JP7213439B2 - レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置 - Google Patents

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Description

本開示は、レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置に関する。
レーザ溶接は、被溶接物であるワークに照射されるレーザ光のパワー密度が高いため、高速かつ高品質の溶接を行うことができる。特に、レーザ光をワークの表面で高速にスキャンしながら溶接を行うスキャニング溶接では、溶接をしない期間中にレーザビームを次の溶接点へ高速に移動することができるため、トータルな溶接時間を短縮することができる(例えば、特許文献1参照)。また、レーザ光のスキャニング方法に関しては、ワークの表面にリサージュパターンを描くようにレーザ光を走査する方法が、従来提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2005-095934号公報 特開昭60-177983号公報 特開平11-104877号公報
ところで、特許文献2,3に示される従来の構成では、通常、リサージュパターンが、その中心点(以下、原点ともいう)に関し、対称な形状となるように描画される。
しかし、実際に溶接されるワークは、種々の形状を有している。例えば、異なる厚さの板材を突き合わせ溶接する場合、板材の突き合わせ部分に対応する溶接線の両側で、ワークの熱容量が非対称となる。また、ワークの継手形状によっては、同様に、溶接線の両側で、ワークの熱容量が非対称となることがある。
この場合、前述した対称形状のリサージュパターンを描くようにレーザ光を照射して溶接を行うと、ワークの熱容量の非対称性に起因して、溶接線の両側で溶接ビードの形状が異なってしまうおそれがあった。例えば、ワークの溶接部位のうち、熱容量の小さい側に合わせてレーザ光の出力を調整すると、反対側にある熱容量の大きい部分では入熱量が不足するため、良好な形状の溶接ビードを得ることが難しかった。また、熱容量の大きい側に合わせてレーザ光の出力を調整すると、反対側にある熱容量の小さい部分では入熱量が過多となるため、溶け落ち等の溶接不良を生じるおそれがあった。また、このような問題は、レーザ光の走査パターンがリサージュパターンでない場合、例えば、2つの円形のパターンが一点で接して連続したパターンである場合にも生じる。
本開示はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、ワークの表面に所定のパターンを描くようにレーザ光を照射するレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置であって、ワークに形成される溶接ビードの形状を良好なものとすることができるレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本開示に係るレーザ溶接方法は、レーザ光を第1方向に進行させながら、前記レーザ光を二次元的に走査してワークの表面に照射することで、前記ワークを溶接する溶接ステップを備え、前記溶接ステップでは、前記ワークの表面で所定のパターンを描くように前記レーザ光を走査し、さらに、前記所定のパターンが、前記第1方向または前記第1方向と交差する第2方向に関して非対称な形状となるように、前記レーザ光を走査し、前記所定のパターンは、互いに非対称な形状の2つの環状のパターンが一点で接して連続したパターンであることを特徴とする。
本開示に係るレーザ溶接装置は、レーザ光を発生させるレーザ発振器と、前記レーザ光を受け取ってワークに向けて照射するレーザヘッドと、前記レーザヘッドの動作を制御するコントローラと、を少なくとも備え、前記レーザヘッドは、前記レーザ光を第1方向と前記第1方向と交差する第2方向のそれぞれに走査するレーザ光スキャナを有し、前記コントローラは、前記レーザ光が前記ワークの表面に所定のパターンを描くように、前記レーザ光スキャナを駆動制御し、さらに、前記コントローラは、前記所定のパターンが、前記第1方向または前記第1方向と交差する第2方向に関して非対称な形状となるように、前記レーザ光スキャナを駆動制御し、前記所定のパターンは、互いに非対称な形状の2つの環状のパターンが一点で接して連続したパターンであることを特徴とする。
本開示によれば、ワークに形成される溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。
図1は、実施形態1に係るレーザ溶接装置の概略構成図である。 図2は、レーザ光スキャナの概略構成図である。 図3Aは、ワークの模式図である。 図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線での断面図である。 図4は、別のワークの断面模式図である。 図5は、レーザ光の走査パターンを示す図である。 図6は、比較のためのレーザ光の通常の走査パターンを示す図である。 図7は、変形例1に係るレーザ光の描画位置と出力との関係を示す図である。 図8は、変形例2に係るレーザ光の走査パターンを示す図である。 図9は、レーザ光の描画位置と出力との関係を示す図である。 図10は、実施形態2に係るレーザ光の走査パターンを示す図である。 図11は、レーザ光の描画位置と出力との関係を示す図である。 図12は、実施形態3に係るレーザ光とワークに形成された溶融池との位置関係を示す図である。 図13は、レーザ光の走査パターンを示す図である。 図14は、レーザ光の描画位置と出力との関係を示す図である。 図15は、実施形態4に係るレーザ光の描画位置に対するレーザ光の描画速度の関係を示す図である。 図16Aは、レーザ光の描画位置に対するレーザ光の描画速度の別の関係を示す図である。 図16Bは、レーザ光の描画位置に対するレーザ光の描画速度のさらなる別の関係を示す図である。 図17Aは、変形例3に係るレーザ光の第1の走査パターンを示す図である。 図17Bは、変形例3に係るレーザ光の第2の走査パターンを示す図である。 図18Aは、変形例3に係るレーザ光の第3の走査パターンを示す図である。 図18Bは、変形例3に係るレーザ光の第4の走査パターンを示す図である。 図18Cは、変形例3に係るレーザ光の第5の走査パターンを示す図である。 図19は、リサージュパターンを描画するときの各パラメータの組み合わせの一例を示す図である。 図20Aは、変形例4に係るレーザ光の第1の走査パターンを示す図である。 図20Bは、変形例4に係るレーザ光の第2の走査パターンを示す図である。 図20Cは、変形例4に係るレーザ光の第3の走査パターンを示す図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
[レーザ溶接装置及びレーザ光スキャナの構成]
図1は、本実施形態に係るレーザ溶接装置の構成の模式図を示し、図2は、レーザ光スキャナの概略構成図を示す。図3Aは、ワークの模式図を示し、図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線での断面図を示す。図4は、別のワークの断面模式図を示す。
なお、以降の説明において、反射ミラー33からレーザ光スキャナ40に向かうレーザ光LBの進行方向と平行な方向をX方向と、レーザヘッド30から出射されるレーザ光LBの光軸と平行な方向をZ方向と、X方向及びZ方向とそれぞれ直交する方向をY方向とそれぞれ呼ぶことがある。X方向とY方向とを面内に含むXY平面は、ワーク200の表面が平坦面である場合、当該表面と略平行でもよく、当該表面と一定の角度をなしていてもよい。
図1に示すように、レーザ溶接装置100は、レーザ発振器10と光ファイバ20とレーザヘッド30とコントローラ50とマニピュレータ60とを備えている。
レーザ発振器10は、図示しない電源から電力が供給されてレーザ光LBを発生させるレーザ光源である。なお、レーザ発振器10は、単一のレーザ光源で構成されていてもよいし、複数のレーザモジュールで構成されていてもよい。後者の場合は、複数のレーザモジュールからそれぞれ出射されたレーザ光を結合してレーザ光LBとして出射する。また、レーザ発振器10で使用されるレーザ光源あるいはレーザモジュールは、ワーク200の材質や溶接部位の形状等に応じて、適宜選択される。
