JP3009128B2 - 新規リグナン配糖体の製造方法 - Google Patents
新規リグナン配糖体の製造方法Info
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Description
の製造方法に係り、さらに詳しくは加湿ないし発芽させ
たゴマ種子を原料とする新規なリグナン配糖体の効率的
な製造方法に関するものである。本発明によって得られ
るリグナン配糖体は、食品、医薬品、化粧品および農薬
等の分野において広く利用される。
て関心が高まり、この点で問題視されている化学合成品
に代わって、天然物由来の生理活性物質や添加物の利用
が期待されている。特に長い間食用に供されてきた植物
原料は安全性に優れていることが予想され、これらに含
まれる人体に対して有用な生理活性あるいは薬効作用を
有する物質を探索し、これを食品、医薬品、化粧品等の
分野の製品に実用化することは極めて意義が高い。
ほとんどのものは、収穫時期や天候等の自然状況によっ
て品質が大きく左右され、安定に供給することが困難な
ことが多く、対象とする有用成分物質の含有量が微少で
あったり、多量に共存する不純物との分離のための手段
や方法が煩雑であったりすることが多い。このため、こ
れらの天然物由来の生理活性成分を多量に調製する試み
がなされているが、例えば培養細胞を用いる組織培養や
分子生物学的手法等においては、無菌操作や細胞の育成
のために特殊な手法や培地、培養装置等を必要とし、さ
らには安定した培養細胞を得るためには長時間にわたる
育種が必要となり、工業的に実用化された例は少ない。
また、一般的に微少量のこれら生理活性物質を分離する
従来の手法としては、カラムクロマトグラフィーによる
分画や分取HPLCによる分画が一般的であるが、これ
らの方法では、溶出液として多量の有機溶剤を消費し、
また高価な分析機器やカラム担体を必要とするために、
エネルギーやコスト等の面で問題となることが多かっ
た。
きた油糧種子であり、食品として人体に対し安全性が高
いことはもちろん、栄養学的にも優れた食品材料として
広く利用されてきた。ゴマ種子は比較的多量に、安定し
て入手可能な植物原料であり、現在、年間150〜20
0万トンが世界の熱帯から冷温帯に至る地方で主に生産
され、日本にも年間5〜10万トンが輸入され、さまざ
まな形で食されている。またゴマ種子中には特徴的な化
合物としてリグナン類が存在することが知られており、
その抗酸化活性や様々な生理機能に関する研究がなされ
ている(例えば並木満夫、小林貞作編、「ゴマの科
学」、朝倉書店、1989年)。
に比べて優れた抗酸化活性を有するセサミノール:テト
ラヒドロ−1−〔6−ヒドロキシ−3,4−(メチレン
ジオキシ)フェニル〕−4−〔3,4−(メチレンジオ
キシ)フェニル〕−1H,3H−フロ〔3,4−C〕フ
ラン、P−1:テトラヒドロ−1−(3−メトキシ−4
−ヒドロキシフェニル)−4−〔3,4−(メチレンジ
オキシ)フェニル〕−1H,3H−フロ〔3,4−C〕
フラン、セサモリノール:テトラヒドロ−1−〔3−メ
トキシ−4−ヒドロキシフェノキシ〕−4−〔3,4−
(メチレンジオキシ)フェニル〕−1H,3H−フロ
〔3,4−C〕フラン、ピノレジノール:テトラヒドロ
−1,4−ジ(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニ
ル)−1H,3H−フロ〔3,4−C〕フラン等のフェ
ノール性リグナン類が含まれ、その多くは糖化合物(リ
グナン配糖体)としてゴマ種子またはその脱脂粕中に存
在することが明らかにされている(Biosci. B
iotech. Biochem.、56巻、2087
〜2088頁、1992年)。従って、これら強力な抗
酸化活性を有するリグナン類を工業的に採取し活用する
ためには、より多量のリグナン配糖体を調製し、それを
効率的に加水分解することが必要であった。
て、トコフェロールやセサモール以外のフェノール性の
抗酸化性物質を生成することが報告されている(日本食
品工業学会誌、32巻、407〜412頁、1985
年)。また、ゴマ種子の植物成体から誘導した増殖細胞
から、抗酸化性物質あるいは抗光酸化性物質を抽出する
方法が報告されている(日本農芸化学会1991年度大
会要旨集、236頁、1991年、特公平4−2147
5号公報、特開平5−124949号公報)。しかしな
がら、これらに開示されている化合物は、いずれも前記
