JP7215817B2 - セラミドアグリコン含有組成物及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スフィンゴ糖脂質に酵素を作用させて得られるセラミドアグリコン含有組成物、およびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、黒麹菌由来のβ-グルコシダーゼ活性を有する酵素をβ-グルコシルセラミドに作用させて得られるセラミドアグリコン含有組成物、及びその製造方法に関する。
遊離セラミドは広く生体に分布し、細胞内で細胞分化やアポトーシス、細胞周期停止といった細胞増殖抑制作用など、多様な生理活性を有することが報告されている。それ以外に、遊離セラミドの持つ大きな役割は、皮膚角質細胞間の脂質の主成分として存在して、皮膚本来が持つ生体と外界とのバリア膜として外部刺激から肌を保護する機能や、水分を保持する保湿機能、さらには角質細胞の接着機能を担っていることにある。
角質細胞中の遊離セラミドが加齢や皮膚疾患によって減少すると、そのバリア機能や保水機能が低下し、皮膚が乾燥し易くなり、肌老化が促進されることが知られている。実際に、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎、乾皮症(ドライスキン)等の皮膚疾患では、角質層中の遊離セラミドの減少による保湿機能やバリア機能の低下が原因で生じていることが報告されている。角質層のバリア機能や保水機能の低下に対しては、遊離セラミドの外部からの補給が有効であることが知られている。
近年、セラミド類(遊離セラミド及び/又はスフィンゴ糖脂質など)を配合した化粧料やサプリメント等が注目を浴びている。かつてセラミド類の供給源としては、馬脊髄や牛脳抽出物に限られていたが、価格や純度、BSE(牛海面状脳症)問題などもあり、安全な高純度品を大量に使用することが困難であった。これを解決するべく、種々の植物からセラミド類を取り出す検討が進められてきた。その結果、有効なセラミド類の供給源となる植物としては、米、大豆、小麦、トウモロコシ、コンニャク、マイタケ、モモ、パイナップルなどが知られるようになった。
これらの植物は低コストで大量にセラミド類を供給できる可能性を有している。ただし植物中のセラミド類は、セラミドに糖が結合したスフィンゴ糖脂質であり、その多くはセラミドにグルコースがβ-結合したβ-グルコシルセラミドである。
β-グルコシルセラミドは生体内、特に皮膚に取り込まれた後、生体に存在するグルコセレブロシダーゼ等の酵素によってグルコースが切り出され、セラミドアグリコンを生成して種々の有用な生理活性を発揮する。しかしながらグルコセレブロシダーゼの存在量は特に加齢とともに減少すること、あるいは、スフィンゴ糖脂質のβ-グルコシル基の存在が脂溶性を低下させるため経皮吸収されにくく、あらかじめ脱グルコシル化してセラミドアグリコン(遊離セラミド)として投与することが望ましい。
また、セラミド類は機能性食品素材としても近年注目を浴びており、皮膚機能改善効果の他、腸管に対する抗炎症作用、大腸がんの抑制など、ヒトの健康維持に有用な生理活性を示すことが報告されている。
グルコシルセラミドが体内に取り込まれる際には、腸に存在する分解酵素や、腸内細菌の作用によって糖部分が切られてからセラミドアグリコンとして腸管壁から吸収されると考えられている。つまり、経口的に利用する際にも、あらかじめ糖部分を除去したセラミドアグリコン(遊離セラミド)が望ましいのである。
β-グルコシルセラミドは配糖体の一種である。一般に、配糖体からアグリコンを得るためには、古典的には酸による加水分解方法があり、最近では、亜臨界などの高温高圧条件に曝す等の方法が提案されているが、これまでこのような化学的又は物理的な分解反応を用いた効率的なセラミドアグリコンの製造法は報告されていない。
また、配糖体からβ-グルコシダーゼを用いて末端の糖を選択的に除去する方法が、種々のアグリコンの製造に用いられることが開示されている(特許文献1及び非特許文献1)が、β-グルコシルセラミドに適用された例はない。
さらに、酵素を用いた緩和な条件での加水分解反応についてはいくつかの報告があり、スフィンゴ糖脂質(β-グルコシルセラミド)の糖-セラミド間の結合を加水分解するエンドグリコセラミダーゼ(EGCase)を使用して、スフィンゴ糖脂質からセラミドを遊離させる方法が知られている(特許文献2及び3)。
