以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(1)トラクタの概略構成
トラクタの概略構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係るトラクタの右側面図である。図面に示す矢印Fはトラクタの前方向(前方)を示し、矢印Bはトラクタの後方向(後方)を示し、矢印Uはトラクタの上方向(上方)を示し、矢印Dはトラクタの下方向(下方)を示し、矢印Rはトラクタの右方向(右方)を示し、矢印Lはトラクタの左方向(左方)を示す。
図1に示すように、本実施形態で例示するトラクタ1は、車体2、3点リンク機構3、油圧式昇降装置5を備える。
車体2は、フレーム21、エンジン22、クラッチハウジング23、トランスミッションケース(以下、T/Mケースと称する)24、車輪25、リアフェンダ26、搭乗式の運転部27、シリンダケース28などを備えている。
フレーム21は、車体2の前部に位置する前部フレーム21Fと、クラッチハウジング23の後端部に連結された中間フレーム21Mと、を有する。エンジン22は、前部フレーム21Fの後部に連結されている。クラッチハウジング23は、エンジン22の後端下部に連結されている。T/Mケース24は、中間フレーム21Mの後端部に連結されている。T/Mケース24は、後部フレームとして兼用されている。車輪25は、前部フレーム21Fの左右に配置された左右の前輪25F、T/Mケース24の左右に配置された左右の後輪25Bを有する。リアフェンダ26は、左右の後輪25Bを覆っている。運転部27は、前輪操舵用のステアリングホイール271、及び、左右のリアフェンダ26の間に位置する運転座席272を有する。シリンダケース28には、後述する制御バルブ63などが収容される。シリンダケース28の上方には、運転座席が配置されている。
図示は省略するが、エンジン22からの動力は、クラッチハウジング23に内蔵された主クラッチ、及び、中間フレーム21Mで覆われた伝動軸、などを介して、T/Mケース24に内蔵された主変速装置に伝達される。主変速装置による変速後の動力は、T/Mケース24に内蔵された副変速装置などを介して、車輪25に伝達される。
3点リンク機構3は、耕耘装置4を取り付け可能である。3点リンク機構3は、T/Mケース24の後部に上下揺動可能に連結されている。3点リンク機構3は、単一のトップリンク3A及び左右のロアリンク3Bを有する。トラクタ1で耕耘作業を行う場合は、3点リンク機構3に牽引式の耕耘装置4Aを取り付けることができる。
なお、本実施形態では、牽引式の耕耘装置4Aの一例として、プラウが3点リンク機構3に取り付けられた状態を示している。3点リンク機構3には、牽引式の耕耘装置4Aとして、ディスクハロー、カルチベータ、及び、サブソイラ、などを取り付けることもできる。
図1に示すように、トップリンク3Aの前端部が、後述する負荷検出機構71(負荷検出部材711)に連結ピンを介して連結されている。また、左右のロアリンク3Bの前端部が、T/Mケース24の後端部に備えられた左右のブラケットに左右の連結ピンを介して連結されている。この連結構造により、耕耘作業時の牽引負荷は、トップリンク3Aを介して負荷検出部材711に作用する。
油圧式昇降装置5は、機械連係式の装置である。油圧式昇降装置5は、トラクタの後部側に配置されている。油圧式昇降装置5の構成について、以下に示す。
(2)油圧式昇降装置の構成
本実施形態に係る油圧式昇降装置の構成について、図1から図6を用いて説明する。図2は、実施形態に係る油圧式昇降装置の右側面図である。図3は、実施形態に係る昇降用の油圧回路図である。図4は、実施形態に係る負荷検出機構を左上前方から見た斜視図である。図5は、図4の5A-5Aの断面図である。図6は、実施形態に係る中間リンク機構を説明するための右側面図である。
図2に示すように、油圧式昇降装置5(トラクタ1)は、油圧式の昇降駆動ユニット6と、機械式連係ユニット7とを備えている。昇降駆動ユニット6は、3点リンク機構3を昇降駆動可能である。3点リンク機構3の昇降駆動に応じて、3点リンク機構3に取り付けられた耕耘装置4が昇降する。機械式連係ユニット7は、3点リンク機構3の昇降操作量を昇降駆動ユニット6へ伝える。機械式連係ユニット7の詳細は後述する。
昇降駆動ユニット6は、左右のリフトアーム61、リフトシリンダ62、制御バルブ63、天秤アーム64、ポジションアーム65、ポジションアーム軸65A、フィードバックアーム軸66A、ポジションレバー67、ポジションプレート68、を有する。
