JP2000146592A - 振動式検出器 - Google Patents

振動式検出器

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JP2000146592A
JP2000146592A JP10324913A JP32491398A JP2000146592A JP 2000146592 A JP2000146592 A JP 2000146592A JP 10324913 A JP10324913 A JP 10324913A JP 32491398 A JP32491398 A JP 32491398A JP 2000146592 A JP2000146592 A JP 2000146592A
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axis
vibration
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vibrating
electrode
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Tomoyoshi Tsuchiya
智由 土屋
Hirobumi Funabashi
博文 船橋
Jiro Sakata
二郎 坂田
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】振動式検出器において、励振振動の検出軸方向
への漏れ振動を抑制すること。 【解決手段】基板面に平行なy軸方向に伸びたビーム2
1、22、23、24で支持されたマス部10をx軸方
向に振動させ、y軸回りの角速度Ωによりz方向に生起
されるコリオリ力による振動を検出することにより角速
度Ωを検出する角速度検出器において、x軸方向にマス
部を挟んで配設された、各々がx軸方向、z軸方向の成
分を持つ1対の加振電極31、32を設ける。1対の加
振電極31、32に印加する交流電圧をそれぞれ独立に
制御することで、1対の加振電極31、32からマス部
10に及ぼされる、x軸方向の力の成分の和、z軸方向
の力の成分の和を独立に制御し、振動の検出軸方向への
漏れ振動を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、互いに直交する2
軸方向に励振軸及び検出軸を持つ、振動式検出器に関す
る。本発明は、コリオリ力に関連する物理量を検出する
ことで角速度を検出する振動式角速度検出器に特に有効
である。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体の微細加工技術を用いて製
造した、振動式角速度検出器の開発が盛んである。図1
1、図12に振動式角速度検出器の一例として、検出器
900、990を示す。検出器900は、図11のx軸
方向にマス部10を励振させ、y軸回りの角速度が印加
されたときにz軸方向に発生するコリオリ力を検出す
る。また、検出器990は、図12のx軸方向にマス部
10を励振させ、z軸回りの角速度が印加されたときに
y軸方向に発生するコリオリ力を検出する。これら検出
器900、990は半導体の微細加工技術を用いて製造
した場合、それら検出器自体の大きさが小さく、発生す
るコリオリ力も微小であるため、励振振動を共振状態に
置くことが一般的である。
【0003】ところが、上述のような振動式角速度検出
器においては、励振振動、検出振動の共振周波数が一
致、若しくは近い周波数であることが多い。この場合、
構造の非対称性などの機械的要因、ノイズなどの電気的
要因により、角速度が印加されていない状態でも検出軸
方向に共振振動が現れる。これを漏れ振動と呼ぶが、こ
の漏れ振動は角速度検出の際のオフセット出力となる。
このオフセット出力が温度変化や振動状態の変化によっ
て揺らぐと、検出器の動作に重大な支障をきたす。この
漏れ振動を低減する方法として、例えば特開平10−1
03960には、検出軸方向に漏れ振動を打ち消す振動
発生装置を設けた角速度検出器999が提案されている
(図13)。角速度検出器999の漏れ振動を打ち消す
手段は以下の通りである。
【0004】図13に、角速度検出器999の構成を示
す。紙面に平行にx軸、y軸をとり、紙面に垂直にz軸
をとる。角速度検出器999のマス部10はx軸方向に
も、y軸方向にも振動可能に支持されている。
【0005】このマス部10のx軸に垂直な側面に、マ
ス部10とシリコン基板に固定された電極双方から延設
され、所定間隔隔てて平行に設けられた櫛歯の組からな
るx軸励振電極911と、マス部10のx軸励振電極9
11とは反対の側面に、x軸励振電極911と同様の構
成のx軸励振電極912が配設されている。x軸励振電
極911及び912の一方はマス部10のx軸方向の励
振振動を発生させ、一方はマス部10のx軸方向の振動
を検出し、適当な回路により共振周波数で励振させるよ
うになっている。
【0006】また、マス部10のx軸に垂直な側面に、
マス部10とシリコン基板に固定された電極双方から延
設され、所定間隔隔てて平行に設けられた櫛歯の組から
なるy軸振動検出電極931と、マス部10のy軸振動
検出電極931とは反対の側面に、y軸振動検出電極9
31と同様の構成のy軸振動検出電極932が配設され
ている。y軸振動検出電極931及び932は、マス部
10のy軸方向の変位をその電極の容量変化として検出
するようになっており、2組あることでその精度をあげ
ることができる。
【0007】さて、角速度検出器999は、マス部10
のy軸に垂直な側面に、マス部10とシリコン基板に固
定された電極双方から延設され、所定間隔隔てて平行に
設けられた櫛歯の組からなる、y軸補正振動電極941
と、マス部10のy軸補正振動電極941とは反対の側
面に、y軸補正振動電極941と同様の構成のy軸補正
振動電極942が配設されている。y軸補正振動電極9
41及び942は、マス部10をy軸方向に補正振動さ
せる役割を果たす。
【0008】図14に、角速度検出器999の、漏れ振
動を低減するための回路をブロック図として示した。駆
動回路901により、x軸励振電極911に交流電圧V
dが印加され、マス部10がx軸方向に振動する。角速
度が印加されていない状態でのマス部10のy軸方向の
変位を、容量変化としてy軸振動検出電極931及び9
