以下、添付図面を参照して、実施形態に係るレーダ装置および軸ずれ検出方法について詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、以下では、レーダ装置がFM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式である場合を例に挙げて説明するが、レーダ装置は、例えばFCM(Fast-Chirp Modulation)方式といった他の方式であってもよい。
まず、図1Aおよび図1Bを用いて、実施形態に係る軸ずれ検出方法の概要について説明する。図1Aは、レーダ装置の搭載例を示す図である。図1Bは、実施形態に係る軸ずれ検出方法の概要を示す図である。図1Aでは、実施形態に係るレーダ装置1を搭載した自車両MCを示す。
図1Aに示すように、レーダ装置1は、例えば自車両MCのフロントグリル内等に、規定の方向、例えば自車両MCの進行方向や、左右前側方、後方などを向けて搭載され、計測範囲(FOV:field of view)内に存在する物標を検出する。なお、レーダ装置1の搭載箇所は、例えばフロントガラスやリアグリル、左右の側部(例えば、左右のドアミラー)等他の箇所に搭載されてもよい。
また、図1Aに示すように、レーダ装置1は、自車両MCの周囲に送信した送信波が物標で反射した複数の反射点それぞれについて、瞬時データ100を生成する。瞬時データ100には、例えば、自車両MCへの向きの相対速度(ベクトルRV)等が含まれる。
以下、概要説明のため特に静止物由来の反射点について説明する。具体的には、図1Aに示す瞬時データ100は、それぞれ静止物、例えば路面に由来するものであり、各瞬時データ100から得られる路面のベクトルRVは、自車両MCの移動速度および移動方向に依存する。
ところで、従来技術において、レーダ装置の軸ずれを検出する技術がある。かかる従来技術において、レーダ装置の軸ずれを検出するために、ガードレール等の路側物を連続して検出する必要があり、軸ずれの検出に数スキャンの処理が必要であった。また、周囲に路側物が存在する限られた環境下で軸ずれを検出する必要があった。
そこで、実施形態に係る軸ずれ検出方法では、1スキャンで軸ずれを検出可能とし、かつ、路側物が存在しない環境下において軸ずれの検出を可能とした。
具体的には、実施形態に係る軸ずれ検出方法では、複数の瞬時データ100における相対速度に基づき、複数の瞬時データ100それぞれに対応する自車両MCへの向きのベクトルRVにおける起点を揃え、ベクトルRVに対する垂線VLの交点CPから自車両MCの移動向きを推定する。そして、実施形態に係る軸ずれ検出方法では、交点CPに基づき推定される自車両MCの移動向きと、実際の自車両MCの移動向きとを比較することで、送信波の軸ずれを検出する。
図1Bに示す例では、3つの瞬時データ100に対応する3つのベクトルRVの起点を原点に揃えた2次元平面を示している。なお、図1Bにおいて、縦軸は、自車両MCに対して左右方向への相対速度成分(VY)を示し、横軸は、自車両MCに対して前後方向への相対速度成分(VX)を示す。
図1Bに示すように、実施形態に係る物標検出方法では、まず、ベクトルRVの終点を通る垂線VLを3つのベクトルRVそれぞれに対して引き、3つの垂線VLの交点CPを算出する。
図1Bに示す例では、交点CPが1つである場合、すなわち、全ての垂線VLが交点CPを通過する場合を示す。ベクトルRVは相対速度、すなわち本来の速度を自車方向に対して投影したベクトルであるため、本来の速度の終点は、RVの終点を通る垂線上に存在する。ここで3つのRVは全て静止物由来、すなわち本来の速度は逆方向に向いた自車速度であり、また全て同一の速度である。したがって、理想的には全ての垂線は交点CPで交わり、交点CPがすなわち本来の速度の終点となる。しかしながら、実際には測定誤差や種々のノイズなどの影響により、交点CPが複数存在する場合が主であるが、かかる点については後述する。
ここで、ベクトルRVの起点、すなわち2次元座標の原点を始点とし、交点CPを終点とする瞬時ベクトルVは、路面を基準とする自車両MCの移動ベクトルを示す。すなわち、軸ずれがない場合、瞬時ベクトルVと移動ベクトルとは、互いに逆向きとなる。
一方、軸ずれが発生している場合について、図1Aならびに図1Bにおける軸ずれ角θの場合にて示す。このように軸ずれが発生してレーダ装置で認識する座標軸は図1A:X‘-Y’軸と、同様に図1B:VX‘-VY’となる。例えば軸ずれ角θにおいて自車進行方向向かって左方向にずれた場合、左に2個、右に1個反射点があるはずであるが、レーダ装置上では左に1個、正面に1個、右に1個と、全体に右方向に角度θだけ反射点がずれて認識される。したがって交点CPも図1Bにおいて示すようにVX‘軸上には現れず、瞬時ベクトルVと移動ベクトルとが互いに逆向きとならない。この時のVX’軸と瞬時ベクトルVとのずれ角はθであり、軸ずれ角に応じて瞬時ベクトルVと移動ベクトルがずれることになる。
