JP7206558B2 - 出隅用見切り縁 - Google Patents
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Description
従来の出隅用土台水切は、建造物のコーナー部分に設置するために直角に形成されて角部分は面取りがなされていない場合には設置した建造物の土台水切の角部分を面取りする技術が提案されている。特許第5121356号公報(特許文献1)は、建造物のコーナーの土台水切であって、角部分が面取り形状となるとともに、リベットなど別途固定部材が必要でないので施工が簡便であり、しかも、角部分の上面が相当の強度を有する出隅用土台水切を開示する。
特許文献1に開示された面取り型の土台水切では、面取り部の左右両辺が明確にその直線形状として外観上現れるために、このような面取り型の土台水切が出隅部(コーナー部)に精度高く施工されている場合には左右両辺の中間の位置と出隅角部の位置とが一致して見栄えが良いのであるが、面取り型の土台水切が精度高く施工されていない場合(位置がずれている場合)、左右両辺の中間の位置と出隅角部の位置とが一致しないので見栄えが好ましくない。その結果、このような好ましくない見映えを発現させないためには、精
度高い施工が必要になるという、主たる問題点がある。
このように出隅を曲面状に覆う出隅部材を採用して美しい曲面状に出隅を覆っても、その下方に特許文献1に開示された面取り型の土台水切を採用すると、土台水切よりも上方の出隅が美しく曲面状に覆われているのに対して、下方の土台水切の部分は(面取りされているとはいえ)曲面状ではなくデザイン性に統一感がなく美観を損ねる可能性が高い。
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、建築物(構築物を含む)のコーナー部(出隅部)に使用され、高い施工精度を求められることのない出隅用見切り縁を提供することであって、また、出隅を曲面状に覆う出隅部材とともに用いられる場合にはデザイン性に統一感があって美観を損ねない、出隅用見切り縁を提供することである。
すなわち、本発明に係る出隅用見切り縁は、建築物の出隅に設けられ、基台部と立ち下がり面とを含む出隅用見切り縁であって、前記出隅用見切り縁は、平面状の金属板を所定の形状に切り出して折り曲げて立体形状に形成され、前記基台部は、前記出隅を曲面状に覆う曲面部を含むことを特徴とする。
さらに好ましくは、前記立ち下がり面は、左側面と前記左側面から略直角に位置する右側面とを含み、前記基台部は、前記左側面または前記右側面から略直角に曲げられて連続する基台平面と、前記左側面または前記右側面に略平行であって前記基台平面から略直角に曲げられて連続する基台側面とを含み、前記基台平面は、前記左側面から略直角に曲げられて連続する左基台平面と、前記右側面から略直角に曲げられて連続する右基台平面とを含み、前記基台側面は、前記左側面に略平行であって前記左基台平面から略直角に曲げられて連続する左基台側面と、前記右側面に略平行であって前記右基台平面から略直角に曲げられて連続する右基台側面と、前記曲面部とを含み、前記基台側面が前記左基台側面から前記曲面部を経て前記右基台側面へ連続して形成されているように構成することができる。
さらに好ましくは、前記左側面と前記右側面とは、前記出隅用見切り縁の内側で互いに係合する立ち下がり重ねしろ部を備え、前記左基台平面と前記右基台平面とは、前記出隅用見切り縁の内側で互いに係合する平面重ねしろ部を備えるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記折り返し部は、その一部が切り欠かれて前記基台の端部から前記曲面部へ向かう方向に不連続であるように構成することができる。
い、出隅用見切り縁を提供することができる。
を曲面状に覆う曲面状の化粧面部1110を備えたR型出隅カバー1100の垂直方向上方に見切り縁として施工されて、曲面形状をともに備えるというデザイン性に統一感があって出隅部の美観を損ねず解体されにくい出隅用見切り縁の一例である。このため、出隅用R型見切り縁100とともに施工されるR型出隅カバー1100についてまず説明する。
