JP7205686B2 - 水洗大便器 - Google Patents
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Description
まず、特許文献1に記載されている従来の水洗大便器においては、水道水をリム吐水口に直接供給して吐出させることによりリム吐水を実行する一方、タンクに貯水された洗浄水をポンプで加圧してジェット吐水口から吐出させることによりジェット吐水を実行する、いわゆる、「ハイブリッド洗浄」によるボウル部の洗浄を実行するようになっている。
また、上述した特許文献1に記載されている従来の水洗大便器においては、水道に直結されているリム吐水用の給水経路と、ジェット吐水用の洗浄水が貯水されるタンクに給水するジェット吐水用の給水経路とが電気的な切替弁(電磁弁等)により切替可能となっており、この電気的な切替弁の切替動作は、コントローラの制御により電気的な信号で行われるようになっている。これにより、便器洗浄が開始された際には、まず、リム吐水口から洗浄水を吐水するリム吐水が行われ、つぎに、このリム吐水を継続した状態でジェット吐水口から洗浄水を吐水するジェット吐水が行われるようになっている。
さらに、特許文献2に記載されている従来の水洗大便器においては、タンクに貯水された洗浄水をポンプで加圧し、このポンプで加圧された洗浄水のみによりリム吐水及びジェット吐水のそれぞれを実行するようになっている。また、この水洗大便器においては、ポンプで加圧された洗浄水の吐水流路が電気的な切替弁(電磁弁等)によりリム吐水用の給水経路とジェット吐水用の給水経路のそれぞれに切替可能となっており、この電気的な切替弁の切替動作がコントローラの制御により電気的な信号で行われるようになっている。
これらの特許文献1、2に記載されている従来の水洗大便器については、低水圧の地域や場所に設置した場合においても、タンクに貯水された洗浄水をポンプで加圧して吐水を行うことができるようになっているため、便器の洗浄性能を確保することができるようになっている。
特に、水道水をリム吐水口へ直接供給するリム吐水用の給水経路においては、水頭圧(いわゆる、ヘッド圧)を考慮すると、切替弁をリム吐水口よりも高い位置に配置することが好ましい。しかしながら、このように切替弁をリム吐水口よりも高い位置に配置した場合には、水洗大便器の高さ方向のスペースを要することになるため、装置の小型化を阻害する要因となっている。
また、上述した特許文献2に記載されている従来の水洗大便器においては、共通のポンプで加圧された洗浄水をリム吐水口とジェット吐水口に供給する構造により、水洗大便器の高さ寸法を抑制することができる。しかしながら、切替弁によりリム吐水用の給水経路からジェット吐水用の給水経路に切り替える際には、加圧ポンプにより比較的大きな水圧がかかった状態の洗浄水について、リム吐水用の給水経路からジェット吐水用の給水経路に切り替える必要がある。
したがって、このように給水経路に比較的大きな水圧がかかった状態において電気的な切替弁(電磁弁等)を駆動させるためには、比較的大きなトルクが必要とされるため、その分、切替弁が大型化してしまうという問題がある。
これに対して、比較的低い水圧がかかった状態において切替弁を予め作動させておくことにより、切替動作に必要なトルクを小さくすることもできる。しかしながら、切替弁が全開状態となった時にポンプの回転数を上昇させると、特に、ジェット吐水において、サイホンの発生に寄与しない無駄水が発生してしまうことが懸念されるという問題もある。
そこで、本発明者らは、加圧ポンプによって発生する給水路内の水圧に応じて、リム吐水用の給水経路やジェット吐水用の給水経路を開閉することにより流路切替を行う切替部に着目し、この切替部を含む装置の小型化を実現することを目的として鋭意開発を行っている。
しかしながら、水圧によって給水経路を開閉することにより流路切替を行う切替部の切替弁等の切替機構に対しては、水圧を効率よく与える必要があるため、リム吐水用の給水経路やジェット吐水用の給水経路を複雑化することになる。
特に、大きい吐水流量が要求される洗浄工程においては、給水経路内を流れる洗浄水の流量や流速も大きいため、複雑化した給水経路内で渦流等が発生する恐れがある。
したがって、リム吐水用の給水経路やジェット吐水用の給水経路のそれぞれを流れる洗浄水量がばらつき、便器の洗浄性能にも影響を及ぼしてしまうという問題がある。また、このような給水経路内における渦流の発生により、異音が発生する恐れもあるため、便器の使用者に不快感を与えてしまうという問題もある。
