実施の形態1.
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態1について説明する。
設備管理システム1は、発電所、工場、公共プラント等の設備において稼働する複数の機器4の状態を監視するシステムである。設備管理システム1により、例えばセンサ等の計測器5を介して各機器4の状態を把握し、機器4の状態監視、保守を行うことができる。また、設備管理システム1は、機器4の故障を予防する保全にも用いられる。以下、状態監視、保守、保全をまとめて設備管理という。
図1は、本発明の実施の形態1に係る設備管理システム1の概略構成図である。設備管理システム1において、設備管理装置11により複数の機器4を計測器5により監視し、機器4に異常が発生していると判定部107が判定した場合、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示部20に表示して設備管理者等の使用者に通知する。この判定結果は、電気系統図等の図面に、機器4の配置情報、接続情報が併せて表示される。これにより使用者は、即座に異常と判定された機器4を特定できる。
図1において、設備管理装置11は、機器データ入力部101、機器4の測定データを入力する測定データ入力部102、機器データ入力部101及び測定データ入力部102のデータを処理する処理部103、処理部103で処理した図面の情報及び設備情報等を記録する設備情報記録部104を備え、さらに処理部103は、図面変換部105、機器固有値作成部106、判定部107、機器固有値付与部111、及び表示指令部112を備える。そして各部の動作は、設備管理装置11が備える入出力機器、プロセッサ、メモリ、サーバ、処理回路等で達成される。
機器データ入力部101には、設備内の各機器4の配置を示すレイアウト図、電気系統を示す電気系統図、及び各機器4の機器情報が入力される。
レイアウト図は、CAD、手書き等で作成された図面であり、機器4の配置を示す。このレイアウト図は設備情報記録部104に記録される。
電気系統図は、例えば、図2に示すような単線結線図である。単線結線図とは電気回路の系統を単線で示した結線図である。ここで、真空遮断器はVCB(Vaccum Circuit Breaker)、ガス遮断器はGCB(Gas Circuit Breaker)、計器用変流器はCT(Current Transformer)、計器用変圧器はVT(Voltage Transformer)、零相変流器はZCT(Zero-phase-sequence Current Transformer)、配線用遮断器はMCCB(Molded Case Circuit Breaker)、磁気結合トランスはMCT(Magnetic Coupling Transformer)、電磁開閉器はMC(Magnetic Contactor)と、それぞれ示されており、上部の黒点は受電点を示している。単線結線図には、特別高圧の受変電機器、高圧の受変電機器、分電盤及び制御盤の内部結線、動力盤の保護回路、制御回路等が記載されている。電気系統図の変成器、コンデンサ、遮断器、開閉器、保護継電器、接地、計器等は、文字、シンボル等で表現される。
機器情報は、後述する機器4の識別情報、仕様情報、及び管理情報を有する。識別情報は機器4の管理名称、識別番号、製造番号等であり、仕様情報は、配線長、配置工事業者名、設置年月日等の工事情報、製造メーカ、製造年、定格電圧、電流、容量、標準寿命等の機器4の導入時に取得できる情報、また、管理情報は、異常判定に係る許容値、設備における当該機器の重要度等の情報である。この機器情報は、設備情報記録部104に記録され、設備管理において適宜更新される。
さらに、機器データ入力部101に入力された電気系統図は、図面変換部105により、例えば図3に示すツリー図に変換されて接続関係が簡略化されて設備情報記録部104に記録される。
各機器4には、例えばVCB1のように英字又は英字及び数字による機器4の管理名称がそれぞれ付与される。管理名称は設備管理装置11が認識可能な文字で、接続された機器4と一対一対応する機器4の略称と数字の組み合わせによるものとする。各機器4の交換時には、交換前の機器4に付与されていた管理名称は交換後の機器4に引き継がれる。
機器固有値作成部106は、入力されたレイアウト図による機器4の配置情報と、電気系統図による接続情報と、機器4の機器情報とから機器固有値を作成する。そして、機器固有値作成部106で作成された機器固有値は、機器固有値付与部111によりレイアウト図、電気系統図、及び図面変換部105で変換されたツリー図の少なくともいずれかの図面に付与され、設備情報記録部104に記録される。この機器固有値が付与された図面は、表示指令部112の指令により、適宜、設備情報記録部104から取り出され、表示部20に表示される。
機器固有値は、例えば機器4の機器情報の識別情報から取得する管理名称に、レイアウト図から取得する配置情報、及び電気系統図から取得する接続情報を付与した文字列である。機器固有値作成部106は、レイアウト図を縦と横とに分割して、それぞれ英字と数字により区分し、機器4が区分けされた格子のどの格子に属するかを分類し、当該機器の配置情報を抽出する。例えば、レイアウト図を縦に20分割、横に20分割すると、縦の区分はアルファベット順にAからTの領域に区分けでき、横の区分は1から20の領域に区分けできる。ここでレイアウト図を英字と数字とで区分けする例を示したが、文字は英数字に限らず、区分を規定できるものであればよい。これにより、機器4の位置を英字と数字の組み合わせにより特定できる。
また、接続情報は、機器4の前段と後段に接続されている他の各機器4の管理名称であり、機器固有値作成部106により電気系統図から抽出される。管理名称、配置情報、及び接続情報が付与された文字列が機器固有値として、機器固有値付与部111によりレイアウト図、電気系統図及びツリー図の少なくともいずれかの図面に付与され、設備情報記録部104に記録される。図3の例において、配置の縦区分がS、横区分が3に属するVCB1の、前段にGCBが、後段にTR2が接続され、それぞれがS4、S6に配置されているとすると、VCB1の機器固有値は、VCB1(S3,GCB_S4,TR2_S6)となり、機器固有値付与部111により図3のようにツリー図に付与され、機器固有値が付与されたツリー図は設備情報記録部104に記録される。表示部20は、表示指令部112から、設備情報記録部104が図面の表示指令を受け付けると、機器固有値が付与された一つ又は複数の図面を表示する。ここで、TR(Transformer)とは、図2中にシンボルで示された変成器であり、機器固有値作成部106に抽出されて管理名称が設備情報記録部104に記録される。