合部1210を備える。R型出隅カバー1100は、出隅を曲面状に覆う化粧面部1110と、嵌合部1210に係合される係合部1120とを含み、係合部1120において、嵌合部1210と係合する側の反対側(屈曲部1126)が、化粧面部1110の裏面1116に当接している。このため、化粧面部1110の表面の曲面部分の強度を高めるという作用効果を発現できる。その結果、化粧面部1110の表面の曲面部分に硬い物体がぶつかったりして衝撃が加わっても、化粧面部1110の表面の曲面部分がへこんで変形することを抑制することができる。
さらに、化粧面部1110と係合部1120とが別部材で形成され、化粧面部1110と係合部1120とが接合されている。このR型出隅カバー1100は、1つの化粧面部1110と2つの係合部1120とにより形成されている。このため、R型出隅カバー1100は、1つの部材を複雑に折り曲げて形成される化粧キャップ等とは異なり、構造の簡単な1つの化粧面部1100と2つの係合部1120とを接合すれば良いので簡単に製造することができる点で好ましい。より詳しくは、図2(B)に示すように、化粧面部1110を二重折返部1112にて折り返した二重部1114に、係合部1120の端部1122が挿入されることにより化粧面部1110と係合部1120とが別部材で形成されるとともに、これらが接合されている。なお、化粧面部1110と係合部1120との接合方法については限定されるものではないが、たとえばリベット等により強固に接合することが好ましい。
次に、本実施の形態に係る出隅用R型見切り縁100が備える特徴的な構造について、その概略を説明する。なお、垂直方向および水平面等については、図1に示される方向および面等である。また、この出隅用R型見切り縁100は、図3(A)および図4(A)
に示す平面視において後述する中心線Lを線対称とした左右略対称形状を備えるため、以下において、左右を逆にした説明であっても成立し、左右さらには上下等の方向を限定しないで説明する場合がある。なお、この出隅用R型見切り縁100が備える左右略対称形状は、表面側(図3(A))についても裏面側(図4(A))についてもその全体形状についての左右略対称形状であって、後述するように左基台平面310と右基台平面350との境界線(境界第一接合線324および境界第二接合線354)はこの限りでない。
さらに好ましくは、立ち下がり面200は、左側面210と、この左側面210から略直角(この略直角は水平面内において示される平面視での角度である)に位置する右側面250とを含む。
基台部300は、左側面210または右側面250から略直角(この略直角は垂直面内において示される側面視での角度である)に曲げられて連続する基台平面(左側面210から連続する左基台平面310および右側面250から連続する右基台平面350)と、左側面210または右側面250に略平行(空間において略平行な平面の関係)であって基台平面から略直角(この略直角は垂直面内において示される側面視での角度である)に曲げられて連続する基台側面(左基台平面310から連続する左基台側面410および右基台平面350から連続する右基台側面450)とを含む。
方重ねしろ部252)を備える。
さらに、左基台平面310と右基台平面350とは、図3(A)、図4(A)および図5に示すように、この出隅用R型見切り縁100の内側で互いに係合する平面重ねしろ部(左基台平面310側の平面奥側重ねしろ部312および右基台平面350側の平面前側重ねしろ部352)を備える。
図1~図5を参照して、この出隅用R型見切り縁100について詳しく説明する。
まず、最初に、この出隅用R型見切り縁100の材質、すなわち、図5の展開図に示す平面状の金属鋼板の材質について説明する。この金属鋼板は、限定されるものではないが、折り曲げ可能が可能な金属製薄板材であって、たとえば、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)等(これらを各種色調に塗装した金属製カラー板を含む)の一種を、図5の展開図に示す所定の形状に切り出して、図3および図4に示すように折り曲げて、図1に示す立体形状に形成されている。上述したR型出隅カバー1100の化粧面部1110とのデザイン上の統一感をさらに持たせるために(曲面形状をともに備えるという統一感に加えて)、この出隅用R型見切り縁100の材質(図5の展開図に示す金属鋼板の材質)をR型出隅カバー1100の化粧面部1110と同じ材質や同じ意匠とすることも好ましい。
