本発明の水分散型樹脂組成物は、第1モノマー成分の重合生成物である第1ポリマーと、第2モノマー成分の重合生成物である第2ポリマーとを含有する。
第1モノマー成分は、必須成分として、メタアクリルアミドおよびメタクリル酸を含有する。
第1モノマー成分が、メタアクリルアミドを含有すると、耐熱性(耐スティッキング性)、耐可塑剤性、耐溶剤性の向上を図ることができる。
第1モノマー成分において、メタアクリルアミドの含有割合は、第1モノマー成分100質量部に対して、86質量部以上、好ましくは、88質量部以上、より好ましくは、89.5質量部以上であり、また、91質量部以下である。
メタアクリルアミドの含有割合が、上記下限以上であれば、乾燥性に優れる。
一方、メタアクリルアミドの含有割合が、上記下限未満であれば、耐溶剤性が低下する。
また、メタアクリルアミドの含有割合が、上記上限以下であれば、走行安定性に優れる。
一方、メタアクリルアミドの含有割合が、上記上限を超過すると、走行安定性が低下する。
また、第1モノマー成分において、メタアクリルアミドの含有割合は、メタアクリルアミドおよびメタクリル酸の総量100質量部に対して、例えば、90質量部以上、好ましくは、93質量部以上、より好ましくは、94質量部以上であり、また、例えば、95質量部以下である。
第1モノマー成分において、メタクリル酸の含有割合は、第1モノマー成分100質量部に対して、4質量部以上であり、また、9質量部以下、好ましくは、7質量部以下、より好ましくは、5.5質量部以下である。
メタクリル酸の含有割合が、上記下限以上であれば、走行安定性に優れる。
一方、メタクリル酸の含有割合が、上記下限未満であれば、走行安定性が低下する。
また、メタクリル酸の含有割合が、上記上限以下であれば、乾燥性に優れる。
一方、メタクリル酸の含有割合が、上記上限を超過すると、乾燥性および耐溶剤性が低下する。
また、第1モノマー成分において、メタクリル酸の含有割合は、メタアクリルアミドおよびメタクリル酸の総量100質量部に対して、例えば、5質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、7質量部以下、より好ましくは、6質量部以下である。
また、第1モノマー成分は、任意成分として、メタアクリルアミドおよびメタクリル酸と共重合可能な共重合性モノマー(以下、第1共重合性モノマーと称する。)を含有することができる。
第1共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能基含有ビニルモノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニルモノマー、N-置換不飽和カルボン酸アミド、複素環式ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、α-オレフィン類、ジエン類などが挙げられる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルを含む。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの炭素数1~8のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
官能基含有ビニルモノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有ビニルモノマー(メタクリル酸を除く、以下同様。)、水酸基含有ビニルモノマー、アミノ基含有ビニルモノマー、グリシジル基含有ビニルモノマー、シアノ基含有ビニルモノマー、スルホン酸基含有ビニルモノマーおよびその塩、アセトアセトキシ基含有ビニルモノマー、リン酸基含有化合物などが挙げられる。
カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸などが挙げられる。
水酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
アミノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(N-メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルなどが挙げられる。
グリシジル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
シアノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
スルホン酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸などが挙げられる。また、その塩としては、上記スルホン酸基含有ビニルモノマーの、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、例えば、アンモニウム塩などが挙げられる。具体的には、例えば、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸アンモニウムなどが挙げられる。
アセトアセトキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチルなどが挙げられる。
リン酸基含有化合物としては、例えば、2-メタクロイロキシエチルアシッドフォスフェートなどが挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
