JP2008286582A - レーダ信号処理装置及びレーダ信号処理方法 - Google Patents

レーダ信号処理装置及びレーダ信号処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単一または複数のレーダにより検出された複数の測定点の測定情報に基づいて、測定点を正確に求め、且つ、処理時間を要することなくグループ化することのできるレーダ信号処理装置及びレーダ信号処理方法を提供する。
【解決手段】単一または複数のレーダにより検出された複数の測定点の各相対速度ベクトルに基づいて各測定点を含む仮想物体の合成相対速度ベクトルを算出する速度ベクトル演算部31と、算出された複数の仮想物体の合成相対速度ベクトルが等しい仮想物体を実物体としてグループ化するグループ化処理部32と、グループ化された実物体の合成相対速度ベクトルを平均処理した平均相対速度ベクトルを算出する平均相対速度ベクトル演算部33と、算出された平均相対速度ベクトルに基づいて各測定点の距離を補正する距離補正部34を備えて構成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、FM−CWレーダやUWBレーダ等により測定された複数の測定点の測定データに基づいて実物体を識別して同一物体をグループ化するレーダ信号処理装置及びレーダ信号処理方法に関する。
特許文献1には、車両前方に存在する複数の物体を検出するに際して、正確に反射信号のグルーピングをすることができる物体検出装置を提供することを目的として、自車両前方に送信波を走査させながら出射して、自車両前方に存在する物体からの反射波に基づいて自車両に対する物体位置を示す複数の検出点を生成する物体検出手段を備え、第1グルーピング手段により自車両に対する距離差が所定値以下であって隣接する検知点をグルーピングし、時間的な前後により第2グルーピング手段により相対速度を求め、更に第3グルーピング手段により物体幅に基づいて同一種別の物体である場合にグルーピングをすることにより、最初に小さい範囲でグルーピングを行い、段階的にグルーピングを行う範囲を広げ、グルーピングを複数回実施することにより、車両前方に存在する複数の物体を検出するに際して、正確に反射信号のグルーピングをする物体検出装置が提案されている。
特許第3664127号公報
しかし、特許文献1に記載された技術では、ビームスキャン方式を採用する場合であってもグループ化するための距離差や物体幅の閾値によっては正確にグループ化できない虞もあり、最終的にグループ化するために複数回の測定を行なう必要があり処理時間を要するという問題があった。
また、例えば車両の前部左右に配置されたレーダで複数の測定点が検出されるような場合に、同一の測定点であっても左右で検出される相対速度及び相対距離が異なるため、実在するターゲットをグループ化するのは困難であり、個々の測定情報に測定精度に起因する誤差が含まれる場合には測定点の正確な計測ができないという問題もあった。
さらに、レーダにより車両後方や死角に存在する歩行者や車両等の位置を検出したときに、危険回避のために歩行者や車両等の存在範囲を運転者に正確且つ容易に認識させるという観点で更なる改良の余地があった。
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、単一または複数のレーダにより検出された複数の測定点の測定情報に基づいて、測定点を正確に求め、且つ、処理時間を要することなくグループ化することのできるレーダ信号処理装置及びレーダ信号処理方法を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明によるレーダ信号処理装置の特徴構成は、単一または複数のレーダにより検出された複数の測定点の各相対速度ベクトルに基づいて各測定点を含む仮想物体の合成相対速度ベクトルを算出する速度ベクトル演算部と、前記速度ベクトル演算部により算出された複数の仮想物体の合成相対速度ベクトルが等しい仮想物体を実物体としてグループ化するグループ化処理部と、前記グループ化処理部によりグループ化された実物体の合成相対速度ベクトルを平均処理した平均相対速度ベクトルを算出する平均相対速度ベクトル演算部と、前記平均相対速度ベクトル演算部により算出された平均相対速度ベクトルに基づいて各測定点の距離を補正する距離補正部を備えて構成される点にある。
