JP7207887B2 - 水硬性組成物用空気連行剤 - Google Patents

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Description

本発明はロジン酸化合物と特定の窒素原子含有基を有する化合物を含有する水硬性組成物に使用する空気連行剤に関する。
コンクリート用空気連行剤(以下、AE剤とも称する)は空気量調整剤とも称され、コンクリートの製造時に減水剤など他の混和剤と合わせて一般に使用される。
コンクリート用AE剤として古くから使用されているロジン石鹸系物質は、コンクリートの耐凍害性(凍結融解抵抗性)を向上する目的で使われている。
例えば特許文献1には、ロジン物質にα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られた物質に多価アルコールや多価アミンを反応させ、得られた物質をアルカリ金属の水酸化物等により中和したロジン誘導体系の石ケン系組成物質からなるコンクリート用空気連行剤が開示されている。同文献には、前記コンクリート用空気連行剤が、凍結・融解現象に起因する損傷に対して従来品と同等以上の抵抗性を有するとしている。
特開昭57-166352号公報
コンクリート用AE剤は、適宜水で10~200倍程度に希釈され、製造現場で貯蔵され、使用に供する事が多い。これは、コンクリート用AE剤が各種コンクリートの製造条件によって1バッチあたりの使用量が異なること、またAE剤別添装置の仕込み槽容量や計量器の流量範囲などが使用者や設備によって様々であることなどの諸事情による。
AE剤として上述のロジン石鹸系物質を使用する際、上記の通り希釈された状態で貯蔵すると、希釈に供する水の水質により、具体的には高硬度の水の使用により、ロジン石鹸中に含まれる原料ロジン酸の一部が硬水中のカルシウム分と反応し、凝集物が生じることがある。生じた凝集物は、AE剤別添装置の仕込み槽で浮遊し内壁に付着したり、沈殿して配管閉塞等のトラブルを引き起こし得る。この配管閉塞は、特にコンクリート製造現場での空気量管理トラブルにも繋がり得、また配管閉塞や凝集物の内壁への付着のために、配管や計量器の洗浄作業の頻度が増えるなど、人件費の増加や危険作業の増加にもつながり得る。
またAE剤は、AE剤単体としての品質要求のみにとどまらず、併用される減水剤との混合性や、減水剤併用の際の性能の安定性など、他の水硬性組成物用添加剤と併用時の要求性能も高い。
本発明は、上記問題点を鑑みなされたものであり、硬水希釈・貯蔵時の凝集物の生成を抑制して硬水希釈安定性を向上させた、ロジン酸化合物を含有する水硬性組成物用の空気連行剤の提供を課題とする。
また本発明は、減水剤との混合性に優れ、減水剤との併用時においてもその機能を安定的に発揮し、減水剤への内添を可能とする、ロジン酸化合物を含有する水硬性組成物用の空気連行剤の提供を課題とする。
また本発明は、空気量の経時安定化を実現可能とする、ロジン酸化合物を含有する水硬性組成物用の空気連行剤の提供を課題とする。
そして本発明は、耐凍害性の向上を実現可能とする、ロジン酸化合物を含有する水硬性組成物用の空気連行剤の提供を課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ロジン酸化合物と特定の窒素原子含有基を有する化合物を含みて構成される空気連行剤が、該空気連行剤を硬水にて希釈した際においても凝集することなく、安定に貯蔵できることを見出した。
また本発明者らは、上記ロジン酸化合物と特定の窒素原子含有基を有する化合物を含有する空気連行剤が、減水剤への内添を可能とし、空気量の経時安定化および耐凍害性の向上をも可能となることを見出した。
そしてこれらを水硬性組成物に併用することにより、硬水希釈後14日経過後においても浮遊物や沈殿を生じることなく、また空気量の調整に優れ、さらに気泡間隔係数が小さく凍結融解抵抗性に優れたものとすることができること見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、下記(A)及び(B):
(A)ロジン石鹸
(B)3級アミノ基、4級アンモニウム基及びアミンオキシド基から選ばれる1種以上の窒素原子含有基を有し、分子量が2,000未満の化合物
を含有することを特徴とする、水硬性組成物用空気連行剤を対象とする。
本発明の水硬性組成物用空気連行剤において、前記(B)化合物は、前記窒素原子含有基に、炭素原子数4乃至30の飽和又は不飽和の一価の炭化水素基が結合してなる化合物であるか、前記窒素原子含有基に、炭素原子数4乃至30の飽和又は不飽和の一価の炭化水素基が結合してなり、前記炭化水素基がエーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を更に含む化合物であることが好ましい。
より具体的には、前記(B)化合物は、下記式(1)乃至式(3)で表される化合物のからなる群から選択される一種又は二種以上であることが好ましい。
-X-N(-R)(-R)(-R)・Y ・・・式(1)
(式(1)中、
は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよく、
Xは単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、
乃至Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基又は-(OA)a-Hで表される基を表し、OAは炭素原子数2乃至4のオキシアルキレン基を表し、aは1~100を表し、
Yは一価のアニオンを表す。)
11-X-N(-R12)(-R13) ・・・式(2)
(式(2)中、
11は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよく、
は単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、
