JP7221132B2 - 撓み噛合い式歯車装置 - Google Patents

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本発明は、撓み噛合い式歯車装置に関する。
従来、撓み変形する外歯歯車を備えた筒型の撓み噛合い式歯車装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この外歯歯車は、起振体軸受を介して起振体が内嵌され、起振体が内側で回転することで撓み変形する。さらに、外歯歯車は剛性を有する内歯歯車と噛合う。
特開2014-199130号公報
上記従来の撓み噛合い式歯車装置では、内歯歯車と外歯歯車との噛合い部が摩耗すると、この摩耗がロストモーションを増大させるという課題があった。
本発明は、ロストモーションの増大を抑制することができる撓み噛合い式歯車装置を提供することを目的とする。
本発明は、起振体と、前記起振体により撓み変形する外歯歯車と、前記外歯歯車と噛合う第1内歯歯車及び第2内歯歯車と、前記外歯歯車の軸方向一方側に配置され前記外歯歯車の軸方向移動を規制する第1規制部材と、前記外歯歯車の軸方向他方側に配置され前記外歯歯車の軸方向移動を規制する第2規制部材と、を備えた撓み噛合い式歯車装置であって、
前記外歯歯車は、回転によりスラスト力が作用するように構成され、
前記第1規制部材及び前記第2規制部材の双方は、前記外歯歯車に作用するスラスト力が所定値以下のときに前記外歯歯車と接触し、
前記第1規制部材は、前記外歯歯車に作用するスラスト力が所定値を超えたときに、前記第2規制部材と前記外歯歯車との間に隙間が生じるように構成されるものとした。
本発明によれば、ロストモーションの増大を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置を示す断面図である。 図1の撓み噛合い式歯車装置において外歯歯車に所定値を超えるスラスト力が作用したときの状態を示す断面図である。 ロストモーションを説明するための図である。 本実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[撓み噛合い式歯車装置の構成]
図1は、本実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置1を示す断面図である。
この図に示すように、本実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置1は、外歯歯車32が撓み変形して回転軸O1回りの回転運動が伝達される筒型の撓み噛合い式歯車装置である。
具体的に、撓み噛合い式歯車装置1は、起振体軸30、外歯歯車32、第1内歯歯車41G及び第2内歯歯車42G、起振体軸受31、ケーシング43、第1カバー44、第2カバー45、第1規制部材51及び第2規制部材52を備える。
起振体軸30は、回転軸O1を中心に回転する中空筒状の軸であり、回転軸O1に垂直な断面の外形が非円形(例えば楕円状)の起振体30Aと、起振体30Aの軸方向の両側に設けられた軸部30B、30Cとを有する。楕円状とは、幾何学的に厳密な楕円に限定されるものではなく、略楕円を含む。軸部30B、30Cは、回転軸O1に垂直な断面の外形が円形の軸である。この起振体軸30は、モータ等の駆動源(図示省略)に連結されて駆動力が入力される入力軸である。
なお、以下の説明では、回転軸O1に沿った方向を「軸方向」、回転軸O1に垂直な方向を「径方向」、回転軸O1を中心とする回転方向を「周方向」という。
外歯歯車32は、可撓性を有する略円筒状の部材であり、外周に歯が設けられている。より詳しくは、外歯歯車32は、内周面が円筒面状に形成される一方、歯面である外周面が、反出力側に向かうに連れて次第に径が大きくなるピッチ円錐面を有するテーパー状に形成されている。
本実施形態の外歯歯車32は、歯底径、歯先径およびピッチ円径の全てが、出力側から反出力側に向かうに連れて次第に大きくなるように構成されているが、これに限定されるものではなく、少なくともピッチ円径が出力側から反出力側に向かうに連れて次第に大きくなるように構成されていればよい。
ここで、軸方向のうち、外部の相手部材と連結されて減速された運動を当該相手部材に出力する側を「出力側」(図中の左側)といい、出力側とは反対側を「反出力側」(図中の右側)という。