上述の構成によれば、速度ベクトル演算部により算出された仮想物体の合成相対速度ベクトルが等しい複数の測定点が、グループ化処理部により実物体としてグループ化され、平均相対速度ベクトル演算部により算出される平均相対速度ベクトルにより個々の測定点における測定誤差が吸収された相対速度ベクトルが得られる。距離補正部により、そのような平均相対速度ベクトルに基づいて個々の測定点の計測データが補正されることにより、測定点の正確な情報が求められるのである。
以上説明した通り、本発明によれば、単一または複数のレーダにより検出された複数の測定点の測定情報に基づいて、測定点を正確に求め、且つ、処理時間を要することなくグループ化することのできるレーダ信号処理装置及びレーダ信号処理方法を提供することができるようになった。
以下、本発明によるレーダ信号処理装置及びレーダ信号処理方法を説明する。尚、以下では、レーダ信号処理装置が車載されたものとして説明するが、本発明によるレーダ信号処理装置は車載されるものに限るものではない。
図1に示すように、車両Mの前方の左右二箇所にUWB(Ultra Wide Band)レーダL,Rが設置され、各レーダL,Rからの信号を処理するレーダ信号処理装置3に接続されている。
UWBレーダL,Rは、図2(a)に示すように、ベースバンド生成部10から出力される例えば24GHzの高周波パルスを変調部11でレーダ固有のIDを含むM系列やGold系列により符号化し、変調部11で生成された変調信号により送信波を変調して送信アンテナ12から送信するとともに、受信アンテナ13により対象物からの反射波を受信して復調し、復調された反射信号と変調部11から出力されタイミング遅延制御部14で遅延された変調信号とを畳込み演算部15によりコンボリューション演算して相関電圧値を算出して、物体検出部16により畳込み演算部15から出力される相関電圧値が最大となる遅延時間から対象物の相対距離及び相対速度を算出するように構成されている。
尚、UWBレーダL,Rは原理的に数cmの検出精度を備えるが物体検出部16での演算丸め誤差に相当する誤差を有している。
レーダ信号処理装置3は、図3に示すように、レーダL,Rにより検出された複数の測定点の各相対速度ベクトルに基づいて各測定点を含む仮想物体の合成相対速度ベクトルを算出する速度ベクトル演算部31と、速度ベクトル演算部31により算出された複数の仮想物体の合成相対速度ベクトルが等しい仮想物体を実物体としてグループ化するグループ化処理部32と、グループ化処理部32によりグループ化された実物体の合成相対速度ベクトルを平均処理した平均相対速度ベクトルを算出する平均相対速度ベクトル演算部33と、平均相対速度ベクトル演算部33により算出された平均相対速度ベクトルに基づいて各測定点の距離を補正する距離補正部34を備えて構成されている。
また、レーダ信号処理装置3は、制御プログラム等の格納のためのROMと、データ処理のために使用するワーキングエリアとしてのRAMと、制御プログラムを演算実行するCPUと、その他必要な周辺回路等を備え、前記CPUにより実行される制御プログラムによって、上述した各機能ブロックの所定の機能が実現されるように構成されている。
図4(a)に示すように、左右のUWBレーダL,Rによって夫々検出された測定点L1,L2,L3,・・・,Lm,R1,R2,R3,・・・,Rnにおける相対速度成分から、図4(b)に示すように、実在する物体の車両に対する合成相対速度ベクトルが求められるのであるが、測定点の組合せは実在しないものも含めるとm×n通り存在する。
そこで、速度ベクトル演算部31は、一対のレーダにより検出された複数の測定点の距離データに基づいて三角測量が可能と判断される測定点を含む仮想物体の合成相対速度ベクトルを算出する。
具体的には、速度ベクトル演算部31は、左右のレーダL,Rによる検出距離の和がレーダL,Rの間隔未満となる組合せを除外した組合せを求め、図5(a)に示すように、各測定点の組合せに対して左右の相対速度ベクトル成分VL,VRから車両に対する相対速度ベクトルを合成相対速度ベクトルVとして求める。
