JP7220634B2 - 振動式角速度検出器 - Google Patents

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Description

本明細書が開示する技術は、振動子に生起されるコリオリ力に関連して角速度を検出できる振動式角速度検出器に関する。
複数の梁によって支持されたマス部を励振方向に振動させ、励振方向と直交する検出方向への振動を検出することで角速度を検出するようにした角速度検出器が知られている。加工公差によって複数の梁の間に剛性ばらつきが発生すると、振動方向が励振方向から斜めに傾くため、検出方向への漏れ振動が発生してしまう。特許文献1には、梁剛性を調整する技術が開示されている。具体的には、マス部に調整電極を配置し、DC電圧を印加する。負のバネ定数を発生させることで、梁剛性を調整する。
特開2012-202799号公報
特許文献1の方法では、複数の梁のトータルの梁剛性を調整しているに過ぎず、複数の梁の剛性を個別に調整できないため、梁間の剛性を均一化することができない。振動方向が傾いてしまう原因を取り除くことができないため、検出方向への振動傾きを高精度に抑制することが困難である。
本明細書で開示する振動式角速度検出器の一実施形態は、基板面上にX軸、X軸に垂直にY軸をとり、基板面に垂直にZ軸をとるとき、基板に対して振動可能に配設されたマス部をY軸方向に励振させ、Z軸の回りの角速度をX軸方向に発生するコリオリ力に関連する物理量を検出することで、角速度を検出する振動式角速度検出器である。振動式角速度検出器は、マス部のX軸の正方向に位置する第1側面からX軸正方向に伸びる第1梁を備える。振動式角速度検出器は、マス部のX軸の負方向に位置する第2側面からX軸負方向に伸びる第2梁を備える。振動式角速度検出器は、第1梁に配置されている第1梁電極と、第1梁電極の近傍であって基板面に配置されている第1調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて第1梁のバネ定数を調整可能な第1調整部を備える。振動式角速度検出器は、第2梁に配置されている第2梁電極と、第2梁電極の近傍であって基板面に配置されている第2調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて第2梁のバネ定数を調整可能な第2調整部を備える。
第1調整部および第2調整部によって、第1梁と第2梁とで個別にバネ定数を調整することができる。複数の梁間の剛性を均一化することが可能となる。振動方向が傾いてしまう原因を取り除くことができるため、検出方向への振動傾きを高精度に制御することが可能である。
第1梁および第2梁は、リンク部で折れ返された構造を備えたフォールデッド梁であってもよい。第1梁電極、第2梁電極、第1調整電極および第2調整電極は、櫛歯電極であってもよい。
リンク部は、Y軸方向へ伸びている形状を備えた延長部を備えていてもよい。延長部に櫛歯電極が配置されていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
リンク部は、Y軸方向へ伸びている形状を備えた延長部を備えていてもよい。延長部のX軸の正方向の面および延長部のX軸の負方向の面に、櫛歯電極が配置されていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
第1梁が第1梁電極として機能してもよい。第1調整電極は、第1梁の少なくとも一部を挟み込むように第1梁の両側に配置されていてもよい。第2梁が第2梁電極として機能してもよい。第2調整電極は、第2梁の少なくとも一部を挟み込むように第2梁の両側に配置されていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
第1梁および第2梁は、リンク部で折れ返された構造を備えたフォールデッド梁であってもよい。振動式角速度検出器は、リンク部に配置されている検出電極であって、リンク部のY軸方向の変位量を検出可能な検出電極をさらに備えていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
第1調整部および第2調整部は、検出電極で検出される変位量が第1梁および第2梁で等しくなるようにバネ定数をフィードバック制御してもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
本明細書で開示する振動式角速度検出器の調整方法の一実施形態は、基板面上にX軸、X軸に垂直にY軸をとり、基板面に垂直にZ軸をとるとき、基板に対して振動可能に配設されたマス部をY軸方向に励振させ、Z軸の回りの角速度をX軸方向に発生するコリオリ力に関連する物理量を検出することで、角速度を検出する振動式角速度検出器の調整方法である。振動式角速度検出器は、マス部のX軸の正方向に位置する第1側面からX軸正方向に伸びる第1梁を備える。振動式角速度検出器は、マス部のX軸の負方向に位置する第2側面からX軸負方向に伸びる第2梁を備える。振動式角速度検出器は、第1梁に配置されている第1梁電極と、第1梁電極の近傍であって基板面に配置されている第1調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて第1梁のバネ定数を調整可能な第1調整部を備える。振動式角速度検出器は、第2梁に配置されている第2梁電極と、第2梁電極の近傍であって基板面に配置されている第2調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて第2梁のバネ定数を調整可能な第2調整部を備える。第1調整部および第2調整部の少なくとも一方を用いて第1梁のバネ定数と第2梁のバネ定数とを等しくする。
第1梁のバネ定数を調整することで第1梁のバネ定数と第2梁のバネ定数とを等しくする、または、第2梁のバネ定数を調整することで第1梁のバネ定数と第2梁のバネ定数とを等しくしてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
振動式角速度検出器は、第1梁および第2梁からなる一対のペア梁を複数備えていてもよい。複数の第1梁の各々に備えられている第1調整部に共通の制御電圧を印加することで、複数の第1梁のバネ定数を個別に制御してもよいし、一体に制御してもよい。複数の第2梁の各々に備えられている第2調整部に共通の制御電圧を印加することで、複数の第2梁のバネ定数を個別に制御することが可能であってもよいし、一体に制御することが可能であってもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
