本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
(乳母車の概要)
図1を参照して、本実施の形態に係る座席付き育児器具としての乳母車1の概要について説明する。乳母車1の説明において、前後方向は、乳母車の前後方向に対応し、左右方向は、乳母車の前方から見た左右方向に対応している。
乳母車1の基本構造としては、一般的な乳母車の構造と同様であってよく、乳母車1は、本体2と、本体2を下方から支持する脚部3と、前ガード11と、押し棒13とを備える。脚部3は、前輪31を有する一対の前脚33と、後輪32を有する一対の後脚34とを有する。本体2は、乳幼児を受け入れるための受入空間を形成する座席部20を有している。座席部20は、たとえば、座部21と、背もたれ部22と、背もたれ部22の両端縁から立ち上がる一対の立ち上がり部23とを有している。前ガード11は、座席部20の前方位置において左右方向に延び、座席部20の左右両側に配置される一対の手摺部12に連結されている。
ここで、乳母車1の座席部20は、乳幼児の身体を拘束する拘束ベルトが設けられている。拘束ベルトは、座席部20に着座した乳幼児の両太腿の間を延びる股ベルト41と、乳幼児の腰を拘束する腰ベルト42および腰ベルト43と、乳幼児の肩を拘束する肩ベルト44および肩ベルト45と、これらのベルト41,42,43,44,45とを連結する連結具5とを備える。
以下に、乳母車1に用いられる連結具5について、詳細に説明する。
<実施の形態1>
図2~図8をさらに参照して、連結具5の構成例について詳細に説明する。なお、以下の説明において、左右方向および上下方向は、それぞれ、図2(a)の紙面上の左右方向および上下方向を基準とする。また、以下の説明において、左右方向は、横方向ともいう。
特に図2を参照して、本実施の形態における連結具5は、腰ベルト42および肩ベルト44と連結された左係合部材51と、腰ベルト43および肩ベルト45と連結された右係合部材55と、股ベルト41に連結された被係合部材60とを含む。つまり、被係合部材60と、左係合部材51および右係合部材55とは、着脱可能に連結することができる。
(左係合部材について)
図2~図4および図8を参照して、左係合部材51について説明する。左係合部材51は、本体部52と、挿入部53と、第1磁石54とを含む。
本体部52は、平面視三角形形状であり、表面は平らであるが、裏面は段差部52bが設けられる。また、本体部52の上方には、腰ベルト42および肩ベルト44を貫通する取付孔52aが設けられる。取付孔52aは、本体部52を表面から裏面に貫通する貫通穴である。段差部52bには、外方に突出する挿入部53が設けられる。挿入部53は、後述する被係合部材60の貫通孔64aに挿入する部分である。
挿入部53は、図8に示すように、円筒状であり、段差部52bから突出する第1突出部53cと、第1突出部53cから連なり、第1突出部53cよりも内方に凹むスリット部53aと、スリット部53aから連なる第2突出部53bとを含む。第1突出部53cとスリット部53aの境界は、傾斜しており、第2突出部53bは、先細りの形状である。挿入部53には、第1磁石54が設けられる。第1磁石54は、挿入部53から露出していてもよいし、挿入部53内に埋め込まれていてもよい。第1磁石54は、本体部52の表面から裏面に向かう方向(係合方向)に着磁されており、具体的には、裏面側がN極であり、表面側がS極である。
(右係合部材について)
図2~図4を参照して、右係合部材55について説明する。右係合部材55は、左係合部材51と同様の構成である。右係合部材55は、本体部56と、挿入部57と、第1磁石58とを含む。
本体部56は、平面視三角形形状であり、表面は平らであるが、裏面は段差部56bが設けられる。また、本体部56の上方には、腰ベルト43および肩ベルト45を貫通する取付孔56aが設けられる。取付孔56aは、本体部56を表面から裏面に貫通する貫通穴である。段差部56bには、外方に突出する挿入部57が設けられる。挿入部57は、後述する被係合部材60の貫通孔65aに挿入する部分である。
挿入部57の具体的な形状の図示は省略するが、図8に示すように、左係合部材51の挿入部53と同様の構成である。すなわち、挿入部は、円筒状であり、第1突出部と、スリット部と、第2突出部とを含む。挿入部には、第1磁石58が設けられる。第1磁石58は、挿入部57から露出していてもよいし、挿入部57内に埋め込まれていてもよい。第1磁石58は、本体部56の表面から裏面に向かう方向(係合方向)に着磁されており、具体的には、裏面側がN極であり、表面側がS極である。
(被係合部材について)
図2~図6を参照して、被係合部材60について説明する。図3に示すように、被係合部材60は、固定部61と、左操作部91および右操作部101と、ロック部70とを含む。それぞれの構成について、詳細に説明する。なお、図3において矢印Aで示す方向を表側(表面)、矢印Aの反対方向を裏側(裏面)という。
特に図3に示すように、固定部61は、一対の操作部91,101とロック部70とを内部に収納するケースの役割を果たす。固定部61は、筐体62と、筐体62の下方に設けられる取付孔63と、筐体62の上方に設けられる左凹部64および右凹部65とを有する。図2に示すように、取付孔63は、股ベルト41が貫通し、筐体62を表面から裏面に貫通する貫通穴である。
左凹部64は、筐体62の左上方端部に設けられる。左凹部64は、筐体62の表面から凹んでおり、略中央部に貫通孔64aが設けられる。貫通孔64aは、円形状であり、上述した左係合部材51の挿入部53が挿入するため、挿入部53よりも若干大きく形成されている。また、左凹部64の凹み寸法と、左係合部材51の段差部52bの厚み寸法とは、同一である。これにより、図2(b)に示すように、貫通孔64aに挿入部53を挿入すると、係合部材51の表面と、筐体62の表面が面一になる。
右凹部65は、左凹部64と略同一形状である。すなわち、右凹部65は、筐体62の右上方端部に設けられる。右凹部65は、筐体62の表面から凹んでおり、略中央部に貫通孔65aが設けられる。貫通孔65aは、円形状であり、上述した右係合部材55の挿入部57が挿入するため、挿入部57よりも若干大きく形成されている。また、右凹部65の凹み寸法と、係合部材55の段差部56bの厚み寸法とは、同一である。これにより、左凹部64と同様に、貫通孔65aに挿入部57を挿入すると、右係合部材55の表面と、筐体62の表面が面一になる。
図3に示すように、固定部61の裏面には、カバー部66が取り付けられる。固定部61の筐体62内に一対の操作部91,101とロック部70を収納して、カバー部66で蓋をすることができる。カバー部66は、筐体62の裏面全体を覆うカバー本体67と、カバー本体67の下方に設けられる掛止部68とを有する。掛止部68は、筐体62の下方に設けられる被掛止部(図示せず)に掛止する。カバー本体67の略中央には、穴部67aが設けられる。穴部67aにネジ69を差し込むことで、固定部61とカバー部66を固定することができる。
図3~図5を参照して、左操作部91および右操作部101について説明する。左操作部91および右操作部101は、操作方向、すなわち、矢印Bで示す左右方向に移動可能である。左操作部91は、固定部61の貫通孔64aに対面しており、右操作部101は、固定部61の貫通孔65aに対面している。図5は、被係合部材60の操作部91,101を固定部61から取り外した状態を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。なお、図5(a)は固定部61および操作部91,101の表面を示し、図5(b)は固定部61および操作部91,101の裏面を示している。