例えば、ファイバレーザかディスクレーザ、あるいはYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザをレーザ光源とすることもできる。この場合、レーザ光LBの波長は、1000nm~1100nmの範囲に設定される。また、半導体レーザをレーザ光源あるいはレーザモジュールとしてもよい。この場合、レーザ光LBの波長は、800nm~1000nmの範囲に設定される。また、可視光レーザをレーザ光源あるいはレーザモジュールとしてもよい。この場合、レーザ光LBの波長は、400nm~600nmの範囲に設定される。
光ファイバ20は、レーザ発振器10に光学的に結合されており、レーザ発振器10で発生したレーザ光LBは、光ファイバ20に入射されて、その内部をレーザヘッド30に向けて伝送される。
レーザヘッド30は、光ファイバ20の端部に取り付けられており、光ファイバ20から伝送されたレーザ光LBをワーク200に向けて照射する。
また、レーザヘッド30は、光学部品として、コリメーションレンズ32と反射ミラー33と集光レンズ34とレーザ光スキャナ40とを有しており、筐体31の内部にこれらの光学部品が所定の配置関係を保って収容されている。
コリメーションレンズ32は、光ファイバ20から出射されたレーザ光LBを受け取って、平行光に変換し、反射ミラー33に入射させる。また、コリメーションレンズ32は、図示しない駆動部に連結されており、コントローラ50からの制御信号に応じて、Z方向に変位可能に構成されている。コリメーションレンズ32をZ方向に変位させることで、レーザ光LBの焦点位置を変化させ、ワーク200の形状に応じて適切にレーザ光LBを照射させることができる。つまり、コリメーションレンズ32は、図示しない駆動部との組み合わせにより、レーザ光LBの焦点位置調整機構としても機能している。なお、集光レンズ34を駆動部により変位させて、レーザ光LBの焦点位置を変化させるようにしてもよい。
反射ミラー33は、コリメーションレンズ32を透過したレーザ光LBを反射して、レーザ光スキャナ40に入射させる。反射ミラー33の表面は、コリメーションレンズ32を透過したレーザ光LBの光軸と約45度をなすように設けられている。
集光レンズ34は、反射ミラー33で反射され、レーザ光スキャナ40で走査されたレーザ光LBをワーク200の表面に集光させる。
図2に示すように、レーザ光スキャナ40は、第1ガルバノミラー41と第2ガルバノミラー42とを有する公知のガルバノスキャナである。第1ガルバノミラー41は、第1ミラー41aと第1回転軸41bと第1駆動部41cとを有し、第2ガルバノミラー42は、第2ミラー42aと第2回転軸42bと第2駆動部42cとを有している。集光レンズ34を透過したレーザ光LBは、第1ミラー41aで反射され、さらに第2ミラー42aで反射されて、ワーク200の表面に照射される。
例えば、第1駆動部41c及び第2駆動部42cは、ガルバノモータであり、第1回転軸41b及び第2回転軸42bは、モータの出力軸である。図示していないが、第1駆動部41cが、コントローラ50からの制御信号に応じて動作するドライバによって回転駆動することで、第1回転軸41bに取り付けられた第1ミラー41aが第1回転軸41bの軸線回りに回転する。同様に、第2駆動部42cが、コントローラ50からの制御信号に応じて動作するドライバによって回転駆動することで、第2回転軸42bに取り付けられた第2ミラー42aが第2回転軸42bの軸線回りに回転する。
第1ミラー41aが第1回転軸41bの軸線回りに所定の角度まで回転動作をすることで、レーザ光LBがX方向に走査される。また、第2ミラー42aが第2回転軸42bの軸線回りに所定の角度まで回転動作をすることで、レーザ光LBがY方向に走査される。つまり、レーザ光スキャナ40は、レーザ光LBをXY平面内で二次元的に走査してワーク200に向けて照射するように構成されている。
コントローラ50は、レーザ発振器10のレーザ発振を制御する。具体的には、レーザ発振器10に接続された図示しない電源に対して出力電流やオンオフ時間等の制御信号を供給することにより、レーザ発振制御を行う。
また、コントローラ50は、選択されたレーザ溶接プログラムの内容に応じて、レーザヘッド30の動作を制御する。具体的には、レーザヘッド30に設けられたレーザ光スキャナ40及び、コリメーションレンズ32の図示しない駆動部の駆動制御を行う。さらに、コントローラ50は、マニピュレータ60の動作を制御する。なお、レーザ溶接プログラムは、コントローラ50の内部または別の場所に設けられた記憶部(図示せず)に保存され、コントローラ50からの命令によってコントローラ50に呼び出される。
コントローラ50は、図示しないLSIまたはマイクロコンピュータ等の集積回路を有しており、この集積回路上でソフトウェアであるレーザ溶接プログラムを実行することで、前述のコントローラ50の機能が実現される。なお、レーザヘッド30の動作を制御するコントローラ50とレーザ光LBの出力を制御するコントローラ50とを別個に設けてもよい。
マニピュレータ60は、多関節ロボットであり、レーザヘッド30の筐体31に取り付けられている。また、マニピュレータ60は、コントローラ50と信号の授受が可能に接続され、前述のレーザ溶接プログラムに応じて所定の軌跡を描くようにレーザヘッド30を移動させる。なお、マニピュレータ60の動作を制御する別のコントローラ(図示せず)を設けるようにしてもよい。
図1に示すレーザ溶接装置100は、種々の形状のワーク200に対してレーザ溶接を行うことができる。例えば、図3A,3Bに示すように、互いに材質が同じである一方、厚さの異なる第1板材210と第2板材220とを端面同士で突き合わせたワーク200の継手にレーザ光LBを照射して、突き合わせ溶接が行われる。また、図3Bに示すように、第3板材230と第4板材240とを端面をずらして重ね合わせたワーク200の継手のコーナー部にレーザ光LBを照射して重ね隅肉溶接が行われる。ただし、レーザ溶接されるワーク200の形状が図3A,3Bや図4に示す例に限定されないことは言うまでもない。
[リサージュパターンの数式的表現]
図5は、レーザ光の走査パターンを示し、レーザ光LBは、XY平面内、この場合はワーク200の表面でリサージュパターン(以下、リサージュ図形ともいう)を描くように走査される。
図5に示すリサージュパターンは、レーザ光LBをX方向に所定の周波数の正弦波状に振動させるとともに、Y方向にX方向と異なる周波数(X方向の周波数の1/2である)の正弦波状に振動させることで得られる。また、前述したように、第1ミラー41a及び第2ミラー42aの回転運動に基づいて、レーザ光LBのX方向及びY方向の走査パターンが決定される。一般的に、第1ミラー41aの駆動によって得られるリサージュパターンの位置座標をX1とし、第2ミラー42aの駆動によって得られるリサージュパターンの位置座標をY1とするとき、位置座標X1,Y1は、それぞれ以下の式(1)、(2)で表される。
X1=a×sin(nt) ・・・(1)
Y1=b×sin(mt+φ) ・・・(2)
ここで、
a:リサージュパターンのX方向における振幅
b:リサージュパターンのY方向における振幅
n:第1ミラー41aの周波数
m:第2ミラー42aの周波数
t:時間
φ:第1ミラー41aまたは第2ミラー42a駆動時の位相差であり、具体的には、第1ミラー41aと第2ミラー42aの回転運動時に設ける角度ずれ量である。
なお、式(1)、(2)に示す位置座標X1,Y1は、レーザヘッド30の位置を固定した状態でのリサージュパターンの静止座標系で表現される。
また、周波数nと周波数mは、それぞれ第1ミラー41aと第2ミラー42aの駆動周波数とそれぞれ対応する。
図5から明らかなように、本実施形態のリサージュパターンは、原点Oを通りX方向に延びる中心線に関して非対称な形状となっている。