12及びR13は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基を表す。)
21-X-N(-R22)(-R23)(-O) ・・・式(3)
(式(3)中、
21は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよく、
は単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、
22及びR23は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基を表す。)
また本発明の水硬性組成物用空気連行剤において、前記(B)化合物がカチオン界面活性剤であることが好ましい。
また好ましい態様において、本発明の水硬性組成物用空気連行剤は、前記(A)ロジン石鹸と前記(B)化合物が、質量比で、(A):(B)=50~99:50~1にて含有する。
また本発明の水硬性組成物用空気連行剤において、前記(A)ロジン石鹸が、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジン、水添ロジン、不均化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、及び重合ロジンからなる群から選択される少なくとも一種のロジンより得られる、少なくとも一種のロジン酸のカリウム塩又はナトリウム塩であることが好ましい。
さらに本発明の水硬性組成物用空気連行剤は、(C)成分として非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。
そして本発明は、水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせであって、
下記(A)及び(B)の組み合わせからなるものをも対象とする。
(A)ロジン石鹸
(B)3級アミノ基、4級アンモニウム基及びアミンオキシド基から選ばれる1種以上の窒素原子含有基を有し、分子量が2,000未満の化合物。
本発明により、(A)ロジン酸化合物及び(B)特定の窒素原子含有基を有する化合物を含有する水硬性組成物用の空気連行剤において、硬水希釈・貯蔵時においても凝集物の生成を抑制でき、該空気連行剤の硬水希釈安定性を向上させることができるという効果を奏する。
また本発明の空気連行剤は減水剤との混合性に優れ減水剤への内添が可能であるという効果を奏する。そしてコンクリート組成物に対して減水剤と併用した場合においても、高い減水性と優れた空気連行性といったそれらの機能を安定的に発揮できるという効果を奏する。
さらに本発明の空気連行剤は、これを配合した水硬性組成物において、空気量の経時安定化を実現できるという効果を奏する。
そして本発明の空気連行剤は、これを配合した水硬性組成物において、気泡間隔係数が小さく、耐凍害性を向上できるという効果を奏する。
加えて本発明の空気連行剤は、さらに非イオン性界面活性剤と組み合わせた態様とすることにより、硬水の希釈安定性を向上させるとともに、これらを配合したコンクリート組成物において、空気量の経時安定化や、気泡間隔係数をより小さくすることができるという効果を奏する。
また本発明の水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせにおいては、前記(A)ロジン酸化合物と(B)化合物(特定の窒素原子含有基を有する化合物)との相溶性に優れることから、現場での投入時に両成分が分離を起こすことなく使用に供することができるものである。
[成分(A):ロジン石鹸]
本発明の水硬性組成物用空気連行剤又は水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせに使用する(A)ロジン石鹸において、原料となるロジン酸は特に限定されない。例えばロジン酸としては、ガムロジン、ウッドロジン、及びトールロジンなどの天然ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、及び重合ロジンなどの変性ロジン等、種々のロジンから得られるロジン酸を挙げることができ、これらのカリウム塩やナトリウム塩をロジン石鹸として使用することができる。
中でもロジン石鹸として、トールロジン並びにガムロジンから得られるロジン酸のカリウム塩又はナトリウム塩を好適に使用できる。
[成分(B):3級アミノ基、4級アンモニウム基及びアミンオキシド基から選ばれる1種以上の窒素原子含有基を有し、分子量が2,000未満の化合物]
本発明の水硬性組成物用空気連行剤又は水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせに使用する上記(B)化合物は、3級アミノ基、4級アンモニウム基及びアミンオキシド基から選ばれる1種以上の窒素原子含有基を有し、分子量が2,000未満の化合物であれば特に限定されず、例えばカチオン界面活性剤を挙げることができる。
中でも好適な(B)化合物として、前記窒素原子含有基に、炭素原子数4乃至30の飽和又は不飽和の一価の炭化水素基が結合してなる化合物、あるいは、前記窒素原子含有基に、炭素原子数4乃至30の飽和又は不飽和の一価の炭化水素基が結合してなり、該炭化水素基がエーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を更に含む化合物を挙げることができる。上記炭素原子数4乃至30の飽和又は不飽和の一価の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
また(B)化合物の分子量は、より好ましくは800以下であり、さらに好ましくは500以下である。
