以下、本開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、及び「第3」等の用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、投射レンズ又は投射装置内に存在する構成要素の数を限定するものではない。
本明細書の説明において、「平行」又は「水平」はそれぞれ、完全な平行又は完全な水平の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差が含まれる略平行又は略水平を指す。
[第1実施形態]
一例として図1及び図2に示すように、投射レンズ10は、投射装置11に組み込まれる。本開示の技術に係る投射装置11は、一例として輸送機器用であり、輸送機器の一例である自動車12のダッシュボード13に設けられる。投射装置11の内、投射レンズ10の一部は、例えば、ダッシュボード13の上部から露出している。投射装置11は、投射レンズ10を通じて、一例として、自動車12のフロントガラス14に画像17を投射する。画像17は、投射レンズ10によってフロントガラス14に投影される投影像である。
投射装置11は、一例として、自動車12の停車中にフロントガラス14に画像17を投射する。また、将来的に自動車12の自動運転が可能になった場合、投射装置11は、自動運転中にフロントガラス14に画像17を投射してもよい。なお、自動運転とは、自動車の走行に必要となる、アクセル、ブレーキ、方向指示器、及びハンドル15等の操作が自動車12に設けられた制御装置(図示省略)により自律的に行われる運転を指す。
投射レンズ10は、一例として図2に示すように、出射側部分10Aと入射側部分10Bとに大別される。本例において、投射レンズ10は、出射側部分10Aが上部に、入射側部分10Bが下部に位置する姿勢でダッシュボード13に設けられている。出射側部分10Aである投射レンズ10の上部側は、ダッシュボード13から露出している。また、投射レンズ10の入射側部分10Bである下部側は、ダッシュボード13内に収容されている。投射レンズ10の出射側部分10Aは、カバー16により、覆われている。カバー16は、例えばダッシュボード13と同一の素材から成る。
投射レンズ10の入射側部分10Bにおいて、光が入射する入射側の端部には、電気光学ユニット20が接続されている。この電気光学ユニット20と投射レンズ10とで、投射装置11を構成する。投射レンズ10は、電気光学ユニット20で形成される画像を投射面の一例であるフロントガラス14に拡大投射する。投射レンズ10の出射側部分10Aの光路の出射端部には、出射レンズLEが配されている。出射レンズLEは、投射レンズ10の光学系のうち、最も拡大側に位置し、画像17をフロントガラス14(投射面の一例)に向けて出射する。
図2に示すように、投射レンズ10は、ダッシュボード13からフロントガラス14に画像17を投射するため、投射距離LP(図4参照)が数十cm程度である。また、投射レンズ10は、フロントガラス14の縦方向及び幅方向に亘って広い範囲に画像17を投射する。このため、投射レンズ10には、室内用の一般的な投射装置に用いられる投射レンズに比較して、短焦点かつ広角という光学性能が要求される。
また、図2に示すように、投射レンズ10によって投射される画像17の中心17A(図5及び図6も参照)と出射レンズLEの出射光軸(本例では第3光軸A3)とは一致していない。つまり、投射レンズ10は、後述するレンズシフト機能によって、投射される画像17の中心17Aが、出射光軸(第3光軸A3)よりも上方に位置する、いわゆる打ち上げ方式で画像17を投射する。投射レンズ10は、フロントガラス14上において、出射レンズLEの出射光軸(第3光軸A3)の延長線上にある点が、画像17の下辺17Lと一致するように画像17を投射する、いわゆるゼロオフセット投射が可能である。画像17の投射面となるフロントガラス14は、投射レンズ10が設置されるダッシュボード13の上方に延びている。そのため、本例のように打ち上げ方式で画像17を投射することで、画像17の下方部分がダッシュボード13によって遮られてしまうことが抑制される。
電気光学ユニット20は、投射レンズ10を通じてフロントガラス14に投射する画像を形成する。電気光学ユニット20は、電気光学素子21、光源22、及び導光部材(図示省略)等を備えている。光源22は、電気光学素子21に光を照射する。導光部材は、光源22からの光を電気光学素子21に導光する。
電気光学ユニット20は、一例として、電気光学素子21としてDMD(Digital Micromirror Device:登録商標)を使用した反射型である。DMDは、光源22から照射される光の反射方向を変化させることが可能な複数のマイクロミラーを有しており、各マイクロミラーを画素単位で二次元に配列した電気光学素子である。DMDは、画像に応じて各マイクロミラーの向きを変化させることで、光源22からの光の反射光のオンオフを切り替えることにより、画像に応じた光変調を行う。電気光学素子21は、本開示の技術に係る「電気光学素子」の一例である。
光源22の一例としては、白色光を発する白色光源が挙げられる。白色光源は、一例として、レーザ光源と蛍光体とを組み合わせることで実現される。具体的には、レーザ光源は、蛍光体に対する励起光として青色光を発する。レーザ光源から発せられた青色光によって励起された蛍光体は、黄色光を発する。白色光源は、レーザ光源から発せられる青色光と、蛍光体から発せられる黄色光とを組み合わせることで、白色光を発する。電気光学ユニット20には、さらに、光源22が発する白色光を、青色光、緑色光、及び赤色光の各色光に時分割で選択的に変換する回転カラーフィルタが設けられている。青、緑、及び赤の各色光が電気光学素子21に選択的に照射されることで、青、緑、及び赤の各色の画像情報が担持された画像光が得られる。こうして得られた各色の画像光が、投射レンズ10に選択的に入射されることで、フロントガラス14に向けて投射される。各色の画像光は、フロントガラス14上で統合される。この結果、フロントガラス14には、有彩色又は無彩色の画像17が表示される。
投射レンズ10には、電気光学ユニット20で形成された画像を表す光束が電気光学ユニット20から入射される。投射レンズ10は、入射された光束に基づく画像光を拡大して結像する。これにより、投射レンズ10は、電気光学ユニット20で形成された画像の拡大像である画像17をフロントガラス14に投射する。
投射レンズ10は、出射レンズLEの出射光軸(本例では第3光軸A3)のフロントガラス14(投射面の一例)に対する角度である投射角度が90°未満となるように設置される。図2において、符号AGは投射角度を示し、「AG<90°」は投射角度が90°未満であること示している。投射角度は、フロントガラス14が曲面である場合は、フロントガラス14と出射光軸である第3光軸A3との交点の接線と第3光軸A3との角度である。