つまり、実施形態に係る軸ずれ検出方法では、交点CPに基づき、自車両MCの移動向きを推定し、かかる移動向きと、自車両MCの実際の移動向きとに基づいて送信波の軸ずれを検出する。
また、実施形態に係る軸ずれ検出方法では、交点CPを1スキャンの処理で算出することが可能である。これにより、実施形態に係る軸ずれ検出方法によれば、軸ずれを迅速に検出することが可能となる。
また、実施形態に係る軸ずれ検出方法では、上述の路面に基づいて交点CPを算出することが可能である。すなわち、軸ずれの検出を行うにあたり、ガードレール等の路側物を必要としない。これにより、従来の環境的制約を撤廃することが可能となり、多様な環境においても軸ずれを検出することが可能となる。
次に、図2を参照して、実施形態に係るレーダ装置1の構成について詳細に説明する。図2は、実施形態に係るレーダ装置1の構成を示すブロック図である。なお、図2では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素を中心に機能ブロックで表しており、一般的な構成要素については記載を省略しているものもある。
図2に示すように、レーダ装置1は、送信部10と、受信部20と、処理部30とを備える。また、レーダ装置1は、自車両MCの挙動を制御する車両制御装置2に接続される。
車両制御装置2は、レーダ装置1による物標の検出結果に基づいて、PCS(Pre-crash Safety System)やAEB(Advanced Emergency Braking System)などの車両制御を行う。
送信部10は、信号生成部11と、発振器12と、送信アンテナ13とを備える。信号生成部11は、後述する送受信制御部31の制御により、三角波で周波数変調されたミリ波を送信するための変調信号を生成する。発振器12は、かかる信号生成部11によって生成された変調信号に基づいて送信信号を生成し、送信アンテナ13へ出力する。なお、図2に示すように、発振器12によって生成された送信信号は、後述するミキサ22に対しても分配される。
送信アンテナ13は、発振器12からの送信信号を送信波へ変換し、かかる送信波を自車両MCの外部へ出力する。送信アンテナ13が出力する送信波は、三角波で周波数変調された連続波である。送信アンテナ13から自車両MCの外部、例えば前方へ送信された送信波は、他車両LC等の物標で反射されて反射波となる。
受信部20は、アレーアンテナを形成する複数の受信アンテナ21と、複数のミキサ22と、複数のA/D変換部23とを備える。ミキサ22およびA/D変換部23は、受信アンテナ21ごとに設けられる。
各受信アンテナ21は、物標からの反射波を受信波として受信し、かかる受信波を受信信号へ変換してミキサ22へ出力する。なお、図2に示す受信アンテナ21の数は4つであるが、3つ以下または5つ以上であってもよい。
受信アンテナ21から出力された受信信号は、図示略の増幅器(例えば、ローノイズアンプ)で増幅された後にミキサ22へ入力される。ミキサ22は、分配された送信信号と、受信アンテナ21から入力される受信信号との一部をミキシングし不要な信号成分を除去してビート信号を生成し、A/D変換部23へ出力する。
ビート信号は、送信信号の周波数(以下、「送信周波数」と記載する)と受信信号の周波数(以下、「受信周波数」と記載する)との差となるビート周波数を有する。ミキサ22で生成されたビート信号は、図示しない同期部によって受信アンテナ同士でタイミングを合わせた上でA/D変換部23でデジタル信号に変換された後に、処理部30へ出力される。
処理部30は、送受信制御部31と、信号処理部32と、記憶部37とを備える。信号処理部32は、生成部33と、算出部34と、検出部35と、フィルタ処理部36とを備える。
記憶部37は、履歴データ37aおよび軸ずれデータ37bを記憶する。履歴データ33aは、信号処理部32が実行する一連の信号処理における物標データの履歴や、瞬時データ100の履歴を含む情報である。
軸ずれデータ37bは、検出部35によって検出される送信波の送信軸の軸ずれに関する情報である。例えば、信号処理部32は、軸ずれデータ37bに基づき、送信波の送信軸に関するパラメータを補正することとなる。
処理部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、記憶部37に対応するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、レジスタ、その他の入出力ポートなどを含むマイクロコンピュータであり、レーダ装置1全体を制御する。
かかるマイクロコンピュータのCPUがROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、送受信制御部31および信号処理部32として機能する。なお、送受信制御部31および信号処理部32は全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアで構成することもできる。