図5におけるY方向で+側に位置するレーザ光LBの走査パターンをLS1とすると、走査パターンLS1(以下、描画パターンLS1ともいう)は、式(1)、(2)において、a=1,b=1,n=2,m=1,φ=0とした場合に対応する。一方、-側に位置する走査パターンをLS2とすると、走査パターンLS2(以下、描画パターンLS2ともいう)は、式(1)、(2)において、a=0.5,b=0.5,n=2,m=1,φ=0とした場合に対応する。つまり、X方向及びY方向のそれぞれにおいて、描画パターンLS2は、描画パターンLS1よりも小さな軌跡となっている。よって、描画パターンLS2の描画長さは、描画パターンLS1の描画長さよりも短くなっている。なお、aとbは、描画パターンLS1の大きさを基準に1で正規化している。また、式(1)、(2)の位相差φは、0度または180度のどちらでもよい。
また、描画パターンLS1とLS2とを合成したパターンは、8の字形状のリサージュパターンである。なお、実際のリサージュパターンのサイズ、つまり、X方向及びY方向の振幅は、それぞれ1mm~10mm程度の範囲内にある。
ここで、図5に示すように、描画パターンLS1において、所定の時間変分ΔtにおけるリサージュパターンのX方向の描画距離をΔX、Y方向の描画距離をΔY、時間変分Δtにおけるリサージュパターンの描画距離をΔLとするとき、ΔX、ΔY、ΔLは、それぞれ以下に示す式(3)~(5)で表される。
ΔX= a×n×cos(nt)×Δt ・・・(3)
ΔY= b×m×cos(mt+φ)×Δt ・・・(4)
ΔL= Δt×{(ΔX)+(ΔY)1/2 ・・・(5)
よって、リサージュパターンの描画速度Vは、以下に示す式(6)で表される。
V= ΔL/Δt ・・・(6)
一方、描画パターンLS2においては、ΔXとΔYは数式(3)と数式(4)によって同様に計算できるが、X方向における振幅とY方向における振幅のみが描画パターンLS1と異なる。
[レーザ溶接方法]
本実施形態では、マニピュレータ60によってレーザヘッド30をX方向に所定の速度で移動させつつ、レーザ光LBをワーク200の表面に照射している。さらに、レーザ光スキャナ40を用いて、ワーク200の表面で図5に示すリサージュパターンを描くように、レーザ光LBを二次元的に走査している。また、本実施形態では、図3A,3Bに示すワーク200を突き合わせ溶接する場合を例に取って説明する。なお、本実施形態におけるレーザ光LBの出力Pは、リサージュパターンの全長に亘って同じになるように制御される。
なお、図5に示すリサージュパターンは、1周期の間に、原点Oから図5に示す矢印AR1及び矢印AR2の方向にレーザ光LBを走査することで得られる。具体的には、1周期の間に、原点Oから描画位置A→B→C→O→D→E→F→Oを通るようにレーザ光LBを走査する。
ワーク200の溶接部位にあたる第1板材210と第2板材220の突き合わせ部分に沿って、レーザ光LBが照射されてレーザ溶接が行われる。図3Aに示すように、突き合わせ部分はX方向に沿って延びており、前述の溶接線に対応している。一方、図3Bに示すように、第1板材210のZ方向の厚さは、第2板材220のZ方向の厚さよりも大きい。また、第1板材210は、第2板材220と同じ材質である。したがって、第1板材210の熱容量は、第2板材220の熱容量よりも大きい。つまり、第1板材210の端面と第2板材220の端面との当接面に対応する溶接線に関し、ワーク200の熱容量は非対称となっている。
このようなワーク200に対して、レーザ光LBにより、ワーク200の表面に通常のリサージュパターンを描画しつつレーザ溶接を行う場合、以下に示す課題を生じることがある。
図6は、比較のためのレーザ光の通常の走査パターンを示し、式(1)、(2)において、パラメータa=1,b=1,n=2,m=1とした場合に相当する。つまり、図6に示すリサージュパターンは、X方向及びY方向に関し、それぞれ対称な8の字形状のリサージュパターンである。
レーザ光LBをX方向に進行させながら、図6に示すリサージュパターンを描くように第1板材210と第2板材220の突き合わせ部分に照射すると、溶接線に関し、ワーク200への入熱量も対称となる。
一方、前述したように、第1板材210と第2板材220の突き合わせ部分では、溶接線に関し熱容量が非対称となっている。このため、突き合わせ部分に沿って溶接ビードを形成しようとすると、溶接ビードの形状が崩れてしまうおそれがあった。例えば、レーザ光LBによるワーク200への入熱量を熱容量の小さい第2板材220にあわせてレーザ溶接を行うと、熱容量の大きい第1板材210への入熱が不足し、溶接ビードの形状が崩れてしまうおそれがあった。反対に、レーザ光LBによるワーク200への入熱量を熱容量の大きい第1板材210にあわせてレーザ溶接を行うと、熱容量の小さい第2板材220への入熱が過多となり、溶落ち等の溶接欠陥を生じてしまうおそれがあった。
そこで、本実施形態では、リサージュパターンのうち、第1板材210に照射される描画パターンLS1の描画長さが、第2板材220に照射される描画パターンLS2の描画長さよりも長くなるようにレーザ光LBを制御している。なお、レーザ光LBの描画パターンLS1は、図5に示す経路O→A→B→C→Oを通り、レーザ光LBの描画パターンLS2は、図5に示す経路O→D→E→F→Oを通る。
このようにすることで、レーザ光LBにより第1板材210に入熱される入熱量を第2板材220に入熱される入熱量よりも大きくすることができる。よって、溶接線に関して熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位である、第1板材210と第2板材220の突き合わせ部分に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を投入させることができる。このことにより、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。また、溶け落ち等の溶接不良の発生を抑制できる。
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るレーザ溶接方法は、レーザ光LBをX方向(第1方向)に進行させながら、レーザ光LBを二次元的に走査してワーク200の表面に照射することで、ワーク200を溶接する溶接ステップを備えている。
溶接ステップでは、レーザ光LBをX方向に沿って周波数nに対応する第1周波数を有する正弦波状に振動させるとともに、Y方向に沿って周波数mに対応する第2周波数を有する正弦波状に振動させる。このことにより、ワーク200の表面でリサージュパターンを描くようにレーザ光LBを走査する。
さらに、リサージュパターンが、X方向に関して非対称な形状となるように、レーザ光LBを走査する。具体的には、X方向に関してリサージュパターンの描画長さが異なるように、レーザ光LBを走査する。さらに言うと、原点Oを通りX方向に関して延びる中心線を挟んで、一方側と他方側とでリサージュパターンの描画長さが異なるように、レーザ光LBを走査する。
このようにすることで、熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を投入させ、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。
本実施形態では、ワーク200における溶接部位である第1板材210と第2板材220の突き合わせ部分は、溶接線の延びる方向であるX方向に関して熱容量が非対称である。この場合、リサージュパターンの描画中に、溶接部位のうち、熱容量が大きい第1部位、つまり、第1板材210では、熱容量が小さい第2部位、つまり、第2板材220でよりも照射されるレーザ光LBの描画長さが長くなるようにする。
このようにすることで、熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を確実に投入させることができる。このことにより、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。また、溶け落ち等の溶接不良の発生を抑制できる。
本実施形態に係るレーザ溶接装置100は、レーザ光LBを発生させるレーザ発振器10と、レーザ光LBを受け取ってワーク200に向けて照射するレーザヘッド30と、レーザヘッド30の動作及びレーザ光LBの出力Pを制御するコントローラ50と、を少なくとも備えている。