すなわち、外歯歯車32は、ピッチ円錐面を有するかさ歯車状に形成されており、本実施形態では、歯すじがピッチ円錐面の母直線と一致する直歯かさ歯車状に形成されている。このようなピッチ円錐面を有する形状に形成されることにより、外歯歯車32は、回転に伴ってスラスト力が作用する(スラスト力を受ける)ように構成されている。
なお、図1では、外歯歯車32に作用するスラスト力が後述の所定値以下の状態を示している。以下では、特に断りのない限り、この状態における各部の形状等について説明する。
第1内歯歯車41Gと第2内歯歯車42Gは、回転軸O1を中心として起振体軸30の周囲で回転を行う。これら第1内歯歯車41Gと第2内歯歯車42Gは、軸方向に並んで設けられ、外歯歯車32と噛合している。具体的に、第1内歯歯車41Gと第2内歯歯車42Gは、反出力側に向かうに連れて次第に径が大きくなるピッチ円錐面を有するテーパー状にそれぞれ形成されるとともに、互いのピッチ円錐面がその延長線上に連なっている。このピッチ円錐面は外歯歯車32のものと対応しており、第1内歯歯車41Gが、外歯歯車32の軸方向の中央よりも反出力側の歯部に噛合し、第2内歯歯車42Gが、外歯歯車32の軸方向の中央よりも出力側の歯部に噛合している。
このうち、第1内歯歯車41Gは、第1内歯歯車部材41の内周部の該当箇所に内歯が設けられて構成される。
一方、第2内歯歯車42Gは、第2内歯歯車部材42の内周部の該当箇所に内歯が設けられて構成される。
起振体軸受31は、例えばコロ軸受であり、起振体30Aと外歯歯車32との間に配置される。起振体30Aと外歯歯車32とは、起振体軸受31を介して相対回転可能となっている。
起振体軸受31は、外歯歯車32の内側に嵌入される外輪31aと、複数の転動体(コロ)31bと、複数の転動体31bを保持する保持器31cとを有する。複数の転動体31bは、第1内歯歯車41Gの径方向内方に配置され、周方向に並ぶ第1群の転動体31bと、第2内歯歯車42Gの径方向内方に配置され、周方向に並ぶ第2群の転動体31bとを有する。これらの転動体31bは、起振体30Aの外周面と外輪31aの内周面とを転走面として転動する。外輪31aは、複数の転動体31bの配列に対応して軸方向に二つ並んで設けられている。なお、起振体軸受31は、起振体30Aとは別体の内輪を有してもよい。
ケーシング43は、第2内歯歯車42Gの外径側を覆う。ケーシング43は、例えばボルト等の連結部材を介して第1内歯歯車部材41と連結されている。
ケーシング43は、内周部に形成された主軸受48の外輪部43oを有しており、当該主軸受48を介して第2内歯歯車部材42を回転自在に支持している。
第1カバー44は、第1内歯歯車部材41と連結され、外歯歯車32と第1内歯歯車41Gとの噛合い箇所を軸方向の反出力側から覆う。
第1カバー44と起振体軸30の軸部30Bとの間には軸受46が配置されており、第1カバー44は当該軸受46を介して起振体軸30を回転自在に支持している。
第2カバー45は、第2内歯歯車部材42と連結され、外歯歯車32と第2内歯歯車42Gとの噛合い箇所を軸方向の出力側から覆う。第2カバー45及び第2内歯歯車部材42は、減速された運動を出力する外部の相手部材に連結される。
第2カバー45と起振体軸30の軸部30Cとの間には軸受47が配置されており、第2カバー45は当該軸受47を介して起振体軸30を回転自在に支持している。
第1規制部材51及び第2規制部材52は、略リング状に形成されたばね鋼製の部材であり、外歯歯車32及び起振体軸受31の軸方向の両側に配置されて、これら外歯歯車32及び起振体軸受31の軸方向への移動を規制する。
このうち、第1規制部材51は、外歯歯車32及び起振体軸受31の反出力側に配置されている。第1規制部材51は、変形部51aと、固定部51bとを有している。
変形部51aは、第1規制部材51のうち、径方向の中程であって外歯歯車32と対応する(軸方向に対向する)径方向位置に設けられている。変形部51aは、軸方向に所定厚さの薄肉に形成されたダイヤフラム部(弾性薄膜部)であり、第1規制部材51のうち出力側の軸方向位置に設けられて、軸方向の反出力側に弾性変形可能となっている。この変形部51aは、変形量が所定量以下の常態において外歯歯車32と接触しており、外歯歯車32から受けるスラスト力により、当該外歯歯車32に押圧されて軸方向反出力側に弾性変形する。
なお、第1規制部材51のうち、変形部51aよりも内径側の部分は、起振体軸受31の軸方向への移動を規制する。この部分と軸受46の外輪とは、接触してもよいし、隙間を介在させていてもよい。
