JP7211356B2 - 計測制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、計測制御装置に関するものである。
空気流量を計測する構成として、例えば特許文献1には、内燃機関の制御を行うECUがエアフローセンサの出力値に基づいて空気流量を算出するという構成が開示されている。このECUには、エアフローセンサの検出信号に加えて、機関回転数を検出するクランク角センサの検出信号が入力される。ECUは、クランク角センサにより検出された機関回転数を用いて空気流量の脈動周波数を算出し、この脈動周波数を用いて、空気流量の脈動により生じる誤差である脈動誤差が小さくなるように空気流量の補正を行う。
しかしながら、上記特許文献1では、ECUが、内燃機関の制御処理に加えて空気流量の補正処理を行うため、ECUの処理負担が過剰に増加することが想定される。そこで、空気流量の補正処理をECUから独立した計測制御装置に実行させ、この計測制御装置が空気流量の補正結果をECUに対して出力する、という構成が考えられる。この構成では、ECUが空気流量の補正結果を取得でき、しかも、ECUの処理負担を低減することができる。
ところが、この構成でも、計測制御装置が脈動周波数等の脈動状態を算出する場合に機関回転数を用いるのであれば、ECUは機関回転数を示す回転数情報を計測制御装置に対して出力する必要がある。このように、計測制御装置が空気流量の補正にECUからの回転数情報を用いる場合、回転数情報にノイズが含まれていることなどにより、空気流量の補正精度が低下することが懸念される。
そこで、空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を、外部のECUから取得するのではなくエアフローセンサ内のセンシング部の出力値を用いて算出し、この脈動状態を用いて空気流量の補正を行うことが考えられる。
そして、例えば、出力値の変化態様が増加から減少に切り替わる場合の出力値を上極値として検出し、出力値が上極値となる時間間隔に基づいて脈動周波数を算出する。あるいは、出力値の変化態様が減少から増加に切り替わる場合の出力値を下極値として検出し、出力値が下極値となる時間間隔に基づいて脈動周波数を算出する。そして、この脈動周波数を含む脈動状態に基づいて空気流量の補正を行う。
しかし、高調波の影響や空気流量の急変などにより出力値が急激に変化した場合、上極値あるいは下極値を誤検出してしまうことがある。この場合、空気流量の補正精度が悪化してしまうといった点がある。
本発明は上記点に鑑みたもので、空気流量の補正精度を向上することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、計測制御装置であって、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、センシング部の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(56、59)と、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が増加から減少に切り替わる場合の出力値を上極値(Ea)と称すると、出力値が上極値になったか否かを判定する上極値判定部(56)と、出力値が上極値となる時間間隔に基づいて空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部(59)と、を有し、脈動周波数を含む脈動状態を算出する。また、上極値判定部は、出力値の時間変化を表す波形に上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の下閾値(Ee)以下に下がらなかった場合には、今回出現の上極値を否定判定してキャンセルし、さらに、出力値に基づいて特定される空気流量、脈動周波数および出力値に基づいて特定される脈動振幅の少なくとも1つに基づいて下閾値を更新する。
このような構成によれば、出力値に基づいて特定される空気流量、脈動周波数および出力値に基づいて特定される脈動振幅の少なくとも1つに基づいて下閾値が更新されるので、上極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
また、上記目的を達成するため、請求項3に記載の発明は、計測制御装置であって、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、センシング部の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(56、59)と、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が増加から減少に切り替わる場合の出力値を上極値(Ea)と称すると、出力値が上極値になったか否かを判定する上極値判定部(56)と、出力値が上極値となる時間間隔に基づいて空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部(59)と、を有し、脈動周波数を含む脈動状態を算出する。また、上極値判定部は、出力値の時間変化を表す波形に上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の下閾値(Ee)以下に下がらなかった場合には、今回出現の上極値を否定判定してキャンセルし、さらに、脈動状態に応じて変化する下閾値の参照値に基づいて下閾値を更新する。
このような構成によれば、脈動状態に応じて変化する下閾値の参照値に基づいて下閾値が更新されるので、上極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
また、上記目的を達成するため、請求項5に記載の発明は、計測制御装置であって、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、センシング部の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(56、59)と、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が増加から減少に切り替わる場合の出力値を上極値(Ea)と称すると、出力値が上極値になったか否かを判定する上極値判定部(56)と、出力値が上極値となる時間間隔に基づいて空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部(59)と、を有し、脈動周波数を含む脈動状態を算出する。また、上極値判定部は、出力値の時間変化を表す波形に上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の下閾値(Ee)以下に下がらなかった場合には、今回出現の上極値を否定判定してキャンセルし、さらに、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間で上極値の判定に用いた下閾値を用いて下閾値を更新する。
このような構成によれば、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間で上極値の判定に用いた下閾値を用いて下閾値が更新されるので、上極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
また、上記目的を達成するため、請求項14に記載の発明は、計測制御装置であって、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、センシング部の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(59、81)と、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が減少から増加に切り替わる場合の出力値を下極値(Eb)と称すると、出力値が下極値になったか否かを判定する下極値判定部(81)を有している。また、下極値判定部は、出力値の時間変化を表す波形に下極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の上閾値(Ef)以上に上がらなかった場合には、今回出現の下極値を否定判定してキャンセルし、さらに、出力値に基づいて特定される空気流量、出力値に基づいて特定される脈動周波数および出力値に基づいて特定される脈動振幅の少なくとも1つに基づいて上閾値を更新する。
このような構成によれば、出力値に基づいて特定される空気流量、出力値に基づいて特定される脈動周波数および出力値に基づいて特定される脈動振幅の少なくとも1つに基づいて上閾値が更新されるので、下極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
また、上記目的を達成するため、請求項15に記載の発明は、計測制御装置であって、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、センシング部の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(59、81)と、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が減少から増加に切り替わる場合の出力値を下極値(Eb)と称すると、出力値が下極値になったか否かを判定する下極値判定部(81)と、出力値が下極値となる時間間隔に基づいて空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部(59)と、を有し、脈動周波数を含む脈動状態を算出する。また、下極値判定部は、出力値の時間変化を表す波形に下極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の上閾値(Ef)以上に上がらなかった場合には、今回出現の下極値を否定判定してキャンセルし、さらに、脈動状態に応じて変化する上閾値の参照値に基づいて上閾値を更新する。
このような構成によれば、脈動状態に応じて変化する上閾値の参照値に基づいて上閾値が更新されるので、下極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
また、上記目的を達成するため、請求項16に記載の発明は、計測制御装置であって、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、センシング部の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(59、81)と、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が減少から増加に切り替わる場合の出力値を下極値(Eb)と称すると、出力値が下極値になったか否かを判定する下極値判定部(81)と、出力値が下極値となる時間間隔に基づいて空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部(59)と、を有し、脈動周波数を含む脈動状態を算出する。また、下極値判定部は、出力値の時間変化を表す波形に下極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の上閾値(Ef)以上に上がらなかった場合には、今回出現の下極値を否定判定してキャンセルし、さらに、所定期間前から下極値が今回出現したタイミングまでの期間で下極値の判定に用いた上閾値を用いて上閾値を更新する。
このような構成によれば、所定期間前から下極値が今回出現したタイミングまでの期間で下極値の判定に用いた上閾値を用いて上閾値が更新されるので、下極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施例の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第1実施形態)
図1、図2に示す計測制御装置としてのエアフロメータ10は、ガソリンエンジン等の内燃機関を有する燃焼システムに含まれている。この燃焼システムは車両に搭載されている。図3に示すように、エアフロメータ10は、燃焼システムにおいて、内燃機関に吸入空気を供給する吸気通路12に設けられており、吸気通路12を流れる吸入空気等の気体やガスといった流体の流量や温度、湿度、圧力等の物理量を計測する。この場合、エアフロメータ10が流量計測装置に相当する。
図1、図2に示す計測制御装置としてのエアフロメータ10は、ガソリンエンジン等の内燃機関を有する燃焼システムに含まれている。この燃焼システムは車両に搭載されている。図3に示すように、エアフロメータ10は、燃焼システムにおいて、内燃機関に吸入空気を供給する吸気通路12に設けられており、吸気通路12を流れる吸入空気等の気体やガスといった流体の流量や温度、湿度、圧力等の物理量を計測する。この場合、エアフロメータ10が流量計測装置に相当する。
エアフロメータ10は、吸気通路12を形成する吸気ダクト等の吸気管12aに取り付けられている。吸気管12aには、その外周部を貫通する貫通孔としてエアフロ挿入孔12bが設けられている。このエアフロ挿入孔12bには円環状の管フランジ12cが取り付けられており、この管フランジ12cは吸気管12aに含まれている。エアフロメータ10は、管フランジ12c及びエアフロ挿入孔12bに挿入されることで吸気通路12に入り込んだ状態になっており、この状態で吸気管12aや管フランジ12cに固定されている。