図1に示すように、左右のリフトアーム61は、左右の支持部材を介して左右のロアリンク3Bを吊り下げ支持する。リフトアーム61は、リフトシリンダ62によって上下揺動可能に油圧駆動される。リフトシリンダ62は、リフトアーム61を介して3点リンク機構3を昇降駆動する。リフトシリンダ62は、シリンダケース28に収容されている。
制御バルブ63は、リフトシリンダ62を制御する。図3に示すように、制御バルブ63は、スプール631、下降用バルブ632、リリーフバルブ633、アンロードバルブ634などを有してよい。制御バルブ63は、落下速度調整バルブを介してリフトシリンダ62と接続されてよい。制御バルブ63は、シリンダケース28に収容されている。スプール631は、付勢手段(例えば、バネ)によって常に下降方向Dに付勢されている。
天秤アーム64は、スプール631の端部に揺動自在に連結されている。天秤アーム64の一方の端部には、操作ピンを介してポジションアーム軸65Aが係止連結されており、天秤アーム64の他方の端部には、操作ピンを介してフィードバックアーム軸66Aが係止連結されている。フィードバックアーム軸66Aは、フィードバックリンク機構(不図示)を介してリフトアーム61と連動連結されている。
ポジションアーム65は、ポジションアーム軸65Aの外端部に固着されている。ポジションアーム65が回動されると、天秤アーム64は、フィードバックアーム軸66Aの操作ピンとの係止点を中心として揺動する。これにより、スプール631が上昇側或いは下降側にシフトして、リフトアーム61が駆動上昇作動或いは自重下降作動を行う。リフトアーム61の当該作動がフィードバックリンク機構を介して伝達されて、フィードバックアーム軸66Aの回動に変換される。66Aが回動されると、スプール631は、天秤アーム64を介して逆方向にシフトされる。スプール631は、ポジションアーム65の回動操作位置に対応した所定の回動位置までフィードバックアーム軸66Aが回動されると、中立に復帰する。このように、ポジションアーム65を任意に回動操作することによって、リフトアーム61をポジションアーム65に対応した位置にまで昇降させることができる。
ポジションレバー67は、耕耘装置4の制御目標高さを設定する。ポジションレバー67は、運転席の右横側に配置されている。ポジションレバー67は、ポジションアーム65の後側近傍に位置する支点a周りに前後揺動可能に配置されている。支点aは、後述する制御調節レバー751と共通の支点である。ポジションレバー67は、制御調節レバー751よりも運転座席272側(左側)に配置されている。ポジションレバー67は、長孔65h及びポジションプレート68を介してポジションアーム65と連動連結されている。なお、スプール631が付勢手段によって下降方向Dに付勢されているため、ポジションアーム65は、右側からの側面視(図2等参照)において時計方向に回動付勢されている。これにより、長孔65hの後端がポジションプレート68に係合かつ当接している。
ポジションレバー67は、支点aを軸として、後方(図2の反時計方向)に向けて揺動されるに連れて、ポジションプレート68に係合支持されたポジションアーム65は、付勢力に抗って後方(図2の反時計方向)に回動される。これにより、リフトアーム61は、ポジションアーム65に対応した位置まで上昇する。一方で、ポジションレバー67は、支点aを軸として、前方F(図2の時計方向)に向けて揺動されるに連れて、回動付勢されているポジションアーム65は、ポジションレバー67に追従して回動する。これにより、リフトアーム61は、ポジションアーム65に対応した位置まで下降する。
次に、機械式連係ユニット7の詳細について、説明する。機械式連係ユニット7は、負荷検出機構71、付勢機構72、制限機構73、操作具74、中間リンク機構75、ケーブル78を有する。
なお、図2に示すように、車体2は、車体2(T/Mケース24)の後端の中間リンク機構75側に、後述するカバー部78Bが固定される第1ケーブル固定部241を有してよい。また、図2,4,5に示すように、車体2(シリンダケース28)の後端には、支持部材91が固定されている。支持部材91は、車体2(シリンダケース28)の後部に連結される縦壁部911、上面視においてU字状である連係部912、縦壁部911の側方向の外側で上下方向へ延びている外側壁部913、後述する揺動部材715を支持する揺動支持部914、カバー部78Bが固定される第2ケーブル固定部915、を有する。連係部912は、縦壁部911から後方に延出する左右の側部912Aと、左右の側部912Aを繋ぐように側方向に延びる後部912Bと、を有する。