次に、実在する物体が同一の物体である場合には、各合成相対速度ベクトルがほぼ等しくなるため、グループ化処理部32は速度ベクトル演算部31により算出された複数の仮想物体の合成相対速度ベクトルの向きと大きさが、図5(b)、(c)に示すような、所定の誤差範囲内に収まるほぼ等しい仮想物体を実物体としてグループ化する。例えば、一つの合成相対速度ベクトルに注目して他の全ての合成相対速度ベクトルが所定の誤差範囲内に収まるか否かの判断をすることによりグループ化することができる。
そして、所定の誤差範囲を逸脱する合成相対速度ベクトルは間違った組合せであると判断して、以後処理対象から除外する。尚、誤差範囲はレーダ信号処理装置3に要求される精度に基づいて適宜設定される。
上述のグループ化の結果、例えば、図5(d)に破線で示す多角形の内部に含まれる合成相対速度ベクトルがグループ化処理部32によりグループ化された測定点の合成相対速度ベクトルである。
平均相対速度ベクトル演算部33は、グループ化処理部32によりグループ化された実物体の合成相対速度ベクトルの向き及び大きさを平均処理して平均相対速度ベクトルを算出する。グループ化された多数の合成相対速度ベクトルから算出された平均相対ベクトルは実物体のマクロ的な相対速度ベクトルを表し、これにより距離補正部34で左右のレーダによる検出距離の誤差が正される。
以下に詳述する。距離補正部34は、以下に示す演算を行なう。つまり、図6に示すように、距離補正部34は、平均相対速度ベクトル演算部33により算出された平均相対速度ベクトルVAの始点が各合成相対速度ベクトルVの始点に一致するように移動させる。図6では、各合成相対速度ベクトルVの始点のうち、ある合成相対速度ベクトルVの始点に平均相対速度ベクトルVAの始点を移動させた場合を示している。
そして、合成相対速度ベクトルV、合成相対速度ベクトルVのレーダLへの方向成分VL、及び合成相対速度ベクトルVのレーダRへの方向成分VRを、夫々直径とする円CV、CVL、CVRを描画する。
次に、円CVと円CVLの交点PLと、円CVと円CVRの交点PRとを求め、合成相対速度ベクトルVの始点から各交点PL、PRへのベクトルを、夫々ベクトルVL´、VR´とする。そして、ベクトルVL´とベクトルVR´を延長し、水平方向(レーダLからレーダR、または、レーダRからレーダLの方向)の距離がレーダL、Rの間隔dと等しくなる点を求め、その二点をある合成相対速度ベクトルVに対する補正後のレーダ位置とする。つまり、ある合成相対速度ベクトルVに対応する検出位置は、レーダ位置と検出位置の相対位置が距離d1だけ変化するので、距離d1だけ補正されることになる。
距離補正部34は、以上の演算を、速度ベクトル演算部31において求められた各測定点の組合せの合成相対速度ベクトルVの全てに対して実行し、夫々算出された距離d1を平均した値だけ、グループ化処理部によりグループ化された実物体の相対位置を補正する。
上述の構成のように一対のレーダL、Rを備えることにより、一対のレーダの各々により検出される同一測定点の相対速度ベクトルを二つ得ることができるので、両相対速度ベクトルより合成相対速度ベクトルを算出することができる。つまり、相対速度ベクトルのみが検出され位置ベクトルが検出されないようなレーダであっても、測定点の正確な速度ベクトルを算出することができる。
以下、車両Mに設置されるレーダが単一のモノパルスレーダである場合について説明する。なお、以下の説明では、図7(a)に示すように、ターゲットとしての車両M1が、モノパルスレーダLDの正面に対して、角度φAのベクトルVAで移動しており、別の車両M2が、モノパルスレーダLDの正面に対して、角度φBのベクトルVBで移動している場合について説明する。
モノパルスレーダLDは、図2(b)に示すように、発振波を出力する発振波生成部101と、発振波を分配する分配部102と、所定周期でパルスを出力するパルス発生部103と、パルス発生部103からのパルスの有無で発振波生成部101からの発振波の通過と遮断とを切り替えて変調パルスを出力するパルス変調部104と、パルス変調部104からの変調パルス波を放射する送信アンテナ105と、対象物から反射した受信波を受信する受信アンテナ106と、受信アンテナ106で受信した受信波の振幅や位相を比較して対象物の方位や相対速度を検出する物体検出部107を備えて構成されている。
モノパルスレーダLDは、複数の測定点として各測定点の位置ベクトルと速度ベクトルを算出する。例えば、図7(b)に示すように、モノパルスレーダLDが、四個の測定点P1、P2、P3、P4を検出した場合、各測定点P1、P2、P3、P4のモノパルスレーダLDに対する位置ベクトルと、各測定点P1、P2、P3、P4のモノパルスレーダLDに対する速度ベクトルV1、V2、V3、V4とを検出する。
