JP7214987B2 - 車両 - Google Patents
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Description
かかる冷却システムにおいては、一般に動力源を冷却する冷却水の温度を調整するために、サーモスタットを用いてラジエータ内に冷却水を流すかどうかを制御しているが、かかるサーモスタットが故障してしまうと、温度制御が上手くいかない場合が考えられる。
そのため、冷却システム内に流れる冷却水の水温を用いてサーモスタットの故障診断を行う故障診断手段を設ける構成が知られている(例えば特許文献1、2等参照)。
このようにグリルシャッターの開閉を行う構成では、例えばサーモスタットが開固着したとしても、グリルシャッターが閉じていれば温度が下がりにくくなることから、サーモスタットの故障診断がし辛いという問題が生じていた。
なお、本実施形態において、車両の内燃機関やステアリング、その他各種の本発明と直接的に関係のない部分の詳細な機能、動作については、説明を適宜省略する。また、本実施形態では、駆動源に水冷式のエンジンを用いる場合について特に述べるが、かかる構成に限定するものではなく、サーモスタットを用いて水その他の冷媒の温度制御を行う構成であっても良い。
車両100はまた、ラジエータ13より前方の車両前部にグリルを開閉するグリルシャッター21と、冷却水Qの流路12をラジエータ13に経由する流路12aとラジエータ13に経由しない流路12bとに切り替えるサーモスタット20と、を有している。グリルシャッター21は、開閉することでラジエータに供給される走行風を調整して、ラジエータの温度調整に寄与する。
車両100はまた、車速センサ80と、エンジン11からの動力をタイヤ14へと伝達するための自動変速機15と、流路12内に冷却水Qを循環させるための循環器たるポンプ16と、車両100の各部分の制御を行う制御部たるECU90と、を有している。
ECU90は、図2に示すように、自動変速機15やエンジン11の動作を制御する駆動制御部91と、後述するグリルシャッター21の開閉動作を制御するグリルシャッター制御部92と、サーモスタット20の故障判定を行う故障判定手段30と、を有している。
また、ECU90の機能はかかる構成に限定されるものではなく、例えばエンジン11の回転制御や、ラジエータ13に取り付けられたファンの制御などを行うとしても良い。
具体的にはサーモスタット20は、冷却水Qの実温度あるいは水温推定値が所定のサーモスタット開弁温度T1になったことを条件として、流路12a側を開弁してラジエータ13に冷却水Qが流入するように制御を行う。なお、冷却水の実温度は温度検出手段、具体的には温度センサに基づいて検出する。
ここでいう水温推定値とは、エンジン発熱量と放熱量から推定される水温である。故障判定手段30は、かかる水温推定値がサーモスタット開弁温度T1に到達した時刻t1において仮故障判定を行う。t1から所定時間Δt後の判定時刻t2に、実水温がサーモスタット開弁温度T1に満たない場合には故障判定を行い実水温がサーモスタット開弁温度T1に到達した場合に正常判定する。
サーモスタット開弁温度T1は、設計上の任意の温度であって良いが、例えば77℃などであっても良い。
本実施形態においては、グリルシャッター21が開状態の場合にはラジエータ13表面に当たる空気の流量が増大することによって、冷却性能が上昇する。
他方、グリルシャッター21が閉状態の場合には、ラジエータ13表面に当たる空気の流量が減少するから、冷却性能は開状態の場合と比べて低減される。
具体的には、閉状態の場合には車両100の空力特性が向上し、開状態の場合には車両100の空気抵抗が増大する一方でラジエータ13の冷却性能が向上する。
しかしながら、サーモスタット20の故障(ここでは開固着による故障パターンについて述べるが、かかる故障に限定されるものではない)が生じたときには、例えば水温推定値がサーモスタット開弁温度T1を超えたことを検知して、サーモスタット20を開弁したとしても、図4に実線で示すように、実水温が十分には上がってこないことが懸念される。
ECU90は水温推定値がサーモスタット開弁温度T1を超えたことを検知する(ステップS101)と、サーモスタット20の開弁を指示する(ステップS102)。
すなわち、実水温が一次故障判定を実施する一次故障判定時刻t1においてサーモスタット開弁温度T1に到達していない場合には、停止状態から既にサーモスタット20が開状態であって流路12a側が開いてラジエータ13に冷却水Qが流れ込んでしまっていることが想定される。
そこで本実施形態では、水温推定値がサーモスタット開弁温度T1に到達した一次故障判定時刻t1において、実水温がサーモスタット開弁温度T1に到達していないことをもって、故障判定手段30が仮故障判定として、一次故障判定を行う(ステップS103)。すなわち本実施形態は、「推定温度が所定値を超えた際に一次故障判定を行う」構成である。
なお、ステップS103において、実水温がサーモスタット開弁温度T1に到達している場合には、故障判定手段30はサーモスタット20が正常に動作していると判断して通常状態の処理・制御を継続する(ステップS201)。