送受信制御部31は、信号生成部11を含む送信部10および受信部20を制御する。信号処理部32は、一連の信号処理を周期的に実行する。続いて、信号処理部32の各構成要素について説明する。
生成部33は、瞬時データ100を生成する。具体的には、生成部33は、周波数解析処理と、ピーク抽出処理と、瞬時データ生成処理とを行うことで、瞬時データ100を生成する。
周波数解析処理では、各A/D変換部23から入力されるビート信号に対して高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理(以下、「FFT処理」と記載する)を行う。かかるFFT処理の結果は、ビート信号の周波数スペクトルであり、ビート信号の周波数ごと(周波数分解能に応じた周波数間隔で設定された周波数ビンごと)のパワー値(信号レベル)である。
ピーク抽出処理では、周波数解析処理によるFFT処理の結果においてピークとなるピーク周波数を抽出する。なお、ピーク抽出処理では、後述するビート信号の「UP区間」および「DN区間」のそれぞれについてピーク周波数を抽出する。
瞬時データ生成処理では、ピーク抽出処理において抽出されたピーク周波数のそれぞれに対応する反射波の到来角度とそのパワー値を算出する角度推定処理を実行する。なお、角度推定処理の実行時点で、到来角度は、物標が存在すると推定される角度であることから、以下では「推定角度」と記載する場合がある。
また、瞬時データ生成処理では、算出した推定角度とパワー値との算出結果に基づいて「UP区間」および「DN区間」それぞれのピーク周波数の正しい組み合わせを判定するペアリング処理を実行する。
また、瞬時データ生成処理では、判定した組み合わせ結果から各物標の自車両MCに対する距離および自車両MCへの向きの相対速度を算出する。また、瞬時データ処理では、算出した各物標の推定角度、距離および相対速度を、最新周期(最新スキャン)分の瞬時データ100としてフィルタ処理部36へ出力するとともに、記憶部37に履歴データ37aとして記憶する。
説明を分かりやすくするために、信号処理部32の前段処理から信号処理部32におけるここまでの処理の流れを図3~図4Cに示す。図3は、信号処理部32の前段処理から生成部33におけるピーク抽出処理までの処理説明図である。
また、図4Aは、角度推定処理の処理説明図である。また、図4Bおよび図4Cは、ペアリング処理の処理説明図である。なお、図3は、2つの太い下向きの白色矢印で3つの領域に区切られている。以下では、かかる各領域を順に、上段、中段、下段と記載する。
図3の上段に示すように、送信信号fs(t)は、送信アンテナ13から送信波として送出された後、物標において反射されて反射波として到来し、受信アンテナ21において受信信号fr(t)として受信される。
このとき、図3の上段に示すように、受信信号fr(t)は、自車両MCと物標との距離に応じて、送信信号fs(t)に対して時間差Tだけ遅延している。この時間差Tと、自車両MCおよび物標の相対速度に基づくドップラー効果とにより、ビート信号は、周波数が上昇する「UP区間」の周波数fupと、周波数が下降する「DN区間」の周波数fdnとが繰り返される信号として得られる(図3の中段参照)。
図3の下段には、かかるビート信号を周波数解析処理においてFFT処理した結果を、「UP区間」側および「DN区間」側のそれぞれについて模式的に示している。
図3の下段に示すように、FFT処理後には、「UP区間」側および「DN区間」側のそれぞれの周波数領域における波形が得られる。ピーク抽出処理では、かかる波形においてピークとなるピーク周波数を抽出する。
例えば、図3の下段に示した例の場合、ピーク抽出閾値が用いられ、「UP区間」側においては、ピークPu1~Pu3がそれぞれピークとして判定され、ピーク周波数fu1~fu3がそれぞれ抽出される。
また、「DN区間」側においては、同じくピーク抽出閾値により、ピークPd1~Pd3がそれぞれピークとして判定され、ピーク周波数fd1~fd3がそれぞれ抽出される。
ここで、ピーク抽出処理により抽出した各ピーク周波数の周波数成分には、複数の物標からの反射波が混成している場合がある。そこで、瞬時データ生成処理では、各ピーク周波数のそれぞれについて方位演算する角度推定処理を行い、ピーク周波数ごとに対応する物標の存在を解析する。
なお、瞬時データ生成処理における方位演算は、例えばESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)などの公知の到来方向推定手法を用いて行うことができる。