当該方法に使用されるEGCaseについては、ロドコッカス属微生物、コリネバクテリウム属微生物、ヒル、ミミズ、シジミ、クラゲ、ヒドラ等によって産生されていることが報告されている。さらに活性や基質特異性を改善したEGCaseの人工的な変異体も開発されている(特許文献4及び5)。
しかしながら、これまでにEGCaseを安価に大量に入手する手段、例えば酵素遺伝子を組みこんだ微生物を用いた大量製造方法などは知られておらず、したがって工業的にスフィンゴ糖脂質からセラミドアグリコンを酵素反応で遊離させる生産方法は存在しなかった。
一方、酒、焼酎、ビール、あるいは醤油などの麹を用いた醗酵製品製造の際の副産物である醗酵粕には、スフィンゴ糖脂質が含まれるとともに、微量の遊離セラミドが含まれていることが知られている。それは元々スフィンゴ糖脂質を含有する原料の植物体を醗酵させることにより、その製造過程で、麹菌や酵母菌等の産生する酵素の働きによって、スフィンゴ糖脂質の糖部分が切り出されるからである。
こうして得られた醗酵粕をアルコール等で抽出するセラミドアグリコン含有物の製造法が報告されている(特許文献6及び7)。
しかしながら、こうした醗酵粕には目的とするセラミドアグリコン以外の多種多様な物質が混在しており、アルコール抽出物中のセラミドアグリコンの純度は相対的に低いものとなる。高濃度のセラミドアグリコンを含有する組成物を得るには、アルコール抽出物を、さらにクロマトグラフフィーなど、種々の煩雑な精製操作を追加で行う必要があり、やはり工業的な遊離セラミドの製法とは言い難いものである。
特開2001-204486号公報 特公平07-089914公報 特開2017-195855公報 特開平06-007161号公報 特表2008-502329公報 特開2007-82427公報 特開2000-80394公報
江頭和佳子:東洋食品研究所研究報告書、30巻、101-103(2014)
本発明の目的は、EGCase等の高価な酵素ではなく、安価で大量入手可能な食品加工用酵素を利用して、スフィンゴ糖脂質からセラミドアグリコン(遊離セラミド)を任意の割合で含有する組成物を提供するとともに、多段階な精製方法を用いることなく、効率的に高純度のセラミドアグリコン(遊離セラミド)を含有する組成物製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、黒麹菌由来の食品加工用酵素をスフィンゴ糖脂質に作用させると、効率的に加水分解反応が起こり、容易にセラミドアグリコンを製造できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて鋭意検討を重ねることにより完成したものである。
すなわち、本発明は、セラミドアグリコンを含有する組成物、並びにその製造方法を提供する。さらに、機能性食品や保湿剤として化粧品あるいはアトピー性皮膚炎などの治癒に有用な皮膚外用剤の成分として有効な遊離セラミド、あるいは、自然界では極めて希少な遊離セラミドを多く含有する、経口的に用いることができるセラミドアグリコン含有組成物の提供が可能となることを見出し、この発明を完成させたものである。
より具体的な本発明は、以下の構成からなる。
(1)スフィンゴ糖脂質含有組成物に、黒麹菌由来の酵素を作用させて得られるセラミドアグリコン含有組成物;
(2)スフィンゴ糖脂質が、β-グルコシルセラミドである上記(1)記載のセラミドアグリコン含有組成物;
(3)黒麹菌由来の酵素が、アスペルギルス(Aspergillus)由来の、β-グルコシダーゼ活性を有する酵素である上記(1)記載のセラミドアグリコン含有組成物;
(4)スフィンゴ糖脂質含有組成物に、黒麹菌由来の酵素を作用させることからなるセラミドアグリコン含有組成物の製造方法;
(5)スフィンゴ糖脂質がβ-グルコシルセラミドである上記(4)記載のセラミドアグリコン含有組成物の製造方法;及び、
(6)黒麹菌の酵素が、アスペルギルス(Aspergillus)由来の、β-グルコシダーゼ活性を有する酵素である上記(4)記載のセラミドアグリコン含有組成物の製造方法。
本発明によって生産されるセラミドアグリコン含有組成物は、遊離セラミドを含有することが特徴である。