一例として図3に示すように、投射レンズ10は、屈曲光学系を備えている。屈曲光学系は、第1光軸A1、第2光軸A2、及び第3光軸A3を有する。第1光軸A1は、電気光学ユニット20からの光が通る光軸である。第2光軸A2は、第1光軸A1に対して90°屈曲した光軸である。第3光軸A3は、第2光軸A2に対して90°屈曲した光軸である。このため、第1光軸A1及び第3光軸A3は平行である。なお、ここでいう90°とは、設計上許容される誤差を含む値である。第3光軸A3は、上述したとおり出射光軸ともいう。また、以下において、投射レンズ10の光軸について、第1光軸A1、第2光軸A2、及び第3光軸A3を区別せずに総称する場合は、光軸Aと呼ぶ場合がある。
以下の説明では、第1光軸A1及び第3光軸A3と平行な方向をY方向、第2光軸A2と平行な方向をZ方向、Y方向及びZ方向と直交する方向をX方向と表現する。
投射レンズ10は、第1鏡筒部30、第2鏡筒部31、及び第3鏡筒部32を有する。第1鏡筒部30は、最も入射側に位置し、第3鏡筒部32は、最も出射側に位置する。第2鏡筒部31は、第1鏡筒部30と第3鏡筒部32の間に位置する。各鏡筒部30~32は、それぞれレンズを保持している。第1鏡筒部30に保持されているレンズは第1光軸A1上に配置されている。また、第2鏡筒部31に保持されているレンズは第2光軸A2上に配置されている。さらに、第3鏡筒部32に保持されているレンズは第3光軸A3上に配置されている。
第1鏡筒部30の中心軸は第1光軸A1と略一致している。また、第2鏡筒部31の中心軸は第2光軸A2と略一致している。さらに、第3鏡筒部32の中心軸は第3光軸A3と略一致している。なお、図3では、説明を簡略化するため、複数枚のレンズを省略して1枚のレンズのように表現している場合がある。
第1鏡筒部30は、第1光学系L1を保持する。第1光学系L1は、一例として、レンズL11、レンズL12、レンズL13、レンズL14、補正レンズLC、及びレンズL15で構成され、第1光軸A1に沿って配置される。第1光学系L1は、電気光学素子21で形成する光学像の中間像MIを結像する。また、レンズL13とレンズL14との間には、固定絞り33が設けられている。固定絞り33は、電気光学ユニット20から入射した光束を絞る。
第1光学系L1のレンズL11は、電気光学素子の一例である電気光学素子21からの光が入射する入射レンズであり、レンズL11の光軸である第1光軸A1は、入射光軸の一例である。
レンズL11、レンズL12、レンズL13、補正レンズLC、及びレンズL15は、保持枠37等の保持枠に保持されている。レンズL11及びレンズL12は、一例としてズームレンズ群を構成する。
補正レンズLCは、主として、像面湾曲収差といった収差を補正する機能を担うレンズである。補正レンズLCは、収差補正に有利な非球面レンズである。
一方、補正レンズLC以外の第1光学系L1を構成するレンズは、本実施形態においては全てガラスで形成されている。投射レンズ10が配置されるダッシュボード13はフロントガラス14を通じて直射日光を受けるため、投射レンズ10は120℃程度の高温環境に晒される場合がある。このように投射レンズ10は高温環境下で使用されるため、耐熱性を考えれば、樹脂よりもガラスでレンズを形成するほうが好ましい。
また、投射レンズ10にはレンズシフト機構25が設けられている。第1鏡筒部30の入射端部は、レンズシフト機構25に取り付けられる。レンズシフト機構25は、投射レンズ10を、電気光学素子21に対して、入射光軸である第1光軸A1に直交する方向にシフトさせる。具体的には、電気光学素子21の画面と平行なX方向及びZ方向のX-Z平面内において、投射レンズ10を電気光学素子21に対してシフトさせる。電気光学素子21に対して、投射レンズ10を、X-Z平面内でシフトさせることにより、画像17の投射位置をシフトさせることができる。レンズシフト機構25は、例えば、ソレノイドなどのアクチュエータによって電動で動作する。
第2鏡筒部31は、第2光学系L2を保持する。第2光学系L2は、一例として、レンズL21及びレンズL22で構成され、第2光軸A2に沿って配置される。レンズL21及びレンズL22は、ガラスで形成されている。本実施形態において、第2光学系L2は、リレーレンズとして機能する。具体的には、第2光学系L2は、第1光学系L1により結像された中間像MIを被写体として、中間像MIを表す光束を第3鏡筒部32に中継する。
また、第2光学系L2の入射側には、第1ミラー38が配置されており、第2光学系L2の出射側には第3光学系L3が配置されている。第1ミラー38及び第2ミラー39は、それぞれ、屈曲光学系を構成する光学素子の1つであり、光軸を屈曲させる。第1ミラー38は、第1光軸A1の光を反射させて第2光軸A2の光とする。第2ミラー39は、第2光軸A2の光を反射させて第3光軸A3の光とする。第1ミラー38及び第2ミラー39は、反射面によって光軸Aを折り曲げる反射部の一例である。
第1鏡筒部30と第2鏡筒部31との間には、第1ミラー38を収容する第1ミラー収容部46が設けられている。また、第3鏡筒部32の後端部は、第2ミラー39を収容する第2ミラー収容部47を構成している。第2ミラー収容部47と第2鏡筒部31の境界は、可撓性を有する遮光部材48が設けられている。遮光部材48は、投射レンズ10内への外光の進入及び投射レンズ10内からの漏光を防止する。
第1ミラー収容部46において、第1ミラー38は、第1光軸A1及び第2光軸A2のそれぞれに対して反射面38Aが45°の角度をなす姿勢で保持される。同様に、第2ミラー39は、第2光軸A2及び第3光軸A3のそれぞれに対して反射面39Aが45°の角度をなす姿勢で保持される。第1ミラー38及び第2ミラー39は、ガラス等の透明部材に反射膜をコーティングした鏡面反射型のミラーである。なお、第1ミラー38及び第2ミラー39は、光を全反射させるプリズムを用いたミラーであってもよい。
第3鏡筒部32は、第3光学系L3を保持する。第3光学系L3は、第2ミラー39によって反射された光を投射レンズ10の外部に出射する出射光学系である。第3鏡筒部32は、レンズL31、レンズL32、レンズL33、レンズL34、及び出射レンズLEで構成され、第3光軸A3に沿って配置される。
レンズL31及びレンズL32は、保持枠41に保持されている。レンズL31及びレンズL32は、一例としてフォーカスレンズ群を構成する。レンズL33及びレンズL34は、保持枠41に保持されている。出射レンズLEは、出射レンズ保持枠42に保持されている。
投射レンズ10は、上述のように、短焦点かつ広角という光学性能が要求される。このため、レンズL33及びレンズL34は、投射する画像17を拡大させるために負の屈折力を有しており、光束を発散させる。ここで、広角とは、半画角で60°以上の画角をいう。
投射レンズ10は、広い画角を確保するために、レンズL33及びレンズL34は高い屈折力を有する。高い屈折力を確保するために、レンズL33及びレンズL34は、一例としてガラス製の球面レンズであり、また、重量増を抑制するために、比較的小径のレンズが使用される。
一方、出射レンズLEは、第3光学系L3において、主として収差を補正する機能を担っており、複雑な形状をしている。出射レンズLEは、球面レンズと比べて収差補正に有利な非球面レンズであり、一例として樹脂で形成されている。
図4において、光学系L0は、投射レンズ10の第1光学系L1、第2光学系L2及び第3光学系L3を含む光学系全体を模式的に示した一枚のレンズである。符号MPは光学系L0の主点であり、符号fは光学系L0の焦点距離、Yhは像高を示す。また、符号LPは、投射距離であり、光学系L0において最も拡大側の出射レンズLEから投射面(本例ではフロントガラス14)までの光軸方向の距離である。