本実施形態では、エアフロメータ10について、幅方向X、高さ方向Y及び奥行き方向Zが互いに直交している。エアフロメータ10は高さ方向Yに延びており、吸気通路12は奥行き方向Zに延びている。エアフロメータ10は、吸気通路12に入り込んだ入り込み部分10aと、吸気通路12に入り込まずに管フランジ12cから外部にはみ出したはみ出し部分10bとを有しており、これら入り込み部分10aとはみ出し部分10bとは高さ方向Yに並んでいる。エアフロメータ10においては、一対の端面10c,10dのうち、入り込み部分10aに含まれた方をエアフロ先端面10cと称し、はみ出し部分10bに含まれた方をエアフロ基端面10dと称する。この場合、エアフロ先端面10cとエアフロ基端面10dとが高さ方向Yに並んでいる。なお、エアフロ先端面10c及びエアフロ基端面10dは高さ方向Yに直交している。また、管フランジ12cの先端面も高さ方向Yに直交している。
図1、図2に示すように、エアフロメータ10は、ハウジング21と、吸入空気の流量を検出するセンシング部22(図3、図6参照)とを有している。センシング部22はハウジング本体24の内部空間24aに設けられている。ハウジング21は、例えば樹脂材料等により形成されている。エアフロメータ10においては、ハウジング21が吸気管12aに取り付けられていることで、センシング部22が、吸気通路12を流れる吸入空気と接触可能な状態になる。ハウジング21は、ハウジング本体24、リング保持部25、フランジ部27及びコネクタ部28を有しており、リング保持部25に対してOリング26(図3参照)が取り付けられている。
ハウジング本体24は全体として筒状に形成され、ハウジング21においては、リング保持部25、フランジ部27及びコネクタ部28がハウジング本体24に一体的に設けられた状態になっている。リング保持部25は入り込み部分10aに含まれ、フランジ部27及びコネクタ部28ははみ出し部分10bに含まれている。
リング保持部25は、管フランジ12cの内部に設けられており、Oリング26を高さ方向Yに位置ずれしないように保持している。Oリング26は、管フランジ12cの内部において吸気通路12を密閉するシール部材であり、リング保持部25の外周面と管フランジ12cの内周面との両方に密着している。フランジ部27には、エアフロメータ10を吸気管12aに固定するネジ等の固定具を固定するネジ孔等の固定孔が形成されている。コネクタ部28は、センシング部22に電気的に接続されたコネクタターミナルを保護する保護部である。
図3に示すように、ハウジング本体24は、吸気通路12を流れる吸入空気の一部が流れ込むバイパス流路30を形成している。バイパス流路30は、エアフロメータ10の入り込み部分10aに配置されている。バイパス流路30は、通過流路31及び計測流路32を有しており、これら通過流路31及び計測流路32は、ハウジング本体24の内部空間24aにより形成されている。なお、吸気通路12を主通路と称し、バイパス流路30を副通路と称することもできる。また、図3においては、Oリング26の図示を省略している。
通過流路31は、奥行き方向Zにハウジング本体24を貫通している。通過流路31は、その上流端部である流入口33と、下流端部である流出口34とを有している。これら流入口33と流出口34とは奥行き方向Zに並べられており、この奥行き方向Zが並び方向に相当する。計測流路32は、通過流路31の中間部分から分岐した分岐流路であり、この計測流路32にセンシング部22が設けられている。計測流路32は、その上流端部である計測入口35と、下流端部である計測出口36とを有している。通過流路31から計測流路32が分岐した部分はこれら通過流路31と計測流路32との境界部になっており、この境界部に計測入口35が含まれていることになる。
センシング部22は、回路基板とこの回路基板に搭載された検出素子とを有しており、チップ式の流量センサである。検出素子は、発熱抵抗等のヒータ部と、このヒータ部により加熱された空気の温度を検出する温度検出部とを有しており、センシング部22は、検出素子での発熱に伴う温度の変化に応じた出力信号を出力する。なお、センシング部22を流量検出部と称することもできる。
エアフロメータ10は、センシング部22を含んで構成されたセンササブアッセンブリを有しており、このセンササブアッセンブリをセンサSA40と称する。センサSA40はハウジング本体24に収容されている。センサSA40は、センシング部22に加えて、センシング部22に電気的に接続された回路チップ41と、センシング部22や回路チップ41を保護するモールド部42とを有している。回路チップ41は各種処理を行うデジタル回路を有しており、直方体状のチップ部品である。センサSA40においては、センシング部22及び回路チップ41がリードフレームにより支持されており、回路チップ41がボンディングワイヤ等を介してセンシング部22やリードフレームに電気的に接続されている。
モールド部42は、モールド成型により成型された高分子樹脂等のモールド樹脂であり、リードフレームやボンディングワイヤに比べて高い絶縁性を有している。モールド部42は、回路チップ41やボンディングワイヤ等を封止した状態で回路チップ41やセンシング部22を保護している。センサSA40においては、モールド部42によりセンシング部22と回路チップ41とが1パッケージで実装されている。なお、センサSA40を検出ユニットやセンサ部と称することもできる。
センシング部22は、計測流路32での空気流量に応じた出力信号を回路チップに対して出力し、回路チップは、センシング部22の出力信号を用いて流量を算出する。回路チップの算出結果が、エアフロメータ10が計測した空気の流量ということになる。なお、高さ方向Yにおいて吸気通路12の中央位置にエアフロメータ10の流入口33及び流出口34が配置されている。高さ方向Yにおいて吸気通路12の中央位置を流れる吸入空気は、奥行き方向Zに沿って流れている。吸気通路12において吸入空気が流れる向きと、通過流路31において吸入空気が流れる向きとはほぼ一致している。なお、センシング部22は、熱式の流量センサに限定されず、超音波式の流量センサやカルマン渦式の流量センサ等であってもよい。
図4に示すように、ハウジング21の外周面を形成するハウジング本体24の外周面は、上流外面24b、下流外面24c及び一対の中間外面24dを有している。ハウジング本体24の外周面において、上流外面24bは吸気通路12の上流側を向いており、下流外面24cは吸気通路12の下流側を向いている。一対の中間外面24dは、幅方向Xにおいて互いに反対側を向いており、奥行き方向Zに延びた平坦面になっている。上流外面24bは、中間外面24dに対して傾斜した傾斜面になっている。この場合、上流外面24bは、幅方向Xにおいてハウジング本体24の幅寸法を吸気通路12での上流側に向けて徐々に小さくするように湾曲した傾斜面になっている。
中間外面24dは、奥行き方向Zにおいて上流外面24bと下流外面24cとの間に設けられている。この場合、上流外面24bと中間外面24dとは奥行き方向Zに並べられており、これら上流外面24bと中間外面24dとの境界部である面境界部24eは、高さ方向Yに延びている。上流外面24bと下流外面24cとは、奥行き方向Zにおいて互いに反対を向いた一対の端面である。
図3に示すように、流入口33は上流外面24bに設けられており、流出口34は下流外面24cに設けられている。この場合、流入口33と流出口34とは互いに反対向きに開放されている。図4に示すように、計測出口36は、面境界部24eを奥行き方向Zに跨ぐ位置に配置されていることで、上流外面24b及び中間外面24dの両方に設けられている。計測出口36においては、上流外面24bに配置された部分が流入口33と同じ側に向けて開放されており、中間外面24dに配置された部分が幅方向Xに開放されている。この場合、計測出口36は、幅方向Xに対して流入口33側に傾斜した方向を向いている。また、この場合、計測出口36は、流出口34側に向けては開放されていない。すなわち、計測出口36は、吸気通路12において下流側に向けては開放されていない状態になっている。
計測出口36は、面境界部24eに沿って延びた縦長の偏平形状になっている。計測出口36は、奥行き方向Zにおいて面境界部24eを基準にすると、中間外面24d寄りの位置に配置されている。計測出口36においては、中間外面24dに配置された部分の面積が、上流外面24bに配置された部分の面積より大きくなっている。この場合、奥行き方向Zにおいて、計測出口36の下流端部と面境界部24eとの離間距離が、計測出口36の上流端部と面境界部24eとの離間距離より大きくなっている。
計測流路32の内周面は、計測出口36を形成する形成面38a~38cを有している。ハウジング本体24の外周部には、計測出口36を形成する貫通孔が設けられており、形成面38a~38cはこの貫通孔の内周面に含まれている。形成面38a~38cのうち上流形成面38aは計測出口36の上流端部36aを形成しており、下流形成面38bは計測出口36の下流端部36bを形成している。接続形成面38cは、上流形成面38aと下流形成面38bとを接続しており、これら形成面38a,38bを挟んで一対設けられている。
上流形成面38aは、奥行き方向Zに直交しており、計測出口36の上流端部36aからハウジング本体24の内部に向けて幅方向Xに延びている。下流形成面38bは、奥行き方向Zに対して傾斜しており、計測出口36の下流端部36bからハウジング本体24の内部に向けて上流外面24b側に真っ直ぐに延びた傾斜面になっている。
吸気通路12においてハウジング本体24の外周側で生じる吸入空気の流れについて簡単に説明する。吸気通路12を下流側に向けて流れる空気のうち、ハウジング本体24の上流外面24bに到達した空気は、傾斜面である上流外面24bに沿って進むことで向きを徐々に変えつつ計測出口36に到達する。このように、上流外面24bにより空気の向きが滑らかに変わるため、計測出口36の近傍で空気の剥離が生じにくくなっている。このため、計測流路32を流れる空気が計測出口36から流出しやすくなり、計測流路32内の流速が安定しやすくなる。
また、計測流路32を流れて計測出口36から吸気通路12に流出する空気は、傾斜面である下流形成面38bに沿って流れることで、吸気通路12での下流側に向けて流れやすくなる。この場合、下流形成面38bに沿って計測出口36から流出した空気が、吸気通路12を流れる吸入空気に合流する際に渦流など気流の乱れが発生しにくくなっているため、計測流路32内の流速が安定しやすくなる。
図3に示すように、計測流路32は、計測入口35と計測出口36との間にて折り返された折り返し形状になっている。計測流路32は、通過流路31から分岐した分岐路32aと、分岐路32aから流れ込んできた空気をセンシング部22に向けて案内する案内路32bと、センシング部22が設けられた検出路32cと、計測出口36から空気を排出する排出路32dとを有する。計測流路32においては、上流側から分岐路32a、案内路32b、検出路32c、排出路32d、の順で並べられている。
検出路32cは、奥行き方向Zに延びていることで通過流路31と平行になっており、通過流路31からはみ出し部分10b側に離間した位置に設けられている。分岐路32a、案内路32b及び排出路32dは、検出路32cと通過流路31との間に設けられている。案内路32b及び排出路32dは、検出路32cから通過流路31に向けて高さ方向Yに延びていることで互いに平行になっている。分岐路32aは、計測入口35から奥行き方向Zに対して流出口34側に向けて延びており、真っ直ぐな流路になっている。排出路32dは、奥行き方向Zにおいて案内路32bよりも流入口33側に設けられており、計測出口36から検出路32cに向けて延びている。
図5に示すように、センサSA40はセンシング部22が検出路32cに入り込んだ位置に配置されている。センシング部22は、幅方向Xにおいて一対の中間外面24dの間に配置されており、奥行き方向Z及び高さ方向Yに延びている。センシング部22は、検出路32cを幅方向Xに仕切った状態になっている。
ハウジング21は、奥行き方向Zにおいてセンシング部22に向けて徐々に検出路32cを絞る検出絞り部37を有している。検出絞り部37は、検出路32cにおいて下流外面24c側の端部からセンシング部22に向けて検出路32cの断面積を徐々に小さくしている。また、検出絞り部37は、検出路32cにおいて上流外面24b側の端部からセンシング部22に向けて検出路32cの断面積を徐々に小さくしている。検出路32cにおいては、奥行き方向Zに直交する方向における断面の面積を断面積としている。検出路32cを空気がセンシング部22に向けて順方向に流れている場合、検出絞り部37は、検出路32cを徐々に絞ることで空気の流れる向きを整えることができる。
検出絞り部37は、検出路32cの内周面においてセンシング部22に対向する位置に設けられている。検出絞り部37は、ハウジング本体24の内周面からセンシング部22に向けて突出しており、奥行き方向Zでの検出絞り部37の奥行き寸法D1は、奥行き方向Zでのセンシング部22の奥行き寸法D2より大きくなっている。また、高さ方向Yにおいてセンシング部22が存在する領域においては、奥行き方向Zでのモールド部42の奥行き寸法D3は、検出絞り部37の奥行き寸法D1より大きくなっている。
検出絞り部37は、幅方向Xにおいて先細りした形状になっている。具体的には、ハウジング本体24の内壁より幅方向Xに突出する検出絞り部37の基端部が最も幅の広い部分になっており、その先端部が最も幅の狭い部分になっている。検出絞り部37の基端部の幅寸法を上記の奥行き寸法D1としている。検出絞り部37は、センシング部22に向けて膨らんだ湾曲面を有している。なお、検出絞り部37は、センシング部22に向けて膨らんだテーパ形状であってもよい。