レーザヘッド30は、レーザ光LBをX方向(第1方向)とX方向と交差するY方向(第2方向)のそれぞれに走査するレーザ光スキャナ40を有している。
コントローラ50は、レーザ光LBをX方向に沿って第1周波数を有する正弦波状に振動させるとともに、Y方向に沿って第2周波数を有する正弦波状に振動させる。このことにより、コントローラ50は、レーザ光LBがワーク200の表面にリサージュパターンを描くように、レーザ光スキャナ40を駆動制御する。
さらに、コントローラ50は、リサージュパターンが、X方向に関して非対称な形状となるように、レーザ光スキャナ40を駆動制御する。具体的には、コントローラ50は、X方向に関してリサージュパターンの描画長さを異ならせるように、レーザ光スキャナ40を駆動制御する。さらに言うと、コントローラ50は、原点Oを通りX方向に関して延びる中心線を挟んで、一方側と他方側とで、リサージュパターンの描画長さを異ならせるように、レーザ光スキャナ40を駆動制御する。
本実施形態のレーザ溶接装置100によれば、溶接線に関して熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を投入させ、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。
レーザ溶接装置100は、レーザヘッド30が取り付けられたマニピュレータ60をさらに備え、コントローラ50は、マニピュレータ60の動作を制御する。マニピュレータ60は、ワーク200の表面に対して、所定の方向にレーザヘッド30を移動させる。
このようにマニピュレータ60を設けることで、レーザ光LBの溶接方向を変化させることができる。また、複雑な形状、例えば、立体的な形状のワーク200に対して、レーザ溶接を容易に行うことができる。
レーザ発振器10とレーザヘッド30とは光ファイバ20で接続されており、レーザ光LBは、光ファイバ20を通って、レーザ発振器10からレーザヘッド30に伝送される。
このように光ファイバ20を設けることで、レーザ発振器10から離れた位置に設置されたワーク200に対してレーザ溶接を行うことが可能となる。このことにより、レーザ溶接装置100の各部を配置する自由度が高められる。
レーザ光スキャナ40は、レーザ光LBをX方向に走査する第1ガルバノミラー41と、レーザ光LBをY方向に走査する第2ガルバノミラー42と、で構成されている。
レーザ光スキャナ40をこのように構成することで、レーザ光LBを簡便に二次元的に走査することができる。また、公知のガルバノスキャナをレーザ光スキャナ40として用いているため、レーザ溶接装置100のコストが上昇するのを抑制できる。
レーザヘッド30は、コリメーションレンズ32をさらに有し、コリメーションレンズ32は、X方向及びY方向のそれぞれに交差するZ方向に沿って、レーザ光LBの焦点位置を変化させるように構成されている。つまり、コリメーションレンズ32は、図示しない駆動部との組み合わせにより、レーザ光LBの焦点位置調整機構としても機能している。
このようにすることで、レーザ光LBの焦点位置を簡便に変化させることができ、ワーク200の形状に応じて適切にレーザ光LBを照射させることができる。
なお、本実施形態では、レーザヘッド30をX方向に移動させることで、レーザ光LBをX方向に進行させるようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、第1板材210と第2板材220の突き合わせ部分がY方向に延びている場合は、レーザヘッド30をY方向に移動させることで、レーザ光LBをY方向に進行させるようにしてもよい。このことに伴い、リサージュパターンの形状が変更されてもよい。ただし、その場合も、溶接線に関して熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を投入させるようにリサージュパターンの形状及び描画長さを制御することが必要である。
また、リサージュパターンの描画方向も、前述に特に限定されない。例えば、1周期の間に、原点Oから描画位置C→B→A→O→F→E→D→Oを通るようにレーザ光LBを走査することで、リサージュパターンが描画されてもよい。また、1周期の間に、原点Oから描画位置D→E→F→O→A→B→C→Oを通るようにレーザ光LBを走査することで、リサージュパターンが描画されてもよい。1周期の間に、原点Oから描画位置F→E→D→O→C→B→A→Oを通るようにレーザ光LBを走査することで、リサージュパターンが描画されてもよい。
なお、図4に示すワーク200をレーザ溶接するにあたって、本実施形態に示す方法が適用されてもよい。第3板材230と第4板材240とを端面をずらして重ね合わせたワーク200の継手のコーナー部において、第3板材230と第4板材240の重ね合わせ部分(第1部位)が、第3板材230のみの部分(第2部位)よりも熱容量が大きくなる。よって、当該重ね合わせ部分では、第3板材230のみの部分よりもレーザ光LBの描画長さが長くなるようにレーザ光LBを制御する。
このようにすることで、前述した効果を奏することができる。つまり、溶接線に関して熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を投入させることができ、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。また、溶け落ち等の溶接不良の発生を抑制できる。
<変形例1>
図7は、本変形例に係るレーザ光の走査パターンを示す。
本変形例に示す構成は、レーザ光LBの描画位置に応じて、レーザ光LBの出力Pを変化させている点で、実施形態1に示す構成と異なる。なお、レーザ溶接されるワーク200の構造は、図3A,3Bに示すのと同様である。また、レーザ光LBの走査パターンは、図5に示すのと同様である。
本変形例では、リサージュパターンを描画するにあたって、第1板材210に照射されるレーザ光LBの出力P1が、第2板材220に照射されるレーザ光LBの出力P2よりも高くなるようにレーザ光LBの出力Pを制御している。つまり、図5に示す経路O→A→B→C→Oを通る描画パターンLS1におけるレーザ光LBの出力P1が、経路O→D→E→F→Oを通る描画パターンLS2におけるレーザ光LBの出力P2よりも高くなるようにレーザ光LBの出力Pを制御している。このようなレーザ光LBの出力Pの制御は、コントローラ50によって行われる。
このようにすることで、第1板材210への入熱量と第2板材220への入熱量との差を実施形態1に示す構成よりも大きくすることができる。このことについてさらに説明する。
図5に示すように、リサージュパターンをX方向に非対称な形状とし、描画パターンLS1の描画長さを描画パターンLS2の描画長さよりも長くすることで、X方向に延びる溶接線に関してワーク200への投入熱量に差を付けることができる。
しかし、例えば、第1板材210と第2板材220との板厚の差によっては、図5に示すリサージュパターンを描画するだけでは、ワーク200において、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を投入させても、良好なビード形状が得られない場合がある。例えば、図3Bの例では、ワーク210側の描画範囲を広くするだけでは不足で、良好な溶接ビード(この場合は、裏側のビード形状)を得るために、ワーク210をより深く溶融する必要があった。また、実際のリサージュパターンのサイズは、溶接に要求される仕様、例えば、ビード幅等により制約される。このため、描画パターンLS1の描画長さと描画パターンLS2の描画長さとの差の範囲にも制約が入り、描画パターンLS1と描画パターンLS2の大きさのみでは、ワーク200において、溶接線を挟んだ両側で異なった熱量を投入させても良好なビード形状が得られない場合があった。
一方、本変形例によれば、レーザ光LBでワーク200の表面に図5に示すリサージュパターンを描画してレーザ溶接を行う。それと同時に、第1板材210に照射されるレーザ光LBの出力P1が、第1板材210よりも熱容量の小さい第2板材220に照射されるレーザ光LBの出力P2よりも高くなるようにしている。