ここで、前段又は後段に機器4が並列している場合は、括弧等で区別すればよい。このように、機器4に機器固有値をもたせ、これを参照することにより、状態監視、点検、保守、保全対象となる機器4の配置情報と接続情報を把握することができる。
また、設備の規模が大きい場合には、機器4が配置される建屋が複数になる場合がある。このような場合においては、建屋番号を機器固有値に追加してもよい。例えば、上述のVCB1が建屋番号Bにあり、GCB及びTR2が建屋番号Bにある場合には、VCB1に付与される機器固有値は、VCB1(S3_B,GCB_S4_B,TR2_S6_B)となる。このように、機器4に一意に付与された機器固有値を、図面上の各機器4に付与して表示部20に出力することで、機器4の配置情報及び接続情報を容易に把握することができる。
さらに、機器固有値に機器4の配置情報、接続情報以外の情報を付加してもよい。例えば機器情報の仕様情報を追加する場合は、機器固有値作成部106が、追加する仕様情報を英字、数字又は英字と数字の組み合わせとして作成する。例えば機器4の定格電圧を追加する場合、設備情報記録部104に記録された機器情報の仕様情報を参照し、定格電圧の値と単位とを付加して機器固有値とする。
機器固有値の表示にどの文字列が何を意味するのかを示す種目欄を設け、分けて表示してもよい。さらに、機器固有値に付加する情報は設備の設備管理において適宜追加及び削除が可能であり、機器4の機器情報が更新された場合に随時更新し最新の情報とできる。
図4は表示部20における表示例を示したものである。例えば、画面の左側には管理メニュー画面7が表示され、画面の右側には、管理名称と機器固有値が付与された図面が表示される。使用者は管理メニュー画面7の管理メニューを選択することで画面を切り替えて表示できる。さらに画面を分割して複数の図面を表示するようにしてもよい。
また、図4に示す表示例において、マウスの部分選択や手でピンチイン/ピンチアウトすることで選択した領域を拡大及び縮小表示することができる。さらに、機器固有値が付与されたツリー図の表示において、機器4の後段の表示を省略してもよい。このようにすると、監視対象機器を参照するときの視認性が向上し、より機器4の状態を把握しやすくなる。また、参照する監視対象機器以外の表示を省略してもよい。例えば、VCB3が参照する監視対象機器以外の機器4である場合、図4中の表示されていない機器4が存在することを示す記号を用いて表示する。表示されていない機器4を参照する場合は、この記号を選択することにより、VCB3に接続された機器4を展開して表示すればよい。
表示部20に表示された例えば画面上の機器4を選択することで、表示指令部112が表示する機器4を決定し、機器4の機器情報を表示する指令を設備情報記録部104に出力するようにしてもよい。図4におけるVCB1の右側のウインドウ8は、機器情報をリストとして関連付けて表示する例であり、このようにすると、監視対象機器の詳細な情報を得ることができる。
例えば機器4の状態監視は、測定データ入力部102から取得した機器4の測定データにより設備管理装置11が監視情報を取得して次のように行う。
測定データ入力部102は、機器4に接続された計測器5から取得した測定データを受信する。測定データ入力部102に入力された測定データは、判定部107に出力される。また、測定データ入力部102は、測定データとともに計測器5または機器4から、例えば識別番号等の、機器4の識別に係る情報を取得し、処理部103に出力する。処理部103は、設備情報記録部104に当該識別番号を照会し、取得した測定データがどの機器4から取得したデータであるのかを対応付けて機器4の状態監視を行う。
判定部107は、機器データ入力部101から取得した機器情報の、異常判定に係る許容値に基づいて機器4に異常が発生しているか否かを判定する。測定データが許容値を逸脱し、機器4に異常が発生していると判定された場合、判定結果を表示部20にレイアウト図、電気系統図、及びツリー図の少なくともいずれか図面の当該機器の機器固有値とともに表示する。
設備管理が開始され、正常に機器4が稼働しているかを監視する状態監視における異常判定の動作について、図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、設備管理装置11は、操作部からの照会指令を受けて、設備の状態監視を開始し、設備情報記録部104に、操作部から照会する監視対象機器が存在するか否か確認する(ST101)。ここで、照会される監視対象機器は一つであっても複数であってもよい。設備情報記録部104に機器情報が存在しない場合、機器情報が機器データ入力部101に入力される(ST106)。次に異常が発生しているか否かの判定を実施する対象の監視対象機器が設備情報記録部104に記録されているかを確認する(ST102)。設備情報記録部104に記録されていない場合、設備情報記録部104に新規機器を追加して管理名称及び機器情報を使用者に入力するよう促す(ST107)。
監視対象機器の情報が記録されたことが確認されれば、測定データ入力部102を介して取得された測定データと管理名称とを判定部107に出力する(ST103)。判定部107が、測定データが許容値を逸脱したかを判定する(ST104)。許容値を逸脱した場合、異常が発生していると判定し、表示指令部112は表示する監視対象機器を決定して、異常があると判定された例えばツリー図上の当該機器に、機器固有値と判定結果とを表示する表示指令を出力する(ST105)。
このように、機器データ入力部101に入力された機器情報、レイアウト図、及び電気系統図に基づき、機器固有値作成部106により機器情報、配置情報、及び接続情報が付加された機器固有値が作成され、機器固有値が機器固有値付与部111により付与されて設備情報記録部104に記録された図面を、表示指令部112の指令に応じて表示部20に表示することにより、使用者は表示部20に表示された情報から即座に機器4の配置情報及び接続情報を把握することができ、効率的に設備管理をすることができる。さらに、異常があると判定された機器4の機器固有値と判定結果とを併せて図面に表示することにより、異常が発生した機器4を即座に把握でき、効率よく設備管理をすることができる。