フェノール性リグナン類とは異なる物質であり、微量に
存在する新規な抗酸化性物質であって、ゴマ種子あるい
はその脱脂粕中に比較的多量に存在するリグナン配糖体
類に関する知見ではない。従って、ゴマ種子の発芽過程
におけるリグナン配糖体含量の変化はこれまで明らかに
されていなかった。
グナン類が得られるが、この方法として例えばゴマ種子
あるいはその脱脂粕をアルコールで抽出し、その抽出物
にβ−グルコシダーゼを作用させ、糖鎖を切断し、酢酸
エチル等の溶剤を用いて分離する方法(特公昭62−4
4793号公報)等が知られている。しかしながら、か
かる方法ではゴマ種子中のリグナン配糖体の一部しか加
水分解することができず、その非加水分解の物質につい
ては明らかでなかった。
的は、ゴマ種子を原料とする新規なリグナン配糖体を効
率的に生産する方法を開発することにある。
め、本発明者らは、ゴマ種子とリグナン配糖体成分との
関係を解明する研究を進め、とりわけゴマ種子そのもの
の中にはほとんど存在しないが、ゴマ種子を発芽させる
等の過程においてこれまでに未知であった新規なリグナ
ン配糖体成分が顕著に増加すること、またこの新規リグ
ナン配糖体は従来既知のセサミノール、P−1、セサモ
リノール、ピノレジノール等のリグナン類の配糖体とは
異なり、グリコシダーゼやセルラーゼ等の糖鎖加水分解
酵素の作用を受けないこと等を見い出し、本発明を完成
するに至ったものである。
物もしくは発芽物の粉砕物または脱脂粕を水または緩衝
液に分散させ、そのまま振とう後あるいは該分散液に糖
鎖加水分解酵素を添加して該酵素反応を行わせた後、固
形分、脂溶性成分および水溶性成分を除去することを特
徴とする下記の構造式(I)
ルクトースからなる群より選ばれる1種のグリコシル残
基を表し、mは1〜3の整数値のいずれかを表し、nは
0または1の整数値を表す。)で示される新規リグナン
配糖体の製造方法である。
ず、本発明でいう新規リグナン配糖体とは、前記構造式
(I)で示されるリグナン配糖体であり、リグナン類に
特徴的な官能基の一種であるメチレンジオキシフェニル
基を2個有するアグリコン部分と、そのヒドロキシル基
にグルコース、ガラクトース等の糖残基が1〜3分子結
合している糖部分とから構成される。本発明で対象とす
る新規リグナン配糖体は、好ましくは前記構造式(I)
において糖残基がジグルコシド残基および/またはトリ
グルコシド残基であるグルコシドリグナンであり、より
好ましくは下記の構造式(II−a)、(II−b)ま
たは(II−c)で示されるものである。
す。)
す。)
す。)
規リグナン配糖体の主要成分である前記構造式(II−
a)(以下、SG−1と略記することがある。)、(I
I−b)(以下、SG−3と略記することがある。)お
よび(II−c)(以下、SG−5と略記することがあ
る。)は、以下に示すような機器分析による理化学的特
性値を有する。
ペクトルのデータは次のとおりである。SG−1;UV
λmax(メタノール溶液。以下MeOHと略記。)nm
(log ε)230(4.10)、281(3.74)お
よび311(3.66)、IRν(cm-1)(帰属)34
00(OH)、2950(CH)、1670、162
0、1505、1500、1450(aromatic
ring。以下Arと略記。)、1260(Ar−O
−C)および1040(C−O−C)。SG−3;UV
λmax (MeOH)nm(log ε)230(4.00)、
280(3.60)および310(3.50)、IRν
(cm-1)3400(OH)、2900(CH)、166
0、1610、1510、1490、1450(A
r)、1260(Ar−O−C)および1040(C−
O−C)。SG−5:UVλmax (MeOH)nm(log
ε)231(4.22)、280(3.81)および2
99(3.83)、IRν(cm-1)3400(OH)、
2900(CH)、1670、1510、1490、1
450(Ar)、1260(Ar−O−C)および10
40(C−O−C)。
SG−5の各成分の分子量は、SG−1:856、SG
−3:694およびSG−5:710である。
気共鳴スペクトル(13C−NMR)のスペクトル値を以
下に示す。SG−1;198.4、151.9、14
8.0、147.6、147.0、135.2、13
1.9、124.8、119.6、107.4、10
7.3、107.2、106.2、103.7、10
3.2、101.7、100.6、100.9、82.
