JP5805476B2 - 水硬性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は水硬性組成物に関する。
水硬性組成物硬化品(例えばコンクリート製品、モルタル製品、ペースト製品、石膏製品など)は、セメント及び/又は石膏、骨材、水、並びに分散剤(減水剤)等の材料を混練し、様々な型枠に打設(充填)し、養生(硬化)工程を経て得られる。
ところで、水硬性組成物硬化品を製造するための添加剤として、オキシカルボン酸が用いられている。オキシカルボン酸は通常、水硬性組成物の硬化を遅らせる添加剤として用いられる。例えば、特許文献1では、速硬性・速乾性に優れるとともに、屋外環境下で施工でき、屋外での長期供用においても優れた耐久性・耐候性を保持し続ける水硬性組成物を提供することを目的に、水硬性成分と、樹脂粉末とを含む水硬性組成物であって、樹脂粉末は、塩化ビニル/エチレン系共重合体の再乳化形樹脂粉末である水硬性組成物を用いる技術が開示されており、凝結遅延剤の一例として、酒石酸類、リンゴ酸類、クエン酸類、グルコン酸類などのオキシカルボン酸類が挙げられている。そして、実施例では凝結遅延剤として重炭酸ナトリウムとL-酒石酸二ナトリウムが使用されている。特許文献2には、オキシカルボン酸またはその塩と、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸およびクロトン酸から選ばれた1種または2種以上の単量体より生成された重合体をと含有するセメント添加粘性土用減水剤を使用して、セメントを添加した粘性土を流動化する方法が開示されている。
また、特許文献3には、オキシカルボン酸等の金属塩を含む生育阻害剤を、下水処理施設等におけるコンクリートやモルタル構造物に微量配合することにより、硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌の生育を有効に阻害し、これら細菌によるコンクリートやモルタル構造物の劣化を長期にわたり抑制する技術が開示されている。
特開2010−235362号公報 特開平9−31458号公報 特開2010−168329号公報
水硬性組成物硬化品の製造において、水硬性組成物の混練のしやすさ、打設時の型枠への充填性の向上等の作業性を向上するために高い初期流動性を有することが望ましい一方、型枠に打設(充填)後はできるだけ早い時間で養生を終了し脱型できることが生産性やエネルギー消費低減の観点から望ましい。特に、即時脱型や補修用途等では水硬性組成物は硬化遅延を生じずに早期に硬化することが望ましい。高い初期流動性を得るためには、分散剤の添加量を増量する方法が挙げられる。しかしながら、分散剤の添加量を多くすると硬化遅延が生じる傾向がある。
本発明の課題は、硬化遅延を生じることなく初期流動性に優れた水硬性組成物を提供することである。
本発明は、水と、水硬性粉体と、分散剤〔以下、(A)成分という〕と、タルトロン酸及び/又はその塩〔以下、(B)成分という〕とを含有し、(B)成分の含有量が水硬性粉体100重量部に対して、0.007〜0.15重量部である水硬性組成物に関する。
また、本発明は、水と、水硬性粉体と、分散剤とを含有する水硬性組成物に、タルトロン酸及び/又はその塩を水硬性粉体100重量部に対して、0.007〜0.15重量部配合して、水硬性組成物の硬化遅延を生じることなく初期流動性を向上する方法に関する。
本発明によれば、硬化遅延を生じることなく初期流動性に優れた水硬性組成物が提供される。
本発明者らは、硬化遅延剤として知られているオキシカルボン酸であっても、タルトロン酸及び/又はその塩は、分散剤と併用すると、混練後速やかに(例えば混練後13分後)硬化が始まり、硬化遅延を生じないばかりか、分散剤が有する効果以上に混練後の流動性が向上することを見出した。なお、特許文献1〜3には、オキシカルボン酸としてタルトロン酸が挙げられているが、実施例等で具体的に水硬性組成物に添加して用いられてはいない。