特に好適な(B)化合物の具体例としては、下記式(1)で表される4級アンモニウム基を含有する化合物、式(2)で表される3級アミノ基を含有する化合物、そして式(3)で表されるアミンオキシド基を含有する化合物を挙げることができる。本発明にあっては、これらを一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
-X-N(-R)(-R)(-R)・Y ・・・式(1)
式(1)中、Rは炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよい。Xは単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、R乃至Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基又は-(OA)a-Hで表される基を表し、OAは炭素原子数2乃至4のオキシアルキレン基を表し、aは1~100を表し、Yは一価のアニオンを表す。
11-X-N(-R12)(-R13) ・・・式(2)
式(2)中、R11は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよい。Xは単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、R12及びR13は、それぞれ独立して、
炭素原子数1乃至5のアルキル基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基を表す。
21-X-N(-R22)(-R23)(-O) ・・・式(3)
式(3)中、R21は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよい。Xは単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、R22及びR23は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基を表す。
上記式中、R、R11、R21における炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基としては、上記炭素原子数を有するアルキル基及びアルケニル基(下記の炭素原子数4乃至25のアルキル基、炭素原子数4乃至25のアルケニル基参照)等が挙げられる。
上記該炭化水素基は、エーテル結合(-O-)、エステル結合(-C(=O)-O-、-O-C(=O)-)、アミド結合(-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基を含んでいてもよい。
上記炭素原子数4乃至25のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基が挙げられ、これらは分岐鎖、環状鎖を含んでいてもよい。
また上記炭素原子数4乃至25のアルケニル基としては、ブタニル基、ペンタニル基、ヘキサニル基、ヘプタニル基、オクタニル基、ノナニル基、デカニル基、ウンデカニル基、ドデカニル基、トリデカニル基、テトラデカニル基、ペンタデカニル基、ヘキサデカニル基、ヘプタデカニル基、オクタデカニル基、ノナデカニル基、エイコサニル基、ヘンエイコサニル基、ドコサニル基、トリコサニル基、テトラコサニル基、ペンタコサニル基が挙げられ、これらは分岐鎖、環状鎖を含んでいてもよい。
また-(OA)a-Hで表される基の好ましい態様としては、OAが炭素原子数2又は3のオキシアルキレン基であり、aが1~50のものであり、中でもOAがオキシエチレン基であり、aが1~30のものがより好ましい。
X、X、Xにおける炭素原子数1乃至5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、1-メチルトリメチレン基、ペンタメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基等の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を挙げることができる。
また炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基は、上記アルキレン基において1以上の水素原子がヒドロキシ基に置換された基を挙げることができる。
上記R乃至R、R12及びR13、R12及びR13における炭素原子数1乃至5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、sec-イソアミル基、シクロペンチル基等の、直鎖状、分岐鎖状、環状、並びにこれらの組み合わせからなるアルキル基を挙げることができる。
また上記炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基としては、上記アルキル基におい
て1以上の水素原子がヒドロキシ基に置換された基を挙げることができる。
上記Yにおける一価のアニオンは、4級アンモニウム塩を構成するアニオンであれば特に限定されず、塩素、臭素、よう素等のハロゲン原子、または、カルボン酸アニオン、硝酸アニオン、硫酸水素アニオン、アルキル硫酸アニオン、リン酸アニオン等のアニオン性原子団が挙げられる。
中でも好適な化合物として、上記式(1)で表される4級アンモニウム基を含有する化合物にあっては、Rが炭素原子数12乃至22のアルキル基又はアルケニル基であって、エーテル結合又はアミド結合を含んでいてもよく、Xは単結合、炭素原子数1乃至3のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至3のヒドロキシアルキレン基を表し、R乃至Rがそれぞれ独立してメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基又は-(OA)a-Hで表される基においてOAがオキシエチレン基でありaが1~30である基を表す化合物を挙げることができる。中でも、Rがエーテル結合を有する場合には、Xはヒドロキシプロピレン基を表すことが好ましく、Rがアミド結合を有する場合にはXは炭素原子数1乃至3のアルキレン基を表すことが好ましい。