図4Aは、瞬時データ生成処理の方位演算結果を模式的に示すものである。瞬時データ生成処理では、かかる方位演算結果の各ピークPu1~Pu3から、これらピークPu1~Pu3にそれぞれ対応する各物標(各反射点)の推定角度を算出する。また、各ピークPu1~Pu3の大きさがパワー値となる。瞬時データ生成処理では、図4Bに示すように、かかる角度推定処理を「UP区間」側および「DN区間」側のそれぞれについて行う。
そして、瞬時データ生成処理では、方位演算結果において、推定角度およびパワー値の近い各ピークを組み合わせるペアリング処理を行う。また、その組み合わせ結果から、瞬時データ生成処理では、各ピークの組み合わせに対応する各物標(各反射点)の距離および自車両MCへの向きの相対速度を算出する。
距離は、「距離∝(fup+fdn)」の関係に基づいて算出することができる。相対速度は、「速度∝(fup-fdn)」の関係に基づいて算出することができる。その結果、図4Cに示すように、自車両MCに対する、各反射点RPの推定角度、距離および相対速度の瞬時データ100を示すペアリング処理結果が得られる。
図2の説明に戻り、算出部34について説明する。算出部34は、生成部33によって生成された複数の瞬時データ100における相対速度に基づき、当該複数の瞬時データ100それぞれに対応する自車両への向きのベクトルRVにおける起点を揃え、当該ベクトルRVに対する垂線VLの交点CPを算出する。
図5は、算出部34のブロック図である。図5に示すように、算出部34は、選択部34aと、バッファリング部34bと、垂線作成部34cと、交点作成部34dと、内心作成部34eと、ベクトル作成部34fとを備える。
選択部34aは、瞬時データ100のうち、例えば、静止物に対応する瞬時データ100を選択し、バッファリング部34bへ格納する。なお、ここでの静止物とは、路面に限られず、壁、ガードレール、静止車両等、レーダ装置1が検出可能な全ての静止物を含む。
選択部34aは、瞬時データ100のうち、相対速度-自車速cos(水平角度)≒0となる瞬時データ100を静止物に対応する瞬時データ100として選択する。つまり、実際検出された相対速度と、自車速と反射点の方向から算出する理想的な相対速度が近しい場合に静止物と判断し、選択する。なお、自車速とは、自車両MCの実際の走行速度であり、水平角度とは、自車両MCに対する瞬時データ100の向きを示す。
すなわち、実施形態に係るレーダ装置1では、複数の静止物を1つの物標として捉える。これにより、1つの静止物から十分数の瞬時データ100が得られない場合であっても、複数の静止物の瞬時データ100を用いて軸ずれを検出することが可能となる。
つまり、実施形態に係るレーダ装置1では、複数の静止物の瞬時データ100を用いて軸ずれを検出することで、あらゆる環境下において、軸ずれを検出することが可能となる。
この際、選択部34aは、例えば、静止物に対応する瞬時データ100のうち、所定値以上の高さを持つ瞬時データ100を除外してバッファリング部34bへ格納することにしてもよい。
かかる場合に、選択部34aは、例えば、瞬時データ100の角度パワーが所定値以下であるものを所定値以上の高さを持つ静止物に対応する瞬時データ100として除外することが可能である。
また、選択部34aは、所定期間において、いずれの静止物に対応する瞬時データ100を選択できなかった場合、警告を行うことにしてもよい。このような場合は例えば送信軸が極端にずれていることが想定される。例えば、送信波の送信軸が車幅方向を向いている場合などである。かかる場合に、自車両MCが走行すると、静止物の瞬時データ100は、自車速と反射点の方向から算出する理想的な相対速度とは大きく異なる相対速度となるため、移動物として検出されることになる。
この場合、選択部34aは、警告を行うとともに、軸ずれ角θに対応するパラメータを可変させていく。そして、静止物に対応する瞬時データ100を検出した場合に、かかる瞬時データ100を後段の処理に回すことにしてもよい。
これにより、送信軸が極端にずれるような場合であっても、軸ずれを検出することが可能となる。
バッファリング部34bは、選択部34aによって選択された瞬時データ100をバッファリングする。すなわち、瞬時データ100をバッファリングすることで、複数スキャンの瞬時データ100を用いて瞬時ベクトルVを算出することが可能となる。これにより、瞬時データ100の数が不足することで瞬時ベクトルVの推定精度が低下することを抑えることができる。
垂線作成部34cは、選択部34aによって選択された瞬時データ100の自車両MCへの向きの相対速度を示すベクトルRVに対する垂線VLを作成する。
具体的には、垂線作成部34cは、複数の瞬時データ100それぞれに対応するベクトルRVの起点を揃えた場合に、ベクトルRVの終点を通る垂線VLを作成する。
例えば、垂線作成部34cは、自車両MCの左右方向への相対速度成分(VY軸)と、自車両MCに対して前後方向への相対速度成分(VX軸)とで表される平面の原点にベクトルRVの起点を揃えたとする。