また、車両Mに設置されるレーダがモノパルスレーダLDの場合、以下で説明するように、速度ベクトル演算部31とグループ化処理部32における処理が、上述のUWBレーダやFM−CWレーダ等の場合とは異なる処理となる。
つまり、速度ベクトル演算部31は、単一のレーダ(モノパルスレーダLD)により検出された複数の測定点の各位置ベクトル及び相対速度ベクトルに基づいて各測定点を含む仮想物体の合成相対速度ベクトルを所定の数式で定義し、前記グループ化処理部32は前記数式に基づいて前記仮想物体の合成相対速度ベクトルが等しいと判断した複数の測定点を実物体としてグループ化する。
以下に詳述する。まず、速度ベクトル演算部31は、検出された相対速度ベクトルV1、V2、V3、V4により、各測定点P1、P2、P3、P4のモノパルスレーダLDに対する速度|V1|、|V2|、|V3|、|V4|を導出し、検出された位置ベクトルにより、モノパルスレーダLDを搭載した物体(図7では車両M)の前方方向に対する各測定点P1、P2、P3、P4の位置ベクトルの角度θ1、θ2、θ3、θ4を導出する。
次に、前記所定の数式を制御プログラムにおいて予め定義しておき、前記所定の数式に各測定点の速度と角度を代入する演算を実行することで、前記仮想物体の合成相対速度ベクトルを算出する。前記所定の数式としては、例えば、以下に示す〔数1〕がある。
上記の〔数1〕において、Vは合成相対速度ベクトル、|V|は合成相対速度、Viは各測定点の相対速度ベクトル、|Vi|は各測定点の相対速度、φはモノパルスレーダLDを搭載した物体(図7では車両M)の前方方向に対する前記仮想物体(図7では車両M1またはM2)の角度、θiはモノパルスレーダLDを搭載した物体の前方方向に対する各測定点の角度である。
速度ベクトル演算部31は、前記所定の数式である〔数1〕から合成相対速度ベクトルVを算出する方法として、例えば、以下に示すような方法で合成相対速度ベクトルVを算出する。
まず、前記所定の数式である〔数1〕に各測定点の相対速度|Vi|と角度θiを代入する演算を実行することで各測定点に対応する複数の数式を導出する。
そして、導出した複数の数式から二個の数式を選択することで連立方程式を立て、当該連立方程式より合成相対速度|V|と角度φを算出する。同様にして、二個の数式の全ての組合せに対して合成相対速度|V|と角度φを算出する。
グループ化処理部32は、速度ベクトル演算部31が算出した全ての合成相対速度|V|と角度φを比較して、両方の値が所定の誤差範囲内に収まる値の合成相対速度|V|及び角度φを算出した数式に対応する測定点を、実物体としてグループ化する。ここで、所定の誤差範囲は、図5(c)に示すような合成相対速度|V|の分布、及び、図5(c)と同様にして生成される角度φの分布に基づいて設定される。
具体的には、図7(b)に示すように、速度ベクトル演算部31は、各測定点の角度θ1〜θ4及び各測定点の相対速度|V1|〜|V4|を〔数1〕に代入して、各測定点P1、P2、P3、P4に対応する(1)〜(4)の数式よりなる〔数2〕を導出する。
次に、導出した〔数2〕から二個の数式を選択して連立方程式を立てる。つまり、(1)と(2)、(1)と(3)、(1)と(4)、(2)と(3)、(2)と(4)、及び(3)と(4)の六個の連立方程式を立てる。そして、各連立方程式において合成相対速度|V|と角度φを算出する。
グループ化処理部32は、各連立方程式において算出した合成相対速度|V|と角度φが、所定の誤差範囲内に収まる値となった数式に対応する測定点を実物体としてグループ化する。つまり、図7(b)において、(1)と(2)、(1)と(3)、(2)と(3)の連立方程式より算出された合成相対速度|V|と角度φは所定の誤差範囲内に収まる値(図7(b)の場合は合成相対速度|VA|、角度φA)となるが、(1)と(4)、(2)と(4)、(3)と(4)の連立方程式より算出された合成相対速度|V|と角度φは所定の誤差範囲外の値となる。よって、グループ化処理部32は、所定の誤差範囲内の値を算出した連立方程式に含まれる数式(1)、(2)、(3)、つまり測定点P1、P2、P3を同一物体としてグループ化する。一方、所定の誤差範囲外の値を算出した連立方程式のみに含まれる数式(4)、つまり測定点P4を別物体としてグループ化する。
