JP7220687B2 - イヌリン含有液体食品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イヌリン含有液体食品及びその製造方法に関し、特に例えば、殺菌済みの小型容器に殺菌済みのイヌリン含有液体組成物を充填して長期間保存することが可能なイヌリン含有液体食品及びその製造方法に関する。
イヌリンは主に果糖から構成される多糖類であり、チコリや菊芋などのキク科植物の根に貯蔵物質として貯蔵されている。例えば、菊芋にはイヌリンが約20%含まれている。イヌリンは人間の消化器官において加水分解され、フラクトオリゴ糖に分解されるが、フラクトオリゴ糖は人間の腸内では吸収されない。したがって、ダイエット効果を有するものとして、近年では注目されている。
イヌリンは、従来から粉末の状態で流通している。しかし、常温以下の温度では溶解しにくいという問題がある。そのため、溶解時の溶け残りによって触感が悪くなったり、飲食時に溶解する手間が発生したりする等の問題があった。そこで、イヌリンを溶解させ、液体状のイヌリン溶解液を流通させることが試みられている。
例えば、特許文献1には、高甘味度甘味料にチャ抽出物を配合することによって砂糖と同様の風味を有する砂糖代替甘味料およびそれに食物繊維を配合した砂糖代替甘味料が記載されている。特許文献2には、イヌリンに水分及び/又は1種以上の糖類を含有させて、シロップ状の液体としたイヌリン複合体が記載されている。
特開2013-169204号公報 特開2008-88168号公報
しかしながら、イヌリンを液体状のシロップとして流通させる場合は、微生物の増殖を抑制するためにイヌリン溶解液をpH4以下にしなければならない。しかしながら、イヌリンはpH4以下になるとイヌリン自身が加水分解してしまうという問題があった。そこで、液体状で長期間保存可能であり、機能性表示食品として機能性成分であるイヌリンの安定性が保たれたイヌリン含有液体組成物を含むイヌリン含有液体食品が求められている。
それ故に、本発明の主たる目的は、長期間保存できるイヌリン含有液体食品を提供することである。
発明者らは、8.0重量%以上11.88重量%以下のイヌリンと、0.1重量%以上0.3重量%以下のキサンタンガムとを混合させ、無菌充填することにより液体状であり、長期間保存したとしてもイヌリンの沈殿が発生しないイヌリン含有液体食品を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかるイヌリン含有液体食品は、
殺菌済みのカップ状の小型容器に、殺菌済みのイヌリン含有液体組成物が充填されたイヌリン含有液体食品であって、
前記イヌリン含有液体組成物は、
8.0重量%以上11.88重量%以下のイヌリンと、
0.1重量%以上0.3重量%以下のキサンタンガムと、
を含み、前記イヌリン含有液体組成物のpHが4.0以上8.6以下である。
本発明にかかるイヌリン含有液体食品によれば、イヌリンとキサンタンガムとを混合させることにより、イヌリンが析出したとしてもイヌリン含有液体組成物中に分散させることができる。また、無菌状態で小型容器に充填することにより、イヌリン含有液体組成物のpHを4.0以上8.6以下に調整したとしても微生物の増殖を抑制させることができる。さらに、無菌状態で小型容器に充填することにより、微生物の増殖抑制を目的としてイヌリン含有液体組成物のpHを4.0以下にする必要がないため、イヌリン自身による分解も抑制することができる。したがって、液体状でイヌリンを高濃度で含有するイヌリン含有液体食品を提供することができる。
本発明にかかるイヌリン含有液体食品の製造方法は、
65~75℃の温水に、0.1重量%以上0.3重量%以下のキサンタンガムを溶解するキサンタンガム溶解工程と、
前記キサンタンガム溶解工程により得られたキサンタンガム溶解液に、8.0重量%以上11.88重量%以下のイヌリンを溶解するイヌリン溶解工程と、
前記イヌリン溶解工程により得られたイヌリン溶解液を濾過する濾過工程と、
前記濾過工程により得られたイヌリン溶解液を加熱殺菌する殺菌工程と、
前記殺菌工程を経たイヌリン溶解液を、無菌状態において小型容器に充填するイヌリン溶解液充填工程と
を含み、
前記殺菌工程を経たイヌリン溶解液のpHが4.0以上8.6以下である。
本発明にかかるイヌリン含有液体食品の製造方法によれば、キサンタンガム溶解液にイヌリンを溶解させているため、イヌリンの溶け残りが発生することなくイヌリン溶解液を製造することができる。また、無菌状態で小型容器に充填することにより、イヌリン溶解液のpHを4.0以上8.6以下に調整しても、微生物の増殖を抑制することができる。さらに、無菌状態で小型容器に充填することにより、微生物の増殖抑制を目的としてイヌリン溶解液のpHを4.0以下にする必要がないため、イヌリン自身による分解も抑制することができる。したがって、液体状でイヌリンを高濃度で含有するイヌリン含有液体食品を製造することができる。
本発明によれば、長期間保存できるイヌリン含有液体食品を提供することができる。
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
本発明にかかるイヌリン含有液体組成物の製造方法を示す図解図である。 本発明の一実施の形態である小型容器の図解図であり、(A)はその正面図であり、(B)はその平面図であり、(C)は(B)の線IC-ICにおける断面図である。 本発明の一実施の形態に係る容器製造充填装置の全体の構成を示す正面図解図である。 容器成形材供給機構の正面図解図である。 第1無菌化機構の正面図解図である。 容器成形機構及び充填機構の正面図解図である。 蓋材供給機構の正面図解図である。 容器成形材に蓋材を接着した状態を示す斜視図解図である。 搬送手段及び巻き取り手段を示す正面図解図である。