したがって、本発明によって生産されたセラミド含有組成物は、化粧品や機能性食品用原料として利用することができる。特に、本発明のセラミドアグリコン含有組成物は、その製造方法において、全て食品製造に用いられる物質のみを使用して取得することが可能であるので、安全性が特に重視される化粧品原料や機能性食品原料として、極めて有用なものである。
また、安価な食品加工用酵素を用い、操作も簡便であることから、自然界では極めて希少なヒト型類似の遊離セラミドを任意の割合で含有する組成物を、工業的に大量に得ることができるのである。
図1は、コメセラミドのモルシンFによる酵素分解のLC/MSを示したチャート図であり、酵素反応前及び酵素反応後の比較を対比して示したものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず本発明の原料であるスフィンゴ糖脂質含有組成物は、植物由来でも動物由来でも特に限定されないが、本発明の目的からすると、糖残基が存在する糖脂質の含有比の高い植物由来のものであることが望ましい。なかでも酵素反応が進みやすいという点から、スフィンゴ糖脂質がグルコセレブロシド(β-グルコシルセラミド)であることが好ましい。すなわち原料として具体的には、米、大豆、モモ、トウモロコシ、麦、コンニャク、パイナップル等から由来するβ-グルコシルセラミドが挙げられる。
次に作用させる酵素であるが、市販され、安価に流通し、大量に使用可能であって、β-グルコシダーゼ活性を有しているものであれば特に限定されない。ただし加水分解反応の効率面からみると、黒麹菌由来のものが優れている。
黒麹菌の中でもアスペルギルス(Aspergillus)が好ましい。さらに具体的には、Aspergillus saitoi由来の食品加工用酵素「モルシンF」(キッコーマンバイオケミファ(株))、Aspergillus niger 由来の食品加工用酵素「スミチームBGA」(新日本化学工業(株))、Aspergillus niger 由来の食品加工用酵素「セルラーゼA」(天野エンザイム(株))等が例として挙げられるが、特に反応性が高いことから、「モルシンF」が好ましい。
酵素反応を行う場合に使用される溶媒としては、市販され、安価に流通し、大量に使用可能で、原料のグルコシルセラミド類及び/又は食品加工用酵素を溶かすことができるものであれば特に限定されない。
両者を溶かすことができる溶媒の例としては、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキサイド)が、また、主にグルコシルセラミド類を溶かす溶媒の例としては、n-ヘキサン、トルエン、アセトン、エチルメチルケトン、テトラヒドロフラン、1,2-ジオキサン、n-ブタノール、1,2-ジクロロエタン等が挙げられる。
主として食品加工用酵素を溶かす目的としての溶媒の例では、水が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、混合して用いることもできる。また、n-ヘキサンと水など双方が交じり合わない、2相反応の形で使用することができる。
反応に用いる際の濃度も特に限定されないが、グルコシルセラミドでは例えば1~50%(w/v)、好ましくは5~20%(w/v)であり、食品加工用酵素では例えば1~50%(w/v)、好ましくは3~15%(w/v)に溶解して用いられる。
反応の進行を妨げるものでなければ、反応系内に溶媒以外のものを添加することができる。例えば2相反応の際に、2つの相の分離を良好にするために食塩を加えることができる。また反応の液性(pH)は、通常中性付近で進めるが、食品加工用酵素の至適pHに合わせる等の目的で、液性を調整しても良い。液性を調整するためには必ずしも無機酸・無機アルカリの塩酸や水酸化ナトリウムばかりでなく、酢酸やトリエチルアミン等の有機酸や有機塩基を使用することができる。
酵素反応を行う際のその他の条件として、反応温度は、溶媒が蒸発したり凍ったりしない温度であれば特に限定されないが、通常、室温~60℃で行われる。
反応時間としては、原料のグルコシルセラミドが消失するまで反応を継続することができるが、必ずしもすべて消失させなくても良い。反応時間としては1日~30日が例として挙げられる。
また場合によって、反応途中で原料のグルコシルセラミド及び/又は食品加工用酵素を添加してもよい。反応液は静置しても良いし、攪拌しても良いが、温度や濃度等を均一にするために攪拌することが望ましい。特に2相反応を行う際には、両相の接触が効率的に起こりやすいように激しく攪拌することが望ましい。