なお、上述では、二個の数式の全ての組合せに対して連立方程式を立てる構成について説明したが、各測定点の相対速度|Vi|や角度θiが所定範囲外となる測定点に対応する数式を除外した数式の組合せに対して連立方程式を立てる構成であってもよい。例えば、ある測定点の相対速度ベクトルViが他の測定点の相対速度ベクトルViと全く逆方向であるような場合に、ある測定点の相対速度ベクトルViは所定範囲外であるとして、ある測定点の相対速度ベクトルViを除外した数式の組合せに対して連立方程式を立てる構成であってもよい。
上述の構成にようにレーダが単一であっても該レーダが位置ベクトル及び相対速度ベクトルを検出することができるレーダである場合、該レーダにより検出される同一測定点の情報として位置ベクトルと相対速度ベクトルの二つの情報を得ることができるので、これらのベクトルに基づいて合成相対速度ベクトルを算出することができる。つまり、車両に複数のレーダが搭載されていなくても、測定点の正確な速度ベクトルを算出することができる。
ところで、レーダ信号処理装置3は、図3に示すように、上述したグループ化処理部32によりグループ化された複数の測定点を表示部4の二次元平面に配置し、複数の測定点から選択される一つの注目点毎に、当該注目点に対する他の測定点の相対測定値に基づいてグループ化評価値を算出するグループ化評価値演算部35と、前記グループ化評価値演算部35により算出された注目点毎に各グループ化評価値に関連付けたピーク値及び偏差に基づいて三次元正規分布関数を生成して重ね合わせた存在確率分布関数を生成する存在確率分布関数生成部36と、前記存在確率分布関数生成部36により生成された存在確率分布関数で示される存在確率に基づいて領域区画し、区画された領域毎に表示態様を異ならせて表示する領域表示処理部37を備えている。
以下詳述する。グループ化評価値演算部35は、グループ化処理部32によりグループ化された各測定点について、レーダの物体検出部16において算出された相対距離、相対速度、及び送信波の送信から受信波の受信までの時間に基づいてレーダから測定点までの方向と距離を導出して、例えば、図8(a)に示すように、表示部4の二次元平面に配置する。
ここで、表示部4は、車両に搭載されたモニタであり、例えば、カーナビゲーション装置に搭載されている液晶ディスプレイである。
図8(a)では、グループ化処理部32により一つのグループG1が形成されており、グループG1には7個の測定点E0〜E6が存在している。
次に、グループ化評価値演算部35は、配置した同一グループの各測定点から一つの注目点を選択して、選択した注目点と同一グループの測定点であって選択した注目点以外の測定点との相対測定値を算出する。例えば、グループG1であれば、測定点E0に対する測定点E1〜E6との相対測定値、及び、測定点E1に対する測定点E0、E2〜E6との相対測定値を算出し、以下同様にして測定点E2〜E6の各々に対する他の測定点の相対測定値を算出する。
相対測定値としては、注目点と他の測定点との距離の相対測定値Pdi、注目点の電圧レベルの相対測定値Pvi、及び注目点の速度に対する他の測定点の速度の相対測定値Psi等がある。
距離の相対測定値Pdiの算出について詳述すると、グループ化評価値演算部35は、各測定点を表示部4の二次元平面に配置する際に、例えば、各測定点を図8(b)に示すような格子状のセルに分割された二次元平面に配置する。そして、各測定点間の距離を算出する。
つまり、図9(a)、(b)に示すように、各測定点間のX方向距離とY方向距離を二次元平面のセル数で算出し、各測定点間のX方向距離とY方向距離を〔数3〕に適用することで、図9(c)に示すように、各測定点間の直線距離Lを算出する。そして、直線距離Lを〔数4〕に適用することで、距離の相対測定値Pdiを算出する。ここで、〔数3〕において、X,Yは夫々、X方向距離、Y方向距離であり、〔数4〕において、Kdは係数で実験により統計的に導出される値である。係数KdがKd=10である場合に、図9(c)に示す直線距離Lに基づいて算出した相対測定値Pdiを図9(d)に示す。