(イヌリン含有液体食品)
本発明にかかるイヌリン含有液体食品は、殺菌済みのカップ状の小型容器10に、殺菌済みのイヌリン含有液体組成物392が充填されている。当該イヌリン含有液体組成物392は、8.0重量%以上11.88重量%以下のイヌリンと、0.1重量%以上0.3重量%以下のキサンタンガムと、を含む。当該イヌリン含有液体組成物392のpHは4.0以上8.6以下に調整されている。当該イヌリン含有液体組成物392は透明ないし黄色味を帯びた液体状の組成物である。
(イヌリン含有液体組成物)
イヌリンは水溶性食物繊維の一種である。イヌリンは、整腸作用を有することが知られており、ビフィズス菌などの腸内有用細菌(プロビオティックス)の発育を促進するプレバイオティックスとしての効能がある。ここでいう食物繊維とは、人の消化酵素では消化することのできない食物成分である。
イヌリンは、フルクトースがβ-1,2-結合で20~40個重合し、フルクトース鎖還元末端に1個のグルコースがα-1,1-結合でつながる構造をしている。
イヌリンは、温水に溶けやすいが、常温以下の温度の水には溶けにくいという性質を有する。
また、イヌリンは、酸性域(特にpH4未満)において、イヌリン自身が分解して消失してしまう傾向がある。通常液状で長期間保存させようとすると、液体を酸性(pH4未満)にして微生物の増殖を抑える必要がある。ところが、イヌリンは酸性域ではイヌリンの分解が促進され長期間保存するのが困難である。
本発明によれば、無菌充填技術を用いて、小型容器にイヌリン含有液体組成物を充填することにより、中性域で、微生物の増殖がなく長期保存が可能である。
イヌリンの原料として、サトウキビ、甜菜、菊芋、ごぼう、チコリ、アガベ、玉葱、にんにく、ニラ、アスパラガス、小麦、大麦、バナナなどの食品原料およびその精製分解物がある。その中でも、菊芋由来のイヌリンを使用することが好ましい。菊芋は、イヌリンを約20%含む。菊芋からイヌリンを製造することで、効率よくイヌリンを製造することができる。
イヌリンの原料として菊芋を使用する場合は、菊芋を粉砕、熱水抽出したのち、ろ過(セラミックフィルム5~10μm 孔径3-5nm)、精製・濃縮、スプレー乾燥することによって、粉末状のイヌリンが製造される。
イヌリンは、最終製品であるイヌリン含有液体食品の8.0重量%以上11.88重量%以下の割合で配合される。イヌリンの配合量が8.0重量%を下回ると、イヌリンに期待される整腸効果や血糖値上昇抑制効果等を生じさせるために要求される量に対して不足する可能性がある。また、イヌリンの配合量が11.88重量%を上回ると、イヌリン含有液体食品においてイヌリンの析出や沈殿などの品質的な劣化が発生するためである。
キサンタンガムは増粘安定剤として使用される。増粘安定剤としてキサンタンガムを用いることにより、シロップ様の粘性を付与しつつ、イヌリンが析出したとしても析出したイヌリンを分散させることができる。キサンタンガムは、例えば、トウモロコシなどの澱粉を細菌により発酵させて製造される。
キサンタンガムは、最終製品であるイヌリン含有液体食品の0.1重量%以上0.3重量%以下の割合で配合される。キサンタンガムの配合量が0.1重量%を下回ると、イヌリン含有液体組成物392にとろみがつかないからである。さらに、イヌリンが析出した場合、析出したイヌリンを分散させることができず、イヌリンが沈殿してしまうからである。また、キサンタンガムの配合量が0.3重量%を上回ると、増粘安定剤が過剰となり過度な粘性が付与され、容器から取り出しにくくなるという不具合が発生するからである。
イヌリン含有液体組成物392には、例えばpH調整剤、酸化防止剤、製造用剤、香料、乳酸菌、乳酸菌生産物質、ビフィズス菌、高甘味度甘味料等が含まれていてもよい。
pH調整剤は、イヌリン含有液体組成物の物性の安定化を図るために用いられる。
pH調整剤は、例えば、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、フィチン酸、リン酸、リンゴ酸およびそのナトリウム塩などが用いられる。pH調整剤は、前記pH調整剤のうち1つまたは複数を組み合わせて使用してもよい。
酸化防止剤は、液体の酸化による変質を抑制するために用いられる。特に、後述する小型容器10は過酸化水素(H22)によって殺菌されるが、イヌリン含有液体組成物を小型容器10に充填する際に小型容器10に過酸化水素(H22)が残存していたとしても、イヌリン含有液体組成物に含まれる酸化防止剤による還元作用により、過酸化水素(H22)を分解し、過酸化水素(H22)が残存しないようにすることができる。
酸化防止剤は、例えば、ビタミンCが使用される。
製造用剤は、イヌリンの経時的な析出・沈殿を抑制するために用いられる。
製造用剤はキレート作用を有しており、例えば、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどが用いられる。製造用剤は、前記製造用剤のうち1つまたは複数を組み合わせて使用してもよい。
例えば、キレート作用を有する製造用剤としてメタリン酸ナトリウムを使用する場合は、最終製品であるイヌリン含有液体食品の0.1重量%以上0.5重量%以下の割合で配合されることが好ましい。このような配合量とすることで、イヌリンの経時的な析出・沈殿を効率的に抑制することができる。
香料は、砂糖のような香りを付与するために用いられる。
香料は、例えばシュガーフレーバーが用いられる。
乳酸菌は、イヌリンの整腸効果を相乗的に高めるために用いられる。
乳酸菌は、例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)の乳酸菌が用いられる。