7、81.5、76.3、76.1、76.1、75.
7、75.5、74.8、74.4、73.2、69.
7、69.6、69.5、69.4、68.3、65.
7、60.9、60.7、51.3および46.7。S
G−3;198.3、152.0、148.1、14
7.6、147.0、135.2、131.8、12
4.8、119.6、107.3、107.2、10
7.1、106.2、103.8、101.1、10
1.7、100.6、82.8、81.6、76.3、
76.3、75.7、75.7、74.4、69.6、
69.5、69.4、65.7、60.8、60.8、
51.3および46.7。SG−5;195.9、15
1.8、151.2、148.2、147.8、14
2.4、131.3、124.5、108.5、10
7.4、107.1、107.1、105.4、10
3.5、101.8、100.7、100.6、99.
3、81.3、76.3、76.3、75.9、75.
9、74.0、69.3、69.3、67.9、65.
0、60.7、60.7、48.7および45.1。
に親油性のアグリコン部分と親水性の糖部分との両極性
部分を有し、溶解性は水溶性と脂溶性との中間程度のも
のである。前記アグリコン部分には生体内抗酸化活性を
はじめとする種々の生理活性の活性部位であると考えら
れているメチレンジオキシフェニル基を有するため、活
性酸素種の消去活性等の生理活性機能をもつことが期待
される物質である。また後述するように、本発明に係る
新規リグナン配糖体は、ゴマ種子中にはほとんど存在せ
ず、ゴマ種子を加湿ないし発芽させることにより、とく
に発芽の初期段階において著しく増加する物質であり、
その存在および現象はこれまで知られていなかった。さ
らにその立体構造に起因して、β−グルコシダーゼやセ
ルラーゼ等の糖鎖加水分解酵素の作用を全く受けないと
いう生化学的安定性を具備している。このことは、本発
明に係る新規リグナン配糖体とほぼ同一の極性や分子量
を有し、従来は該配糖体との相互分離が困難であった、
既知のセサミノール配糖体やステロール配糖体等の他の
糖脂質やオリゴ糖等が、前記糖鎖加水分解酵素の作用を
受けて容易に加水分解されることと対照的である。
製造法について説明する。本発明の方法は、ゴマ種子を
加湿処理ないしは発芽処理すると、該処理物中に上記の
新規リグナン配糖体が多量に生成されかつ蓄積されると
の知見、かかる現象はゴマ種子そのものでは認められな
いとの知見、および、前記処理物を粉砕したものあるい
はそれを常法により脱脂したものに糖鎖加水分解酵素を
作用させることにより、従来既知のリグナン配糖体とは
異なり、該酵素によって加水分解されない新規リグナン
配糖体を得ることができるとの知見に基づいてなされた
ものである。すなわち、ゴマ種子の加湿物もしくは発芽
物の粉砕物または脱脂粕を水または緩衝液に分散させ、
そのまま振とう後あるいは該分散液に糖鎖加水分解酵素
を添加して該酵素反応を行わせた後、固形分、脂溶性成
分および水溶性成分を除去することを特徴とする前記構
造式(I)で示される新規リグナン配糖体の製造方法で
ある。
種子を加湿ないし発芽させることにより、容易にその加
湿物もしくは発芽物中に生成かつ蓄積せしめることがで
きる。ゴマ種子は培煎等の高温処理を施していないもの
であれば、白ゴマ、黒ゴマ等の種類、国内産、中国産、
インド産、アフリカ産等の産地、栽培用あるいは搾油用
を問わず使用できる。かかるゴマ種子を、水中または水
分を含有できる適当な培地、例えば寒天、石英砂、海
砂、脱脂綿、砂、土等の好ましくは滅菌処理した培地に
均一に撒き、10〜50℃、好ましくは30〜40℃に
て水分を適時に補いながら、5〜100時間、好ましく
は24〜72時間培養を行なう。培養は照光下または暗
条件下のいずれでも構わないが、室内にて太陽光を利用
して昼夜培養するのが簡便である。
ら分離した後、食品用ミキサーやブレンダー、ホモジナ
イザー等の粉砕機に入れ粉砕し粉砕物を得る。粉砕物は
n−ヘキサン等の脂溶性有機溶媒で油分を抽出して除去
した脱脂粕としてもよい。なお、後述する糖鎖加水分解
酵素による反応工程において、該酵素をとくに添加する
場合には前記粉砕物および脱脂粕のいずれを用いてもよ
