JP7216220B2 - ポリウレタンウレア樹脂溶液並びにこれを用いた塗料、印刷インキ、コーティング剤及び接着剤 - Google Patents
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Description
ここで、ポリエステル、ナイロン及びポリオレフィンの基材に対する接着力を向上させ、各種プラスチックに汎用的に使用する目的で、ポリウレタンと塩素化ポリオレフィンとの混合物(例えば特許文献1参照)や酸化処理した塩素化ポリオレフィンのウレタン変性物をバインダーとして用いることが提案されている(例えば特許文献2参照)。また、基材表面にコロナ処理又はプラズマ処理を施し接着力を向上させる方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。
また、基材表面にコロナ処理又はプラズマ処理を施す方法では、処理後の時間の経過とともに接着性が低下するという問題がある。
さらに、塗料、印刷インキ、接着剤及びコーティング剤の溶剤としてトルエンが汎用的に使用されている。しかしながら、労働安全衛生法の改正でトルエンの環境濃度規制が強化され、トルエンを含まない溶剤系の需要が大きくなり、更に近年では、より環境に適応したアルコール溶剤系の要望が増えてきている。
即ち本発明は、水酸基変性ポリオレフィン(A)、ポリイソシアネート(B)及び数平均分子量又は化学式量が500未満の鎖伸長剤(C)を必須構成単量体とするポリウレタンウレア樹脂(U)と溶剤(S)とを含有するポリウレタンウレア樹脂溶液であって、
前記水酸基変性ポリオレフィン(A)の構成単量体であるエチレンと炭素数3~8のα-オレフィンの重量比(エチレン:α-オレフィン)が5:95~95:5であり、
前記水酸基変性ポリオレフィン(A)のα-オレフィン単位連鎖部のアイソタクティシティーが10~50%であり、
前記水酸基変性ポリオレフィン(A)の数平均分子量が1,000~6,000であり、
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)が有するウレア基の濃度が、前記ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量を基準として、0.3~1.3mmol/gであり、
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)が有する式(1)で表される構成単位の重量割合が、前記ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量を基準として、4重量%以下であるポリウレタンウレア樹脂溶液;前記ポリウレタンウレア樹脂溶液を含有する塗料、印刷インキ、コーティング剤及び接着剤である。
本発明において、ポリウレタンウレア樹脂(U)は、水酸基変性ポリオレフィン(A)、ポリイソシアネート(B)及び数平均分子量又は化学式量が500未満の鎖伸長剤(C)を必須構成単量体とする。
本発明において、水酸基変性ポリオレフィン(A)の構成単量体であるエチレンと炭素数3~8のα-オレフィンの重量比(エチレン:α-オレフィン)は5:95~95:5であり、前記水酸基変性ポリオレフィン(A)のα-オレフィン単位連鎖部のアイソタクティシティーは10~50%であり、前記水酸基変性ポリオレフィン(A)の数平均分子量は1,000~6,000である。
上記水酸基変性ポリオレフィン(A)は、水酸基を有するポリオレフィンである。
本発明においては、水酸基変性ポリオレフィン(A)としてα-オレフィン構造を適度に有し、数平均分子量が上記範囲であり、アイソタクティシティーが上記範囲であるものを用いることにより、ポリウレタンウレア樹脂(U)の分子構造中にプラスチックに対する親和性の高い部分を適度な単位で持たせつつ、ポリウレタンウレア樹脂(U)の分子構造を結晶性が比較的低い適度なものとすることができるので、プラスチックへの接着性と溶剤への溶解性を両立することができると推察される。
前記炭素数3~8のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン及び1-オクテンが挙げられる。尚、炭素数3~8のα-オレフィンは2種又はそれ以上を併用してもよいが、1種が好ましい。上記α-オレフィンの内、機械的強度及び生産性の観点から、好ましいのはプロピレンである。
重量比(エチレン:α-オレフィン)が、5:95よりもエチレンが少ない(炭素数3~8のα-オレフィンに対するエチレンの重量比が1/19未満)場合、接着性に劣り、重量比(エチレン:α-オレフィン)が95:5よりもエチレンが多い(炭素数3~8のα-オレフィンに対するエチレンの重量比が19を超える)と機械的強度に劣る。
上記重量比(エチレン:α-オレフィン)は、例えば、1H-MNRにより算出できる。
上記その他の単量体としては、例えば、炭素数(Cと略記することがある)9~30のα-オレフィン(1-デセン及び1-ドデセン等)、α-オレフィン以外のC4~30の不飽和単量体(例えば、2-ブテン、イソブテン等のオレフィン並びにスチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド及び酢酸ビニル等のビニル単量体等)等が挙げられる。
装置 :高温ゲルパーミエーションクロマトグラフ
[「Alliance GPC V2000」、Waters社製]
検出装置 :屈折率検出器
溶媒 :オルトジクロロベンゼン
基準物質 :ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED-B 2本直列
[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
カラム温度 :135℃
二重結合数は、炭素-炭素二重結合を有するポリオレフィン(A1)の1H-NMR(核磁気共鳴)分光法のスペクトルから求めることができる。即ち、該スペクトル中のピークを帰属し、炭素-炭素二重結合を有するポリオレフィン(A1)の4.5~6ppmにおける二重結合由来の積分値及び(A1)由来の積分値から、(A1)の二重結合数と(A1)の炭素数の相対値を求め、(A1)の炭素1,000個当たりの二重結合数を算出する。後述の実施例における二重結合数は上記方法に従った。