光学系L0への光の入射角をθとすると、Yh=f×tanθの関係が成り立つ。光学系L0の最大画角の半画角をωとすると、Yh=f×tanωとなる。像高Yhは、イメージサークル40(図6参照)の大きさを決めるファクタである。イメージサークル40は、光学系L0を通った光が結像する円形の範囲である。像高Yhが大きいほどイメージサークル40は大きく、像高Yhが小さいほどイメージサークル40は小さい。投射レンズ10の場合は、イメージサークル40の大きさは、電気光学素子21の画面サイズに関係し、イメージサークル40は、電気光学素子21が収まる大きさを有することが必要である。
投射レンズ10は、出射レンズLEの有効径をDE、出射レンズLEを含む光学系全体、すなわち光学系L0の焦点距離をf、半画角をωとした場合において、ωは60°以上であり、かつ、以下の式(1)で定義されるPAの値が、0.1以上7以下の範囲である。
PA=DE/(f×tanω)・・・・(1)
PAは、出射レンズLEの有効径DEと光学系L0の像高Yh(=f×tanω)の比である。
なお、式(1)において、焦点距離fは、光学系L0にズームレンズが含まれる場合は最も広角側(すなわちワイド側)の焦点距離である。また、半画角ωも最も広角側(すなわちワイド側)の最大画角の1/2である。
図5及び図6に示すように、投射レンズ10は、レンズシフト機構25によってZ方向にシフトされている。これにより、入射光軸である第1光軸A1が、電気光学素子21の画面の中心位置21Aに対して、上方にシフトしている。その結果、上述したとおり、投射される画像17の中心17Aが、出射光軸(本例では第3光軸A3)よりも上方に位置する、いわゆる打ち上げ方式で画像17が投射される。符号21Eは、第1光軸A1と電気光学素子21の画面の交点であり、符号17Eは、出射光軸(本例では第3光軸A3)と画像17との交点である。Z方向は電気光学素子21の天地方向(すなわち上下方向)であり、「第1方向」の一例である。
図7は、投射レンズ10のディストーションの特性の一例を示す説明図である。図7に示すように、投射レンズ10は、投射角度が90°の場合に、画像17に糸巻き型のディストーションが生じる特性を有している。糸巻き型のディストーションとは、画像17の各辺の中央が画像17の中心17Aに向かって凹み、相対的に各頂点が外側に張り出す形状のディストーションである。図7Aは、投射角度が90°の場合に画像17に対して生じるディストーションを示し、図7Bは、投射角度が90°未満、具体的には85°の場合に画像17に対して生じるディストーションを示す。
投射角度が90°の図7Aにおいて顕著なように、画像17の天地方向(本例ではZ方向)において対向する上辺17Uと下辺17Lとを比較すると、上辺17Uが長く、下辺17Lが短い。これは、図5及び図6に示したように、投射レンズ10が電気光学素子21の画面の中心位置21Aに対してシフトしていることに起因する。
比較例として示す図8は、投射レンズ10がシフトしていない場合、すなわち、電気光学素子21の画面の中心位置21Aと入射光軸である第1光軸A1とが一致している例である。図8の投射角度は90°である。図8に示す例では、出射光軸(本例では第3光軸A3)と画像17の中心17Aも一致する。この場合は、図9に示すように、画像17のディストーションは、天地左右がそれぞれ対称になるように発生する。これは、投射レンズ10のイメージサークル40の中心と電気光学素子21の画面の中心位置21Aとが一致するためである。
これに対して、図5及び図6に示すように、画像17の天地方向(本例ではZ方向)に投射レンズ10をシフトさせると、イメージサークル40と電気光学素子21の画面の中心位置21Aとが相対的にZ方向にずれる。そのため、画像17の中心17Aも出射光軸(本例では第3光軸A3)と一致しないため、図7Aに示すように、画像17の天地方向において非対称な形でディストーションが現れることになる。
投射レンズ10において、投射角度が90°の場合に図7Aに示すようなディストーションが発生するが、図7Aに示すディストーションは、図7Bに示すように、投射角度を90°未満にすることで低減される。投射角度を90°未満にすると、図2等に示すように、投射面(本例ではフロントガラス14)は、出射光軸(本例では第3光軸A3)に対して傾斜する。具体的には、投射面は、画像17の下辺17L側の投射位置よりも、画像17の上辺17U側の投射位置が出射レンズLEに近づく方向に傾く。下辺17L側の投射位置よりも上辺17U側の投射位置が出射レンズLEに近づくと、画像17の上辺17Uの拡大率は、下辺17Lの拡大率よりも小さくなる。これにより、図7Bにおいては、図7Aと比較して、画像17の上辺17Uと下辺17Lの長さの差が縮小する。
ここで、ディストーションの大きさを示す指標として、ディストーション比PDを用いる。ディストーション比PDとは、画像17の天地方向に対向する2辺である、上辺17U及び下辺17Lのそれぞれの両端を結ぶ直線の長さの比である。上辺17Uに対応する直線と下辺17Lに対応する直線のうち、長い方の直線の長さをXL、短い方の直線の長さをXSとした場合、ディストーション比PDは、XL/XSで定義される。つまり、画像17の上辺17Uと下辺17Lの長さの比が大きいほど、ディストーション比PDは大きくなり、ディストーションは大きいと評価される。反対に、ディストーション比PDが小さいほど、ディストーションは小さいと評価される。
本例の投射レンズ10は、投射角度が90°の場合よりも、投射角度が90°未満の方が、ディストーション比PDが小さくなる特性を有している。
一例として、投射レンズ10は、投射角度が90°の場合のディストーション比PDをPD1、投射角度が85°の場合のディストーション比PDをPD2とした場合に、PD1及びPD2の値が以下の条件式(2)を満足するようなディストーションの特性を有している。
PD1>PD2・・・・・(2)
すなわち、投射レンズ10は、投射角度が90°の場合のディストーション比PD1が相対的に大きく、投射角度を85°(90°未満の角度の一例)にすると、ディストーション比PD2が相対的に小さくなる特性を有している。
本開示の技術に係る投射レンズ10は、出射レンズLEの有効径DEが、半画角ωにおける像高Yhの7倍以下になっている。すなわち、上記式(1)のPAを上限値以下にすることで、投射レンズ10の大径化が抑制される。その一方で、投射角度を90°未満とすることで、ディストーションが抑制される。
ディストーションは、一般に、レンズの屈折力が大きいほど大きくなる。画角を広げようとする場合において、出射レンズLEを含む投射レンズ10を大径化する方法は、ディストーションを抑制する観点からは有効な方法である。投射レンズ10を大径化すれば、画角を広げるための屈折力を抑制しつつ、広画角化を達成できるためである。
逆に言えば、出射レンズLEを大径化せずに広画角化を図ろうとすると、光学系L0において、画角を広げるための負の屈折力を大きくする必要があるが、屈折力を大きくすると、ディストーションが増大する。