複数の第1梁の各々に備えられている第1調整部および複数の第2梁の各々に備えられている第2調整部に所定の直流オフセット電圧を印加することで、複数の第1梁および複数の第2梁のバネ定数を一律に低下させるオフセット電圧印加ステップを備えていてもよい。オフセット電圧印加ステップの後に、第1調整部および第2調整部の少なくとも一方を用いて第1梁のバネ定数と第2梁のバネ定数とを等しくしてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
実施例1にかかる角速度検出器1の平面図。 角速度検出器の課題を説明する図。 角速度検出器1の動作を説明するフロー図。 励振梁101の部分拡大図。 実施例2Aに係る角速度検出器1Aの平面図。 実施例2Bに係る角速度検出器1ARの平面図。 実施例3に係る角速度検出器1Bの平面図。 実施例4に係る調整電極421を示す部分拡大図。 実施例5に係る調整電極521を示す部分拡大図。 実施例6に係る動作を説明するフロー図。 実施例7に係る角速度検出器1Cの平面図。 実施例7に係る動作を説明するフロー図。 実施例8に係る角速度検出器1Dの平面図。 変形例に係る調整電極821を示す部分拡大図。 変形例に係る調整電極の配置位置を示す図。 変形例に係る検出電極の配置位置を示す図。
<実施例1>
(角速度検出器1の構成)
図1に、実施例1にかかる角速度検出器1の平面図を示す。図1において、紙面が基板面であり、基板面に垂直な方向にZ軸、基板面上に図のようにY軸、X軸をとる。この角速度検出器1ではZ軸の回りの角速度ωが検出され、Y軸が励振軸、X軸が検出軸である。不図示の基板に対して振動可能に配設されたマス部10をY軸方向に励振させ、Z軸の回りの角速度をX軸方向に発生するコリオリ力に関連する物理量を検出することで、角速度を検出する。
角速度検出器1は、マス部10、励振梁101~104、検出梁111~114、調整電極121~124、検出電極131~134、プレート21および22、励振電極31および32、励振モニタ41および42を備える。角速度検出器1は、中心線CLに対して上下で線対称な構造を備えている。従って、中心線CLの上半分側の構造について主に説明する。
マス部10は、梁剛性とともに共振周波数を決める部位である。マス部10の+Y軸方向の側面10aには、検出梁111および112が+Y軸方向に延設されている。検出梁111および112は、ストレート型である。検出梁111および112の端部は、プレート21に接続されている。プレート21は、励振梁101および102と検出梁111および112とをつなぐ部位である。
プレート21のX軸の正方向に位置する側面21aからは、励振梁101がX軸正方向に伸びている。励振梁101は、リンク部101aで折れ返された構造を備えたフォールデッド型である。折り返された梁の端部は、アンカー部101bによって基板(不図示)に固定されている。プレート21のX軸の負方向に位置する21bからは、励振梁102がX軸負方向に伸びている。励振梁102の構造は励振梁101と同様であるため、説明を省略する。
調整電極121は、励振梁電極121aと基板電極121bを備える。励振梁電極121aは、リンク部101aにY軸方向に沿って等間隔に配置されている櫛歯電極である。基板電極121bは、励振梁電極121aの近傍であって基板面に配置されている。基板電極121bは、Y軸方向に沿って等間隔に配置されている櫛歯電極を備えている。励振梁電極121aの櫛歯と基板電極121bの櫛歯とは、電気バネ効果を発生させるために、互いに等間隔となるように噛み合っている。基板電極121bには、電源部141によって調整電圧V1が印加可能とされている。調整電極121は、調整電圧V1によって発生する電気バネ効果を用いて、励振梁101のバネ定数を調整可能である。すなわち調整電極121は、励振梁101の剛性を調整するための電極である。
調整電極122は、励振梁電極122aと基板電極122bを備える。基板電極122bには、電源部142によって調整電圧V2が印加可能とされている。調整電極122は、励振梁102の剛性を調整するための電極である。調整電極122の構造および作用は、調整電極121と同様であるため、説明を省略する。
励振電極31および32は、プレート21および22をY軸方向に励振する電極である。励振モニタ41および42は、励振振幅を検出する部位である。検出電極131~134は、マス部10のX軸方向への振幅を検出する電極である。
中心線CLの下半分側の構造は、前述した上半分側の構造と同様である。すなわち、検出梁113および114の各々の構造は、検出梁111および112と同様である。励振梁103および104の各々の構造は、励振梁101および102と同様である。調整電極123および124の各々の構造は、調整電極121および122と同様である。従って説明を省略する。
マス部10、検出梁111~114、プレート21および22、励振梁101~104、励振梁電極121a~124aは一体化している。これらの一体構造は、アンカー部101b~104bによってのみ基板に固定されることで、基板に対して浮上して支持されている。
角速度検出器1の動作について説明する。マス部10は、静電力によるコームドライブ方式により振動させることができる。具体的に説明する。励振電極31および32にDCバイアスを与えた上で位相が180°異なった交流電圧を印加すると、電圧周期と等しい駆動力が発生する。プレート21が励振電極31の側に吸引されると、マス部10は+Y軸側に変位する。逆に、プレート22が励振電極32の側に吸引されると、マス部10は-Y軸側に変位する。この振動状態でZ軸の回りに角速度ωが作用すると、マス部10にはX軸方向にコリオリ力Fが作用し、X軸方向にY軸方向の振動数でもって振動する。このX軸方向の振動変位を検出電極131~134の静電容量の変化で検出することができる。
(角速度検出器1の課題)
図2のように、励振梁101~104の間に剛性ばらつきが存在する場合を想定する。図2の例では、左上の励振梁102と右下の励振梁103の梁剛性が高く、右上の励振梁101と左下の励振梁104の梁剛性が低い。マス部10が+Y軸方向に変位したとき、剛性が高い梁に比して剛性が低い梁の方が変位が大きいため、マス部10U(点線)に示すように+X軸方向への変位が生ずる。同様に、マス部10が-Y軸方向に変位したとき、マス部10L(点線)に示すように-X軸方向への変位が生ずる。この結果、検出方向(X軸方向)への漏れ振動が生ずる。この漏れ振動が検出電極131~134で検知されてしまうため、角速度が入っていない状態でも角速度が出力されてしまう(ゼロ点出力)。