このようにすることで、溶接線に関して熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位である、第1板材210と第2板材220の突き合わせ部分に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を確実に投入させることができると同時に、溶接ビード形状のコントロールも可能となる。このことにより、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。また、溶け落ち、溶け込み不足等の溶接不良の発生を抑制できる。
なお、レーザ光LBの出力Pを変化させるにあたって、図7に破線で示すように、レーザ光LBの出力Pの立ち上がり部分及び立下り部分をそれぞれ制御するようにしてもよい。
例えば、レーザ光LBの描画位置が原点OからDに移動する場合に、レーザ光LBが原点Oを通過した時点から期間t1を経過するまでに、レーザ光LBの出力PをP1からP2に低下させてもよい。この場合の出力Pの制御曲線S1は、直線状でも曲線状でもよい。また、レーザ光LBの描画位置が原点OからAに移動する場合に、レーザ光LBが原点Oを通過した時点から期間t2を経過するまでに、レーザ光LBの出力PをP2からP1に上昇させてもよい。この場合の出力Pの制御曲線S2は、直線状でも曲線状でもよい。
レーザ光LBの出力Pを制御曲線S1、S2に示すように制御することで、出力Pを目標値に安定して到達させることが容易となる。
<変形例2>
図8は、本変形例に係るレーザ光の走査パターンを、図9は、レーザ光の描画位置と出力との関係をそれぞれ示す。なお、説明の便宜上、図8,9及び以降に示す各図面において、実施形態1と同様の箇所については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本変形例は、リサージュパターンの描画方向が実施形態1に示す構成と異なる。図8に示すリサージュパターンは、1周期の間に、原点Oから図7に示す矢印AR3及び矢印AR4の方向にレーザ光LBを走査することで得られる。具体的には、1周期の間に、原点Oから描画位置C→B→A→O→F→E→D→Oを通るようにレーザ光LBを走査する。
なお、本変形例においても、図9に示すように、第1板材210に照射されるレーザ光LBの出力P1が、第2板材220に照射されるレーザ光LBの出力P2よりも高くなるようにレーザ光LBの出力Pを制御している。つまり、図8に示す経路O→C→B→A→Oを通る描画パターンLS1におけるレーザ光LBの出力P1が、経路O→F→E→D→Oを通る描画パターンLS2におけるレーザ光LBの出力P2よりも高くなるようにレーザ光LBの出力Pを制御している。
本変形例においても、変形例1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、溶接線に関して熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を確実に投入させることができ、両側のレーザ光LBの出力も変えることでワークの裏側の溶け込み深さをも所定のレベルまで得られるようになり、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。また、溶け落ち、溶け込み不足等の溶接不良の発生を抑制できる。
(実施形態2)
図10は、本実施形態に係るレーザ光の走査パターンを示し、図11は、レーザ光の描画位置と出力との関係を示す。なお、図示しないが、本実施形態におけるワーク200の溶接部位は、溶接線を挟んだ両側で熱容量が同じになるように設定されている。
本実施形態では、リサージュパターンの描画中に、リサージュパターンの原点Oの近傍では、それ以外の部分よりもレーザ光LBの出力Pが低くなるようにしている点で、実施形態1に示す構成と異なる。
具体的には、図10,11に示すように、原点Oと各描画位置A’,C’,D’,F’との間のそれぞれで、レーザ光LBの出力PがP3となるようにし、それ以外のリサージュパターンの描画位置では、レーザ光LBの出力PがP1(P1>P3)となるようにしている。このようなレーザ光LBの出力Pの制御は、コントローラ50によって行われる。
前述したように、レーザ光LBによりワーク200の表面にリサージュパターンを描く場合、1周期の間に、例えば、描画位置Aでは、レーザ光LBが1回通過するのに対し、原点Oでは、レーザ光LBが2回通過する。また、通常、マニピュレータ60によってレーザヘッド30をX方向に進行させる速度、つまり、レーザ光LBのX方向への進行速度は、リサージュパターンを描く場合のレーザ光LBの描画速度Vに比べて非常に低い。
このため、リサージュパターンの描画中の原点Oへの入熱量は、他の描画位置、例えば、描画位置A,B,C,D,E,Fへの入熱量に比べて大きくなってしまう。このように、ワーク200の表面への入熱量が場所的に不均一になることで、溶接ビートの形状が悪化することは既に述べたとおりである。
そこで、本実施形態では、リサージュパターンの原点Oの近傍で、レーザ光LBの出力Pがそれ以外の部分よりも低くなるようにすることで、ワーク200の表面への入熱量が場所的に不均一になるのを抑制している。このことにより、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。また、溶け落ち等の溶接不良の発生を抑制できる。
なお、原点Oから各描画位置A’,C’,D’,F’までの距離は、ワーク200の溶接部位の形状やワーク200の材質等に応じて適宜変更されうる。例えば、リサージュパターンの1周期を360度として見た場合に、当該距離を、原点Oを基準として見た角度に置き換えると、当該角度は0度より大きく3度~15度以下であることが好ましい。
(実施形態3)
図12は、本実施形態に係るレーザ光とワークに形成された溶融池との位置関係を示す。図13は、レーザ光の走査パターンを示し、図14は、レーザ光の描画位置と出力との関係を示す。
図12に示すように、レーザ光LBがワーク200に照射されると、ワーク200を構成する金属が急激に加熱、溶融され、レーザ光LBの照射部位及びその近傍に溶融池201が形成される。また、レーザ光LBの照射部位では、金属が蒸発して、ワーク200の表面から内部に向けてキーホール202が形成される。キーホール202の内部にレーザ光LBが到達することで、ワーク200の内部まで金属が溶融され、ワーク200の溶け込み深さが確保される。なお、図12に示すレーザ光LBの照射位置は、図5に示すリサージュパターンの原点Oに相当する。
また、溶接の進行方向、この場合は、Y方向に沿って、レーザ光LBの照射位置よりも前方に位置する第3部位203では、ワーク200が十分に加熱されておらず、溶融池201は形成されていない。一方、レーザ光LBの照射位置よりも後方に位置する第4部位204は、既にレーザ光LBによって十分に加熱されている。よって、第4部位204は、溶融池201の内部に位置しているか、あるいは溶融池201が固化した部分に位置している。つまり、第4部位204には溶融池201が含まれる。
このように、溶接線に沿って、レーザ光LBの照射位置に相当するリサージュパターンの原点Oの前方では、ワーク200を溶融するために大きな入熱量が必要とされる。一方、リサージュパターンの原点Oの後方では、既に形成された溶融池201が維持される程度の入熱量で十分である。
リサージュパターンの原点Oの後方にあわせて、入熱量、この場合は、レーザ光LBの出力Pを調整する場合を考える。図6に示すように、リサージュパターンが対称形状であると、原点Oの前方では、ワーク200への入熱量が不足し、溶接ビードの形状、特に、ビードの際の形状が不ぞろいになってしまうおそれがあった。一方、リサージュパターンの原点Oの前方にあわせて、レーザ光LBの出力Pを調整すると、原点Oの後方で溶融池201への入熱が過多となり、溶融池201が不安定となるおそれがあった。この場合、良好な形状の溶接ビードを得ることが難しかった。また、このような課題は、溶接線を挟んだ両側で、ワーク200の熱容量が同等となっている場合及び非対称になっている場合の両方で生じうる。