しかし、投射レンズ10の小型化は、投射レンズ10の設置スペースの制約など実用上の課題を考慮すると無視できない問題であり、ディストーションの抑制のみを目的として無制約に投射レンズ10を大径化することはできない。
そこで、本開示の投射レンズ10は、投射角度が90°の場合のディストーションの抑制をある程度犠牲にしている。そして、投射レンズ10は、大径化を抑制する一方、投射角度を90°未満にする方法によって、ディストーションを抑制する。図7に示したように、投射角度が90°の場合に発生するディストーションの態様によっては、投射角度を90°未満にすることで、ディストーションを低減できる場合がある。本開示の投射レンズ10は、こうした手法を用いることにより、ディストーションの抑制を図っている。このように、本開示の技術によれば、広画角であっても、大型化とディストーションの両方を抑制することが可能な投射レンズ10を提供することができる。
なお、投射角度は、より詳細には、図2等に示したように、出射光軸(本例では第3光軸A3)をチルト方向に回転させた場合、すなわち、出射光軸の縮小側を基点として、投射する画像17の天地方向(本例ではZ方向)に出射光軸の拡大側の位置を変化させた場合に変化する角度である。出射光軸をチルトさせることによって変化する投射角度を90°未満とすることで、画像17の上辺17Uの長さと下辺17Lの長さとの差として現れるディストーションを低減することができる。
また、式(1)のPAの下限値を0.1以上とすることで、電気光学素子21に必要なイメージサークル40の最低限の大きさを確保している。また、出射レンズLEの有効径DEを像高Yhの7倍まで許容することで、イメージサークル40のある程度の大径化が許容される。これにより、レンズシフトのシフト量について必要な量を確保することができる。また、PAの上限値が7を超えた場合は、ディストーションを低減する観点でオーバースペックとなり、出射レンズLEを含めた投射レンズ10の大型化を招いてしまう。
また、上記式(1)においてPAの好ましい範囲は0.5以上7以下であり、下限は1以上がさらに好ましく、上限は5以下がさらに好ましい。PAの値は、下限値が0.5未満の場合は、有効径DEが小さいまま、画角を大きくしなければならないため、レンズの屈折力を大きくしなければならず、ディストーションが大きくなりすぎてしまう。ディストーションが大きすぎると、投射角度を90°未満にしても補正が困難な場合がある。また、PAを1以上とすることで、下限値を0.5とする場合と比べて、ディストーションを低減することができる。また、PAの値を5以下にすることで、必要なイメージサークル40の大きさを確保しつつ、投射レンズ10の大型化をより抑制することができる。
また、投射レンズ10のディストーションは、図7に示したように、糸巻き型である。そのため、本開示の技術は、投射面が、画像17の投射方向に向けて凸型である場合に特に有効である。本例の投射面はフロントガラス14であるが、フロントガラス14は、ダッシュボード13に投射レンズ10を設置した場合は、画像17の投射方向に向けて凸型の投射面となる。そのため、糸巻き型のディストーションが発生している画像17は、投射方向に向けて凸型のフロントガラス14に投射されることで、画像17の外縁が外側に膨らむように拡大されることになる。その結果、ディストーションが低減される。このように、投射方向に向けて凸型の投射面は、糸巻き型のディストーションが発生する画像17に対して有効である。
また、ディストーション比PDについて、上記条件式(2)を満足することで、投射角度を85°にした場合に、ディストーションを低減することができる。
また、投射角度が90°の場合のディストーション比PD1と、投射角度が85°の場合のディストーション比PD2について、上記条件式(2)に加えて、さらに、以下の条件式(2-1)を満足することが好ましい。
PD1-PD2≧0.05・・・・(2-1)
PD1とPD2の差は、投射角度を90°から85°にするとによって、ディストーションがどの程度解消されたかを示す指標であり、ここでは、PD1とPD2の差をディストーションの解消度と呼ぶ。ディストーションの解消度が大きいほど、ディストーションの低減効果が高いと評価される。PD1とPD2の差が0.05以上あり、条件式(2-1)を満足する場合は、投射角度を85°にすることによるディストーション低減効果を期待することができる。
また、投射角度が85°の場合のディストーション比PD2について、上記条件式(2)に加えて、さらに、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
PD2≦1.2・・・・・(3)
条件式(3)を満足する場合は、上辺17Uと下辺17Lとの差が十分に小さくなるため、より顕著なディストーション低減効果が得られる。
また、投射レンズ10の第2ミラー39は、第2ミラー39よりも入射側の第2光軸A2を出射光軸である第3光軸A3に向けて折り曲げる反射部の一例である。こうした反射部としての第2ミラー39を備えていることで、光軸を折り曲げない投射レンズと比較して、投射レンズ10の全長を短縮することができる。これにより、投射レンズ10を小型化することができる。
次に、本開示の技術に係る投射レンズ10の数値実施例について説明する。
[実施例1]
図10及び図11に実施例1の投射レンズ10の光学系の構成を示す断面図を示す。図10に示す実施例1Aは、光軸を折り曲げない光学系であり、図11に示す実施例1Bは、図10に示す実施例1Aと同じ構成の光学系を、図3等において示したように第1ミラー38及び第2ミラー39で2回折り曲げた屈曲光学系である。実施例1A及び実施例1Bは、どちらも、入射側から順に、第1光学系L1、第2光学系L2、及び第3光学系L3を備えている。実施例1A及び実施例1Bは、開口絞りStを備えており、また、第1光学系L1によって、第2光学系L2の前で中間像MIを結像する。
また、図10及び図11に示すように、実施例1A及び実施例1Bは、どちらも、レンズシフトにより、光軸よりも投射する画像17の中心17Aが上方に位置する打ち上げ式で投射する。
図12は、実施例1A及び実施例1Bのそれぞれのレンズシフトの方向を示す。図12Aは図10に示す実施例1Aのレンズシフトの状態を示す。実施例1Aは、イメージサークル40の中心40Aよりも上方に、電気光学素子21の全体が位置するようにレンズシフトが行われる。図12Bは図11に示す実施例1Bのレンズシフトの状態を示す。実施例1Bは、イメージサークル40の中心40Aよりも下方に、電気光学素子21の全体が位置するようにレンズシフトが行われる。
また、数値実施例の計算条件として、電気光学素子21の画面は横長であり、画面サイズは、天地方向(すなわち縦方向)の短辺が8.165[mm]、横方向の長辺が14.515[mm]である。イメージサークル40の直径は24[mm]である。電気光学素子21の画面サイズ及びイメージサークル40の直径は、以下に示す実施例1、実施例2、実施例3及び比較例においても同様である。
図10及び図11の光線図を見ればわかるとおり、実施例1A及び実施例1Bのどちらも、投射する画像17の投射位置のシフト方向は上方で同じである。図12に示すように、電気光学素子21に対するレンズシフトの方向が異なるのは、第1ミラー38及び第2ミラー39の有無などによる。