固定部51bは、第1規制部材51のうち変形部51aよりも外径側に設けられ、第1内歯歯車部材41及び第1カバー44と接触してこれらに固定される。具体的に、第1規制部材51の外径部は、変形部51aの外径側の端部から反出力側に屈曲した後に反出力側の端部で折り返して出力側に延出しており、このうち反出力側の端部から出力側に延出した部分が固定部51bとなっている。固定部51bは、出力側の端面が第1内歯歯車部材41と接触し、反出力側の端面が第1カバー44と接触している。つまり、固定部51bは、第1内歯歯車部材41と第1カバー44とにより軸方向に挟持されており、これにより、第1内歯歯車部材41及び第1カバー44に対する第1規制部材51の相対回転が抑制されている。
ただし、本実施形態においては、固定部51b(第1規制部材51)と第1カバー44とは直接的には接触しておらず、その間に球状のボール部材51cを介在させて接触している。固定部51bと第1カバー44には、互いに対向する部分に周方向に沿った断面円弧状の凹部が全周に亘ってそれぞれ形成されており、この凹部内に嵌るようにしてボール部材51cが複数配置されている。このボール部材51cは、本発明に係る摺動促進部材の一例であり、固定部51b(第1規制部材51)と第1カバー44との摩擦を低減して互いの相対回転を促進する。
このような構成により、第1規制部材51は、後述するように、外歯歯車32に作用するスラスト力が所定値以下のときには、固定部51bが第1内歯歯車部材41と第1カバー44に挟持されることにより、これらとの相対回転が抑制される。そして、外歯歯車32に作用するスラスト力が所定値を超えたときに、ボール部材51cが転動することにより、第1内歯歯車部材41及び第1カバー44と第1規制部材51とが相対回転する。
第2規制部材52は、外歯歯車32及び起振体軸受31の出力側に配置され、第1規制部材51を軸方向に反転させた形状に形成されている。具体的に、第2規制部材52は、変形部52aと、固定部52bとを有している。
変形部52aは、第2規制部材52のうち、径方向の中程であって外歯歯車32と対応する径方向位置に設けられている。変形部52aは、軸方向に所定厚さの薄肉に形成されたダイヤフラム部(弾性薄膜部)であり、第2規制部材52のうち反出力側の軸方向位置に設けられて、軸方向の出力側に弾性変形可能となっている。この変形部52aは、変形量が所定量以下の常態において外歯歯車32と接触している。
なお、第2規制部材52のうち、変形部52aよりも内径側の部分は、起振体軸受31の軸方向への移動を規制する。この部分と軸受47の外輪とは、接触してもよいし、隙間を介在させていてもよい。
固定部52bは、第2規制部材52のうち変形部52aよりも外径側に設けられ、第2内歯歯車部材42及び第2カバー45と接触してこれらに固定される。具体的に、第2規制部材52の外径部は、変形部52aの外径側の端部から出力側に屈曲した後に出力側の端部で折り返して反出力側に延出しており、このうち出力側の端部から反出力側に延出した部分が固定部52bとなっている。固定部52bは、反出力側の端面が第2内歯歯車部材42と接触し、出力側の端面が第2カバー45と接触している。つまり、固定部52bは、第2内歯歯車部材42と第2カバー45とにより軸方向に挟持されており、これにより、第2内歯歯車部材42及び第2カバー45に対する第2規制部材52の相対回転が抑制されている。
ただし、本実施形態においては、固定部52b(第2規制部材52)と第2カバー45とは直接的には接触しておらず、その間に球状のボール部材52cを介在させて接触している。固定部52bと第2カバー45には、互いに対向する部分に周方向に沿った断面円弧状の凹部が全周に亘ってそれぞれ形成されており、この凹部内に嵌るようにしてボール部材52cが複数配置されている。
なお、第2規制部材52は、外歯歯車32の低回転時(後述する定格トルクの±3%に対応する回転数範囲)において、外歯歯車32と接触して当該外歯歯車32を拘束するものであればよい。第2規制部材52は、外歯歯車32に作用するスラスト力を受けない側に配置されるものであるため、変形部52aを有していなくともよいし、第2カバー45との間にボール部材52cを介在させていなくともよい。ただし、第2規制部材52が外歯歯車32を好適に拘束できるように、第2内歯歯車部材42及び第2カバー45と接触する固定部52bは設けられていた方がよい。
[減速動作]