検出路32cの内周面のうちハウジング先端側の面を底面と称し、ハウジング基端側の面を天井面と称すると、検出路32cの底面はハウジング本体24により形成されている一方で、天井面はセンサSA40により形成されている。検出絞り部37は、検出路32cの底面から天井面に向けて延びている。検出絞り部37の外周面は高さ方向Yにおいて真っ直ぐに延びている。
検出路32cにおいては、モールド部42と検出絞り部37との離間距離が、奥行き方向Zにおいてセンシング部22に近付くにつれて徐々に小さくなっていく。この構成では、案内路32bから検出路32cに流れ込んだ吸入空気がモールド部42と検出絞り部37との間を通る場合、センシング部22に近付くにつれて吸入空気の流速が大きくなりやすい。この場合、センシング部22には適度な流速で吸入空気が付与されるため、センシング部22の出力が安定しやすくなり、検出精度を高めることができる。
吸気通路12において、エンジンの運転状態などに起因して吸入空気の流れに吸気脈動等の脈動が生じた場合、この脈動に伴って、上流側から流れる順流に加えて、下流側から順流とは逆向きに流れる逆流が発生することがある。吸気通路12においては流入口33が上流側に向けて開放されており、流入口33には順流が流入しやすくなっている。また、流出口34が下流側に向けて開放されており、流出口34には逆流が流入しやすくなっている。さらに、吸気通路12においては計測出口36が下流側に向けては開放されておらず、計測出口36には逆流が流入しにくくなっている。このため、計測出口36から逆流が流入した場合でも、計測出口36への逆流の流入態様が安定せず、計測流路32での空気流量が不安定になりやすい。
本実施形態とは異なり、例えば、ハウジング本体24において外周面の一部が下流側を向いた段差面であり、この段差面に計測出口36が形成された構成では、吸気通路12において段差面を通過する空気に渦流等の気流の乱れが発生しやすいと考えられる。これに対して、本実施形態では、計測出口36が段差面に形成された構成ではないため、計測出口36の周辺において気流の乱れが生じにくく、計測出口36への逆流の進入しやすさが変動するということが生じにくくなっている。このように、計測流路32にて不安定な逆流が発生しにくいため、エアフロメータ10において安定した脈動計測を実現できる。
図6に示すように、エアフロメータ10は、センシング部22の出力信号を処理する処理部45を有している。処理部45は、回路チップ41に設けられており、ECU(Electronic Control Unit)46に電気的に接続されている。ECU46は、エアフロメータ10からの計測信号などに基づいてエンジンを制御する機能を備えたエンジン制御装置である。この計測信号は、後程説明する脈動誤差補正部61によって補正された空気流量を示す電気信号である。処理部45とECU46片方向通信が可能になっており、処理部45からECU46への信号入力が行われる一方で、ECU46から処理部45への信号入力が行われない。なお、ECU46は、処理部45やエアフロメータ10から独立して設けられており、外部装置に相当する。
ECU46は、クランク角センサやカム角センサなどのエンジンセンサに電気的に接続されている。ECU46は、エンジンセンサの検出信号を用いて、エンジンの回転角度や回転速度、回転数等のエンジンパラメータを取得し、このエンジンパラメータを用いてエンジン制御を行う。吸気通路12にて吸入空気に発生する脈動は、エンジンパラメータに相関している。ただし、本実施形態のECU46は、エンジンパラメータを処理部45に対して出力せず、処理部45はセンシング部22の出力信号について補正等の処理を行う場合にエンジンパラメータを使用しない。
センシング部22は、計測流路32を流れる空気流量に対応した出力信号を処理部45に対して出力する。この出力信号は、センシング部22から出力される電気信号やセンサ信号、検出信号であり、空気流量の値に対応する出力値がこの出力信号に含まれている。センシング部22は、計測流路32を計測入口35から計測出口36に向けて順方向に流れる空気、及び計測出口36から計測入口35に向けて逆方向に流れる空気のいずれについても空気流量を検出可能になっている。センシング部22の出力値は、計測流路32において空気が順方向に流れている場合は正の値になり、逆方向に流れている場合には負の値になる。
吸気通路12において空気の流れに脈動が発生した場合、センシング部22は、脈動の影響を受けて、出力値に真の空気流量に対する誤差が生じる。特に、センシング部22は、スロットル弁が全開側に操作されると脈動振幅や脈動率が大きくなりやすい。以下においては、この脈動による誤差を脈動誤差Errとも称する。また、真の空気流量とは、脈動の影響を受けていない空気流量である。なお、脈動率は、脈動振幅を平均値で割った値である。
処理部45は、センシング部22の出力値に基づいて空気流量を検出して、検出した空気流量をECU46へ出力する。処理部45は、センシング部22のヒータ部を駆動させる駆動回路49と、センシング部22の出力値を補正する補正回路50と、補正回路50の補正結果をECU46に対して出力する出力回路62とを有している。駆動回路49は、ヒータ部の駆動制御に加えて、ヒータ部の駆動などに用いられる電力をセンシング部22に供給する。また、駆動回路49は、補正回路50が補正処理を行う前の段階でセンシング部22の出力信号を増幅するなどの前処理を行う。
処理部45は、CPU等の演算処理装置と、プログラムとデータとを記憶する記憶装置とを有する。例えば、処理部45は、コンピュータによって読み取り可能な記憶装置を備えるマイクロコンピュータで実現される。処理部45は、記憶装置に記憶されているプログラムを演算処理装置が実行することで各種演算を行って空気流量を算出して、算出した空気流量をECU46へ出力する。
記憶装置は、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリなどによって実現される。この記憶装置は、記憶媒体と言い換えることもできる。また、処理部45は、データを一時的に格納する揮発性メモリを備えていてもよい。
また、処理部45は、脈動誤差Errが生じた出力値を補正する機能を有している。言い換えると、処理部45は、出力信号の空気流量を、真の空気流量に近づけるように補正する。よって、処理部45は、脈動誤差Errを補正した空気流量を計測信号としてECU46へ出力する。計測信号には、出力値の補正結果である計測値が含まれている。
処理部45は、プログラムを実行することによって、複数の機能ブロックとして動作する。駆動回路49、補正回路50及び出力回路62はいずれも機能ブロックである。図7に示すように、補正回路50は、機能ブロックとして、A/D変換部51、サンプリング部52、ばらつき調整部53、変換テーブル54を有している。
A/D変換部51は、センシング部22から駆動回路49を介して補正回路50に入力された出力値をA/D変換する。サンプリング部52は、A/D変換された出力値を所定のサンプリング間隔Δtでサンプリングして、都度のタイミングでサンプリング値を取得する。これらサンプリング値は出力値に含まれている。ばらつき調整部53は、センシング部22の個体差などエアフロメータ10の個体差によって計測値にばらつきが生じないように、センシング部22の出力値のばらつきを調整する。具体的には、ばらつき調整部53は、出力値と実際の空気流量との関係を示す流量出力特性や、流量出力特性と温度との関係を示す温度特性について個体ばらつきを低減する。
変換テーブル54は、サンプリング部52で取得したサンプリング値を空気流量に変換する。本実施形態では、変換テーブル54にて変換された値を、空気流量ではなくサンプリング値や出力値と称することがある。変換テーブル54は、流量出力特性を用いる変換テーブルである。
補正回路50は、機能ブロックとして、上極値判定部56、平均空気量算出部57、脈動振幅算出部58、周波数算出部59、脈動誤差算出部60、補正量算出部60a、脈動誤差補正部61を有している。
上極値判定部56は、変換テーブル54で変換されたサンプリング値が上極値Eaであるか否かを判定する。上極値Eaは、出力値が増加から減少に切り替わるタイミングでのサンプリング値である。上極値判定部56は、サンプリング値が上極値Eaになったタイミングを上極タイミングtaとして取得し、処理部45の記憶装置に記憶させる。そして、上極値判定部56は、上極タイミングtaを含む情報を脈動周期を示すタイミング情報として、平均空気量算出部57や脈動振幅算出部58、周波数算出部59に対して出力する。図7においては、センシング部22の出力値に関する情報の出力を実線で図示し、タイミング情報の出力を破線で図示している。
周波数算出部59は、上極値判定部56からのタイミング情報を用いて、サンプリング値が上極値Eaになる間隔を上極間隔Waとして算出し、この上極間隔Waを用いて脈動周波数Fを算出する。例えば、図8に示すように、サンプリング値が上極値Eaになった後、サンプリング値が次に上極値Eaになった場合について、前の上極値Eaを第1上極値Ea1と称し、次の上極値Eaを第2上極値Ea2と称する。この場合、周波数算出部59は、サンプリング値が第1上極値Ea1になった第1上極タイミングta1と、第2上極値Ea2になった第2上極タイミングta2とを用いて、これら上極タイミングta1,ta2の間隔である上極間隔Waを算出する。そして、例えばF[Hz]=1/Wa[s]という関係を用いて脈動周波数Fを算出する。なお、上極間隔Waが時間間隔に相当する。
第1上極タイミングta1から第2上極タイミングta2までの期間について、空気が脈動している際の空気流量の最大値である脈動最大値Gmax(図10参照)は、第1上極値Ea1及び第2上極値Ea2のうち大きい方の値になる。これら上極値Ea1,Ea2が同じ値である場合は、その値が脈動最大値Gmaxになる。なお、第1上極値Ea1と第2上極値Ea2との平均値を脈動最大値Gmaxとしてもよい。
第1上極値Ea1と第2上極値Ea2との間には、出力値が減少から増加に切り替わるタイミングでのサンプリング値である下極値Ebが存在している。第1上極タイミングta1と第2上極タイミングta2との間においては、下極値Ebが1つしかないため、この下極値Ebが脈動最小値Gmin(図10参照)になる。
周波数算出部59は、脈動周波数の変化量を予め規定された最大周波数変化量以下に制限する周波数制限機能を有している。
また、周波数算出部59は、操作部59aを有している。操作部59aは、周波数算出部59の周波数制限機能を有効または無効を設定するためのものである。操作部59aは、オンオフスイッチにより構成されている。操作部59aは、ユーザの操作に応じた信号を周波数算出部59に出力する。
周波数算出部59は、操作部59aから入力される信号に応じて周波数制限機能の有効または無効を切り替える。
平均空気量算出部57は、変換テーブル54で変換したサンプリング値と、上極値判定部56からのタイミング情報とを用いて、空気流量の平均値である平均空気量Gave(図10参照)を算出する。平均空気量算出部57は、上極値判定部56の判定結果を用いて、平均空気量Gaveを算出する場合の対象期間を計測期間として設定し、この計測期間について平均空気量Gaveを算出する。例えば、図8においては、第1上極タイミングta1から第2上極タイミングta2までの期間を計測期間として設定した場合、この計測期間について平均空気量Gaveを算出する。
平均空気量算出部57は、例えば、積算平均を用いて平均空気量Gaveを算出する。ここでは、一例として、図9に示す波形を用いた平均空気量Gaveの算出に関して説明する。この例では、タイミングt1からタイミングtnを計測期間とし、タイミングt1の空気流量をG1、タイミングtnの空気流量をGnとしている。そして、平均空気量算出部57は、図9の式1を用いて、平均空気量Gaveを算出する。この場合、サンプリング数が少ない場合よりも、多い場合の方が、検出精度が比較的低い脈動最小値Gminの影響が低減された平均空気量Gaveを算出できる。
計測流路32においては、実際の空気流量が十分に多いと空気が計測出口36に向けて進む際に流線がゆらぎにくく、センシング部22を通過する空気の進行方向や流量が安定しやすいと考えられる。このため、実際の空気流量が十分に多いことでセンシング部22の検出精度が高くなりやすい。これに対して、実際の空気流量が少ないほど空気の進行方向や流量が不安定になりやすい。例えば、計測流路32において実際の空気流量が逆流が発生しない範囲で最も少ない場合、空気が計測出口36に向けて蛇行しながら進むことなどにより、空気の進行方向や流量が安定しないと考えられる。このため、実際の空気流量が少ないほどセンシング部22の検出精度が低下しやすい。したがって、出力値のうち脈動最小値Gminは、センシング部22の検出精度が比較的低くなってしまう。
脈動振幅算出部58は、変換テーブル54で変換したサンプリング値と、上極値判定部56からのタイミング情報とを用いて、空気流量にて生じる脈動の大きさである脈動振幅Paを算出する。脈動振幅算出部58は、計測期間を算出対象としており、図10に示すように、脈動最大値Gmaxと平均空気量Gaveとの差を取ることで空気流量の脈動振幅Paを算出する。つまり、脈動振幅算出部58は、空気流量の全振幅ではなく、空気流量の片振幅を求める。これは、上記のように検出精度が比較的低い脈動最小値Gminの影響を小さくするためである。なお、脈動振幅算出部58は、脈動最大値Gmaxと脈動最小値との差である全振幅を脈動振幅として算出してもよい。