いが、該酵素を添加せずゴマ種子由来の前記酵素を利用
する場合には粉砕物を用いることが好ましい。
は脱脂粕を1〜100倍容量/重量(以下、容量をv、
重量をwtと表す。)の水または酢酸系、リン酸系、クエ
ン酸系等の緩衝液(pH2〜6)に分散させる。該分散
液はそのまま振とうし、あるいは該分散液に対固形分
0. 1〜30%(wt/wt)、好ましくは1〜10%(wt
/wt)の糖鎖加水分解酵素を加え、10〜50℃で1〜
50時間、好ましくは5〜15時間、望ましくは緩やか
に撹拌しながら、糖鎖を加水分解せしめる。なお前記粉
砕物および脱脂粕には、本発明で用いるものと同様の糖
鎖加水分解酵素の活性があるため、これを利用すればよ
い。この酵素反応により、本発明に係る新規リグナン配
糖体と同じような対溶剤分配特性を有するステロール配
糖体や糖脂質、セサミノール配糖体、フラボノイド配糖
体、糖質等の大部分が加水分解され、より一層水溶性の
高い単糖もしくはこれに類似する比較的低分子の糖化合
物(オリゴ糖等)とアグリコン(リグナン)等とに分け
られる。一方、本発明に係る新規リグナン配糖体はかか
る酵素の作用を受けず、加水分解されない。
ル基またはガラクトシル基を加水分解する酵素、例えば
市販のβ−グルコシダーゼ、α−グルコシダーゼ、β−
ガラクトシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ等のグリコシ
ダーゼの他、セルラーゼ、アミラーゼ等の酵素剤の少な
くとも1種以上を用いるか、またはゴマ種子中に元々含
まれるβ−グルコシダーゼやα−ガラクトシダーゼまた
はセルラーゼ等の活性を利用することもできる。さらに
はこれら酵素剤を、活性炭、セライト、合成樹脂、イオ
ン交換樹脂、ゲル等の適当な基材に固定化し、連続使用
ならびに回収再使用を可能としたものであっても構わな
い。
心分離、濾過等の常法により固形分を除去し、水溶液に
1〜100倍(v/v)のn−ヘキサン、クロロホル
ム、ジエチルエーテル、石油エーテル等の低極性かつ非
水溶性ないし難水溶性有機溶媒を加えて抽出する。有機
溶媒相を除き、水相を濃縮する。このとき本発明に係る
新規リグナン配糖体は水相側に濃縮される。これによ
り、脂肪酸グリセリド類、リン脂質、リグナン、ステロ
ール等の脂溶性の不純物と、前記酵素により切断され
た、本発明に係る新規リグナン配糖体以外の配糖体類由
来のアグリコン成分が抽出され、これらを除くことがで
きる。必要ならばこの操作を繰り返す。
(上記水相の濃縮液)に、極性が中間的な溶媒でかつ水
に難溶ないし不溶の有機溶媒、例えばn−ブタノール、
酢酸エチル、メチルエチルケトン等を1〜100倍(v
/v)加え、再度抽出する。必要ならばこの操作を繰り
返す。これにより、残液に共存していた糖類、蛋白質、
繊維質等の水溶性の不純物質の大部分を水相部として除
くことができる。この有機溶媒相に抽出される成分は、
ステロールやリグナンのような脂溶性物質よりも極性が
高く、かつ単糖やオリゴ糖のような水溶性ではない成分
のみであるから、これを分取し、減圧乾燥等の公知の濃
縮方法を用いて濃縮乾固することにより、目的とする新
規リグナン配糖体を多量に含む抽出画分(粗リグナン配
糖体)を得ることができる。
1〜5倍(v/wt)の含水アルコール(アルコール濃
度30〜100%(v/v))に分散させ、これを緩や
かに攪拌している比較的多量、好ましくは10〜200
倍(v/wt)のアルコールに滴下し、静置後、遠心分
離または分別濾過等により沈澱物を除いた後、濃縮乾固
し、粗リグナン配糖体を得ることもできる。かかる処理
に用いるアルコールは炭素数1〜4の直鎖状もしくは側
鎖状低級アルコール類、例えばメタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ールである。
オクタデシルシリカ(ODS)やシリカゲル等を担体と
したカラムクロマトグラフィー等を用いて、単一成分ま
でに精製することが可能である。すなわち、例えばOD
Sをガラス製もしくはステンレス製円管に充填してカラ
ムを作成し、これに水を流して平衡化した後、粗リグナ
ン配糖体を負荷率0.1〜5%(wt/v)で供し、含水