乳酸菌は死菌を使用する。乳酸菌は、最終製品であるイヌリン含有液体食品の1個あたり100憶個~2000憶個を含むことが好ましい。
乳酸菌生産物質は、イヌリンの整腸効果を相乗的に高めるために用いられる。
乳酸菌生産物質は、乳酸菌の代謝成分や菌体成分であり、例えば、乳酸や短鎖脂肪酸をはじめ、アミノ酸やビタミンなどの乳酸菌の代謝成分や菌体成分などが含まれる。
ビフィズス菌は、イヌリンの整腸効果を相乗的に高めるために用いられる。また、ビフィズス菌は腸内で有害な菌の増殖を抑え、腸内環境を正常化する働きがある。
ビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム属の菌であり、例えばビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)が用いられる。
高甘味度甘味料は、イヌリンの血糖値上昇抑制効果に影響を与えることがなく、甘味を付与するために用いられる。
高甘味度甘味料は、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アドバンテーム、カンゾウ抽出物、キシリトール、スクラロース、ステビア抽出物、ネオテーム、ラカンカ抽出物などが用いられる。高甘味度甘味料は、前記高甘味度甘味料のうち1つまたは複数を組み合わせて使用してもよい。高甘味度甘味料はほとんどグルコースを含まないため、高甘味度甘味料を用いることにより、イヌリンの血糖値上昇抑制効果に影響を与えることがなく、甘味を付与することができる。
例えば、ステビア抽出物は、キク科ステビア属の植物の葉から抽出した天然の高甘味度甘味料である。ステビア抽出物は砂糖の約300倍の甘味を有するが、グルコースを含まないため、イヌリンの血糖値上昇抑制効果に影響を与えることなく、甘味を付与することができる。
高甘味度甘味料としてステビア抽出物を使用する場合は、ステビア抽出物の配合量を最終製品であるイヌリン含有液体食品の0.002重量%以上1.6重量%以下の割合で配合されることが好ましい。ステビア抽出物の配合量が0.002重量%を下回ると、シロップとしての甘味を感じないためである。また、ステビア抽出物の配合量が1.6重量%を上回ると、甘味料特有の苦味が強く、飲用に適さないためである。
pHの測定は公知の方法を用いることができ、例えば、国税庁所定分析法注解に記載の方法を用いることができる。JIS Z 8802 pH測定方法に従って、pHメーター(JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極)を用いて20℃にて測定する。
(小型容器)
小型容器10について、図2を用いて説明する。図2は本発明の一実施の形態である小型容器の図解図であり、図2(A)はその正面図であり、図2(B)はその平面図であり、図2(C)は図2(B)の線IC-ICにおける断面図である。
小型容器10は、逆截頭円錐状の胴部16を有する容器部12と、前記容器部12の開口部26を密封するための蓋部30とを備える。前記容器部12の底部14は、胴部16の端縁の近傍で形成される平面視円環形の座部16aと、前記座部16aの内側で座部16aの端縁から内側に離れた位置において連設され、前記座部16aの端縁からはみ出すことがない範囲内において、座部16aがのびる側の方向に向けて、中央が最下部となる球冠状に湾曲した球冠部14aとを有し、前記胴部16と一体成形されている。
また、胴部16の上端から外側に延びて、つば部18が形成される。つば部18は、後述の蓋部30を取り付けるためのものである。
さらに、つば部18の一端から外側に延びて、つまみ部20が形成される。また、つば部18とつまみ部20との間の下面には、ノッチ24が形成される。ノッチ24は、つまみ部20をつば部18から切り離しやすくするためのものである。
さらに、つば部18およびつまみ部20の表面には、平面的にみて開口部26を覆うようにつば部18およびつまみ部20の外形と同じ形状の蓋部30が取り付けられる。
小型容器10を開封するためには、ノッチ24部分を折ることによってつまみ部20をつば部18から切り離し、つまみ部20とともに蓋部30をつば部18から剥がせばよい。
小型容器10の容器部12はバリア性を有する合成樹脂によって成形される。容器部12は、例えばポリスチレンなどの熱溶着可能な材料を、例えば圧空成形(プラグアシスト付)、真空成形などの成形方法で成形することによって形成される。蓋部30は、例えばアルミニウムなどの熱を伝えやすい材料で形成され、その下層は、例えばポリエチレンテレフタレートないしポリエステルなどの熱溶着可能な材料で形成される。
小型容器10には、イヌリン含有液体組成物392が充填されている。イヌリン含有液体組成物392は、前記胴部16の開口部26との間に空間部40を残して充填されている。空間部40を残してイヌリン含有液体組成物392を充填することにより、開封時にイヌリン含有液体組成物392が飛び出してしまうことを抑制することができる。
本実施の形態では、小型容器10は、例えば10mlのイヌリン含有液体組成物を収容可能である。
本発明にかかるイヌリン含有液体食品のイヌリン含有液体組成物は、イヌリンを高濃度で含有しているが、増粘安定剤としてキサンタンガムを含むことでイヌリンの析出および沈殿を抑制することができる。また、本発明にかかるイヌリン含有液体食品のイヌリン含有液体組成物は、pHが4.0以上8.6以下であるため、イヌリンが加水分解せずに保存することができる。さらに、本発明にかかるイヌリン含有液体食品はイヌリン含有液体組成物を無菌状態で充填されているため、微生物の増殖を抑制するためにpHを低くする必要がない。そのため、イヌリンが加水分解されずに長期間保存することができる。