そこで、本実施形態では、前述の第3部位203と第4部位204とで、照射されるレーザ光LBの出力Pを変化させるようにしている。具体的には、本実施形態に示す構成は、以下に示す点で実施形態1に示す構成と異なる。
つまり、リサージュパターンの描画中に、ワーク200に形成される溶融池201よりもY方向に沿って前方にレーザ光LBが照射される第3部位203では、溶融池201を含んで第3部位203よりも後方にレーザ光LBが照射される第4部位204よりも入熱量が大きくなるようにしている。
具体的には、図13,14に示すように、リサージュパターンのうち、Y方向に沿って、原点Oよりも前方に描画される描画パターンLS1の描画部分、または原点Oより前方に描画される描画パターンLS2の描画部分のレーザ光LBの出力が、原点Oよりも後方に描画される描画パターンLS1の描画部分、または原点Oより後方に描画される描画パターンLS2の描画部分より高くなるようにレーザ光LBを制御している。
このことにより、未だ加熱、溶融されていない第3部位203に溶融池201が形成されるのを促進できる。また、溶融池201が過度に振動するのを抑制できる。このことにより、溶接ビードが波立った形状となるのを抑制できる。また、ワーク200の溶け込み深さが所望の値よりも深くなるのを抑制して、溶け落ち等の溶接不良が発生するのを低減し、溶接品質の向上が図れる。さらに、必要以上に第4部位204への熱量を投入しないようにするために、レーザエネルギーを節約することができる。
本実施形態では、描画パターンLS1と描画パターンLS2を描画中に、レーザ光LBの出力Pの制御は、コントローラ50によって行われる。
このようにすることで、未だ加熱、溶融されていない第3部位203に溶融池201を確実に形成さきる。また、溶融池201が過度に振動するのを抑制できる。このことにより、溶接ビードが波立った形状となるのを抑制できる。また、ワーク200の溶け込み深さが所望の値よりも深くなるのを抑制して、溶け落ち等の溶接不良が発生するのを低減し、また、溶接品質の向上が図れる。さらに、必要以上に第4部位204への熱量を投入しないようにするために、レーザエネルギーを節約することができる。
(実施形態4)
図15は、本実施形態に係るレーザ光の描画位置に対するレーザ光の描画速度の関係を示す。図16Aは、レーザ光の描画位置に対するレーザ光の描画速度の別の関係を示す。図16Bは、レーザ光の描画位置に対するレーザ光の描画速度のさらなる別の関係を示す。なお、本実施形態におけるレーザ光LBの走査パターンは、図5に示すのと同様である。
実施形態1~3及び変形例1において、図15に示すように、リサージュパターンの描画中に、レーザ光LBの描画速度Vが一定となるようにしてもよい。言い換えると、リサージュパターンの全長に亘って、レーザ光LBの描画速度Vが一定となるようにしてもよい。このようにすることで、溶融池201(図12参照)への入熱量の制御が容易となる。
また、変形例1では、リサージュパターンにおけるレーザ光LBの描画位置に応じて、レーザ光LBの出力Pを制御することで、溶接線に関して熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を投入させていた。
しかし、レーザ光LBの描画位置に応じて、レーザ光LBの描画速度Vを変化させることによっても、ワーク200への入熱量を変化させることができる。例えば、レーザ光LBの描画速度Vを低くすることで、単位描画長さ当たりの入熱量は大きくなる。つまり、レーザ光LBの出力Pを高くするのと同様の効果が得られる。
したがって、図7に示すように、リサージュパターンにおけるレーザ光LBの描画位置に応じて、レーザ光LBの出力Pを制御する代わりに、図16に示すように、レーザ光LBの描画速度Vを制御してもよい。このようなレーザ光LBの描画速度Vの制御は、コントローラ50によって行われる。
つまり、図3A,3Bに示すワーク200に対し、第1板材(第1部位)210に照射される描画パターンLS1の描画長さが、第1板材210よりも熱容量が小さい第2板材(第2部位)220に照射される描画パターンLS1の描画長さよりも長くなるようにする。それと同時に、描画パターンLS1を描画中のレーザ光LBの描画速度V2が、描画パターンLS2を描画中のレーザ光LBの描画速度V1よりも低くなるようにする(V1>V2)。
このようにすることで、変形例1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、溶接線に関して熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を確実に投入させることができ、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。また、溶け落ち等の溶接不良の発生を抑制できる。
また、図14に示すように、溶融池201の前方と溶融池201とでレーザ光LBの出力Pを変化させる代わりに、図16Bに示すように、レーザ光LBの描画速度Vを制御してもよい。このようなレーザ光LBの描画速度Vの制御は、コントローラ50によって行われる。
このようにすることで、実施形態3に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、第3部位203に溶融池201が形成されるのを促進できるとともに、溶接ビードが波立った形状となるのを抑制できる。また、溶け落ち等の溶接不良が発生するのを低減し、また、溶接品質の向上が図れる。さらに、必要以上に第4部位204への熱量を投入しないようにするために、レーザエネルギーを節約することができる。
なお、図示しないが、図11に示すように、リサージュパターンの原点Oの近傍でレーザ光LBの出力Pを変化させる代わりに、レーザ光LBの描画速度Vを制御してもよい。
このようなレーザ光LBの描画速度Vの制御は、コントローラ50によって行われる。
例えば、原点Oと図11に示す各描画位置A’,C’,D’,F’との間のそれぞれで、レーザ光LBの描画速度VがV1となるようにし、それ以外のリサージュパターンの描画位置では、レーザ光LBの描画速度VがV2(V1>V2)となるようにしてもよい。
本実施形態によれば、実施形態1~3及び変形例1,2に示す構成が奏するのと同様に、溶接線に関して熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を投入させ、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。
また、未だ加熱、溶融されていない第3部位203に溶融池201が形成されるのを促進できる。また、溶融池201が過度に振動するのを抑制できる。このことにより、溶接ビードが波立った形状となるのを抑制できる。また、ワーク200の溶け込み深さが所望の値よりも深くなるのを抑制して、溶け落ち等の溶接不良が発生するのを低減し、また、溶接品質の向上が図れる。
なお、レーザ光LBの描画速度Vを変化させるにあたって、図16Aまたは図16Bに破線で示すように、描画速度Vの立ち上がり部分及び立下り部分をそれぞれ制御するようにしてもよい。
図16Aまたは図16Bに示す例で言えば、レーザ光LBの描画位置が原点OからDに移動する場合に、レーザ光LBが原点Oを通過した時点から期間t3を経過するまでに、レーザ光LBの描画速度VをV2からV1に上昇させてもよい。この場合の描画速度Vの制御曲線S3は、直線状でも曲線状でもよい。また、レーザ光LBの描画位置が原点OからAに移動する場合に、レーザ光LBが原点Oを通過した時点から期間t4を経過するまでに、レーザ光LBの描画速度VをV2からV1に低下させてもよい。この場合の描画速度Vの制御曲線S4は、直線状でも曲線状でもよい。
レーザ光LBの描画速度Vを制御曲線S3、S4に示すように制御することで、描画速度Vを目標値に安定して到達させることが容易となる。
<変形例3>
図17Aは、本変形例に係るレーザ光の第1の走査パターンを、図17Bは、第2の走査パターンをそれぞれ示す。図18Aは、本変形例に係るレーザ光の第3の走査パターンを、図18Bは、第4の走査パターンを、図18Cは、第5の走査パターンをそれぞれ示す。図19は、リサージュパターンを描画するときの各パラメータの組み合わせの一例を示す。