N-置換不飽和カルボン酸アミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
複素環式ビニル化合物としては、例えば、ビニルピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
α-オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
ジエン類としては、例えば、ブタジエンなどが挙げられる。
さらに、第1共重合性モノマーとして、架橋性ビニルモノマーを挙げることもできる。
架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコール鎖含有ジ(メタ)アクリレートなど、2つ以上のビニル基を含有する化合物などが挙げられる。
これら第1共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
第1共重合性モノマーとして、好ましくは、官能基含有ビニルモノマー、架橋性ビニルモノマーまたはそれらの併用が挙げられ、より好ましくは、水酸基含有ビニルモノマー、架橋性ビニルモノマーまたはそれらの併用、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メチレンビス(メタ)アクリルアミドまたはそれらの併用、とりわけ好ましくは、メタアクリル酸2-ヒドロキシエチルおよびメチレンビスアクリルアミドを併用する。
第1モノマー成分において、第1共重合性モノマーの含有割合は、第1モノマー成分100質量部に対して、例えば、2質量部以上、好ましくは、10質量部以下である。
また、第1モノマー成分が、水酸基含有ビニルモノマーを含有する場合には、水酸基含有ビニルモノマーの含有割合は、第1モノマー成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上であり、また、例えば、7質量部以下である。
また、第1モノマー成分が、架橋性ビニルモノマーを含有する場合には、架橋性ビニルモノマーの含有割合は、第1モノマー成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上であり、また、例えば、1質量部以下である。
第1モノマー成分の重合は、特に制限されず、公知の重合方法が採用される。例えば、水、第1モノマー成分および重合開始剤が配合され、水中において、第1モノマー成分が重合される。
重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなど)、過酸化水素、有機ハイドロパーオキサイド、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)酸などの水溶性開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤、さらには、レドックス系開始剤などが挙げられる。これら重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、重合開始剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定されるが、第1モノマー成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
重合条件としては、常圧下において、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、95℃以下、好ましくは、85℃以下である。また、重合時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
また、第1ポリマーの製造においては、製造安定性の向上を図る観点から、必要に応じて、後述する乳化剤(界面活性剤)を配合することができる。
また、第1ポリマーの製造においては、製造安定性の向上を図る観点から、例えば、pH調整剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびその塩などの金属イオン封止剤、例えば、メルカプタン類、低分子ハロゲン化合物などの分子量調節剤(連鎖移動剤)など、公知の添加剤を適宜の割合で配合することができる。
第1ポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算で、例えば、5000以上、好ましくは、10000以上であり、例えば、1000000以下、好ましくは、500000以下である。
第2モノマー成分は、必須成分として、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびカルボキシル基含有ビニルモノマーを含有する。
(メタ)アクリロニトリルは、メタクリロニトリル、アクリロニトリルを含み、好ましくは、アクリロニトリルが挙げられる。
第2モノマー成分において、(メタ)アクリロニトリルの含有割合は、第2モノマー成分100質量部に対して、例えば、30質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、60質量部以下であり、また、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびカルボキシル基含有ビニルモノマーの総量100質量部に対して、40質量部以上であり、また、例えば、60質量部以下である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、上記した第1共重合性モノマーにおける(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸n-ブチル、より好ましくは、アクリル酸n-ブチルが挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