また式(2)で表される3級アミノ基を含有する化合物にあっては、R11が炭素原子数12乃至22のアルキル基又はアルケニル基であって、エーテル結合又はアミド結合を含んでいてもよく、Xは単結合、炭素原子数1乃至3のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至3のヒドロキシアルキレン基を表し、R12及びR13がそれぞれ独立してメチル基、エチル基、又はヒドロキシエチル基を表す化合物を挙げることができる。中でも、R11がエーテル結合を有する場合には、Xはヒドロキシプロピレン基を表すことが好ましく、R11がアミド結合を有する場合にはXは炭素原子数1乃至3のアルキレン基を表すことが好ましい。
そして式(3)で表されるアミンオキシド基を含有する化合物にあっては、R21が炭素原子数12乃至22のアルキル基又はアルケニル基であってエーテル結合又はアミド結合を含んでいてもよく、Xは単結合、炭素原子数1乃至3のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至3のヒドロキシアルキレン基を表し、R22及びR23がそれぞれ独立してメチル基、エチル基、又はヒドロキシエチル基を表す化合物を挙げることができる。中でも、R21がエーテル結合を有する場合には、Xはヒドロキシプロピレン基を表すことが好ましく、R21がアミド結合を有する場合にはXは炭素原子数1乃至3のアルキレン基を表すことが好ましい。
さらに好適な化合物として、上記式(1)で表される4級アンモニウム基を含有する化合物にあっては、Rが炭素原子数12乃至16のエーテル(-O-)結合を含有し得るアルキル基であり、Xが単結合又は炭素原子数1乃至3のヒドロキシアルキレン基であって、特にRがエーテル結合を有する場合にはXはヒドロキシプロピレン基であり、R乃至Rがそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基である化合物を挙げることができる。
また式(2)で表される3級アミノ基を含有する化合物にあっては、R11が炭素原子数16乃至17の、アミド(-CONH-)結合を含有し得るアルキル基であり、Xが単結合又は炭素原子数1乃至3のアルキレン基であって、特にR11がアミド結合を有する場合にはXは炭素原子数2乃至3のアルキレン基であり、R12及びR13が夫々独立して、メチル基、エチル基である化合物を挙げることができる。
そして式(3)で表されるアミンオキシド基を含有する化合物にあっては、R21が炭素原子数12のアルキル基であり、Xが単結合であり、R22及びR23がメチル基である化合物を挙げることができる。
[成分(C):非イオン界面活性剤]
本発明の水硬性組成物用空気連行剤は、さらに成分(C)として非イオン界面活性剤を
含み得る。また、本発明が対象とする水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせにおいて、前記(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに(C)成分を含む組み合わせであってよい。(C)成分の配合により、硬水希釈時におけるロジン石鹸由来の凝集物の析出温度を下げることができ、より一層の硬水希釈の安定化効果を得る事ができる。
上記非イオン界面活性剤は特に限定されず、たとえば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキルアミン;脂肪酸アルカノールアミド;ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド;ポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;アルキルグリセリンエーテル;ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル;アルキルポリグルコシド;ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらの非イオン界面活性剤のうちでも好適なものとして、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル等を挙げることができる。
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば下記式(4)で表される直鎖又は分岐鎖アルコールのアルキレンオキサイド付加物を挙げることができる。
41-O-(AO)n-R42 ・・・式(4)
上記式(4)中、R41は炭素原子数1乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、R42は水素原子又は炭素原子数1乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表す。
またAOは炭素原子数2乃至4の二価のアルキレンオキサイド基を表し、nはアルキレンオキサイドAOの平均付加モル数であって1乃至200の数を表し、但しnが2以上であるとき、AOは同一のアルキレンオキシ基、又は異なるアルキレンオキシ基のいずれであってもよい。
上記炭素原子数1乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基としては、炭素原子数1乃至25のアルキル基、炭素原子数2乃至25のアルケニル基等が挙げられる。
上記炭素原子数1乃至25のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基が挙げられ、これらは分岐鎖、環状鎖を含んでいてもよい。