即ち、α-オレフィンがプロピレンの場合、13C-NMRで得られるプロピレン中の側鎖メチル基由来の炭素ピークについて、ペンタッド各ピークの高さ(H)、ペンタッドがメソ構造のみで形成されるアイソタクティックのプロピレン中のメチル基由来のピークの高さ(Ha)から、アイソタクティシティーは、以下の式(I)で算出される。
アイソタクティシティー(%)=[(Ha)/Σ(H)]×100 (I)
但し、式(I)中、Haはアイソタクティック(ペンタッドがメソ構造のみで形成される)の信号のピーク高さ、Hはペンタッドの各ピーク高さである。
これらの内、工業的な観点及び改質特性の観点から好ましいのは、分子末端及び/又は分子鎖中の二重結合数のより多いものが得やすい(1)の方法である。
熱減成温度が高い程、また、熱減成時間が長い程、炭素数1,000個当たりの二重結合数は、多くなる傾向がある。
更に、ポリオレフィン(A0)のMnが小さい程、熱減成温度が高い程、また、熱減成時間が長い程、炭素-炭素二重結合を有するポリオレフィン(A1)のMnは小さくなる傾向がある。
尚、本発明において不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)は、不飽和モノカルボン酸、不飽和ポリカルボン酸及び/又は不飽和ポリカルボン酸無水物を意味する。
不飽和モノカルボン酸としては、脂肪族不飽和モノカルボン酸(好ましくはC3~24、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸)及び脂環含有不飽和モノカルボン酸(好ましくはC6~24、例えばシクロヘキセンカルボン酸)等が挙げられる。
不飽和ポリ(2~3又はそれ以上)カルボン酸(無水物)としては、不飽和ジカルボン酸(無水物)[脂肪族ジカルボン酸(無水物)(好ましくはC4~24、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸及びこれらの無水物)及び脂環含有ジカルボン酸(無水物)(好ましくはC8~24、例えばシクロへキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、ビシクロヘプテンジカルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸及びこれらの無水物)等]等が挙げられる。
不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)の内、ポリオレフィン(A1)との反応性の観点から好ましいのは、不飽和ジカルボン酸無水物、より好ましいのは無水マレイン酸である。
酸変性ポリオレフィン(X)における構成単量体としての炭素-炭素二重結合を有するポリオレフィン(A1)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)との重量比[(A1):(E)]は、機械的強度と接着性とのバランスの観点から、好ましくは80:20~99.5:0.5、より好ましくは90:10~99:1である。
尚、上記ラジカル開始剤(F)としては、公知のもの、例えば、アゾ開始剤(アゾビスイソブチロニトリル等)及び過酸化物開始剤(ジクミルパーオキサイド等)等が挙げられ、過酸化物開始剤が好ましく用いられる。
(i)100℃に温度調整したキシレン100gに酸変性ポリオレフィン(X)1gを溶解させる。
(ii)同温度でフェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液[商品名「0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液」、富士フイルム和光純薬(株)製]で滴定を行う。
(iii)滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して酸価(単位:mgKOH/g)を算出する。
なお、上記測定では1個の酸無水物基は1個のカルボキシル基と等価になる結果が得られる。
また、上記酸価は、炭素-炭素二重結合を有するポリオレフィン(A1)の有する二重結合数、(A1)の重量、不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)の種類、(E)の重量で適宜、調整可能である。
AOの付加モル数は酸変性ポリオレフィン(X)のカルボキシル基1モル当たり、好ましくは1~10モル又はそれ以上、より好ましくは1~5モル、更に好ましくは1モルである。
AOによる酸変性ポリオレフィン(X)の変性は、公知の方法で行われる。例えば、AOを開環付加重合させる際の反応温度は、好ましくは40~200℃であり、より好ましくは70~160℃である。反応圧力は好ましくは-0.1~0.5MPaである。反応は、必要により触媒の存在下に行われる。
構成単量体において、重量比(エチレン:α-オレフィン)が、5:95よりもエチレンが少ない(炭素数3~8のα-オレフィンに対するエチレンの重量比が1/19未満)の場合、接着性、溶液安定性が悪化し、重量比(エチレン:α-オレフィン)が95:5よりもエチレンが多い(炭素数3~8のα-オレフィンに対するエチレンの重量比が19を超える)と機械的強度、溶液安定性が悪化する。
水酸基変性ポリオレフィン(A)の構成単量体であるエチレンと炭素数3~8のα-オレフィンの重量比は、上記高分子量のポリオレフィン(A0)に用いるエチレンと炭素数3~8のα-オレフィンの比率により、適宜、調整可能である。
水酸基変性ポリオレフィン(A)のα-オレフィン単位連鎖部のアイソタクティシティーは、高分子量のポリオレフィン(A0)のアイソタクティシティーにより、適宜、調整可能である。
水酸基変性ポリオレフィン(A)のMnは、炭素-炭素二重結合を有するポリオレフィン(A1)のMn、不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)の種類及び使用量並びに(A1)と(E)との反応の制御により、適宜、調整可能である。