第2モノマー成分において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合は、第2モノマー成分100質量部に対して、例えば、20質量部以上であり、また、例えば、45質量部以下であり、また、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびカルボキシル基含有ビニルモノマーの総量100質量部に対して、30質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下である。
カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、上記した第1共重合性モノマーにおけるカルボキシ基含有ビニルモノマーと同様のもの、および、メタクリル酸などが挙げられ、好ましくは、メタクリル酸が挙げられる。
これらカルボキシ基含有ビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
第2モノマー成分において、カルボキシル基含有ビニルモノマーの含有割合は、第2モノマー成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下であり、また、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびカルボキシル基含有ビニルモノマーの総量100質量部に対して、例えば、2質量部以上であり、また、例えば、8質量部以下である。
また、第2モノマー成分は、任意成分として、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびカルボキシル基含有ビニルモノマーと共重合可能な共重合性モノマー(以下、第2共重合性モノマーと称する。)を含有することができる。
第2共重合性モノマーとしては、例えば、上記した官能基含有ビニルモノマー((メタ)アクリロニトリルおよびカルボキシ基含有ビニルモノマーを除く)、上記したビニルエステル類、上記した芳香族ビニルモノマー、上記したN-置換不飽和カルボン酸アミド、上記した複素環式ビニル化合物、上記したハロゲン化ビニリデン化合物、上記したα-オレフィン類、上記したジエン類、上記した架橋性ビニルモノマーなどが挙げられる。
また、第2共重合性モノマーとしては、さらに、官能基含有ビニルモノマーとして、(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニルモノマーが挙げられる。
これら第2共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
第2共重合性モノマーとして、好ましくは、官能基含有ビニルモノマー、より好ましくは、水酸基含有ビニルモノマー、アミド基含有ビニルモノマーまたはそれらの併用、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミドまたはそれらの併用、とりわけ好ましくは、メタクリルアミド、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルまたはそれらの併用、特に好ましくは、メタクリルアミドおよびメタクリル酸2-ヒドロキシエチルの併用が挙げられる。
第2モノマー成分において、第2共重合性モノマーの含有割合は、第1モノマー成分100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、15質量部以下である。
また、第2モノマー成分が、水酸基含有ビニルモノマーを含有する場合には、水酸基含有ビニルモノマーの含有割合は、第2モノマー成分100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上であり、また、例えば、1質量部以下、好ましくは、0.1質量部以下である。
また、第2モノマー成分が、アミド基含有ビニルモノマーを含有する場合には、アミド基含有ビニルモノマーの含有割合は、第2モノマー成分100質量部に対して、例えば、3質量部以上であり、また、例えば、13質量部以下である。
第2モノマー成分の重合は、特に制限されず、公知の重合方法が採用される。例えば、水、第2モノマー成分および重合開始剤が配合され、水中において、第2モノマー成分が重合される。
重合開始剤としては、特に制限されないが、上記した第1モノマー成分の重合に用いられるものと同様の重合開始剤が挙げられる。これら重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、重合開始剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定されるが、第2モノマー成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、20質量部以下である。