また上記炭素原子数2乃至25のアルケニル基としては、エテニル基、プロピニル基、ブタニル基、ペンタニル基、ヘキサニル基、ヘプタニル基、オクタニル基、ノナニル基、デカニル基、ウンデカニル基、ドデカニル基、トリデカニル基、テトラデカニル基、ペンタデカニル基、ヘキサデカニル基、ヘプタデカニル基、オクタデカニル基、ノナデカニル基、エイコサニル基、ヘンエイコサニル基、ドコサニル基、トリコサニル基、テトラコサニル基、ペンタコサニル基が挙げられ、これらは分岐鎖、環状鎖を含んでいてもよい。
中でも好適な化合物として、式(4)で表される化合物において、R41が炭素原子数12乃至24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、R42が水素原子であり、AOがエチレンオキシ基であり、そしてnが6乃至60を表す化合物を挙げることができる。
[本発明の水硬性組成物用空気連行剤、水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせ]
本発明の水硬性組成物用空気連行剤あるいは水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせにおいて、前記(A)ロジン石鹸と前記(B)化合物の配合割合は特に限定されない。例えば質量比で、(A):(B)=50~99:50~1の割合((A)+(B)の合計は100である)にて含むことができ、好ましい態様として(A):(B)=60~95:40~5の割合にて、例えば70~90:30~10の割合にて含むことができる。
また本発明の水硬性組成物用空気連行剤水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせにおいて、前記(C)成分を含む場合、その配合割合も特に限定されないが、例えば質量比で、[(A)+(B)]:(C)=70~99:30~1([(A)+(B)]+(C)の合計は100である)にて含むことができ、好ましい態様として(A)+(B):(C)=75~95:5~25の割合にて含むことができる。
本発明の水硬性組成物用空気連行剤あるいは水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせは、セメント質量に対して、又は混和材として炭酸カルシウムや、フライアッシュ等のポゾラン質微粉末を併用する場合には、セメントと炭酸カルシウム、フライアッシュ等の合計質量に対して、固形分換算にて、通常0.0001~10質量%の範囲で用いられ、たとえば0.001~5質量%の範囲(前記組み合わせの場合は合計質量)で用いられる。
[その他添加剤]
本発明の水硬性組成物用空気連行剤あるいは水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせは、公知公用の水硬性組成物用の化学混和剤等を適宜採用して組み合せることができる。具体的には、従来公知のセメント分散剤、高性能AE減水剤、高性能減水剤、AE減水剤、減水剤、空気連行剤(AE剤)、起泡剤、消泡剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、分離低減剤、増粘剤、収縮低減剤、養生剤、撥水剤等からなる群から選択される少なくとも一種の他のコンクリート添加剤を配合することができる。
なお本発明が対象とする水硬性組成物用空気連行剤あるいは水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせとは、例えば
i)上記(A)ロジン石鹸と、上記(B)化合物と、所望により(C)非イオン界面活性剤からなる一液化した水硬性組成物用空気連行剤、
ii)該水硬性組成物用空気連行剤にさらに公知のコンクリート添加剤を配合した形態、iii)コンクリート製造時に、上記(A)ロジン石鹸と、上記(B)化合物と、所望により(C)非イオン界面活性剤が個々に添加される形態、
iv)コンクリート製造時に、上記(A)ロジン石鹸と、上記(B)化合物と、所望により(C)非イオン界面活性剤と、さらに公知のコンクリート添加剤が個々に添加される形態、
v)コンクリート製造時に、前記コンクリート添加剤を含む上記(A)ロジン石鹸と、上記(B)化合物と、所望により上記(C)非イオン界面活性剤が個々に添加される形態、vi)コンクリート製造時に、上記(A)ロジン石鹸と、前記コンクリート添加剤を含む上記(B)化合物と、所望により(C)非イオン界面活性剤が個々に添加される形態、
vii)コンクリート製造時に、上記(A)ロジン石鹸と、上記(B)化合物と、所望により前記コンクリート添加剤を含む上記(C)非イオン界面活性剤が個々に添加される形態、及び、
viii)コンクリート製造時に、前記コンクリート添加剤を含む上記成分(A)ロジン石鹸と、前記コンクリート添加剤を含む上記(B)化合物と、所望により上記(C)非イオン界面活性剤又は前記コンクリート添加剤を含む上記(C)非イオン界面活性剤が、個々に添加される形態の何れをも含み、これらに限定されない。
例えば公知のセメント分散剤としては、特公昭59-18338号公報、特許第2628486号公報、特許第2774445号公報等に記載のポリカルボン酸系共重合体の塩があり、またナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、リグニンスルホン酸塩、グルコン酸ソーダ、糖アルコールも挙げられる。
また空気連行剤を具体的に例示すると、アニオン界面活性剤(α-オレフィンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、樹脂石鹸等)、ノニオン系空気連行剤、及び両性系空気連行剤が挙げられる。
凝結遅延剤を例示すると、無機質系凝結遅延剤、有機質系凝結遅延剤が挙げられる。
促進剤としては、無機系促進剤、有機系促進剤が挙げられる。