センシング部22の出力値については、上極値Eaや脈動周波数F、脈動振幅Pa、平均空気量Gaveが、脈動の状態である脈動状態を示しており、脈動パラメータに相当する。この場合、上極値判定部56、平均空気量算出部57、脈動振幅算出部58及び周波数算出部59は、脈動状態を算出する脈動状態算出部に相当する。
脈動誤差算出部60は、空気流量について脈動振幅Paに相関した脈動誤差Errを算出する。脈動誤差算出部60は、例えば、脈動振幅Paと脈動誤差Errとが関連付けられたマップなどを用いて、空気流量の脈動誤差Errを予測する。つまり、脈動誤差算出部60は、脈動振幅算出部58によって脈動振幅Paが得られると、得られた脈動振幅Paに相関する脈動誤差Errをマップから抽出する。また、脈動誤差算出部60は、計測期間を対象として、脈動振幅Paに相関する脈動誤差Errを取得するとも言える。
上述したように、エアフロメータ10は、吸気通路12を形成する吸気管12aに取り付けられている。よって、エアフロメータ10は、吸気管12aの形状の影響などによって、脈動振幅Paが大きくなるに連れて脈動誤差Errが大きくなるだけでなく、脈動振幅Paが大きくなるに連れて脈動誤差Errが小さくなることもありうる。このため、エアフロメータ10では、脈動振幅Paと脈動誤差Errとの関係を関数で表すことができない場合がある。したがって、エアフロメータ10は、上記のようにマップを用いることで、正確な脈動誤差Errを予測することができるので好ましい。なお、マップは、複数の脈動振幅Paと、各脈動振幅Paに相関した補正量Qとが関連付けられていてもよい。
しかしながら、エアフロメータ10は、センシング部22が直接、主空気通路に配置されている場合など、脈動振幅Paと脈動誤差Errとの関係を関数で表すことができる場合もある。この場合、エアフロメータ10は、この関数を用いて脈動誤差Errを算出してもよい。エアフロメータ10は、関数を用いて脈動誤差Errを算出することで、マップを持つ必要がないため、記憶装置の容量を減らすことができる。この点は、以下の実施形態でも同様である。つまり、以下の実施形態では、マップのかわりに関数を用いて脈動誤差Errを得てもよい。
なお、脈動誤差Errは、出力値によって得られた補正していない空気流量と、真の空気流量との差である。つまり、脈動誤差Errは、出力値が変換テーブル54によって変換された空気流量と、真の空気流量との差に相当する。よって、補正前の空気量を真の空気流量に近づけるための補正量Qは、脈動誤差Errがわかれば得ることができる。
図7に示すように、脈動誤差算出部60には、平均空気量算出部57で算出された平均空気量Gaveと、脈動振幅算出部58で算出された脈動振幅Paと、周波数算出部59で算出された脈動周波数Fとが入力される。脈動誤差算出部60は、これら平均空気量Gave、脈動振幅Pa及び脈動周波数Fを用いて脈動誤差Errを算出する。
空気の流れに脈動が生じた場合、平均空気量Gaveが大きくなるほど脈動振幅Paが大きくなりやすい。脈動振幅Paと脈動誤差Errとの関係を示す脈動特性において、脈動振幅Paと脈動誤差Errとがほぼ比例関係になっている場合、図11に示すように、脈動特性の近似線を直線で示すことができる。
Err=Ann×Pa+Bnn…(式2)
脈動特性の近似線については、上記式2の関係が成り立つ。この関係式は、脈動振幅Paを用いて脈動誤差Errを予測する誤差予測式であり、この誤差予測式においては、Annが近似線の傾きであり、Bnnが切片である。脈動特性においては、脈動誤差Errが補正パラメータに相当する。なお、脈動特性の近似線を曲線で示してもよい。この場合、脈動特性の近似線を示す式には、2次関数や3次関数など2次以上の関数が含まれることになる。
脈動特性の近似線については、上記式2の関係が成り立つ。この関係式は、脈動振幅Paを用いて脈動誤差Errを予測する誤差予測式であり、この誤差予測式においては、Annが近似線の傾きであり、Bnnが切片である。脈動特性においては、脈動誤差Errが補正パラメータに相当する。なお、脈動特性の近似線を曲線で示してもよい。この場合、脈動特性の近似線を示す式には、2次関数や3次関数など2次以上の関数が含まれることになる。
脈動特性は、平均空気量Gaveと脈動周波数Fとの組み合わせごとに設定されている。図12においては、平均空気量Gaveと脈動周波数Fとの組み合わせを示す各窓のそれぞれに、脈動特性を示す傾きAnn及び切片Bnnが設定されている。このような、平均空気量Gaveや脈動周波数Fと脈動特性との関係を示すマップを参照マップと称すると、この参照マップは2次元マップであり、処理部45の記憶装置に記憶されている。参照マップにおいては、平均空気量Gave及び脈動周波数Fのそれぞれについて、あらかじめ定められた所定の値に対して脈動特性が設定されている。なお、参照マップは、3次元マップや4次元マップなど3次元以上のマップでもよい。例えば、平均空気量Gaveと脈動周波数Fと脈動振幅Paとの関係を示す3次元マップを参照マップとしてもよい。
図12では、参照マップにおいて設定された平均空気量Gaveのマップ値をG1~Gnとして示し、脈動周波数Fのマップ値をF1~Fnとして示している。なお、参照マップを補正マップと称し、参照情報を補正情報と称してもよい。
参照マップは、実機を用いた実験やシミュレーションなどによって、脈動振幅Paと、その脈動振幅Paに相関した脈動誤差Errとの関係を確認しておくことで作成できる。つまり、脈動誤差Errは、脈動振幅Paの値を変えて、実機を用いた実験やシミュレーションを行った場合に、脈動振幅Pa毎に得られた値と言える。なお、実施形態におけるその他のマップも、参照マップと同様に、実機を用いた実験やシミュレーションなどによって作成できる。
補正量算出部60aは、脈動誤差算出部60により算出された脈動誤差Errを用いて補正量Qを算出する。補正量算出部60aは、計測期間を算出対象としており、脈動誤差Errと補正量Qとの相関を示すマップ等の相関情報を用いて補正量Qを算出する。補正量Qは、出力値に対する補正の比率を示す値になっている。例えば、空気流量が大きくなるように出力値を補正する場合には補正量Qが1より大きい値になり、空気流量が小さくなるように出力値を補正する場合には補正量Qが1より小さい値になる。なお、補正の比率をゲインと称することもできる。
脈動誤差補正部61は、変換テーブル54で変換したサンプリング値と、補正量算出部60aで算出した補正量Qとを用いて、脈動誤差Errが小さくなるように空気流量を補正する。つまり、脈動誤差補正部61は、脈動の影響を受けた空気流量を、真の空気流量に近づけるように空気流量を補正する。ここでは、空気流量の補正対象として、平均空気量Gaveを採用する。
脈動誤差補正部61は、補正前の出力値S1を補正量Qで補正して補正後の出力値S2を算出する。本実施形態では、補正前の出力値S1に補正量Qを掛けることで補正後の出力値S2を算出する。この場合、S2=S1×Qという関係が成り立つ。例えば、補正量Qが1より大きい場合、図13に示すように、補正後の出力値S2が補正前の出力値S1より大きくなる。脈動誤差補正部61は計測期間を算出対象としており、補正前の出力値S1には、少なくとも上極値Ea及び下極値Ebが含まれている。
補正回路50は、脈動誤差補正部61が算出した補正後の出力値S2を出力回路62に対して出力する。出力回路62は、補正後の出力値S2をECU46に対して出力する。ECU46は、出力回路62から入力された補正後の出力値S2を用いて、補正後の出力値S2の平均値を補正後の平均空気量Gave2として算出する。例えば、補正量Qが1より大きい場合、図13Aに示すように、補正後の平均空気量Gave2は補正前の平均空気量Gave1より大きくなる。
例えば、図13Bに示すように、センシング部22の出力値または変換テーブル54の変換値の時間変化を表す波形に、ノイズに起因した上極値Eanが生じる場合がある。このノイズは、電気的なノイズではなく、空気の乱れにより生じたものである。具体的には、内燃機関の任意の気筒が吸気行程から圧縮行程に切り替わる等、燃焼サイクルの各行程の切り替わりに起因して、吸気通路12を流れる吸入空気の流量(空気流量)が、その切り替わり時に不安定になる。このような空気の乱れに起因して、図13Bに示す波形において、上極値Ea1の直後にノイズ起因の上極値Eanが出現する。つまり、僅かに増減を繰り返す部分が波形中に現れる。
上極値判定部56は、ノイズ起因の上極値Eanについては、上極間隔Waの算出に用いる上極値ではないと否定判定してキャンセルする。具体的には、上極値Ea1が前回出現した上極タイミングta1から、今回の上極値Eanが出現したタイミングまでの期間に、出力値が下閾値Ee以下に下がったか否かを、上極値判定部56は判定する。下閾値Ee以下に下がっていないと判定された場合には、今回の上極値Eanをノイズ起因のものであるとみなして、キャンセルする。したがって、ノイズ起因の上極値Eanは上極値として誤検出されない。
しかし、例えば、図13Cに示すように、センシング部22の出力値または変換テーブル54の変換値の時間変化を表す波形に、高調波に起因した下極値Ebnが生じる場合がある。つまり、高調波の影響によりひび割れのような谷の部分が波形中に現れ、出力値が急激に変化する場合がある。
この場合、上極値Ea1が前回出現した上極タイミングta1から今回の上極値Eanが出現したタイミングまでの期間に、出力値が下閾値Ee以下に下がっているため、今回の上極値Eanはキャンセルされずに上極値として誤検出されてしまうという課題がある。
また、例えば、図13Dに示すように、センシング部22の出力値または変換テーブル54の変換値の時間変化を表す波形に、急峻な出力変化が生じる場合がある。例えば、車両の加速時に、出力値が急激に大きく変化する場合がある。
この場合、上極値Ea3が前回出現した上極タイミングta3から、今回の上極値Eanが出現したタイミングまでの期間に、出力値が下閾値Ee以下に下がらないまま高くなってしまう。このように出力値が下閾値Ee以下に下がらないまま出力値が高くなってしまうと、次回以降に検出される上極値Eanが次々とキャンセルされてしまい、上極値として検出されなくなってしまうという課題がある。
これらの課題を解決するため、本実施形態の上極値判定部56は、下閾値Eeの値が変化するよう下閾値Eeを更新する処理を実施する。
本実施形態のメモリには、図13Eに示すように、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveと、下閾値Eeの参照値が対応付けられたマップが記憶されている。このマップは、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveの3変数を軸とする3軸のマップとなっている。
上極値判定部56は、このマップを参照して、下閾値Eeを更新する。なお、参照値は、定数としてもよく、また、関数としてもよい。
具体的には、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveに対応する下閾値Eeの参照値を新たな下閾値Eeとして更新する。
具体的には、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveに対応する下閾値Eeの参照値を新たな下閾値Eeとして更新する。
エンジンの回転数が大きくなると脈動周波数Fも大きくなり、センシング部22の出力値に高調波ノイズが含まれやすくなる。このため、例えば、脈動周波数Fが大きいほど下閾値Eeが小さな値となるよう設定することができる。また、アクセルを踏み込んでエンジンの回転数が大きくなると、平均空気量Gaveも大きくなり、センシング部22の出力値に高調波ノイズが含まれやすい。このため、例えば、平均空気量Gaveが大きいほど下閾値Eeが小さな値となるよう設定することができる。また、エンジンの回転数が特定の回転数になると脈動振幅Paが大きくなる場合がある。したがって、例えば、脈動振幅Paが大きいほど下閾値Eeが小さな値となるよう設定することができる。なお、マップには、実験によって得られた最適な下閾値Eeの参照値が記憶されている。
図13Fは、上極値判定部56による処理の手順を示すフローチャートである。図13Fに示す処理は、補正回路50に出力値が入力されている期間中、マイコンにより繰り返し実行される。なお、ここでのマイコン処理はデジタル回路での処理を意味しており、例えば、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)やハードロジックで処理させることもできる。先ず、ステップS5において、流量データを更新する。具体的には、新たな流量データを読み込む。次のステップS10では、変換テーブル54で変換されたサンプリング値の波形において、現時点でのサンプリング値が流量増加中であるか否かを判定する。
増加中であると判定された場合、次のステップS11において、流量増加検出状態として流量データと下閾値Eeを更新する。具体的には、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveを特定し、これらに対応する下閾値Eeの参照値をマップを用いて特定し、下閾値Eeの参照値に基づいて下閾値Eeを特定する。そして、この下閾値Eeを新たな下閾値Eeとして更新する。
次のステップS12では、流量が増加から減少に変化したか否かを判定する。ステップ12で減少に変化したと判定された場合には、次のステップS18において、ピーク検出を行う。具体的には、現時点でのサンプリング値を上極値Eaとして検出する。なお、ステップ12で減少に変化したと判定されない場合、ステップ11に戻る。