かかる場合、垂線VLの直線式は、VY=a×VX+bで表される。具体的には、ベクトルRVのVX軸を基準とする角度θと、ベクトルRVの大きさである相対速度Taとした場合、係数aは、a=tan(θ+π/2)で表わされ、係数bは、b=Ta/sin(θ)で表される。なお、θ=0または±2πの場合、係数aが発散するため、以降の処理においては、Vx=Vとして例外処理を行う。
交点作成部34dは、垂線作成部34cによって作成された垂線VLの交点CPを作成する。具体的には、交点作成部34dは、交点CPを求める2つの垂線VLをn1およびn2とし、n1の係数aをa[n1]、係数bをb[n1]と表した場合、交点CPの座標VXは、VX=(b[n2]-b[n1])/(a[n1]-a[n2])により算出され、座標VYは、VY=a×VX+bに上記のVXを代入することで算出される。
次に、内心作成部34eは、交点作成部34dによって作成された交点CPが3つ以上であった場合、かかる3つの交点CPにより形成される三角形の内心IP(図6A参照)を作成する。なお、内心作成部34eによる内心IPの作成方法については、図6Aで後述する。
次に、ベクトル作成部34fは、交点作成部34dによって作成された交点CPに基づいて物標の瞬時ベクトルVを作成する。例えば、ベクトル作成部34fは、交点作成部34dによって作成された交点CPが1つであった場合、ベクトルRVの起点(VY軸およびVX軸の原点)を瞬時ベクトルVの起点とし、交点CPを瞬時ベクトルVの終点として作成する。
つまり、算出部34は、ベクトル作成部34fによって作成された瞬時ベクトルVに基づいて、ベクトルRVにおける起点から交点CPへの向きを自車両MCの移動向きであると推定し、ベクトルRVにおける起点および交点CPの距離が自車両MCの移動向きへの相対速度であると推定する。
また、ベクトル作成部34fは、交点作成部34dによって作成された交点CPが2つ以上であった場合、複数の交点CPを代表とする代表点を生成し、生成した代表点から瞬時ベクトルVを作成する。
前述のように静止物の場合、理想的には1つの交点CPで垂線VLは交わるため、代表点の生成は複数の交点CPから、理想的な交点を求める処理である。これは例えばシンプルに交点CPの平均、つまり重心を代表点とすることや、統計的な手法やクラスタ分離の手法など、既知の外れ値除去手法などを併用して代表点の精度を上げることもできる。代表点は1つである必要はなく、複数でもよい。その場合代表点からベクトルを複数生成した後に集約して、最終的な瞬時ベクトルVを生成してもよいし、代表点をさらにまとめて1つに代表させてもよい。
また特に、交点CPが3つ以上であった場合、代表点として内心作成部34eによって作成された内心IPを用い、瞬時ベクトルVを作成する。ここで、図6Aおよび図6Bを用いて、交点CPが3つ以上の場合における瞬時ベクトルVの作成方法について説明する。
図6Aおよび図6Bは、算出部34による処理内容を示す図である。図6Aは、交点CPが3つの場合における瞬時ベクトルVの作成方法を示す。図6Bは、交点CPが6つの場合における瞬時ベクトルVの作成方法を示す。まず、図6Aを用いて、交点CPが3つの場合における瞬時ベクトルVの作成方法について説明する。
まず、内心作成部34eは、3つの交点CP1,CP2,CP3の内心IPを作成する。具体的には、内心IPは、3つの交点CP1,CP2,CP3に形成される三角形の内接円の中心である。
より具体的には、内心作成部34eは、上記したVY軸およびVX軸の平面における原点を起点として、各交点CP1,CP2,CP3を終点とする算出用ベクトルCV1,CV2,CV3を作成する。
そして、内心作成部34eは、算出用ベクトルCV1,CV2,CV3と、各交点CP1,CP2,CP3の対辺に基づいて内心IPを作成する。具体的には、内心作成部34eは、交点CP1,CP2,CP3の対辺をCP1a,CP2a,CP3aと表した場合、原点から内心IPへのベクトル(図6Aでは、瞬時ベクトルV)は、V=(CP1a×CV1+CP2a×CV2+CP3a×CV3)/(CP1a+CP2a+CP3a)で算出される。
なお、内心作成部34eは、三角形を形成する3つの交点CPのバラつきが所定値以上の場合には、内心IPの算出処理から除外する。具体的には、内心作成部34eは、3つの交点CPの不偏分散が所定値以上の場合には、内心IPの算出処理から除外する。
そして、ベクトル作成部34fは、内心IPが1つの場合、原点から内心IPへのベクトルを瞬時ベクトルVとして作成する。このように、内心IPを算出して瞬時ベクトルVを作成することで、交点CPが複数の場合であっても、瞬時ベクトルVの推定精度が低下することを防止できる。
なお、ベクトル作成部34fは、算出用ベクトルCV1,CV2,CV3のうち、いずれか2つの算出用ベクトルCV1,CV2,CV3の誤差が所定値以上であることが明らかである場合等には、残りの算出用ベクトルCV1,CV2,CV3を瞬時ベクトルVとしてもよい。