アルコール溶媒(アルコールはメタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール等の低級アルコール)においてアルコール濃度を順
次増加させる段階溶出法により、常圧もしくは加圧(2
00kg/cm2 程度まで、好ましくは50〜150kg/cm
2 )状態で、所定の画分が溶出するまで前記含水アルコ
ール溶媒を供給する。なおここで得られる溶出画分は、
必要に応じてさらに前記担体を用いる高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)、分取液体クロマトグラフィー
等に供して各成分をより一層高純度化することもでき
る。
前記構造式(I)で示されるものの混合物であり、とり
わけ多く含まれるものは、前記構造式(II−a)、
(II−b)および(II−c)で示される新規リグナ
ン配糖体である。
まま食品、医薬品、化粧品、農薬等の種々の分野の製品
に利用できるが、特に新規リグナン配糖体の各成分を単
一に高純度に精製する必要がある場合は、さらに通常行
われているカラムクロマトグラフィー等の分離、精製手
段を適用すればよい。
成分の化学的構造は、前記方法で高純度化した各精製成
分を、例えば塩酸加水分解してリグナン部(アグリコン
部)と糖部とに分け、これらをそれぞれトリメチルシリ
ル化してガスクロマトグラフィーに供し、あるいは核磁
気共鳴スペクトロスコピー、マススペクトロスコピー等
により分析し、確認することができる。
具体的に説明する。 参考例 予め滅菌した石英砂を300cm2 のステンレス製のバッ
トに敷き、その上に中国産ごま種子10gを撒き、蒸留
水を十分に噴霧しながら、40℃の恒温槽中で培養し、
発芽させた。発芽率は80%以上であった。発芽状態が
同程度の一定量の発芽物を経時的にサンプリングし、各
々を100mlの含水メタノール(80%(v/v))と
ともにブレンダーで粉砕した。残渣を濾過し、濾液を濃
縮乾固した後、得られた固形物をn−ヘキサンで洗浄し
て脂溶性物質を除き、ついで水−ブタノールで抽出して
水溶性物質を除き、含水メタノール抽出物(リグナン配
糖体抽出物)を得た。各含水メタノール抽出物を100
mlの同含水メタノールに再溶解し、HPLCに供して組
成を分析した。
東ソー社製)にカラム(SokenPak ODS−W
5μ、10mmφ×250mm)、紫外線吸収検出器(UV
−8000、東ソー社製)を接続し、溶出は、水:メタ
ノールが90:10(v:v)から開始して60分後に
同10:90(v:v)となる直線グラジェントを用
い、流速を1ml/min 、検出波長は280nmとした。
糖体成分SG−1〜SG−5のピーク面積からそれぞれ
の含量を求め、その経時変化を図1に示した。ゴマ種子
は発芽に伴い、種子中にほとんど存在していなかったS
G−1、SG−3およびSG−5を生成し、培養48時
間後にはほぼ一定値に達した。これら全配糖体成分の培
養7日目の含有率は発芽物の乾燥物当り2.5%(wt/
wt)、また含水メタノール抽出物当り5.0%(wt/w
t)であった。
は、前記と同条件の分取HPLCで単一成分まで高純度
化した各精製物を用い、次の方法により確認した。すな
わち各精製物に1N塩酸を加え、100℃で30分間加
水分解せしめた後、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層
および水層に分けた。酢酸エチル層は40℃以下で濃縮
乾固、TMS−PZ(東京化成工業社製)でトリメチル
シリル化処理し、ガスクロマトグラフィー(GLC)に
供してリグナンを定量分析した(外標準:セサミン)。
置:ヒューレットパッカード社製5890、カラム:D
B−17HT(15m×0.319mm、film th
ickness:0.15μm、J&W SCIENT
IFIC社製)、注入法:スプリット法(スプリット比
1/10)、カラム温度:270℃、キャリアガス:ヘ
リウム。
(孔径:0.2μm、マイショリディスク W−13−
2、東ソー社製)で濾過し、濾液にアセトン5mlを加え
て減圧下で濃縮乾固後、TMS−PZ(前出と同じ)で
トリメチルシリル化処理し、これをGLCに供して糖を