反応終了後の処理方法としては、まず必要に応じて濾過を行い、不溶物を除去する。濾材としては特に限定されないが、セラミド含有組成物が不可逆的に吸着されないものが良い。例としてグラスフィルター、綿栓、濾紙、濾布、メンブランフィルター、セルロース粉、セライト、活性炭等が例として挙げられる。
得られた濾液の溶媒を、常圧又は減圧留去、凍結乾燥、スプレードライ等の方法で除去すれば、粗生成物が得られる。粗生成物はそのままセラミドアグリコン含有組成物として使用しても良いが、必要に応じて、シリカゲル、ODS、アルミナなどの担体を用いたクロマトグラフィー、イオン交換樹脂や合成吸着材等を用いた脱吸着、溶解度差を用いた沈殿処理、再結晶等の方法を用いた精製処理を行っても良い。
本発明により製造されるセラミドアグリコン含有組成物中のセラミドアグリコン含有量は、反応条件や基質と酵素量の割合、その他、酵素反応の条件を調整することにより任意に調製することができる。また、必要に応じてセラミドアグリコンのみを単離することも可能である。
以上の本発明によって生産されたセラミドアグリコン含有組成物は、遊離セラミドを含有することが特徴である。
特に、本発明のセラミドアグリコン含有組成物は、その製造方法において、全て食品製造に用いられる物質のみを使用して取得することが可能であることから、安全性が特に重視される化粧品原料や機能性食品原料として、極めて有用なものである。
以下に、具体的な実施例等に基づいて、本発明のセラミドアグリコン含有組成物の製造方法についてより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:コメ由来セラミドアグリコンの製造
(1)コメ由来スフィンゴ糖脂質(オカヤス(株)製、グルコシルセラミド含量77.2%)3.0gをn-ヘキサン15mLに溶解し、ガラス製容器に入れて攪拌した。
(2)ここに0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)60mLを加え、さらに食品加工用酵素(キッコーマンバイオケミファ(株)製、商品名「モルシンF」)を0.45g加え、40℃で良くかき混ぜながら2日間反応させた。次いで攪拌を止め、分液ロートを用いて水層を除去した。
(3)上記(2)の操作を5回繰り返したのち、ヘキサン層を綿栓でろ過して不溶物を除去し、次いでロータリーエバポレーターで減圧下、濃縮乾固したところ、反応粗製物としてオイル状の物質が2.8g得られた。
(4)得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し(メルク社製シリカゲル60、140g)、クロロホルム:メタノール:水(65:3:0.3)で溶出することにより、セラミドアグリコン画分1.04gを得た(収率57%)。また原料のグルコシルセラミド画分0.60gを得た(回収率26%)。
(5)上記(4)で得られたセラミドアグリコン画分を、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS分析:かずさDNA研究所、LipidSearch、ポジティブイオンモード)した結果を、図1及び表1に示した。
(6)参考のために、原料であるコメ由来スフィンゴ糖脂質(オカヤス(株)製)を同様にLC-MS分析(かずさDNA研究所、LipidSearch、ポジティブイオンモード)した結果を、併せて図1及び表1に示した。
表1中、「反応前(1HexCer)」と表示するものが原料であるコメ由来スフィンゴ糖脂質の結果であり、「反応後(Cer)」と表示するものが、得られたセラミドアグリコン画分の結果である。
表1:酵素反応前後のLC-MSピークの解析結果
Figure 0007215817000001
1HexCer:β-グルコシルセラミド
Cer:セラミドアグリコン
SG:スフィンゴシン
FA:2-ヒドロキシ脂肪酸
M+H:分子量+H
図1及び表1中に示した結果から判明するように、得られたセラミドアグリコン画分では、主ピーク(RT=40.59min)は、m/z(M+H);608.5619、 Lipid Class; Cer、 Fatty Acid; d18:2_20:0+O)、 Formula; C38H74O4N1と同定された。
その他、5種類のコメ由来のスフィンゴ脂質が生成していることが確認された。