モータ等の駆動源により起振体軸30の回転駆動が行われると、起振体30Aの運動が外歯歯車32に伝わる。このとき、外歯歯車32は、起振体30Aの外周面に沿った形状に規制され、軸方向から見て、長軸部分と短軸部分とを有する楕円形状に撓んでいる。さらに、外歯歯車32は、固定された第1内歯歯車41Gと長軸部分で噛合っている。このため、外歯歯車32は起振体30Aと同じ回転速度で回転することはなく、外歯歯車32の内側で起振体30Aが相対的に回転する。そして、この相対的な回転に伴って、外歯歯車32は長軸位置と短軸位置とが周方向に移動するように撓み変形する。この変形の周期は、起振体軸30の回転周期に比例する。
外歯歯車32が撓み変形する際、その長軸位置が移動することで、外歯歯車32と第1内歯歯車41Gとの噛合う位置が回転方向に変化する。ここで、例えば、外歯歯車32の歯数が100で、第1内歯歯車41Gの歯数が102だとすると、噛合う位置が一周するごとに、外歯歯車32と第1内歯歯車41Gとの噛合う歯がずれていき、これにより外歯歯車32が回転(自転)する。上記の歯数であれば、起振体軸30の回転運動は減速比100:2で減速されて外歯歯車32に伝達される。
一方、外歯歯車32は第2内歯歯車42Gとも噛合っているため、起振体軸30の回転によって外歯歯車32と第2内歯歯車42Gとの噛合う位置も回転方向に変化する。ここで、第2内歯歯車42Gの歯数と外歯歯車32の歯数とが同数であるとすると、外歯歯車32と第2内歯歯車42Gとは相対的に回転せず、外歯歯車32の回転運動が減速比1:1で第2内歯歯車42Gへ伝達される。これらによって、起振体軸30の回転運動が減速比100:2で減速されて、第2内歯歯車部材42及び第2カバー45へ伝達され、この回転運動が相手部材に出力される。
この回転時において、外歯歯車32は、第1内歯歯車41G及び第2内歯歯車42Gと噛合う歯面(外周面)が、反出力側に向かうに連れて次第に径が大きくなるテーパー状に形成されているため、回転数に応じた反出力側へのスラスト力を受ける。
そのため、外歯歯車32は、まだ回転数が低く当該外歯歯車32に作用するスラスト力が所定値以下のときには、第1規制部材51及び第2規制部材52の双方と接触しているものの、回転数上昇に伴うスラスト力の増加により、第1規制部材51の変形部51aを押圧して変形させつつ反出力側に移動していく。ここで、「所定値」のスラスト力とは、後述するロストモーションの領域である定格トルクの±3%のトルクに対応した回転数範囲において、外歯歯車32に作用する最大のスラスト力よりも大きい値である。つまり、外歯歯車32は、第2カバー45(出力軸)の負荷が定格トルクの±3%のトルク範囲内にあるときには、第1規制部材51及び第2規制部材52の双方と接触している。
そして、外歯歯車32に作用するスラスト力が所定値を超えると、図2に示すように、第1規制部材51の変形部51aの変形量が十分に大きくなって、遂には第2規制部材52と外歯歯車32との間に隙間Gが生じる。これにより、外歯歯車32は第2規制部材52による拘束から解放され、スムーズに回転できるようになる。このとき、第1規制部材51と第1カバー44との間にボール部材51cが配置されていることにより、これらの相対回転が促進されるため、第1規制部材51を第1カバー44の側に押圧している外歯歯車32をより回転しやすくすることができる。
その後、停止に向けて外歯歯車32の回転が低下していくと、外歯歯車32に作用するスラスト力が再び所定値以下となることにより、図1に示すように、第1規制部材51及び第2規制部材52の双方が外歯歯車32と接触した状態となる。このとき、第1規制部材51は、固定部51bにより第1内歯歯車部材41及び第1カバー44に固定され、第2規制部材52は、固定部52bにより第2内歯歯車部材42及び第2カバー45に固定されている。そのため、外歯歯車32は、第1規制部材51及び第2規制部材52により軸方向の両側から拘束されて、第1内歯歯車部材41や第2内歯歯車部材42に対する相対移動が抑制される。
こうして、外歯歯車32が拘束されることにより、外歯歯車32と、第1内歯歯車41G及び第2内歯歯車42Gとの噛合いにガタが生じにくくなる。したがって、外歯歯車32、第1内歯歯車41G及び第2内歯歯車42Gの歯が摩耗していた場合であっても、ロストモーションの増大を抑制することができる。
図3は、ロストモーションを説明するための説明図である。減速装置の入力軸(高速軸)を固定して出力軸(低速軸)側より定格トルクまでゆっくり負荷を掛けて除荷するまでの負荷及び低速軸の変位(ねじれ角)を測定し、その関係を示すと、図3に示すような剛性のヒステリシスカーブが得られる。ロストモーションは、定格トルクの±3%のトルクとなる点におけるねじれ角と定義される。本実施形態の撓み噛合い式歯車装置1において、入力軸は起振体軸30に相当し、出力軸は第2カバー45及び第2内歯歯車部材42に相当する。