32から変位量検出回路902に出力され、角速度信号
変換回路903でオフセット出力V0として出力され
る。このオフセット出力V0が0に等しくなるよう、オ
フセット調整回路904を通し、補正駆動回路905か
ら補正交流電圧Vrがy軸補正振動電極941及び94
2に印加される構成である。特開平10−103960
には更に回路と論理演算回路を追加することで、漏れ振
動を自動補正する角速度検出器とすることも提案してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この角速度検
出器999においては、漏れ振動を打ち消す振動発生の
構造であるy軸補正振動電極941、942を振動子に
追加するだけでなく、漏れ振動を検知したのち、その漏
れ振動を打ち消すための信号を発生する回路904、9
05を新たに追加しなければならなかった。これらはオ
フセット出力が温度変化や振動状態の変化によって揺ら
ぐことをも防ぐ目的ではあるが、漏れ振動の主要因が機
械的要因であることに鑑みると、必ずしも妥当な改良と
は言いがたい。
【0010】そこで本発明者らは、振動式検出器の構造
の非対称性、特に励振振動を発生させる電極の非対称性
などの機械的要因が上記漏れ振動の主要因であることに
鑑み、より簡易な構成並びに回路で振動式検出器の漏れ
振動を低減することに成功した。したがって本発明の目
的は、簡易な回路で漏れ振動を低減する手段を有する、
振動式検出器を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の手段によれば、次の構成の振動式
検出器となる。即ち、基板に対して振動可能に支持され
たマス部をx軸方向に励振させ、第1の物理量を、z軸
(或いはy軸)方向に発生する第2の物理量を検出する
ことで検出する振動式検出器において、x軸方向にマス
部を挟んで配設された少なくとも1対の加振手段を有
し、各加振手段が生起する加振力がx軸方向の成分及び
z軸(若しくはy軸)方向の成分を有し、1対の加振手
段を成す2つの加振手段が生起する加振力の大きさを独
立に制御する手段を有し、1対の加振手段を成す2つの
加振手段が生起する加振力のx軸方向の成分の和、及び
z軸(若しくはy軸)方向の成分の和を独立に制御する
ことを特徴とする。即ち、1対の加振手段により、励振
軸方向に振動を加え、検出軸方向には漏れ振動を低減す
ることができる構成とするのである。
【0012】また、請求項2に記載の手段によれば、次
の第1又は第2の構成の振動式角速度検出器となる。即
ち、第1の構成は、基板に対して振動可能に支持された
マス部をx軸方向に励振させ、y軸回りの角速度をz軸
方向に発生するコリオリ力に関連する物理量を検出する
ことで、角速度を検出する振動式角速度検出器におい
て、x軸方向にマス部を挟んで配設された少なくとも1
対の加振手段を有し、各加振手段が生起する加振力がx
軸方向の成分及びz軸方向の成分を有し、1対の加振手
段を成す2つの加振手段が生起する加振力の大きさを独
立に制御する手段を有し、1対の加振手段を成す2つの
加振手段が生起する加振力のx軸方向の成分の和及びz
軸方向の成分の和を独立に制御することで、z軸方向の
漏れ振動を低減することを特徴とする。即ち、1対の加
振手段により、励振軸方向(x軸方向)に振動を加え、
検出軸方向(z軸方向)には漏れ振動を低減することが
できる構成とするのである。また、第2の構成は、基板
面に垂直にz軸をとった上で、第1の構成でy軸とある
をz軸と、且つz軸とあるをy軸と読み替えた構成であ
る。即ち、z軸回りの角速度を1対の加振手段により、
y軸方向に発生するコリオリ力に関連する物理量を検出
することで、角速度を検出する振動式角速度検出器にお
いて励振軸方向(x軸方向)に振動を加え、検出軸方向
(y軸方向)には漏れ振動を低減することができる構成
とするのである。
【0013】更に、請求項3に記載の手段によれば、請
求項2に記載の振動式角速度検出器において、検出器が
半導体の微細加工技術により作製されたものであり、マ
ス部と基板に形成された櫛歯電極間の静電力を加振手段
としたものであり、その加振手段による静電力が、x軸
方向に常に正負いずれか一方の成分及びz軸方向(もし
くはy軸方向)に常に正負いずれか一方の成分を有する
ことを特徴とする。尚、この際、「常に正」及び「常に
負」は0となることが有りうるものとする。また、この
際、好ましくは、2つの加振手段による静電力が、x軸
方向に一方は常に正且つ一方は常に負であり、z軸方向
(もしくはy軸方向)に両方とも常に正或いは両方とも
常に負である事が好ましい。
【0014】また、請求項4に記載の手段によれば、x
軸方向にマス部を挟んで配設された、生起する第1加振
力及び第2加振力がそれぞれx軸方向の成分、及び、z
軸(若しくはy軸方向)の成分を有する第1加振手段及
び第2加振手段と、第1加振手段及び第2加振手段が生
起する第1加振力及び第2加振力の大きさをそれぞれ独
立に制御する第1制御手段及び第2制御手段と、マス部
のx軸方向の振動を検出するx軸振動検出手段と、マス
部のz軸方向振動(若しくはy軸方向振動)を検出する
z軸振動検出手段(若しくはy軸振動検出手段)と、z
軸振動検出手段(若しくはy軸振動検出手段)の検出す
るz軸方向振動(若しくはy軸方向振動)が、y軸回り
(若しくはz軸回り)の角速度由来のものかx軸方向の
振動由来のものかを判別する判別手段とを有し、x軸振
動検出手段、判別手段、並びに第1制御手段及び第2制
御手段により、第1加振手段及び第2加振手段が生起す
る第1加振力及び第2加振力の大きさをそれぞれ独立に
フィードバック制御することでマス部のx軸方向の振動
由来のz軸方向振動(若しくはy軸方向振動)を自動低
減させることを特徴とする。
【0015】
【作用】振動子検出器の構造の非対称性などの機械的要
因とは、例えば励振電極による静電力の方向が励振軸方
向以外の成分を持っている場合や、マス部を振動可能に
支持するビームが正確な直方体状でないなどの理由によ
り、印加される力の方向に対して変位方向がずれてしま
う場合などを意味する。本発明によれば、1対の加振手
段により、励振軸方向に振動を加え、検出軸方向には漏
れ振動を打ち消すことができる構成としたことにより、
従来の振動式検出器の励振振動が振動子(マス部)に与
えていた検出軸方向の漏れ振動を実質的に0に抑えるこ