水酸基変性ポリオレフィン(A)の水酸基価は、炭素-炭素二重結合を有するポリオレフィン(A1)が有する二重結合数、(A1)の使用量並びに不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(E)の種類及び使用量で適宜、調整可能である。
水酸基変性ポリオレフィン(A)の酸価(mgKOH/g)は、好ましくは0~10、より好ましくは0~5である。
なお、水酸基変性ポリオレフィン(A)の水酸基価は、JIS K0070-1992に準拠した方法で測定される値である。酸価は、酸変性ポリオレフィン(X)の酸価と同様の方法(JIS K0070-1992に準拠した方法)で測定される値である。
1分子当りの水酸基の数=MnA×OHV/56100 (II)
MnA:水酸基変性ポリオレフィン(A)のMn
OHV:水酸基変性ポリオレフィン(A)の水酸基価(mgKOH/g)
また、水酸基変性ポリオレフィン(A)が有するイミド基の濃度(含有量)は、ポリエステル基材及びナイロン基材への接着性の観点から、水酸基変性ポリオレフィン(A)の重量を基準として、0.05~3.0mmol/gであることが好ましい。
ポリオール(H)の水酸基価(mgKOH/g)は、溶剤溶解性の観点から、22~225が好ましく、より好ましくは28~113である。なお、ポリオール(H)の水酸基価は、JIS K0070-1992に準拠して測定される値である。
本発明におけるポリオール(H)の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H-L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は「メタクリル及び/又はアクリル」を意味する。
ポリイソシアネート(B)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの内、接着性及び溶剤溶解性の観点から好ましいのは脂環式ジアミン、ジアルキレン(炭素数2~6)トリアミンであり、より好ましいのはイソホロンジアミン、ジエチレントリアミンであり、更に好ましくはイソホロンジアミンである。
一般式(3)におけるR3は水素原子又はメチル基を表す。
本発明におけるポリウレタンウレア樹脂(U)が有するウレア基の濃度(含有量)は、接着性、機械的強度及び溶剤溶解性の観点から、ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量を基準として、0.3~1.3mmol/gであり、好ましくは0.3~1.2mmol/gである。
本発明におけるポリウレタンウレア樹脂(U)のウレタン基濃度とウレア基濃度との合計は、接着性、機械的強度及び溶剤溶解性の観点から、ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量を基準として、0.7~2.2mmol/gであることが好ましく、より好ましくは1.0~2.0mmol/gである。
ポリウレタンウレア樹脂(U)中のウレア基含有量を所望の範囲とするには、ポリウレタンウレア樹脂(U)の原料中のアミノ基含有量、水分含量及びイソシアネート基含有量を適宜調整すればよい。
ポリウレタンウレア樹脂(U)中のウレタン基濃度及びウレア基濃度は窒素分析計によって定量されるN原子含有量と1H-NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率並びにアロハネート基及びビューレット基含有量から算出することができる。「N原子含有量」から、「アロハネート基」及び「ビューレット基」由来のN原子の量を減算することで、「ウレタン基」及び「ウレア基」由来のN原子の合計量を算出する。次に、ウレタン基とウレア基の比率から、「ウレタン基」及び「ウレア基」由来のN原子の量をそれぞれ算出する。この値から、ウレタン基濃度及びウレア基濃度を算出する。
(ポリウレタンウレア樹脂(U)のウレタン基濃度及びウレア基濃度)
ポリウレタンウレア樹脂(U)のウレタン基濃度及びウレア基濃度は、窒素分析計[ANTEK7000(アンテック社製)]によって定量されるN原子含有量と1H-NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率及び後述のアロハネート基及びビューレット基含有量から算出する。
1H-NMR測定については、「NMRによるポリウレタン樹脂の構造研究:武田研究所報34(2)、224-323(1975)」に記載の方法で行う。すなわち1H-NMRを測定して、脂肪族イソシアネートを使用した場合、化学シフト6ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト7ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を測定し、該重量比と上記のN原子含有量並びにアロハネート基及びビューレット基含有量からウレタン基及びウレア基含有量を算出する。
芳香族イソシアネートを使用した場合、化学シフト8ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト9ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を算出し、該重量比と上記のN原子含有量並びにアロハネート基及びビューレット基含有量からウレタン基及びウレア基含有量を算出する。
ポリウレタンウレア樹脂(U)のアロハネート基及びビューレット基の含有量の合計は、ガスクロマトグラフ[Shimadzu GC-9A{(株)島津製作所製}]によって算出する。0.01重量%のジ-n-ブチルアミンと0.01重量%のナフタレン(内部標準)とを含む50gのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を調整する。サンプルを共栓付き試験管に測り取り、上記のDMF溶液を2g加え、試験管を90℃の恒温水槽で2時間加熱する。常温に冷却後、10μlの無水酢酸を加え10分間振とう攪拌する。更に50μlのジ-n-プロピルアミンを添加し、10分間振とう後、ガスクロマトグラフ測定を行う。並行してブランク測定を行い、試験値との差よりアミンの消費量を求め、アロハネート基及びビューレット基の含有量の合計を求める。