電圧レベルの相対測定値Pviの算出について詳述すると、グループ化評価値演算部35は、二次元平面に配置された各測定点について相関電圧レベルを算出する。ここで、ある測定点における相関電圧レベルとは、例えば、ある測定点で反射してレーダLDにて受信された反射波の電圧レベルである。
算出した各測定点についての相関電圧レベルを〔数5〕に適用することで、電圧レベルの相対測定値Pviを算出する。ここで、〔数5〕において、Thは相関スレッシュで受信アンテナ13の感度等に基づいて設定される値であり、Kvは係数で実験により統計的に導出される値である。相関スレッシュThがTh=20mV、係数KvがKv=1.6の場合に相関電圧レベルに基づいて算出した相対測定値Pviを図10(a)に示す。
速度の相対測定値Psiの算出について詳述すると、グループ化評価値演算部35は、図8(c)に示すように、各測定点のセンサLDに対する速度SE0〜SE6を算出し、次に、図10(b)に示すように、各測定点間の相対速度を算出する。
そして、算出した各測定点についての相対速度を〔数6〕に適用することで、速度の相対測定値Psiを算出する。ここで、〔数6〕において、Sは相対速度の絶対値であり、Ksは係数で実験により統計的に導出される値である。係数KvがKv=5である場合に、図10(b)に示す相対速度に基づいて算出した相対測定値Psiを図10(c)に示す。
グループ化評価値演算部35は、算出した相対測定値Pdi、Pvi、Psiを以下の〔数7〕に適用することでグループ化評価値Pを算出する。つまり、距離の相対測定値Pdi、電圧レベルの相対測定値Pvi、及び速度の相対測定値Psiを乗じた値を全ての測定点について合計して、合計値を当該注目点のグループ化評価値とする。
例えば、測定点E0を注目点とした場合、測定点E1〜E6との距離の相対測定値Pd1〜Pd6、電圧レベルの相対測定値Pv1〜Pv6、及び速度の相対測定値Ps1〜Ps6を夫々算出する。そして、測定点E0とE1の関係から算出された相対測定値Pd1、Pv1、Ps1を積算して積算値を算出し、測定点E0とE2の関係から算出された相対測定値Pd2、Pv2、Ps2を積算して積算値を算出し、以下同様に測定点E0とE3〜E6の各々の関係から算出された相対測定値を夫々積算して積算値を算出する。
最後に、測定点E0と他の各測定点E1〜E6との関係で算出された全ての積算値を合計して、図10(d)に示すように、測定点E0のグループ化評価値を算出する。つまり、図10(d)では、各測定点E0〜E6の7個のグループ化評価値が算出される。図10(d)において、測定点E0についてのグループ化評価値は186.5であり、測定点E1についてのグループ化評価値は11.7であり、以下測定点E2〜E6についてのグループ化評価値は夫々、133.6、116.0、110.4、82.8、138.2である。
存在確率分布関数生成部36は、所定の分布関数に基づいて三次元正規分布関数を生成する。例えば、標準正規分布に基づいた〔数8〕に示すような三次元正規分布関数を生成する。〔数8〕において、xは測定点からの距離を示し、P)は各測定点のグループ化評価値を示す。
具体例を以下に示す。存在確率分布関数生成部36は、まず、図8(b)に示すような格子状のセルに分割された二次元平面の各セルについて、所定の測定点(以下の説明では所定の測定点を測定点E0とする)からの距離xを算出する。算出した各セルについての距離xを図11(a)に示す。なお、図11(a)において、測定点E0のセルは灰色で示されている。
次に、距離xを〔数8〕に適用することによって、各セルについて分布値を算出する。算出した各セルについての分布を図11(b)に示す。なお、図11(b)において、測定点E0のセルは灰色で示されている。
同様にして、測定点E1〜E6についても分布値を算出して、全ての測定点E0〜E6の分布値を重ね合わせる。換言すると、同一のセルにおいて各測定点の分布値を足し合わせる。分布値を重ね合わせた各セルについての分布を図11(c)に示す。つまり、図11(c)で示された分布が存在確率分布関数であり、図11(c)の各セルにおいて、数値が大きいセルである程、物体が存在する確率が大きいことを示している。
領域表示処理部37は、存在確率分布関数生成部36により生成された存在確率分布関数で示される存在確率に基づいて領域区画し、区画された領域毎に表示態様を異ならせて表示する。