ロストモーションの問題はトルクが小さくなる装置停止(回転停止)の直前に顕在化するため、このロストモーションの増大を抑制することにより、装置を好適に停止させることができる。
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態の撓み噛合い式歯車装置1によれば、回転に伴って外歯歯車32に作用するスラスト力が所定値以下のときには、第1規制部材51及び第2規制部材52の双方が外歯歯車32と接触している。そして、外歯歯車32に作用するスラスト力が所定値を超えたときに、第1規制部材51が、第2規制部材52と外歯歯車32との間に隙間Gを生じさせる。
これにより、外歯歯車32の高回転時には、第2規制部材52による拘束を解いて外歯歯車32を回転しやすくすることができる。また、外歯歯車32の低回転時には、第1規制部材51及び第2規制部材52により外歯歯車32を拘束して、外歯歯車32と第1内歯歯車41G及び第2内歯歯車42Gとの噛合いにガタを生じにくくすることができる。
したがって、好適にロストモーションの増大を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第1規制部材51が、外歯歯車32から受けるスラスト力により変形する変形部51aを有している。
これにより、変形部51aを有するだけの簡便な構造の第1規制部材51により、外歯歯車32を回転に応じて軸方向に移動させることができる。
また、本実施形態によれば、第1規制部材51が第1内歯歯車41Gと接触し、第2規制部材52が第2内歯歯車42Gと接触している。
そのため、第1規制部材51及び第2規制部材52の双方に拘束される外歯歯車32は、第1内歯歯車41G及び第2内歯歯車42Gに対する相対移動が抑制されることになる。したがって、外歯歯車32と第1内歯歯車41G及び第2内歯歯車42Gとの噛合いにガタが存在する場合であっても、これらを一体的に動作させて停止させることができる。
なお、第1規制部材51と第2規制部材52とは、このうちの少なくとも一方が、第1内歯歯車41G及び第2内歯歯車42Gのうち外歯歯車32に対して軸方向の同じ側に配置されたものと一体的に回転する部材に対して、軸方向及び径方向の少なくとも一方に接触していればよい。つまり、第1規制部材51及び第2規制部材52の双方が第1内歯歯車41G又は第2内歯歯車42Gと一体的に回転する部材に接触していなくともよく、第1規制部材51が第1内歯歯車41Gと一体的に回転する部材に接触するか、第2規制部材52が第2内歯歯車42Gと一体的に回転する部材に接触していればよい。これにより、少なくとも第1規制部材51及び第2規制部材52のいずれか一方によって外歯歯車32を拘束することができる。
また、本実施形態によれば、第1内歯歯車41G(第1内歯歯車部材41)と一体的に回転する第1カバー44と、第1規制部材51とが、ボール部材51cを介して接触している。
これにより、第1規制部材51と第1カバー44との相対回転が促進されるため、外歯歯車32が第1規制部材51を第1カバー44の側に押圧しているときに、当該外歯歯車32をより回転しやすくすることができる。
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、外歯歯車32の外周面(歯面)が、反出力側に向かうに連れて次第に径が大きくなるテーパー状に形成されていることとした。しかし、外歯歯車32のテーパー形状はこれに限定されず、例えば図4(a)に示すように、テーパーが軸方向に逆向き(すなわち、出力側に向かうに連れて次第に径が大きくなる向き)であってもよい。なお、この例の場合、外歯歯車32が回転すると、出力側に向かうスラスト力が外歯歯車32に作用し、第2規制部材52が変形し、第1規制部材51と外歯歯車32との間に隙間を生じる。そのため、特許請求の範囲における第1規制部材に対応するのは第2規制部材52となり、特許請求の範囲における第2規制部材に対応するのは第1規制部材51となる。第1、第2内歯歯車についても同様である。このように、特許請求の範囲における「第1」「第2」と実施形態における「第1」「第2」とは必ずしも対応しない場合がある。