具体的には、図4に示すように、一次故障判定時刻t1において、グリルシャッター21の開閉状態を、t1より前までの開閉状態とは反対の状態に切替させ、所定時間Δtの間、かかる開閉状態を維持する(ステップS104)。
かかる二次故障判定は、一次故障判定と同様に、実水温が所定温度(例えば本実施形態におけるサーモスタット開弁温度T1)に到達しているか否かによって判定すればよい。
さらに、二次故障判定時刻t2における推定温度には、グリルシャッター21が開状態である場合の温度変化が反映される。
逆に一次故障判定時刻t1におけるグリルシャッター21が開状態であったとすれば、一次故障判定には開状態での温度変化が、二次故障判定においては閉状態での温度変化が、それぞれ反映されて判断されることとなる。
すなわち、かかる一次故障判定と二次故障判定とによって推定温度と実水温との偏差を見ることによって、『グリルシャッター21の開閉状態に基づく前記冷却水の温度変化を考慮』して、サーモスタット20の故障判定を行うことができる。
かかる一次故障判定と二次故障判定においては、単に複数回同様の制御状態における温度変化を参照するものではなく、グリルシャッター21の開閉状態を逆転させることで、グリルシャッター21の動作や制御態様による温度変化の変化分を考慮できるから、サーモスタット20の故障判定をより正確に行うことができる。
なお、二次故障判定時刻t2までの間に、実水温が上昇してサーモスタット開弁温度T1に到達した場合には、故障判定手段30は、サーモスタット20が正常であると判定する(ステップS201)。
かかる故障判定の結果は、車両100に搭載された非図示の表示器等によって運転者に通知されるとしても良いし、故障通知をネットワーク経由等で連絡するとしても良い。
ここで、水温推定値と実水温との差が大きい場合とは、すなわち一次故障判定時刻t1において、水温を正しく推定できていないと言えるから、より故障の可能性が高い、言い換えると温度制御が上手くいっていない場合であると考えられる。
そのため、偏差ΔTが大きい場合には、一次故障判定の診断確度が高いと考えられるから、所定時間Δtを短くすることで、正確な故障判定をより迅速に行うことができる。
他方、図4において水温推定値と実水温との偏差ΔTが所定の値よりも大きい実水温Bとして一点鎖線で示したような推移を辿る場合には、同図で一点鎖線で示すように、グリルシャッター21の保持時間を短くしてかかる所定時間Δtを短くすることで、より二次故障判定における迅速性を向上することが望ましい。
あるいは、実水温Bのような推移の場合には、一次故障判定のみで診断を確定してしまったとしても良い。このように、一次故障判定のみでサーモスタット20の故障判定を行う場合にも、かかる水温推定値は、「グリルシャッター21の開閉状態を考慮」して算出されている。
かかる構成により、さらに故障判定の正確性が向上する。
例えば、本実施形態ではエンジンを有する車両の場合についてのみ述べたが、その他、モーターを駆動源として用いたハイブリッド車等に用いたとしても良い。
また、上記実施形態では、説明の単純化のため一次故障判定時刻、二次故障判定時刻との表現を用いたが、かかる一次故障判定及び二次故障判定の実施は、所定の幅を持った時間の中で行われても良い。
Claims (3)
- 冷却水を冷却するためのラジエータと、
前記ラジエータの前方に配置されて、車両に配置されたグリルを開閉するグリルシャッターと、
前記ラジエータを経由する流路と前記ラジエータを経由しない流路とに前記冷却水の流路を切り替えるサーモスタットと、
前記車両の車速を検出する車速センサと、
前記冷却水の実温度と、前記車速センサで検出された車速に応じて開閉する前記グリルシャッターの前記車両の走行中の開閉状態によって減少もしくは上昇するように変化する前記冷却水の温度変化を考慮して算出した前記冷却水の推定温度と、に基づいて前記サーモスタットの開固着判定を行う故障判定手段と、を有し、
前記故障判定手段は、前記推定温度が前記サーモスタットの開弁温度である所定値を超えた際に、一次故障判定として前記冷却水の実温度が前記所定値を超えているかを判定し、前記冷却水の実温度が前記所定値を超えていない場合は仮故障と判定し、前記一次故障判定により仮故障と判定されてから所定時間経過した際に前記サーモスタットの開固着判定を再度実施する二次故障判定として前記冷却水の実温度が前記所定値を超えているかを再度判定し、当該二次故障判定において前記冷却水の実温度が前記所定値を超えていない場合は故障と判定し、前記冷却水の実温度が前記所定値を超えている場合は正常と判定し、
前記一次故障判定の後、前記グリルシャッターを開状態として前記二次故障判定との間、開状態を維持することを特徴とする車両。 - 請求項1に記載の車両であって、
前記所定時間は、前記一次故障判定を実施した際の前記実温度と、前記推定温度との差に基づいて設定することを特徴とする車両。 - 請求項2に記載の車両であって、
前記所定時間は、前記一次故障判定を実施した際における前記実温度と前記推定温度との偏差が小さい程長くなることを特徴とする車両。
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