次に、図6Bを用いて、交点CPが6つの場合における瞬時ベクトルVの作成方法について説明する。図6Bに示すように、交点CP3~CP8が6つの場合、かかる交点CP3~CP8によって形成される三角形が複数となり、従って内心IP1~IP4も複数となる。なお、図6Bに示す例では、3つの交点CP(例えば、交点CP3,CP5,CP8)により三角形が形成されない組み合わせもあり、かかる交点CPの組み合わせについては内心IPの作成から除外する。
図6Bに示すように、ベクトル作成部34fは、例えば、内心IP1~IP4の平均値となる平均点IPAを算出し、原点から平均点IPAへのベクトルを瞬時ベクトルVとして算出する。
このように、内心IPが複数作成された場合に、平均点IPAによる瞬時ベクトルVを作成することにより、内心IPのバラつきによる瞬時ベクトルVの推定誤差を最小限に抑えることができる。
なお、ベクトル作成部34fは、複数の内心IPのバラつきが所定値以上の場合には、瞬時ベクトルVの作成処理から除外する。具体的には、ベクトル作成部34fは、複数の内心IPのうち、不偏分散が所定値以上の内心IPについては、瞬時ベクトルVの作成処理から除外する。
図2の説明に戻り、検出部35について説明する。検出部35は、算出部34によって算出された交点CPと、自車両MCの実際の移動向きとに基づいて送信波の軸ずれを検出する。
検出部35は、まず、自車両MCの実際の走行速度および舵角等に基づいて自車両MCの実際の移動量および移動向きを示す移動ベクトルVrを算出する。
続いて、検出部35は、瞬時ベクトルVと移動ベクトルVrとを比較することで、送信波の軸ずれを検出する。図7Aは、検出部35による処理の具体例を示す図である。
図7Aでは、2つの瞬時ベクトルV1、V2および移動ベクトルVrを示す。送信波の軸ずれがない場合において、瞬時ベクトルVと移動ベクトルVrとは、互いに逆向きとなり、かつ、大きさが等しくなる。
すなわち、図7Aに示す瞬時ベクトルV1と移動ベクトルVrとの関係のように、互いに逆向きであり、かつ、大きさが等しい場合、送信波の軸ずれがないことを示す。
一方、図7Aに示す瞬時ベクトルV2のように、移動ベクトルVrと互いに逆向きとならない場合、送信波の軸ずれが発生していることとなる。かかる場合に、瞬時ベクトルV1と瞬時ベクトルV2との軸ずれ角θだけ、送信波の軸ずれが発生していることとなる。
検出部35は、軸ずれ角θを検出すると、軸ずれ角θを図2に示す軸ずれデータ37bとして記憶部37に記憶させる。これにより、後述するフィルタ処理部36は、軸ずれ角θに基づき、角度のパラメータを補正したうえで、物標データを生成する。
このとき、検出部35は、なまし処理を行ったうえで、軸ずれ角θを検出することで軸ずれ角θに含まれるノイズの影響を低減することにしてもよい。例えば、検出部35は、まず、所定数(例えば、100個)の交点CPの平均値から算出された瞬時ベクトルVに基づいて暫定的な軸ずれ角θを算出する。
その後、検出部35は、今回の軸ずれ角θ=前回までの軸ずれ角θ×C+暫定的な軸ずれ角θ(1-C)のように、指数平均を用いてさらに平滑化する。なお、Cは、0≦C≦1を満たす所定の係数である。
このように、検出部35は、検出した軸ずれ角θをそのまま検出結果とするのではなく、なまし処理を行うことで、軸ずれ角θに含まれるノイズの影響を低減することが可能となる。なお、なまし処理は、上記の例に限られず、その他のフィルタ処理を行うことにしてもよい。
また、検出部35は、自車両MCの走行速度が所定値以上である場合、すなわち、移動ベクトルVrの大きさが所定値以上である場合にのみ、軸ずれの検出処理を行うことしてもよい。
これは、移動ベクトルVrが小さい場合には、移動ベクトルVrが大きい場合に比べて、移動ベクトルVrに含まれる誤差が大きくなるためである。つまり、検出部35は、自車両MCの走行速度が所定値以上である場合に、軸ずれの検出を実施することで、精度よく軸ずれを検出することが可能となる。
また、この際、検出部35は、自車両MCの加速度が0、すなわち、自車両MCが等速運動を行っている場合にのみ、軸ずれを検出することにしてもよい。これにより、加速度の変化に伴う移動ベクトルVrの誤差を抑えることが可能となり、結果として、軸ずれを精度よく検出することが可能となる。
また、検出部35は、上述の内心IPに基づく瞬時ベクトルVに基づいて軸ずれを検出することも可能である。内心IPに基づく瞬時ベクトルVは、交点CPに基づく瞬時ベクトルVよりも自車両MCの移動成分を精度よく反映している。
このため、検出部35は、内心IPに基づく瞬時ベクトルVを用いて軸ずれを検出することで、軸ずれを精度よく検出することが可能となる。
図7Bは、軸ずれ角θに基づく補正処理の具体例を示す図である。図7Bに示すように、検出部35によって軸ずれ角θが検出された場合、生成部33によって生成された瞬時データ100は、軸ずれ角θに応じて実際の位置からずれることとなる。