ステップS18の処理の後、ステップS19で流量減少検出状態として流量データと下閾値Eeを更新する。具体的には、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveを特定し、これらに対応する下閾値Eeの参照値をマップを用いて特定し、下閾値Eeの参照値に基づいて下閾値Eeを特定する。そして、この下閾値Eeを新たな下閾値Eeとして更新する。
次のステップ20では、流量が減少から増加に変化したか否かを判定する。ステップ20で増加に変化したと判定された場合には、次のステップS24において、現時点でのサンプリング値が、所定の下閾値Ee以下であるか否かを判断する。なお、ステップ20で増加に変化したと判定されない場合や、ステップ24で下閾値Ee以下でないと判断された場合には、ステップS19に戻る。
下閾値Ee以下になっていると判定された場合には、ステップS10の処理から実行を再開する。したがって、このようにステップS10を再開する際には、流量が増加に切り替わった直後であるため、ステップS10にて流量増加と判定されることになる。そして、流量が増加から減少に切り替わるまで待機して(ステップS14)、次の上極値Eaを検出する(ステップS18)こととなる。これにより、一度上極値を検出した後、出力値が所定の下閾値Ee以下に下がらなかった場合には、次の上極値は否定判定される。
上記したように、ステップS14およびステップS22において、閾値Eeを更新する。具体的には、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveを特定し、これらに対応する下閾値Eeの参照値を新たな下閾値Eeとして更新する。
これにより、図13C中の下閾値Eeをノイズに起因する下極値Ebnより低下させることができる。この場合、現時点でのサンプリング値がキャンセルされることとなる。したがって、ノイズに起因した下極値Ebnの誤検出を防止することが可能となる。
また、図13D中の下閾値Eeを下極値Ebnより大きくすることも可能である。この場合、上極値Eanが検出されることとなる。
これにより、急峻な出力変化が生じる場合においても、下閾値Eeを更新し、上極値を正しく検出することができる。
以上、説明したように、本実施形態の計測制御装置は、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部22と、センシング部22の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部を備えている。また、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部61を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が増加から減少に切り替わる場合の出力値を上極値Eaと称すると、出力値が上極値になったか否かを判定する上極値判定部56を有している。さらに、出力値が上極値となる時間間隔に基づいて空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部59を有している。また、上極値判定部は、出力値の時間変化を表す波形に上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の下閾値Ee以下に下がらなかった場合には、今回出現の上極値を否定判定してキャンセルする。さらに、出力値に基づいて特定される空気流量、脈動周波数および出力値に基づいて特定される脈動振幅に基づいて下閾値を更新する。
このような構成によれば、出力値に基づいて特定される空気流量、脈動周波数および出力値に基づいて特定される脈動振幅に基づいて下閾値が更新されるので、上極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
また、上極値判定部56は、空気流量、脈動周波数および脈動振幅と、下閾値Eeの参照値が対応付けられたマップを用いて下閾値を更新する。
このように、上極値判定部56は、空気流量、脈動周波数および脈動振幅と、下閾値Eeの参照値が対応付けられたマップを用いて下閾値を更新することができる。
また、本実施形態の計測制御装置は、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部22と、センシング部の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部と、を備えている。また、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部61を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が増加から減少に切り替わる場合の出力値を上極値Eaと称すると、出力値が上極値になったか否かを判定する上極値判定部56を有している。また、出力値が上極値となる時間間隔に基づいて空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部59を有している。また、上極値判定部56は、出力値の時間変化を表す波形に上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の下閾値Ee以下に下がらなかった場合には、今回出現の上極値を否定判定してキャンセルする。さらに、脈動状態に応じて変化する下閾値の参照値に基づいて下閾値を更新する。
このような構成によれば、脈動状態に応じて変化する下閾値の参照値に基づいて下閾値が更新されるので、上極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
また、上極値判定部56は、脈動状態に応じて下閾値の参照値が対応付けられたマップを用いて下閾値を更新する。
このように、脈動状態に応じて下閾値の参照値が対応付けられたマップを用いて下閾値を更新することができる。
また、周波数算出部59は、脈動周波数の変化量を予め規定された最大周波数変化量以下に制限する周波数制限機能を有している。
したがって、例えば、センシング部22の出力値に高周波のノイズ成分が付加された場合でも、脈動周波数の変化量が制限されるのでノイズによる影響を抑制することができる。
また、周波数算出部59は、周波数制限機能の有効または無効を設定する操作部59aを備えている。これにより、周波数制限機能の有効または無効を切り替えることができる。
また、周波数算出部59は、周波数制限機能の有効または無効を設定する操作部59aを備えている。これにより、周波数制限機能の有効または無効を切り替えることができる。
なお、本実施形態では、図13Eに示したように、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveと、下閾値Eeの参照値が関連付けられたマップを予めメモリに記憶させておき、そのマップを参照して、下閾値Eeを更新するようにした。
これに対し、図13Gに示すように、脈動振幅Paおよび脈動周波数Fと、下閾値Eeの参照値が関連付けられたマップを予めメモリに記憶させておき、そのマップを参照して、下閾値Eeを更新するようにしてもよい。
また、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveの少なくとも1つと、下閾値Eeの参照値が対応付けられたマップを予めメモリに記憶させておき、そのマップを参照して、下閾値Eeを更新するようにしてもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る計測制御装置について図14~図16を用いて説明する。上記第1実施形態では、補正回路50においてセンシング部22の出力値を脈動振幅算出部58に入力する経路が1つだけ設けられていたが、第2実施形態では、出力値を脈動振幅算出部58に入力する経路が2つ設けられている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
第2実施形態に係る計測制御装置について図14~図16を用いて説明する。上記第1実施形態では、補正回路50においてセンシング部22の出力値を脈動振幅算出部58に入力する経路が1つだけ設けられていたが、第2実施形態では、出力値を脈動振幅算出部58に入力する経路が2つ設けられている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図14に示すように、補正回路50は、変換テーブル54にて変換された出力値を脈動振幅算出部58に入力する第1経路70aと、変換テーブル54にて変換される前の出力値を脈動振幅算出部58に入力する第2経路70bとを有している。なお、図14では、第1経路70aの一部の図示を記号Aで省略している。
補正回路50は、上記第1実施形態と同じ機能ブロックに加えて、外乱除去部71、応答補償部72、振幅低減フィルタ部73、変換テーブル74、外乱除去フィルタ部75、サンプリング数増加部76、スイッチ部77、マイナスカット部78を有している。本実施形態では、変換テーブル54を第1変換テーブル54と称し、変換テーブル74を第2変換テーブル74と称する。
外乱除去部71は、ばらつき調整部53と第1変換テーブル54との間に設けられ、ばらつき調整部53の処理が施された出力値が入力される機能ブロックである。外乱除去部71は、前回の出力値に対する変化率が所定の基準値を越えるほどに大きい出力値の急変を制限する急変制限部であり、例えば変化量を所定値に制限する。例えば図15に示すノイズが出力値に含まれている場合に、このノイズが外乱除去部71により除去される。
応答補償部72は、外乱除去部71と第1変換テーブル54との間に設けられ、外乱除去部71の処理が施された出力値が入力される機能ブロックである。応答補償部72は、実際にセンシング部22が検出した空気流量の急激な変化を出力値に忠実に再現させるフィルタであり、例えばハイパスフィルタにより形成されている。応答補償部72により補償された出力値は、補償される前の出力値に比べて、応答が時間的に進んだ状態になり且つ周波数域が広くなっている。
振幅低減フィルタ部73は、第1変換テーブル54と脈動誤差補正部61との間に設けられ、第1変換テーブル54の処理が施された出力値が入力される機能ブロックである。振幅低減フィルタ部73は、出力値の脈動振幅Paをなまらせて低減するフィルタ部であり、例えばローパスフィルタにより形成されている。振幅低減フィルタ部73の処理は、第1変換テーブル54の処理の後に行われるため、出力値を用いて算出される平均空気量Gaveに変化は生じない。
第1経路70aは、第1変換テーブル54と脈動誤差補正部61との間に接続されており、第2経路70bは、外乱除去部71と応答補償部72との間に接続されている。これら経路70a,70bはいずれもスイッチ部77を介して脈動振幅算出部58に接続されている。スイッチ部77は、第1経路70a及び第2経路70bを択一的に脈動振幅算出部58に接続する切替部である。スイッチ部77が第1状態にある場合に、脈動振幅算出部58が第1経路70aに接続されている一方で第2経路70bに対しては遮断されている。スイッチ部77が第2状態にある場合に、脈動振幅算出部58が第2経路70bに接続されている一方で第1経路70aに対しては遮断されている。
スイッチ部77は、エアフロメータ10の製造時に第1状態及び第2状態のうち一方に設定され、車両に搭載された後は基本的に状態を保持する。なお、スイッチ部77は、車両に搭載された後にエンジン運転状態などに応じて状態が切り替えられてもよい。
第2変換テーブル74は、第2経路70bにおいて外乱除去部71とスイッチ部77との間に設けられ、外乱除去部71の処理が施された出力値が入力される機能ブロックである。第2変換テーブル74は、第1変換テーブル54とは異なり応答補償部72の処理が施される前の段階で、サンプリング部52で取得したサンプリング値を空気流量に変換する。
外乱除去フィルタ部75は、第2経路70bから分岐した経路において、第2変換テーブル74と上極値判定部56との間に設けられ、第2変換テーブル74の処理が施された出力値が入力される機能ブロックである。外乱除去フィルタ部75は、高調波成分である高次成分に含まれる出力値をなまらせて除去するフィルタ部であり、例えばローパスフィルタにより形成されている。外乱除去フィルタ部75は、フィルタ定数を可変設定可能になっている。
サンプリング数増加部76は、外乱除去フィルタ部75と上極値判定部56との間に設けられ、外乱除去フィルタ部75の処理が施された出力値が入力される機能ブロックである。サンプリング数増加部76は、サンプリング部52により取得されたサンプリング値を増加させるアップサンプリング部であり、サンプリング部52に比べて高い時間分解能を有している。サンプリング数増加部76は、可変フィルタやCICフィルタ等のフィルタにより形成されている。
上極値判定部56は、変換テーブル54で変換されたサンプリング値が上極値Eaであるか否かを判定する。上極値Eaは、出力値が増加から減少に切り替わるタイミングでのサンプリング値である。
また、上極値判定部56は、出力値の時間変化を表す波形に上極値Eaが前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の下閾値Ee以下に下がらなかった場合には、今回出現の上極値Eaを否定判定してキャンセルする。さらに、上極値判定部56は、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveと、下閾値Eeの参照値が対応付けられたマップを参照して、下閾値Eeの参照値を特定し、この下閾値の参照値に基づいて下閾値Eeを更新する。