(角速度検出器1の動作)
図3のフローを用いて、角速度検出器1の動作を説明する。ステップS10において、角速度が入力されていない環境下で、マス部10を振動させる。
ステップS20において、調整電極121~124の各々に、調整電圧V1~V4を印加する。調整電圧V1~V4は、所定の直流オフセット電圧(例:5[V])である。電気バネ効果により、励振梁101~104のバネ定数を一律に低下させることができる。これにより、バネ定数の中心点を出すことができるため、後のステップでバネ定数を低下させるのみならず、上昇させる制御が可能になる。
図4を用いて、電気バネ効果によってバネ定数が低下する原理を説明する。励振梁101について説明する。励振梁101は、プレート21とリンク部101aとを接続する2本の梁151および152を備えている。また、リンク部101aとアンカー部101bとを接続する2本の梁153および154を備えている。梁151および152は、梁153および154の内側に配置されている。梁151~154は、共通のバネ定数Kを有している。よって梁151~154のバネ定数から成る励振梁101全体での初期状態のバネ定数もKである。
バネ定数Kは下式(1)で表される。
Figure 0007220634000001
ここでEはヤング率である。Tは梁151~154のZ方向の厚さである。Wは梁151~154の幅である。Lは梁151~154の長さである。
励振梁101を接地電位とし、調整電極121に所定の直流オフセット電圧Vを印加すると、アンカー部101bに近い外側梁153および154のバネ定数が、KからK’に低下する。低下後のバネ定数K’は、下式(2)で表される。
Figure 0007220634000002
ここでSは、調整電極121の励振梁電極121aと基板電極121bの櫛歯電極とが重なり合っている面積である。dは電極間距離である。εは電極間の誘電率である。Vはオフセット電圧値である。式(2)から分かるように、電気バネ効果はバネ定数を低下させる効果のみを有する。
これにより、オフセット電圧印加後における、励振梁101全体でのバネ定数Kdoは、下式(3)で表される。
Figure 0007220634000003
図3のステップS30において、マス部10の上側に位置する、一組の励振梁101および102のバネ定数を互いに等しくする処理を行う。このとき、調整電圧V1またはV2の一方の電圧のみを調整すればよい。具体的には、検出電極131~134で検出される漏れ振動量が最小になるように、フィードバック制御により、調整電圧V1またはV2の一方を調整する。電圧の調整量は、上述した式(1)~(3)に基づいて定めればよい。例えば、励振梁102の方が励振梁101よりもバネ定数が高い場合には、調整電圧V2を上昇させることで励振梁102のバネ定数を低下させるか、調整電圧V1を低下させることで励振梁101のバネ定数を上昇させればよい。
ステップS40において、マス部10の下側に位置する、一組の励振梁103および104のバネ定数を互いに等しくする処理を行う。このとき、調整電圧V3またはV4の一方の電圧のみを調整すればよい。ステップS40の処理内容は、前述したステップS30と同様であるため、説明を省略する。
ステップS50において、角速度の計測を開始する。ステップS30およびS40で設定した調整電圧V1~V4の電圧状態を保持することで、検出方向への漏れ振動を抑制することが可能となる。
(効果)
調整電極121~124によって、励振梁101~104の各々のバネ定数を個別に調整することができる。複数の励振梁の間で、剛性を均一化することができるため、検出方向への漏れ振動を抑制することが可能となる。よって、角速度印加が無いときのセンサ出力(ゼロ点出力)を最小とすることができる。その結果、微小な角速度出力を精度よく検出することが可能となる。また、励振および検出共振周波数の差が変化した場合や、環境温度が変化した場合に、ゼロ点出力が変化してしまうことに対して、実施例1の技術では、ゼロ点出力を最小化することで、ゼロ点の変動量を小さくすることができる。
X軸方向への漏れ振動の発生を抑制するためには、励振軸(Y軸)に垂直な方向(X軸方向)に並んだ一組の励振梁の間で、バネ定数を等しくするだけでもよい。ある一組の励振梁と他の一組の励振梁との間で、バネ定数を等しくしなくても、一定の効果を得ることができる。そこで本実施例の技術では、調整電圧V1またはV2の一方の電圧のみを調整することで、一組の励振梁101および102のバネ定数を等しくする(ステップS30)。また、調整電圧V3またはV4の一方の電圧のみを調整することで、一組の励振梁103および104のバネ定数を等しくする(ステップS40)。これにより、調整電圧V1~V4の4つの電圧のうちの2つの電圧を調整するだけで、漏れ振動を抑制することが可能となる。調整電圧V1~V4の全てを調整する場合に比して、調整パラメータ数を半減できるため、角速度検出器1の制御を簡易化することが可能となる。
<実施例2A>
実施例2Aは、励振梁がストレート型である実施例である。また、梁の側面に調整電極を配置する実施例である。実施例1と異なる点のみ説明する。図5Aに、実施例2Aに係る角速度検出器1Aを示す。実施例1の角速度検出器1(図1)と同様の部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。また図5Aでは、励振電極31および32、励振モニタ41および42、検出電極131~134(図1参照)は記載を省略している。
角速度検出器1Aは、励振梁201~204を備えている。励振梁201~204は、ストレート型である。励振梁201および202の一端はプレート21に接続されており、他端はアンカー部201bおよび202bによって基板(不図示)に固定されている。同様に、励振梁203および204の一端はプレート22に接続されており、他端はアンカー部203bおよび204bによって基板に固定されている。
励振梁201は接地電位とされることで、励振梁201自体が電極として機能する。励振梁201を挟み込むように、励振梁201の両側に調整電極221が配置されている。調整電極221は、励振梁201の側面のほぼ全域に亘って配置されている。なお、励振梁202~204および調整電極222~224の構造は、励振梁201および調整電極221と同様であるため、説明を省略する。