とが可能となる。振動式検出器の漏れ振動の主要因は、
励振振動電極の振動により振動子(マス部)が検出軸方
向にも振動してしまうことであるので、本発明により、
振動式検出器の漏れ振動を大幅に低減できる。また、本
発明により、漏れ振動を自動的に低減する回路を接続す
る振動式検出器とすることもできる。特に、振動式角速
度検出器が半導体の微細加工技術により作製されたもの
である場合、1対の加振手段を、櫛歯電極を噛み合わ
せ、交流電圧を印加することで生じる櫛歯電極間の静電
力によるものとし、1対の加振手段をなす各々の加振手
段の静電力が、x軸方向に常に正負いずれか一方の成分
を有し、z軸方向に常に正負いずれか一方の成分を有す
るようにすれば、位相と交流電圧を適宜調整することに
より本発明が容易に実施できる。尚、この際、「常に
正」及び「常に負」は0となることが有りうるものとす
る。また好ましくは、各々の加振手段の静電力が、x軸
方向に一方は常に正の成分、一方は常に負の成分を有
し、z軸方向に両方とも常に正の成分或いは常に負の成
分を有するようにすれば、位相と交流電圧を適宜調整す
る際、x軸方向(励振方向)の加振力の相殺を生じるこ
となく、本発明を有効に実施できる。
【0016】
【発明の効果】本発明を実施するための構成は従来の漏
れ振動低減の方法よりも簡略であり、より少ない回路構
成で漏れ振動を低減できる。また、本発明により、漏れ
振動を低減させた安価な振動式検出器が提供できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施例を
図を用いて説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定
されるものではない。
【0018】≪第1実施例≫図1の(a)、(b)は、
本発明の具体的な一実施例にかかる振動式検出器101
の平面図及び断面図である。振動式検出器101は、半
導体の微細加工により形成される。図1の(a)におい
て、紙面が基板面であり、基板面に垂直な方向にz軸、
基板面上に図のようにx軸、y軸をとる。この検出器1
01ではy軸の回りの角速度Ωが検出され、x軸が励振
軸、z軸が検出軸である。マス部10の+y軸方向の側
には、ビーム21、22が+y軸方向に延設されてお
り、マス部10の−y軸方向の側には、ビーム23、2
4が−y軸方向に延設されている。ビーム21、22、
23、24はそれぞれ他端でアンカー210、220、
230、240によりシリコン基板1に固定されてい
る。このような構成により、アンカー210、220、
230、240によりシリコン基板1に固定され、y軸
方向に伸びたビーム21、22、23、24により支持
されたマス部10は、y軸方向には振動可能ではない
が、x軸方向、z軸方向にはビーム21、22、23、
24がたわむことにより振動可能となっている。
【0019】マス部10の+x軸方向の側には、歯がx
軸方向に伸び、y軸方向に沿ってマス部加振櫛歯電極1
11と、マス部x軸振動検出櫛歯電極121が形成され
ている。そして、それらマス部加振櫛歯電極111と、
マス部x軸振動検出櫛歯電極121にそれぞれ噛み合う
ように加振電極31及びx軸振動検出電極41から加振
櫛歯電極310とx軸振動検出櫛歯電極410が延設さ
れている。但し、マス部x軸振動検出櫛歯電極111と
加振櫛歯電極310は、図1の(b)に示すように、z
軸方向にずれた形でかみ合っている。加振電極31及び
x軸振動検出電極41はシリコン基板1に固定されてい
る。マス部加振櫛歯電極111と加振櫛歯電極310が
右側加振電極を構成する。
【0020】全く同様に、マス部10の−x軸方向の側
には、歯が−x軸方向に伸び、y軸方向に沿ってマス部
加振櫛歯電極112と、マス部x軸振動検出櫛歯電極1
22が形成されている。そして、それらマス部加振櫛歯
電極112と、マス部x軸振動検出櫛歯電極122にそ
れぞれ噛み合うように加振電極32及びx軸振動検出電
極42から加振櫛歯電極320とx軸振動検出櫛歯電極
420が延設されている。但し、マス部x軸振動検出櫛
歯電極112と加振櫛歯電極320は、図1の(b)に
示すように、z軸方向にずれた形でかみ合っている。加
振電極32及びx軸振動検出電極42はシリコン基板1
に固定されている。マス部加振櫛歯電極112と加振櫛
歯電極320が左側加振電極を構成する。
【0021】一方、マス部x軸振動検出櫛歯電極121
及びx軸振動検出櫛歯電極410、マス部x軸振動検出
櫛歯電極122及びx軸振動検出櫛歯電極420はそれ
ぞれx軸振動検出電極の組を構成する。マス部x軸振動
検出櫛歯電極121及びx軸振動検出櫛歯電極410と
の間、マス部x軸振動検出櫛歯電極122及びx軸振動
検出櫛歯電極420との間に一定の電位差を印加してお
けば、マス部10のx軸方向の振動により、マス部x軸
振動検出櫛歯電極121及びx軸振動検出櫛歯電極41
0との間、マス部x軸振動検出櫛歯電極122及びx軸
振動検出櫛歯電極420との間の静電容量の変化により
電極間に蓄えられる電荷量が変化する。この2組の電極
間の電荷量の変化をx軸振動検出電極41、42から出
力する。
【0022】また、シリコン基板1上にマス部10と相
対してz軸振動電極50が配設されている。z軸振動電
極50とマス部10との間に一定の電位差を印加してお
けば、マス部10のz軸方向の振動により、z軸振動電
極50とマス部10との間隙が振動的に変化し、静電容
量の変化により電極間に蓄えられる電荷量が変化する。
この2組の電極間の電荷量の変化を出力することでマス
部10のz軸方向の振動を検出することができる。
【0023】このような構成の振動式検出器101の動
作について説明する。説明のため、図2の(a)の斜視
図に示すように、向かい合った面が平行な板状直方体の
マス部加振櫛歯電極111の1つの櫛歯111aと、板
状直方体の加振櫛歯電極310の1つの櫛歯310aの
関係について考える。マス部加振櫛歯電極の櫛歯111
aについて、図2の(a)のとおり、x軸、y軸、z軸
をとる。
【0024】マス部10及びマス部加振櫛歯電極111
に対し、加振電極31及び加振櫛歯電極310に交流電
圧V=V0sinωtを加えるとする。ここでtは時刻、ω
は交流電圧の角周波数である。図2の(b)の断面図に
示すように、交流電圧がかからず、マス部10が振動し
ていない状態での、マス部加振櫛歯電極111aと加振