左操作部91は、操作本体部92と、操作本体部92の表面に設けられる上凹部93および下凹部94と、第2磁石99と、第3磁石98とを有する。特に図5に示すように、操作本体部92は、内方側(右操作部101と向かい合う側)において、第1窪み部95と、第2窪み部96と、バネ支持部97とを有する。第1窪み部95は、図4に示すように、左操作部91を操作した際に、後述する固定ネジ87に当接する。第2窪み部96は、左操作部91を操作した際に、筐体62の裏面に設けられるストッパ62aに当接する。バネ支持部97は、バネ90を支持するものである。このバネ90により、左操作部91は、常に外方に付勢される。
図5(a)に示すように、上凹部93と下凹部94とは、平面視略台形形状であり、上下対称に設けられる。上凹部93は、その下辺において、水平に延びる平坦部93aと、平坦部93aから斜め上方に傾斜する傾斜部93bとを有する。また、下凹部94は、その上辺において、水平に延びる平坦部94aと、平坦部94aから斜め上方に傾斜する傾斜部94bとを有する。図5(b)に示すように、上凹部93には、後述する第2ロック部81の凸部86cが嵌っており、下凹部94には、後述するロック部71の凸部76cが嵌っている。これにより、左操作部91を操作することで、凸部86cが上凹部93内を移動し、凸部76cが下凹部94内を移動する。この動作については、後述する。
なお、図5(b)は、一対の操作部91,101を固定部61から取り外した状態を示しているが、実際は、凸部86cが上凹部93に嵌っており、凸部76cが下凹部94に嵌っており、凸部74cが上凹部103に嵌っており、凸部84cが下凹部104に嵌っていることを一点鎖線で示している。
第2磁石99および第3磁石98は、操作部91,101の操作方向に沿って整列している。具体的には、第2磁石99および第3磁石98は、左右に整列して設けられる。第2磁石99が操作方向の内方側(右操作部101と向かい合う側)に設けられ、第3磁石98が操作方向の外方側(右操作部101と向かい合っていない側)に設けられる。図8に示すように、第2磁石99および第3磁石98は、固定部61の貫通孔64aに対面する位置と、対面しない位置との間を変位可能である。第2磁石99は、操作部91の表面から裏面に向かう方向(係合方向)に着磁されている。具体的には、第2磁石99は、表側がS極であり、裏側がN極である。第3磁石98は、第2磁石99と同様に、操作部91の表面から裏面に向かう方向(係合方向)に着磁されている。第3磁石98は、第2磁石99の逆の極性を有しており、表側がN極であり、裏側がS極である。
右操作部101は、左操作部91と略同一形状である。すなわち、右操作部101は、操作本体部102と、操作本体部102の表面に設けられる上凹部103および下凹部104と、第2磁石109と、第3磁石108とを有する。特に図5に示すように、操作本体部102は、内方側(左操作部91と向かい合う側)において、第1窪み部105と、第2窪み部106と、バネ支持部107とを有する。第1窪み部105は、右操作部101を操作した際に、後述する固定ネジ87に当接する。第2窪み部106は、右操作部101を操作した際に、筐体62の裏面に設けられるストッパ62aに当接する。バネ支持部107は、バネ90を支持するものである。このバネ90により、右操作部101は、常に外方に付勢される。つまり、バネ90が設けられることにより、一対の操作部91,101は、常に外方に付勢され、内方に押圧すると図4(b)に示す状態となるが、手を離すと図4(a)に示す状態に戻る。
上凹部103と下凹部104とは、平面視略台形形状であり、上下対称に設けられる。上凹部103は、その下辺において、水平に延びる平坦部103aと、平坦部103aから斜め上方に傾斜する傾斜部103bとを有する。また、下凹部104は、その上辺において、水平に延びる平坦部104aと平坦部104aから斜め上方に傾斜する傾斜部104bとを有する。図5(b)に示すように、上凹部103には、後述するロック部71の凸部74cが嵌っており、下凹部104には、後述する第2ロック部81の凸部84cが嵌っている。これにより、右操作部101を操作することで、凸部74cが上凹部103内を移動し、凸部84cが下凹部104内を移動する。この動作については、後述する。
第2磁石109および第3磁石108は、左右に整列して設けられる。第2磁石109が内方側(左操作部91と向かい合う側)に設けられ、第3磁石108が外方側(左操作部91と向かい合っていない側)に設けられる。第2磁石109および第3磁石108の具体的な構成の図示は省略するが、図8に示すように、第2磁石99および第3磁石98と同様の構成である。すなわち、第2磁石109および第3磁石108は、固定部61の貫通孔65aに対面する位置と、対面しない位置との間を変位可能である。第2磁石109は、右操作部101の表面から裏面に向かう方向(係合方向)に着磁されている。具体的には、表側がS極であり、裏側がN極である。第3磁石108は、第2磁石109と同様に、右操作部101の表面から裏面に向かう方向(係合方向)に着磁されている。第3磁石108は、第2磁石109の逆の極性を有しており、表側がN極であり、裏側がS極である。
次に、ロック部70について説明する。図5(b),図7,図8に示すように、ロック部70は、固定部61の貫通孔64a,65aに挿入された一対の係合部材51,55の挿入部53,57と弾性変形可能に係合して、ロック状態を維持する部材である。ロック部70は、操作部91,101の操作によって、挿入部53,57とのロック状態が解除される。
図6(a)に示すように、ロック部70は、第1ロック部71と第2ロック部81とを含む。図6(b),図6(c)に示すように、第1ロック部71と第2ロック部81とは、2つの部材で構成されていることが好ましい。第1ロック部71と第2ロック部81とは、軸部72,82を中心として点対称に設けられる。なお、図6は、ロック部70の裏面から見た図である。
図6(b)に示すように、第1ロック部71は、平面視略Z字形状であり、軸部72と、軸部72より上方に位置する第1移動部74と、軸部72と第1移動部74を連結する第1連結部73と、軸部72より下方に位置する第2移動部76と、軸部72と第2移動部76を連結する第2連結部75とを含む。
軸部72は、第1ロック部71の略中央部に位置し、表面から裏面に貫通する貫通孔である。軸部72は、固定ネジ87(図4)により筐体62に固定される部分である。第1移動部74は、右係合部材55の挿入部57の上方を支持する部分であり、第2移動部76は、左係合部材51の挿入部53の下方を支持する部分である。
図6(b)に示すように、第1移動部74は、左上端部に位置し、第2移動部76は、右下端部に位置する。第1移動部74は、移動本体部74aと、移動本体部74aから連続し、右係合部材55の挿入部57を直接支持する支持部74bと、移動本体部74aから左操作部91に向かって突出する凸部74cとを有する。同様に、第2移動部76は、移動本体部76aと、移動本体部76aから連続し、左係合部材51の挿入部53を直接支持する支持部76bと、移動本体部76aから右操作部101に向かって突出する凸部76cとを有する。移動本体部74a,76aは、平面視略円弧形状である。支持部74b,76bは、その厚みが移動本体部74a,76aよりも薄く形成されている。凸部74c,76cは、たとえば円柱形状である。図5(b)に示すように、凸部74cは、上述した右操作部101の上凹部103に嵌っている。また、凸部76cは、上述した左操作部91の下凹部94に嵌っている。
第1連結部73は、第1移動部74に向かって延びる第1延出部73aと、第1移動部74とは逆の方向(第2移動部76側)に向かって延びる第2延出部73bと、第1延出部73aと第2延出部73bとを連結する接続部73cとを有する。第1連結部73は、たとえば棒状であり、第1移動部74を軸部72に対して弾性可能に支持する。第1延出部73aは、第2延出部73bの長手方向の長さよりも長い。第1連結部73の屈曲点となる接続部73cは、横幅方向において軸部72の位置を超えた第2移動部76側に位置する。