以下の実施例1のレンズデータは、実施例1Aに基づくものであるが、実施例1Aと実施例1Bの相違点は、第1ミラー38及び第2ミラー39の有無のみであるため、実施例1Bについても同様である。
実施例1の光学系の基本レンズデータを表1に、諸元に関するデータを表2に、非球面係数に関するデータを表3及び表4に示す。以下では、表中の記号の意味について、実施例1のものを例にとり説明するが、実施例2、実施例3及び比較例についても基本的に同様である。
表1に示したレンズデータにおいて、Siの欄には、最も拡大側の光学要素の拡大側の面を1番目として、縮小側に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したi番目の面の番号を示している。近軸曲率半径Riの欄には、拡大側からi番目の面の近軸曲率半径の値(mm(ミリメートル))を示す。面間隔Diの欄についても、同様に拡大側からi番目の面Siとi+1番目の面Si+1との光軸A上の間隔(mm(ミリメートル))を示す。Ndjの欄には、拡大側からj番目の光学要素のd線(波長587.6nm(ナノメートル))に対する屈折率の値を示す。νdjの欄には、拡大側からj番目の光学要素のd線に対するアッベ数の値を示す。なお、曲率半径の符号は、面形状が拡大側に凸の場合を正、縮小側に凸の場合を負としている。表1には、開口絞りStと光学部材PPも含めて示しており、開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号とともに(St)という語句を記載している。
表2の諸元に関するデータに、全系の焦点距離の絶対値|f|、全系のバックフォーカスBf、Fナンバー、全画角2ωの値を示す。なお、表2等この明細書において、FNo.は、Fナンバーを意味する。なお、このバックフォーカスBfは空気換算した値を表している。
表1のレンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸の曲率半径の数値を示している。表3及び表4の非球面係数に関するデータには、非球面の面番号と、これら非球面に関する非球面係数を示す。表3及び表4の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。非球面係数は、下記式で表される非球面式における各係数KA、Am(mは、3以上の整数で面毎に異なる)の値である。
Zd=C・h2/{1+(1-KA・C2・h2)1/2}+ΣAm・hm
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数(mは、3以上の整数で面毎に異なる)
であり、非球面深さZdにおけるΣはmに関する総和を意味する。
レンズデータおよび諸元に関するデータにおいて、角度の単位としては度(°)を用い、長さの単位としてはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。
[実施例2]
次に、実施例2の光学系について説明する。実施例2の光学系の構成を示す断面図を図13及び図14に示す。なお、図13以下の各実施例の図示方法については、上述した図10及び図11と同様であるため、説明を省略する。
図13に示す実施例2Aは、光軸を折り曲げない場合の光学系であり、図14に示す実施例2Bは、図13に示す実施例2Aと同じ構成の光学系を、図3等において示したように第1ミラー38及び第2ミラー39で2回折り曲げた屈曲光学系である。実施例2A及び実施例2Bは、どちらも、入射側から順に、第1光学系L1、第2光学系L2、及び第3光学系L3を備えている。実施例2A及び実施例2Bは、開口絞りStを備えており、また、第1光学系L1によって、第2光学系L2の前で中間像MIを結像する。実施例2A及び実施例2Bのこうした基本的な構成は、図10及び図11に示す実施例1A及び実施例1Bと同様である。
また、図13及び図14に示すように、実施例2A及び実施例2Bは、どちらも、図12に示したレンズシフトが行われることにより、投射する画像17の中心17Aが光軸よりも上方に位置する打ち上げ式で投射する。また、この点についても図10及び図11に示す実施例1A及び実施例1Bと同様である。
また、実施例2の光学系の基本レンズデータを表5に、諸元に関するデータを表6に、非球面係数に関するデータを表7及び表8に示す。
以下の実施例2のレンズデータは、実施例2Aに基づくものであるが、実施例2Aと実施例2Bの相違点は、第1ミラー38及び第2ミラー39の有無のみであるため、実施例2Bについても同様である。
[実施例3]
次に、実施例3の光学系について説明する。実施例3の光学系の構成を示す断面図を図15及び図16に示す。
図15に示す実施例3Aは、光軸を折り曲げない場合の光学系であり、図16に示す実施例3Bは、図15に示す実施例3Aと同じ構成の光学系を、図3等において示したように第1ミラー38及び第2ミラー39で2回折り曲げた屈曲光学系である。実施例3A及び実施例3Bは、どちらも、入射側から順に、第1光学系L1、第2光学系L2、及び第3光学系L3を備えている。実施例3A及び実施例3Bは、開口絞りStを備えており、また、第1光学系L1によって、第2光学系L2の前で中間像MIを結像する。実施例3A及び実施例3Bのこうした基本的な構成は、図10及び図11に示す実施例1A及び実施例1Bと同様である。
また、図15及び図16に示すように、実施例3A及び実施例3Bは、どちらも、図12に示すようにレンズシフトが行われることにより、光軸よりも投射する画像17の中心17Aが上方に位置する打ち上げ式で投射する。この点についても図10及び図11に示す実施例1A及び実施例1Bと同様である。
また、実施例3の光学系の基本レンズデータを表9に、諸元に関するデータを表10に、非球面係数に関するデータを表11及び表12に示す。
以下の実施例3のレンズデータは、実施例3Aに基づくものであるが、実施例3Aと実施例3Bの相違点は、第1ミラー38及び第2ミラー39の有無のみであるため、実施例3Bについても同様である。
[比較例]
次に、比較例の光学系について説明する。比較例の光学系の構成を示す断面図を図17に示す。
図17に示す比較例は、光軸を折り曲げない場合の光学系である。比較例は、入射側から順に、第1光学系L1、第2光学系L2、及び第3光学系L3を備えている。比較例は、開口絞りStを備えており、また、第1光学系L1によって、第2光学系L2の前で中間像MIを結像する。比較例のこうした基本的な構成は、図10に示す実施例1Aと同様である。しかし、上記各実施例と異なり、比較例は、レンズシフトは行われない。
比較例の光学系の基本レンズデータを表13に、諸元に関するデータを表14に、非球面係数に関するデータを表15及び表16に示す。
下記表17は、各実施例1から実施例3及び比較例における、上記式(1)のPAの値をまとめた表である。
表17に示すとおり、実施例1から実施例3は、式(1)で定義されるPAの値が0.1以上7以下の範囲にある。そのため、比較例と比較して、出射レンズLEを含む光学系L0の大径化が抑制される。また、実施例1から実施例3は、PAの値が1以上であるため、ディストーションが大きくなりすぎることが抑制される。また、実施例1から実施例3は、PAの値が5以下であるため、必要なイメージサークル40の大きさを確保しつつ、投射レンズ10の大型化がより抑制される。