周波数算出部59は、算出した脈動周波数Fを脈動誤差算出部60に加えて外乱除去フィルタ部75に対して出力する。外乱除去フィルタ部75は、周波数算出部59からの脈動周波数Fを用いて最適フィルタ定数をフィードバック制御する。
マイナスカット部78は、補正後の出力値S2のうちマイナスの出力値S2をカットし、カット後の出力値S3を算出する。図16に示すように、補正後の出力値S2に負の値であるマイナス値が含まれている場合、マイナスカット部78によりマイナス値がカットされてゼロにされることで、カット後の出力値S3にはマイナス値が含まれていない。その一方で、正の値であるプラス値については、補正後の出力値S2とカット後の出力値S3とが同じ値になっている。上述したように、ハウジング21においては、吸気通路12にて発生した逆流が計測出口36から流入しにくくなる位置に計測出口36が設置されているが、計測出口36からの逆流の進入がゼロになるとは限らない。この場合、計測出口36から進入した逆流の空気流量が不安定になり、その空気流量を精度良く計測することが困難になる。そこで、マイナスカット部78の処理を行うことで、空気流量の計測精度を高めることができる。
補正回路50は、脈動誤差補正部61が算出した補正後の平均空気量Gave2や補正後の出力値S2に加えて、マイナスカット部78が算出したカット後の出力値S3を、出力回路62に対して出力する。そして、これら補正後の平均空気量Gave2や補正後の出力値S2、カット後の出力値S3を、出力回路62がECU46に対して出力する。
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態の計測制御装置は、センシング部22から出力された信号から所定の周波数成分を除去するフィルタ部75を備え、上極値判定部は、フィルタ部を透過した信号の出力値を用いて下閾値を特定する。
したがって、センシング部22の出力値に高周波のノイズが付加された場合でも高周波のノイズ影響を受けることなく下閾値を特定することが可能である。
また、フィルタ部75は、高周波成分を除去するローパスフィルタにより構成されている。このように、フィルタ部75は、ローパスフィルタにより構成することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る計測制御装置について図17~図18Aを用いて説明する。上記第1実施形態では、補正回路50が上極値判定部56を有していたが、第3実施形態では、補正回路50が下極値判定部81を有している。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
第3実施形態に係る計測制御装置について図17~図18Aを用いて説明する。上記第1実施形態では、補正回路50が上極値判定部56を有していたが、第3実施形態では、補正回路50が下極値判定部81を有している。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図17に示すように、下極値判定部81は、補正回路50において変換テーブル54と周波数算出部59との間に設けられている。下極値判定部81は、変換テーブル54の処理が施されたサンプリング値が下極値Ebであるか否かを判定する。上述したように下極値Ebは、出力値が減少から増加に切り替わるタイミングでのサンプリング値である。下極値判定部81は、サンプリング値が下極値Ebになったタイミングを下極タイミングtbとして取得し、処理部45の記憶装置に記憶させる。そして、下極値判定部81は、下極タイミングtbを含む情報を脈動周期を示すタイミング情報として、平均空気量算出部57や脈動振幅算出部58、周波数算出部59に対して出力する。なお、出力値が下極値Ebになったことが特定条件に相当し、下極値判定部81および周波数算出部59が脈動状態算出部に相当する。
下極値判定部81は、変換テーブル54で変換されたサンプリング値が下極値Ebであるか否かを判定する。下極値Ebは、出力値が減少から増加に切り替わるタイミングでのサンプリング値である。
また、下極値判定部81は、出力値の時間変化を表す波形に下極値Ebが前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の上閾値Ef以上にならなかった場合には、今回出現の下極値Ebを否定判定してキャンセルする。さらに、下極値判定部81は、平均空気量Gaveと相関する物理量、脈動周波数Fおよび脈動振幅Paに基づいて下閾値Eeの参照値を特定し、この下閾値の参照値に基づいて下閾値Eeを更新する。下極値判定部81は、上極値判定部56と同様に、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveと、上閾値Efの参照値が関連付けられたマップを予めメモリに記憶させておき、そのマップを参照して、上閾値Efを更新する。具体的には、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveに対応する上閾値Efの参照値を新たな上閾値Efとして更新する。
周波数算出部59は、下極値判定部81からのタイミング情報を用いて、サンプリング値が下極値Ebになる間隔を下極間隔Wbとして算出し、この下極間隔Wbを用いて脈動周波数Fを算出する。例えば、図18Aに示すように、サンプリング値が下極値Ebになった後、サンプリング値が次に下極値Ebになった場合について、前の下極値Ebを第1下極値Eb1と称し、次の下極値Ebを第2下極値Eb2と称する。この場合、周波数算出部59は、サンプリング値が第1下極値Eb1になった第1下極タイミングtb1と、第2下極値Eb2になった第2下極タイミングtb2とを用いて、これら下極タイミングtb1,tb2の間隔である下極間隔Wbを算出する。そして、例えばF[Hz]=1/Wb[s]という関係を用いて脈動周波数Fを算出する。
第1下極タイミングtb1から第2下極タイミングtb2までの期間について、脈動最小値Gminは、第1下極値Eb1及び第2下極値Eb2のうち小さい方の値になる。これら下極値Eb1,Eb2が同じ値である場合は、その値が脈動最小値Gminになる。なお、第1下極値Eb1と第2下極値Eb2との平均値を脈動最小値Gminとしてもよい。
以上、説明したように、本実施形態の計測制御装置は、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部22と、センシング部22の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部を備えている。また、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部61を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が減少から増加に切り替わる場合の出力値を下極値Ebと称すると、出力値が下極値になったか否かを判定する下極値判定部81を有している。また、下極値判定部81は、出力値の時間変化を表す波形に下極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の上閾値Ef以下に下がらなかった場合には、今回出現の下極値を否定判定してキャンセルする。さらに、出力値に基づいて特定される空気流量、出力値に基づいて特定される脈動周波数および出力値に基づいて特定される脈動振幅の少なくとも1つに基づいて上閾値を更新する。
このような構成によれば、出力値に基づいて特定される空気流量、出力値に基づいて特定される脈動周波数および出力値に基づいて特定される脈動振幅の少なくとも1つに基づいて上閾値が更新されるので、下極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
また、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部22と、センシング部22の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部と、を備えている。また、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部61を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が減少から増加に切り替わる場合の出力値を下極値Ebと称すると、出力値が下極値になったか否かを判定する下極値判定部81を有している。また、出力値が下極値となる時間間隔に基づいて空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部59を有している。また、下極値判定部81は、出力値の時間変化を表す波形に下極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の上閾値Ef以上に上がらなかった場合には、今回出現の下極値を否定判定してキャンセルする。さらに、脈動状態に応じて変化する上閾値の参照値に基づいて上閾値を更新する。
このような構成によれば、脈動状態に応じて変化する上閾値の参照値に基づいて上閾値が更新されるので、下極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係る計測制御装置について説明する。上記第1実施形態の上極値判定部56は、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveと、下閾値Eeの参照値が関連付けられたマップを予めメモリに記憶させておき、そのマップを参照して、下閾値Eeを更新するようにした。
第4実施形態に係る計測制御装置について説明する。上記第1実施形態の上極値判定部56は、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveと、下閾値Eeの参照値が関連付けられたマップを予めメモリに記憶させておき、そのマップを参照して、下閾値Eeを更新するようにした。
これに対し、本実施形態の上極値判定部56は、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveの少なくとも1つを変数とし、下閾値Eeを算出するための関数を予めメモリに記憶させておき、その関数を用いて下閾値Eeを更新する。このように、上極値判定部56は、関数を用いて下閾値を更新することもできる。
(第5実施形態)
第5実施形態に係る計測制御装置について説明する。本実施形態の計測制御装置の構成は上記第1実施形態の計測制御装置と同じである。上記第1実施形態の上極値判定部56は、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveと、下閾値Eeの参照値が対応付けられたマップを用いて下閾値Eeを更新した。これに対し、本実施形態の上極値判定部56は、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間で上極値の判定に用いた下閾値を用いて下閾値を更新する。
第5実施形態に係る計測制御装置について説明する。本実施形態の計測制御装置の構成は上記第1実施形態の計測制御装置と同じである。上記第1実施形態の上極値判定部56は、脈動振幅Pa、脈動周波数Fおよび平均空気量Gaveと、下閾値Eeの参照値が対応付けられたマップを用いて下閾値Eeを更新した。これに対し、本実施形態の上極値判定部56は、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間で上極値の判定に用いた下閾値を用いて下閾値を更新する。
図18Bに示すように、タイミングta1におけるセンシング部22の出力値をOrg_n-1、タイミングta1における下閾値をOut_n-1とする。また、タイミングta1からサンプリング間隔Δtが経過した後のタイミングta2におけるセンシング部22の出力値をOrg_n、タイミングta2における下閾値をOut_n、サンプリング間隔をΔt、時定数をTとする。
上極値判定部56は、タイミングta2における下閾値をOut_nを、以下の数式1を用いて算出する。
タイミングta2におけるセンシング部22の出力値をOrg_nと、タイミングta1における下閾値Out_n-1との差分に基づいてタイミングta2における下閾値Out_nが更新される。
なお、下閾値Out_nは、センシング部22の出力値に一次の応答遅れを施した値となる。すなわち、下閾値Out_nは、センシング部22の出力値に遅れながら緩やかに追従するように更新される。
図18Cは、センシング部22の出力値Gと、数式1を用いて更新された下閾値Eeの波形を表している。図に示すように、センシング部22の出力値Gに追従するように下閾値Eeが変化している。また、図18C中の下極値Ebおよび上極値Eanは、高調波ノイズに起因するものである。
図18Cに示すように、センシング部22の出力値Gに追従するように下閾値Out_nが更新されることにより、下極値Ebが所定の下閾値Ee以下に下がらなくなっている。したがって、上極値判定部56は、高調波ノイズに起因する上極値Eanを否定判定してキャンセルする。したがって、高調波ノイズに対するタフネス性を向上することができる。