同様に、第2連結部75は、第2移動部76に向かって延びる第1延出部75aと、第2移動部76とは逆の方向(第2移動部74側)に向かって延びる第2延出部75bと、第1延出部75aと第2延出部75bとを連結する接続部75cとを有する。第2連結部75は、たとえば棒状であり、第2移動部76を軸部72に対して弾性可能に支持する。第1延出部75aは、第2延出部75cの長手方向の長さよりも長い。第2連結部75の屈曲点となる接続部75cは、横幅方向において軸部72の位置を超えた第2移動部74側に位置する。
このように、第1連結部73の実測長さ(第1延出部73a、第2延出部73bおよび接続部73cの合計長さ)および第2連結部75の実測長さ(第1延出部75a、第2延出部75bおよび接続部75cの合計長さ)が、軸部72と第1移動部74,76とを直線で結んだ長さよりも長くなるため、第1ロック部71の横幅を短くすることができるとともに、第1,2移動部74,76を上下方向に弾性可能に支持することが可能となる。
第2ロック部81は、第1ロック部71と略同一の形状である。すなわち、図6(c)に示すように、第2ロック部81は、平面視略逆Z字形状であり、軸部82と、軸部82より下方に位置する第1移動部84と、軸部82と第1移動部84を連結する第1連結部83と、軸部82より上方に位置する第2移動部86と、軸部82と第2移動部86を連結する第2連結部85とを含む。
軸部82は、第2ロック部81の略中央部に位置し、表面から裏面に貫通する貫通孔である。軸部82は、固定ネジ87(図4)により筐体62に固定される部分である。第1移動部84は、右係合部材55の挿入部57の下方を支持する部分であり、第2移動部86は、左係合部材51の挿入部53の上方を支持する部分である。
図6(c)に示すように、第1移動部84は、左下端部に位置し、第2移動部86は、右上端部に位置する。第1移動部84は、移動本体部84aと、移動本体部84aから連続し、右係合部材55の挿入部57を直接支持する支持部84bと、移動本体部84aから右操作部101に向かって突出する凸部84cとを有する。同様に、第2移動部86は、移動本体部86aと、移動本体部86aから連続し、左係合部材51の挿入部53を直接支持する支持部86bと、移動本体部86aから左操作部91に向かって突出する凸部86cとを有する。移動本体部84a,86aは、平面視略円弧形状である。支持部84b,86bは、移動本体部84a,86aよりも薄く形成されている。凸部84c,86cは、たとえば円柱形状である。図5(b)に示すように、凸部84cは、上述した右操作部101の下凹部104に嵌っている。また、凸部86cは、上述した左操作部91の上凹部93に嵌っている。
第1連結部83は、第1移動部84に向かって延びる第1延出部83aと、第1移動部84とは逆の方向(第2移動部86側)に向かって延びる第2延出部83bと、第1延出部83aと第2延出部83bとを連結する接続部83cとを有する。第1連結部83は、たとえば棒状であり、第1移動部84を軸部82に対して弾性可能に支持する。第1延出部83aは、第2接続部83cの長手方向の長さよりも長い。第1連結部83の屈曲点となる接続部83cは、横幅方向において軸部82の位置を超えた第2移動部86側に位置する。
同様に、第2連結部85は、第1移動部84に向かって延びる第1延出部85aと、第2移動部86とは逆の方向(第2移動部84側)に向かって延びる第2延出部85bと、第1延出部85aと第2延出部85bとを連結する接続部85cとを有する。第2連結部85は、たとえば棒状であり、第1移動部86を軸部72に対して弾性可能に支持する。第1延出部85aは、第2延出部85bの長手方向の長さよりも長い。第2連結部85の屈曲点となる接続部85cは、横幅方向において軸部82の位置を超えた第2移動部84側に位置する。
このように、第1連結部83の実測長さ(第1延出部83a、第2延出部83bおよび接続部83cの合計長さ)および第2連結部85の実測長さ(第1延出部85a、第2延出部85bおよび接続部85cの合計長さ)が、軸部82と第1移動部84,86とを直線で結んだ長さよりも長くすることができるため、第2ロック部81の横幅を短くすることができるとともに、第1,2移動部84,86を弾性可能に支持することが可能となる。
図3,図6(a)に示すように、第1ロック部71の第1移動部74および第2ロック部81の第1移動部84は、平面視C字形状となり、固定部61の貫通孔65aと対面する。さらに、第1ロック部71の第2移動部76および第2ロック部81の第2移動部86は、平面視逆C字形状となり、固定部61の貫通孔64aと対面する。これにより、ロック部71、81の移動部76,86で左係合部材51の挿入部53をロックすることができ、ロック部71,81の移動部74,84で右係合部材55の挿入部57をロックすることができる。
(連結具の使用方法について)
次に、本実施の形態の連結具5の使用方法について説明する。
まず、乳幼児を図1の乳母車1の座席部20に乗せる。股ベルト41を乳幼児の両太腿の間に通す。さらに、肩ベルト44を乳幼児の右肩上に置くとともに、腰ベルト42を乳幼児の右腰に置く。同様に、肩ベルト45を乳幼児の左肩上に置くとともに、腰ベルト43を乳幼児の左腰に置く。腰ベルト42および肩ベルト44に連結されている左係合部材51を、股ベルト41に連結されている被係合部材60に連結する。同様に、腰ベルト43および肩ベルト45に連結されている右係合部材55を、股ベルト41に連結されている被係合部材60に連結する。具体的には、図3,図4(b)に示すように、左係合部材51の挿入部53を被係合部材60の貫通孔64aに挿入する。さらに、右係合部材55の挿入部57を被係合部材60の貫通孔65aに挿入する。これにより、乳幼児を乳母車に拘束することができる。
乳幼児を乳母車1から降ろしたい場合は、図2の左操作部91および右操作部101をそれぞれ内方に押圧し、被係合部材60と左係合部材51との係合を解除し、被係合部材60と右係合部材55との係合を解除し、ベルト41~45と乳幼児の拘束を解除する。これにより、乳幼児を乳母車1から降ろすことができる。
(連結具の動作について)
次に、図7,図8を参照して、連結具5の係合部材51,55と被係合部材60との動作について説明する。なお、図7は、操作部91,101およびロック部70を取り出し、裏側からロック部70を見た図であるため、操作部91,101を破線で示している。図7(a)は操作部91,101を操作していない状態であり、(b)は操作部91,101を操作した状態である。また、図8では左係合部材51と被係合部材60との動作についてのみ図示し、右係合部材55と被係合部材60との動作については省略している。右係合部材55と被係合部材60の動作は、左係合部材51と被係合部材60との動作と同様であるため、説明を省略する。
まず、図8(a)に示すように、左係合部材51の挿入部53を、矢印Xで示す挿入方向に沿って被係合部材60の貫通孔64aに挿入する。左係合部材51の第1磁石54は、被係合部材60と面する側がN極である。左操作部91の第2磁石99は、挿入部53と面する側がS極である。そのため、挿入部53と左操作部91とは吸引して、図8(b)で示す状態となる。さらに、挿入部53の突出部53bとロック部71,81の支持部76b,86bとは係合する。これにより、係合部材51の挿入部53と被係合部材60の左操作部91とは、磁石による吸引と、操作部とロック部との構造的な係合により、係合状態となり、左係合部材51と被係合部材60とを確実に係合することができる。
左係合部材51と被係合部材60との係合を解除する場合は、図7(a)に示す状態から、図7(b)に示す状態にする。つまり、左操作部91を矢印Yで示す押圧方向に押圧して、左操作部91内方に移動させる。これにより、図8(c)に示す状態となり、第1磁石54と対面する磁石は第2磁石99から第3磁石98となる。第3磁石98は、第1磁石54と面する側がN極であるため、第1磁石54に対して反発する。また、図7(a)に示すように、左操作部91の上凹部93にロック部81の凸部86cが嵌っており、下凹部94にロック部71の凸部76cが嵌っている。これにより、左操作部91を操作することで、凸部86cが上凹部93の平坦部93aから傾斜部93bに移動し、凸部76cが下凹部94の平坦部94aから傾斜部94bに移動して、ロック部71,81の移動部76,86が矢印Zの開口方向に開く。