重合条件としては、常圧下において、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、95℃以下、好ましくは、85℃以下である。また、重合時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
また、第2ポリマーの製造においては、製造安定性の向上を図る観点から、必要に応じて、上記した乳化剤(界面活性剤)を配合することができる。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。具体的には、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸塩など)、脂肪族スルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型などのノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
これら乳化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
乳化剤の配合割合については、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、第2ポリマーの製造においては、製造安定性の向上を図る観点から、例えば、pH調整剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびその塩などの金属イオン封止剤、例えば、メルカプタン類、低分子ハロゲン化合物などの分子量調節剤(連鎖移動剤)など、公知の添加剤を適宜の割合で配合することができる。
また、本発明では、第2ポリマーに含まれるカルボキシ基の少なくとも一部が、中和(カルボン酸塩化)される。すなわち、第2ポリマーには、第2モノマー成分のカルボキシ基含有ビニルモノマーに由来するカルボキシ基が含まれており、このカルボキシ基が中和剤により中和され、塩化される。
より具体的には、この方法では、例えば、第2モノマー成分が重合された後、中和剤が添加され、所定温度において、30分以上保持される。これにより、第2ポリマーにおけるカルボキシ基が中和される(膨潤軟化処理)。
中和剤としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アミン類、アンモニアなどが挙げられる。また、中和剤は、好ましくは、含塩水として用いられ、具体的には、アルカリ金属水酸化物の水溶液、アンモニア水などが挙げられる。これら中和剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
中和剤として、好ましくは、アンモニアが挙げられる。
中和剤の配合割合は、第2モノマー成分に含まれるカルボキシ基含有ビニルモノマー100モルに対して、例えば、20モル以上、好ましくは、25モル以上、より好ましくは、30モル以上であり、例えば、200モル以下、好ましくは、150モル以下、より好ましくは、120モル以下である。
中和剤添加後における保持条件としては、保持温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、90℃以下、好ましくは、80℃以下である。また、保持時間が、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、12時間以下、好ましくは、10時間以下である。
上記条件で保持することにより、カルボキシ基が中和され、カルボン酸塩が形成される。例えば、中和剤としてアンモニア水が用いられる場合には、カルボキシ基の中和によって、アンモニウム塩が形成される。
このように、カルボキシ基が中和されることにより、走行安定性および耐久性に優れる感熱記録材料を得ることができ、さらに、曳糸性にも優れる水分散型樹脂組成物を得ることができる。
とりわけ、中和剤としてアンモニア水が用いられる場合には、作業性に優れ、また、カルボン酸塩としてアンモニウム塩が形成されると、耐水性の向上を図ることができ、さらに、発色性に優れる感熱記録材料を得ることができる。
なお、上記のように保持しない場合、カルボキシ基を中和することができないため、曳糸性、走行安定性および耐久性に劣るという不具合がある。
また、例えば、FT-IR装置、熱分解GC-MS装置、ヘッドスペースGC-MS装置、元素分析装置、滴定法などの各種分析装置により、水分散型樹脂組成物中の中和剤(カウンターカチオン)を分析することによって、カルボキシ基が中和されていることを確認することができる。
第2ポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算で、例えば、10000以上、好ましくは、50000以上であり、例えば、2000000以下、好ましくは、1000000万以下である。
また、第2ポリマーの溶解パラメータ(SP値)は、例えば、9.5(cal/cm3)1/2以上であり、例えば、13(cal/cm3)1/2以下である。
第2ポリマーの溶解パラメータ(SP値)が上記範囲であれば、耐水ブロッキング性および接着性の向上を図ることができる。
また、第2ポリマーのガラス転移温度は、例えば、20℃以上、好ましくは、25℃以上であり、例えば、130℃以下、好ましくは、125℃以下である。
第2ポリマーのガラス転移温度が上記範囲であれば、成膜性および耐久性(耐熱性)の向上を図ることができる。