負荷検出機構71は、3点リンク機構3を介して牽引負荷の変化量を検出し、ケーブル78を介して牽引負荷の変化量を中間リンク機構75へ伝える。負荷検出機構71は、負荷検出部材711と揺動部材715とを有する。
負荷検出部材711は、3点リンク機構3を介して牽引負荷の変化量を検出する。負荷検出部材711は、第1支軸92を介して前後方向に揺動変位可能であるように、支持部材91に支持されている。負荷検出部材711は、トップリンク3Aを介して伝わる牽引負荷に応じて前後揺動する。
負荷検出部材711は、左右の側壁部711A、側壁部711Aが固定される縦壁部711B、側壁部711Aに形成される連結孔711C、縦壁部711Bから前方に延びる延出部711E、揺動部材715に接触する接触部711F、を有する。
縦壁部711Bは、負荷検出部材711の遊端側(上側)に設けられる。左右の縦壁部711Bの間には、支持部材91の連係部912が入り込んでいる。連結孔711Cには、トップリンク3A又はトップリンク3Aを支持するトップリンクブラケットが連結可能である。延出部711Eは、縦壁部711Bから前方に向かって延びている。延出部711Eは、側壁部711Aよりも右側に配置されている。接触部711Fは、延出部711Eの前部において延出部711Eから右方に延びている。これにより、負荷検出部材711が、牽引負荷の上昇に応じて前方に揺動すると、接触部711Fが前方に移動し、揺動部材715に接触する。
揺動部材715は、負荷検出部材711の前後揺動に応じて前後揺動する。揺動部材715は、側方向へ延びる第2支軸914Aを介して揺動支持部914に支持されている。揺動部材715は、第2支軸914Aの軸心を通る支点b周りに揺動可能である。揺動部材715は、前方に移動する接触部711Fから前方に押されることで、前方に揺動する。揺動部材715は、接触部711Fとの接触がない場合(すなわち、接触部711Fから前方への力が働かない場合)、付勢機構(不図示)によって後方に揺動する。例えば、揺動部材715は、第2支軸914Aに取り付けられた捩りばねのばね力により、所定の位置まで後方へ引き戻される。
揺動部材715は、ケーブル78(後述する第2連結部782)が取り付けられる第2取付部715Aを有する。第2取付部715Aは、遊端側に配置されている。また、第2取付部715Aは、負荷検出部材711の上方に位置する。また、第2取付部715Aは、ロアリンク3Bの前端よりも後方に位置する。また、第2取付部715Aは、牽引負荷が掛けられていない状態において、後述する第1取付部752Aよりも後方に位置する。また、第2取付部715Aは、トップリンク3Aの前端よりも前方に位置する。第2取付部715Aは、ドラフト制御用の取付部である。牽引負荷の変化量に応じた第1昇降操作量が、昇降駆動ユニット6へ伝えられる昇降操作量として選択される場合、第2連結部782は、前方に向かって第2取付部715Aに取り付けられる。
付勢機構72は、負荷検出部材711にかかる牽引負荷に抗する方向(後方)に負荷検出部材711を揺動付勢する。図5に示すように、付勢機構72は、前後方向に弾性を有するバネにより構成されてよい。
制限機構73は、負荷検出部材711の前後揺動範囲を制限する。制限機構73は、貫通孔711h、長孔912h、ゴムブロック73b、連係ピン73p、によって構成されてよい。貫通孔711hは、負荷検出部材711に形成される。具体的には、貫通孔711hは、左右の側壁部711Aのそれぞれに対向するように形成されている。長孔912hは、支持部材91に形成される前後方向に長い孔である。具体的には、長孔912hは、連係部912の左右の側部912Aのそれぞれにおいて、貫通孔711hと対向する箇所に形成されている。ゴムブロック73bは、支持部材91の縦壁部911と連係部912(側部912A及び後部912B)との間の空間に嵌め込まれる。ゴムブロック73bには、支持部材91の長孔912hとの対向箇所に、支持部材91の長孔912hよりも前後長さが短い長孔73hが形成されている。連係ピン73pは、各貫通孔711h、各長孔912h、長孔73hに挿入されている。