このような分散剤とタルトロン酸(又はその塩)の併用による効果が得られる理由については、詳細は不明であるが下記の如く推察している。水硬性組成物中にタルトロン酸が存在しない場合は、セメントのような水硬性粉体に水が接触した時点(接水)で、一定量の分散剤の水硬性粉体への吸着と、水と水硬性粉体との反応(いわゆる水和反応/この場合は特にエトリンガイトの生成反応)が協奏的かつ急激に進行する。そしてその結果、水硬性組成物の水中に存在する分散剤の濃度が接水直後にもかかわらず急激に低下する。すなわち、接水直後では水硬性粉体の表面に分散剤が吸着するため水硬性組成物の流動性を示すものの、接水直後に同時に進む水硬性粉体に含まれる鉱物の水和反応により分散剤が吸着した水硬性粉体表面に新たな結晶物が生成し、分散剤が結晶物に埋没するため、水硬性組成物の練り上がり後の初期においても流動性の効果が低下する。一方、水硬性組成物中にタルトロン酸が存在する場合は、タルトロン酸が、接水直後に分散剤よりも優先的に水硬性粉体の表面に吸着し、その結果、接水直後での水中に存在する分散剤の濃度低下を生じることがなく、水硬性組成物の練り上がり後の分散剤の有効濃度を高めることが出来るため、接水から時間が経過した練り上がり後で高い流動性を示すと考えられる。また、タルトロン酸が硬化遅延を生じさせず、いわゆる硬化遅延剤と異なる挙動を示す理由は、タルトロン酸と水硬性粉体との結合力が、他のオキシカルボン酸ほど強くなく、適度に水硬性粉体から離脱するために、水硬性粉体の水和反応を妨げないためと推定される。
本発明の水硬性組成物は、水と、水硬性粉体と、分散剤〔(A)成分〕と、タルトロン酸及び/又はその塩〔(B)成分〕とを含有する。
<(A)成分>
分散剤としては、水硬性粉体に用いられるものが挙げられ、具体的には、リン酸エステル系重合体、ポリカルボン酸系共重合体、スルホン酸系共重合体、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体、リグニン系重合体等の水硬性粉体用の分散剤として知られているものが挙げられる。中でも、水硬性組成物の流動性向上の観点から、ポリカルボン酸系共重合体、ナフタレン系重合体及びリグニン系重合体が好ましく、(B)成分を添加しない場合よりも添加した場合に硬化開始までの時間が短い点で、ナフタレン系重合体が好ましい。
ポリカルボン酸系共重合体としては、ポリアルキレングリコールとアクリル酸とのモノエステルと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールとマレイン酸等のカルボン酸との共重合体が挙げられる。
また、ナフタレン系重合体としては、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物[例えば花王(株)製マイテイ150]、メラミン系重合体としてはメラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物[例えば花王(株)製マイテイ150-V2]、フェノール系重合体としてはフェノールスルホン酸ホルムアルデヒド化合物(特許第1097647号に記載の化合物等)、リグニン系重合体としてはリグニンスルホン酸塩〔ボレガード社製ウルトラジンNA、日本製紙ケミカル(株)製サンエキス、バニレックス、パールレックス等〕が挙げられる。
(A)成分は、水硬性粉体100重量部に対して、有効分換算で0.05〜3重量部添加することが好ましく、0.1〜0.9重量部添加することがより好ましく、0.1〜0.7重量部添加することが更に好ましい。0.05重量部より多いと流動性が良好となり、3重量部以下で硬化遅延の抑制に優れる。更に、ポリカルボン酸系共重合体では、水硬性粉体100重量部に対して0.1〜0.3重量部添加することが更に好ましく、ナフタレン系重合体では、水硬性粉体100重量部に対して0.3〜0.5重量部添加することが更に好ましく、リグニン系重合体では、0.5〜0.7重量部添加することが更に好ましい。
<(B)成分>
(B)成分は、タルトロン酸及び/またはその塩である。具体的には、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0005805476
〔式中、M1、M2はそれぞれ独立にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、又は水素原子をあらわす。〕
式中、M1、M2のアルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが挙げられる。また、アルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンが挙げられる。アンモニウムイオンとしては、アンモニウム、トリエタノールアンモニウムなどが挙げられる。中でも水への溶解性の観点から、M1、M2はそれぞれ独立に水素原子、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる原子又はイオンが好ましい。