調整電極221~224に調整電圧V1~V4を印加することで、電気バネ効果により、励振梁201~204のバネ定数を個別に調整することができる。検出電極からの漏れ振動出力を最小にするように、励振梁ごとにバネ定数を調整することで、センサのゼロ点出力を低減できる。センサ精度を向上させることが可能となる。
(効果)
梁の側面に調整電極221~224を配置する構造を採用することにより、実施例1で示した調整電極121~124(図1)のような、櫛歯型の電極を不要とすることができる。このため、角速度検出器の小型化が可能となる。
<実施例2B>
実施例2Bは、実施例2Aの変形例である。実施例2Bが実施例2Aから異なる点は、調整電極221r~224rの構造のみである。他の構造は共通するため、説明を省略する。図5Bに、実施例2Bに係る角速度検出器1ARを示す。調整電極221rは、励振梁201の側面のうち、アンカー部201b近傍の領域にのみ配置されている。なお、調整電極222r~224rの構造は、調整電極221rと同様であるため、説明を省略する。
(効果)
電気バネ効果による梁のバネ定数の調整は、前述の式(2)から分かるように、電極間距離dの3乗に反比例して変化する。すなわち、電極間距離dが小さくなるほど、同一のバネ定数の低下量をより低電圧で得ることができる。そこで実施例2Bの角速度検出器1ARでは、調整電極221rをアンカー部201b近傍の領域のみに配置している。理由を説明する。励振梁201の変位量は、アンカー部201bからの距離に比例して大きくなる。すると、アンカー部201b近傍の中点P2の方が、マス部10近傍の端点P1に比して、梁の変位量が約1/2に小さくなる。すなわち、調整電極221r(図5B)のように中点P2近傍まで調整電極を配置する場合の電極間距離D2は、調整電極221(図5A)のようにマス部10近傍まで調整電極を配置する場合の電極間距離D1に比して、約1/2に小さくすることができる。これにより、より低電圧でバネ定数を制御できるため、電源部141の回路を縮小することが可能となる。なお、調整電極221(図5A)に比して調整電極221r(図5B)は、電極面積Sが約1/2となる。しかし、式(2)から分かるように、バネ定数の調整は電極面積Sに比例する。よって、電極面積Sを小さくしても電極間距離dを小さくする方が、低電圧化には有利である。
<実施例3>
実施例3は、励振梁がフォールデッド型である実施例である。また、梁の側面に調整電極を配置する実施例である。実施例1と異なる点のみ説明する。図6に、実施例3に係る角速度検出器1Bを示す。実施例1の角速度検出器1(図1)と同様の部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。また、図6では、励振電極31および32、励振モニタ41および42、検出電極131~134(図1参照)は記載を省略している。
角速度検出器1Bは、励振梁301~304を備えている。励振梁301~304は、フォールデッド型である。励振梁301および302の一端はプレート21に接続されており、他端はアンカー部301bおよび302bによって基板(不図示)に固定されている。同様に、励振梁303および304の一端はプレート22に接続されており、他端はアンカー部303bおよび304bによって基板に固定されている。
励振梁301を構成している4本の梁351~354の各々を挟み込むように、5つの調整電極321が配置されている。5つの調整電極321には、電源部141によって共通の調整電圧V1が印加される。なお、励振梁302~304および調整電極322~324の構造は、励振梁301および調整電極321と同様であるため、説明を省略する。
(効果)
励振梁301を構成する4本の梁351~354の各々が、調整電極321で挟まれている。よって、梁351~354の全てにおいて、電気バネ効果によりバネ定数を調整することができる。櫛歯電極が不要であり、非常に狭い面積に調整電極を設置することができるため、センサの小型化が可能となる。
<実施例4>
実施例4は、調整電極の構造に関する第1の実施例である。実施例1と異なる点のみ説明する。また、実施例1の角速度検出器1(図1)と同様の部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。
図7に、実施例4に係る調整電極421を示す。調整電極421は、実施例1の調整電極121(図1)の変形例である。リンク部401aは、実施例1のリンク部101a(図1)に比して、+Y軸方向へ伸びている延長部401Eを備えている。励振梁電極421aは、リンク部401aに、Y軸方向に沿って等間隔に配置されている。基板電極421bは、Y軸方向に沿って等間隔に配置されている櫛歯電極を備えている。励振梁電極421aの櫛歯と基板電極421bの櫛歯とは、互いに等間隔となるように噛み合っている。基板電極421bには、電源部141によって調整電圧V1が印加可能とされている。なお、実施例1の調整電極122~124も、上述した調整電極421と同様に変形可能である。
(効果)
延長部401Eによってリンク部401aのY軸方向への長さを延長することで、延長しない構成(図1のリンク部101a)に比して、励振梁電極421aの設置数を多くすることができる。電極面積を大きくすることができるため、より低電圧でバネ定数を制御することが可能となる。
<実施例5>
実施例5は、調整電極の構造に関する第2の実施例である。実施例1と異なる点のみ説明する。また、実施例1の角速度検出器1(図1)と同様の部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。
図8に、実施例5に係る調整電極521を示す。調整電極521は、実施例1の調整電極121(図1)の変形例である。リンク部101aは、+X軸方向へ伸びている形状を備えた支持部101Sを備えている。支持部101Sの先端部には、Y軸方向へ伸びている形状を備えた延長部101Eが配置されている。延長部101EのY軸の正方向の面101Epには、Y軸方向に沿って等間隔に励振梁電極521pが配置されている。延長部101EのY軸の負方向の面101Emには、Y軸方向に沿って等間隔に励振梁電極521mが配置されている。基板電極521bは、励振梁電極521pおよび521mに等間隔となるように噛み合う櫛歯電極を備えている。基板電極521bには、電源部141によって調整電圧V1が印加可能とされている。
(効果)
噛み合わされた櫛歯電極に電圧を印加すると、両者に引力が発生する。本構成では、延長部101Eの両面に同数の櫛歯電極を配置しているため、+X軸方向に発生する引力F1と-X軸方向に発生するF2とを相殺することができる。励振梁101にX方向への引張り応力が発生しない。梁剛性が高くなってしまう事態や、非線形性が発現してしまう事態を防止することができる。