増粘剤・分離低減剤を例示すると、セルロース系水溶性高分子、ポリアクリルアミド系水溶性高分子、バイオポリマー、非イオン系増粘剤などが挙げられる。
消泡剤を例示すると非イオン系消泡剤類、シリコーン系消泡剤類、高級アルコール類、これらを主成分とした混合物などが挙げられる。
本発明の水硬性組成物用空気連行剤あるいは水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせは、水硬性組成物において好適に使用され、フライアッシュをはじめ、シンダアッシュ、クリンカアッシュ、ボトムアッシュ等の石炭灰、シリカフューム、シリカダスト、溶融シリカ微粉末、高炉スラグ、火山灰、珪酸白土、珪藻土、メタカオリン、シリカゾル、沈降シリカ等のポゾラン質微粉末を含有する水硬性組成物に対しても、好適に使用される。
本発明の水硬性組成物用空気連行剤あるいは水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせが例えばセメント組成物に適用される場合、該セメント組成物を構成する成分は、従来慣用のコンクリート用成分であり、セメント(例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、低熱・中庸熱ポルトランドセメント又は高炉セメント等)、骨材(すなわち細骨材及び粗骨材)、混和材(例えばシリカフューム、炭酸カルシウム粉末、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等)、膨張材及び水を挙げることができる。
また本発明の水硬性組成物用空気連行剤あるいは水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせ以外の混和剤で、調合時に別に添加できる混和剤としては、前記の公知公用のコンクリート添加剤、例えば空気連行剤、凝結遅延剤、促進剤、分離低減剤、増粘剤、消泡剤、収縮低減剤等があり、これらも適宜配合し得る。それら各成分の配合割合は選択された成分の種類や使用目的に応じて適宜決定され得る。
本発明の水硬性組成物用空気連行剤あるいは水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせは、希釈・貯蔵時の凝集物の生成抑制効果、空気量の経時安定化や耐凍害性の向上効果とともに、自身の一液性又は相溶性に優れるだけでなく、これらと水との相溶性にも優れる。
すなわち水/粉体比の適用範囲が広く、水/粉体比(質量%)で60~15%の種々の強度を有するコンクリートに適用可能である。
本発明の水硬性組成物用空気連行剤あるいは水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせの使用方法は、一般のセメント分散剤等の混和剤の場合と同様であり、コンクリート混練時に原液添加するか、予め混練水に希釈して添加する。あるいはコンクリート又はモルタルを練り混ぜた後に添加し、再度均一に混練してもよい。
以下実施例により本発明を説明する。ただし本発明は、これらの実施例及び比較例によ
って何ら制限されるものではない。
[(A)ロジン石鹸]
<原料ロジン>
ガムロジン :酸価170mgKOH、軟化点78.5℃、
トールロジン:酸価177mgKOH、軟化点74.6℃
<ロジン石鹸の製造>
撹拌機および温度計を備えた反応容器内に、水4,000部、48%水酸化カリウム水溶液350部を仕込み、内温85℃まで昇温した。温度到達後、原料ロジン(ガムロジン又はトールロジン)を1,000部仕込んだ。内温を90℃まで昇温し、撹拌を継続することで原料ロジンを完全溶解させ、ロジン石鹸を得た。得られたロジン石鹸について、それぞれ1%水溶液のpHが10.5~11.5の範囲におさまるよう、適宜48%水酸化カリウム水溶液の仕込み量でpHを調整した。
[(B)窒素原子含有基を有する化合物]
(B)窒素原子含有基を有する化合物として、表1に記載のB1~B12化合物を使用した。
Figure 0007207887000001
[(C)界面活性剤]
(C)界面活性剤として、表2に記載のC1~C4化合物を使用した
Figure 0007207887000002
[その他添加剤]
その他添加剤として、アニオン系空気連行剤であるα-オレフィンスルホン酸ナトリウム(S1)、トール油脂肪酸ナトリウム(S2)を使用した。
[水硬性組成物用空気連行剤の調製]
前述の<ロジン石鹸の製造>におけるpH調整後、表5の成分並びに配合比(固形分比)に従い、成分(B)および(C)、さらにその他添加剤(S1、S2)を仕込み、混合撹拌し、実施例の水硬性組成物用空気連行剤を得た。
なお(B)成分、(C)成分、その他添加剤(S1、S2)を添加した実施例の水硬性組成物用空気連行剤にあっては、各成分が均一に混合し、相溶性に優れることを確認した。
≪硬水希釈安定性の評価≫
実施例及び比較例の各水硬性組成物用空気連行剤を、硬度 90mg/Lの水で50倍に希釈して所定の期間静置し、浮遊物の有無(14日経過後)、沈殿の有無(3日及び14日経過後)を目視で観察し、以下の基準により評価した。得られた結果を表5に合わせて示す。
〈評価基準〉
○・・・霞があるが、沈殿は生じていない
△・・・霞みがあり、わずかに沈殿を生じている
×・・・白濁、沈殿を生じている。
≪モルタル空気量測定≫
JIS R 5201の規定に従い、下記表3に示すモルタル配合にてモルタルを調製し、モルタル試験に供した。各水硬性組成物用空気連行剤(使用量:セメント(C)質量に対する添加量:0.005質量%)は練り水の一部として計量した。
詳細には、モルタルの練り混ぜにはハイパワーミキサー((株)丸東製作所製)を使用し、はじめに練り水とセメントを低速で30秒間練り混ぜたのち、細骨材を投入し低速で30秒練り混ぜた。その後高速で30秒練り混ぜたのちに撹拌を停止し、90秒間静置した。静置開始から15秒間で容器の壁に付着したモルタルを掻き落とし、静置後、高速で60秒練り混ぜを行った。練り混ぜ完了直後(0分)及び完了後30分経過後(30分)に、空気量を測定した。