さらに、機器固有値作成部106により、配置情報に機器4が配置されている建屋の情報を追加して機器固有値を作成し、機器固有値付与部により、図面上の機器4に当該機器固有値を付与することができるため、複数の電動機、遮断器等を備える複雑な設備であっても、効率よく設備管理を行うことができる。
なお、設備管理装置11で機器4の異常判定をする例を説明したが、設備管理装置11が有する操作部(図示せず)により、機器4の機器固有値を照会できるようにしてもよい。監視対象機器が使用者等により選択された場合、表示指令部112は、設備情報記録部104に記録された、当該機器の機器固有値が付与された図面の表示情報を受信し、受信した表示情報を表示部20に出力する。このように機器4の機器固有値が表示されると、適宜機器固有値を参照することができる。さらに、機器固有値とともに当該機器の機器情報を表示するようにすれば、直ちに設備の状態が把握でき、監視したい機器4の詳細な情報を適宜参照することができるため、より効率的な設備管理が可能となる。
設備管理システム1で設備管理する設備は複数であってもよい。この場合は、測定データ入力部102が複数の設備からそれぞれ測定データを取得すればよい。
設備情報記録部104は、設備ごとに区分けして機器4の機器情報を記録するのが好ましい。このように設備管理システム1で複数の設備を設備管理すれば、機器4を一括して監視することができる。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る設備管理システム2の概略図である。図6において、設備管理装置12は、機器データ入力部101、測定データ入力部102、処理部103、設備情報記録部104、及び機器動作制御部108を備え、さらに処理部103は、図面変換部105、機器固有値作成部106、判定部107、機器固有値付与部111、及び表示指令部112を備える。実施の形態1とは機器動作制御部108を備えることが異なり、実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
機器動作制御部108は、エネルギーマネジメントシステム(EMS:Energy Management System)に接続される。EMS6は、例えば、家に適用するHMES(Home Energy Management System)、工場に適用するFEMS(Factory Energy Management System)を含む、設備、工場、家庭等の電力使用を管理するシステムであり、EMS6に管理されるこれらの施設の電力使用状況に応じて機器動作制御部108に指令を送信する。機器動作制御部108は、当該指令に応じて機器制御信号を機器4に送信し、機器4の動作を制御する。
機器制御信号は、機器4の動作を担うスイッチをON又はOFFにする制御信号である。機器動作制御部108から出力された機器制御信号は、処理部103により設備管理システム2が認識可能な形式に変換されて設備管理システム2と接続された機器4に出力される。
図7は、機器動作制御部108から機器4へ機器動作出力信号が出力されたときの、機器動作制御の流れを表すフローチャートである。処理部103は機器動作制御部108から制御信号を受信(ST201)した後、操作対象の監視対象機器と操作内容を識別する(ST202)。操作内容がスイッチOFFであるとき(ST203でYES)、設備管理装置12に記録されている電気系統図に基づいて操作対象スイッチよりも負荷側に他のスイッチが存在するかを判断するとともに他のスイッチがON状態であるかを判断する(ST204)。監視対象機器よりも負荷側にスイッチが存在し、それらがON状態である場合、最も負荷側にあるものから当該機器に向かって順番にOFFにする制御信号を出力する(ST205)。
処理部103はスイッチをOFFにする制御信号を出力後(ST206)、動作が正常に終了したことを監視対象機器からのフィードバック信号を得て判別し(ST207でYES)、正常終了したことを、機器動作制御部108を介して、EMS6に出力する(ST208)とともに、設備管理装置12に、監視対象機器の動作状況を示す信号を出力する(ST209)。ここで動作状況を示す信号とは、機器4がONであるか、OFFであるかを示す信号である。
機器固有値作成部106は、監視対象機器の動作状況を示す信号を受信した後、当該機器の動作状況を機器固有値に付加する(ST210)。例えば、設備の縦区分がS、横区分が3に属するVCB1は、前段にGCBが、後段にTR2が接続され、それぞれがS4、S6に配置されているとし、VCB1がON、GCBがON、及びTR2がOFFであると、VCB1に記載される機器固有値は、VCB1(S3_ON,GCB_S4_ON,TR2_S6_OFF)となる。その後、表示部20に設定変更を実施したことを示す信号を出力して機器4の状態が他のシステムにより変更されたことを、監視対象機器の機器固有値と併せてレイアウト図、電気系統図及びツリー図の少なくともいずれかの図面に表示する(ST211)。
操作内容がスイッチONであるとき(ST203)、処理部103は、監視対象機器に制御信号を送信し(ST212)、制御信号に対する応答が正常であるかどうかを判定する。制御信号に対する応答が正常でない場合(ST213でYES)、判定部107は、動作エラーが発生したことを示す信号を測定データ入力部102から受信して動作エラーが発生したことを判定する(ST214)。
制御信号に対する応答が正常である場合、動作が正常に終了したことを示す信号を、機器動作制御部108を介してEMS6に送信し、(ST215)その後、ST208に移行する。操作内容がスイッチOFFであり、当該機器より負荷側にスイッチが存在しない場合は、当該機器にスイッチをOFFにする信号を出力し(ST216)、ST213に移行する。
このように設備管理装置12で機器4の動作制御を行うと、機器動作制御の結果が機器固有値に付加されて反映される。そして表示部20に表示された図面の機器固有値を参照することで変更があった機器4の配置情報、接続情報を把握でき、効率的に設備管理できる。
また、上述の動作制御中に動作エラーが発生したことを図面に機器固有値と併せて表示するとともに、動作エラーが発生した機器4を特定し、設備情報記録部104の機器情報を更新する。機器情報に動作エラー発生回数を累積して記録すると、状態監視で異常が発見されない機器4でも状態を把握することが容易となる。
また、動作エラーが発生したことを示すERという表記を機器固有値に追記し、制御エラーが発生した累積回数をERの表記に併記してもよい。このようにすることで、動作制御が正常に行われているかを把握でき、設備管理の効率をさらに向上できる。
実施の形態3.