同様に、右操作部101の上凹部103にロック部71の凸部74cが嵌っており、下凹部104にロック部81の凸部84cが嵌っている。これにより、右操作部101を操作することで、凸部74cが上凹部103の平坦部103aから傾斜部103bに移動し、凸部84cが下凹部104の平坦部104aから傾斜部104bに移動して、ロック部71,81の移動部74,84が矢印Zの開口方向に開く。このようにして、挿入部53の突出部53bと移動部76,84の凸部74c,84cとの係合、および、挿入部57の突出部53bと移動部76,84の凸部74c,84cとの係合を解除することができる。
このように、連結具5は、磁石の吸引を利用しているため、係合部材51,55を被係合部材60の貫通孔64a,65aに貫通させるだけでロックを行うことができる。さらに、磁石の反発を利用しているため、係合部材51,55を引き抜くことを要せず、操作部91,101を操作するだけでロックを解除することができる。これにより、本実施の形態の連結具5は、ロックおよびロック解除を容易に行うことができる。
また、磁石の吸引および反発と併用して、ロック部70を用いて係合部材51,55と被係合部材60のロックを確保しているため、連結具5の連結を強固にすることができる。このため、安全性が要求される乳母車1の連結具5として最適なものとなる。
係合部材51,55を被係合部材60に係合する場合に、係合部材51,55を被係合部材60の貫通孔64a,65a上に載せるだけでよいため、ロックおよびロック解除をより簡易に行うことができる。
また、本実施の形態では、2つの操作部91,101が設けられているため、左係合部材51と右係合部材55との操作を独立して行うことができる。たとえば、肩ベルト45を着けたままで、肩ベルト44だけを離したい場合は、左操作部91だけを操作することで、左係合部材51と被係合部材60との係合を解除することができる。
<実施の形態2>
図9~図13を参照して、本実施の形態2に係る乳母車1に用いた連結具5Aの構成例について詳細に説明する。乳母車1の構成は、実施の形態1と同様であるが、連結具5Aの構成が異なる。実施の形態1で示した連結具5との相違点のみ詳細に説明する。
上記実施の形態1の連結具5と本実施の形態の連結具5Aとの主な相違点は、操作部の数および磁石の数である。すなわち、実施の形態1の連結具5の操作部91,101は2つであったのに対し、実施の形態2の連結具5Aの操作部91Aは1つであり、操作部110Aの操作で、左係合部材51Aおよび右係合部材55Aと、被係合部材60Aとの係合を解除することができる。また、実施の形態1の連結具5の被係合部材60には、第2磁石99,109および第3磁石98,108がそれぞれ2つずつ設けられ、被係合部材60に合計4つ設けられていたのに対し、本実施の形態の連結具5Aの被係合部材60Aには、第2磁石99Aおよび第3磁石98Aが2つ設けられている。
特に図9を参照して、本実施の形態における連結具5Aは、腰ベルト42および肩ベルト44と連結された左係合部材51Aと、腰ベルト43および肩ベルト45と連結された右係合部材55Aと、股ベルト41に連結された被係合部材60Aとを含む。つまり、被係合部材60Aと、左係合部材51Aおよび右係合部材55Aとは、着脱可能に連結することができる。
(左係合部材について)
図10,図11を参照して、左係合部材51Aについて説明する。左係合部材51Aは
、本体部52Aと、挿入部53Aと、第1磁石54Aとを含む。
本体部52Aは、たとえば正面視台形形形状である。本体部52Aは、被係合部材60Aと対向する面に立壁部52aAを有する。立壁部52aAは、平坦な面であり、係合状態において、被係合部材60Aと当接する。本体部52Aの左側には、腰ベルト42および肩ベルト44を貫通する取付孔52bAが設けられる。本体部52Aの右側には、立壁部52aAの上下方向中央部から外方(被係合部材60A側)に突出する挿入部53Aが設けられる。挿入部53Aは、図10に示すように、たとえば略矩形状であり、上下方向に延びる溝部53aAを有する。挿入部53Aの右方端部には、第1磁石54Aが設けられる。図11に示すように、第1磁石54Aは、係合方向に着磁されており、具体的には、紙面左側がN極であり、紙面右側がS極である。
(右係合部材について)
図10,図11を参照して、右係合部材55Aについて説明する。右係合部材55Aは、本体部56Aと、挿入部57Aと、第1磁石58Aとを含む。
本体部56Aは、たとえば平面視台形形形状である。本体部56Aは、被係合部材60Aと対向する面に立壁部56aAを有する。立壁部56aAは、平坦な面であり、係合状態において、被係合部材60Aと当接する。本体部56Aの紙面右側には、腰ベルト43および肩ベルト45を貫通する取付孔56bAが設けられる。本体部56Aの紙面左側には、立壁部56aAの上下方向中央部から外方(被係合部材60A側)に突出する挿入部57Aが設けられる。挿入部57Aは、図10に示すように、たとえば略矩形状であり、上下方向に延びる溝部57aAを有する。挿入部57Aの左方端部には、第1磁石58Aが設けられる。図11に示すように、第1磁石54Aは、係合方向に着磁されており、具体的には、紙面左側がN極であり、紙面右側がS極である。
(被係合部材について)
図10,図11を参照して、被係合部材60Aについて説明する。被係合部材60Aは、固定部61Aと、操作部110Aと、一対の介在部120A,125Aとを含む。それぞれの構成について、詳細に説明する。
特に図10に示すように、固定部61Aは、操作部110Aと一対の介在部120A,25Aとバネ90Aとを内部に収納するケースの役割を果たす。固定部61Aは、筐体62Aと、筐体62Aの下方に設けられる取付孔63Aとを有する。取付孔63Aは、股ベルト41が取り付けられる。筐体62Aは、上方が開口した箱形状である。筐体62Aの左側面には、左係合部材51Aの挿入部53Aが挿入する貫通孔64aAが設けられる。筐体62Aの右側面には、右係合部材55Aの挿入部57Aが挿入する貫通孔65aAが設けられる。貫通孔64aA,65aAは、上述した挿入部53A,57Aが挿入するため、略矩形形状であり、挿入部53A,57Aよりも若干大きく形成されている。また、挿入部53A,57Aは、貫通孔64aA,65aA内に完全に挿入するため、左係合部材51Aの立壁部52aAと筐体62Aの左側面は、係合状態で当接し、右係合部材55Aの立壁部56aAと筐体62Aの右側面は、係合状態で当接する。これにより、係合部材51A,55Aと被係合部材60Aとの係合は、外部からの衝撃で外れにくい。
図10を参照して、操作部110Aについて説明する。操作部110Aは、一対の貫通孔64aA,65aAに対面する位置に設けられる。操作部110Aは、固定部61Aに対して上下動可能に設けられている。操作部110Aは、操作本体部112Aと、操作本体部112Aに設けられる案内部113Aと、第2磁石99Aと、第3磁石98Aとを有する。操作本体部112Aは、上方にその全体を覆う蓋部110Aを有する。
案内部113Aは、下述する介在部120A,125Aの凸部123A,128Aを案内するものである。案内部113Aは、操作本体部112Aの両側端(左係合部材51Aおよび右係合部材55A側)において、それぞれ一対ずつ設けられる。図12(b),図13(b)に示すように、一対の案内部113Aは、一対の第1平坦部114Aと一対の傾斜部115Aと一対の第2平坦部116Aとが連なって設けられる。一対の第1平坦部114Aの間隔は、一対の第2平坦部116Aの間隔より狭く形成されている。つまり、一対の第1平坦部114Aから一対の第2平坦部116Aに行くにつれ、その間隔が広くなるように設計されている。