空気量の測定には全質量方式を採用し、メスシリンダーを用いて測定した結果より、下記式により空気量を算出した。得られた結果を表5に合わせて示す。
空気量(%)=[1-(モルタル質量)/(配合から求める空気量0%でのモルタル質量)]×100
Figure 0007207887000003
≪気泡間隔係数の測定≫
コンクリートの耐凍害性は、一般に、硬化コンクリートの気泡径分布と関連することが認められている。例えばコンクリート空気量が同一であっても、気泡径が小さく気泡の個数が多い(すなわち気泡間隔係数が小さい)コンクリートでは、水の凍結膨張圧が緩和され、コンクリート内部の応力を緩和するために耐凍害性に優れることが知られている。反対に、連行空気の気泡径が大きく、気泡の個数が少ない(すなわち気泡間隔係数が大きい)コンクリートでは耐凍害性が低下する。
本発明では、こうした知見に基づき、凍結融解に対する抵抗性の指標として、硬化体の気泡間隔係数を評価した。
事前にコンクリートの試し練りを行い、空気量が4.0~5.0%となる上記の各水硬性組成物用空気連行剤の使用量を決定(粉体(B)質量に対する添加量:0.003~0.020%)し、試験を行った。
AE減水剤(シーカメントJ:日本シーカ(株)製、密度1.05g/cm)はセメントとフライアッシュの合計に対して有り姿で1.0%とし、水硬性組成物用空気連行剤と減水剤を予め加えて調製した練り混ぜ水を、セメント、フライアッシュ、細骨材および粗骨材に加え、55リットル強制二軸ミキサを使用し90秒間練り混ぜた。コンクリートを排出し、下記手順にて気泡間隔係数の測定を行った。なお試験に供したコンクリートの各材料の単位量を表4に示す。
Figure 0007207887000004
前述の手順にて作製したフレッシュコンクリートを、φ10cm×20cmのプラスチックモールドに充填し硬化させ、供試体を作製した。供試体の中央部を約φ10×1~2cmに切断し、両面に研磨を施した後、硬化コンクリートの気泡間隔係数の測定に用いた。
気泡間隔係数は、ASTM C 457-98「Microscopical Determination of Parameters of the Air-Void
System in Hardened Concrete」(顕微鏡による硬化コンクリートの気泡システムによるパラメータと空気量の測定方法)の手順に従い求めた。
得られた結果を表5に合わせて示す。
なお凍結融解に対する抵抗性の指標として気泡間隔係数は、200μm以下(コンクリート便覧:(社)日本コンクリート工学協会、ACIの推奨値)又は250~300μm以下(コンクリートの科学と技術:山海堂;村田二郎ら著)とされている。但し、これらの値は推奨値であり、打設されたコンクリートの環境条件によっては、この値より大きくても凍結融解に対する抵抗性は良好であったり、小さくても過酷な環境では、抵抗性が劣る場合もある。
Figure 0007207887000005
表5に示すように、本発明の水硬性組成物用空気連行剤である実施例1~19においては、14日経過後においても浮遊物が確認されず、また3日後においても沈殿は確認されず、14日経過後においても概ね沈殿が生じないとする結果となった。一方、成分(B)を含まない比較例1及び比較例2にあっては、3日後に既に沈殿が生じる結果となり、本発明の水硬性組成物用空気連行剤が硬水希釈・貯蔵時における凝集物の生成抑制効果を有することが確認された。
また実施例1~19は、比較例1及び比較例2と比べて、30分経過後の空気量の経時安定化に優れる点が確認され、また気泡間隔係数が小さく耐凍害性に優れることが示唆される結果となった。
中でも、成分(B)としてB4、B5、B10及びB11を使用した水硬性組成物用空
気連行剤は、優れた硬水希釈安定性(浮遊物や沈殿を確認せず)、空気量の経時安定化、さらには200μm以下の気泡間隔係数の値(推奨値以下)を示し凍結融解に対する抵抗性が非常に良好であるとする結果となった。
さらに成分(C)を添加した実施例14~17にあっては、これらを配合しない実施例13と比べると14日経過後に沈殿が生じず、硬水希釈安定性に優れ、耐凍害性に優れることが示唆されることに加え、空気連行性がより一層優れる結果となった。なお、その他添加剤を配合した実施例18及び19においても実施例13と比べ硬水希釈安定性に優れることが示唆される結果となった。
以上の通り、本発明の水硬性組成物用空気連行剤並びに水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせは、硬水希釈・貯蔵時においても凝集物の生成を抑制でき、該空気連行剤の硬水希釈安定性を向上させることができる。
また本発明の水硬性組成物用空気連行剤並びに水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせは、減水剤との混合性に優れ、減水剤への内添が可能であり、コンクリート組成物に対して減水剤と併用した場合においても、高い減水性と優れた空気連行性といったそれらの機能を安定的に発揮できる。
さらに本発明の空気連行剤は、これを配合した水硬性組成物において、空気量の経時安定化を実現でき、また気泡間隔係数が小さく、耐凍害性を向上できる。

Claims (5)

  1. 下記(A)及び(B):
    (A)ロジン石鹸
    (B)3級アミノ基、4級アンモニウム基及びアミンオキシド基から選ばれる1種以上の窒素原子含有基を有し、分子量が2,000未満のカチオン界面活性剤
    を含有することを特徴とし、
    前記(A)ロジン石鹸と前記(B)カチオン界面活性剤を、質量比で、(A):(B)=50~99:50~1にて含有する、水硬性組成物用空気連行剤であって、
    前記(B)カチオン界面活性剤が、下記式(1)乃至式(3):
    -X-N(-R)(-R)(-R)・Y ・・・式(1)