図8は本発明の実施の形態3に係る設備管理システム3の概略構成図である。設備管理装置13は、機器データ入力部101、測定データ入力部102、処理部103、設備情報記録部104、点検履歴管理部30、在庫管理部40、及びコスト算出部50を備え、さらに処理部103は、図面変換部105、機器固有値作成部106、判定部107、余寿命推定部110、機器固有値付与部111、及び表示指令部112を備える。実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
判定部107が、測定データ入力部102が機器4から取得した測定データと、異常判定に係る許容値との比較により、当該機器に異常が発生する虞があると判定したとき、余寿命推定部110は測定データ入力部102から取得した測定データと設備情報記録部104に記録された機器情報とを用いて余寿命を推定する。機器4の余寿命は、例えば機器4の測定データ、機器情報として入力した標準寿命から推定することができる。推定された機器4の余寿命は、測定データ取得日時等の測定データ取得時の状況を示す情報と併せて設備情報記録部104に記録される。さらに、推定された余寿命は、後述する処理部103により推奨される機器又は部品の交換(以下、推奨メンテナンスという)の優先度の算出に係る係数として用いられる。
点検履歴管理部30には、設備及び設備内の機器4の点検作業の履歴の入出力が可能であり、また、点検作業の履歴が記録される。
点検作業の履歴として記録する項目は、機器4の管理名称、型名、型番、製造メーカ、製造年月日、点検項目、点検順序、更新部品とその必要個数、更新部品とその在庫、更新部品の標準納期、更新部品の手配先等の情報、点検結果、設備における当該機器の重要度である。さらに点検履歴情報は、後述する推奨メンテナンスの優先度の算出に係る係数として用いられる前回の点検からの期間、点検に要する標準時間等の点検情報を含む。
さらに、点検作業開始前には、点検履歴管理部30から点検対象の監視対象機器の点検履歴を取得して点検項目を機器固有値とともにレイアウト図、電気系統図及びツリー図の少なくともいずれかの図面に表示させることができる。
このように、点検作業の際に、機器固有値を参照することで監視対象機器の配置情報、接続情報が把握でき、点検履歴の取得により、点検前に履歴と当該機器の重要度を把握できるため、より点検作業の効率が向上する。
また、点検項目は点検内容によって追加、変更、削除、選択可能であり機器4の点検作業に適する項目を入力、記録、出力すればよい。
在庫管理部40には、機器4の部品の在庫に係る情報(以下、在庫情報という)の入出力が可能であり在庫情報が記録される。ここで、在庫情報は、例えば交換部品の在庫有無、及び納期の長短の情報であり、後述する推奨メンテナンスの優先度の算出に係る係数として用いられる。
在庫管理部40は、部品の照会指令を処理部103から受け付けた場合、機器4の識別番号等の設備情報記録部104に記録された機器情報を用いて、照会する機器4の部品の在庫情報を取得して処理部103へ出力する。
コスト算出部50は、機器情報、在庫情報、設備管理計画等から、機器4又は機器4の部品の交換に要する人手、費用等のコストを算出する。コスト算出部50により算出される情報は、後述する推奨メンテナンスの優先度の算出に係る係数として用いられる。
処理部103は、設備管理装置13から照合対象の監視対象機器の機器情報を取得し、設備管理システム3と接続された、例えば設備管理の計画が保管されている外部システムから、当該機器が含まれている計画を取得する。ここで取得する計画は、例えば、当該機器の部品交換計画、例えば、部品交換時期に係る情報、当該機器の点検間隔の情報である。さらに、処理部103は、計画から機器4の推奨メンテナンスを取得して、設備情報記録部104、点検履歴管理部30、在庫管理部40、及びコスト算出部50から取得した情報を係数化し、使用者が予め設定した重みづけに基づいて傾斜処理した優先度を演算する。
以下、設備管理システム3による設備管理を、フローチャートに基づいて説明する。ここで、各動作は処理部103により処理され、各情報は処理部103を介して授受される。
図9は機器4を交換した際に機器情報を更新するフローチャートである。これに基づき機器情報の更新について説明する。
まず使用者が設備管理装置13の操作部に、新しく登録する機器4(以下、新規機器という)の機器情報を入力する(ST301)。設備管理装置13は新規機器に対して新規管理名称を割り振る(ST302)。設備管理装置13に新規機器の機器情報を記録したのち、設備管理装置13は設備が更新されたことを示す信号と新規機器の管理名称とを処理部103に出力する(ST303)。
処理部103は設備管理装置13から上述の信号と管理名称を取得し、点検履歴管理部30と在庫管理部40に管理名称を追加するよう信号を出力する(ST304)。点検履歴管理部30および在庫管理部40は、処理部103から更新指令信号を受け取るとそれぞれ管理名称を記録し、新規機器の点検項目を入力待ちであることを示す信号を処理部103に出力する(ST305、ST306)。処理部103は、点検履歴管理部30及び在庫管理部40が新規機器の情報の入力待ち状態であることを表す信号を表示部20へ出力する(ST307)。表示部20は新規機器の情報を入力するよう使用者へ表示する(ST308)。使用者が機器データ入力部101に新規機器の機器情報を入力すると、この情報は処理部103に出力される(ST309)。