なお、溶解パラメータおよびガラス転移温度としては、Million Zillion Software社の計算ソフトCHEOPS(version4.0)にて算出された値が採用される。なお、この計算ソフトで用いられる計算手法は、Computational Materials Science of Polymers(A.A.Askadskii, Cambridge Intl Science Pub (2005/12/30))Chapter XIIに記載の方法である(以下同様)。
水分散型樹脂組成物は、上記の第1ポリマーと上記の第2ポリマーとを含有していれば、特に制限されず、例えば、上記した方法によって、第1ポリマーと第2ポリマーとを別々に製造した後、それらを混合することにより得ることができる。
水分散型樹脂組成物において、第1ポリマーと第2ポリマーとの配合割合は、例えば、第2ポリマー100質量部に対して、第1ポリマーの含有割合が、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上、好ましくは、90質量部以上であり、例えば、50質量部以下である。
第1ポリマーと第2ポリマーとの配合割合が上記範囲であれば、作業性よく水分散型樹脂組成物を得ることができ、また、走行安定性および耐久性の向上を図ることができる。
また、水分散型樹脂組成物の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上であり、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
また、水分散型樹脂組成物のpHは、例えば、5.5以上、好ましくは、6.0以上であり、例えば、11以下、好ましくは、10以下である。
また、その他の方法として、例えば、まず、第1ポリマーを製造し、得られる第1ポリマーの存在下において第2ポリマーを製造することができる。さらに、例えば、まず、第2ポリマーを製造し、得られる第2ポリマーの存在下において、第1ポリマーを製造することができる。
好ましくは、まず、第1ポリマーを製造し、得られる第1ポリマーの存在下において、第2ポリマーを製造するか、または、まず、第2ポリマーを製造し、得られる第2ポリマーの存在下において、第1ポリマーを製造する。
とりわけ好ましくは、まず、第2ポリマーを製造し、得られる第2ポリマーの存在下において、第1ポリマーを製造する。
また、水分散型樹脂組成物は、さらに、非架橋性尿素化合物を含有することができる。
非架橋性尿素化合物は、分子量1000以下であって、上記第1ポリマーおよび上記第2ポリマーと架橋構造を形成しない尿素化合物として定義される。
非架橋性尿素化合物としては、例えば、分子中に有するメチロール基が1個以下である、尿素または尿素誘導体が挙げられる。
また、非架橋性尿素化合物としては、例えば、下記式(1)または下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
(上記式(1)中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、または、水酸基を有してもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R1~R4の2つ以上が同時に水酸基を有することはない。)
(上記式(2)中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、または、水酸基を有してもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R1~R4の2つ以上が同時に水酸基を有することはない。)
R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、または、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシルなどの直鎖アルキル基、例えば、i-プロピル基、i-ブチル基、t-ブチル基などの分枝鎖アルキル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基などのモノヒドロキシアルキル基などの、水酸基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表す。
R1~R4として、好ましくは、水素原子、炭素数1~9のアルキル基が挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基が挙げられる。
ただし、R1~R4の2つ以上が同時に水酸基を有することはない。つまり、R1~R4のうち1つが水酸基を有する炭素数1~12のアルキル基である場合には、残り3つが、水素原子、または、水酸基を有しない炭素数1~12のアルキル基である。
また、上記式(1)および上記式(2)の好ましい形態としては、R1~R4のうち2つが水酸基を有しない炭素数1~12のアルキル基で、残り2つが水素原子、R1~R4のうち1つが水酸基を有する炭素数1~12のアルキル基で、残り3つが水素原子、または、R1~R4の全てが水素原子である。
より好ましい形態としては、R1~R4のうち2つが水酸基を有しない炭素数1~12のアルキル基で、残り2つが水素原子、または、R1~R4の全てが水素原子である。さらに好ましい形態としては、R1~R4のうち2つが水酸基を有しない炭素数1~12のアルキル基で、残り2つが水素原子である。