定量分析した(外標準:グルコース、ガラクトース、フ
ルクトース)。
1(15m×0.25mm、filmthicknes
s:1.0μm、J&W SCIENTIFIC社
製)、注入法:スプリット法(スプリット比1/5
0)、カラム温度:180℃とする以外は前記リグナン
分析の場合と同じである。
℃で2日間培養し、発芽させた。発芽率は88%であっ
た。この発芽物と20mM酢酸緩衝液(pH5.0)10
0mlとをブレンダーに入れ破砕した後、この破砕物の分
散液をそのまま、50℃で15時間振とうし、ゴマ発芽
物中に存在する糖鎖加水分解酵素により加水分解反応を
行わせた。ついで反応液を濾別して固形分を除き、濾液
と同容量のn−ヘキサンを加え激しく振とうした。この
抽出を3回繰り返した。n−ヘキサン相を完全に除いた
残液に、予め水で飽和したn−ブタノールを同容量加え
激しく振とうした。この抽出を2回繰り返した。n−ブ
タノール相を同容量の蒸留水で2度水洗し、減圧下で濃
縮乾固してn−ブタノール抽出物を得た。
ミンを外標準としてn−ブタノール抽出物中の新規リグ
ナン配糖体の組成および含量を求めたところ、SG−1
(構造式(II−a))、SG−3(構造式(II−
b))およびSG−5(構造式(II−c))の3種が
主成分であり、これらは該抽出物中に120mg存在し、
その組成はSG−1が29%、SG−3が40%、SG
−5が31%であった。
℃で2日間培養し、発芽させた。発芽率は89%であっ
た。この発芽物とn−ヘキサン100mlとをブレンダー
に入れ破砕した。この破砕物の分散液を65℃で5時間
還流させた。ついで還流液を濾過して脱脂した残渣を
得、これを20 mM クエン酸緩衝液(pH4.0)10
0mlに分散させ、β−グルコシダーゼ200mg(フナコ
シ社製)を加え、50℃で15時間振とうした。反応液
から固形分を濾別した液に同容量のn−ヘキサンを加え
激しく振とうした。この抽出を3回繰り返した。n−ヘ
キサン相を完全に除いた残液に、予め水で飽和したn−
ブタノールを同容量加え激しく振とうした。この抽出を
2回繰り返した。n−ブタノール相を同容量の蒸留水で
2度水洗し、減圧下で濃縮乾固してn−ブタノール抽出
物を得た。実施例1に記載の方法でHPLC分析したと
ころ、n−ブタノール抽出物中の新規リグナン配糖体は
SG−1、SG−3およびSG−5が主成分であり、こ
れらは該抽出物中に約170mg存在し、その組成はSG
−1が23%、SG−3が41%、SG−5が35%で
あった。
てβ−グルコシダーゼ(実施例2と同じ)100mg、α
−グルコシダーゼ(和光純薬社製)100mg、セルラー
ゼ( ベーリンーガーマンハイム社製)1gおよびアミラ
ーゼ(和光純薬社製)1gの混合酵素を加え、これ以外
は同様に処理し、分析した。その結果、n−ブタノール
抽出物中の新規リグナン配糖体はSG−1、SG−3お
よびSG−5が主成分であり、これらは該抽出物中に約
140mg存在し、その組成はSG−1が25%、SG−
3が42%、SG−5が33%であった。
わりに、実施例1に記載の方法で得た、ゴマ種子の発芽
物の粉砕物を用い、これにβ−グルコシダーゼ200m
g、α−グルコシダーゼ200mg、セルラーゼ1gおよ
びアミラーゼ1gからなる混合酵素を加え、これ以外は
同様に処理し、分析した。その結果n−ブタノール抽出
物中の新規リグナン配糖体はSG−1、SG−3、およ
びSG−5が主成分であり、これらは該抽出物中に約1
10mg存在し、その組成はSG−1が27%、SG−3
が39%、SG−5が34%であった。
子を同様に加湿させ10℃で2日間保持した加湿物を用
いる以外は同様に処理し、HPLC分析を行ったとこ
ろ、SG−1〜SG−5の全成分の含有率は加湿物の乾
燥物当り2.4%(wt/wt)、また含水メタノール抽出
物当り5.0%(wt/wt)であった。
備、試薬等を用いることなく、安価に、しかも簡便かつ
容易に、目的とする新規リグナン配糖体を多量に得るこ
とが可能になる。すなわち、ゴマ種子の加湿ないし発芽
処理により、ゴマ種子中にはほとんど存在しない新規リ
グナン配糖体を顕著に増加させることができる。またゴ
マ種子の加湿物もしくは発芽物を酵素処理および溶剤抽