処理部103は入力された情報を、設備情報記録部104、点検履歴管理部30、及び在庫管理部40のいずれに格納するかを分類してそれぞれに出力する(ST310)。点検履歴管理部30と在庫管理部40は、処理部103から出力される情報を新規管理名称と紐づけて記録する(ST311)。点検履歴管理部30と在庫管理部40は、新規機器の機器情報を点検履歴管理部30及び在庫管理部40にそれぞれ入力した後、在庫管理部40と点検履歴管理部30の更新が完了したことを表す信号を処理部103にそれぞれ出力する(ST312)。処理部103は更新が完了した後、表示部20に設備管理システム3に記録される機器4に係る情報の更新が完了したことを表す信号を出力する(ST313)。そして、表示部20により更新が完了したことを通知する(ST314)。
ここで、表示指令部112は、表示部20に表示された例えば画面上の機器4が選択されると、機器固有値が付与されたレイアウト図、電気系統図及びツリー図の少なくともいずれかの図面とともに、機器4の更新後の機器情報、点検履歴、及び在庫情報を表示する指令を設備情報記録部104に出力する。
このように、設備に新規機器が導入され、設備に変更が生じた場合でも、当該機器の機器情報を更新できるため、設備管理装置13が記録する機器情報、及びレイアウト図、電気系統図及びツリー図の少なくともいずれかの図面に表示される機器固有値は、最新のものとなる。つまり、表示指令部112の指令により表示された図面の機器4を参照することで、機器4の最新の情報を把握することができる。
次に、図10のフローチャートに基づき、点検実行時の動作の一例を説明する。
まず、処理部103は点検実施の対象となる監視対象機器の管理名称を点検履歴管理部30へ出力し、点検履歴管理部30は、入力された管理名称を用いて監視対象機器を抽出する(ST401)。続いて点検履歴管理部30から当該機器の点検履歴を取得する(ST402)。この時、使用者は過去の点検履歴を参照して点検項目を省略、追加してもよい。処理部103は、使用者が選択した点検項目を表示部20へ出力し、表示部20は点検項目を使用者が知覚できる方法で機器固有値と併せてレイアウト図、電気系統図及びツリー図の少なくともいずれかの図面の監視対象機器に表示する(ST403)。
このように、機器4の点検において、使用者が監視対象機器の管理名称を設備管理システム3に入力する簡単な作業により、監視対象機器の点検履歴及び点検項目を当該機器の配置情報、接続情報と併せて図面で参照することができるため、機器4の点検作業の効率が向上する。
次に、図11の状態監視において、異常が検知されたときの処理を表すフローチャートに基づいて、設備管理システム3を用いた機器4の保守について説明する。
状態監視で機器4に異常が発生していると判定された後、処理部103は、測定データを取得し、設備情報記録部104の機器の異常判定に係る許容値と取得した測定データとから異常の程度を算出し、これとともに、余寿命推定部110は、当該機器の余寿命を推定して設備情報記録部104に記録する(ST501)。異常の程度は、例えば予め設定した許容値との差分から判定される区分された等級により示される。
処理部103は異常を検知した当該機器の機器情報を、設備管理装置13から取得し(ST502)、当該機器の、例えば前回の点検結果、設備における当該機器の重要度、及び点検履歴情報を点検履歴管理部30から取得する(ST503)。さらに処理部103は、当該機器の保守に必要な部品の在庫情報を在庫管理部40から取得する(ST504)。処理部103は、例えば、余寿命、前回の点検からの期間、及び部品の在庫有無を余寿命推定部110、点検履歴管理部30、及び在庫管理部40から取得した後、それぞれを係数に変換する(ST505)。
処理部103は取得した情報を係数に変換した後、当該係数を設備情報記録部104に出力する(ST506)。コスト算出部50は、推奨メンテナンスの候補ごとにメンテナンスに必要となるコストを算出し、係数として設備情報記録部104に出力する(ST507)。処理部103は係数を用いて推奨メンテナンスの候補の優先度を計算し、優先度の高い順に推奨メンテナンス及びメンテナンスに必要な部品を並べたリストを設備情報記録部104に記録し、推奨メンテナンスと推奨メンテナンスの優先度は、表示指令部112の表示指定により機器固有値と併せてレイアウト図、電気系統図及びツリー図の少なくともいずれかの図面に表示される(ST508)。ここで優先度は、例えば階層解析法(Analytic Hierarchy Proces)等を用い、評価基準を予め決定し、その重み付けに基づきコスト平準化問題を解くことで算出する。
このように、余寿命推定部110により機器4の余寿命を推定し、点検履歴管理部30により機器4の点検履歴を管理し、在庫管理部40により機器4又は機器4の部品の在庫情報を管理し、コスト算出部50により機器4又は機器4の部品の交換に必要なコストを算出し、表示指令部112により機器4の余寿命、点検履歴、在庫情報、及びメンテナンスのコストの少なくともいずれかを、機器固有値とともに表示する表示指令を出力すれば、機器4のメンテナンスに係る情報を図面の該当箇所に機器4の配置情報、接続情報を含んだ機器固有値と併せて表示することができ、効率よく設備管理できる。
さらに、処理部103により機器4の余寿命、点検履歴、機器4又は機器4の部品の交換に必要なコストの少なくともいずれかを係数化した数値を用いて、機器4又は機器4の部品の交換に係るメンテナンスの優先度を算出し、表示指令部112により算出した優先度を機器固有値とともに表示する表示指令を出力すれば、機器4の機器固有値とメンテナンスの優先度を図面の該当箇所に表示することができ、効率よく設備管理できる。
また、本実施の形態で、推奨メンテナンスの優先度の算出に、余寿命推定部110、点検履歴管理部30、及び在庫管理部40から取得した機器4の情報を用いる例について説明したが、例えば設備における機器4の重要度等の機器情報を設備情報記録部104から取得し、係数化した数値を推奨メンテナンスの優先度の算出に用いてもよく、優先度の算出に用いる係数は設備の運営方針に沿って適宜選択することができる。
実施の形態4.