また、非架橋性尿素化合物として、例えば、尿素、例えば、1-アルキル尿素などのモノアルキル尿素、例えば、1,1-ジアルキル尿素、1,3-ジアルキル尿素などのジアルキル尿素、例えば、1-ヒドロキシアルキル尿素などのヒドロキシアルキル尿素、例えば、上記モノアルキル尿素、上記ジアルキル尿素および上記ヒドロキシアルキル尿素のビウレット体などの尿素誘導体が挙げられる。
1-モノアルキル尿素としては、例えば、1-メチル尿素、1-エチル尿素などが挙げられ、好ましくは、1-メチル尿素が挙げられる。
1,1-ジアルキル尿素としては、例えば、1,1-ジメチル尿素、1,1-ジエチル尿素などが挙げられ、好ましくは、1,1-ジメチル尿素が挙げられる。
1,3-ジアルキル尿素としては、例えば、1,3-ジメチル尿素、1,3-ジエチル尿素などが挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチル尿素が挙げられる。
1-ヒドロキシアルキル尿素としては、例えば、1-(2-ヒドロキシエチル)尿素、1-(3-ヒドロキシプロピル)尿素などが挙げられる。
尿素、上記モノアルキル尿素、上記ジアルキル尿素および上記ヒドロキシアルキル尿素のビウレット体としては、例えば、ビウレット(尿素の二量体、C2H5N3O2)、N,N-ジメチルビウレットなどが挙げられ、好ましくは、ビウレット(尿素の二量体、C2H5N3O2)が挙げられる。
また、非架橋性尿素化合物として、好ましくは、尿素、1-アルキル尿素、1,1-ジアルキル尿素、1,3-ジアルキル尿素、1-ヒドロキシアルキル尿素およびビウレット(尿素の二量体、C2H5N3O2)が挙げられ、より好ましくは、尿素、1,1-ジアルキル尿素、1,3-ジアルキル尿素が挙げられる。さらに好ましくは、尿素または1,1-ジメチル尿素または1,3-ジメチル尿素が挙げられる。
水分散型樹脂組成物が非架橋性尿素化合物を含有することで、耐水性、耐可塑剤性の向上を図ることができる。
非架橋性尿素化合物の配合割合は、第1ポリマーおよび第2ポリマーの総量(固形分)100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1質量部以上、より好ましくは、2質量部以上、さらに好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、30質量部以下、さらに好ましくは、20質量部以下である。
非架橋性尿素化合物の配合割合が上記範囲内であると、耐水性、耐可塑剤性の向上を図ることができる。
また、水分散型樹脂組成物は、さらに、その他のポリマー(第1ポリマーおよび第2ポリマーを除くポリマー)、充填剤、濡れ剤などを含むことができる。
その他のポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン樹脂などが挙げられ、具体的には、例えば、炭素数2~16のα-オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなど)の単独重合体および共重合体が挙げられる。好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテンの単独重合体および共重合体が挙げられる。
その他のポリマーが配合される場合、その配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
より具体的には、例えば、ポリオレフィン樹脂が滑剤として配合される場合、その配合割合は、第1ポリマーおよび第2ポリマーの総量100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、2質量部以上、より好ましくは、3質量部以上、さらに好ましくは、5質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、35質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下である。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、クレー、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、コロイダルシリカなどの無機充填剤、例えば、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン微粉末などの有機微粒子などが挙げられる。これら充填剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
濡れ剤としては、例えば、アセチレングリコール、アセチレンアルコールなどのアセチレン系界面活性剤などが挙げられる。
水分散型樹脂組成物が、濡れ剤を含めば、支持層(後述)および感熱記録層(後述)塗布性を向上させることができる。
濡れ剤の配合割合は、水分散型樹脂組成物中の固形分に対して、例えば、200ppm以上、好ましくは、500ppm以上であり、また、例えば、2000ppm以下である。
充填剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
さらに、水分散型樹脂組成物は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、例えば、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸アミドなどの滑剤(ポリオレフィン樹脂を除く滑剤)、例えば、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ポリアミドエピクロロヒドリンおよびその変性体などの架橋剤(耐水化剤)、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、粘度調整剤、その他の助剤などの公知の添加剤を含有することができる。添加剤の含有割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