一方、参考のために検討した原料であるコメ由来スフィンゴ糖脂質(オカヤス(株)製)では、主ピーク(RT=37.43min)は、m/z(M+H)770.6146、 Lipid Class; Hex1Cer、 Fatty Acid; d18:2_20:0+O、 Formula; C44H84O9N1であると同定された。
その他の、セラミドアグリコンの原料となる5種類のスフィンゴ糖脂質も同定された。
(7)得られたセラミドアグリコン画分を精密に精製するために、その200mgを分取ODSカラムクロマトグラフィーに供し(山善(株)製ユニバーサルカラムODSプレミアム30μL)、メタノールで溶出することにより、主画分40mgを得た。
同様に原料であるコメ由来スフィンゴ糖脂質(オカヤス(株)製)200mgの精密精製を分取ODSカラムクロマトグラフィーによって行い、主画分30mgを得た。
これら精密精製分画のNMRを測定し、それぞれ、N-2’-hydoroxyicosanoyl-4E,8Z-sphingadiene(表1のCer1に相当)、およびN-2’-hydoroxyicosanoyl-O-β-D-glucopyayanosyl-4E,8Z-sphingadiene(表1のHexCer1に相当)であることを確認した。
以上のことから、コメ由来グルコシルセラミドにβ-グルコシダーゼ活性を有する特定の食品加工用酵素を作用させると、容易にセラミドアグリコンを得ることができることが分かる。なお、ここで行った精製操作(クロマトグラフィー)は、収率の算定や化学構造解析を目的として行ったためであり、セラミドアグリコン含有組成物を製造する際には、必ずしも必須の操作ではない。
実施例2:モモ由来セラミドアグリコンの製造
(1)モモ由来スフィンゴ糖脂質(オカヤス(株)製、グルコシルセラミド含量37%)1.0gをトルエン20mLに溶解し、ガラス製容器に入れて攪拌した。
(2)ここに0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)20mLを加え、さらに食品加工用酵素(キッコーマンバイオケミファ(株)製、商品名「モルシンF」)を0.15g加え、50℃で良くかき混ぜながら24時間反応させた。次いで攪拌を止め、分液ロートを用いて水層を除去した。
(3)上記の(2)の操作を3回繰り返したのち、トルエン層を綿栓でろ過して不溶物を除去し、次いでロータリーエバポレーターで減圧下、濃縮乾固したところ、反応粗製物としてオイル状の物質が0.9g得られた。
(4)得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し(メルク社製シリカゲル60、50g)、クロロホルム:メタノール:水(90:10:1)で溶出することにより、セラミドアグリコン画分110mgを得た(収率38%)。また原料のグルコシルセラミド画分75mgを得た(分子量714として回収率20%)。
実施例3:大豆由来セラミドアグリコンの製造
(1)大豆由来スフィンゴ糖脂質(長良サイエンス(株)製、グルコシルセラミド含量100%)100mgをガラス製容器に入れて、蒸留水10mLを加えて懸濁し、そこにステアリン酸ナトリウム50mg、界面活性剤40mgを加え、攪拌し、溶解させた。
(2)ここに食品加工用酵素(天野エンザイム(株)製、商品名「セルラーゼA」)を100mg加え、55℃で良くかき混ぜながら3日間反応させた。
攪拌を止め、ロータリーエバポレーターで減圧下、濃縮乾固したところ、反応粗製物としてオイル状の物質95mgを得た。
(3)得られた粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーに供し(メルク社製シリカゲル60、10g)、クロロホルム:メタノール:水(90:10:1)で溶出することにより、セラミドアグリコン画分11mgを得た(収率14%)。なお原料のグルコシルセラミド画分が残存していたが、その分離は行わなかった。
参考例1:エンドグリコセラミダーゼ(EGCase)を使用した遊離セラミドの製造
(1)コメ由来スフィンゴ糖脂質(オカヤス(株)製、グルコシルセラミド含量77.2%)100mgをn-ヘキサン0.5mLに溶解し、ガラス製容器に入れて攪拌した。