図12は、本発明の実施の形態4に係る設備管理システム22の概略図である。本実施の形態の設備管理装置14は、実施の形態1と同様に、機器データ入力部101、測定データ入力部102、処理部103、及び設備情報記録部104を備える。実施の形態1とは、設備管理装置14が機器動作制御部108及び増設判定部113を備え、管理対象の設備の稼働状態を監視する過程において、増設判定部113により設備内に新たに機器4が増設されたか否かを判定し、機器4が増設された場合に機器固有値を追加する点で異なる。実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
機器動作制御部108は、EMS6に接続されており、EMS6が管理する施設の電力使用状況に応じてEMS6から受信した機器制御信号を機器4に送信して機器4の動作を制御する。ここで、機器制御信号は、機器4の動作を担うスイッチをON又はOFFにする制御信号と、機器4に供給する電流、電圧の出力値の変更を行う制御信号とを含む。
増設判定部113は、機器4が使用する電流、電圧、及び電力量の時系列データ(以下、電流、電圧、及び電力量の時系列データを、まとめて時系列データという。)を一定の間隔で取得し、所定の時刻における機器4又は分岐の使用電力量を算出して記録する。さらに、算出した所定の時刻における機器4又は分岐の使用電力量と、他の時刻における機器4又は分岐の使用電力量とを比較して、設備内に新たに機器4が増設されたか否かを判定する。以下では、EMS6が、機器4が使用する電流、電圧、及び電力量等の時系列データを記録し、増設判定部113が時系列データをEMS6から取得する場合を例にとって説明する。
図13は、本発明の実施の形態4に係る単線結線図の概略図である。図13の単線結線図では、図2に示す電力系統において、MCCB、計測器5、及び機器4等(図13における領域Aに増設される機器。)が追加される例を示している。ここで、図13における領域Aは、設備に新たに増設される機器4が存在する領域である。以下、図14のフローチャートに基づいて領域Aに機器4を増設する場合を例として、機器増設の動作例について説明する。
図14は、本発明の実施の形態4に係る機器増設の動作例を示したフローチャートである。まず、機器4の増設を行うために、機器動作制御部108は、新たに機器4を増設する領域の上位にある機器4をOFFにして電気系統を部分的に停電させる(ST601)。図14の例において、新たに機器4を増設する領域の上位にある機器4は、領域Aの上位のMCCBである。以下、新たに機器4を増設する領域の上位にある機器4を上位機器という。
次に、処理部103は、上位機器をOFFにする制御信号を出力し(ST602)、測定データ入力部102を介して、監視対象機器からのフィードバック信号を得て、機器4の動作の変更が正常に終了したか否かを判別する。そして、正常に機器4の動作の変更したことを、機器動作制御部108を介して、EMS6に出力する(ST603)。
さらに、機器固有値作成部106は、機器動作制御部108から監視対象機器の動作状況を示す信号を受信し、動作の変更が行われた機器4の動作状況を機器固有値に付加する(ST604)。そして、処理部103は上位機器及び上位機器に接続された下位の機器4がOFFになったことを示す信号を、表示指令部112を介して表示部20に送信し、表示部20が動作の変更が生じた機器4の機器固有値を表示する(ST605)。
設備の部分停電が行われた後、作業者は結線作業を行って機器4を増設する。機器4を増設した後、機器動作制御部108により、上位機器をONにし、順次、新たに増設した機器4のうち上位の機器4から、増設した機器4に接続された下位(以下、下位機器という。)の機器4までONにする。このようにして、機器動作制御部108で機器4の停電、通電を行って機器増設を行う。
次に、図15のフローチャートに基づいて、機器4が増設された場合に、増設判定部113により設備に機器4が増設されたか否かを判定(以下、増設判定という。)する動作について説明する。図15は、本発明の実施の形態4に係る増設判定処理例を示したフローチャートである。まず、上述したように、機器動作制御部108は、下位機器をONにする信号を送信する(ST701)。そして、処理部103は、上位機器及び新たに増設した機器4から動作がONになったことを示すフィードバック信号を、測定データ入力部102を介して受信する(ST702)。この時点では、新たに増設された機器4及び計測器5等は、機器固有値が付与されていないため設備管理システム22では認識されていない。
増設判定部113は、EMS6から上位機器の負荷電流と電圧を取得して、所定の時刻T1における上位機器の電力使用量を算出する(ST703)。そして、増設判定部113は、電力量の他の時刻T4における上位機器の電力使用量を算出する(ST704)。
時刻T1、T4について説明する。図16は、本発明の実施の形態4に係る電力消費量の推移を説明する説明図である。増設判定部113は、EMS6から取得した時系列データを用いて、所定の時刻における電力消費量を記録するとともに、所定の期間TRにおける電力消費量の最大値を算出する。ここで、増設判定部113は、電力消費量の記録をTdの周期で行う。TRは、停電した時刻T2から予め定められた時間を差し引いた、停電前における所定の期間である。また、所定の期間TRにおける電力消費量が最大値となった時刻をT1とする。