以上、説明したように、本実施形態の計測制御装置は、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部22と、センシング部22の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部を備えている。また、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部61を備えている。また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が増加から減少に切り替わる場合の出力値を上極値Eaと称すると、出力値が上極値になったか否かを判定する上極値判定部56を有している。また、出力値が上極値となる時間間隔に基づいて空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部59を有している。また、上極値判定部56は、出力値の時間変化を表す波形に上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の下閾値Ee以下に下がらなかった場合には、今回出現の上極値を否定判定してキャンセルする。さらに、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間で上極値の判定に用いた下閾値を用いて下閾値を更新する。
このような構成によれば、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間で上極値の判定に用いた下閾値を用いて下閾値が更新されるので、上極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
また、本実施形態の計測制御装置は、出力値を所定のサンプリング間隔でサンプリングするサンプリング部52を備えている。また、上極値判定部56は、出力値の時間変化を表す波形に上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が下閾値Ee以下に下がらなかった場合には、今回出現の上極値を否定判定してキャンセルする。さらに、サンプリング部52によりサンプリングされた今回の出力値Org_nと、サンプリング部52によりサンプリングされた前回の出力値の判定時に用いた下閾値Out_n―1との差分に基づいて今回の出力値の判定に用いる下閾値Out_nを更新する。
このように、サンプリング部52によりサンプリングされた今回の出力値Org_nと、サンプリングされた前回の出力値の判定時に用いた下閾値Out_n―1との差分に基づいて今回の出力値の判定に用いる下閾値Out_nを更新することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態に係る計測制御装置について図18D、図18Eを用いて説明する。上記第1実施形態では、図13FのステップS12にて肯定判定となった場合に、ステップS18に進むようにした。これに対し、本実施形態では、図18DのステップS12にて肯定判定となった場合に、ステップS34にて、出力値の時間変化を表す波形に上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、現時点でのサンプリング値が下閾値Ee以上であるか否かを判定する。
第6実施形態に係る計測制御装置について図18D、図18Eを用いて説明する。上記第1実施形態では、図13FのステップS12にて肯定判定となった場合に、ステップS18に進むようにした。これに対し、本実施形態では、図18DのステップS12にて肯定判定となった場合に、ステップS34にて、出力値の時間変化を表す波形に上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、現時点でのサンプリング値が下閾値Ee以上であるか否かを判定する。
ここで、現時点でのサンプリング値が下閾値Ee以上になっていない場合、ステップS11に戻り、流量データと下閾値Eeを更新する。すなわち、今回出現した上極値Eanを否定判定してキャンセルされる。
また、現時点でのサンプリング値が下閾値Ee以上になっている場合には、次のステップS18に進み、現時点でのサンプリング値を上極値Eaとして検出する。
したがって、図18Eに示すように、今回出現した上極値Eanが下閾値Ee以下になっている場合、今回出現した上極値Eanは否定判定されキャンセルされる。
上記したように、上極値判定部は、出力値の時間変化を表す波形に上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が下閾値以下になった場合、今回出現の上極値を否定判定してキャンセルする。
したがって、出力値が下閾値以下になった場合に、今回出現の上極値を上極値として認識しないようにすることができる。
(第7実施形態)
第7実施形態に係る計測制御装置について説明する。本実施形態の計測制御装置は、周波数算出部59が、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間の脈動周波数との平均である脈動周波数平均値を算出する。また、脈動誤差補正部61は、周波数算出部59により算出された脈動周波数平均値を用いて空気流量の補正を行う。
第7実施形態に係る計測制御装置について説明する。本実施形態の計測制御装置は、周波数算出部59が、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間の脈動周波数との平均である脈動周波数平均値を算出する。また、脈動誤差補正部61は、周波数算出部59により算出された脈動周波数平均値を用いて空気流量の補正を行う。
このように、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間の脈動周波数との平均である脈動周波数平均値を算出することにより、脈動周波数の微小な変動に対するロバスト性を向上することができる。また、センシング部22の出力値へのノイズによる影響を緩和することができる。
(第8実施形態)
第8実施形態に係る計測制御装置について説明する。本実施形態の計測制御装置は、周波数算出部59が、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間の脈動周波数の中央値を算出する。また、脈動誤差補正部61は、周波数算出部59により算出された脈動周波数の中央値を用いて空気流量の補正を行う。
第8実施形態に係る計測制御装置について説明する。本実施形態の計測制御装置は、周波数算出部59が、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間の脈動周波数の中央値を算出する。また、脈動誤差補正部61は、周波数算出部59により算出された脈動周波数の中央値を用いて空気流量の補正を行う。
このように、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間の脈動周波数の中央値を算出することにより、脈動周波数の微小な変動に対するロバスト性を向上することができる。また、センシング部22の出力値へのノイズによる影響を緩和することができる。
(第9実施形態)
第9実施形態に係る計測制御装置について説明する。上記第6実施形態では、上極値判定部56が、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間で上極値の判定に用いた下閾値を用いて上閾値を更新するようにした。これに対し、本実施形態では、上極値判定部56に代えて下極値判定部81を備え、該下極値判定部81が、所定期間前から下極値が今回出現したタイミングまでの期間で下極値の判定に用いた上閾値を用いて上閾値を更新する。
第9実施形態に係る計測制御装置について説明する。上記第6実施形態では、上極値判定部56が、所定期間前から上極値が今回出現したタイミングまでの期間で上極値の判定に用いた下閾値を用いて上閾値を更新するようにした。これに対し、本実施形態では、上極値判定部56に代えて下極値判定部81を備え、該下極値判定部81が、所定期間前から下極値が今回出現したタイミングまでの期間で下極値の判定に用いた上閾値を用いて上閾値を更新する。
本実施形態の計測制御装置は、空気流量に応じた信号を出力するセンシング部22と、センシング部22の出力値を用いて空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部と、を備えている。
また、脈動状態算出部により算出された脈動状態を用いて空気流量の補正を行う脈動誤差補正部61を備えている。
また、脈動状態算出部は、出力値の変化態様が減少から増加に切り替わる場合の出力値を下極値Ebと称すると、出力値が下極値Eb以上になったか否かを判定する下極値判定部81を有している。また、出力値が下極値となる時間間隔に基づいて空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部59を有している。
下極値判定部81は、出力値の時間変化を表す波形に下極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、出力値が所定の上閾値Ef以上に上がらなかった場合には、今回出現の下極値を否定判定してキャンセルする。さらに、所定期間前から下極値が今回出現したタイミングまでの期間で下極値の判定に用いた上閾値を用いて上閾値を更新する。
このような構成によれば、所定期間前から下極値が今回出現したタイミングまでの期間で下極値の判定に用いた上閾値を用いて上閾値が更新されるので、下極値の誤検出が低減される。したがって、空気流量の補正精度を向上することができる。
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例1として、計測出口36は流出口34と同様に流入口33とは反対側を向いていてもよい。例えば、図24に示すように、奥行き方向Zにおいて計測出口36が流入口33と流出口34との間に設けられた構成とする。この構成では、ハウジング21の外周面から幅方向Xに突出した凸部に計測出口36が形成されていることで、計測出口36が流出口34と同様に吸気通路12の下流側に向けて開放されている。吸気通路12において、ハウジング21の外周面に沿って順方向に流れる空気が計測出口36を通過することで、計測出口36の周辺で渦流等の気流の乱れが発生しやすくなっている。このため、計測出口36が流入口33と反対側を向いていても、吸気通路12において空気の逆流が発生した場合に、この逆流が計測出口36に流入しにくいと考えられる。
これに対して、本変形例でも、脈動振幅Paを用いて脈動誤差Errが算出される。このため、逆流が計測出口36に流入しにくいことで空気流量の補正精度が低下しやすい状態になっていても、上記第1実施形態と同様に、その補正精度を高めることができる。また、上記第1実施形態において、計測出口36は、下流外面24cに設けられていることで、流入口33とは反対側に向けて開放されていてもよい。
変形例2として、ハウジング21において、計測出口36の一部が上流外面24bに設けられ、残りの部分が中間外面24dに設けられているのではなく、計測出口36全体が上流外面24b又は中間外面24dに設けられていてもよい。計測出口36全体が上流外面24bに設けられていると、計測出口36が流出口34とは反対側に向けて開放された構成が実現される。計測出口36全体が中間外面24dに設けられていると、計測出口36が幅方向Xに開放された構成が実現される。この構成では、計測出口36の開放向きが流入口33の開放向き及び流出口34の開放向きのいずれとも異なることになる。
変形例3として、バイパス流路30は計測流路32を有する一方で通過流路31は有していなくてもよい。この場合、計測入口35が計測出口36と同様にハウジング21の外面に形成され、吸気通路12を流れる空気が計測入口35からバイパス流路30に流れ込むことになる。
変形例4として、検出絞り部37等の絞り部は、計測流路32において少なくとも一部がセンシング部22よりも上流に設けられていれば、分岐路32aや案内路32bに設けられていてもよい。また、検出絞り部37は、幅方向Xにおいてハウジング本体24の内壁面からセンシング部22に向けて延びた一対の延出面と、これら延出面にかけ渡され且つ奥行き方向Zに真っ直ぐに延びたフラット面とを有していてもよい。延出面は、幅方向Xに真っ直ぐに延びた面でもよく、幅方向Xに対して傾斜した方向に真っ直ぐに延びた面でもよい。また、延出面は、外側に向けて膨らむように湾曲した湾曲面でもよく、内側に向けて凹むように湾曲した湾曲面でもよい。また、検出絞り部37は、一対の延出面のうち上流側の延出面だけを有していてもよい。この構成では、フラット面が検出路32cよりも下流側まで延びている。
変形例5として、補正量算出部60aは、ゲイン量等の補正割合を示す補正量Qではなく、オフセット量等の補正前の出力値S1と同じ単位の補正量Qを算出してもよい。この場合、脈動誤差補正部61は、補正前の出力値S1に補正量Qを加えることで補正後の出力値S2を算出する。上記第6実施形態においては、補正量算出部60aは、補正前の平均空気量Gave1と同じ単位の補正量Qを算出してもよい。この場合、脈動誤差補正部61は、補正前の平均空気量Gave1に補正量Qを加えることで補正後の平均空気量Gave3を算出する。
変形例6として、補正回路50は、上記第1実施形態の上極値判定部56と、上記第3実施形態の下極値判定部81と、上記第4実施形態の増加閾値判定部82と、上記第5実施形態の減少閾値判定部83との少なくとも2つを有していてもよい。この場合、周波数算出部59は、上極値判定部56、下極値判定部81、増加閾値判定部82及び減少閾値判定部83の少なくとも2つの判定結果のそれぞれについて脈動周波数を算出し、これら脈動周波数の平均をとるなどして脈動周波数Fを算出する。