第2磁石99Aは、第3磁石98Aの下方に位置する。これらの磁石98A,99Aは、ストッパ130Aにより下方から支持される。また、ストッパ130Aは、バネ90Aを支持することも兼ねる。バネ90Aは、筐体62Aとストッパ130Aとの間に挟まれる。このバネ90Aにより、操作部110Aは、常に上方に付勢される。
一対の介在部120A,125Aは、筐体62A内に取り付けられている。図10,図11を参照して、左介在部125Aは、断面視コの字状であり、端壁部126Aと、端壁部126Aの両端部から突出する一対の側壁部127Aとを有する。側壁部127Aには、上下方向略中央部に貫通孔129Aが形成されている。この貫通孔129Aは、上述した筐体62Aの貫通孔65aAと重なる位置に設けられる。貫通孔129Aは、左係合部材51Aの挿入部53Aが挿入される部分であるため、挿入部53Aの大きさよりも若干大きい。一対の側壁部127Aには、上下方向中央部において、内方に向かって突出する凸部128Aがそれぞれ形成されている。凸部128Aは、上述した操作部110Aの案内部113Aによって案内される。
右介在部120Aについて説明する。右介在部120Aの形状は、左介在部125Aの形状と略同一である。すなわち、右介在部120Aは、断面視コの字状であり、端壁部121Aと、端壁部121Aの両端部から突出する一対の側壁部122Aとを有する。端壁部121Aには、略中央部に貫通孔124Aが形成されている。貫通孔124Aは、右係合部材55Aの挿入部57Aが挿入される部分であるため、挿入部57Aの大きさよりも若干大きい。一対の側壁部122Aには、上下方向中央部にそれぞれ凸部123Aが形成されている。凸部123Aは、操作部110Aの案内部113Aによって案内される。
(連結具の動作について)
次に、図11~図13を参照して、連結具5Aの係合部材51A,55Aと被係合部材60Aとの動作について説明する。
まず、図11(a)で示すように、左係合部材51Aの挿入部53Aを、矢印Xで示す挿入方向に沿って被係合部材60Aの貫通孔64aAに挿入すると、左係合部材51Aの第1磁石54Aと操作部110Aの第2磁石99Aが対向する。左係合部材51Aの第1磁石54Aは、被係合部材60Aと面する側がS極である。操作部110Aの第2磁石99Aは、挿入部53Aと面する側がN極である。そのため、挿入部53Aと操作部110Aとは吸引して、図11(a),図12で示す状態となる。さらに、特に図12(c)に示すように、挿入部53Aの溝部53aAと左介在部125Aの突出部127aAとは係合する。これにより、係合部材51Aと被係合部材60Aとは、磁石の吸引と、挿入部53Aと左介在部125Aとの係合により、係合状態となる。この場合、図12(b)に示すように、左介在部125Aの凸部128Aは、案内部113Aの第1平坦部114Aに位置する。
同様に、右係合部材55Aの挿入部57Aを、矢印Xで示す挿入方向に沿って被係合部材60Aの貫通孔65aAに挿入すると、右係合部材55Aの第1磁石58Aと操作部110Aの第2磁石99Aが対向する。右係合部材55Aの第1磁石58Aは、被係合部材60Aと面する側がN極である。操作部110Aの第2磁石99Aは、挿入部57Aと面する側がS極である。そのため、挿入部57Aと操作部110Aとは吸引して、図11(a),図12で示す状態となる。さらに、特に図12(c)に示すように、挿入部57Aの溝部57aAと右介在部120Aの突出部122aAとは係合する。これにより、係合部材55Aと被係合部材60Aとは、磁石の吸引と、挿入部57Aと右介在部120Aとの係合により、係合状態となる。この場合、図12(b)に示すように、右介在部120Aの凸部123Aは、案内部113Aの第1平坦部114Aに位置する。
左係合部材51Aと右係合部材55Aと被係合部材60Aとの係合を解除する場合は、図11(b)および図13に示す状態にする。つまり、操作部110Aを矢印Yで示す押圧方向(下方)に押圧する。これにより、操作部110Aの第3磁石98Aが、挿入部53Aの第1磁石54Aと挿入部57Aの第1磁石58Aとに対面する。第3磁石98Aは、第1磁石54Aと面する側がS極、第1磁石58Aと面する側がN極であるため、第1磁石54A,58Aに対して反発する。
さらに、操作部110Aを押圧すると、図13(b)に示すように、凸部123A,128A(凸部128Aについては図示せず)は、案内部113Aの第1平坦部114Aから傾斜部115Aを通過して第2平坦部116Aに移動する。これにより、図13(b),図13(c)に示すように、右介在部120Aの一対の側壁部122Aの間隔、および、介在部125Aの一対の側壁部127Aの間隔が広がり、右介在部120Aの突出部122aAと挿入部57Aのスリット部57aAとの係合が外れて、係合部材55Aを被係合部材60Aから外すことができ、左介在部125Aの突出部127aAと挿入部53Aのスリット部53aAとの係合が外れて、左係合部材51Aおよび係合部材55Aを被係合部材60Aから外すことができる。
このように、本実施の形態の連結具5Aは、1つの操作部110Aで左係合部材51Aおよび右係合部材55Aの操作を行うことができる。つまり、操作部110Aを押圧するだけで、左係合部材51Aと右係合部材55Aの係合を同時に解除することができるため、肩ベルト45および肩ベルト44を同時に離すことができる。
<実施の形態3>
図14~図16を参照して、本実施の形態3に係る乳母車1に用いた連結具5Bの構成例について詳細に説明する。乳母車1の構成は、実施の形態1と同様であるが、連結具5Bの構成が異なる。実施の形態1で示した連結具5との相違点のみ詳細に説明する。
上記実施の形態1の連結具5と本実施の形態の連結具5Bとの主な相違点は、被係合部材の操作部の形状である。すなわち、実施の形態1の被係合部材60の操作部91,101は、平面視矩形形状で左右対称に設けられていたのに対し、本実施の形態の被係合部材60Bの操作部91B,101Bは平面視略L字状または逆L字形状であり、左右対称に設けられ、略中央部分が上下に重なって設けられている。なお、本実施の形態の係合部材51B,55Bの形状も実施の形態1の係合部材51,55とは異なっているが、係合部材51B,55Bについては、後述する。
(被係合部材について)
特に図14,図15を参照して、本実施の形態の被係合部材60Bについて説明する。被係合部材60Bの左操作部91Bおよび右操作部101Bは、操作方向、すなわち、矢印Bで示す左右方向に移動可能である。左操作部91Bの操作本体部92Bは、左右方向に延びる第1操作本体部92aBと、第1操作本体部92aBの一方端(図15の紙面の右端)から上方に突出する第2操作本体部92bBとを含む。第1操作本体部92aBの他方端(図15の紙面の左端)は、筐体62から露出している。第1操作本体部92aBには、ストッパ62aと上下方向に重なる位置に、左右方向に延びる貫通孔96Bが設けられる。第2操作本体部92bBには、上凹部93Bおよび下凹部94Bと、第2磁石99と、第3磁石98とを有する。上凹部93Bの傾斜部93bBおよび下凹部94Bの傾斜部94bBは、実施の形態1とは異なり、内方側(第2操作本体部102bBと向かい合う側)に位置する。
第2磁石99は、操作方向の外方側(第2操作本体部102bBと向かい合っていない側)に設けられ、第3磁石98は、操作方向の内方側(第2操作本体部102bBと向かい合う側)に設けられる。第1操作本体部92aBを操作していない状態では、第2磁石99が貫通孔64a(図16(a))と対面し、第1操作本体部92aBを押圧した状態では、第3磁石98が貫通孔64a(図16(c))に対面する。第2磁石99は、左操作部91Bの表面から裏面に向かう方向(係合方向)に着磁されている。具体的には、第2磁石99は、表側がS極であり、裏側がN極である。第3磁石98は、第2磁石99と同様に、左操作部91の表面から裏面に向かう方向(係合方向)に着磁されている。第3磁石98は、第2磁石99の逆の極性を有しており、表側がN極であり、裏側がS極である。