負荷検出部材711の前後揺動範囲は、支持部材91の各長孔912hの前後長さによって制限設定されている。制限機構73が負荷検出部材711の前後揺動を制限するときは、制限機構73の連係ピン73pがゴムブロック73bに衝突する。
負荷検出部材711は、付勢機構72及び制限機構73の作用により、第1支軸92から上方に垂直に延びる基準姿勢で保持されている。負荷検出部材711は、牽引負荷が所定値を超えた場合に、牽引負荷の上昇に連動して、付勢機構72の作用に抗して基準姿勢から前方に揺動変位する。また、負荷検出部材711は、牽引負荷の低下に連動して、付勢機構72の作用で後方に揺動変位して基準姿勢に復帰する。
操作具74は、負荷検出機構71を負荷検出部材711が牽引負荷を検出する第1状態と負荷検出部材711が牽引負荷を検出しない第2状態とを切り換える。
操作具74は、支持部材91に側方向に揺動可能に支持された揺動板741、揺動板741から上方向Uに延出する操作ハンドル742、揺動板741から後方へ延びている接触部材743、を有する。接触部材743は、非接触位置と接触位置とにわたって移動する。非接触位置(第1操作位置P1)では、接触部材743が負荷検出部材711(縦壁部711B)に接触せずに負荷検出部材711の前後揺動を許容する。一方、接触位置では、接触部材743が負荷検出部材711に接触して負荷検出部材711の前後揺動を阻止する。接触位置(第2操作位置P2)では、接触部材743が縦壁部711Bと揺動板741とに挟まれる。
操作具74は、前後方向に延びる軸心周りに側方向に揺動する。操作具74は、デテント機構により、第1操作位置P1(左側)と第2操作位置P2(右側)とのいずれかに択一的に位置保持される。操作具74が、第1操作位置P1に位置保持されると、接触部材743が非接触位置に位置し、負荷検出機構71が第1状態となる。一方で、操作具74が第2操作位置P2に位置保持されると、接触部材743が接触位置に位置し、負荷検出機構71が第2状態となる。作業者は、操作具74を第1操作位置P1に移動させることで、ドラフト制御を行うことができる。
次に、中間リンク機構75について説明する。中間リンク機構75は、機械式のリンク機構である。図2に示すように、中間リンク機構75は、ケーブル78と昇降駆動ユニット6とに連動連結されている。中間リンク機構75は、牽引負荷の変化量に応じた昇降操作量を昇降駆動ユニット6へ伝える。
中間リンク機構75は、制御調節レバー751と、ケーブル連結アーム752、連係プレート753、調節アーム754、連係ロッド755、を有する。
制御調節レバー751は、ドラフト制御を調節するためのレバーである。制御調節レバー751は、支点a周りに前後揺動可能である。
ケーブル連結アーム752は、支点c周りに前後揺動可能である。ケーブル連結アーム752は、ケーブル78の一方側の連結先となる。ケーブル連結アーム752は、ケーブル78が取り付けられる第1取付部752Aを有する。具体的には、第1取付部752Aには、後述する第1連結部781が取り付けられる。
ケーブル連結アーム752には、前方へ揺動付勢するための引張りバネ(不図示)が装着されている。ケーブル連結アーム752は、ケーブル連結アーム752の後端辺(後述するローラ754r側の辺)に凸曲形成されたカム面Sを有する。
連係プレート753は、制御調節レバー751の基端(シリンダケース28の右側面から右方向Rへ延びる支軸)から後方に延出している。連係プレート753は、支点a周りに揺動可能である。制御調節レバー751と連係プレート753との相対位置は、固定されている。従って、制御調節レバー751の操作に応じて、連係プレート753も支点a周りに回動する。
調節アーム754は、連係プレート753の先端(後端)において支点d周りに前後揺動可能に取り付けられている。調節アーム754には、カムフォロアとしてのローラ754rが取り付けられている。また、調節アーム754には、調節アーム754を前方に揺動付勢するねじりバネが装着されている。調節アーム754の前方への付勢揺動によってローラ754rが、ケーブル連結アーム752のカム面Sに後方から当接し、カム面Sに追従する。
連係ロッド755は、ポジションアーム65とケーブル連結アーム752とにわたって架設されている。連係ロッド755は、ローラ754rのカム面Sに追従に応じた調節アーム754の揺動変位をポジションアーム65に伝達する。
図1に示すように、中間リンク機構75の少なくとも一部は、3点リンク機構3のロアリンク3Bの前端よりも後方に位置する。実施形態では、ケーブル連結アーム752の少なくとも一部及び調節アーム754の少なくとも一部が、ロアリンク3Bの前端よりも後方に位置する。