菊芋由来のイヌリンを750mg含む食品を摂取すると、食後の血糖値上昇が抑制されることが報告されている。本発明にかかるイヌリン含有液体食品は、イヌリンを750mg相当以上含む。したがって、本発明にかかるイヌリン含有液体食品を1日につき1個分を飲食することで、イヌリン含有液体食品を飲食する前と比較して、食後の血糖値上昇が抑制される効果が期待される。
(イヌリン含有液体食品の製造方法)
本発明に係るイヌリン含有液体食品の製造方法は、以下の5つの工程を含む。
(1)65~75℃の温水に、0.1重量%以上0.3重量%以下のキサンタンガムを溶解するキサンタンガム溶解工程
(2)前記キサンタンガム溶解工程により得られたキサンタンガム溶解液に、8.0重量%以上11.88重量%以下のイヌリンを溶解するイヌリン溶解工程
(3)前記イヌリン溶解工程により得られたイヌリン溶解液を濾過する濾過工程
(4)前記濾過工程により得られたイヌリン溶解液を加熱殺菌する殺菌工程
(5)前記殺菌工程を経たイヌリン溶解液を、無菌状態において小型容器に充填するイヌリン溶解液充填工程
(1)キサンタンガム溶解工程
65~75℃の温水に、増粘安定剤としてキサンタンガムを投入し、溶解させる。キサンタンガムは、最終製品であるイヌリン含有液体食品の0.1重量%以上0.3重量%の割合で配合されるように調整する。
なお、温水に溶解させるのは、効率的にキサンタンガムを溶解させるためである。
このとき、乳酸菌、乳酸菌生産物質、ビフィズス菌等をさらに添加してもよい。
(2)イヌリン溶解工程
次に、キサンタンガム溶解液にイヌリン粉末を投入して、かき混ぜて溶解させることにより、イヌリン溶解液を作る。イヌリンは、最終製品であるイヌリン含有液体食品の8.0重量%以上11.88重量%以下の割合で配合されるように調整する。
このとき、イヌリン溶解液にpH調整剤、酸化防止剤、製造用剤、香料、高甘味度甘味料等をさらに添加してもよい。
そして、適度な液状を保つために、イヌリン溶解液に温水が追加される。温水の量は、最終製品であるイヌリン含有液体食品の85~92重量%の割合で配合されるように調整する。
以上のイヌリン溶解工程は、適宜な大きさの溶解タンク401にキサンタンガム溶解液およびイヌリン粉末等を投入し、攪拌羽根によって温水に溶解させることにより行われる。
(3)濾過工程
前記イヌリン溶解工程によって得られたイヌリン溶解液を、前記溶解タンク401より、ホモゲナイザー403に送水パイプを通して送り込み、ホモジナイズ処理を行う。その後、イヌリン溶解液を、ラインフィルター405に送水パイプを通して送り込み、濾過を行う。
(4)殺菌工程
前記濾過工程によって得られたイヌリン溶解液を、予め貯めておくクッションタンク407にパイプを通して送り込む。
一旦、クッションタンク407にイヌリン溶解液を貯留することにより、プレート式間接殺菌機409に連続的に送り込むことができ、効率よく確実に殺菌をすることができる。
クッションタンク407に貯留されたイヌリン溶解液を、プレート式間接殺菌機409に、パイプを通して送り込み、殺菌をする。
プレート式間接殺菌機409によってUHT殺菌をすれば、イヌリンの機能を損なうことなく、殺菌を行える。
前記殺菌工程によって得られたイヌリン溶解液を、アセプティックタンク411に、パイプを通して送り込み、無菌状態で貯留する。なお、アセプティックタンク411は、予め蒸気滅菌により無菌化されている。
このアセプティックタンク411に貯蔵されたイヌリン溶解液が、小型容器10に充填されるイヌリン含有液体組成物392となる。
(5)イヌリン溶解液充填工程
アセプティックタンク411に貯留されたイヌリン溶解液(イヌリン含有液体組成物392)は後述する容器製造充填装置110を用いて小型容器10に充填される。
かかる工程を経て、液状を維持し、長時間保存可能なイヌリン含有液体食品が得られる。
イヌリン溶解液(イヌリン含有液体組成物392)を小型容器10に充填する工程について、図3ないし図9に示す容器製造充填装置に基づいて説明する。
図3は、本発明の一実施の形態に係るイヌリン溶解液を小型容器に充填する容器製造充填装置の全体の構成を示す正面図解図である。図4は、容器成形材供給機構の正面図解図である。図5は、第1無菌化機構の正面図解図である。図6は、容器成形機構及び充填機構の正面図解図である。図7は、蓋材供給機構の正面図解図である。図8は、容器成形材に蓋材を接着した状態を示す斜視図解図である。図9は、搬送手段及び巻き取り手段を示す正面図解図である。
容器製造充填装置110は、容器部12を成形するための容器成形材12Aを供給する容器成形材供給機構112と、前記容器成形材供給機構112にて供給された容器成形材12Aにより容器を成形する容器成形機構114と、容器成形材12Aを搬送する容器成形材搬送機構116と、容器成形材12Aを無菌化する第1無菌化機構118と、粘性を有するイヌリン溶解液(イヌリン含有液体組成物392)を容器部12に充填する充填機構120と、蓋材30Aを搬送する蓋材供給機構122と、蓋材30Aを無菌化する第2無菌化機構124と、容器部12に蓋材30Aを溶着するシール機構126と、容器成形材12A及び蓋材30Aを切断して適宜な形状に整形するカット機構128とを備える。
そして、容器成形機構114により成形された複数列の容器部12を所定間隔で供給して、これら容器部12を間欠的に搬送される容器搬送経路の、所定の容器停止部に設けた充填機構120によりイヌリン溶解液(イヌリン含有液体組成物392)を充填し、蓋材30Aを搬送する蓋材供給機構122により容器部12に蓋材30Aを供給し、シール機構126により、蓋材30Aを容器部12のつば部18に熱溶着し、その後、カット機構128等により容器成形材12A及び蓋材30Aをカットして、次の工程に送るようになっている。