櫛歯電極310aの、y軸方向から見た重なりを、x軸
方向にx0、z軸方向にz0の長方形状とする。但し、x
0、z0は共に正。マス部加振櫛歯電極111aと加振櫛
歯電極310aは交流電圧V=V0sinωtにより、向か
い合った面が間隙dを保ち平行のままマス部加振櫛歯電
極111aが振動するものとする。こうして、図2の
(c)に示す通り、交流電圧=V0sinωtが印加され、
ある時刻tにおいてマス部加振櫛歯電極の櫛歯111a
がx軸及びz軸方向に変位し、マス部加振櫛歯電極11
1aと加振櫛歯電極310aの、y軸方向から見た重な
りがx軸方向にx+x0及びz軸方向にz+z0の長方形
状となったとすると、マス部加振櫛歯電極111aと加
振櫛歯電極310aの間の静電エネルギーUは、間隙の
誘電率をεとして次の通り表される。
【数1】U=ε(x0+x)(z0+z)V2/2d =ε(x0+x)(z0+z)V0 2sin2ωt/2d …(1)
【0025】x≪x0、z≪z0ならば、(1)式をx、
zでそれぞれ偏微分することにより、ある時刻tでの加
振櫛歯電極310aからマス部加振櫛歯電極111aに
及ぼされる力のx軸方向、z軸方向の成分が次の通り求
められる。
【数2】 Fx=δU/δx=εz00 2sin2ωt/2d=Fx0sin2ωt …(2) Fz=δU/δz=εx00 2sin2ωt/2d=Fz0sin2ωt …(3)
【0026】これらがマス部加振櫛歯電極111と加振
櫛歯電極310の1つ1つの間隙に生じるので、間隙が
n個あれば、加振電極31からマス部10に及ぼされる
力F 31のx軸方向、z軸方向の成分Fx1z1は、
(2)、(3)のn倍である。これらを次のように置
く。
【数3】 Fx1=nFx0sin2ωt=Fx10sin2ωt …(4) Fz1=nFz0sin2ωt=Fz10sin2ωt …(5)
【0027】<振動式検出器101が完全に左右対称な
構造であるとき>いま、振動式検出器101の構造が、
完全に左右対称であると仮定して、振動の様子を考察す
る。即ち、マス部10の重心を通りx軸に垂直な平面に
対して振動式検出器101全体が、左右対称な構造であ
ると仮定する。さらに、加振電極32には、交流電圧V
0sin(ωt+π/2)を印加したとする。上記と全く同様
の論理で、次の成分を持つ力が加振電極32からマス部
10に及ぼされることが判る。
【数4】 Fx2=Fx20sin2(ωt+π/2) …(6) Fz2=Fz20sin2(ωt+π/2) …(7)
【0028】さて、図3の(a)に示すように、振動式
検出器101の構造が、完全に左右対称であれば明らか
に次が成り立つ。
【数5】 Fx20=−Fx10 …(8) Fz20=Fz10 …(9)
【0029】ここまでの事情を、グラフとして図4に示
す。図4の(a)は、加振電極31に印加される、交流
電圧V0sinωtの平方V0 2sin2ωtを示している。ま
た、図4の(b)は、加振電極32に印加される、交流
電圧V0sin(ωt+π/2)の平方V0 2sin2(ωt+π/2)
を示している。
【0030】x軸方向の加振力について図4で説明す
る。図4の(c)は、(4)式で示される、加振電極3
1からマス部10に及ぼされる力F31のx軸方向成分F
x1を示し、図4の(d)は、(6)式で示される、加振
電極32からマス部10に及ぼされる力F32のx軸方向
成分Fx2を示している。このように、振動式検出器10
1が完全に左右対称な構造を持つと仮定した場合、加振
電極31、32に位相がπ/2違う交流電圧を印加する
ことにより、交流電圧の平方に比例する加振力のx軸方
向の成分は(8)式の関係から同位相となり、加振電極
31、32の力は合わせて図4の(e)のように振幅F
x10を持つ振動状態となる。実際、(8)式を使って
(4)+(6)を作れば、次の通りとなる。
【数6】 Fx1+Fx2=Fx10sin2ωt+Fx20sin2(ωt+π/2) =Fx10(1−cos2ωt)/2−Fx10[1−cos(2ωt+π)]/2 =−Fx10cos2ωt …(10)
【0031】z軸方向の加振力について図4で説明す
る。図4の(f)は、(5)式で示される、加振電極3
1からマス部10に及ぼされる力F31のz軸方向の成分
z1を示し、図4の(g)は、(7)式で示される、加
振電極32からマス部10に及ぼされる力F32のz軸方
向成分Fz2を示している。このように、振動式検出器1
01が完全に左右対称な構造を持つと仮定した場合、加
振電極31、32に位相がπ/2違う交流電圧を印加す
ることにより、交流電圧の平方に比例する加振力のz軸
方向の成分は(9)式の関係から逆位相となるが相殺さ
れるわけではなく、加振電極31、32の力は合わせて
図4の(h)のように一定値Fz10になる。実際、
(9)式を使って(5)+(7)を作れば、次の通りと
なる。
【数7】 Fz1+Fz2=Fz10sin2ωt+Fz20sin2(ωt+π/2) =Fz10(1−cos2ωt)/2+Fz10[1−cos(2ωt+π)]/2 =Fz10 …(11)
【0032】このように、振動式検出器101が完全に
左右対称な構造を持つと仮定した場合、加振電極31、
32に位相がπ/2違う角周波数ωの交流電圧を印加す
ることにより、x軸方向には角周波数2ωの加振力が加
わり、z軸方向には一定の力が加わる。即ち、振動式検
出器101のマス部10はx軸方向には角周波数2ωの
強制振動により励振され、z軸方向には一定の力により
一定の変位が生じる。
【0033】このとき振動式検出器101にy軸回りの
角速度Ωが印加されれば、マス部10にz軸方向にコリ
オリ力が働く。即ち、x軸方向のマス部10がx=xVs
inαtで示される励振状態にあれば、z軸方向にコリオ
リ力Fcが働き、その大きさは次の通りである。
【数8】 Fc=2mΩdx/dt=2mΩαxVcosαt …(12)
【0034】一方、角速度Ωが印加される前はz軸方向
には一定の力により一定の変位が生じている。即ち、マ
ス部10を支持するビーム21、22、23、24の復
元力と釣り合ったところでマス部10のz軸方向の変位
は一定となる。よって、(12)式のコリオリ力Fc
よる振動が、マス部10とz軸振動電極50の静電容量
の振動として検出できるので、振動式検出器101はy
軸方向の角速度の検出器として使用できる。
【0035】さて、以上の議論から更に、振動式検出器