中間リンク機構75(機械式連係ユニット7)は、昇降駆動ユニット6が揺動部材715と連動するときの作動感度を調節する感度調節機構を有する。本実施形態では、感度調節機構は、制御調節レバー751、ケーブル連結アーム752、連係プレート753、調節アーム754、連係ロッド755によって構成されている。
制御調節レバー751と連係プレート753との相対位置は固定されているため、作業者が制御調節レバー751を操作して、制御調節レバー751を後方(図6の反時計方向)に位置させるほど、連係プレート753は支点a周り(図6において反時計回り)に下方へ回動し、支点dは下方に変位する。これにより、ローラ754rのケーブル連結アーム752に対する当接点と、ケーブル連結アーム752の支点cとの距離が小さくなり、制御調節レバー751によって調節アーム754をケーブル連結アーム752へ当接させるためのレバー比が小さくなる。従って、ケーブル連結アーム752の回動に対して調節アーム754の回動が敏感になる。すなわち、揺動部材715の揺動に対して昇降駆動ユニット6の作動感度が敏感になり、牽引負荷が所定値を超えた場合の耕耘装置4Aが上昇するときの応答性が良くなる。
一方で、制御調節レバー751を前方(図6の時計方向)に位置させるほど、連係プレート753は支点a周り(図6において時計回り)に上方へ回動し、支点dは上方に変位する。これにより、ローラ754rのケーブル連結アーム752に対する当接点と、ケーブル連結アーム752の支点cとの距離が大きくなり、制御調節レバー751によって調節アーム754をケーブル連結アーム752へ当接させるためのレバー比が大きくなる。従って、ケーブル連結アーム752の回動に対して調節アーム754の回動が鈍感になる。すなわち、揺動部材715の揺動に対して昇降駆動ユニット6の作動感度が鈍感になり、牽引負荷が所定値を超えた場合の耕耘装置4Aが上昇するときの応答性が緩やかになる。
次に、ケーブル78について説明する。ケーブル78は、負荷検出部材711により検知された牽引負荷の変化量に応じて連動する。ケーブル78は、負荷検出機構71と昇降駆動ユニット6とに連動連結されている。具体的には、ケーブル78は、揺動部材715と感度調節機構とに連結されている。
ケーブル78の一方の端部は、トラクタ1の前方に向かって、中間リンク機構75に連結されている。ケーブル78の他方の端部は、トラクタ1の前方に向かって、負荷検出部材711に連結されている。ケーブル78は、ケーブル78の一方側の連結部である第1連結部781と、ケーブル78の他方側の連結部である第2連結部782と、を有する。
第1連結部781は、中間リンク機構75側で連結されている。具体的には、第1連結部781は、ケーブル連結アーム752に連結されている。
第2連結部782は、負荷検出部材711(負荷検出機構71)側で連結されている。第2連結部782は、揺動部材715と連結されている。第2連結部782は、第1連結部781よりも高い位置で第2取付部715Aに取り付けられている。
ケーブル78は、プッシュプルケーブルである。ケーブル78は、インナーケーブル78Aとカバー部78Bとを有する。インナーケーブル78Aは、負荷検出部材711の揺動に応じて揺動する。インナーケーブル78Aは、後述するアウターケーブル78B3の内部を移動できる。
インナーケーブル78Aの一方の端部に第1連結部781が配置されており、インナーケーブル78Aの他方の端部に第2連結部782が配置されている。従って、インナーケーブル78Aは、揺動部材715と直接的に連結されている。また、インナーケーブル78Aは、ケーブル連結アーム752と直接的に連結されている。
カバー部78Bは、インナーケーブル78Aの外側を覆う。カバー部78Bは、第1ケーブル固定部241に固定される第1固定部78B1と、第2ケーブル固定部915に固定される第2固定部78B2と、アウターケーブル78B3と、を有する。
第1固定部78B1は、中間リンク機構75側のアウターケーブル78B3の端部に位置しており、第2固定部78B2は、負荷検出部材711側のアウターケーブル78B3の端部に位置している。第2固定部78B2は、第1連結部781よりも高い位置で、第2ケーブル固定部915に固定されている。