容器成形材供給機構112は、上流に設けられた容器成形材12Aの原反を保持し供給する容器成形材保持供給手段130と、下流に設けられた巻き取り手段132と、中流に設けられた搬送手段134とを備える。容器成形材供給機構112の搬送手段134は、等間隔で複数個(この実施の形態では6個×3列)のカップ状の容器部12を搬送する。搬送手段134は、間欠的に走行するようになっており、例えば、1秒間停止し、0.8秒間移動するというサイクルで容器部12を搬送する。
容器成形材保持供給手段130は、ロール状に巻回された容器成形材12Aすなわちポリスチレンを保持する保持機136と、保持機136に保持された容器成形材12Aを引き出し、下流に送られる容器成形材12Aの下方に設けられた容器成形材交換台138と、容器成形材交換用スペース140とを備える。
容器成形材保持供給手段130の下流において、容器成形材12Aを無菌化するための第1無菌化機構118は、過酸化水素(H22)に容器成形材12Aを浸漬して無菌化するための容器成形材過酸化水素槽142を備える。
更に、第1無菌化機構118は、容器成形材過酸化水素槽142に浸漬されて殺菌された容器成形材12Aに、無菌化された温風エアーでエアーナイフにより吹き付けることにより過酸化水素を取り除く無菌温風エアー装置146aを備える。
第1無菌化機構118には、送り出される容器成形材12Aのテンションを調節するダンサローラ154aが設けられており、容器成形材12Aは、このダンサローラ154aを介して上方に送られ、容器成形機構114に供給される。
一方、容器部12となる容器成形材12Aは、第1無菌化機構118に設けられたダンサローラ154aに送られる。ダンサローラ154aは、上下動を繰り返して容器成形材12Aのテンションを調節しており、このダンサローラ154aは上昇し上限センサがこれを検出して送りローラ148の駆動を開始する。このダンサローラ154aが最も低位置まで下降すると、下限センサがこれを検出して送りローラ148の駆動を停止させる。
容器成形機構114は、容器成形材12Aを加熱し軟化させるための加熱装置170と、無菌環境下で、前記加熱装置170により軟化させられた容器成形材12Aを成形プラグにより延伸させ、容器成形材12Aに無菌エアーを吹き込み、成形型で連続して圧空成形することにより、容器部12を成形するための成形装置172とを備える。
充填機構120は、無菌環境下で連続成型された容器部12に、イヌリン含有液体組成物392を無菌充填するための定量型充填ポンプ180及びそれに連結された充填装置182を備える。加えて、充填装置182までの配管及び充填装置182の無菌チャンバー間を蒸気及び過酸化水素により滅菌し、無菌状態にする。
充填機構120が無菌状態になったところで、加熱殺菌処理されたイヌリン含有液体組成物392をアセプティックタンク411より送液し、無菌化された充填装置182にて、無菌充填を行うように構成されている。
充填機構120の下流側に所定の間隔を開けて、シール機構126およびカット機構128が順に設けられている。充填機構120とシール機構126の間に、後に説明する蓋材供給機構122(全体として符号122で示す)によって上方から蓋部30を構成する蓋材30Aが供給されるようになっており、この蓋部30を構成する蓋材30Aが、シール機構126を構成するプレシール装置126aの上流でその下流側に向けて方向を変えられ、下流のシール機構126およびカット機構128に向けて、下方の搬送手段134によって搬送される容器部12の上面との間に送られる。
蓋部30を構成する蓋材30Aは、容器部12の停止位置でシール機構126によって容器部12の開口部のつば部18に熱圧着された後、カット機構128でつば部18及びつまみ部20の形状に沿って蓋部30となる部分の周囲が打ち抜かれる。
次に、図3および蓋材供給機構122の要部を示す図7に基づき、蓋材供給機構122の構成について説明する。
容器製造充填装置110の本体部が設けられている機枠110Aの上部に突設されて、蓋材供給機構122の供給スタンド(蓋材ロール支持手段)152が設置されている(図7参照)。この供給スタンド152には、駆動軸152Aによって前記蓋材30Aがロール状に巻かれた蓋材ロール102Aが支持されている。この蓋材ロール102Aから引き出された蓋材30Aは、供給スタンド152に支持された複数のローラ152aを介して送られる。なお、小型容器10の蓋部30として使用される蓋材30Aは、前記したように、アルミや樹脂製のフィルムあるいはこれらをコーティングしたもの等が一般に用いられる。
第2無菌化機構124は、蓋部30を形成するための蓋材30Aを、無菌化するために設けられる。
蓋材30Aを無菌化するための第2無菌化機構124は、過酸化水素(H22)に蓋材30Aを浸漬して無菌化するための蓋材過酸化水素槽144を備える。
更に、第2無菌化機構124は、蓋材過酸化水素槽144に浸漬されて殺菌された蓋材30Aに、無菌化された温風エアーでエアーナイフにより吹き付けることにより過酸化水素を取り除く無菌温風エアー装置146bを備える。
無菌温風エアー装置146bは、蓋材過酸化水素槽144の上方に導入ローラ152bが設けられ、さらにその上方側には、搬送手段134の搬送方向Aと平行な第1上部ローラ156が設置されている。
前記第1上部ローラ156によって送り方向をほぼ90度変更された蓋材30Aは、第2上部ローラ158によってほぼ垂直方向下方に向けて方向を変えられる。
さらに、この第2上部ローラ158の下方の、前記搬送手段134の搬送面のやや上方に下部ローラ160及びローラ162が配置される。