図18は、実施例1、実施例2、実施例3及び比較例のそれぞれの光学系の歪曲収差図を示す。図18において、距離(すなわち物体距離)を0.695m(メートル)とした場合の収差図を示す。図18において、d線における収差を実線で示す。図18Aは実施例1、図18Bは実施例2、図18Cは実施例3、図18Dは比較例にそれぞれ対応する。
図19から図22は、実施例1、実施例2、実施例3及び比較例のそれぞれの光学系において投射した画像17に生じるディストーションの形態を示す。実施例1、実施例2、及び実施例3のディストーションは、すべて糸巻き型である。
図19は、実施例1のディストーションの形態を示す。図19Aは、投射角度が90°の例であり、図19Bは、投射角度が85°の例である。図19A及び図19Bのいずれも投射面を平面とした場合のシミュレーション結果である。図7においても示したとおり、XLは、画像17の天地方向において対向する上辺17Uと下辺17Lのそれぞれの両端を結ぶ直線のうち、長い方の直線の長さであり、XSは、短い方の直線の長さである。XL及びXSの意味は、図20以下の実施例2、実施例3及び比較例についても同様である。
図20は、実施例2のディストーションの形態を示す。図20Aは、投射角度が90°の例であり、図20Bは、投射角度が85°の例である。図20A及び図20Bのいずれも投射面を平面として計算している。
図21は、実施例3のディストーションの形態を示す。図21Aは、投射角度が90°の例であり、図21Bは、投射角度が85°の例である。図21A及び図21Bのいずれも投射面を平面としたシミュレーション結果である。一方、図21Cは、図21Bと同様に、投射角度が85°の例であるが、投射面を曲面としたシミュレーション結果である。具体的には、投射面として、半径Rが10000[m(メートル)]の曲面であって、投射方向に向けて凸型の曲面を設定した例である。
図1に示したように、フロントガラス14は車内側から車外側に向かって凸型をしている場合が多い。ダッシュボード13に投射レンズ10を設置し、車内側からフロントガラス14に画像17を投射する場合は、フロントガラス14の車内側の面である投射面は、投射方向に向けて凸型の曲面となる。図21Cは、こうした投射面を想定した例である。
図22は、比較例のディストーションの形態を示す。図22Aは、投射角度が90°の例であり、図22Bは、投射角度が85°の例である。図22A及び図22Bのいずれも投射面を平面としたシミュレーション結果である。
図19から図22に示す各実施例及び比較例のディストーション比PDをまとめた比較表を表18に示す。
図22に示す比較例は、投射角度が90°の場合において、画像17の上辺17U側の直線の長さであるXLと、下辺17L側の直線の長さであるXSとがほぼ同じである。すなわち、比較例では、投射角度が90°の場合は画像17がほぼ矩形になっており、ディストーションが抑制されている。そのため、投射角度85°にすると、上辺17U側と下辺17L側のXSとXLの差が大きくなり、ディストーションが発生したような状態になる。
対して、図19から図21に示す実施例1から実施例3はいずれも、投射角度が90°の場合において、比較例と比較してXLとXSの差が大きく、ディストーションが発生している。投射角度が85°になると、XLとXSの差が縮小して、ディストーションが低減する。
より詳細にみると、実施例1から実施例3は、画像17の上辺17U側がXL、下辺17L側がXSである。そして、投射角度を85°にすると、実施例3を除いて、実施例1及び実施例2においてはXLとXSが逆転し、上辺17U側がXSとなり、下辺17L側がXLとなる。
また、実施例1から実施例3はいずれも、投射角度が85°のディストーション比PD2は、投射角度が90°のディストーション比PD1よりも小さい。すなわち、各実施例1から実施例3は、上記条件式(2)を満足するディストーションの特性を有している。
また、実施例1から実施例3はいずれも、PD1とPD2の差によって示されるディストーションの解消度は0.05以上であり、上記条件式(2-1)を満足している。そのため、実施例1から実施例3は比較例と比較して、投射角度を85°にすることによる、ディストーションの低減効果が大きい。
そして、実施例1から実施例3はいずれも、投射角度が85°の場合のディストーション比PD2の値は、1.2以下であり、上記条件式(3)を満足している。そのため、実施例1から実施例3は、投射角度が85°とした場合においてディストーションが比較的少ない画像17を投射することができる。なお、PD2の値は、実施例1及び実施例2のように、1.1以下であることがより好ましい。なお、実施例3も、投射面が曲面である場合には、PD2の値を1.1以下とすることができる。
[第2実施形態]
図23及び図24に示す第2実施形態の投射レンズ10は、第3鏡筒部32を第2鏡筒部31に対して回転させることにより、出射光軸(本例では第3光軸A3)をチルトさせるチルト機能を備えている。第2実施形態の投射レンズ10は、チルト機能によって、投射面に対する投射レンズ10のチルト角を変更することが可能である。これにより、投射装置11全体の設置姿勢を変更することなく、投射レンズ10の投射面に対する投射角度を変更することが可能である。
チルト機能は、一例として、第2光軸A2と出射光軸(本例では第3光軸A3)の交点を通り、X方向に延びる回転軸ROを回転中心として、第3鏡筒部32及び反射部の一例である第2ミラー39を回転させることにより実現される。具体的には、第3光学系L3を保持する第3鏡筒部32、及び第2ミラー39を保持するミラー保持部50は、回転軸ROに回転可能に支持されている。
投射レンズ10には、例えば、ミラー保持部50が第3鏡筒部32の回転に連動して回転する回転機構が設けられている。これにより、第3鏡筒部32を回転させると、ミラー保持部50も連動して回転する。ミラー保持部50の回転角度は第3鏡筒部32の回転角度の1/2に設定される。例えば、図24に示すように、第3鏡筒部32の回転角度がβの場合は、ミラー保持部50の回転角度はβ/2になる。これは、入射角と反射角は等しいという反射の法則に基づく。すなわち、図24に示すように、第2光軸A2と第3光軸A3とのなす角度が大きくなる方向(本例では時計方向)に、第2ミラー39が回転すると、第2ミラー39が回転する回転角度の分だけ、第2ミラー39の反射面39Aに対する入射角が大きくなる。反射の法則により、入射角が大きくなると同じ角度だけ反射角も大きくなる。そのため、第2ミラー39の回転角度がβ/2の場合は、第3光軸A3の回転角度は、β/2の2倍のβになる。
投射レンズ10にチルト機能を設けることにより次のようなメリットがある。自動車12に設けられるフロントガラス14は、車種又は型式によって、ダッシュボード13に対する角度が変わる場合がある。チルト機能を設けることにより、車種又は形式によって変化するフロントガラス14の傾斜に応じた投射角度の調整を簡単に行うことができる。
また、図24に示すチルト機能を有する投射レンズ10は、出射レンズLEを側面視した場合における出射レンズLEの出射光軸(本例では第3光軸A3)の水平方向HRに対するチルト角をαとし、かつ、第2ミラー39の反射面39Aの水平方向HRに対する傾斜角をγとした場合に、下記条件式(6)を満足する。