詳述すると、領域表示処理部37は、各セルの分布値の大きさに応じて異なる段階を設定し、設定した段階を色分けする等して表示部4に表示する。例えば、図11(c)に示すような存在確率分布関数が生成されている場合、各セルの分布値が20未満、20以上40未満、40以上60未満、及び60以上の第一から第四の各レベルを設定し、図12(a)に示すように、設定した各レベルを分布値の数値が大きい程濃くなるように各セルの表示パターンを異ならせて表示部4に表示する。
また、領域表示処理部37は、何れかのレベルより大きいまたは小さいレベルをグループ化して、グループ化した部分を検出すべき物体であるとして表示させる。例えば、領域表示処理部37は、図12(a)に示す各レベルのうち第三レベル及び第四レベルを、図12(b)に示すような一つのグループとしてグループ化して、グループ化した領域を何らかの物体が存在している確率が高い領域として表示させる。
二次元配置された測定点において、相対測定値が大きい測定点の密度が高い領域は、これらの測定点が持っている距離、速度、電圧レベルといった情報の信頼性が高いとともに、これらの測定点に基づく実物体の容積が大きく、且つ表面密度が高い、換言すると自動車等のように重くて硬い実物体のであると考えられる。
よって、上述の構成によれば、グループ化評価値は、検出した測定点を二次元配置したときの、それら測定点の情報の信憑性を示す指標とすることができるので、各測定点に基づいて実物体としてグループ化した場合に、より正確にグループ化することができる。
以下、レーダ信号処理装置3による相対速度ベクトルの算出と存在確率の表示について、図13に示すフローチャートに基づいて説明する。
車両の前方に搭載された単一または複数のレーダが、複数の測定点の相対速度ベクトルを算出してレーダ信号処理装置3に出力する(S1)。
速度ベクトル演算部31は、レーダにより検出された複数の測定点の各相対速度ベクトルに基づいて各測定点を含む仮想物体の合成相対速度ベクトルを算出し(S2)、グループ化処理部32は、算出された合成相対速度ベクトルが等しい測定点を同一の実物体としてグループ化する(S3)。
平均相対速度ベクトル演算部33は、グループ化処理部32によってグループ化された同一グループ内の合成相対速度ベクトルを平均処理して平均相対速度ベクトルを算出し(S4)、距離補正部34は、算出された平均相対速度ベクトルに基づいて各測定点の距離を補正する(S5)。
グループ化評価値演算部35は、グループ化処理部32によってグループ化された複数の測定点を表示部4の二次元平面に配置し、複数の測定点から選択される一つの注目点毎にグループ化評価値を算出する(S6)。
存在確率分布関数生成部36は、注目点毎に三次元正規分布関数を生成して重ね合わせた存在確率分布関数を生成し(S7)、領域表示処理部37は、生成された存在確率分布関数で示される存在確率に基づいて領域区画し、区画された領域毎に表示態様を異ならせて表示する(S8)。
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、車両にUWBレーダまたはモノパルスレーダが設置された構成について説明したが、UWBレーダやモノパルスレーダに限るものではなく、例えば、車両にFM−CWレーダが設置された構成であってもよい。なお、FM−CWレーダが設置された場合は、変調部11による符号化がFM変調となる。
上述の実施形態では、一対のUWBレーダを備えた構成と、単一のモノパルスレーダを備えた構成について説明したが、備えられるレーダは一対または単一に限らず、レーダが三個以上である構成であってもよい。
尚、上述の実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等は適宜変更設計できることは言うまでもない。