101は、左右対称でない場合も適当な制御手段を設け
ることにより、y軸回りの角速度が印加されない状態で
のマス部10のz軸方向の変位を一定とすることで、y
軸回りの角速度の検出器として使用できる。さらに、振
動式検出器101の構成とすることで、加振電極31若
しくは32がマス部10に及ぼす静電力自体がz軸方向
の成分を持つ場合、或いはマス部10がビーム21、2
2、23、24形状等の問題から、加振電極31若しく
は32がマス部10に及ぼす静電力の方向と実際のマス
部10の変位の方向がずれてしまう場合においても、y
軸回りの角速度が印加されない状態でのマス部10のz
軸方向の変位を一定とすることで、y軸回りの角速度を
検出する検出器とすることができる。以下にこれを説明
する。
【0036】<振動式検出器101が左右対称な構造で
ないとき−1>加振電極31及び32に、交流電圧V0s
inωt及びV0sin(ωt+π/2)とをそれぞれ印加した
とき、加振電極31、32からマス部10に及ぼされる
力のx軸、z軸方向の成分が数9で示され、且つ、数1
0の条件が成立するものとする。
【数9】 Fx1=Fx10sin2ωt …(13) Fz1=Fz10sin2ωt …(14) Fx2=Fx20sin2(ωt+π/2) …(15) Fz2=Fz20sin2(ωt+π/2) …(16)
【数10】 Fx10・Fx20<0 …(17) Fz10・Fz20>0 …(18)
【0037】即ち、Fx10とFx20、Fz10とFz20の符号
は上述の振動式検出器101が完全に左右対称な構造の
時と同じだが、大きさの条件が無い場合である。
【0038】式(13)〜(18)のもとでは、加振電
極31、32に印加する交流電圧を同じ電圧V0でな
く、Fz10とFz20が等しくなるように設定すればよい。
例えば加振電極31、32にV1sinωt及びV2sin(ω
t+π/2)とを印加したとき、条件数11が成立すれ
ば、加振電極31、32からマス部10に及ぼされる力
の和は数12のとおりとなる。
【数11】 |Fx10|<|Fx20| 且つ Fx10・Fx20<0 …(19) Fz20=Fz10 …(20)
【数12】 Fx1+Fx2=Fx10sin2ωt+Fx20sin2(ωt+π/2) =Fx10(1−cos2ωt)/2+Fx20[1−cos(2ωt+π)]/2 =Fx10+Fx20+[(Fx20−Fx10)cos2ωt]/2 …(21) Fz1+Fz2=Fz10sin2ωt+Fz20sin2(ωt+π/2) =Fz10(1−cos2ωt)/2+Fz10[1−cos(2ωt+π)]/2 =Fz10 …(22)
【0039】よって式(21)、(22)から、マス部
10は交流電圧V1sinωt及びV2sin(ωt+π/2)と
を加振電極31、32に印加する前の状態から、x軸方
向、z軸方向にわずかに変位した位置を中心として、x
軸方向のみに励振振動状態とすることができる。ここに
y軸回りの角速度Ωが印加されれば、それにより生起さ
れるコリオリ力によりz軸方向に振動が発生するので、
角速度検出器として使用できる。
【0040】<振動式検出器101が左右対称な構造で
ないとき−2>振動式検出器101の変形として、断面
図が図3の(b)のような加振電極を持っている場合を
考える。即ち、加振電極31の加振櫛歯電極310がマ
ス部加振櫛歯電極111よりも+z軸方向にずれ、加振
電極32の加振櫛歯電極320がマス部加振櫛歯電極1
12よりも−z軸方向にずれている場合である。加振電
極31及び32のどちらにも、交流電圧V0sinωtを印
加したとき、加振電極31、32からマス部10に及ぼ
される力のx軸、z軸方向の成分が数13で示され、且
つ、数14の条件が成立するものとする。
【数13】 Fx1=Fx10sin2ωt …(23) Fz1=Fz10sin2ωt …(24) Fx2=Fx20sin2ωt …(25) Fz2=Fz20sin2ωt …(26)
【数14】 Fx10・Fx20<0 …(27) Fz10・Fz20<0 …(28)
【0041】即ち、Fx10とFx20の符号は正負逆、F
z10とFz20の符号も正負逆の場合を考える。
【0042】式(23)〜(28)のもとでは、加振電
極31、32に印加する交流電圧を同じ電圧V0でな
く、Fz10とFz20の絶対値が等しくなるように設定すれ
ばよい。例えば加振電極31、32にV1sinωt及びV
2sinωtとを印加したとき、条件数15が成立すれば、
加振電極31、32からマス部10に及ぼされる力の和
は数16のとおりとなる。
【数15】 Fx10・Fx20<0 …(29) |Fz10|=|Fz20| 且つ Fz10・Fz20<0 …(30)
【数16】 Fx1+Fx2=Fx10sin2ωt+Fx20sin2ωt =Fx10(1−cos2ωt)/2+Fx20(1−cos2ωt)/2 =(Fx10+Fx20)[1−(cos2ωt)/2] …(31) Fz1+Fz2=Fz10sin2ωt+Fz20sin2ωt =0 …(32)
【0043】よって式(31)、(32)から、|F
x10|=|Fx20|且つFx10・Fx20<0でない限り、マ
ス部10は交流電圧V1sinωt及びV2sinωtとを加振
電極31、32に印加する前の状態から、x軸方向にわ
ずかに変位した位置を中心として、x軸方向のみに励振
振動状態とすることができる。
【0044】以上から、振動式検出器101の構成にお
いて、加振電極31若しくは32がマス部10に及ぼす
静電力自体がz軸方向の成分を持つ場合は、加振電極3
1、32に印加する交流電圧を制御することで、次の条
件が成立する以外の場合はx軸方向のみに励振振動状態
とすることができることが判った。
【数17】 Fx10/Fz10=Fx20/Fz20 …(33) 或いはFz10、Fz20の一方のみが0 …(34)
【0045】<静電力の方向と実際のマス部10の変位
の方向がずれてしまう場合>さて、ここから本題につい
て議論する。静電力Fx1並びにFz1、及びFx2並びにF
z2が印加された際、Fx1或いはFx2に起因するz軸方向
の漏れ振動が更にマス部10に生起される場合を考え
る。上述までの議論では、加振電極31、32のz軸方
向の力の成分の和Fz1+F z2が0或いは一定値となり、
振動成分を持たないよう制御したが、Fx1或いはF x2
起因するz軸方向の漏れ振動を打ち消すためにはそれに