<実施例6>
実施例6は、角速度検出器1の動作方法の実施例である。実施例1と異なる点のみ説明する。図1に示す角速度検出器1は、励振軸(Y軸)に対称に配置されている一対のペア梁(励振梁101および102のペア梁、および、励振梁103および104のペア梁)を備えている。調整電極121および123に、共通の制御電圧VRを印加する。これにより、マス部10の+X軸側に配置されている励振梁101および103のバネ定数を、一体に制御できる。また、調整電極122および124に、共通の制御電圧VLを印加する。これにより、マス部10の-X軸側に配置されている励振梁102および104のバネ定数を、一体に制御できる。
図9を用いて、実施例6に係る動作フローの具体例を説明する。ステップS110において、調整電極121および123に制御電圧VRを印加するとともに、調整電極122および124に制御電圧VLを印加する。制御電圧VRおよびVLは、所定の直流オフセット電圧(例:5[V])である。電気バネ効果により、励振梁101~104のバネ定数を一律に低下させることができる。
ステップS120において、マス部10を振動させる。ステップS130において、角速度の計測を開始する。ステップS140において、検出電極131~134を用いて、漏れ振動量を検出する。具体的には、励振方向への振動周波数と同期した、検出方向への振動成分を検出する。ステップS150において、漏れ振動量が、所定の許容量を超過しているか否かが判断される。超過していない場合(S150:NO)にはS140へ戻り、超過している場合(S150:YES)にはステップS160へ進む。
ステップS160において、制御電圧VRまたはVLの一方を制御する。制御電圧VRを制御する場合には、励振梁101および103のバネ定数をまとめて調整できる。制御電圧VLを制御する場合には、励振梁102および104のバネ定数をまとめて調整できる。制御電圧VRまたはVLの制御は、検出電極131~134で検出される漏れ振動量が最小になるように、フィードバック制御により実行することができる。そしてステップS140へ戻る。
(効果)
常に漏れ振動量を監視(S140)し、漏れ振動量に応じて励振梁のバネ定数を調整(S160)することができる。漏れ振動量が温度特性などによって変動する場合においても、漏れ振動の発生を常時抑制することが可能となる。
マス部10の+X軸側に配置されている励振梁101および103のバネ定数を一体に制御すること、または、マス部10の-X軸側に配置されている励振梁102および104のバネ定数を一体に制御することができる。検出電極131~134を用いた漏れ振動量の検出量(S140)という1つの入力パラメータに従って、制御電圧VRまたはVLという1つの出力パラメータを制御(S160)することができる。よって1入力1出力のフィードバック制御(S160)が可能となるため、漏れ振動の発生を常時抑制することができる。
<実施例7>
実施例7は、励振梁の変位量を検出可能な検出電極661~664を備えた実施例である。実施例1と異なる点のみ説明する。図10に、実施例7に係る角速度検出器1Cを示す。実施例1の角速度検出器1(図1)と同様の部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。また図10では、マス部10、励振電極31および32、励振モニタ41および42、検出電極131~134(図1参照)は記載を省略している。
検出電極661について説明する。励振梁101は、Y軸方向に伸びているリンク部601aを備えている。検出電極661は、リンク部601aの近傍に配置されている。検出電極661は、リンク部601aのY軸方向の変位量を検出可能な電極である。検出電極661は、櫛歯電極661aおよび661bと、基板電極661cとを備える。櫛歯電極661aは、リンク部601aにY軸方向に沿って等間隔に配置されている。櫛歯電極661bは、基板電極661cの側面にY軸方向に沿って等間隔に配置されている。櫛歯電極661aと661bとは、噛み合っている。櫛歯電極661aと661bとの間隔は、狭い間隔D11と、広い間隔D12とが交互に並んでいる。狭い間隔D11での容量変化によって、変位を測定することができる。間隔D12は間隔D11よりも広いため、間隔D12での容量変化は無視できる。なお、検出電極662~664の構造は、検出電極661と同様であるため、説明を省略する。
(角速度検出器1Bの動作)
図11を用いて、実施例7に係る動作フローの具体例を説明する。ステップS210において、調整電極121~124に、調整電圧V1~V4を印加する。調整電圧V1~V4は、所定の直流オフセット電圧(例:5[V])である。電気バネ効果により、励振梁101~104のバネ定数を一律に低下させることができる。ステップS220において、マス部10を振動させる。ステップS230において、角速度の計測を開始する。
ステップS241~S243において、励振梁101のバネ定数が調整される。具体的に説明する。ステップS241において、検出電極661を用いて、リンク部601aのY軸方向の変位量を測定する。励振梁101のバネ定数が高いほど変位量が小さい。ステップS242において、検出された変位量が、所定範囲内であるか否かが判断される。所定範囲内である場合(S242:YES)には、次の励振梁のバネ定数の調整へ進む。一方、所定範囲を超えている場合(S242:NO)には、ステップS243へ進む。ステップS243において、調整電圧V1を制御することで、励振梁101のバネ定数を調整する。この調整は、検出電極661で検出される変位量が所定範囲内になるように、フィードバック制御により実行することができる。そして、次の励振梁のバネ定数の調整へ進む。
ステップS251~S253では、励振梁102のバネ定数が調整される。ステップS251~S253の内容は、ステップS241~S243と同様である。すなわち、ステップS241~S243において、励振梁101を102に読み替え、検出電極661を662に読み替え、リンク部601aを602aに読み替え、調整電圧V1をV2に読み替えればよい。
以下同様にして、ステップS261~S263では、励振梁103のバネ定数が調整される。ステップS271~S273では、励振梁104のバネ定数が調整される。ステップS261~S263およびステップS271~S273の内容は、ステップS241~S243と同様であるため、説明を省略する。