出処理することにより、新規リグナン配糖体を効率的に
製造できる。
v)メタノールで抽出したときの抽出物中に存在する新
規リグナン配糖体成分(SG−1〜SG−5)等の含有
量を、ゴマ種子の培養時間とともにプロットしたもので
ある。横軸はゴマ種子の培養時間、縦軸は前記抽出物中
の新規リグナン配糖体等成分およびその相対含有量を示
す。
Claims (4)
- 【請求項1】 ゴマ種子の加湿物もしくは発芽物の粉砕
物または脱脂粕を水または緩衝液に分散させ、そのまま
振とう後あるいは該分散液に糖鎖加水分解酵素を添加し
て該酵素反応を行わせた後、固形分、脂溶性成分および
水溶性成分を除去することを特徴とする下記の構造式
(I)で示される新規リグナン配糖体の製造方法。 【化1】 (式(I)中、Rはグルコース、ガラクトースおよびフ
ルクトースからなる群より選ばれる1種のグリコシル残
基を表し、mは1〜3の整数値のいずれかを表し、nは
0または1の整数値を表す。) - 【請求項2】 新規リグナン配糖体が糖残基としてジグ
ルコシド残基および/またはトリグルコシド残基を有す
るグルコシドリグナンである請求項1に記載のリグナン
配糖体の製造方法。 - 【請求項3】 新規リグナン配糖体が下記の構造式(I
I−a)、(II−b)または(II−c)で示される
ものである請求項1または2に記載のリグナン配糖体の
製造方法。 【化2】 (式(II−a)中、Glcはグルコース残基を表
す。) 【化3】 (式(II−b)中、Glcはグルコース残基を表
す。) 【化4】 (式(II−c)中、Glcはグルコース残基を表
す。) - 【請求項4】 糖鎖加水分解酵素がα−グルコシダー
ゼ、β−グルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−
ガラクトシダーゼ、セルラーゼおよびアミラーゼのうち
少なくとも1種以上である請求項1に記載のリグナン配
糖体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7219566A JP3009128B2 (ja) | 1994-12-26 | 1995-08-04 | 新規リグナン配糖体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33664594 | 1994-12-26 | ||
JP6-336645 | 1994-12-26 | ||
JP7219566A JP3009128B2 (ja) | 1994-12-26 | 1995-08-04 | 新規リグナン配糖体の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08228793A JPH08228793A (ja) | 1996-09-10 |
JP3009128B2 true JP3009128B2 (ja) | 2000-02-14 |
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JP (1) | JP3009128B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100849523B1 (ko) * | 2006-05-15 | 2008-07-31 | 최성열 | 찜질 매트 |
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---|---|---|---|---|
JP2009082031A (ja) * | 2007-09-28 | 2009-04-23 | Kaiyo Bokujo:Kk | スプラウトエキスの製造方法 |
-
1995
- 1995-08-04 JP JP7219566A patent/JP3009128B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR100849523B1 (ko) * | 2006-05-15 | 2008-07-31 | 최성열 | 찜질 매트 |
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