見合うようFz1+F z2を制御すればよい。これは容易で
ある。即ち、以下の数20以外の場合であれば、数18
の場合は加振電極31、32にπ/2位相のずれた交流
電圧を印加することで、数19の場合は加振電極31、
32に位相の一致した交流電圧を印加することで、それ
ら交流電圧の比を制御することにより、x軸方向の強制
振動と、それがz軸方向に漏れることにより生ずる漏れ
振動を「打ち消すためのz軸方向の強制振動」とをマス
部10に印加することができることは、上述の議論から
明らかである。即ち、互いに逆位相であるFz1及びFz2
のいずれか一方と同位相の外力Fz1+Fz2を加えること
が可能であるので、これにより、z軸方向に生ずる漏れ
振動を抑制することができる。尚、数19の場合はx軸
方向の加振力を相殺することになるので、x軸方向の加
振力を相殺しない数18の条件が成立する場合のほうが
より好ましい。
【数18】 Fx10・Fx20<0 且つ Fz10・Fz20>0 …(35)
【数19】 Fx10・Fx20<0 且つ Fz10・Fz20<0 …(36)
【数20】Fx10/Fz10=Fx20/Fz20 …(37)
【0046】このことを実験結果により示す。図5の
(a)は振動式検出器101の加振電極31、32に、
同じ電圧の交流電圧を印加したときのマス部10の振動
状態をオシロスコープにより測定した写真である。x軸
方向の振動は、図1に示すx軸振動検出電極41、42
により、z軸方向の振動は図1に示すz軸振動検出電極
50により検出した。図5の(a)は、y軸回りの角速
度が印加されていない場合にz軸方向の振動が生じてい
ることを示している。即ち、z軸方向に漏れ振動が発生
していることが判る。ここで加振電極31、32に印加
する交流電圧の比を1:1.5としたときの状態を図5
の(b)に示す。z軸方向の振動がほとんどなくなり、
漏れ振動を効果的に抑制できたことが判る。
【0047】また、適宜外部回路を設計、接続すること
により本発明の振動式検出器を、漏れ振動を自動的に検
知し、補正する振動式検出器とすることも可能である。
【0048】振動式検出器101を動作させる回路をブ
ロック図として図6に示す。発振回路60から、それぞ
れ独立に右振幅制御回路61、左振幅制御回路62に出
力が行われ、それぞれ加振電極31、32に交流電圧が
印加される。この交流電圧により、マス部10はx軸方
向に振動し、z軸方向は振動するか又は変位する。
【0049】x軸方向の振動がx軸振動検出電極41、
42の出力の和としてx軸振動検出回路70に入力され
る。x軸振動検出回路70はその情報を発振回路60に
フィードバックする。こうして、x軸振動検出回路70
からの情報により、x軸振動の振幅が最大になるよう発
振回路60は交流電圧の周波数を掃引する。こうしてマ
ス部10のx軸方向の振動は共振状態になる。
【0050】さて、z軸方向に振動が生じると、z軸振
動検出電極50の出力としてz軸振動検出回路80に出
力される。z軸振動検出回路80から角速度を出力する
と共に漏れ振動判別回路81に出力される。z軸方向の
振動が漏れ振動と判別されたならばその漏れ振動の大き
さを打ち消すよう、右振幅制御回路61及び左振幅制御
回路62にフィードバックされる。この際、z軸方向の
漏れ振動を打ち消し、x軸方向の振動に変化が無いよう
に右振幅制御回路61及び左振幅制御回路62から加振
電極31及び32に交流電圧が印加される。
【0051】以上のように、振動式検出器101に、漏
れ振動の自動補正を可能とした回路を接続することがで
きる。ここで、加振電極31、32が第1加振手段、第
2加振手段を構成し、右振幅制御回路61、左振幅制御
回路62が第1制御手段、第2制御手段を構成し、x軸
振動検出電極41及び42並びにx軸振動検出回路70
がx軸振動検出手段を構成し、z軸振動検出電極50及
びz軸振動検出回路80がz軸振動検出手段を構成し、
漏れ振動判別回路81が判別手段を構成する。
【0052】≪変形例1≫図7の(a)は、本発明の実
施例の第1の変形例にかかる振動式検出器102の平面
図である。振動式検出器102は、振動式検出器101
の櫛歯電極を、平行電極で置き換えたものである。即
ち、振動式検出器102においては、加振電極31とそ
れに相対するマス部10のx軸に垂直な側面131が、
振動式検出器101の加振櫛歯電極310とマス部加振
櫛歯電極111を置き換えた形になっている。加振電極
31と、それに相対するマス部10のx軸に垂直な側面
131は、図7の(b)に示す断面図のようにz軸方向
にずれている。全く同様に、加振電極32とz軸方向に
ずれてそれに相対するマス部10のx軸に垂直な側面1
32が、振動式検出器101の加振櫛歯電極320とマ
ス部加振櫛歯電極112を置き換えた形になっている。
【0053】また、振動式検出器102においては、x
軸振動検出電極41とそれに相対するマス部10のx軸
に垂直な側面141が、振動式検出器101のx軸振動
検出櫛歯電極410とマス部x軸振動検出櫛歯電極12
1を置き換えた形になっている。全く同様に、x軸振動
検出電極42とそれに相対するマス部10のx軸に垂直
な側面142が、振動式検出器101のx軸振動検出櫛
歯電極420とマス部x軸振動検出櫛歯電極122を置
き換えた形になっている。z軸振動検出電極50が、マ
ス部10との間の静電容量の変化を出力することは振動
式検出器101と全く同様である。
【0054】振動式検出器102においては、加振電極
31若しくは32の静電力がそれらに相対するマス部1
0のx軸に垂直な側面131若しくは132を直接引き
寄せる。この点以外は、上述の第1実施例とほぼ同様の
議論が成立するので、振動式検出器102は、簡易な回
路で漏れ振動を低減できる振動式検出器とすることがで
きる。
【0055】≪変形例2≫図8は、図7に示した振動式
検出器102を更に変形し、y軸方向に生起されるコリ
オリ力を検出することでz軸回りの角速度を検出するよ
うにした、振動式検出器103である。振動式検出器1
03はx軸方向、y軸方向に振動可能となるよう、4点
を支える支持ビームを折れ曲がりビームとしたものであ
る。即ち、振動式検出器101、102でy軸方向に伸
びた支持ビーム21としていたものを、y軸方向に伸び
た部分211とx軸方向に伸びた部分212の構成とし
た。その他の3点を支える折れ曲がりビーム221及び