そして、このようにして得られる水分散型樹脂組成物を用いれば、走行安定性、耐水ブロッキング性および耐水性に優れる感熱記録材料を得ることができ、さらに、乾燥性および曳糸性にも優れる。
そのため、水分散型樹脂組成物は、支持層、感熱記録層および保護層を備える感熱記録材料において、感熱記録層を形成するための感熱記録層用樹脂組成物として好適に用いることができ、また、保護層を形成するための保護層用樹脂組成物として用いることができる。
より具体的には、図1において、感熱記録材料1は、支持層2と、支持層2の厚み方向一方側に配置される感熱記録層3と、感熱記録層3の厚み方向一方側に配置される保護層4とを備えている。
支持層2としては、例えば、紙、プラスチックシートなどが挙げられる。支持層2の厚みは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
感熱記録層3は、感熱記録層用樹脂組成物の硬化物として、形成されている。
感熱記録用樹脂組成物は、例えば、上記の水分散型樹脂組成物、染料および顕色剤を含有している。
染料としては、例えば、フロオラン系有機染料、トリアリルメタン系有機染料、フェノキシアジン系有機染料など、公知の塩基性有機染料が挙げられる。
顕色剤としては、特に制限されず、例えば、フェノール性化合物、芳香族カルボン酸など、公知の顕色剤が挙げられる。
染料と顕色剤との配合割合は、染料100質量部に対して、顕色剤が、例えば、100質量部以上であり、例えば、3000質量部以下である。
これら染料および顕色剤が、上記の水分散型樹脂組成物の存在下において湿式粉砕され、混合されることにより、感熱記録層用樹脂組成物が得られる。また、例えば、染料および顕色剤が、上記の水分散型樹脂組成物の他の水性樹脂組成物(例えば、ポリビニルアルコールなど)の存在下において分散され、得られた分散液と上記の水分散型樹脂組成物とが混合されることによっても、感熱記録層用樹脂組成物が得られる。
感熱記録層用樹脂組成物における配合割合は、特に制限されないが、染料および顕色剤の総量100質量部に対して、水分散型樹脂組成物の固形分が、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
また、感熱記録層用樹脂組成物は、必要により、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリンなどの無機顔料、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアゾール系紫外線吸収剤、ワックス、脂肪酸アミドなどの増感剤などを、目的および用途に応じて、適宜の割合で含有することができる。
そして、このような感熱記録層用樹脂組成物が支持層2に対して、カーテンコート法、ロールコート法、ブレードコート法などの公知のコート法、生産効率の向上を図る観点から、好ましくは、カーテンコート法によって、乾燥後の厚みが、例えば、2~20g/m2となるように、塗工され、乾燥および硬化される。
このとき、上記した水分散型樹脂組成物中の第2ポリマーが含有するカルボン酸塩(例えば、アンモニウム塩)の少なくとも一部が、カルボキシ基に戻り、感熱記録層3が形成される。なお、乾燥および硬化条件は、感熱記録層用樹脂組成物の処方などに応じて、適宜設定される。
保護層4は、保護層用樹脂組成物の硬化物として、形成されている。
保護層用樹脂組成物としては、例えば、上記の水分散型樹脂組成物をそのまま用いることができる。
そして、このような保護層用樹脂組成物が、感熱記録層3に対して、カーテンコート法、ロールコート法、ブレードコート法などの公知のコート法、生産効率の向上を図る観点から、好ましくは、カーテンコート法によって、乾燥後の厚みが、例えば、1~10g/m2となるように、塗工され、乾燥および硬化される。
このとき、上記した水分散型樹脂組成物中の第2ポリマーが含有するカルボン酸塩(例えば、アンモニウム塩)の少なくとも一部が、カルボキシ基に戻り、保護層4が形成される。なお、乾燥および硬化条件は、保護層用樹脂組成物の処方などに応じて、適宜設定される。
そして、上記の感熱記録層用樹脂組成物および保護層用樹脂組成物を用いれば、走行安定性、耐水ブロッキング性および耐水性に優れる感熱記録材料を得ることができ、さらに、乾燥性および曳糸性にも優れる。
そのため、得られる感熱記録材料は、優れた走行安定性、耐水ブロッキング性および耐水性を備える。
なお、上記した説明では、感熱記録材料1において、感熱記録層3および保護層4の両方が、上記の水分散型樹脂組成物によって形成されているが、例えば、感熱記録層3または保護層4のいずれか一方のみが、上記の水分散型樹脂組成物によって形成されていてもよい。そのような場合、上記の水分散型樹脂組成物によって形成されない感熱記録層3または保護層4は、公知の方法によって形成される。
また、上記した説明では、感熱記録材料1は、支持層2、感熱記録層3および保護層4からなるが、例えば、支持層2と感熱記録層3との間や、感熱記録層3と保護層4との間に、中間層(図示せず)が介在されていてもよい。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