右操作部101Bは、左操作部91Bと略同一形状である。すなわち、右操作部101Bの操作本体部102Bは、左右方向に延びる第1操作本体部102aBと、第1操作本体部102aBの一方端(図15の紙面の左端)から上方に突出する第2操作本体部102bBとを含む。第1操作本体部102aBの他方端(図15の紙面の右端)は、筐体62から露出している。第1操作本体部102aBには、ストッパ62aと上下方向に重なる位置に、左右方向に延びる貫通孔106Bが設けられる。第2操作本体部102bBには、上凹部103Bおよび下凹部104Bと、第2磁石109と、第3磁石108とを有する。上凹部103Bの傾斜部103bBおよび下凹部104Bの傾斜部104bBは、内方側(第2操作本体部92bBと向かい合う側)に位置する。
第1操作本体部92aB,102aBを操作することで、被係合部材60Bは、図15(a)から図15(b)に示す状態に変位し、第2操作本体部92bBが外方(図15の紙面の右側)に移動し、第2操作部102bBも外方(図15の紙面の左側)に移動して、第2操作本体部92bB,102bBの位置が離れる。これにより、ロック部70の凸部74c,86cが上凹部103B,93Bの傾斜部103bB,93bBに沿って移動し、ロック部70の凸部76c,84cが下凹部94B,104Bの傾斜部94bB、104bBに沿って移動する。その後の動作については、実施の形態1と同様である。
第2磁石109は、操作方向の外方側(第2操作本体部92bBと向かい合っていない側)に設けられ、第3磁石108は、操作方向の内方側(第2操作本体部92bBと向かい合う側)に設けられる。第1操作本体部102aBを操作していない状態では、第2磁石109が貫通孔65a(図16(a))と対面し、第1操作本体部102aBを押圧した状態では、第3磁石108が貫通孔65a(図16(b))に対面する。第2磁石109は、右操作部101Bの表面から裏面に向かう方向(係合方向)に着磁されている。具体的には、第2磁石109は、表側がS極であり、裏側がN極である。第3磁石108は、第2磁石109と同様に、右操作部101Bの表面から裏面に向かう方向(係合方向)に着磁されている。第3磁石108は、第2磁石109の逆の極性を有しており、表側がN極であり、裏側がS極である。
(連結具の動作について)
実施の形態3の連結具5Bの動作の説明に先立ち、図17を参照して、磁石の吸引または反発による実施の形態1の連結具5の動作について説明する。
図17(a)に示すように、実施の形態1の係合部材51,55の第1磁石54,58は、被係合部材60と対面する側がN極である。被係合部材60の貫通孔64a,65aに対面する第2磁石99,109はS極であるため、第1磁石54,58と第2磁石99,109は吸引し、図17(b)に示すように、係合部材51,55と被係合部材60は係合する。この場合、第2磁石99,109の外方に位置する第3磁石98,108は、貫通孔64a,65a側(固定部61の表側)がN極であるため、係合部材51,55の第1磁石54,58と同極である。このため、係合部材51,55と被係合部材60を係合する際に、被係合部材60の左側から左係合部材51を持ってきて、被係合部材60の右側から右係合部材55を持ってくる場合には、図17(a)の矢印で示すように、第1磁石54,58と第3磁石98,108とが反発し、係合部材51,55を被係合部材60に素早く係合できない場合がある。
また、係合部材51,55と被係合部材60の係合を解除する場合には、操作部91,101(図4)を操作して、図17(c)に示すように、被係合部材60の第3磁石98,108を貫通孔64a,65a側(矢印で示す被係合部材60の内方側)に移動させる。これにより、第3磁石98,108のN極と第1磁石54,58のN極とが対面して反発するため、係合部材51,55と被係合部材60の係合が解除される。係合部材51,55は、第1磁石54,58と吸引する第2磁石99,109が内方に移動するため、図17(c)に示すように、左係合部材51は内方側(紙面の中央近傍)に飛んで外れ、右係合部材55も同様に内方(紙面の中央近傍)に飛んで外れる。このため、係合部材51,55と被係合部材60の係合を解除すると、座席部20(図1)に乗った乳幼児の腹部に係合部材51,55が残ったままとなり、乳幼児をスムーズに降ろすことができない。
これに対し、本実施の形態は、図16(a)に示すように、係合部材51B,55Bの第1磁石54,58が、被係合部材60Bと対面する側がN極である。被係合部材60Bの貫通孔64a,65aに対面する第2磁石99,109はS極であるため、第1磁石54,58と第2磁石99,109は吸引し、図16(b)に示すように、係合部材51B,55Bと被係合部材60Bは係合する。この場合、第3磁石98,108は、貫通孔64a,65a側(固定部61の表側)がN極であるため、係合部材51B,55Bの第1磁石54,58と同極である。第3磁石98,108は、第2磁石99,109の内方に位置する。このため、右係合部材55Bを被係合部材60Bの右側から持ってくる場合、左係合部材51Bを被係合部材60Bの左側から持ってくる場合であっても、第3磁石98,108が第1磁石54,58と第2磁石99,109の吸引を妨げないため、係合部材51B,55Bを被係合部材60Bに素早く係合することができる。
また、係合部材51B,55Bと被係合部材60Bの係合を解除する場合には、操作部91B,101B(図15)を操作して、図16(c)に示すように、被係合部材60Bの第3磁石98,108を貫通孔64a,65a側に移動させる。これにより、第3磁石98,108のN極と第1磁石54,58のN極とが対面して反発するため、係合部材51B,55Bと被係合部材60Bの係合が解除される。この場合、第2磁石99,109および第3磁石98,108は、操作部91B,101B(図15)の操作により、矢印で示す外方に移動する。係合部材51B,55Bは、第1磁石54,58と吸引する第2磁石99,109が外方に移動するため、図16(c)に示すように、左係合部材51Bは外方(紙面左側)に飛んで外れ、右係合部材55Bも同様に外方(紙面右側)に飛んで外れる。このため、係合部材51B,55Bと被係合部材60Bの係合を解除すると、座席部20(図1)に乗った乳幼児の両側に係合部材51,55が飛ぶため、乳幼児をスムーズに降ろすことができる。
次に、図18を参照して、本実施の形態の被係合部材60Bと、実施の形態1の係合部材51,55とを備えた連結具5Baにおいて、被係合部材60Bと係合部材51,55の係合を解除した場合の係合部材51,55の動作について詳細に説明する。
連結具5Baは、操作部91B,101Bを押圧することで、図18(b)の状態から図18(c)の状態になる。すなわち、係合部材51,55の第1磁石54,58と被係合部材60Bの第3磁石108,98とが対面することで、同N極が対面するため、係合部材51,55に対して、矢印P1で示す方向(操作部91B,101Bが移動する方向)の反発力がそれぞれ働く。それと同時に、操作部91B,101Bの移動に伴って、係合部材51,55に対して、矢印P2で示す方向(第1磁石54,58が第2磁石99,109に引き合う方向)の吸引力がはたらく。このため、係合部材51,55が貫通孔64a,65aから飛び出す方向は、矢印P3で示す方向(外方に向かって斜め上方に延びる方向)となる。
これにより、図18(d)の破線の丸で示すように、係合部材51,55の突出部53b,57bが貫通孔64a,65aの壁部64c,65cに引っ掛かり、被係合部材60Bと係合部材51,55の係合をスムーズに解除することができない。そのため、本実施の形態の係合部材51B,55Bは、図19に示すように、係合部材51B,55Bの突出部53b,57bが貫通孔64a,65aの壁部64c,65cに引っ掛かることを防ぐために、以下の構成となっている。
(係合部材について)