(2)ここに0.02Mトリス-リン酸緩衝液(pH7.5)2mLを加え、さらにエンドグリコセラミダーゼI(EGCaseI,BioLabs Inc.製)を10mg加え、40℃で良くかき混ぜながら2日間反応させた。次いで攪拌を止め、コマゴメピペットを用いて水層を除去した。
(3)上記の(2)の操作を3回繰り返したのち、ヘキサン層を綿栓でろ過して不溶物除去し、次いでロータリーエバポレーターで減圧下、濃縮乾固したところ、反応粗製物としてオイル状の物質が90mg得られた。
(4)得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し(メルク社製シリカゲル60、10g)、クロロホルム:メタノール:水(65:3:0.3)で溶出することにより、遊離セラミド画分23mgを得た(収率38%)。なお原料のグルコシルセラミド画分が残存していたが、その分離は行わなかった。
(5)上記の(4)で得られた遊離セラミド画分と実施例1の(4)で得られたセラミドアグリコン画分をシリカゲル薄層クロマログラフィー分析(メルク社製TLCSilicagel60、Glassplate、展開溶媒;クロロホルム:メタノール:水(65:10:0.3))に供した。発色は硫酸噴霧-加熱法を用いた。その結果、両者のRf値が完全に一致した。すなわち、コメ由来グルコシルセラミドに対するモルシンF、或いはエンドグリコセラミダーゼIによる反応により、同一のセラミドアグリコンが生成することが判明した。
参考例2:コメ由来スフィンゴ糖脂質と各種加水分解酵素の反応
(1)コメ由来スフィンゴ糖脂質(オカヤス(株)製、グルコシルセラミド含量77.2%)100mgをn-ヘキサン0.5mLに溶解し、ガラス製容器に入れて攪拌した。
(2)ここに0.1M酢酸緩衝液2mLを加え、さらに下記表2に記載の各種加水分解酵素を各々100mg加え、良くかき混ぜながら3日間反応させた。液性と温度は、それぞれ用いた酵素の至適条件を適用した。
(3)得られた反応液のヘキサン層を綿栓でろ過したのち、n-ヘキサンを0.5mL加えて混合し分析用試液とした。この分析試液1μLをシリカゲル薄層クロマログラフィー分析(メルク社製TLCSilicagel60、Glassplate、展開溶媒;クロロホルム:メタノール:水(65:10:0.3))に供した。発色は硫酸噴霧-加熱法を用いた。セラミドアグリコンは、Rf=0.57付近に橙褐色のスポットとして検出された。
シリカゲル薄層クロマログラフィー分析の結果を下記表2に示した。
表2から明らかなように、エンドグリコセラミダーゼI、アスペルギルス由来のモルシンF、スミチームBGA、およびセルラーゼA以外の加水分解酵素からは、いずれもセラミドアグリコンが生成しないことが示された。
表2:各種酵素を用いた比較実験結果
Figure 0007215817000002
結果の表示:
〇:反応が進行
△:若干反応が進行
×:殆ど~全く反応せず
以上に説明したように、本発明方法により製造されるセラミドアグリコン含有組成物は、遊離セラミドを含有することが特徴であり、化粧品や機能性食品用原料として利用することができる。
特に、本発明のセラミドアグリコン含有組成物は、その製造方法において、全て食品製造に用いられる物質のみを使用して取得することが可能であることから、安全性が特に重視される化粧品原料や機能性食品原料として、極めて有用なものである。
また、安全で安価な食品加工用酵素を用い、操作も簡便であることから、自然界では極めて希少なヒト型類似の遊離セラミドを任意の割合で含有する組成物を、工業的に大量に得ることができる点で、その産業上の利用性は多大なものである。

Claims (3)

  1. スフィンゴ糖脂質組成物に、黒麹菌由来の酵素を作用させることからなるセラミドアグリコン含有組成物の製造方法。
  2. スフィンゴ糖脂質が、β-グルコシルセラミドである請求項1記載のセラミドアグリコン含有組成物の製造方法。
  3. 黒麹菌の酵素が、アスペルギルス(Aspergillus)由来のβ-グルコシダーゼ活性を有する酵素である請求項1記載のセラミドアグリコン含有組成物の製造方法。
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WO2009107223A1 (ja) 2008-02-29 2009-09-03 学校法人 明治大学 セラミドの製造方法
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