励振梁101を調整するステップS241~S243、励振梁102を調整するステップS251~S253、励振梁103を調整するステップS261~S263、励振梁104を調整するステップS271~S273、の処理を繰り返すことにより、励振梁101~104の変位量が等しくなるように、バネ定数をフィードバック制御することができる。なお、ステップS241~S243、ステップS251~S253、ステップS261~S263、ステップS271~S273、の実行順番は、図11の順番に限られず、様々な順番で行うことができる。また各ステップを並列に行うこともできる。
(効果)
検出電極131~134を用いる場合には、励振梁101~104の変位量のばらつき(すなわちバネ定数のばらつき)を、漏れ振動量によって間接的に測定することしかできない。本実施例では、検出電極661~664を備えることで、励振梁101~104の変位量のばらつきを直接に測定することができる。従って、励振梁101~104のバネ定数のばらつきを、より正確に測定することができる。バネ定数の測定精度を高めることができるため、バネ定数をさらに高精度に均一化することが可能になる。より高精度に漏れ振動を低減することができる。
検出電極661で検出した変位量(S241)という1つの入力パラメータに従って、調整電圧V1という1つの出力パラメータをフィードバック制御(S243)することができる。同様に、検出電極662で検出された変位量に従って調整電圧V2をフィードバック制御し(S253)、検出電極663で検出された変位量に従って調整電圧V3をフィードバック制御し(S263)、検出電極664で検出された変位量に従って調整電圧V4をフィードバック制御(S273)することができる。よって1入力1出力のフィードバック制御を4系統備えることが可能となるため、漏れ振動の発生を常時抑制することができる。
<実施例8>
実施例8は、励振梁と検出梁が一体化している実施例である。実施例1と異なる点のみ説明する。図12に、実施例8に係る角速度検出器1Dを示す。実施例1の角速度検出器1(図1)と同様の部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。また、図12では、励振モニタ41や42(図1参照)は記載を省略している。
マス部10の+Y軸方向の側面10aには、一体型梁771および772の一端が接続されている。一体型梁771および772の他端は、アンカー部780によって基板(不図示)に固定されている。一体型梁771は、X軸方向へ伸びる励振梁部分701と、Y軸方向へ伸びる検出梁部分711を備えている。励振梁部分701は、主に励振方向(Y軸方向)に変形する梁である。検出梁部分711は、主に検出方向(X軸方向)に変形する梁である。同様に、一体型梁772は、励振梁部分702および検出梁部分712を備えている。なお、マス部10の-Y軸方向の側面10bに接続されている一体型梁773および774の構造は、一体型梁771および772と同様であるため、説明を省略する。
励振梁部分701は接地電位とされることで、励振梁部分701自体が電極として機能する。励振梁部分701を挟み込むように、励振梁部分701の両側に調整電極721が配置されている。調整電極721には、電源部141によって調整電圧V1が印加可能とされている。励振梁部分701の+X軸方向の端部には、励振電極731が配置されている。励振電極731の内容は、実施例1の励振電極31と同様である。なお、調整電極722~724の構造は、調整電極721と同様であるため、説明を省略する。
(効果)
調整電極221~224に調整電圧V1~V4を印加することで、電気バネ効果により、励振梁部分701~704のY軸方向のバネ定数を個別に調整することができる。具体的な内容は、実施例2と同様であるため、説明を省略する。
一体型梁771~774では、励振梁と検出梁を一体化させることができる。よって、励振梁と検出梁を個別に形成する場合に比して、梁の構造を簡略化することができる。角速度検出器1Dの面積を縮小することや、製造プロセスの簡略化が可能となる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
(変形例1)
リンク部の延長部に調整電極を配置する形態(実施例4)において、調整電極の形状は様々であって良い。例えば、図13に示す、調整電極821のような構造であってもよい。図13において、実施例4(図7)と同様の部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。
リンク部401aは、+Y軸方向へ伸びている延長部401Eを備えている。延長部401Eの+Y軸方向の側面には複数の励振梁電極821pが配置されており、Y軸の負方向の側面には複数の励振梁電極821mが配置されている。基板電極821bは、励振梁電極821pおよび821mに等間隔となるように噛み合う櫛歯電極821cを備えている。基板電極821bには、電源部141によって調整電圧V1が印加可能とされている。
レイアウトの都合などによって、励振梁の軸線に対して櫛歯電極を非対称に配置する場合がある。図7の調整電極421の例では、励振梁101の軸線に対して、+Y軸方向により多くの櫛歯電極が配置されている。この場合、調整電圧V1を印加すると、励振梁電極421aと基板電極421bとが互いに引き寄せられるため、非対称性に起因してリンク部401aに回転モーメントM1(図7矢印)が発生してしまう。励振梁101に応力が発生し、励振振動に非線形性が発生するため、周波数と振幅の関係に歪みが生じてしまう。センサ精度が低下してしまう。そこで図13の調整電極821では、延長部401Eの両側面に櫛歯電極を備えることで、Y軸に対して対称に櫛歯を配置している。これにより、櫛歯電極に発生する引力を相殺することができるため、回転モーメントの発生を防止することが可能となる。レイアウトの自由度を向上させることと、センサ精度の低下を抑制することとを同時に実現することが可能となる。
(変形例2)
調整電極の配置位置は、実施例1(図4)に示すようなリンク部に限られない。例えば、図14に示すように、励振梁101自体に配置してもよい。図14において、実施例1と同様の部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。梁153の点P11には、+Y軸方向へ伸びる延長部901Eが接続されている。点P11は、リンク部101aよりもアンカー部101bに近い位置である。延長部901Eの+X軸方向の側面には、複数の励振梁電極121aが配置されている。