蓋材供給機構122には、送り出される蓋材30Aのテンションを調節するダンサローラ154bが設けられており、蓋材30Aは、このダンサローラ154bを介して上方に送られ、前記機枠110A内に設置されたシール機構126に供給される。
機枠110Aの側部フレーム110Bの下方の、前記シール機構126のプレシール装置126aが設けられている位置の後方付近に、搬送手段134による容器搬送方向(図3および図7の矢印A参照)と平行に設置されたローラ162(図7参照)が取り付けられており、前記ダンサローラ154bを介して送られた蓋材30Aは、この容器搬送方向Aと平行に設置されたローラ162によって、容器搬送方向Aと直交する方向に向けて容器製造充填装置110の本体部内に供給される。
容器部12の搬送方向Aと平行に設置されたローラ162を介して容器製造充填装置110内に送り込まれた蓋材30Aは、下部ローラ160によってほぼ90度方向を変換され、搬送手段134の上流側に向けられ、下流方向に送られる。上方から下方へ向けて送られてきた蓋材30Aは、この下部ローラ160によって搬送手段134の搬送方向下流側に向けてほぼ水平に方向を変えられ、容器部12に沿って水平方向に送られる。
前記第2上部ローラ158と下部ローラ160との間にローラ162が設けられている。前記蓋材30Aは、シール機構126において小型容器10のつば部18に接着された後、走行する搬送手段134によって搬送される容器部12とともに前進するが、容器部12の移動に引っ張られることがないように、この駆動軸152Aが回転する。駆動軸152Aの回転は、ダンサローラ154bを上限センサが検出することで送られ、下限センサが検出することで停止するように構成されている。
前記下部ローラ160の下流において、蓋材30Aに所定のピッチで印刷されているマークを検出するマークセンサ164が設けられている(図7参照)。前述のように駆動軸152Aはモータによって搬送手段134の移動に同期して作動されるようになっているが、蓋材30Aの送り量は、マークセンサ164によるマーク位置の検出結果に応じて増減される。
搬送手段134は、走行および停止を繰り返して前記容器部12を間欠的に搬送しており、搬送される小型容器10は、容器搬送経路上の、容器成形材供給機構112の下流側に順に設けられている充填機構120、シール機構126およびカット機構128の位置に停止する。小型容器10は先ず充填機構120の下方に停止して、イヌリン溶解液(イヌリン含有液体組成物392)が充填される。イヌリン溶解液(イヌリン含有液体組成物392)が充填された小型容器10は、搬送手段134によって次のシール機構126の下方へ搬送される。
ローラ162の下方には下部ローラ160が設けられており、第2上部ローラ158およびローラ162から垂直方向下方に向けて送られてきた蓋材30Aは、この下部ローラ160によって、水平な状態に方向を変えられて下流方向に送られる。この下部ローラ160の下流には、シール機構126を構成するプレシール装置126aが設けられており、容器成形材12Aと蓋材30Aの両端部を熱圧着してサイドシール(プレシール)される。
容器成形材供給機構112の第1無菌化機構118、容器成形機構114の加熱装置170及び成形装置172、充填機構120、蓋材供給機構122の第2無菌化機構124、プレシール装置126aは、無菌状態にするための密閉された無菌室190内に収容されており、その無菌状態の維持は、クリーンエアー(無菌エアー)を供給することによる、陽圧によって維持されている。
容器成形材12Aは、無菌室190の容器成形材入口192から無菌室190に入り、蓋材30Aは、無菌室190の蓋材入口194から無菌室190に入るが、無菌室190は、その内部に無菌エアー(無菌フィルタを通過させた外部からの空気)を送り込み、容器成形材入口192及び蓋材入口194から無菌エアーを放出し、無菌室190内を外部より陽圧にし、外部からの菌の進入を防いでいる。
プレシールされた容器成形材12A及び蓋材30Aは、無菌室190の出口から次のシール機構126のシール装置126bに送られるが、その出口は、無菌室出口シャッター196が設けられ、無菌状態の維持を図るように構成されている。
無菌室190内において、容器成形材12A及び蓋材30Aの端縁をプレシール装置126aにより溶着して容器成形材12Aと蓋材30Aの中を陽圧で維持し、無菌保持のまま無菌室190より外に出すように構成されている。
搬送手段134の下流側に向けられ、ほぼ水平状態で供給される蓋材30Aは、シール機構126によって、容器搬送手段134上を搬送されてこの位置に一時停止した容器部12の開口部に設けられているつば部18に熱圧着される。このとき、つば部18と蓋材30Aとの接着には、エチレンビニルアセテート(EVA)接着剤等が用いられる。
続いて、シールされた容器成形材12Aと蓋材30Aとは、冷却盤200に送られ、熱圧着された部分が冷却される。
続いて、容器成形材12Aにノッチを入れるときには、容器成形材12Aと蓋材30Aとは、ノッチ装置210に送られる。本実施の形態においては容器成形材12Aにノッチ24が刻設されるが、段差部としてもよい。
続いて、次のカット機構128において、蓋材30Aの容器部12の開口部に貼り付けられて蓋部30となる部分の周囲がカットされる。切り取られた蓋材30Aから成る蓋部30によってシールされた小型容器10は、そのまま搬送手段134によって搬送され、下流側で取り出されて次の工程に送られる。
一方、容器成形材12Aの容器部12の部分と蓋材30Aの蓋部30の部分が切り抜かれた容器成形材12A及び蓋材の残りの部分102aは、ローラ220を介して巻き取り手段132に巻き取られる。