係合部材51B,55Bは、操作部91B,101Bの操作方向の外方側に移動規制部を有する。移動規制部は、挿入部53B,57Bが貫通孔64a,65a内に位置している間、挿入部53B,57Bが貫通孔64a,65a内で操作方向の外方へ移動することを規制する部分である。以下、移動規制部の形状について、詳細に説明する。
図19(a)および図19(b)は、右係合部材55Bを示す図である。図19を参照して、右係合部材55Bの挿入部57Bは、段差部56bから突出する第1突出部57cBと、第1突出部57cBから連なり、第1突出部57cBよりも内方に凹むスリット部57aBと、スリット部57aBから連なる第2突出部57bBとを含む。スリット部57aBの一部には、第1突出部57cBと第2突出部57bBとを連結するリブ57dBが設けられる。具体的には、リブ57dBは、上下方向に延び、スリット部57aBを埋めている。リブ57dBは、操作部101Bの操作方向の外方側、言い換えると、係合部材51B,55Bが飛び出す方向(図18(a)の矢印方向)に設けられる。リブ57dBは、右係合部材55Bと被係合部材60Bとが係合した場合に、ロック部70の第1移動部74a,84aとの間の隙間Sと一致する位置に設けられる。このようなリブ57dBは、移動規制部の役割を果たす。
リブ57dBが設けられることで、リブ57dBと貫通孔64aの壁部64c(図18(d))が当接し、右係合部材55Bは、外方に向かって斜め上方に飛ばずに、貫通孔64aの上方に向かって飛び出す。これにより、図18(d)で説明した、第2突出部57bと貫通孔65aの壁部64cとが引っ掛かることがないため、右係合部材55Bと被係合部材60Bの係合をムーズに解除することができる。以上、右係合部材55Bについて説明したが、左係合部材51Bは、右係合部材55Bの形状と同様である。
(移動規制部の変形例について)
図20を参照して、移動規制部の他の変形例について説明する。移動規制部は、係合部材51C,55Cおよび被係合部材60Cに設けられてもよい。
係合部材55Cの段差部56b上には、段差部56bから外方に突出するリブ57dCが設けられている。リブ57dCは、挿入部57の外周を取り囲むように円形に設けられている。リブ57dCは、挿入部57の外周から数ミリ離れて設けられているが、段差部56bの領域内に設けられていればよい。
被係合部材60Cの右凹部65上には、右凹部65から内方に凹む溝部65bCが設けられている。溝部65bCの幅は、リブ57dCの幅よりも大きい。溝部65bCは、係合部材55Cを被係合部材60Cに係合した場合に、リブ57dCと対応する位置に設けられ、貫通孔65aを取り囲むように円形に設けられている。これらのリブ57dCおよび溝部65bCは、移動規制部の役割を果たす。本実施の形態の移動規制部は、凹凸形状である。移動規制部(リブ57dCおよび溝部65bC)を設けることで、係合部材55Cと被係合部材60Cの係合を解除する場合に、係合部材55Cが斜め上方に移動することを規制されるため、係合部材55Cの突出部53bが壁部64cに引っ掛からない。なお、図示を省略するが、左係合部材51Cは、右係合部材55Cの形状と同様であり、左凹部64(図14)は、右凹部65の形状と同様である。
移動規制部は、円形状でなくてもよく、図21に示すように、一部分のみ設けられていればよい。その場合、リブ57dDおよび溝部65bDは、係合部材55Dが飛び出す方向(図18(a)の矢印方向)に設けられる。溝部65bDの長手方向の寸法は、リブ57dCの幅寸法よりも大きくてもよいし、略同寸法であってもよい。なお、左係合部材51Dは、右係合部材55Dの形状と同様であり、左凹部64(図14)は、右凹部65の形状と同様である。
なお、移動規制部は、係合部材51C,51D,55C,55Dのリブ57dC,57dDと、被係合部材60C,60Dの溝部65bC,65bDとで形成されるとしたが、係合部材51C,51D,55C,55Dに溝部が設けられ、被係合部材にリブが設けられる逆の形状であってもよい。
図22を参照して、移動規制部のさらに他の変形例について説明する。移動規制部は、係合部材51E,55Eの挿入部57Eの形状を工夫することにより形成してもよい。
係合部材55Eの挿入部57Eは、段差部56bから突出する第1突出部57cEと、第1突出部57cEから連なり、第1突出部57cEよりも内方に凹む溝部57aEと、溝部57aEから連なる第2突出部57bEとを含む。図22(c)に特に示すように、第1突出部57cEの横幅寸法L2は、第2突出部57bEの横幅寸法L3よりも大きい。つまり、貫通孔65aの直径L1は、第1突出部57cEの横幅寸法L2よりもやや小さく設けられているのに対し、第2突出部57bEよりもかなり小さく設けられる。
これにより、係合部材55Eと被係合部材60Eの係合を解除する場合に、右係合部材55Eが斜めに傾いたとしても、第2突出部57bEが貫通孔65aの壁部65cに引っ掛かりにくくなる。これにより、係合部材55Eが矢印P3で示す方向(外方に向かって斜め上方に延びる方向)に飛んだとしても、係合部材55Eの第2突出部57bEが貫通孔65aの壁部65cに引っ掛かりにくくなり、係合部材55Eをスムーズに飛ばして外すことができる。なお、左係合部材51Eは、右係合部材55Eの形状と同様である。
<実施の形態4>
図23~図27を参照して、本実施の形態4に係る乳母車1に用いた連結具5Fの構成例について詳細に説明する。乳母車1の構成は、実施の形態1と同様であるが、連結具5Fの構成が異なる。実施の形態1で示した連結具5との相違点のみ詳細に説明する。
上記実施の形態1の連結具5と本実施の形態の連結具5Fとの主な相違点は、被係合部材60Fの形状である。すなわち、実施の形態1の被係合部材60は、操作部91,101自体を押圧することで磁石98,99,108,109がスライド移動して変位していたのに対し、本実施の形態の被係合部材60Bは、操作ボタン141Fを操作することで、第1,2動作部150F,160Fが回転して移動し、磁石98,99,108,109の位置が変位する。
(被係合部材について)
図24,図25を参照して、本実施の形態の被係合部材60Fについて説明する。被係合部材60Fは、固定部61Fと、操作部140Fと、ロック部70Fとを含む。なお、図24において、矢印Aで示す方向を表側(前方)、矢印Aの反対方向を裏側(後方)という。また、図25において、矢印Cで示す方向を上方、矢印Cの反対方向を下方という。
特に図24に示すように、固定部61Fには、実施の形態1のように左凹部64および右凹部65が設けられておらず、筐体62上に直接貫通孔64a,65aが設けられている。さらに、筐体62の略中央部に、後述する操作ボタン141F用の開口である開口部62bFが設けられる。
操作部140Fは、操作ボタン141Fと、操作ボタン141Fの操作により変位する動作部142Fとを含む。操作ボタン141Fは、1つ設けられ、前後方向に移動可能である。ここで、操作ボタンとは、直接指で触れて動かす部分であり、押圧することで移動する部分だけでなく、引いたり摘まんだりする部分も含む。
図24に示すように、操作ボタン141Fは、表側に設けられる押圧部143Fと、裏側に設けられる傾斜部144Fと、押圧部143Fと平行な垂直部146Fと、操作ボタン141Fを固定部61Fに固定する掛止部145Fとを有する。押圧部143Fは平坦な平面であり、押圧部143Fを押圧することにより、操作ボタン141F自体が後方にスライド移動する。傾斜部144Fは、表側から裏側に向かって下方に傾斜する形状である。傾斜部144Fは、後述する動作部142Fと接する。これにより、操作ボタン141Fを操作することで、動作部142Fを変位させることが可能となる。この動作については、後述する。掛止部145Fは、操作ボタン141Fの側方から外方に向かって突出する凸形状である。掛止部145Fは、筐体62内に設けられるスリット形状の被掛止部62cFに前後方向へ移動可能な状態で掛止される。