実際のレーザ溶接では、ワーク200の材質、継手形状、求められるビード形状幅などに応じ、式(1)、(2)に示す前述のパラメータa,b,n,mは、適宜変更されうる。したがって、レーザ光LBの走査パターンは、図5に示したパターンに特に限定されない。
例えば、図17A,17Bに示すように、描画パターンLS1、LS2のそれぞれにおいて、パラメータaを小さくして、リサージュパターンのX方向の振幅が小さくなるようにしてもよい。また、図18Aに示すように、周波数n=1、周波数m=2とすることで、図5に示すリサージュパターンを90度回転させた走査パターンを生成してもよい。また、図18B,18Cに示すように、描画パターンLS1、LS2のそれぞれにおいて、パラメータbを小さくして、図18Aに示すリサージュパターンのY方向の振幅が小さくなるようにしてもよい。
また、式(1)、(2)に示すパラメータa,bの値は、図17A,17B及び図18A~18Cに示す例に特に限定されず、例えば、図19に示す範囲で適当な値を取りうる。なお、図19において、図5及び図17A,17Bに示すリサージュパターンをパターン群1とし、図18A~18Cに示すリサージュパターンをパターン群2としている。
また、第1ミラー41aの周波数n及び第2ミラー42aの周波数mの比、言い換えると、レーザ光LBのX方向の振動周波数である第1周波数とY方向の振動周波数である第2周波数の比を2:1または1:2とすることで、8の字形状のリサージュパターンを得ることができる。また、この周波数の比率さえ守れば、ワーク200の形状または要求されるビード形状に応じ第1ミラー41a及び第2ミラー42aの駆動周波数をそれぞれ変更してもよい。
<変形例4>
図20A~20Cは、本変形例に係るレーザ光の第1~第3の走査パターンをそれぞれ示す。なお、図20A~20Cにおいて、矢印はレーザ光LBの描画方向を示す。
本開示のレーザ光LBの走査パターンは、実施形態1や変形例3に示したリサージュパターンに限られない。例えば、図20Aに示すように、それぞれ原点Oで接してX軸を挟んで配置された、互いに非対称な形状を有する2つの円形パターンの合成パターンであってもよい。また、図20Bに示すように、それぞれ原点Oで接してX軸を挟んで配置された、互いに非対称な形状を有する2つの楕円パターンの合成パターンであってもよい。図20Bに示す例では、2つの楕円パターンのそれぞれにおいて、長軸はY方向であり、短軸はX方向であるが、長軸をX方向、短軸をY方向にしてもよい。図20Cに示すように、それぞれ原点Oで接してX軸を挟んで配置された、互いに非対称な形状を有する2つのひし形パターンの合成パターンであってもよい。なお、図示しないが、図20A~図20Cに示す各走査パターンが、Y軸に関して非対称に配置された2つの環状のパターンの合成パターンであってもよい。また、この場合、2つの環状のパターンのそれぞれが、図20A~図20Cに示す例から90度回転したパターンであってもよい。さらに、2つの環状のパターンのそれぞれの大きさも適宜変更されうる。
つまり、本願明細書におけるレーザ光LBの走査パターンは、2つの環状のパターンが一点で接して連続したパターンであればよく、図20A~図20Cに示す例やその変形例に限定されない。なお、これらのパターンは、第1ミラー41a及び第2ミラー42aをそれぞれ所定の駆動パターンに則って駆動させることで得られる。
また、本変形例及び実施形態1~4、さらに変形例1~3に示す構成を総合してみれば、本開示に係るレーザ溶接方法及びレーザ溶接装置100は、以下に示す構成を備えていると言える。
つまり、本開示に係るレーザ溶接方法は、所定のパターンが、X方向またはY方向に関して非対称な形状となるように、レーザ光LBを走査する。また、所定のパターンは、X方向またはY方向に関して、描画長さが異なっている。さらに言うと、原点Oを通りX方向またはY方向に延びる中心線を挟んで、一方側と他方側とで、所定のパターンの描画長さが異なるように、レーザ光LBを走査する。このことにより、所定のパターンにおけるレーザ光LBの描画位置に応じて、ワーク200への入熱量を制御する。
また、本開示に係るレーザ溶接装置100において、コントローラ50は、所定のパターンが、X方向またはY方向に関して非対称な形状となるように、レーザ光スキャナ40を駆動制御する。また、コントローラ50は、X方向またはY方向に関して、所定のパターンの描画長さを異ならせるように、レーザ光スキャナ40を駆動制御する。さらに言うと、コントローラ50は、原点Oを通りX方向またはY方向に延びる中心線を挟んで、一方側と他方側とで、所定のパターンの描画長さを異ならせるように、レーザ光スキャナ40を駆動制御する。このことにより、所定のパターンにおけるレーザ光LBの描画位置に応じて、ワーク200への入熱量を制御する。
レーザ溶接方法及びレーザ溶接装置100をこのように構成することで、溶接線に関して熱容量が非対称となっているワーク200の溶接部位に対して、溶接線を挟んだ両側で異なる熱量を投入させ、溶接ビードの形状を良好なものとすることができる。
また、未だ加熱、溶融されていない第3部位203に溶融池201が形成されるのを促進できる。また、溶融池201が過度に振動するのを抑制できる。このことにより、溶接ビードが波立った形状となるのを抑制できる。また、ワーク200の溶け込み深さが所望の値よりも深くなるのを抑制して、溶け落ち等の溶接不良が発生するのを低減し、また、溶接品質の向上が図れる。
なお、レーザ光LBの走査パターンである「所定のパターン」とは、互いに非対称な形状である2つの環状のパターンが一点、この場合は原点Oで接して連続したパターンである。当該「所定のパターン」に本願明細書に開示したリサージュパターンが含まれることは言うまでもない。
(その他の実施形態)
実施形態1~4及び変形例1~4に示した各構成要素を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることもできる。
例えば、変形例3,4に示す各走査パターンを描画するにあたって、変形例1や実施形態2,3に示すように、レーザ光LBの出力Pを制御することもできる。また、実施形態4に示すように、レーザ光LBの描画速度Vを制御することもできる。
また、実施形態2~4及び変形例1~4において、例えば、1周期の間に、原点Oから描画位置C→B→A→O→F→E→D→Oを通るようにレーザ光LBを走査することで、リサージュパターンが描画されてもよい。また、1周期の間に、原点Oから描画位置D→E→F→O→A→B→C→Oを通るようにレーザ光LBを走査することで、リサージュパターンが描画されてもよい。1周期の間に、原点Oから描画位置F→E→D→O→C→B→A→Oを通るようにレーザ光LBを走査することで、リサージュパターンが描画されてもよい。また、描画位置の順番が変更されるのに応じて、レーザ光LBの描画速度Vや出力Pを変化させるタイミング等が変更されることは言うまでもない。
なお、図1に示す例では、集光レンズ34は、レーザ光スキャナ40の前段に配置されていたが、レーザ光スキャナ40の後段、つまり、レーザ光スキャナ40とレーザヘッド30の光出射口との間に配置されていてもよい。
また、レーザ光LBをX方向に沿って第1周波数を有する余弦波状に振動させるとともに、Y方向に沿って第2周波数を有する余弦波状に振動させることで、レーザ光LBの走査パターンがリサージュパターンとなるようにしてもよい。この場合、第1ミラー41a及び第2ミラー42aの振幅a,bや第1ミラー41a及び第2ミラー42aの周波数n,m、さらに位相φが適宜変更されることは言うまでもない。
本開示のレーザ溶接方法及びレーザ溶接方法は、溶接ビードの形状を良好にすることができ、有用である。
10 レーザ発振器
20 光ファイバ
30 レーザヘッド
31 筐体
32 コリメーションレンズ
33 反射ミラー
34 集光レンズ
40 レーザ光スキャナ
41 第1ガルバノミラー
41a 第1ミラー
41b 第1回転軸
41c 第1駆動部
42 第2ガルバノミラー
42a 第2ミラー
42b 第2回転軸
42c 第2駆動部
50 コントローラ
60 マニピュレータ
200 ワーク
201 溶融池
202 キーホール
203 第3部位
204 第4部位
210 第1板材(第1部位)
220 第2板材(第2部位)
230 第3板材
240 第4板材