1.水分散型樹脂組成物および感熱記録材料
実施例1
攪拌機、還流冷却機付きのセパラブルフラスコに、脱イオン水60部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、および、過硫酸カリウム1.0部を仕込み、窒素ガスで置換した後、75℃に昇温した。次いで、下記組成の混合物(第2モノマー成分と水および乳化剤との混合物)を、約4時間で連続添加した後、75℃において約4時間保持することで重合を完結させ、固形分約25%のシードエマルションを得た。
アクリロニトリル 45.2部
アクリル酸n-ブチル 39.3部
メタクリル酸 5.5部
メタクリルアミド 10部
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 0.01部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部
脱イオン水 40部
次いで、同様のセパラブルフラスコに、上記で得られたシードエマルション1000部、および、脱イオン水1000部を仕込み、75℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム2.0部を添加し、下記組成の混合物(第1モノマー成分と水との混合物)を、攪拌しながら2時間かけて連続的に添加した。その後、2時間保持し、重合を完結させた。
メタクリルアミド 90部
メタクリル酸 5部
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 5部
N,N-メチレンビスアクリルアミド 0.2部
脱イオン水 300部
その後、引き続きアンモニア水を添加してアルカリ性とし、さらに3時間その温度(75℃)を保持して、膨潤軟化処理した。その後、室温まで冷却し、pHが約7.4に調製された固形分約25%の水分散型樹脂組成物を得た。
次いで、得られた水分散型樹脂組成物(固形分約25%)100部に、脱イオン水86部を加えて希釈し、次いで、濡れ剤として、アセチレン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、オルフィンE1010)を、固形分換算で、水分散型樹脂組成物中の固形分に対して1000ppm、架橋剤として、ポリアミドエピクロロヒドリン変性体25%水溶液(星光PMC製、WS4027)を、固形分換算で、水分散型樹脂組成物中の固形分に対して3.75質量%を均一に混合した。
その後、市販の表面無処理感熱ワードプロセッサ用紙に、乾燥質量で3g/m2になるようにバーコーターにて塗布した後、乾燥(50℃で60秒強制乾燥後、40℃で16時間養生)させ、感熱記録材料を得た。
実施例2、実施例3および比較例1
第1モノマー成分および第2モノマー成分を表1に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、水分散型樹脂組成物および感熱記録材料を得た。
2.評価
<乾燥性>
各実施例および各比較例の水分散型樹脂組成物を、最低造膜温度計(Rhopoint instrument社製:MFFTB90)を使用して、1.6 μm厚になるように塗工した後に45℃における乾燥時間を測定した。評価基準を下記する。その結果を表1に示す。
◎:乾燥時間が、141秒以上160秒以下であった。
○:乾燥時間が、161秒以上170秒以下であった。
△:乾燥時間が、171秒以上180秒以下であった。
×:乾燥時間が、181秒以上190秒以下であった。
<走行安定性>
各実施例および各比較例の感熱記録材料について、感熱印字装置(大倉電気株式会社製:TH-PMX)を使用して、以下の条件によってベタ黒印刷のパターン画像を作成し、その時の音の程度(パチパチ音)とヘッドの汚れ具合を総合的に評価した。その結果を表1に示す。
印加電圧 23 V
パルス幅 0.8 ms
印加エネルギー 0.54 mJ/ドット
評価基準を下記する。
○:印字時の印字音が小さく、印字後の印字ヘッドに汚れが付着していない。
△:印字時の印字音がやや大きいが、印字ヘッドに汚れは付着せず、実用上問題なし。
×:印字ヘッドに汚れが付着し、印字面にも保護層の剥がれが見られる。
<耐水ブロッキング性>
各実施例および各比較例の感熱記録材料の塗工面に水滴を1滴垂らし、塗工面同士が重なるように感熱記録材料を重ね合わせた。4g/cm2の荷重をかけ、23℃にて2時間放置した後、重ねた面を剥がしてブロッキング状態を判定した。評価基準を下記する。その結果を表1に示す。
◎:ブロッキングが全く無く、容易に剥がれる。
○:剥がす際に多少抵抗があるが、問題なく剥がれ、塗工面の一部に欠陥らしき傷がみられる。
△:剥がす際に抵抗が強く、剥がすと塗工面の至るところに欠陥らしき傷がみられる。
×:抵抗が強いため剥がしづらく、塗工面の損傷が激しい。
<耐水性>
各実施例および各比較例の感熱記録材料を水に浸漬し、23℃にて24時間放置した後、塗工面のはがれ具合を目視観察した。評価基準を下記する。その結果を表1に示す。
○:塗工面の剥がれが見られない。
△:塗工面がわずかに剥がれるが、実用上問題なし。
×:塗工面の剥がれが発生する。
<耐溶剤性>
各実施例および各比較例の感熱記録材料の塗工面に油性マーカーで線を引き、発色度合を目視観察した。評価基準を下記する。その結果を表1に示す。
○:感熱層の発色なし。
△:感熱層がわずかに発色するも、実用上問題なし。
×:感熱層の発色が見られる。