梁153の励振振幅は、リンク部101aで最大であり、アンカー部101bに近くなるほど小さくなる。よって、リンク部101aよりもアンカー部101bに近い位置に励振梁電極121aを配置することで、励振振幅を小さくすることができる。その結果、図14の構造における電極間距離d2を、実施例1の構造(図4)における電極間距離dよりも狭めることができる。同一のバネ定数の低下量をより低電圧で得ることができるため、電源部141の回路を縮小することが可能となる。
(その他の変形例)
実施例6において、バネ定数を一体に制御する励振梁の組み合わせは、様々であって良い。例えば、調整電極121および124に、共通の制御電圧VRを印加してもよい。これにより、マス部10の対角線上に配置されている励振梁101および104のバネ定数を、一体に制御できる。また、調整電極122および123に、共通の制御電圧VLを印加してもよい。これにより、マス部10の対角線上に配置されている励振梁102および103のバネ定数を、一体に制御できる。そして、ステップS160(図9)において、制御電圧VRまたはVLの一方を制御すればよい。
励振軸(Y軸)に対称に配置されている励振梁の一方のみが、調整電極を備える構成としてもよい。例えば角速度検出器1(図1)において、励振梁101が調整電極121を備えるが、励振梁102が調整電極122を備えないとしてもよい。この場合、励振梁101のバネ定数が励振梁102のバネ定数よりも必ず高くなるように、梁の剛性をアンバランスに設計すればよい。例えば、励振梁101の梁の幅を励振梁102よりも太くすればよい。これは、前述のように、電気バネ効果はバネ定数を低下させる一方向の効果しか有さないためである。そして、励振梁101のバネ定数と励振梁102のバネ定数とが等しくなるように、励振梁101のバネ定数を調整電極121によって低下させればよい。これにより、調整電極の数を減少させることが可能となる。
実施例7において、励振梁の変位量を検出可能な検出電極の構造は、様々であって良い。図15に、実施例7の変形例に係る角速度検出器1CRを示す。変形例の角速度検出器1CRは、実施例7の角速度検出器1C(図10)の検出電極661~664に代えて、検出電極761~764を備える。他の構造は共通するため、説明を省略する。検出電極761について説明する。検出電極761は、リンク部601aのY軸方向の変位量を検出可能な電極である。リンク部601aは、+X軸方向へ伸びている延長部601Eを備えている。検出電極761は、櫛歯電極761aおよび761bと、基板電極761cとを備える。櫛歯電極761aは、延長部601EにX軸方向に沿って等間隔に配置されている。櫛歯電極761bは、基板電極761cにX軸方向に沿って等間隔に配置されている。櫛歯電極761aと761bとは、互いに等間隔となるように噛み合っている。なお、検出電極762~764の構造は、検出電極761と同様であるため、説明を省略する。変形例の検出電極761~764によっても、励振梁101~104の変位量のばらつきを直接に測定することができる。
本明細書では、励振軸(Y軸)に対称に配置されているペア梁を、2組備える場合を説明した(励振梁101および102と、励振梁103および104)。しかしこの形態に限られず、ペア梁は1組でもよいし、3組以上であってもよい。
なお本明細書においては、振動式角速度検出器を基本とした実施例を挙げてその動作を説明したが、この形態に限られない。各種の物理量、化学量、または光学量を検出する一般的な振動式センサに対しても、本明細書の技術を適用および展開することができる。
励振梁101、103は、第1梁の一例である。励振梁102、104は、第2梁の一例である。励振梁電極121a、123aは、第1梁電極の一例である。基板電極121b、123bは、第1調整電極の一例である。調整電極121、123は、第1調整部の一例である。励振梁電極122a、124aは、第2梁電極の一例である。基板電極122b、124bは、第2調整電極の一例である。調整電極122、124は、第2調整部の一例である。
1、1A~1D:角速度検出器 10:マス部 21、22:プレート 101~104:励振梁 101a~104a:リンク部 101b~104b:アンカー部 111~114:検出梁 121~124:調整電極 121a~124a:励振梁電極 131~134:検出電極 141~144:電源部

Claims (12)

  1. 基板面上にX軸、X軸に垂直にY軸をとり、基板面に垂直にZ軸をとるとき、基板に対して振動可能に配設されたマス部をY軸方向に励振させ、Z軸の回りの角速度をX軸方向に発生するコリオリ力に関連する物理量を検出することで、前記角速度を検出する振動式角速度検出器であって、
    前記マス部のX軸の正方向に位置する第1側面からX軸正方向に伸びる第1梁と、
    前記マス部のX軸の負方向に位置する第2側面からX軸負方向に伸びる第2梁と、
    前記第1梁に配置されている第1梁電極と、前記第1梁電極の近傍であって前記基板面に配置されている第1調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて前記第1梁のバネ定数を調整可能な第1調整部と、
    前記第2梁に配置されている第2梁電極と、前記第2梁電極の近傍であって前記基板面に配置されている第2調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて前記第2梁のバネ定数を調整可能な第2調整部と、
    を備え、
    前記第1梁が前記第1梁電極として機能し、
    前記第1調整電極は、前記第1梁の少なくとも一部を挟み込むように前記第1梁の両側に配置されており、
    前記第2梁が前記第2梁電極として機能し、
    前記第2調整電極は、前記第2梁の少なくとも一部を挟み込むように前記第2梁の両側に配置されている、振動式角速度検出器。
  2. 前記第1梁および前記第2梁は、リンク部で折れ返された構造を備えたフォールデッド梁である、請求項1に記載の振動式角速度検出器。
  3. 基板面上にX軸、X軸に垂直にY軸をとり、基板面に垂直にZ軸をとるとき、基板に対して振動可能に配設されたマス部をY軸方向に励振させ、Z軸の回りの角速度をX軸方向に発生するコリオリ力に関連する物理量を検出することで、前記角速度を検出する振動式角速度検出器であって、
    前記マス部のX軸の正方向に位置する第1側面からX軸正方向に伸びる第1梁と、
    前記マス部のX軸の負方向に位置する第2側面からX軸負方向に伸びる第2梁と、