(ガスクロマトグラフ条件)
装置:Shimadzu GC-9A
カラム:10%PEG-20M on Chromosorb WAW DMLS 60/80meshガラスカラム 3mmφ×2m
カラム温度:160℃、試料導入部温度:200℃、キャリアガス:窒素 40ml/分
検出器:FID、試料注入量:2μl
(アロハネート基及びビューレット基の含有量の合計の算出式)
アロハネート基及びビューレット基の含有量の合計={(B-A)/B}×0.00155/S
A:試料の(ジ-n-ブチルアセトアミドのピーク面積/ナフタレンのピーク面積)
B:ブランクの(ジ-n-ブチルアセトアミドのピーク面積/ナフタレンのピーク面積)
S:ポリウレタンウレア樹脂(U)採取量(g)
ポリイソシアネート(B)又は水酸基変性ポリオレフィン(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させてなるイソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤(C)との反応温度は好ましくは100℃以下、より好ましくは0~80℃である。
溶剤(S)としては、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル及びエチルセロソルブアセテート等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、エーテル系溶剤(ジオキサン、テトラヒドロフラン及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、脂肪族炭化水素系溶剤(n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等)及びアルコール系溶剤(エタノール、メタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びn-ブチルアルコール(n-ブタノール)等)等が挙げられる。
ポリウレタンウレア樹脂溶液が含有する溶剤(S)について、アルコール系溶剤の重量割合は、溶液安定性の観点から、ポリウレタンウレア樹脂溶液が含有する全ての溶剤(S)の合計重量を基準として、10~70重量%であることが好ましい。
一態様において、溶剤(S)は、脂肪族炭化水素系溶剤及びアルコール系溶剤を上記の割合で含有することが好ましい。
本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液は、前記ポリウレタンウレア樹脂(U)と溶剤(S)とを含有する。
溶剤(S)としては、前記のものが挙げられ、ポリウレタンウレア樹脂(U)の溶解性の観点から好ましいのは、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アルコール系溶剤(炭素数1~10の溶剤が好ましく、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール等が挙げられる。)、脂肪族炭化水素系溶剤(炭素数6~10の溶剤が好ましく、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサン等が挙げられる。)であり、より好ましいのは酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサン及びイソプロピルアルコールである。また、溶剤を乾燥させる条件の調整の容易さ及び接着性の観点から特に好ましいのは、メチルシクロヘキサン及びイソプロピルアルコールである。本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液は、上記の溶剤(S)の1種又は2種以上を含有することが好ましい。一態様において、本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液は、トルエンを含有しないことが好ましい。溶剤(S)は、トルエンを含有しないことが好ましい。本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液は、塩素を含有しないことが好ましい。
本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液中のポリウレタンウレア樹脂(U)は、機械的強度が良好であり、プラスチック(ポリオレフィン、ポリエステル及びナイロン等)基材に対して優れた接着性を有する。また、本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液は溶液安定性に優れているので、本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液を用いれば、機械的強度が良好であり、プラスチック基材に対して優れた接着性を有し、溶液安定性に優れる塗料、印刷インキ、コーティング剤及び接着剤を得ることができる。
本発明の塗料は、前記本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液を含有する。本発明の塗料において、ポリウレタンウレア樹脂(U)は、バインダーや顔料分散性樹脂等として機能を発揮する。
本発明の塗料中の前記ポリウレタンウレア樹脂(U)の含有量は、接着性、機械的強度及びハンドリング性の観点から、塗料の重量に基づいて、1~40重量%が好ましく、より好ましくは2~30重量%である。
添加剤としては、例えば、顔料、硬化剤、希釈剤、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などのレベリング剤、シリコーン系、アクリル系等のはじき防止剤、皮はり防止剤、揺変剤、消泡剤、色分かれ防止剤、平滑剤、湿潤剤、分散剤、増粘剤、沈降防止剤、重合防止剤、構造粘性付与剤、静電塗装性改良剤、タレ防止剤、硬化促進剤、酸化防止剤、光安定剤、防汚剤、難燃剤、塗布助剤等を挙げることができる。光安定剤、酸化防止剤の好ましい例としては特開2004-117997号公報に表される化合物等が挙げられる。