このため、例えば、瞬時データ100を軸ずれ角θに応じて回転させることで、送信波の軸ずれを補正した瞬時データ100を得ることが可能となる。
つまり、軸ずれが発生している場合、実際には、瞬時データ100aとして生成されるはずの瞬時データ100が瞬時データ100aから軸ずれ角θずれて生成されることとなる。
そこで、瞬時データ100を軸ずれ角θだけ回転させることで、真の瞬時データ100aを得ることが可能となる。このように、検出部35によって検出された軸ずれ角θに基づいて瞬時データ100を補正することで、正確な瞬時データ100を得ることが可能となる。
図2の説明に戻り、フィルタ処理部36について説明する。フィルタ処理部36は、生成部33によって生成された瞬時データ100に対して自毛列フィルタリング処理を施すことによって瞬時データ100に対応する物標データを生成する。
図8は、フィルタ処理部36のブロック図である。図8に示すように、フィルタ処理部36は、予測部36aと、割当部36bと、重み付け部36cと、リサンプリング部36dと、物標データ生成部36eとを備える。
本実施形態において、フィルタ処理部36は、生成部33によって生成された瞬時データ100に対して所定数の粒子の分布を用いて解析を行うパーティクルフィルタを施すことによって、瞬時データ100に対応する物標データを生成する。
パーティクルフィルタでは、物標の真の状態に対して複数の仮説を立てて解析を行う。仮説とは例えば位置や速度などの物標の状態に対する1つの仮定値である。例えば、位置空間では、仮説は所定の分布で散布され、移動していく1つの粒子のように見えるため、ここでは仮説を粒子という。
また、所定数の粒子をまとめて1つの仮説とした粒子群データを併せて用いる。例えば、粒子群データは粒子の状態の平均値などであり、所定数の粒子の分布において最もあり得る1つの仮説ともいえる。
予測部36aは、粒子群データならびに粒子の予測処理を行う。具体的には、予測部36aは、最新の周期を時刻tとし、時刻tにおける粒子ならびに粒子群データの状態を、前回の周期の時刻t-1の粒子ならびに粒子群データを基に予測する。例えば、速度、位置といった粒子並びに粒子群データの状態を基に、運動モデルと、測定周期ΔTによって予測する手法などがある。
具体的には、予測部36aは、予測処理において、時刻t-1の粒子ならびに粒子群データに対して測定周期ΔTにおける移動ベクトルVrの情報を与えることで、時刻t-1の粒子データから時刻tにおける粒子ならびに粒子群データを生成する。移動ベクトルVrは、例えば位置の差であり、速度の差でもあったりする。予測には速度、加速度と測定周期ΔTを用いるいわゆるニュートンの運動方程式に従う運動モデルを用いる手法がある。
続いて、割当部36bについて説明する。割当部36bは、最新の周期における瞬時データ100を、予測部36aの予測結果である最新の粒子群データへ割り当てる処理を行う。なお、割当部36bは、いずれの物標データに対しても割り当てられなかった瞬時データ100があった場合には、かかる瞬時データ100を新規の物標として扱う。
新規の物標は所定の処理を行った後、粒子群データが生成され、同時に粒子も付与される。所定の処理は測定周期をまたぐことも可能であり、例えば新規の物標に対して、簡易的に数周期の間連続性を評価して、ノイズなどで単発的に発生したものでないと確認した後に粒子群データを生成し、粒子を付与することもできる。
重み付け部36cは、割当部36bによる割り当て関係にある今回の瞬時データ100に基づき、粒子それぞれについて重みを付ける。
例えば、重み付け部36cは、今回の粒子のうち、今回の瞬時データ100に類似する粒子の重みを大きくし、今回の瞬時データ100から類似しない粒子の重みを小さくする。なお、ここでいう類似の度合は、例えば位置差や速度差などを基に記述されるコスト関数の評価値などを指す。
リサンプリング部36dは、今回の粒子それぞれの重みに基づいて粒子を再配置(リサンプリング)する。具体的には、リサンプリング部36dは、重みが小さい粒子を瞬時データ100の近く(重みが大きい)へ移動させる。
より具体的には、リサンプリング部36dは、重みが所定の閾値未満の粒子を重みが所定の閾値以上の粒子へ再配置する。これにより、予測によって生成した今回の粒子群データを、より真値に近い可能性がある瞬時データによって補正できる。これにより、後述の物標データ生成部36eによって生成される物標データを、より高精度にすることができる。
物標データ生成部36eは、リサンプリング部36dによって再配置された今回の粒子に基づいて物標データを生成する。例えば、物標データ生成部36eは、粒子の分布から確率密度関数を生成し、その重心に基づいて物標データを生成したり、例えば、シンプルに粒子同士の平均に基づいて物標データを生成してもよい。なお、物標データによって、粒子群データが更新される。