222、231及び232、241及び242も同様で
ある。また、加振電極31、32はそれらによる静電力
がx軸、y軸方向の成分を持つよう、加振電極31とそ
れに相対するマス部10の側面131は法線がy=ax
(aは正)となる向きに、加振電極32とそれに相対す
るマス部10の側面132は法線がy=ax(aは負)
となる向きに、配設されている。また、y軸方向の振動
を検出するため、y軸振動検出電極51及びそれと相対
するマス部10の側面151、y軸振動検出電極52及
びそれと相対するマス部10の側面152を電極面がy
軸に垂直となるよう設けた。x軸振動検出電極41とそ
れに相対するマス部10のx軸に垂直な側面141、及
びx軸振動検出電極42とそれに相対するマス部10の
x軸に垂直な側面142は、各々の電極面がx軸に垂直
に配設されている。このような構成の振動式検出器10
3は、振動式検出器101、102とほぼ同様な作動原
理により、簡易な回路で漏れ振動を低減できる振動式検
出器とすることができる。
【0056】≪変形例3、4≫このほかにも、次のよう
な変形例が考えられる。振動式検出器101では、加振
櫛歯電極310及び320と、マス部加振櫛歯電極11
1及び112がz軸方向にずれた形のものを示した。同
様に、図9、図10のような、櫛歯をz軸方向に非対称
なものとすることで、振動式検出器101のような効果
が期待できる。即ち、図9に示す、櫛歯電極の断面がz
軸方向に細くなる台形状である振動式検出器104、図
10に示す、櫛歯電極の端部が各々z軸方向に反った振
動式検出器105は、上述の振動式検出器101同様、
加振電極31、32からマス部10に及ぼされる静電力
をx軸、z軸方向の成分を持つものとすることができる
ので、振動式検出器101と同様な作動原理により、簡
易な回路で漏れ振動を低減できる振動式検出器とするこ
とができる。
【0057】以上のような構造を持つ振動式検出器10
1、103、或いは104は、製造技術上、意図せずに
作製される場合が多い。しかし振動式検出器101或い
は102のようにマス部及びマス部加振櫛歯電極が基板
に接近する状態は、例えばz軸振動検出電極に検出用の
電位をかけることによってもつくり出すことができる。
即ち、z軸振動検出電極とマス部の間の静電力により、
電位をかけていないときよりもマス部及びマス部加振櫛
歯電極がz軸の負方向にずれ、図1の(b)、図7の
(b)の状態をつくり出すことができる。これらは、よ
り好ましい図3の(a)の状態であり、2つの加振電極
のx軸方向の加振力を相殺することなく、本発明を有効
に実施できる。
【0058】また、振動式検出器101或いは102の
ようにマス部及びマス部加振櫛歯電極が基板に接近する
状態は、次のように振動式検出器を作製することによっ
ても可能である。即ち、振動式検出器101の場合、犠
牲層をマス部加振櫛歯電極、加振櫛歯電極の下部に形成
する際、マス部加振櫛歯電極下部の犠牲層表面が加振櫛
歯電極下部の犠牲層表面よりも低くなるよう形成し、マ
ス部加振櫛歯電極及び加振櫛歯電極を形成する半導体層
を形成する際もマス部加振櫛歯電極表面が加振櫛歯電極
表面よりも低くなるよう形成すれば、犠牲層を除去する
ことにより所望の振動式検出器101が形成できる。振
動式検出器102の場合は櫛歯電極を形成しないほか、
全く同様である。
【0059】上記実施例及び変形例は、一例をそれぞれ
示したものであり、同様の作動原理により様々な実施形
態をとることができる。よって、本発明の要部である2
軸方向振動成分を持つ1対の加振手段を有し、それらを
独立に制御できる振動式検出器であれば、振動式検出器
の形状、振動方向、外部回路の接続等は全く任意であ
る。
【0060】又、上記実施例は半導体の微細加工により
作製されたものを示したが、本発明の実施はこれに限ら
れず、金属、樹脂、他の無機材料を用いても可能であ
る。
【0061】上記実施例及び変形例では、主に角速度検
出器として利用可能なものを示したが、これらの用途は
角速度検出器に限られない。本発明の本質は、2軸方向
振動成分を持つ1対の加振手段を有し、それら加振手段
を独立に制御することであり、同様の作動原理により加
速度検出器、角加速度検出器、その他の化学的、光学的
センサなど、様々な実施形態をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の具体的な第1実施例にかかる
振動式検出器の平面図、(b)は断面図。
【図2】(a)は本発明の具体的な第1実施例にかかる
振動式検出器の加振櫛歯電極の関係を示した斜視図、
(b)は交流電圧が印加される前の断面図、(c)は交
流電圧が印加された後、時刻tでの断面図。
【図3】(a)は本発明の具体的な第1実施例にかかる
振動式検出器の1対の加振櫛歯電極の関係を示した断面
図、(b)は変形例にかかる振動式検出器の1対の加振
櫛歯電極の関係を示した断面図。
【図4】本発明の具体的な第1実施例にかかる振動式検
出器の、加振電極31に印加される交流電圧の平方を示
したグラフ図(a)、加振電極32に印加される交流電
圧の平方を示したグラフ図(b)、それにより加振電極
31からマス部10に及ぼされる加振力のx軸方向の成
分を示したグラフ図(c)、加振電極32からマス部1
0に及ぼされる加振力のx軸方向の成分を示したグラフ
図(d)、それらの和のグラフ図(e)、加振電極31
からマス部10に及ぼされる加振力のz軸方向の成分を
示したグラフ図(f)、加振電極32からマス部10に
及ぼされる加振力のz軸方向の成分を示したグラフ図
(g)、それらの和のグラフ図(h)。
【図5】本発明の具体的な第1実施例にかかる振動式検
出器の、(a)は加振電極31及び32の加振力のz軸
方向の成分の和が0のときのx軸方向の励振振動とz軸
方向の漏れ振動を示したオシロスコープ写真、(b)は
加振電極31及び32の加振力のz軸方向の成分の和が
z軸方向の漏れ振動を打ち消すようにしたときの、x軸
方向の励振振動とz軸方向の振動を示したオシロスコー
プ写真。
【図6】本発明の具体的な第1実施例にかかる振動式検
出器の回路の接続を示したブロック図。
【図7】(a)は本発明の具体的な第2実施例にかかる
振動式検出器の平面図、(b)は断面図。
【図8】(a)は本発明の具体的な第3実施例にかかる
振動式検出器の平面図、(b)は断面図。