Claims (20)

  1. レーザ光を第1方向に進行させながら、前記レーザ光を二次元的に走査してワークの表面に照射することで、前記ワークを溶接する溶接ステップを備え、
    前記溶接ステップでは、
    前記ワークの表面で所定のパターンを描くように前記レーザ光を走査し、
    さらに、前記所定のパターンが、前記第1方向または前記第1方向と交差する第2方向に関して非対称な形状となるように、前記レーザ光を走査し、
    前記所定のパターンは、互いに非対称な形状の2つの環状のパターンが一点で接して連続したパターンであることを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 請求項1に記載のレーザ溶接方法において、
    前記所定のパターンは、8の字状または∞字状のリサージュパターンであり、
    前記溶接ステップでは、前記レーザ光を前記第1方向に沿って第1周波数を有する正弦波状に振動させるとともに、前記第1方向と交差する第2方向に沿って第2周波数を有する正弦波状に振動させることで、前記ワークの表面で前記リサージュパターンを描くように前記レーザ光を走査することを特徴とするレーザ溶接方法。
  3. 請求項2に記載のレーザ溶接方法において、
    前記第1周波数と前記第2周波数との比は、2:1か、または1:2であることを特徴とするレーザ溶接方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレーザ溶接方法において、
    前記所定のパターンは、前記第1方向または前記第2方向に関して、描画長さが異なっていることを特徴とするレーザ溶接方法。
  5. 請求項4に記載のレーザ溶接方法において、
    前記ワークにおける溶接部位は、溶接線を挟んで一方に第1部位を、他方に前記第1部位よりも熱容量の小さい第2部位を有しており、
    前記第1部位に照射される前記レーザ光の描画パターンの描画長さが、前記第2部位に照射される前記レーザ光の描画パターンの描画長さよりも長くなるようにすることを特徴とするレーザ溶接方法。
  6. 請求項4または5に記載のレーザ溶接方法において、
    前記所定のパターンの描画中に、前記第1方向に沿って、前記ワークに形成される溶融池よりも前方に前記レーザ光が照射される部分を第3部位とし、前記溶融池を含んで前記第3部位よりも後方に前記レーザ光が照射される部分を第4部位とするとき、
    前記第3部位に照射される前記レーザ光の出力が、前記第4部位に照射される前記レーザ光の出力よりも高くなるようにすることを特徴とするレーザ溶接方法。
  7. 請求項5に記載のレーザ溶接方法において、
    前記所定のパターンの描画中に、前記第1部位では、前記第2部位よりも前記レーザ光の出力が高くなるようにするようにすることを特徴とするレーザ溶接方法。
  8. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のレーザ溶接方法において、
    前記所定のパターンの描画中に、前記所定のパターンの原点の近傍では、それ以外の部分よりも前記レーザ光の出力が低くなるようにすることを特徴とするレーザ溶接方法。
  9. 請求項5に記載のレーザ溶接方法において、
    前記所定のパターンの描画中に、前記第1部位では、前記第2部位よりも前記レーザ光の描画速度が低くなるようにするようにすることを特徴とするレーザ溶接方法。
  10. 請求項6に記載のレーザ溶接方法において、
    前記第3部位では、前記第4部位よりも前記レーザ光の描画速度が低くなるようにすることを特徴とするレーザ溶接方法。
  11. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のレーザ溶接方法において、
    前記所定のパターンの描画中に、前記所定のパターンの原点の近傍では、それ以外の部分よりも前記レーザ光の描画速度が高くなるようにすることを特徴とするレーザ溶接方法。
  12. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のレーザ溶接方法において、
    前記所定のパターンの全長に亘って、前記レーザ光の描画速度が一定となるようにすることを特徴とするレーザ溶接方法。
  13. レーザ光を発生させるレーザ発振器と、
    前記レーザ光を受け取ってワークに向けて照射するレーザヘッドと、
    前記レーザヘッドの動作を制御するコントローラと、を少なくとも備え、
    前記レーザヘッドは、前記レーザ光を第1方向と前記第1方向と交差する第2方向のそれぞれに走査するレーザ光スキャナを有し、
    前記コントローラは、前記レーザ光が前記ワークの表面に所定のパターンを描くように、前記レーザ光スキャナを駆動制御し、
    さらに、前記コントローラは、前記所定のパターンが、前記第1方向または前記第1方向と交差する第2方向に関して非対称な形状となるように、前記レーザ光スキャナを駆動制御し、
    前記所定のパターンは、互いに非対称な形状の2つの環状のパターンが一点で接して連続したパターンであることを特徴とするレーザ溶接装置。
  14. 請求項13に記載のレーザ溶接装置において、
    前記所定のパターンは、8の字状または∞字状のリサージュパターンであり、
    前記コントローラは、前記レーザ光を前記第1方向に沿って第1周波数を有する正弦波状に振動させるとともに、前記第1方向と交差する第2方向に沿って第2周波数を有する正弦波状に振動させることで、前記ワークの表面で前記リサージュパターンを描くように前記レーザ光スキャナを駆動制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  15. 請求項14に記載のレーザ溶接装置において、
    前記第1周波数と前記第2周波数との比は、2:1か、または1:2であることを特徴とするレーザ溶接装置。
  16. 請求項13ないし15のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記コントローラは、前記第1方向または前記第2方向に関して、前記所定のパターンの描画長さを異ならせるように、前記レーザ光スキャナを駆動制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  17. 請求項13ないし16のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記レーザヘッドが取り付けられたマニピュレータをさらに備え、
    前記コントローラは、前記マニピュレータの動作を制御し、
    前記マニピュレータは、前記ワークの表面に対して、所定の方向に前記レーザヘッドを移動させることを特徴とするレーザ溶接装置。
  18. 請求項13ないし17のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記レーザ発振器と前記レーザヘッドとは光ファイバで接続されており、
    前記レーザ光は、前記光ファイバを通って、前記レーザ発振器から前記レーザヘッドに伝送されることを特徴とするレーザ溶接装置。
  19. 請求項13ないし18のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記レーザ光スキャナは、前記レーザ光を前記第1方向に走査する第1ガルバノミラーと、前記レーザ光を前記第1方向と交差する第2方向に走査する第2ガルバノミラーと、で構成されていることを特徴とするレーザ溶接装置。
  20. 請求項13ないし19のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記レーザヘッドは、焦点位置調整機構をさらに有し、
    前記焦点位置調整機構は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに交差する方向に沿って、前記レーザ光の焦点位置を変化させるように構成されていることを特徴とするレーザ溶接装置。
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