本発明の水硬性組成物において、(B)成分の含有量は、初期流動性を向上する観点から、水硬性粉体100重量部に対して、有効分換算で0.007〜0.15重量部であり、0.008〜0.1重量部が好ましく、0.01〜0.1重量部がより好ましく、0.02〜0.1重量部が更に好ましく、0.03〜0.1重量部がより更に好ましく、0.03〜0.07重量部がより更に好ましく、0.04〜0.07重量部がより更に好ましい。塩の場合は酸型で含有量を計算する。(B)成分の含有量は、水硬性組成物調製時の配合組成に基づく(B)成分の添加量から計算してもよい。
また、(A)成分と(B)成分の重量比〔(A)/(B)〕は、初期流動性を向上する観点から3.0〜60が好ましく、4.0〜45がより好ましく、4.0〜30が更に好ましく、4.0〜20がより更に好ましく、4.0〜18がより更に好ましく、6.0〜15がより更に好ましく、6.2〜10がより更に好ましい。(B)成分が塩の場合は酸型換算での含有量から重量比を計算する。
(A)成分と(B)成分は、予め(A)成分と(B)成分を混合して用いることが出来る。予め(A)成分と(B)成分を混合して用いる場合は、これらの混合物を分散剤組成物として調製することができる。
水硬性粉体は、セメントとして、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。セメント以外では、高炉スラグ、フライアッシュ、焼却灰、あるいは無水石膏、半水石膏等が挙げられる。これらは単独で用いることも、混合して用いることも出来る。
本発明の水硬性組成物は、水と、水硬性粉体と、(A)成分と(B)成分を含有するものである。水と、水硬性粉体と、分散剤とを含有する水硬性組成物に、タルトロン酸及び/又はその塩を水硬性粉体100重量部に対して、0.007〜0.15重量部配合することにより、水硬性組成物の硬化遅延を生じることなく初期流動性を向上することができる。水と水硬性粉体と(A)成分と(B)成分の配合の順序は任意に選択すればよい。例えば(A)成分と(B)成分と水と水硬性粉体を混合する方法、(A)成分と(B)成分と水とを予め混合して水硬性粉体に添加する方法等が挙げられる。水硬性組成物の初期流動性を向上する観点から(B)成分は水硬性粉体が接水する以前に水硬性粉体と混合することが好ましい。(B)成分の配合量は、水硬性粉体100重量部に対して、有効分換算で0.007〜0.15重量部であり、0.008〜0.1重量部が好ましく、0.01〜0.1重量部がより好ましく、0.02〜0.1重量部が更に好ましく、0.03〜0.1重量部がより更に好ましく、0.03〜0.07重量部がより更に好ましく、0.04〜0.07重量部がより更に好ましい。ここで、硬化遅延を生じないとは、水硬性組成物の調製において水硬性粉体と水が接触した時点から少なくとも15分後(接水15分後)には流動性がタルトロン酸及び/又はその塩を配合せず分散剤を使用した場合よりも増大しない状態となることであってよい。また、初期流動性が向上するとは、水硬性組成物混練終了時のスランプフロー値(測定法方法は後述の実施例に示す)がタルトロン酸及び/又はその塩を配合しない場合と比較して、1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であることであってよい。なお、炭酸リチウムなどの公知の硬化促進剤を添加した場合は、これを添加しない場合に比べて初期流動性が小さくなると考えられ、本発明は硬化促進とも異なる作用機構で効果を発現しているものと考えられる。