塗料を塗布する方法は任意であるが、スプレー法、ディッピング法、ローラーコート法、フローコーター法、流し塗り法、電着コート法、粉末流動塗装法、はけによる塗布などがある。
塗布後の乾燥は、塗料成分によって異なるが、自然乾燥、加熱乾燥(概ね室温~180℃で10~90分程度)を行うことができる。
なお、塗料の粘度はJIS-K7117-1に準じて、B型粘度計により測定することができる。
本発明の塗料は、例えば、自動車部品、自動車バンパー及び車体等の自動車用塗料、電化製品用塗料、建築用塗料、防錆用塗料等として用いることができ、特に、自動車用塗料として有用である。
本発明の印刷インキは、前記本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液を含有する。本発明の印刷インキにおいて、ポリウレタンウレア樹脂(U)は、バインダーや顔料分散性樹脂等として機能を発揮する。
本発明の印刷インキ中のポリウレタンウレア樹脂(U)の含有量は、接着性、機械的強度及びハンドリング性の観点から、印刷インキの重量に基づいて、5~40重量%が好ましく、より好ましくは10~30重量%である。
他の樹脂としては、例えばポリアミド樹脂、ニトロセルロース、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレンマレイン酸共重合系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂及びロジン系樹脂等が挙げられる。これら他の樹脂類の使用量は印刷インキの重量を基準として好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
ポリウレタンウレア樹脂(U):5~40重量%(好ましくは10~30重量%)
顔料:5~40重量%(好ましくは10~30重量%)
他の樹脂類:0~30重量%(好ましくは0~20重量%)
溶剤:30~80重量%(好ましくは40~70重量%)
本発明のコーティング剤は、前記本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液を含有する。本発明のコーティング剤において、ポリウレタンウレア樹脂(U)は、バインダー等として機能を発揮する。
本発明のコーティング剤中のポリウレタンウレア樹脂(U)の含有量は、接着性、機械的強度及びハンドリング性の観点から、コーティング剤の重量に基づいて、5~50重量%が好ましく、より好ましくは10~40重量%である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系[イルガノックス1010(チバガイギー社製)等]及びヒンダードアミン系[サノールLS770(チバガイギー社製)等]が挙げられる。紫外線吸収剤としては、トリアゾール系[チヌビン320(チバガイギー社製)等]及びベンゾフェノン系[サイアソーブUV9(サイアナミド社製)等]が挙げられる。充填剤としては、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化カルシウム、二酸化鉛、酸化チタン、ケイソイ土、ガラス繊維及びその破砕物(カットガラス、ミルドガラス、ガラスフレーク等)、タルク並びにマイカ等が挙げられる。
なお、コーティング剤の粘度はJIS-K7117-1に準じて、B型粘度計により測定することができる。
本発明の接着剤は、前記本発明のポリウレタンウレア樹脂溶液を含有する。
本発明の接着剤中のポリウレタンウレア樹脂(U)の含有量は、接着性、機械的強度及びハンドリング性の観点から、接着剤の重量に基づいて、1~50重量%が好ましく、より好ましくは2~40重量%である。
添加剤としては、粘着性付与剤、可塑剤、吸着剤、着色剤、難燃剤、充填剤、滑剤、核剤、酸化防止剤、離型剤、光安定剤、香料及び紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明の接着剤は、被着体を接着させて接着体を得ることができる。
被着体としては、各種プラスチック[ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン等)、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、変性PPO、ポリメチルメタクリレート、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等]、ゴム類[天然ゴム、合成ゴム(クロロプレンゴム、イソプレンゴム、SBR、NBR、ブチルゴム及びEPゴム等)]、多孔質材[木材、紙、布(天然繊維及び合成繊維等の織布又は不織布)及びプラスチックフォーム(ポリオレフィンフォーム及びポリウレタンフォーム等)等]並びに無機質材[金属(銅、鉄、ブリキ、トタン、アルミニウム及び亜鉛鋼板等)、ガラス、瓦スレート及びセラミック等]等の基材が挙げられる。これらのうち、接着性の観点から、好ましくはプラスチック基材であり、より好ましくはポリオレフィン、ポリエステル及びナイロンの基材である。一態様において、本発明の接着剤は、プラスチック用の接着剤として好ましく使用することができ、ポリオレフィン、ポリエステル及びナイロンからなる群より選択される少なくとも1種のプラスチック用の接着剤としてより好ましく使用することができる。
被着体の少なくとも一方がポリオレフィン基材であることが好ましい。
本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全ては、参照として本明細書に組み入れられる。
酸価は、JIS K0070-1992に準拠して上記の方法で測定した。水酸基価は、JIS K0070-1992に準拠して測定した。
