例1アンテナ装置のような従来型アンテナ装置の利得-周波数特性で足りる需要のもとでは、比較例整合回路を実施例整合回路に置換することで、アンテナサイズを、より短く、幅をより狭くして、アンテナケースを有するアンテナ装置をより小型化できることを意味する。つまり、本発明の整合回路は、アンテナサイズの小型化にも寄与していることがわかる。
図38に示した実施例エレメント381の形状及びサイズは例示であって、最大幅W2だけを狭くしても良いし、長さL2だけを短くしても良い。
あるいは、長さL2や最大幅W2を調整することで最大高H2を短くすることも可能である。
また、実施例エレメント381は、導電板に限らず、基板に形成された導電パターンや導電性の塗料を樹脂に塗布したもので構成してもほぼ同等の動作特性が得られることが確認されている。実施例エレメント381は、また、フィルム状の導電性エレメントとしても良く、その形状も、面状だけでなく、ミアンダ形状やフラクタル形状にしても良い。
さらに、スリットやスロットを有するエレメントとしても良い。また、一対の面状の実施例エレメントを対向させ、それらを任意の部位で連結させるようにしても良い。
実施例整合回路は、第3実施形態で説明した整合回路330でなく、他の整合回路30,230を用いても良い。

Claims (7)

  1. 車両に取付可能なアンテナ装置であって、
    共振型のアンテナと、前記アンテナに付加される整合回路とを備えており、
    前記整合回路は、前記アンテナの給電部に接続される第1整合回路と、この第1整合回路の後段に接続される第2整合回路とを含み、
    前記第1整合回路は前記アンテナの共振点よりも高域又は低域に離れた周波数帯のインピーダンスを前記第1整合回路の接続前よりも低減させ、前記第2整合回路は前記アンテナの共振点付近のインピーダンスを前記第2整合回路の接続前よりも高くすることを特徴とする、
    アンテナ装置。
  2. 前記第1整合回路が接地型の第1リアクタンス素子を含んで構成され、
    前記第2整合回路が非接地型で前記第1リアクタンス素子と極性が異なる第2リアクタンス素子を含んで構成されることを特徴とする、
    請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記アンテナは、第1周波数帯で容量性のインピーダンスを呈し、前記第1周波数帯よりも高い第2周波数帯で前記インピーダンスが誘導性を呈するアンテナであり、
    前記第1整合回路は、前記アンテナの前記第2周波数帯のインピーダンスを前記第1整合回路の接続前よりも容量性にすることを特徴とする、
    請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記アンテナは、第1周波数帯で容量性のインピーダンスを呈し、前記第1周波数帯よりも高い第2周波数帯で前記インピーダンスが誘導性を呈するアンテナであり、
    前記第1整合回路は、前記アンテナの前記第1周波数帯のインピーダンスを前記第1整合回路の接続前よりも誘導性にすることを特徴とする、
    請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
  5. 前記整合回路は、前記第1整合回路と前記第2整合回路との組を縦列に複数組接続して構成されることを特徴とする、
    請求項1ないし4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
  6. 前記整合回路は、前記第1整合回路の前段に接続される非接地型の第3整合回路を含んで構成されることを特徴とする、
    請求項1ないし5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
  7. 共振型のアンテナに付加される整合回路であって、
    前記アンテナの給電部に接続される第1整合回路と、この第1整合回路の後段に接続される第2整合回路とを含み、
    前記第1整合回路は前記アンテナの共振点よりも高域又は低域に離れた周波数帯のインピーダンスを前記第1整合回路の接続前よりも低減させ、前記第2整合回路は前記アンテナの共振点付近のインピーダンスを前記第2整合回路の接続前よりも高くすることを特徴とする、
    アンテナの整合回路。
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