    前記第1梁に配置されている第1梁電極と、前記第1梁電極の近傍であって前記基板面に配置されている第1調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて前記第1梁のバネ定数を調整可能な第1調整部と、
    前記第2梁に配置されている第2梁電極と、前記第2梁電極の近傍であって前記基板面に配置されている第2調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて前記第2梁のバネ定数を調整可能な第2調整部と、
    を備え、
    前記第1梁および前記第2梁は、リンク部で折れ返された構造を備えたフォールデッド梁であり、
    前記リンク部に配置されている検出電極であって、前記リンク部のY軸方向の変位量を検出可能な前記検出電極をさらに備える、振動式角速度検出器。
  4. 前記第1梁電極、前記第2梁電極、前記第1調整電極および前記第2調整電極は、櫛歯電極である、請求項3に記載の振動式角速度検出器。
  5. 前記リンク部は、Y軸方向へ伸びている形状を備えた延長部を備えており、
    前記延長部に前記櫛歯電極が配置されている、請求項4に記載の振動式角速度検出器。
  6. 前記リンク部は、Y軸方向へ伸びている形状を備えた延長部を備えており、
    前記延長部のX軸の正方向の面および前記延長部のX軸の負方向の面に、前記櫛歯電極が配置されている、請求項4に記載の振動式角速度検出器。
  7. 前記第1調整部および第2調整部は、前記検出電極で検出される変位量が前記第1梁および前記第2梁で等しくなるようにバネ定数をフィードバック制御する、請求項3に記載の振動式角速度検出器。
  8. 基板面上にX軸、X軸に垂直にY軸をとり、基板面に垂直にZ軸をとるとき、基板に対して振動可能に配設されたマス部をY軸方向に励振させ、Z軸の回りの角速度をX軸方向に発生するコリオリ力に関連する物理量を検出することで、前記角速度を検出する振動式角速度検出器の調整方法であって、
    前記振動式角速度検出器は、
    前記マス部のX軸の正方向に位置する第1側面からX軸正方向に伸びる第1梁と、
    前記マス部のX軸の負方向に位置する第2側面からX軸負方向に伸びる第2梁と、
    前記第1梁に配置されている第1梁電極と、前記第1梁電極の近傍であって前記基板面に配置されている第1調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて前記第1梁のバネ定数を調整可能な第1調整部と、
    前記第2梁に配置されている第2梁電極と、前記第2梁電極の近傍であって前記基板面に配置されている第2調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて前記第2梁のバネ定数を調整可能な第2調整部と、
    を備えており、
    前記第1梁が前記第1梁電極として機能し、
    第1調整電極は、前記第1梁の少なくとも一部を挟み込むように前記第1梁の両側に配置されており、
    前記第2梁が前記第2梁電極として機能し、
    第2調整電極は、前記第2梁の少なくとも一部を挟み込むように前記第2梁の両側に配置されており、
    前記第1調整部および前記第2調整部の少なくとも一方を用いて前記第1梁のバネ定数と前記第2梁のバネ定数とを等しくする、振動式角速度検出器の調整方法。
  9. 基板面上にX軸、X軸に垂直にY軸をとり、基板面に垂直にZ軸をとるとき、基板に対して振動可能に配設されたマス部をY軸方向に励振させ、Z軸の回りの角速度をX軸方向に発生するコリオリ力に関連する物理量を検出することで、前記角速度を検出する振動式角速度検出器の調整方法であって、
    前記振動式角速度検出器は、
    前記マス部のX軸の正方向に位置する第1側面からX軸正方向に伸びる第1梁と、
    前記マス部のX軸の負方向に位置する第2側面からX軸負方向に伸びる第2梁と、
    前記第1梁に配置されている第1梁電極と、前記第1梁電極の近傍であって前記基板面に配置されている第1調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて前記第1梁のバネ定数を調整可能な第1調整部と、
    前記第2梁に配置されている第2梁電極と、前記第2梁電極の近傍であって前記基板面に配置されている第2調整電極とを備え、電気バネ効果を用いて前記第2梁のバネ定数を調整可能な第2調整部と、
    を備えており、
    前記第1梁および前記第2梁は、リンク部で折れ返された構造を備えたフォールデッド梁であり、
    前記振動式角速度検出器は、前記リンク部に配置されている検出電極であって、前記リンク部のY軸方向の変位量を検出可能な前記検出電極をさらに備えており、
    前記第1調整部および前記第2調整部の少なくとも一方を用いて前記第1梁のバネ定数と前記第2梁のバネ定数とを等しくする、振動式角速度検出器の調整方法。
  10. 前記第1梁のバネ定数を調整することで前記第1梁のバネ定数と前記第2梁のバネ定数とを等しくする、または、前記第2梁のバネ定数を調整することで前記第1梁のバネ定数と前記第2梁のバネ定数とを等しくする、請求項8または9に記載の振動式角速度検出器の調整方法。
  11. 前記振動式角速度検出器は、前記第1梁および前記第2梁からなる一対のペア梁を複数備えており、
    複数の前記第1梁の各々に備えられている前記第1調整部に共通の制御電圧を印加することで、複数の前記第1梁のバネ定数を一体に制御し、
    複数の前記第2梁の各々に備えられている前記第2調整部に共通の制御電圧を印加することで、複数の前記第2梁のバネ定数を一体に制御することが可能である、
    請求項8~10の何れか1項に記載の振動式角速度検出器の調整方法。
  12. 前記振動式角速度検出器は、前記第1梁および前記第2梁からなる一対のペア梁を複数備えており、
    複数の前記第1梁の各々に備えられている前記第1調整部および複数の前記第2梁の各々に備えられている前記第2調整部に所定の直流オフセット電圧を印加することで、複数の前記第1梁および複数の前記第2梁のバネ定数を一律に低下させるオフセット電圧印加ステップを備え、
    前記オフセット電圧印加ステップの後に、前記第1調整部および前記第2調整部の少なくとも一方を用いて前記第1梁のバネ定数と前記第2梁のバネ定数とを等しくする、請求項10に記載の振動式角速度検出器の調整方法。
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