【図9】(a)は本発明の具体的な第4実施例にかかる
振動式検出器の平面図、(b)は断面図。
【図10】(a)は本発明の具体的な第5実施例にかか
る振動式検出器の平面図、(b)は断面図。
【図11】従来の、基板面に垂直な軸を検出軸とした振
動式検出器。
【図12】従来の、基板面に平行な軸を検出軸とした振
動式検出器。
【図13】従来の、基板面に平行な軸を検出軸とし、漏
れ振動を低減する手段を持たせた振動式検出器の平面図
【図14】従来の、基板面に平行な軸を検出軸とし、漏
れ振動を低減する手段を持たせた振動式検出器の回路の
接続を示したブロック図。
【符号の説明】
101、102、103、104、105、110…本
発明の具体的な実施例及び変形例にかかる振動式検出器 1…シリコン基板 10…マス部 111、112…マス部加振櫛歯電極 121、122…マス部x軸振動検出櫛歯電極 31、32…加振電極 310、320…加振櫛歯電極 41、42…x軸振動検出電極 410、420…x軸振動検出櫛歯電極 21、22、23、24…支持ビーム 210、220、230、240…アンカー 50…z軸振動検出電極 60…発振回路 61、62…左、右加振制御回路 70…x軸振動検出回路 80…z軸振動検出回路 900、990、999…従来の振動式検出器 911、912…x軸励振電極 92…z軸振動検出電極 931、932…y軸振動検出電極 941、942…y軸補正振動電極 901、902、903、904、905…従来の振動
式検出器999の制御回路
フロントページの続き (72)発明者 坂田 二郎 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 2F105 BB07 CC04 CD03 CD05 CD11 CD13 CD20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板面上に互いに直交するx軸及びy軸
    と、基板面に垂直なz軸をとるとき、基板に対して振動
    可能に支持されたマス部をx軸方向に励振させ、第1の
    物理量を、z軸或いはy軸方向に発生する第2の物理量
    を検出することで検出する振動式検出器において、 x軸方向に前記マス部を挟んで配設された少なくとも1
    対の加振手段を有し、 前記各加振手段が生起する加振力がx軸方向の成分、及
    び、z軸若しくはy軸方向の成分を有し、 前記1対の加振手段を成す2つの加振手段が生起する加
    振力の大きさを独立に制御する手段を有し、 前記1対の加振手段を成す2つの加振手段が生起する加
    振力のx軸方向の成分の和、及び、z軸若しくはy軸方
    向の成分の和を独立に制御することを特徴とする振動式
    検出器。
  2. 【請求項2】 基板面上に互いに直交するx軸及びy軸
    と、基板面に垂直なz軸をとるとき、基板に対して振動
    可能に支持されたマス部をx軸方向に励振させ、y軸回
    り若しくはz軸回りの角速度を、z軸若しくはy軸方向
    に発生するコリオリ力に関連する物理量を検出すること
    で前記角速度を検出する振動式角速度検出器において、 x軸方向に前記マス部を挟んで配設された少なくとも1
    対の加振手段を有し、 前記各加振手段が生起する加振力がx軸方向の成分及び
    z軸若しくはy軸方向の成分を有し、 前記1対の加振手段を成す2つの加振手段が生起する加
    振力の大きさを独立に制御する手段を有し、 前記1対の加振手段を成す2つの加振手段が生起する加
    振力のx軸方向の成分の和及びz軸若しくはy軸方向の
    成分の和を独立に制御することで、z軸若しくはy軸方
    向の漏れ振動を低減することを特徴とする振動式角速度
    検出器。
  3. 【請求項3】 前記振動式角速度検出器が、半導体の微
    細加工技術により作製されたものであり、 前記1対の加振手段が、前記マス部と共に振動する櫛歯
    電極と、前記基板に固定された櫛歯電極とを噛み合わ
    せ、交流電圧を印加することで生じる櫛歯電極間の静電
    力によるものであり、 前記マス部と共に振動する前記櫛歯電極と、前記基板に
    固定された前記櫛歯電極との間に働く静電力が、x軸方
    向に常に正負いずれか一方の成分を有し、z軸若しくは
    y軸方向に常に正負いずれか一方の成分を有することを
    特徴とする請求項2に記載の振動式角速度検出器。
  4. 【請求項4】 基板面上に互いに直交するx軸及びy軸
    と、基板面に垂直なz軸をとるとき、基板に対して振動
    可能に支持されたマス部をx軸方向に励振させ、y軸回
    り若しくはz軸回りの角速度を、z軸方向振動若しくは
    y軸方向振動を検出することで検出する振動式検出器に
    おいて、 x軸方向に前記マス部を挟んで配設された、生起する第
    1加振力及び第2加振力がそれぞれx軸方向の成分、及
    び、z軸若しくはy軸方向の成分を有する第1加振手段
    及び第2加振手段と、 前記第1加振手段及び第2加振手段が生起する前記第1
    加振力及び第2加振力の大きさをそれぞれ独立に制御す
    る第1制御手段及び第2制御手段と、 前記マス部のx軸方向の振動を検出するx軸振動検出手
    段と、 前記マス部のz軸方向振動若しくはy軸方向振動を検出
    するz軸振動検出手段若しくはy軸振動検出手段と、 前記z軸振動検出手段若しくはy軸振動検出手段の検出
    するz軸方向振動若しくはy軸方向振動が、y軸回り若
    しくはz軸回りの角速度由来のものかx軸方向の振動由
    来のものかを判別する判別手段とを有し、 前記x軸振動検出手段、前記判別手段、並びに前記第1
    制御手段及び第2制御手段により、前記第1加振手段及
    び第2加振手段が生起する前記第1加振力及び第2加振
    力の大きさをそれぞれ独立にフィードバック制御するこ
    とで前記マス部のx軸方向の振動由来のz軸方向振動若
    しくはy軸方向振動を自動低減させることを特徴とする
    振動式角速度検出器。
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Cited By (5)

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