水酸基変性ポリオレフィン(A)、ポリオレフィン(A0)、ポリウレタンウレア樹脂(U)のMnは高温ゲルパーミエーションクロマトグラフ[「Alliance GPC V2000」、Waters社製]を用いて上記の条件で測定した。
実施例中、アイソタクティシティーは、13C-NMRにより測定したプロピレン単位連鎖部のアイソタクティシティーである。アイソタクティシティーは、下記の方法でペンタッドの評価に基づいて求めた。
サンプル150mgを0.5mLのトルエンに完全に溶解させて試料を調製した。試料の13C-NMRのスペクトルの測定を行った。13C-NMRの測定条件を以下に示す。
測定条件
装置:BRUKER 400MHz
測定温度:100℃
積算回数:5000
13C-NMRの測定結果から、下記式(I)でアイソタクティシティーを求めた。
アイソタクティシティー(%)=[(Ha)/Σ(H)]×100 (I)
(式(I)中、Haはアイソタクティック(ペンタッドがメソ構造のみで形成される)の信号のピーク高さ、Hはペンタッドの各ピーク高さである。)
窒素分析計[ANTEK7000(アンテック社製)]によってN原子含有量を測定し、1H-NMRによってウレタン基とウレア基の比率を測定した。アロハネート基及びビューレット基の合計含有量を、上記の方法でガスクロマトグラフ測定を行って求めた。ウレア基とウレタン基の重量比、N原子含有量並びにアロハネート基及びビューレット基含有量からウレタン基及びウレア基の濃度を算出した。
アミン価は、試料1g中に含まれるアミンを中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウムのmg数をいう。アミン価は、ASTM D2074に準じ下記方法で測定した。
(1)試料を精秤する。(試料量:S1g)
(2)中性エタノール[ブロムクレゾールグリーン(BCG)中性]30mLを加え溶解する。
(3)0.2モル/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f1)で滴定し、緑色から黄色に変わった点を終点とする。(滴定量:A1mL)
(4)次式から全アミン価(mgKOH/g)を算出する。
全アミン価=A1×f1×0.2×56.108/S1
反応容器に、プロピレン91重量%、エチレン9重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A0-1)[Mn:113,000、アイソタクティシティー:50%、商品名「Vistamaxx3980」、Exxon mobil社製]1000部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら370℃で60分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィン(A1-1)を得た。ここに無水マレイン酸(E-1)65部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させ、ラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製](F-1)5部をキシレン50部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X-1)を得た。同様の反応容器に、酸変性ポリオレフィン(X-1)500部及び2-アミノエタノール(G-1)32部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2-アミノエタノールを留去し、水酸基変性ポリオレフィン(A-1)を得た。水酸基変性ポリオレフィン(A-1)の水酸基価は29mgKOH/g、酸価は0.2mgKOH/g、Mnは3,500、アイソタクティシティーは43%であった。また、変性に用いたポリオレフィン(A1-1)の炭素1,000個当たりの二重結合数は7.5個であった。
ポリオレフィン(A0-1)に代えて、プロピレン85重量%、エチレン15重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A0-2)[Mn:76,000、アイソタクティシティー:20%、商品名「Vistamaxx6202」、Exxon mobil社製]を使用する以外は、表1に記載の条件に従って製造例1と同様に反応を行い、酸変性ポリオレフィン(X-2)を得て、更に製造例1と同様に2-アミノエタノール(G-1)と反応を行い、水酸基変性ポリオレフィン(A-2)を得た。熱減成条件、原料、結果等を表1に示す。
プロピレン91重量%、エチレン9重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A0-1)を使用し、表1に記載の条件に従って製造例1と同様に反応を行い、酸変性ポリオレフィン(X-3)を得て、更に製造例1と同様に2-アミノエタノール(G-1)と反応を行い、水酸基変性ポリオレフィン(A-3)を得た。熱減成条件、原料、結果等を表1に示す。
プロピレン85重量%、エチレン15重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A0-2)を使用し、表1に記載の条件に従って製造例1と同様に反応を行い、酸変性ポリオレフィン(X-4)を得て、更に製造例1と同様に2-アミノエタノール(G-1)と反応を行い、水酸基変性ポリオレフィン(A-4)を得た。熱減成条件、原料、結果等を表1に示す。
反応容器に、プロピレン73重量%、エチレン27重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A0-3)[Mn:200,000、アイソタクティシティー:33%、商品名「タフマーS4030」、三井化学社製]1000部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら380℃で80分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィン(A1-3)を得た。ここに無水マレイン酸(E-1)47部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に200℃まで加熱昇温して10時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X-5)を得た。同様の反応容器に、酸変性ポリオレフィン(X-5)500部及び2-アミノエタノール(G-1)23部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2-アミノエタノールを留去し、水酸基変性ポリオレフィン(A-5)を得た。熱減成条件、原料、結果等を表1に示す。