さらに、T4は、例えば、通電を再開した時刻をT3とし、T3以降で、所定の期間経過した後に、最初にEMS6から取得した時系列データを用いて電力消費量を記録した時刻である。なお、T4は、所定の期間経過する前に、最後にEMS6から取得した時系列データを用いて電力消費量を記録した時刻であってもよい。つまり、T4は、例えば次の式(1)に基づいて決定される。
ここで、nは自然数であり、T1、T2、T3、T4の単位は時間である。つまり、式(1)に基づいてT4を決定する場合、n=1のとき、T4は、T1から24時間経過した後に、最初にEMS6から時系列データを取得した時刻、又はT1から24時間経過する前に、最後にEMS6から時系列データを取得した時刻である。また、T1からT3までの期間、つまり所定の期間TRにおける電力消費量の最大値を記録した時刻から、通電の再開までに経過した時間が24時間であった場合は、n=2となるように、nの値はT1からT3までの期間によって変化する。なお、自然数nに乗じる定数は、適宜変更可能である。また、図16では、T4がT3以降で、所定の期間経過した後に、最初にEMS6から取得した時系列データを用いて電力消費量を記録した時刻である例を示している。
次に、増設判定部113は、算出した二つの時刻における電力消費量を比較して、上位機器の下位系統の電力消費量が停電前後で増加したか否かを判定する(ST705)。ここで、上位機器の下位系統の電力消費量が増加したか否かの判定は、停電前の時刻T1における電力消費量W1と、通電後の時刻T4における電力消費量W4の差分の電力消費量Wdが、所定の電力消費量よりも大きいか否かを判定して行う。所定の電力消費量とは、例えば、過去の時系列データから算出した統計量、クラスタリング等の機械学習によって算出された数値を用いて予め定めた値である。
停電前の電力消費量と通電後の電力消費量の差分Wdが、所定の電力消費量よりも大きい場合(ST705でYES)、増設判定部113は、上位機器の下位系統に機器4が増設されたと判定し、判定結果を処理部103に出力する(ST706)。一方、停電前の電力消費量と通電後の電力消費量の差分Wdが、所定の電力消費量以下である場合(ST705でNO)、増設判定部113は、上位機器の下位系統に機器4が増設されていないと判定し、判定結果を処理部103に出力して判定処理を終了する。
処理部103は、増設判定部113から上位機器の下位系統の電力消費量に機器4が増設されたという判定結果を受信すると、上位機器に接続して、設備情報記録部104に上位機器以下の登録されている全ての分岐のうち、1つの分岐を選択する。そして、処理部103は増設判定部113に、選択した分岐に対して増設判定処理を行うように指令を出力する(ST707)。ここで、処理部103が選択する分岐は、図15の例では、分岐B1、B3のうちの1つである。なお、この段階では、分岐B2は設備情報記録部104に登録されていない。以下、説明のために、設備情報記録部104に登録されている全ての分岐を、単に、全ての分岐という。
そして、増設判定部113は、ST703~ST704の処理と同様に、選択された分岐の所定の時刻T1Aにおける電力使用量を算出し、さらに選択された分岐の所定の時刻T4Aにおける電力使用量を算出する(ST708)。ここで、所定の時刻T1A、T4Aの選択方法は、前述した所定の時刻T1、T4の選択方法と同様である。
次に、増設判定部113は、ST708で算出した二つの時刻における電力消費量を比較して、選択した分岐における電力消費量が、停電前後で増加したか否かを判定する(ST709)。停電前の電力消費量と通電後の電力消費量の差分WdAが、所定の電力消費量以下である場合(ST709でNO)、増設判定部113は、選択された分岐の下位系統に機器4が増設されていないと判定し、判定結果を処理部103に出力する(ST710)。そして、処理部103は当判定結果を受信すると、他の分岐を選択し、増設判定部113に対して、ST708~ST709の処理を再度実行させる(ST711)。なお、このST711の処理は、全ての分岐に対して行う。
そして、全ての分岐に対して増設判定処理を行い、増設判定部113が、全ての分岐の下位系統に対して機器4が増設されていないと判定した場合、処理部103は上位機器の下位に新たに機器4が増設されたと判定し、機器固有値作成部106に、当判定結果を出力する(ST712)。つまり、処理部103は、停電後に上位機器の電力消費量が増加しているにもかかわらず、上位機器の下位の分岐においては停電前後で消費電力に変化がない場合、上位機器の下位に新たに機器4が増設されたと判定する。
機器固有値作成部106は、上位機器の下位に新たに機器4が増設されたという判定結果を受信すると、機器固有値に当判定結果を反映する(ST713)。上位機器の下位に新たに機器4が増設された場合、機器固有値作成部106は、上位機器の機器固有値の接続情報に新たな接続情報を追加する。ここで、新たな接続情報の追加は、例えば、接続情報にブランク等を設ければよい。そして機器固有値付与部111は、レイアウト図、電気系統図、及びツリー図の少なくともいずれかの新たな接続情報が追加された上位機器に、機器固有値を付与する(ST714)。
一方、停電前の電力消費量と通電後の電力消費量の差分WdAが、所定の電力消費量よりも大きい場合(ST709でYES)、増設判定部113は、選択された分岐の下位系統に機器4が増設されたと判定し、判定結果を処理部103に出力する(ST715)。そして、処理部103は当判定結果を受信すると、他の分岐を選択し、増設判定部113に対して、ST708~ST709の処理を再度実行させる(ST716)。なお、このST717の処理は、設備情報記録部104に登録されている全ての分岐に対して行う。