この曲面部480の形状(曲面半径であって平面視における曲線半径)については、図1および図3(A)に示すように、左側面210と右側面250との交差点Xを中心点とした曲面部480の最遠位置Yを通る平面視の略90°曲線で示される。この曲線の半径R(逆数は曲率1/Rとなる)は、たとえばR10mm~R20mm程度である。この半径Rは、出隅を曲面状に覆う出隅部材であるR型出隅カバー1100の曲面状の化粧面部1110の曲率に対してデザイン性に統一感があるように設定されることが好ましい。たとえば、目視にて、特許文献1のような面取りされた形状ではなく、曲面部480が曲面状であることが認識できることが好ましい。このため、図3(A)に示すように、最遠位置Yを通る平面視の略90°曲線を、さらに径方向に移動させた平面視曲線R(1)さらに平面視曲線R(2)で示されるように半径Rを増加させることも好ましい。なお、この出隅用R型見切り縁100の曲面部480の平面視における略90°曲線はR15mmである。
成する。より詳しくは、図5の紙面表側が出隅用R型見切り縁100の表面(すなわち図1および図3に示される側)である場合において、たとえば、
・点線(より詳しくは折曲線220、折曲線260、折曲線320、折曲線360)で示す位置を略90degの山線で、
・一点鎖線(より詳しくは折曲線212B、折曲線252B)で示す位置を略90degの谷線で、
・長点線(より詳しくは折曲線433、折曲線473)で示す位置を略130degの山線(裏側略50deg)で、
・二点鎖線(より詳しくは折曲線233、折曲線273)で示す位置を180deg山線(折り返し)で、
それぞれ折り曲げることにより、図1、図3および図4に示す立体形状に形成されている。
出隅用R型見切り縁100は、このようにして金属鋼板を折り曲げることにより曲面部480を備えた立体形状に形成されているのであるが、この立体形状が容易に変形しないように(平面形状に容易に戻らないようにこの出隅用R型見切り縁100の内部において)互いに係合してこの立体形状が容易に変形しないための以下に示す2種類の重ねしろ部を備えるとともに、この重ねしろ部が表面(図1および図3に示す面)に出現しないように(デザイン的に好ましいように)形成されている。これらの2種類の重ねしろ部について、詳しく説明する。なお、出隅用R型見切り縁100の内部は、出隅用R型見切り縁100の内側と同じ意味である。
じ長さ)を備える。なお、これらの平面奥側重ねしろ部312および平面前側重ねしろ部352は、折り曲げられない。
このように、立ち下がり重ねしろ部および平面重ねしろ部により、出隅用R型見切り縁100の各部が強固に連結された立体形状を形成するとともに、左基台側面410と右基台側面450との間に帯状の曲面部480を備えた立体形状を形成する。このため、この出隅用R型見切り縁100が帯状の曲面部480を備えた立体形状で形成されるとともに、平面状の金属鋼板を折り曲げてこのような立体形状に形成したこの出隅用R型見切り縁100が容易に解体されること(立体形状を保持できなくなること)を回避することができる。
・施工手順1
出隅用R型見切り縁100の左基台側面410の下端の曲面側折り返し部430および右基台側面450の下端の曲面側折り返し部470を50degよりも小さくなるように曲げておく。これにより、施工手順6において、R型出隅カバー1100が、出隅用R型見切り縁100の基台側面の内部側へ入りやすくなる。
・施工手順2
敷目板1200の上端部よりも上方に出隅用R型見切り縁100を取り付ける。より具体的には、左側面210の少なくとも1箇所および右側面250の少なくとも1箇所で、タッピングビス等の締結部材により胴縁1400および胴縁1410に締結することにより、出隅用R型見切り縁100を取り付ける。
・施工手順3
出隅用R型見切り縁100を取り付けた後に、出隅用R型見切り縁100とは別部材の直線見切り縁を差し込んで取り付ける。この直線見切り縁は、概略的には、出隅用R型見切り縁100の直線部分のみで構成される。直線見切り縁の基台側面(左基台側面410または右基台側面450に相当する部分)の下端は端部側折り返し部432または端部側折り返し部472に係合される。