反応容器に、プロピレン41重量%、エチレン59重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A0-4)[Mn:88,000、アイソタクティシティー:10%]1000部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら400℃で60分間の条件で、熱減成を行い、ポリオレフィン(A1-4)を得た。ここに無水マレイン酸(E-1)148部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に200℃まで加熱昇温して10時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X-6)を得た。同様の反応容器に、酸変性ポリオレフィン(X-6)500部及び2-アミノエタノール(G-1)74部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、180℃で1時間反応させた。次いで180℃、2.7kPaの減圧下で未反応の2-アミノエタノールを留去し、水酸基変性ポリオレフィン(A-6)を得た。熱減成条件、原料、結果等を表1に示す。
プロピレン98重量%、エチレン2重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A0-5)[Mn:100,000、アイソタクティシティー:90%、商品名「サンアロマーPZA20A」、サンアロマー(株)社製]を使用する以外は、表1に記載の条件に従って製造例1と同様に反応を行い、酸変性ポリオレフィン(X-7)を得て、更に製造例1と同様に2-アミノエタノール(G-1)と反応を行い、水酸基変性ポリオレフィン(A’-1)を得た。熱減成条件、原料、結果等を表1に示す。
プロピレン85重量%、エチレン15重量%を構成単量体とするポリオレフィン(A0-2)を使用する以外は、表1に記載の条件に従って製造例1と同様に反応を行い、酸変性ポリオレフィン(X-8)を得て、更に製造例1と同様に2-アミノエタノール(G-1)と反応を行い、水酸基変性ポリオレフィン(A’-2)を得た。熱減成条件、原料、結果等を表1に示す。
1分子当りの水酸基の数=MnA×OHV/56100 (II)
MnA:水酸基変性ポリオレフィン(A)のMn
OHV:水酸基変性ポリオレフィン(A)の水酸基価(mgKOH/g)
撹拌装置を備えた反応装置に、製造例1で得られた水酸基変性ポリオレフィン(A-1)223部、1,4-ブタンジオール3.20部及びIPDI52.1部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で6時間反応させ、NCO含量が3.50重量%のウレタンプレポリマーを得た。40℃に冷却後、メチルシクロヘキサン350部を加え均一な溶液とした。次にイソプロパノール350部を加えて均一になるまで撹拌後、イソホロンジアミン16.43部及びジエタノールアミン5.06部を加え、40℃で1時間反応させて本発明のポリウレタンウレア樹脂(U-1)の溶液を得た。ポリウレタンウレア樹脂(U-1)の溶液の20℃における粘度は1,000mPa・s、ポリウレタンウレア樹脂(U-1)のMnは13,000であった。溶液の粘度は、溶液を20℃の恒温槽で1時間温調した後、B型粘度計[東機産業(株)製TVB型粘度計]を使用し、ローターNo.22及び23、回転数60rpmで測定した。
実施例1において、用いる原料を表2~表3に記載の種類及び量に変更する以外は実施例1と同様に反応を行い、ポリウレタンウレア樹脂(U-2)~(U-16)、(U’-1)~(U’-5)の溶液を得た。結果を表2~表3に示す。
ポリオール(H-1):
・クラレポリオールP-2010:Mn=2,000のポリ(3-メチル-1,5ペンタンジオール、アジピン酸重縮合物)(ポリ(3-メチルペンチレンアジペート)ジオール)、クラレ(株)製]
ポリオール(H-2):
・クラレポリオールP-2020:Mn=2,000のポリ(3-メチル-1,5ペンタンジオール、テレフタル酸重縮合物)(ポリ(3-メチルペンチレンテレフタレート)ジオール)、クラレ(株)製][式(1)で表される構成単位を有するポリオール]
ポリオール(H-3):
・PTMG2000:Mn=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール[三菱ケミカル(株)製]
ポリオール(H-4):
・サンニックスPP-2000:Mn=2,000のポリプロピレングリコール[三洋化成工業(株)製]
ポリオール(H-5):
・アクトフローUT-1001:Mn=2,000のポリアクリルジオール[綜研化学(株)製]
TDI:トリレンジイソシアネート
実施例1~16及び比較例1~5で得られたポリウレタンウレア樹脂(U)の溶液を用いて、以下の通り評価した。外観は、目視で評価した。
<評価基準>
〇:外観変化なし。
×:溶液が分離。
<評価基準>
〇:溶液が分離していない。
×:溶液が分離。
また、溶液が分離しなかったものについては、日本電色工業株式会社製分光色差計「OME7700」を使用して濁度を測定した。結果(5℃1日保管後の外観及び濁度)を表4~表5に示す。
ポリウレタンウレア樹脂(U)の溶液35部、酸化チタン(テイカ株式会社製「チタニックスJR809」)35部、イソプロピルアルコール10部、酢酸エチル20部及びガラスビーズ100部からなる混合物をペイントコンデイショナー(レッドデビル社製)にて1時間混練し、ガラスビーズをろ過により除去して白色顔料分散体を得た。