    11-X-N(-R12)(-R13) ・・・式(2)
    21-X-N(-R22)(-R23)(-O) ・・・式(3)
    (式(1)中、
    は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよく、
    Xは単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、
    乃至Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基、又は-(OA)a-Hで表される基を表し、OAは炭素原子数2乃至4のオキシアルキレン基を表し、aは1~100を表し、
    Yは一価のアニオンを表す。
    式(2)中、
    11は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよく、
    は単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、
    12及びR13は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基を表す。
    式(3)中、
    21は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよく、
    は単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、
    22及びR23は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基を表す。)
    で表される化合物からなる群から選択される一種又は二種以上である、
    水硬性組成物用空気連行剤。
  2. 前記(A)ロジン石鹸が、
    ガムロジン、ウッドロジン、トールロジン、
    水添ロジン、不均化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、及び重合ロジン
    からなる群から選択される少なくとも一種のロジンに含まれる、少なくとも一種のロジン酸のカリウム塩又はナトリウム塩である、
    請求項1記載の水硬性組成物用空気連行剤。
  3. 前記(A)ロジン石鹸が、
    ガムロジン、ウッドロジン、トールロジン、
    水添ロジン、不均化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、及び重合ロジン
    からなる群から選択される少なくとも一種のロジンと、カリウム又はナトリウムの水酸化物との反応物である、
    請求項1に記載の水硬性組成物用空気連行剤。
  4. さらに(C)非イオン界面活性剤を含有する、
    請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の水硬性組成物用空気連行剤。
  5. 水硬性組成物用空気連行剤を調製するための組み合わせであって、
    下記(A)及び(B)を質量比で、(A):(B)=50~99:50~1にての組み合わせからなる。
    (A)ロジン石鹸
    (B)3級アミノ基、4級アンモニウム基及びアミンオキシド基から選ばれる1種以上の窒素原子含有基を有し、分子量が2,000未満のカチオン界面活性剤であって、
    前記(B)カチオン界面活性剤が、下記式(1)乃至式(3):
    -X-N(-R)(-R)(-R)・Y ・・・式(1)
    11-X-N(-R12)(-R13) ・・・式(2)
    21-X-N(-R22)(-R23)(-O) ・・・式(3)
    (式(1)中、
    は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよく、
    Xは単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、
    乃至Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基、又は-(OA)a-Hで表される基を表し、OAは炭素原子数2乃至4のオキシアルキレン基を表し、aは1~100を表し、
    Yは一価のアニオンを表す。
    式(2)中、
    11は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよく、
    は単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、
    12及びR13は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基を表す。
    式(3)中、
    21は炭素原子数4乃至25の不飽和結合を含んでもよい一価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基は、エーテル(-O-)結合、アミド(-CONH-)結合、及びエステル(-COO-)結合からなる群から選択される少なくとも一種の二価の基を含んでいてもよく、
    は単結合、炭素原子数1乃至5のアルキレン基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキレン基を表し、
    22及びR23は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、又は炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基を表す。)
    で表される化合物からなる群から選択される一種又は二種以上。
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