・施工手順4
外装材1300を取り付ける。たとえば、1段目の外装材1300は土台水切の上に設けられたスターターに外装材1300の本体メス実(さね)部を差し込んで、2段目以降は外装材1300の本体オス実(さね)部に本体メス実部を差し込む。また、外装材1300を縦胴縁に釘またはネジ等の締結部材で固定する。
・施工手順5
上述した施工手順5を出隅用R型見切り縁100の右側にも左側にも行なう。これにより、R型出隅カバー1100以外が取り付けられた状態とする。
・施工手順6
R型出隅カバー1100を下方から上方へ向けて嵌め込んでR型出隅カバー1100どうしを積み上げていく。このとき、雨水の浸入を避けるために、下の段のR型出隅カバー1100の上端よりも1つ上の段のR型出隅カバー1100の下端が外側になるように施工する。また、図2に示すように、R型出隅カバー1100の係合部1120を敷目板1200の嵌合部1210へ嵌め込んで固定する。これにより、最上段のR型出隅カバー1100以外が取り付けられた状態とする。
・施工手順7
最上段から1段の下のR型出隅カバー1100の上端よりも最上段のR型出隅カバー1100の下端が外側になるように位置を合わせてから、図2に示すように、最上段のR型出隅カバー1100の係合部1120を敷目板1200の嵌合部1210へ嵌め込んで固定する。最後に、全ての嵌合部分または係合部分の状態を確認する。
200 立ち下がり面
210 左側面
250 右側面
300 基台部
310 左基台平面
350 右基台平面
410 左基台側面
450 右基台側面
480 曲面部
1100 R型出隅カバー
1200 敷目板
1300 外装材
1400 胴縁
1500 コーナー支柱
Claims (6)
- 建築物の出隅に設けられ、基台部と立ち下がり面とを含む出隅用見切り縁であって、
前記出隅用見切り縁は、平面状の金属板を所定の形状に切り出して折り曲げて立体形状に形成され、
前記基台部は、前記出隅を曲面状に覆う曲面部を含み、
前記立ち下がり面は、左側面と前記左側面から略直角に位置する右側面とを含み、
前記基台部は、前記左側面または前記右側面から略直角に曲げられて連続する基台平面と、前記左側面または前記右側面に略平行であって前記基台平面から略直角に曲げられて連続する基台側面とを含み、
前記基台平面は、
前記左側面から略直角に曲げられて連続する左基台平面と、
前記右側面から略直角に曲げられて連続する右基台平面とを含み、
前記基台側面は、
前記左側面に略平行であって前記左基台平面から略直角に曲げられて連続する左基台側面と、
前記右側面に略平行であって前記右基台平面から略直角に曲げられて連続する右基台側面と、
前記曲面部とを含み、
前記基台側面が前記左基台側面から前記曲面部を経て前記右基台側面へ連続して形成されていることを特徴とする、出隅用見切り縁。 - 前記曲面部は帯状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の出隅用見切り縁。
- 前記基台平面上において、前記左基台平面と右基台平面との境界線と、前記左側面と前記右側面との交差点から平面視における左基台側面の仮想延長線と右基台側面の仮想延長線との交点まで引いた中心線とが一致しないことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の出隅用見切り縁。
- 前記左側面と前記右側面とは、前記出隅用見切り縁の内側で互いに係合する立ち下がり重ねしろ部を備え、
前記左基台平面と前記右基台平面とは、前記出隅用見切り縁の内側で互いに係合する平面重ねしろ部を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の出隅用見切り縁。 - 前記左基台側面の下端および前記右基台側面の下端は、前記立ち下がり面側へ折り返された折り返し部をそれぞれ含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の出隅用見切り縁。
- 前記折り返し部は、その一部が切り欠かれて前記基台の端部から前記曲面部へ向かう方向に不連続であることを特徴とする、請求項5に記載の出隅用見切り縁。
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