γ-45°=α/2・・・・・・・(6)
条件式(6)を満足する前提条件は、第3光軸A3(出射光軸の一例)が初期状態において第2光軸A3と直交しており、かつ、初期状態の第3光軸A3が水平方向HRに延びていることである。
詳細は後述するが(図29及び図30参照)、チルト角βは、初期状態の第3光軸A3を基準とした第3光軸A3の相対的なチルト角であり、チルト角αは、水平方向HRを基準とした第3光軸A3の水平方向HRに対する絶対的なチルト角である。図24の例では、初期状態の第3光軸A3は水平方向HRに延びており、チルト角βとチルト角αのそれぞれの基準が同じであるため、チルト角βとチルト角αは一致する(すなわち、β=α)。また、図24の例では、第3光軸A3が初期状態にある場合(すなわち、A3=HRの場合)において、第3光軸A3の絶対的なチルト角αと相対的なチルト角βとはいずれも0°である。
また、上述のとおり、図24において、第2ミラー39は、第2光軸A2を90°折り曲げて第3光軸A3にする。そのため、第2ミラー39の反射面39Aの傾斜角γは、第3光軸A3が水平方向HRに延びる初期状態においては、45°である。また、上述のとおり、第2ミラー39の回転角度は、出射レンズLEを含む第3鏡筒部32の回転角度の1/2である。そのため、初期状態の第3光軸A3が時計方向に回転した場合において、反射面39Aの初期状態を基準とした場合の第2ミラー39の回転角度は、第3光軸A3の絶対的なチルト角αの1/2(すなわち、α/2)になる。ここで、第2ミラー39の反射面39Aの初期状態の傾斜角γは45°であるため、反射面39Aの初期状態を基準とした回転角度は、回転後の傾斜角γから、回転前の初期状態の傾斜角γである45°を控除した値となる。したがって、図24の例の投射レンズ10において、第3光軸A3の絶対的なチルト角αと、反射面39Aの傾斜角γとの関係は、上記条件式(6)を満足する。なお、条件式(6)において、γ-45°の値とα/2の値との差異が1°以内であれば条件式(6)を満たすものとする。
[第3実施形態]
投射角度を調整すると、画像17の投射位置の調整も必要になる場合がある。図25から図28に示す第3実施形態は、投射角度の調整に伴う画像17の投射位置の調整を、レンズシフト機能を用いて行う場合において、投射レンズ10の大型化を抑制しつつ、投射角度に応じたシフト量の範囲を、最適化した形態である。
まず、投射角度の調整が必要になるのは、例えば、車種等に応じて、フロントガラス14の傾斜角が異なる場合である。図25のフロントガラス14と比較すると、図26のフロントガラス14は時計方向に回転する向きに傾斜している。このようにフロントガラス14の傾斜が異なる場合、投射レンズ10は、図25及び図26のフロントガラス14のそれぞれの傾斜に合わせて、投射角度AGが90°未満の適切な角度に調整される。本例の投射レンズ10は、上述したとおり、投射角度AGが85°のときにディストーションの抑制効果が高くされるように設計されているため、適切な角度は例えば85°である。
図25の例では、投射レンズ10は、第3鏡筒部32を時計方向に回転させることにより、投射角度AGが85°になるチルト角β0に設定される。これにより、投射角度AGが85°に調整される。図26のフロントガラス14の傾斜に合わせて投射角度AGを85°に調整する場合は、チルト角β0だと、投射角度AGが85°よりも小さくなってしまう。そのため、第3鏡筒部32を図25の状態よりもさらに時計方向に回転させることにより、チルト角β0よりも大きなチルト角β1に設定する。これにより、投射角度AGが85°に調整される。
しかし、図26に示すように、チルト角β0よりも大きなチルト角β1に設定しただけでは、画像17の投射位置が上方になり過ぎてしまう場合がある。このような場合に、画像17の投射位置を調整するためにレンズシフト機能が使用される。
図27は、図26の状態(すなわち、チルト角β1の状態)から、レンズシフト機構25によるレンズシフト機能を用いて、画像17の投射位置を、矢印で示すように下方にシフトさせている。これにより、画像17の投射位置を適切な位置に調整することができる。
投射レンズ10を搭載する車種が多いほど、投射角度の調整に伴ってレンズシフト機能を使用する場面は多くなる。そして、レンズシフト機能の調整幅である最大シフト量が大きいほど、投射レンズ10を様々な車種に適応させることができるため、使い勝手はよい。しかし、レンズシフト機能における最大シフト量の増大は、図6に示すイメージサークル40の大径化を伴う。上述したとおり、イメージサークル40を大径化することは投射レンズ10の大径化及び大型化を招く。
そこで、第3実施形態の投射レンズ10は 以下の条件を満足させることで、大型化を抑制しつつ、実用に耐えうるシフト量を確保している。
まず、上記各実施形態の投射レンズ10と同様に、第3実施形態の投射レンズ10も、入射光軸である第1光軸A1は、電気光学素子21の画面の中心21Aに対して天地方向(本例ではZ方向)にシフトしている。これは、上述したとおり、打ち上げ方式の画像17の投射を可能にすることに加えて、投射角度を90°未満にした場合に、投射角度が90°の場合と比較して、ディストーションが低減する効果を発揮させるためである。
ここで、図28に示すように、電気光学素子21の画面の天地方向(本例ではZ方向)の長さをV1、画面の中心位置21Aに対する入射光軸である第1光軸A1の最大シフト量をV2とする。そして、出射レンズLEと投射面であるフロントガラス14までの投射距離をLP(図4参照)とし、LPを無次元化した値をLPnとする。さらに、出射レンズLEを側面視した場合における出射光軸(本例では第3光軸A3)の水平方向に対するチルト角をαとする。チルト角αは、図29に示すように、水平方向HRに対する出射光軸(本例では第3光軸A3)の角度である。第3光軸A3が水平方向HRに延びている場合は、チルト角αと、投射レンズ10のチルト機能によるチルト角βとが一致する。つまり、チルト角βは、第3光軸A3の回転機能を持つ投射レンズ10において第2光軸A2と第3光軸A3とが直交する初期状態を基準とした第3光軸A3の相対的なチルト角である。言い換えれば、チルト角βは、回転後の第3光軸A3が初期状態の第3光軸A3に対して回転した角度である。これに対して、チルト角αは、水平方向HRを基準とした第3光軸A3の水平方向HRに対する絶対的なチルト角である。
そのため、図30に示す投射レンズ30のように、初期状態の第3光軸A3が延びる方向が水平方向HRと異なる場合は、絶対的なチルト角αと相対的なチルト角βは、一致しない。図30において、投射レンズ10は、第2光軸A2が垂直方向に対して後傾した姿勢、より具体的には第2光軸A2と第3光軸A3の交点を基点として、投射レンズ10全体が時計方向に回転した姿勢で設置されている。このため、第2光軸A2に対して直交している状態の第3光軸A3を、初期状態の第3光軸A3(i)とすると、初期状態の第3光軸A3(i)は、投射レンズ10全体が後傾している分、水平方向HRに対して時計方向にチルトしている。相対的なチルト角βは、初期状態の第3光軸A3(i)に対する回転角度であるため、図30に示すように、第3光軸A3が初期状態を基準として時計方向にチルトしている場合は、第3光軸A3の絶対的なチルト角αは、相対的なチルト角βよりも大きな値となる。