また、物標データ生成部36eは、粒子が割り当てられなかった瞬時データ100を新規の物標として扱い、そのまま物標データとして出力する。すなわち、物標データ生成部36eは、新規の物標の場合、瞬時データ100=物標データとして出力する。
続いて、図9を用いて実施形態に係るレーダ装置1が実行する処理手順について説明する。図9は、レーダ装置1が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図9では、レーダ装置1の信号処理部32が軸ずれを検出する処理フローを示す。
図9に示すように、信号処理部32は、まず、送信波が物標で反射した反射波に基づいて物標に対応する瞬時データ100を生成する(ステップS101)。続いて、信号処理部32は、静止物に対応する瞬時データ100の選択処理を行う(ステップS102)。
続いて、信号処理部32は、選択した瞬時データ100のバッファリング処理を行い(ステップS103)、バッファリングされた瞬時データ100に基づいて垂線作成処理を行う(ステップS104)。
続いて、信号処理部32は、垂線VLの交点CP1が1つか否かを判定し(ステップS105)、交点CPが1つである場合(ステップS105,Yes)、かかる交点CPに基づいて瞬時ベクトル作成処理を行う(ステップS106)。
一方、信号処理部32は、交点CPが複数であった場合(ステップS105,No)、内心作成処理を行い(ステップS109)、内心IPに基づき、瞬時ベクトル作成処理を行う(ステップS106)。
その後、信号処理部32は、瞬時ベクトルVと移動ベクトルVrとに基づき、軸ずれ角θ≠0か否かを判定し(ステップS107)、軸ずれ角θ≠0である場合(ステップS107,Yes)、送信波の軸ずれを検出し(ステップS108)、処理を終了する。
また、信号処理部32は、軸ずれ角θ≒0である場合(ステップS107,No)、軸ずれとは検出せず、そのまま処理を終了する。
上述したように、実施形態に係るレーダ装置1は、生成部33と、算出部34と、検出部35とを備える。生成部33は、規定の方向に向けて設置されたレーダ装置1において、送信波が物標で反射した複数の反射点それぞれについて、物標の自車両MCへの向きの相対速度を含む瞬時データ100を生成する。
算出部34は、生成部33によって生成された複数の瞬時データ100における相対速度に基づき、当該複数の瞬時データ100それぞれに対応する自車両MCへのベクトルにおける起点を揃え、当該ベクトルの垂線VLの交点CPを算出する。
検出部35は、算出部34によって算出された交点CPと、自車両MCの実際の移動向きとに基づいて規定の方向からの軸ずれを検出する。したがって、実施形態に係るレーダ装置1によれば、軸ずれを迅速に検出することができる。
ところで、上述した実施形態では、瞬時データ100に基づいて静止物に対応する瞬時データ100を選択し、かかる瞬時データ100に基づいて交点CPを算出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
すなわち、高精度マップを組み合わせて交点CPの算出に用いる瞬時データ100を選択することにしてもよい。なお、高精度マップとは、絶対位置精度がセンチメートル級の3次元空間情報を有する地図である。
レーダ装置1は、かかる高精度マップを参照することで、路側物、建物等の正確な位置を把握することが可能である。このため、レーダ装置1は、高精度マップを参照し、路側物や建物が存在する座標の瞬時データ100を優先的に選択し、交点CPを算出することも可能である。
また、レーダ装置1は、かかる場合に、自車両MCが自動運転を行っている場合において、軸ずれを検出することにしてもよい。これは、人が運転する場合に比べて、自動運転の方が外乱が発生しにくいためである。
また、上述した実施形態では、静止物に対応する瞬時データ100に基づいて軸ずれを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
先行車両や対向車両等の他車両LCに対応する瞬時データ100に基づいて軸ずれを検出することも可能である。図10は、他車両LCに基づく軸ずれの検出の具体例を示す図である。なお、図10では、他車両LCが対向車両である場合について説明するが、他車両LCは、先行車両であってもよい。また、図10では、自車両MCおよび他車両LCがそれぞれ等速直線運動を行っている場合を示す。
レーダ装置1は、他車両LCに基づく瞬時データ100に基づき、瞬時ベクトルVを算出する。そして、レーダ装置1は、瞬時ベクトルVおよび移動ベクトルVrがともに等速直線運動であることを確認したのちに、瞬時ベクトルVおよび移動ベクトルVrの双方の向きを比較することで、軸ずれを検出することにしてもよい。
また、レーダ装置1は、かかる場合に、例えば、車車間通信を用いて他車両LCの走行情報を取得することで、他車両LCが等速直線運動であるか否かを判定することにしてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。