また、外歯歯車32は、軸方向に沿ってピッチ円径が変化する部分を有していればよく、軸方向の全長に亘ってピッチ円径が変化しなくともよい。例えば図4(b)に示すように、外歯歯車32のうち、第1内歯歯車41G又は第2内歯歯車42Gのいずれか一方(図の例では第1内歯歯車41G)に対応する部分だけがピッチ円径が変化(テーパー状)していてもよい。
さらに言えば、外歯歯車32は、回転によりスラスト力が作用するように構成されていればよく、その具体的構成は限定されない。
また、上記実施形態では、外歯歯車32の歯すじがピッチ円錐面の母直線と一致する直歯かさ歯車状であることとしたが、軸線に対して傾斜したはすば歯車状の歯すじであってもよい。ただし、上記実施形態のように直歯かさ歯車状の歯すじの場合、外歯歯車32の回転方向に依らずに同様の効果が得られる点でより好ましい。
また、上記実施形態では、外歯歯車32のみがスラスト力により軸方向に移動することとしたが、外歯歯車32に嵌入される起振体軸受31の外輪31aが当該外歯歯車32と一体的に移動することとしてもよい。
また、上記実施形態では、第1規制部材51が変形部51aを変形させることにより外歯歯車32を軸方向に移動させることとした。しかし、第1規制部材51は、外歯歯車32に発生するスラスト力が所定値を超えたときに、第2規制部材52と外歯歯車32との間に隙間が生じるように構成されていればよく、その具体構成は特に限定されない。例えば、第1規制部材51の変形部51aがダイヤフラム状でなく板ばね状などであってもよい。
また、第1規制部材51と第1カバー44との間のボール部材51cは、配置されなくてもよいし、配置される場合にも、摺動を促進できればボール部材に限定されず、例えば滑り軸受でもよい。
また、本明細書において、ある部材と一体的に回転する部材とは、ある部材に別部材が連結されて一体的に回転する場合だけでなく、ある部材と同一の素材で一体的に構成されて一体的に回転する場合も含まれる。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 撓み噛合い式歯車装置
30 起振体軸
30A 起振体
31 起振体軸受
32 外歯歯車
41 第1内歯歯車部材
41G 第1内歯歯車
42 第2内歯歯車部材
42G 第2内歯歯車
44 第1カバー
45 第2カバー
51 第1規制部材
51a 変形部
51b 固定部
51c ボール部材
52 第2規制部材
52a 変形部
52b 固定部
52c ボール部材
G 隙間
O1 回転軸

Claims (6)

  1. 起振体と、前記起振体により撓み変形する外歯歯車と、前記外歯歯車と噛合う第1内歯歯車及び第2内歯歯車と、前記外歯歯車の軸方向第1内歯歯車側に配置され前記外歯歯車の軸方向移動を規制する第1規制部材と、前記外歯歯車の軸方向第2内歯歯車側に配置され前記外歯歯車の軸方向移動を規制する第2規制部材と、を備えた撓み噛合い式歯車装置であって、
    前記外歯歯車は、回転によりスラスト力が作用するように構成され、
    前記第1規制部材及び前記第2規制部材の双方は、前記外歯歯車に作用するスラスト力が所定値以下のときに前記外歯歯車と接触し、
    前記第1規制部材は、前記外歯歯車に作用するスラスト力が所定値を超えたときに、前記第2規制部材と前記外歯歯車との間に隙間が生じるように構成される、
    撓み噛合い式歯車装置。
  2. 前記第1規制部材は、前記外歯歯車から受けるスラスト力により変形する変形部を有する、
    請求項1に記載の撓み噛合い式歯車装置。
  3. 前記第1規制部材は、前記第1内歯歯車と一体的に回転する部材に対し、軸方向及び径方向の少なくとも一方に接触する、
    請求項1又は請求項2に記載の撓み噛合い式歯車装置。
  4. 前記第2規制部材は、前記第2内歯歯車と一体的に回転する部材に対し、軸方向及び径方向の少なくとも一方に接触する、
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載の撓み噛合い式歯車装置。
  5. 前記第1内歯歯車と一体的に回転する部材と、前記第1規制部材とが、摺動促進部材を介して接触する、
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載の撓み噛合い式歯車装置。
  6. 前記外歯歯車は、軸方向に沿ってピッチ円径が変化する部分を有する、
    請求項1から請求項5の何れか一項に記載の撓み噛合い式歯車装置。
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