図2及び図4に示すように、ケーブル78は、第2連結部782からトラクタ1の後方へ向かって延びている部分(延出部分E)を有する。また、ケーブル78は、湾曲しながら延びている。具体的には、トラクタ1の側面視において、ケーブル78は、C字状又はU字状に延びている。従って、トラクタ1の側面視において、第2連結部782が揺動部材715と共に前方に揺動すると第1連結部781が後方に引っ張られる。また、第2連結部782が揺動部材715と共に後方に揺動すると第1連結部781が前方に引っ張られる。すなわち、第2連結部782に前方向Fの力が働くと、第1連結部781に後方向Bの力が働き、第2連結部782に後方向Bの力が働くと、第1連結部781に前方向Fの力が働く。
次に、ドラフト制御について説明する。牽引式の耕耘装置4Aを用いて耕耘作業を行っていて、牽引式の耕耘装置4Aの牽引負荷が所定値よりも大きくなると、負荷検出部材711が前方へ揺動されることで、揺動部材715が接触部711Fに押されて、前方へ揺動する。これにより、ケーブル78の第2連結部782が揺動部材715と共に前方に揺動すると第1連結部781が後方に引っ張られる。これにより、ケーブル連結アーム752が支点c周りに後方に回動し、調節アーム754がケーブル連結アーム752に追従して後方に揺動する。調節アーム754と共に連係ロッド755が後方へ引っ張られ、ポジションアーム65がポジションアーム軸65A周りに後方へ回動する。これにより、ポジションアーム65の回動後の位置に対応した位置まで、リフトアーム61が上昇する。なお、ポジションアーム65の変位は、昇降操作量に対応する。従って、制御バルブ63は、昇降操作量(ポジションアーム65の変位量)に応じて、リフトシリンダ62を制御する。
リフトアーム61の上昇に伴って耕耘装置4の負荷が所定値よりも下回ると、リフトアーム61の上昇作動が停止する。耕耘作業時に牽引負荷に応じて耕耘装置4Aが自動的に昇降するドラフト制御が行うことができるため、牽引負荷の上昇に起因したエンジンストールの発生を回避することができる。
以上の構成により、機械式連係ユニット7では、負荷検出部材711から昇降駆動ユニット6までの牽引負荷の変化量を伝える伝達経路の一部を、ケーブル78が担うことができる。従って、機械式の中間リンク機構75を構成する板状又はロッド状のリンク部材の数を増やさずに、牽引負荷の変化量を昇降駆動ユニット6へ伝えることができる。これにより、リンク部材の数を増やすことを抑制でき、機械式のリンク機構の構造が複雑になり難くすることができる。
また、ケーブル78は、第2連結部782からトラクタ1の後方へ向かって延びている延出部分Eを有する。また、ケーブル78の一方の端部が前方に向かって中間リンク機構75に連結されており、ケーブル78の他方の端部が前方に受かって負荷検出部材711に連結されている。これにより、トラクタ1の後方に位置する作業者は、トラクタの後方からケーブル78をたどって各連結部(第1連結部781及び第2連結部782)を認識できる。これにより、作業者は、ケーブル78の点検や交換作業などのメンテナンス作業を容易に行うことができる。加えて、作業者は、延出部分Eよりも第2連結部782が作業者の前側に位置するように延出部分Eを把持することで第2連結部782を第2取付部715Aまで運び易くなる。従って、作業者は、第2連結部782を取り付け易く、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
また、トラクタ1の側面視において、第2連結部782が揺動部材715と共に前方に揺動すると第1連結部781が後方に引っ張られ、かつ第2連結部782が揺動部材715と共に後方に揺動すると第1連結部781が前方に引っ張られるように、ケーブル78は、湾曲しながら延びている。加えて、第2連結部782は、第1連結部781よりも高い位置で第1取付部752Aに取り付けられている。作業者は、メンテナンス作業の際に、ケーブル78を湾曲させることで作業者が大きく移動しなくても、第2連結部782を取付部へ運ぶことが可能となる。加えて、第2連結部782は、第1連結部781よりも高い位置であるため、作業者の目線の高さに近い位置で取り付け可能である。作業者は、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
また、トラクタ1は、ケーブル固定部(第1ケーブル固定部241、第2ケーブル固定部915)を有する。ケーブル固定部によってカバー部78Bを固定することで、インナーケーブル78Aを安定的に揺動させることができる。これにより、機械式連係ユニット7が、牽引負荷の変化量に応じた昇降操作量を精度高く昇降駆動ユニット6へ伝えることができるため、質の高いドラフト制御を実行できる。