この実施の形態では、容器成型を行う上で、加熱温度の確認を行なう。容器成形材12Aを125℃に加熱することを目指し、加熱装置170の温度を127℃にする。
機械のサイクルスピードが遅いとインターバル中にドローダウンが大きくなり、下型176のボトムヒータ176bに容器成形材12Aが付着しシワが発生する。
サイクルスピードを上げることにより、ドローダウンの状態が安定しボトムヒータ176bに付着することを防止できる。
サイクルスピードは、充填するイヌリン含有液体組成物392の粘性が大きく影響する。
粘度が低い場合は、充填時に容器部12より溢れる為、充填時の速度を遅くする必要がある。この速度が、機械のサイクルスピードに影響を与える。
機械停止中に、無菌温風エアー装置146aのエアーナイフ部分の乾燥エアーで、容器成形材12Aは、伸びによる変形が発生する。その為、乾燥エアーの温度を70℃に変更し過酸化水素の除去と容器成形材12Aのダメージを最小限に抑えるようにしている。
また、停止中、無菌温風エアー装置146aのエアーナイフ部にあった箇所は、加熱装置170を通過するまで成型を行なわない。熱負荷を受けている為、加熱装置170で付着し容器成形材12Aにシワが入り易くなる為である。
「無菌充填」は、充填後の内容物には細菌類は一切なしという意味であり、また、小型容器10の容器部12の内部にも細菌類は一切なしという意味である。細菌が一つでも残留すると、内容物自体が細菌にとっての栄養分になるので、たちまち増殖し、腐敗する。
充填後の検査で、細菌ゼロを確認しており、経時的にも細菌が増殖する要素がないので、製造後1年経時したものについても無菌性が確保できる。
このようにしてイヌリン含有液体食品は製造される。
本発明にかかるイヌリン含有液体食品の製造方法によれば、イヌリン溶解液(イヌリン含有液体組成物392)を小型容器10に無菌充填する工程を含むため、イヌリン溶解液(イヌリン含有液体組成物392)のpHを4以下に調整しなくても、微生物の増殖を抑制することができる。これにより、長期間保存可能なイヌリン含有液体食品を製造することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明の説明をする。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、70℃の温水に、増粘安定剤としてキサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を投入し、溶解させた(キサンタンガム溶解工程)。キサンタンガムは、表1の割合で調合した。
次に、菊芋から抽出したイヌリン粉末を、キサンタンガムを溶解したキサンタンガム溶解液に投入して、かき混ぜて溶解させることにより、イヌリン溶解液を作製した(イヌリン溶解工程)。イヌリンは、表1の割合で調合した。また、pH調整剤、酸化防止剤、製造用剤、香料、高甘味度甘味料等を表1の割合で調合した。以上のイヌリン溶解工程は、適宜な大きさの溶解タンク401にキサンタンガム溶解液およびイヌリン粉末等を投入し、攪拌羽根によって、温水に溶解させることにより行った。
次に、前記イヌリン溶解工程による得られたイヌリン溶解液を、前記溶解タンク401より、ホモゲナイザー403に送水パイプを通して送り込み、ホモジナイズ処理を行った。その後、イヌリン溶解液を、ラインフィルター405に、送水パイプを通して送り込み、濾過を行った(濾過工程)。
次に、前記濾過工程によって得られたイヌリン溶解液を、クッションタンク407にパイプを通して送り込んだ。そして、クッションタンク407に貯留されたイヌリン溶解液を、プレート式間接殺菌機409に、パイプを通して送り込み、プレート式間接殺菌機409によってUHT殺菌(140℃4秒)を行った(殺菌工程)。
次に、前記殺菌工程によって得られたイヌリン溶解液を、アセプティックタンク411に、パイプを通して送り込み、無菌の状態で貯留した。
次に、アセプティックタンク411に貯留されたイヌリン溶解液を無菌状態においてカップ状の小型容器10に約10ml注入した(イヌリン溶解液注入工程)。
かかる工程を経て、液状を維持し、長時間保存可能なイヌリン含有液体食品を得た。
(実験例)
上記の製造方法にしたがって、イヌリン含有液体食品を作製し、以下の試験を行った。
A.イヌリン沈殿確認試験
表1の配合比で上記の製造方法にしたがって作製されたイヌリン含有液体食品について、5℃で静置保管し沈殿発生有無を確認した。また、比較例として、イヌリンの配合量を変更して同様の条件で保管し、沈殿発生有無を確認した。それぞれ試料は、小型容器に10ml充填した。
イヌリン沈殿確認試験では、製造後40週(約280日)の間に沈殿が発生しなかったものを「○」、沈殿が発生したものを「×」と評価した。
Figure 0007220687000001

上記の結果より、8.0重量%以上11.88重量%以下のイヌリンと、0.1重量%以上0.3重量%以下のキサンタンガムと、を含み、pHを4.0以上8.6以下にしたイヌリン含有液体組成物を無菌状態で小型容器に充填することで、製造後40週(約280日)以上、沈殿が生じることなく保存することができることが確認された。
B.増粘安定剤の安定効果確認試験
表2の配合比で上記の製造方法にしたがって作製されたイヌリン含有液体食品について、5℃で静置保管し沈殿発生有無を確認した。また、比較例として、増粘安定剤の種類を変更して同様の条件で保管し、沈殿発生有無を確認した。それぞれ試料は、小型容器に10ml充填した。
増粘安定剤の安定効果確認試験では、製造後40週(約280日)の間に沈殿が発生しなかったものを「○」、沈殿が発生したものを「×」と評価した。
Figure 0007220687000002