車両に配置されたレーダとレーダ信号処理装置の説明図 (a)は、UWBレーダを示し、(b)は、モノパルスレーダを示す機能ブロック構成図 レーダ信号処理装置の機能ブロック構成図 (a)は、測定点の検出を示し、(b)は、測定点の組合せを示す説明図 (a)は、合成相対速度ベクトルの算出を示し、(b)は、合成速度ベクトルの向きに基づくグループ化を示し、(c)は、合成速度ベクトルの大きさに基づくグループ化を示し、(d)は、グループ化の例を示す説明図 距離の補正についての説明図 (a)は、レーダ搭載車両、ターゲット車両、及び非ターゲット車両を示し、(b)は、モノパルスレーダによる測定点の検出を示す説明図 (a)は、測定点の二次元配置を示し、(b)は、格子状のセルに分割された二次元平面への測定点の配置を示し、(c)は、各測定点のセンサに対する速度の算出を示す説明図 (a)は、各測定点間のX方向距離を示し、(b)は、各測定点間のY方向距離を示し、(c)は、各測定点間の直線距離を示し、(d)は、各測定点間の距離の相対測定値を示す説明図 (a)は、各測定点間の電圧レベルの相対測定値を示し、(b)は、各測定点間の相対速度を示し、(c)は、各測定点間の速度の相対測定値を示し、(d)は、各測定点のグループ化評価値を示す説明図 (a)は、所定測定点からの距離を示し、(b)は、三次元正規分布関数を示し、(c)は、存在確率分布関数を示す説明図 (a)は、存在確率分布関数の異なる表示態様での表示を示し、(b)は、表示された存在確率分布関数のグループ化を示す説明図 レーダ信号処理装置3による相対速度ベクトルの算出と存在確率の表示について説明するためのフローチャート
符号の説明
3:レーダ信号処理装置
4:表示部
31:速度ベクトル演算部
32:グループ化処理部
33:平均相対速度ベクトル演算部
34:距離補正部
35:グループ化評価値演算部
36:存在確率分布関数生成部
37:領域表示処理部

Claims (5)

  1. 単一または複数のレーダにより検出された複数の測定点の各相対速度ベクトルに基づいて各測定点を含む仮想物体の合成相対速度ベクトルを算出する速度ベクトル演算部と、前記速度ベクトル演算部により算出された複数の仮想物体の合成相対速度ベクトルが等しい仮想物体を実物体としてグループ化するグループ化処理部と、前記グループ化処理部によりグループ化された実物体の合成相対速度ベクトルを平均処理した平均相対速度ベクトルを算出する平均相対速度ベクトル演算部と、前記平均相対速度ベクトル演算部により算出された平均相対速度ベクトルに基づいて各測定点の距離を補正する距離補正部を備えて構成されるレーダ信号処理装置。
  2. 前記速度ベクトル演算部は、一対のレーダにより検出された複数の測定点の距離データに基づいて三角測量が可能と判断される測定点を含む仮想物体の合成相対速度ベクトルを算出する請求項1記載のレーダ信号処理装置。
  3. 前記速度ベクトル演算部は、単一のレーダにより検出された複数の測定点の各位置ベクトル及び相対速度ベクトルに基づいて各測定点を含む仮想物体の合成相対速度ベクトルを所定の数式で定義し、前記グループ化処理部は前記数式に基づいて前記仮想物体の合成相対速度ベクトルが等しいと判断した複数の測定点を実物体としてグループ化する請求項1記載のレーダ信号処理装置。
  4. 請求項1から3の何れかに記載されたグループ化処理部によりグループ化された複数の測定点を表示部の二次元平面に配置し、複数の測定点から選択される一つの注目点毎に、当該注目点に対する他の測定点の相対測定値に基づいてグループ化評価値を算出するグループ化評価値演算部と、前記グループ化評価値演算部により算出された注目点毎に各グループ化評価値に関連付けたピーク値及び偏差に基づいて三次元正規分布関数を生成して重ね合わせた存在確率分布関数を生成する存在確率分布関数生成部と、前記存在確率分布関数生成部により生成された存在確率分布関数で示される存在確率に基づいて領域区画し、区画された領域毎に表示態様を異ならせて表示する領域表示処理部を備えているレーダ信号処理装置。
  5. 単一または複数のレーダにより検出された複数の測定点の各相対速度ベクトルに基づいて各測定点を含む仮想物体の合成相対速度ベクトルを算出し、
    算出された複数の仮想物体の相対速度ベクトルが等しい仮想物体を実物体としてグループ化し、
    グループ化された複数の測定点を表示部の二次元平面に配置し、複数の測定点から選択される一つの注目点毎に、当該注目点に対する他の測定点の相対測定値に基づいてグループ化評価値を算出し、
    算出された注目点毎に各グループ化評価値に関連付けたピーク値及び偏差に基づいて三次元正規分布関数を生成して重ね合わせた存在確率分布関数を生成し、
    生成された存在確率分布関数で示される存在確率に基づいて領域区画し、区画された領域毎に表示態様を異ならせて表示するレーダ信号処理方法。
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