さらに、全ての分岐に対して、増設判定処理を行った後、増設判定部113は、EMS6から全ての分岐の電力消費量と、上位機器の電力消費量とを取得する。そして、増設判定部113は、同じ時刻における全ての分岐の電力消費量の総和と、上位機器の電力消費量とが一致しているか否かを判定し、判定結果を機器固有値作成部106に出力する(ST717)。全ての分岐の電力消費量の総和と上位機器の電力消費量とが同じ時刻で一致している場合、増設判定部113は、選択された分岐の下位系統に機器4が増設され、他に機器4が増設されていないと判定し、ST713~ST714の処理と同様に、当判定結果を機器固有値に反映させる。
また、全ての分岐の電力消費量の総和と上位機器の電力消費量とが同じ時刻で一致していない場合、増設判定部113は、選択された分岐の下位系統に機器4が増設され、さらに上位機器の下位に新たに機器4が増設されていると判定し、ST713~ST714の処理と同様に、当判定結果を機器固有値に反映させる。
このように、全ての分岐に対して増設判定を行い、全ての分岐と上位機器の電力消費量とを比較すれば、例えば、分岐B1の下位に機器4が増設されると同時に分岐B2が増設された場合等、複数の機器4が同時に増設された場合にも、新たに増設された機器4を漏れなく把握することができる。
そして、表示指令部112は、機器固有値が付与された、レイアウト図、電気系統図、及びツリー図の少なくともいずれかの表示情報を受信し、表示部20へ表示指令を出力する(ST717)。ここで、表示指令は表示情報及び新たに機器4が増設されたという判定結果を表示させるものである。新たに機器4が増設されたという判定結果は、上位機器の機器固有値を点滅、拡大させる等して、他の機器固有値よりも強調して設備管理者等の使用者に通知すればよい。
表示部20により使用者に通知をすれば、使用者は、即座に新たに機器4が増設されたことを認識できるため、使用者又は遠隔操作可能な機械が現地に赴き、新たに増設された機器4等を目視確認できる。そして、新たに増設された機器4および計測器5を追加したレイアウト図、電気系統図、及びツリー図等を機器データ入力部101へ入力することで、機器固有値付与部111により新たに増設された機器4及び計測器5に機器固有値を付与することができる。
このように、増設判定部113により、新たに機器4が増設されたかを判定し、新たに機器4が増設された場合に、上位の機器4の機器固有値に接続情報を追加して、レイアウト図、電気系統図、及びツリー図の少なくともいずれかに付与して使用者に通知することで、新たに機器4が増設されたとしても、使用者は表示された情報から即座に機器4の配置情報及び接続情報を把握することができ、効率的に設備管理をすることができる。
なお、本実施の形態において、増設判定部113がEMS6から時系列データを取得する例について説明したが、時系列データを設備情報記録部104等、設備管理装置14が備える構成に記録させ、増設判定部113に取得させるようにしてもよい。さらに、増設判定部113が、測定データ入力部102から機器4の電流、電圧、及び電力消費量を所定の間隔で取得して、算出した所定の時刻における電流、電圧、及び電力消費量を記録するようにしてもよい。
また、本実施の形態において、ST717の処理で、全ての分岐の電力消費量の総和と上位機器の電力消費量とが同じ時刻で一致している場合、増設判定部113は、選択された分岐の下位系統に機器4が増設され、他に機器4が増設されていないと判定する例について説明したが、さらに、選択された分岐の下位系統に対して、再度増設判定処理を行ってもよい。このようにすると、選択された分岐の下位系統のどこに機器4が増設されたかを特定することができる。
また、本実施の形態において、増設判定部113は、時刻T1の電力消費量と時刻T4の電力消費量とを比較する例について説明したが、時刻T4の前後の時刻における電力消費量も時刻T1の電力消費量との比較に用いてもよい。この場合、例えば、時刻T4における電力消費量と、時刻T4を基準とした前後の時刻における複数の電力消費量との平均を算出して時刻T1における電力消費量と比較すればよい。このようにすると時刻によって電力消費量にばらつきがある場合でも、電力消費量の差分Wdを精度よく算出できる。
なお、実施の形態1~4において、設備管理システムが設備管理する設備が主に一つである場合について説明したが、設備管理システムと接続される設備は複数であってもよい。このような場合には、処理部と複数の設備とがネットワークを介して接続され、設備ごとに区分けして機器情報を記録するようにすればよい。このように設備管理システムを用いることで、複数の設備を一括して管理することができる。ここで、設備管理システムが記録する情報は、クラウド上で管理してもよい。ネットワークを介して複数の設備のデータを送受信することにより、各構成が、異なる場所や異なるプラットフォーム上に実装された場合においても設備管理システムを用いて効率的に設備を設備管理できる。
本発明の各実施の形態に記載された内容は、その範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせることが可能であり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。