上記の結果より、増粘安定剤の中でもキサンタンガムを使用することにより、製造後40週(約280日)以上、沈殿が生じることなく保存することができることが確認された。
本発明に係るイヌリン含有液体食品は無菌充填しているため、液状でも腐敗の心配がなく、開封前であれば長期間衛生的に保存が可能である。さらに、本発明に係るイヌリン含有液体食品は、冷蔵域、常温域で液状を保っており、長期間保存可能であるので、保存場所を選ばない。そして、小型容器10に充填することにより、使いやすく、無駄なく使用できる。
それゆえに、液体であっても、機能性成分であるイヌリンの安定性が保たれ、長期間保存が可能なイヌリン含有液体食品を提供することができる。
食事中に、例えば、ヨーグルトなどの飲食物に適宜ふりかけて、食することが可能となる。
以上のように、本発明の実施形態は、上記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
10 小型容器
12 容器部
12A 容器成形材
14 底部
14a 球冠部
16 胴部
16a 座部
18 つば部
20 つまみ部
22 封止部
24 ノッチ
26 開口部
28 溶着部
30 蓋部
30A 蓋材
40 空間部
102A 蓋材ロール
102a 蓋材の残りの部分
110 容器製造充填装置
110A 機枠
110B フレーム
112 容器成形材供給機構
114 容器成形機構
116 容器成形材搬送機構
118 第1無菌化機構
120 充填機構
122 蓋材供給機構
124 第2無菌化機構
126 シール機構
126a プレシール装置
126b シール装置
128 カット機構
130 容器成形材保持供給手段
132 巻き取り手段
134 搬送手段
136 保持機
138 容器成形材交換台
140 容器成形材交換用スペース
142 容器成形材過酸化水素槽
144 蓋材過酸化水素槽
146a,146b 無菌温風エアー装置
148 送りローラ
152 供給スタンド
152A 駆動軸
152a ローラ
152b 導入ローラ
154a,154b ダンサローラ
156 第1上部ローラ
158 第2上部ローラ
160 下部ローラ
162 ローラ
164 マークセンサ
170 加熱装置
172 成形装置
176 下型
176b ボトムヒータ
180 充填ポンプ
182 充填装置
190 無菌室
192 容器成形材入口
194 蓋材入口
196 無菌室出口シャッター
200 冷却盤
210 ノッチ装置
220 ローラ
392 イヌリン含有液体組成物
401 溶解タンク
403 ホモゲナイザー
405 ラインフィルター
407 クッションタンク
409 プレート式間接殺菌機
411 アセプティックタンク

Claims (6)

  1. 殺菌済みのカップ状の小型容器に、殺菌済みのイヌリン含有液体組成物が充填されたイヌリン含有液体食品であって、
    前記イヌリン含有液体組成物は、
    8.0重量%以上11.88重量%以下のイヌリンと、
    0.1重量%以上0.3重量%以下のキサンタンガムと、
    を含み、前記イヌリン含有液体組成物のpHが4.0以上8.6以下である、イヌリン含有液体食品。
  2. 前記イヌリン含有液体組成物はさらにキレート作用を有する製造用剤を含み、
    前記製造用剤が、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムから選択される少なくとも1種又は2種以上が含まれる、請求項1に記載のイヌリン含有液体食品。
  3. 前記イヌリン含有液体組成物はさらにpH調整剤を含み、
    前記pH調整剤は、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、フィチン酸、リン酸、リンゴ酸、およびそのナトリウム塩から選択される少なくとも1種又は2種以上が含まれる、請求項1または請求項2のいずれかに記載のイヌリン含有液体食品。
  4. 前記イヌリン含有液体組成物はさらに乳酸菌、乳酸菌生産物質、ビフィズス菌から選択される少なくとも1種又は2種以上が含まれる、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のイヌリン含有液体食品。
  5. 前記イヌリン含有液体組成物はさらに高甘味度甘味料を含み、
    前記高甘味度甘味料は、0.002重量%以上1.6重量%以下で配合され、
    前記高甘味度甘味料は、ステビア抽出物、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アドバンテーム、カンゾウ抽出物、キシリトール、スクラロース、ネオテーム、ラカンカ抽出物から選択される少なくとも1種又は2種以上が含まれる、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のイヌリン含有液体食品。
  6. 65~75℃の温水に、0.1重量%以上0.3重量%以下のキサンタンガムを溶解するキサンタンガム溶解工程と、
    前記キサンタンガム溶解工程により得られたキサンタンガム溶解液に、8.0重量%以上11.88重量%以下のイヌリンを溶解するイヌリン溶解工程と、
    前記イヌリン溶解工程により得られたイヌリン溶解液を濾過する濾過工程と、
    前記濾過工程により得られたイヌリン溶解液を加熱殺菌する殺菌工程と、
    前記殺菌工程を経たイヌリン溶解液を、無菌状態において小型容器に充填するイヌリン溶解液充填工程と
    を含み、
    前記殺菌工程を経たイヌリン溶解液のpHが4.0以上8.6以下である、イヌリン含有液体食品の製造方法。
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