表面処理ポリプロピレンフィルム(OPP)[東洋紡株式会社製「パイレンP-2161」(厚さ30μm)]、表面処理ポリエステルフィルム(PET)[東洋紡株式会社製「エスペットE-5102」(厚さ12μm)]及び表面処理ナイロンフィルム[東洋紡株式会社製「ハーデンN-1130」(厚さ15μm)]の処理面にそれぞれ白色顔料分散体を乾燥後の厚みが2~3μmの厚みになるようにバーコーターで塗布し、60℃で1分間乾燥して試験片を作製後、塗布面にセロハンテープ(ニチバン社製、12mm巾)を貼り、このセロハンテープの一端を塗面に対して直角方向に急速に引き剥がしたときの塗布面状態を観察してインキが剥がれていない面積%を求めた。また、各フィルムの表面処理が施されていない未処理面についても同様に試験した。結果(インキが剥がれていない面積%)を表4~表5に示す。
[ピール試験の試験方法]
表面処理ポリプロピレンフィルム(OPP)[東洋紡株式会社製「パイレンP-2161」(厚さ30μm)]及び表面処理ポリエステルフィルム(PET)[東洋紡株式会社製「エスペットE-5102」(厚さ12μm)]の処理面に、それぞれ白色顔料分散体を乾燥後の厚みが2~3μmの厚みになるようにバーコーターで塗布し(一方の辺の端部から1cmの部分は塗布しなかった)、更にそれぞれ同じ種類のフィルムを向かい合うように被せ、ラミネーターで150℃0.1MPaの条件で張り合わせた。このフィルムを幅15mmにカットし、オートグラフ[(株)島津製作所製「AGS-500D」]を用いて、白色顔料分散体を塗布しなかった1cmの各端部を、引張速度100mm/分でT字方向に剥離したときの強度を測定した。各フィルムの未処理面でも同様に試験した。
[乾燥皮膜の製造]
ポリプロピレン製モールドに離形フィルムを貼り、実施例及び比較例で得たポリウレタンウレア樹脂(U)の溶液について、予め固形分濃度20重量%に調製したポリウレタンウレア樹脂溶液を乾燥後の膜厚が約200μmとなるように静かに流し込み、全体が均一になる様に広げ、25℃で12時間静置後、循風乾燥機を用いて70℃で1時間乾燥後、更に105℃、圧力1.3kPaで1時間減圧乾燥して乾燥皮膜を得た。
[100%モジュラス、破断強度及び破断伸度]
上記で得た乾燥皮膜をJIS K6251に準拠して、試験片の形状をダンベル状3号形とし、オートグラフ[(株)島津製作所製「AGS-500D」]を用いて、引張速度500mm/分で100%モジュラス、破断強度及び破断伸度を測定した。100%モジュラス及び破断強度は、塗料、印刷インキ及びコーティング剤として基材の表面に塗布した場合の塗膜強度の指標となり、100%モジュラスが1.0MPa以上、破断強度が3.0MPa以上であれば使用可能レベルと言える。また、破断伸度は、塗料、印刷インキ、コーティング剤及び接着剤として使用した場合の基材への追従性の指標となり、破断伸度が300%以上であれば基材への追従性があり、基材が変形しても接着性が劣らないと言える。
Claims (9)
- 水酸基変性ポリオレフィン(A)、ポリイソシアネート(B)及び数平均分子量又は化学式量が500未満の鎖伸長剤(C)を必須構成単量体とするポリウレタンウレア樹脂(U)と溶剤(S)とを含有するポリウレタンウレア樹脂溶液であって、
前記水酸基変性ポリオレフィン(A)が、イミド基及び水酸基を有するポリオレフィンであり、前記水酸基変性ポリオレフィン(A)が有するイミド基の濃度が、前記水酸基変性ポリオレフィン(A)の重量を基準として、0.3~1.9mmol/gであり、
前記水酸基変性ポリオレフィン(A)の構成単量体であるエチレンと炭素数3~8のα-オレフィンの重量比(エチレン:α-オレフィン)が9:91~95:5であり、
前記水酸基変性ポリオレフィン(A)のα-オレフィン単位連鎖部のアイソタクティシティーが10~50%であり、
前記水酸基変性ポリオレフィン(A)の数平均分子量が1,000~6,000であり、
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)が有するウレア基の濃度が、前記ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量を基準として、0.3~1.3mmol/gであり、
前記ポリウレタンウレア樹脂(U)が有する式(1)で表される構成単位の重量割合が、前記ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量を基準として、4重量%以下であるポリウレタンウレア樹脂溶液。
- 前記ポリウレタンウレア樹脂(U)がイミド基を有する請求項1に記載のポリウレタンウレア樹脂溶液。
- 前記ポリウレタンウレア樹脂(U)が有するポリエステルポリオールに由来する単位の重量割合が、前記ポリウレタンウレア樹脂(U)の重量を基準として、4重量%以下である請求項1又は2に記載のポリウレタンウレア樹脂溶液。
- 前記水酸基変性ポリオレフィン(A)の水酸基価が、14~110mgKOH/gである請求項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア樹脂溶液。
- 前記ポリウレタンウレア樹脂(U)が、更に反応停止剤(D)を構成単量体とする請求項1~4のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア樹脂溶液。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア樹脂溶液を含有する塗料。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア樹脂溶液を含有する印刷インキ。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア樹脂溶液を含有するコーティング剤。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア樹脂溶液を含有する接着剤。
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