本発明の水硬性組成物では、初期流動性や硬化特性を阻害しない範囲でその他の添加剤(材)を含有することもできる。例えば、樹脂石鹸、飽和もしくは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルカンスルホネート、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル(塩)、蛋白質材料、アルケニルコハク酸、α−オレフィンスルホネート等のAE剤;起泡剤;増粘剤;珪砂;塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、沃化カルシウム等の可溶性カルシウム塩、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物等、硫酸塩、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸塩、チオ硫酸塩、蟻酸(塩)、アルカノールアミン等の早強剤又は促進剤;発泡剤;樹脂酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックス等の防水剤;高炉スラグ;流動化剤;ジメチルポリシロキサン系、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル系、鉱油系、油脂系、オキシアルキレン系、アルコール系、アミド系等の消泡剤;防泡剤;フライアッシュ;シリカヒューム;亜硝酸塩、燐酸塩、酸化亜鉛等の防錆剤;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系、β−1,3−グルカン、キサンタンガム等の天然物系、ポリアクリル酸アミド、ポリエチレングリコール、オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物もしくはこれとビニルシクロヘキセンジエポキシドとの反応物等の合成系等の水溶性高分子;(メタ)アクリル酸アルキル等の高分子エマルジョンが挙げられる。
本発明の水硬性組成物は、水及びセメントに代表される水硬性粉体を含有するものであり、例えばペースト、モルタル、コンクリート等である。本発明の水硬性組成物は、モルタルやコンクリートのように骨材を含有してもよい。骨材として細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
また、本発明の水硬性組成物は、セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、石膏スラリー用、軽量又は重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、トレーミー用、地盤改良用、グラウト用、寒中用等の何れの分野においても有用である。好ましくはコンクリート振動製品、セルフレベリング用、補修用、地盤改良用、グラウト用、寒中用の分野の生コンクリート、コンクリート、モルタルに好適に用いることができる。さらに好ましくはこれらのうち、型枠を使用するものでは即時脱型用途のコンクリートであり、型枠を使用しないものでは、水硬性組成物を塗布したりスプレーしたりする表面改良用途や美観向上用途のコンクリートやモルタルに用いることができる。
該水硬性組成物は、得られる硬化体の耐久性(長期強度)の観点から、水/水硬性粉体比〔スラリー中の水と水硬性粉体の重量百分率(重量%)、通常W/Pと略記されるが、粉体がセメントの場合、W/Cと略記される。〕が65重量%以下、更に60重量%以下、更に55重量%以下、より更に50重量%以下であることが好ましい。また、水硬性組成物の混練のしやすさ、打設時の型枠への充填性の向上等の作業性を向上する観点から、20重量%以上、更に30重量%以上が好ましい。従って、W/Pの範囲として、20〜65重量%、更に20〜60重量%、更に30〜55重量%、より更に30〜50重量%が好ましい。
<モルタルの調製及び評価>
(1)モルタルの調製
表1に示す配合条件で、モルタルミキサー((株)関西機器製作所製記号KC−8製造番号9193)を用いて、セメント(C)、細骨材(S)を投入し回転速度60回転/分で空練りを10秒行った。その後、表2に示した種類及び量(有効分換算の量である)の(A)成分(分散剤)及び(B)成分又はオキシカルボン酸等の成分と、さらに消泡剤〔商品名「消泡剤No.21」、花王(株)製〕を含む練り水(W)を加え、回転速度60回転/分にて120秒本混練りした。空気連行量は2±1%となるよう消泡剤添加量にて調整した。消泡剤の最大添加量は、0.5gとして調整した。比較例1−1及び1−2は、消泡剤を0.5g加えても空気連行量を調整できなかったので、それ以上の空気連行量の調整はしていない。
Figure 0005805476