また、ケーブル78は、揺動部材715と感度調節機構とに連結されている。これにより、揺動部材715と感度調節機構とを繋ぐリンク部材の数を少なくすることができ、油圧式昇降装置5の構造が複雑になり難い。
また、中間リンク機構75の少なくとも一部は、ロアリンク3Bの前端よりも後方に位置する。これにより、中間リンク機構75をトラクタ1の後方から確認し易くなるため、メンテナンス性を向上させることができる。
また、第2取付部715Aは、負荷検出部材711の上方に位置する。これにより、トラクタ1の後方から第2取付部715Aを視認する際に、負荷検出部材711よりも上方で、第2取付部715Aを視認でき、負荷検出部材711が第2取付部715Aと重なり難くなる。トラクタ1の後方から第2連結部と取付部を確認し易く、第2連結部782を取り付け及び取り外しし易い。従って、切り換え作業を容易に行うことができる。また、負荷検出部材711の前方に、第2取付部715Aを備えるスペースを設ける必要がなくなる。
なお、第2取付部715Aは、ロアリンク3Bの前端よりも後方に位置する。トラクタ1の後方から第2取付部715Aへの距離が、ロアリンク3Bの前端よりも近いため、トラクタ1の後方から、第2連結部782を取り付け及び取り外しし易い。従って、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
また、牽引負荷が掛けられていない状態において、第2取付部715Aは、第1取付部752Aよりも後方に位置する。トラクタ1の後方から第2取付部715Aへの距離が、第1取付部752Aよりも近いため、トラクタ1の後方から、第2連結部782を取り付け及び取り外しし易い。従って、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
(3)その他実施形態
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
トラクタ1の構成は種々の変更が可能である。例えば、トラクタ1は、左右の後輪25Bに代えて左右のクローラを備えるセミクローラ仕様に構成されていてもよい。例えば、トラクタ1は、左右の車輪25に代えて左右のクローラを備えるフルクローラ仕様に構成されていてもよい。例えば、トラクタ1は、エンジン22の代わりに電動モータを備える電動仕様に構成されていてもよい。例えば、トラクタ1は、エンジン22と電動モータとを備えるハイブリッド仕様に構成されていてもよい。
昇降駆動ユニット6の構成及び機械式連係ユニット7の構成は種々の変更が可能である。例えば、ケーブル78は、トラクタ1の側方へ向かって延びている部分を有してよい。すなわち、トラクタ1の背面視において(トラクタ1の後方から見て)、延出部分Eは、側方に向かって延びてよい。トラクタ1の側方に位置する作業者は、延出部分Eよりも第2連結部782が作業者の前側に位置するように当該延出部分Eを把持することで、第2連結部782を第2取付部715Aまで運び易くなる。従って、作業者は、第2連結部782を取り付け易く、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
上記実施態様では、負荷検出部材711の前後揺動に応じて前後揺動する揺動部材を設け、揺動部材715に、ケーブル78が取り付けられる第2取付部715Aを設けていたが、これに限られない。例えば、負荷検出部材711に第2取付部715Aを設けてもよい。
上記実施態様では、トラクタ1の側面視において、第2連結部782が揺動部材715と共に前方に揺動すると第1連結部781が後方に引っ張られ、第2連結部782が揺動部材715と共に後方に揺動すると第1連結部781が前方に引っ張られていたが、これに限られない。例えば、揺動部材715の動きを逆にする構成等によって、第2連結部782が前方に揺動すると第1連結部781が前方に引っ張られ、第2連結部782が後方に揺動すると第1連結部781が後方に引っ張られてもよい。
なお、トラクタ1は、上述で説明した部材以外の部材を有してもよく、上述で説明した部材の一部のみを有していてもよい。従って、例えば、昇降駆動ユニット6及び機械式連係ユニット7は、上述で説明した部材以外の部材を有してもよく、上述で説明した部材の一部のみを有していてもよい。