絶対的なチルト角αを上記のように定義した場合において、第3実施形態の投射レンズ10は、以下の式(4)で定義されるPSの値が、以下の条件式(5)を満足している。
PS=100×V2/V1・・・・・(4)
35-3.5×LPn×α<PS<70-LPn×α・・・・・・(5)
ここで、V1、V2及びLの単位は[m(メートル)]である。αは角度であり、無次元量であるが、単位は度[°]である。
式(4)において、PSは、電気光学素子21の天地方向の長さV1に対する最大シフト量V2の割合を示す。例えば、V1が0.02[m(メートル)]で、V2が0.01[m(メートル)]の場合は、PSの値は50となる。PSの値が50の場合は、電気光学素子21の天地方向の長さV1の半分だけシフトすることが可能という意味である。PSの値が70の場合は、シフト量がV1の70%であり、第1光軸A1を画面から外れる位置までシフトさせることが可能である(図12参照)。このように最大シフト量V2を大きくすると、イメージサークル40を大径化しなければならず、最大シフト量V2の増大は、投射レンズ10の大径化及び大型化につながる。
条件式(5)において、PSの下限に関係する「35」という数値と、PSの上限に関係する「70」という数値は、チルト角αが0°の場合を想定して設定された値であり、打ち上げ方式の投射をするために必要なシフト量を、式(4)で定義したPSに換算した値である。すなわち、「35」と「70」という数値は、チルト角αが0°の場合に想定される必要なシフト量に応じて設定された値である。
特に、本例のように、投射レンズ10を車載用途で使用することを考えた場合、PSが小さすぎると、すなわち最大シフト量V2が小さすぎると、打ち上げ方式における画像17の上方へのシフト量をある程度確保する必要がある。例えば、ダッシュボード13に投射レンズ10を設ける場合、出射レンズLEの出射光軸(本例では第3光軸A3)に対して、画像17の投射位置を上方に打ち上げる場合を考える。投射位置の打ち上げ量が少ない場合において画像17の投射位置を上方にシフトさせるためには投射レンズ10の設置高さを上げる必要がある。そうすると、投射レンズ10がダッシュボード13からフロントガラス14に向けて大きく突出することになるため、投射レンズ10の鏡筒が画像17を見る際に邪魔になる、などの問題が生じる。そのため、PSの下限値としては、チルト角αが「0°」の場合に「35」という下限値が設定される。また、上述したとおり、最大シフト量V2が大きいと使い勝手はよいが、最大シフト量V2の増大は投射レンズ10の大型化を招くため、PSの上限値としては、チルト角αが「0°」の場合に「70」という上限値が設定される。
条件式(5)は、チルト角αを大きくした場合に、シフト量をどの程度減らすのが適切かを考慮して規定されている。図26及び図27において説明したように、投射レンズ10は、チルト角αに関係するチルト角βを大きくした場合に、レンズシフト機能を使用して画像17の投射位置が調整される。このようにチルト角αを大きくすることに伴う投射位置の調整においてシフト量をどの程度減らすのかが適切かという観点から、条件式(5)における、下限を規定する「-3.5×Ln×α」の項、及び上限を規定する「-Ln×α」の項が設定される。
条件式(5)を満足することにより、投射レンズ10は、チルト角αを大きくするほど、シフト量は減る。これにより、投射レンズ10は、チルト角αが「0°」の場合のシフト量が最大となり、チルト角αを大きくしてもシフト量は増加しない。そのため、投射レンズ10の大径化及び大型化が抑制される。
さらに、PSの値は、以下の条件式(5-1)を満足することがより好ましい。
40-2.5×Ln×α<PS<60-1.5×Ln×α・・・・・・(5-1)
条件式(5)に加えて、条件式(5-1)を満足することにより、さらに次の効果が得られる。まず、条件式(5)よりも下限値が上がるため、より実用的な最大シフト量V2が確保される。また、上限値が下がるため、投射レンズ10の小型化に寄与する。
第3実施形態において、出射光軸のチルト機能を前提として説明したが、チルト機能と組み合わせることは必須ではない。例えば、第3実施形態は、光軸が折り曲げられていない光学系を持つ投射レンズに適用することも可能である。光軸のチルト角αの調整は、フロントガラス14に対する投射レンズ10の設置姿勢を傾けることにより行われる。その上でレンズシフト機能により画像17の投射位置が調整される。
また、上記第1実施形態においても、光軸が折り曲げられた屈曲光学系を例として説明したが、光軸が折り曲げられていない光学系を持つ投射レンズに第1実施形態に係る技術を適用してもよい。
また、上記実施形態では、第1光軸A1、第2光軸A2及び第3光軸A3の3つの光軸のうち、第3光軸A3を回転させる例で説明したが、例えば図31に示す態様でもよい。図31Aに示す投射レンズは、第3光軸A3だけでなく、第2光軸A2も回転可能な態様である。また、光軸は3つ以外でもよく、図31Bに示す投射レンズのように、第1光軸A1と第2光軸A2の2軸構成であってもよい。この場合は、第1光軸A1に対して、出射光軸である第2光軸A2を回転させる。
上記実施形態では、輸送機器として自動車12を例示したが、これに限らない。輸送機器は、建築車両、鉄道、船舶、及び飛行機等でもよい。また、上記実施形態では、輸送機器用の投射レンズ10を例示したが、これに限らない。一例として屋外使用を想定した投射レンズであってもよい。
上記実施形態では、投射装置11によって画像17がフロントガラス14に投射される形態例を示したが、本開示の技術はこれに限定されない。一例として、画像17は、フロントガラス14ではなく、リアガラス、ドアガラス等に投射されてもよい。また、画像17は、フロントガラス14に投射されなくてもよく、自動車12の車室内に設けられた映写幕に投射されてもよい。この場合、投射幕が投射面となる。
電気光学素子21としては、DMDの代わりに液晶表示素子(LCD;Liquid Crystal Display)を使用した透過型電気光学素子を用いてもよい。また、DMDの代わりに、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro Luminescence)のような自発光型素子を用いたパネルを用いても良い。さらに、上記実施形態の鏡面反射型の第1ミラー38、第2ミラー39の代わりに、全反射型のミラーを用いてもよい。
上記実施形態では、光源22としてレーザ光源を用いる例を説明したが、これに限らず、水銀ランプ、LED等を光源22として用いてもよい。また、上記実施形態では、青色レーザ光源と黄色蛍光体を用いたが、これに限らず、黄色蛍光体の代わりに緑色蛍光体と赤色蛍光体を用いてもよい。また、黄色蛍光体の代わりに緑色レーザ光源と赤色レーザ光源を用いてもよい。
本開示の技術は、上述の種々の実施形態と種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。一例として、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。