・セメント(C):普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)の普通ポルトランドセメント/住友大阪セメント(株)の普通ポルトランドセメント=1/1、重量比)、密度3.16g/cm3
・細骨材(S):城陽産、山砂、FM=2.67、密度2.56g/cm3
・水(W):水道水
・NSF:ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、花王(株)製 マイテイ150
・LS:リグニン系分散剤、ボレガード社製 ウルトラジンNA
・PCE:ポリカルボン酸系分散剤、(株)日本触媒製 FC-900
・タルトロン酸:シグマアルドリッチ製
・酒石酸ナトリウム:特級(+)−酒石酸ナトリウム二水和物 関東化学(株)製
・重炭酸ナトリウム:試薬特級炭酸水素ナトリウム 和光純薬工業(株)製
・グルコン酸ナトリウム:1st D−グルコン酸ナトリウム シグマアルドリッチ製
・蔗糖:三井製糖株式会社製 上白糖
(2)モルタル評価
モルタルについて、以下に示す試験法にしたがって、スランプフローをそれぞれ評価した。評価結果を表2に示した。
前記の方法にて調製したモルタルを、JIS R 5201に基づき、直ちにフローコーンに2層詰めし、フローコーンを正しく上の方に取り去り、モルタルの広がりが最大と認める方向と、これに直角な方向の長さを測定した。そして、これらの2方向の平均値を計算した。尚、JIS R 5201記載の落下運動は行っていない。
初期流動性については接水から2分20秒後(接水後の攪拌2分とフロー測定のための作業時間の合計、以後及び表2では「混練直後」と表記する)に、上述試験法に則りフローコーンを上のほうに取り去った際に得られた値である。この後測定した後のモルタルを攪拌容器に回収し、水で湿らせた後絞った(水滴が自然に落ちなければ可)タオルで容器を完全に覆って放置した。接水から14分50秒後に再度10秒攪拌して、接水から15分20秒後(以後及び表2では「混練13分後」と表記する)に再度上述試験法に則りフローコーンを上のほうに取り去った際に得られた値も測定した。
この評価では、硬化遅延が起きていないとは、表2中の(A)成分(分散剤)を配合し、且つ(B)成分(タルトロン酸等のオキシカルボン酸等)を配合していない例に比べ、混練13分後のスランプフロー値が小さい場合を言う。例えば、比較例1−4の混練13分後のスランプフロー値が116mmで、実施例1−1〜1−7は混練13分後のスランプフロー値が104〜109mmと116mmより小さいので、硬化遅延が起きていないことがわかる。実施例のモルタルは表面改良や美観向上といった用途に適している。
Figure 0005805476

Claims (6)

  1. 水と、水硬性粉体と、分散剤〔以下、(A)成分という〕と、タルトロン酸及び/又はその塩〔以下、(B)成分という〕とを含有し、(B)成分の含有量が水硬性粉体100重量部に対して、0.007〜0.15重量部である水硬性組成物であって、(A)成分がナフタレン系重合体であり、(A)成分と(B)成分の重量比〔(A)/(B)〕が4.4〜22である水硬性組成物。
  2. 水と、水硬性粉体と、分散剤〔以下、(A’)成分という〕と、タルトロン酸及び/又はその塩〔以下、(B)成分という〕とを含有し、(B)成分の含有量が水硬性粉体100重量部に対して、0.007〜0.15重量部である水硬性組成物であって、(A’)成分がポリカルボン酸系共重合体、及びリグニン系重合体から選ばれる1種以上である水硬性組成物。
  3. (A’)成分と(B)成分の重量比〔(A’)/(B)〕が3.0〜60である請求項2記載の水硬性組成物。
  4. (A’)成分がポリカルボン酸系共重合体であり、(A’)成分と(B)成分の重量比〔(A’)/(B)〕が4.0〜18である請求項2又は3に記載の水硬性組成物。
  5. (A’)成分がリグニン系重合体であり、(A’)成分と(B)成分の重量比〔(A’)/(B)〕が6.2〜30である請求項2又は3に記載の水硬性組成物。
  6. 水と、水硬性粉体と、分散剤とを含有する水硬性組成物に、タルトロン酸及び/又はその塩を水硬性粉体100重量部に対して、0.007〜0.15重量部配合して、水硬性組成物の硬化遅延を生じることなく初期流動性を向上する方法。
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