動作部142Fは、固定部61Fの貫通孔64aに対面する第1動作部150Fと、固定部61Fの貫通孔65aに対面する第2動作部160Fとを有する。第1動作部150Fと第2動作部160Fは、たとえば左右対称に設けられる。図25に示すように、第1動作部150Fと第2動作部160Fは、回転軸165Fで連結される。第1動作部150Fおよび第2動作部160Fは、操作ボタン141Fの操作により変位可能である。
図25を特に参照して、第1動作部150Fは、第1動作本体部151Fと、第2磁石99と、第3磁石98とを有する。第1動作本体部151Fは、第2ロック部81Fの凸部86cFが当接する上端縁154Fと、第1ロック部71Fの凸部76cFが嵌っている凹部153Fと、第1動作本体部151Fを回転可能に固定部61Fに保持する軸部152Fと、バネ支持部156Fとを有する。上端縁154Fは、外方に向かって下降するように傾斜する傾斜面である。
第1動作本体部151Fが軸部152Fを中心に時計回りに回転すると、上端縁154Fの傾斜角度が大きくなり、凹部153Fの位置が下方に移動する。また、実施の形態3の左操作部91Bと同様に、第2磁石99は、第3磁石98の外方に配置されている。第2磁石99および第3磁石98は、第1動作部150Fが軸部152Fを中心に回転することを考慮して、略傾斜して配置されている。なお、この説明では、被係合部材60Fを裏側から見て説明しているが、表側から見た状態では、第1動作本体部151Fは反時計回りに回転する。
第2動作部160Fは、第1動作部150Fと略同一形状である。第2動作部160Fは、第2動作本体部161Fと、第2磁石109と、第3磁石108とを有する。第2動作本体部161Fは、第1ロック部71Fの凸部74cFが当接する上端縁164Fと、第2ロック部81Fの凸部84cFが嵌っている凹部163Fと、第2動作本体部161Fを回転可能に固定部61Fに保持する軸部162Fと、バネ支持部166Fとを有する。上端縁164Fは、外方に向かって下降するように傾斜する傾斜面である。上述のように、第1動作部150Fと第2動作部160Fとは、回転軸165Fで回転可能に連結されている。
第2動作本体部161Fが軸部162Fを中心に反時計回りに回転すると、上端縁164Fの傾斜角度が大きくなり、凹部163Fの位置が下方に移動する。また、実施の形態3の左操作部101Bと同様に、第2磁石109は、第3磁石108の外方に配置されている。第2磁石109および第3磁石108は、第2動作部160Fが軸部162Fを中心に回転することを考慮して、略傾斜して配置されている。なお、この説明では、被係合部材60Fを裏側から見て説明しているが、表側から見た状態では、第2動作本体部161Fは時計回りに回転する。
第1ロック部71Fおよび第2ロック部81Fの全体的な形状は、実施の形態1の第1ロック部71および第2ロック部81と略同一であるが、凸部74cF,76cF,84cF,86cFの位置において異なる。凸部76cF,84cFは、凸部74cF,86cFと上下対称に設けられておらず、凸部74cF,86cFよりも内方側に設けられている。
(連結具の動作について)
次に、図25~図27を参照して、連結具5の係合部材51,55と被係合部材60Fとの動作について説明する。なお、図26は、第1ロック部70F、操作ボタン141Fおよび動作部142Fを取り出し、裏側から第1ロック部70Fおよび操作ボタン141Fを見た図であるため、動作部142Fを破線で示している。図26(a)は操作部140Fを操作していない状態であり、図26(b)は操作部140Fを操作した状態である。
まず、図27に示すように、操作ボタン141Fの押圧部143Fを前方から後方へ押圧する。さらに図26を参照して、操作ボタン141Fの傾斜部144Fと、第1,2動作部150F,160Fの下端部157F,167Fとは当接している。そのため、操作ボタン141Fを前方から後方に押圧すると、操作ボタン141Fの傾斜部144Fに沿って第1,2動作部150F,160Fの下端部157F,167Fが上方に移動する。
図26(b)に示すように、操作ボタン141Fの押圧により、第1,2動作部150F,160Fの下端部157F,167Fが上方に移動すると、第1動作部150Fが軸部152Fを中心に時計回りに回転し、第2動作部160Fが軸部162Fを中心に反時計回りに回転する。第1,2動作部150F,160Fは、回転軸165Fで連結されているため、その回転動作が連動する。さらに、第1,2動作部150F,160Fの回転により、第1,2ロック部71F,81Fの凸部74cF,86cFが上端縁154F、164Fの傾斜に沿って移動し、第1,2ロック部71F,81Fの凸部76cF,84cFが凹部153F,163F内を移動して、第1,2ロック部71F,81Fが矢印Zの開口方向に開く。さらに、第1,2動作部150F,160Fの回転により、第3磁石98,108のN極と第1磁石54,58のN極とが対面して反発するため、係合部材51,55と被係合部材60Fの係合が解除される。
このように、操作ボタン141Fを操作するだけで、係合部材51,55と被係合部材61Fの係合を解除することができ、指一本でロックを解除することができるため、ロック解除を容易に行うことができる。また、操作ボタン141Fと、第2磁石99,109が設けられる第1,2動作部150F,160Fとを別の部材にすることで、操作方向と磁石の移動方向を異ならせることができる。
なお、実施の形態1,2では、座席付き育児器具として、乳母車を例に説明したが、これに限定されず、座席が付いている子供用の育児器具であればよく、たとえばベビーラック、育児椅子、チャイルドシートなどであってもよい。
また、実施の形態1,2では、係合部材51,55に腰ベルト42,43および肩ベルト44,45が連結されていたが、肩ベルト44,45は必ずしも連結されていなくてもよく、少なくとも係合部材51,55に腰ベルト42,43が取り付けられていればよい。
さらに、本実施の形態1,2では、被係合部材60,60Aに第3磁石98,98A,108,108Aが設けられていたが、被係合部材60,60Aには第2磁石99,99A,109,109Aが設けられていればよい。
また、移動規制部は、被係合部材60B,60C,60Dのみに設けられていてもよい。また、移動規制部は、係合部材51B,55Bの挿入部57が挿通孔64a,65a内に位置している間、挿入部57が貫通孔64a,65a内で操作方向の外方へ移動することを規制するものであれば、上記で説明した形状に限定されない。
さらに、操作ボタン141Fと動作部142Fの移動方向は限定されない。具体的には、操作ボタン141Fは、斜め上方に移動可能であり、動作部142Fは、操作ボタン141Fの操作により上下方向に移動可能であってもよい。また、動作部142Fは、少なくとも1つ設けられていればよい。その場合、動作部142Fには、第2磁石99,109および第3磁石98,108の4つが上下方向に整列して、交互に配置されていることが好ましい。
また、操作ボタン141Fと動作部142Fとは直接連結されておらず、他の部材を介して連結されていてもよい。
さらに、実施の形態2の連結具5Aは、3点ベルトであり、腰ベルト42および肩ベルト44と連結された左係合部材51および右係合部材55が設けられていた。しかし、腰ベルト42に連結する係合部材と、肩ベルト44に連結する係合部材が、それぞれ一対ずつ設けられる5点ベルトであってもよい。具体的には、左係合部材が上下に2つ設けられ、上方の左係合部材に肩ベルト44が連結され、下方の左係合部材に腰ベルト42が取り付けられてもよい。右係合部材についても同様である。この場合、第2磁石99Aおよび第3磁石98Aが上下に2つずつ交互に配列されていることが好ましい。
また、実施の形態1,3,4の連結具5、5B~5Fも同様に3点ベルトであったが、腰ベルト42に連結する係合部材と、肩ベルト44に連結する係合部材が、それぞれ一対ずつ設けられる5点ベルトであってもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。