変形例7として、処理部45は、センシング部22からの出力値をマップや関数、高速フーリエ変換FFTなどで処理して脈動周波数Fを算出してもよい。
変形例8として、ECU46と処理部45とは双方向通信が可能になっていてもよい。例えば、ECU46はエンジンパラメータ等の外部情報を処理部45に対して出力してもよい。この場合でも、処理部45では、外部情報ではなくセンシング部22の出力値を用いて脈動周波数F等の脈動状態が算出される。
変形例9として、処理部45によって実現されていた機能は、ハードウェア及びソフトウェア、又はこれらの組み合わせによって実現してもよい。処理部45は、たとえば他の制御装置、たとえばECU46と通信し、他の制御装置が処理の一部又は全部を実行してもよい。処理部45は、電子回路によって実現される場合、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって実現することができる。
変形例10として、上記第1実施形態では、上極値判定部56が、空気流量、脈動周波数および脈動振幅に基づいて下閾値Eeを更新するようにしたが、空気流量、脈動周波数および脈動振幅の少なくとも1つに基づいて下閾値Eeを更新することもできる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
10 エアフロメータ
22 センシング部
45 処理部
51 A/D変換部
52 サンプリング部
53 ばらつき調整部
54 変換テーブル
56 上極値判定部
57 平均空気量算出部
58 脈動振幅算出部
59 周波数算出部
60 脈動誤差算出部
60a 補正量算出部
61 脈動誤差補正部
22 センシング部
45 処理部
51 A/D変換部
52 サンプリング部
53 ばらつき調整部
54 変換テーブル
56 上極値判定部
57 平均空気量算出部
58 脈動振幅算出部
59 周波数算出部
60 脈動誤差算出部
60a 補正量算出部
61 脈動誤差補正部
Claims (16)
- 計測制御装置であって、
空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、
前記センシング部の出力値を用いて前記空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(56、59)と、
前記脈動状態算出部により算出された前記脈動状態を用いて前記空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備え、
前記脈動状態算出部は、
前記出力値の変化態様が増加から減少に切り替わる場合の前記出力値を上極値(Ea)と称すると、前記出力値が前記上極値になったか否かを判定する上極値判定部(56)と、前記出力値が前記上極値となる時間間隔に基づいて前記空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部(59)と、を有し、前記脈動周波数を含む前記脈動状態を算出し、
前記上極値判定部は、前記出力値の時間変化を表す波形に前記上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、前記出力値が所定の下閾値(Ee)以下に下がらなかった場合には、前記今回出現の前記上極値を否定判定してキャンセルし、さらに、前記出力値に基づいて特定される前記空気流量、前記脈動周波数および前記出力値に基づいて特定される脈動振幅の少なくとも1つに基づいて前記下閾値を更新する計測制御装置。 - 前記上極値判定部は、前記空気流量、前記脈動周波数および前記脈動振幅の少なくとも1つと前記下閾値の参照値が対応付けられたマップを用いて前記下閾値を更新する請求項1に記載の計測制御装置。
- 計測制御装置であって、
空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、
前記センシング部の出力値を用いて前記空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(56、59)と、
前記脈動状態算出部により算出された前記脈動状態を用いて前記空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備え、
前記脈動状態算出部は、
前記出力値の変化態様が増加から減少に切り替わる場合の前記出力値を上極値(Ea)と称すると、前記出力値が前記上極値になったか否かを判定する上極値判定部(56)と、前記出力値が前記上極値となる時間間隔に基づいて前記空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部(59)と、を有し、前記脈動周波数を含む前記脈動状態を算出し、
前記上極値判定部は、前記出力値の時間変化を表す波形に前記上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、前記出力値が所定の下閾値(Ee)以下に下がらなかった場合には、前記今回出現の前記上極値を否定判定してキャンセルし、さらに、前記脈動状態に応じて変化する前記下閾値の参照値に基づいて前記下閾値を更新する計測制御装置。 - 前記上極値判定部は、前記脈動状態と前記下閾値の参照値が対応付けられたマップを用いて前記下閾値を更新する請求項3に記載の計測制御装置。
- 計測制御装置であって、
空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、
前記センシング部の出力値を用いて前記空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(56、59)と、
前記脈動状態算出部により算出された前記脈動状態を用いて前記空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備え、
前記脈動状態算出部は、
前記出力値の変化態様が増加から減少に切り替わる場合の前記出力値を上極値(Ea)と称すると、前記出力値が前記上極値になったか否かを判定する上極値判定部(56)と、前記出力値が前記上極値となる時間間隔に基づいて前記空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部(59)と、を有し、前記脈動周波数を含む前記脈動状態を算出し、
前記上極値判定部は、前記出力値の時間変化を表す波形に前記上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、前記出力値が所定の下閾値(Ee)以下に下がらなかった場合には、前記今回出現の前記上極値を否定判定してキャンセルし、さらに、所定期間前から前記上極値が今回出現したタイミングまでの期間で前記上極値の判定に用いた前記下閾値を用いて前記下閾値を更新する計測制御装置。 - 前記出力値を所定のサンプリング間隔でサンプリングするサンプリング部(52)を備え、
前記上極値判定部は、前記出力値の時間変化を表す波形に前記上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、前記出力値が前記下閾値(Ee)以下に下がらなかった場合には、前記今回出現の前記上極値を否定判定してキャンセルし、さらに、前記サンプリング部によりサンプリングされた今回の前記出力値(Org_n)と、前記サンプリング部によりサンプリングされた前回の前記出力値の判定時に用いた前記下閾値(Out_n―1)との差分に基づいて今回の前記出力値の判定に用いる前記下閾値(Out_n)を更新する請求項5に記載の計測制御装置。 - 前記センシング部から出力された前記信号から所定の周波数成分を除去するフィルタ部(75)を備え、
前記上極値判定部は、前記フィルタ部を透過した前記信号の前記出力値を用いて前記下閾値を特定する請求項1ないし6のいずれか1つに記載の計測制御装置。 - 前記フィルタ部は、高周波成分を除去するローパスフィルタにより構成されている請求項7に記載の計測制御装置。
- 前記周波数算出部は、前記脈動周波数の変化量を予め規定された最大周波数変化量以下に制限する周波数制限機能を有している請求項1ないし8のいずれか1つに記載の計測制御装置。
- 前記周波数算出部は、前記周波数制限機能の有効または無効を設定する操作部を備えている請求項9に記載の計測制御装置。
- 前記周波数算出部は、所定期間前から前記上極値が今回出現したタイミングまでの期間の前記脈動周波数との平均である脈動周波数平均値を算出し、
前記脈動誤差補正部は、前記周波数算出部により算出された前記脈動周波数平均値を用いて前記空気流量の補正を行う請求項1ないし10のいずれか1つに記載の計測制御装置。 - 前記周波数算出部は、所定期間前から前記上極値が今回出現したタイミングまでの期間の前記脈動周波数の中央値を算出し、
前記脈動誤差補正部は、前記周波数算出部により算出された前記脈動周波数の前記中央値を用いて前記空気流量の補正を行う請求項1ないし10のいずれか1つに記載の計測制御装置。 - 前記上極値判定部は、前記出力値の時間変化を表す波形に前記上極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、前記上極値が前記下閾値以下になった場合、前記今回出現の前記上極値を否定判定してキャンセルする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の計測制御装置。
- 計測制御装置であって、
空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、
前記センシング部の出力値を用いて前記空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(59、81)と、
前記脈動状態算出部により算出された前記脈動状態を用いて前記空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備え、
前記脈動状態算出部は、
前記出力値の変化態様が減少から増加に切り替わる場合の前記出力値を下極値(Eb)と称すると、前記出力値が前記下極値になったか否かを判定する下極値判定部(81)を有し、
前記下極値判定部は、前記出力値の時間変化を表す波形に前記下極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、前記出力値が所定の上閾値(Ef)以上に上がらなかった場合には、前記今回出現の前記下極値を否定判定してキャンセルし、さらに、前記出力値に基づいて特定される前記空気流量、前記出力値に基づいて特定される脈動周波数および前記出力値に基づいて特定される脈動振幅の少なくとも1つに基づいて前記上閾値を更新する計測制御装置。 - 計測制御装置であって、
空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、
前記センシング部の出力値を用いて前記空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(59、81)と、
前記脈動状態算出部により算出された前記脈動状態を用いて前記空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備え、
前記脈動状態算出部は、
前記出力値の変化態様が減少から増加に切り替わる場合の前記出力値を下極値(Eb)と称すると、前記出力値が前記下極値になったか否かを判定する下極値判定部(81)と、前記出力値が前記下極値となる時間間隔に基づいて前記空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部(59)と、を有し、前記脈動周波数を含む前記脈動状態を算出し、
前記下極値判定部は、前記出力値の時間変化を表す波形に前記下極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、前記出力値が所定の上閾値(Ef)以上に上がらなかった場合には、前記今回出現の前記下極値を否定判定してキャンセルし、さらに、前記脈動状態に応じて変化する前記上閾値の参照値に基づいて前記上閾値を更新する計測制御装置。 - 計測制御装置であって、
空気流量に応じた信号を出力するセンシング部(22)と、
前記センシング部の出力値を用いて前記空気流量に生じる脈動の状態である脈動状態を算出する脈動状態算出部(59、81)と、
前記脈動状態算出部により算出された前記脈動状態を用いて前記空気流量の補正を行う脈動誤差補正部(61)と、を備え、
前記脈動状態算出部は、
前記出力値の変化態様が減少から増加に切り替わる場合の前記出力値を下極値(Eb)と称すると、前記出力値が前記下極値になったか否かを判定する下極値判定部(81)と、前記出力値が前記下極値となる時間間隔に基づいて前記空気流量に生じる脈動の脈動周波数を算出する周波数算出部(59)と、を有し、前記脈動周波数を含む前記脈動状態を算出し、
前記下極値判定部は、前記出力値の時間変化を表す波形に前記下極値が前回出現したタイミングから今回出現したタイミングまでの期間に、前記出力値が所定の上閾値(Ef)以上に上がらなかった場合には、前記今回出現の前記下極値を否定判定してキャンセルし、さらに、所定期間前から前記下極値が今回出現したタイミングまでの期間で前記下極値の判定に用いた前記上閾値を用いて前記上閾値を更新する計測制御装置。
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