このように構成された本発明以外の水洗大便器においては、切替部の切替弁体が閉弁状態から開弁状態に切り替わった状態では、第1流路において第2流路に分岐する分岐部やその下流側の流路が複雑になるため、その複雑な流路部分で渦流等が発生することなる。したがって、リム吐水口やジェット吐水口に供給する洗浄水の流量が乱れることに加えて、異音が発生してしまうという問題がある。
これに対し、上述した本発明の水洗大便器においては、例えば、給水路内の洗浄水をリム吐水口から吐水する第1洗浄工程(いわゆる、リム吐水)を実行させた後に、リム吐水口からの吐水を継続させながら給水路内の洗浄水をジェット吐水口から吐水する第2洗浄工程(いわゆる、リム・ジェット吐水)を実行させる際に、切替部の切替弁体が閉弁状態から開弁状態に切り替わった状態になる。この切替弁体の開弁状態では、第1流路における分岐部よりも上流側の第1流路断面積(A1)が分岐部よりも下流側の第1流路の第2流路断面積(A2)とは異なっているため、上流側から分岐部に流れ込んだ洗浄水が分岐部の下流側の第1流路や第2流路に流れ易くなる。
したがって、第1流路から第2流路へ分岐する分岐部付近又はその下流側の第1流路や第2流路内で渦流が発生することを抑制することができるため、第1洗浄工程(いわゆる、リム吐水)の給水経路から第2洗浄工程(いわゆる、リム・ジェット吐水)の給水経路に切り替わった状態においても、リム・ジェット吐水による洗浄性能を維持しながら、異音の発生を抑制することができる。
このように構成された本発明においては、第1流路の第2流路断面積(A2)が第1流路の第1流路断面積(A1)よりも大きいため、切替弁体が開弁した状態において、第1流路から第2流路へ分岐する分岐部付近又はその下流側の第1流路や第2流路内で渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
したがって、切替部により第1洗浄工程(いわゆる、リム吐水)の給水経路から第2洗浄工程(いわゆる、リム・ジェット吐水)の給水経路に切り替わった状態においても、リム・ジェット吐水による洗浄性能を確実に維持しながら、異音の発生を効果的に抑制することができる。
このように構成された本発明においては、第3流路の第3流路断面積(A3)が第1流路の第2流路断面積(A2)よりも大きいため、切替弁体が開弁した状態において、第1流路の第2流路断面積(A2)の流路断面を通過した洗浄水が、その下流側の第3流路内に積極的にスムーズに流れ込むことができる。
したがって、切替弁体の開弁時に、第1流路から第3流路に流れ込む際に渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
よって、切替部により第1洗浄工程(いわゆる、リム吐水)の給水経路から第2洗浄工程(いわゆる、リム・ジェット吐水)の給水経路に切り替わった状態においても、リム・ジェット吐水による洗浄性能を確実に維持しながら、異音の発生を効果的に抑制することができる。
このように構成された本発明においては、第1流路の第2流路断面積(A2)が第2流路の第4流路断面積(A4)よりも大きいため、切替弁体が開弁した状態において、第1流路の第2流路断面積(A2)の流路断面を通過する洗浄水の流量が、第2流路の第4流路断面積(A4)の流路断面を通過する洗浄水の流量よりも大きくなる。
したがって、第1流路から第2流路へ分岐する分岐部付近又はその下流側の第1流路や第2流路内で渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
よって、切替部により第1洗浄工程(いわゆる、リム吐水)の給水経路から第2洗浄工程(いわゆる、リム・ジェット吐水)の給水経路に切り替わった状態においても、リム・ジェット吐水による洗浄性能を確実に維持しながら、異音の発生を効果的に抑制することができる。
このように構成された本発明においては、第1流路の第1流路断面積(A1)が第2流路の第4流路断面積(A4)よりも大きいため、切替弁体が開弁した状態において、第1流路の第1流路断面積(A1)の流路断面を通過した洗浄水は、分岐部を経て、第2流路よりも第1流路の下流側の切替弁体に向かって大きい流量で積極的に流れることができる。
したがって、第1流路から第2流路へ分岐する分岐部付近又はその下流側の第1流路や第2流路内で渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
よって、切替部により第1洗浄工程(いわゆる、リム吐水)の給水経路から第2洗浄工程(いわゆる、リム・ジェット吐水)の給水経路に切り替わった状態においても、リム・ジェット吐水による洗浄性能を確実に維持しながら、異音の発生を効果的に抑制することができる。
このように構成された本発明においては、切替弁体より開閉される第3流路の遷移流路部の上流端が、第2流路に対して側方に延びる第3流路の主流路部の上端よりも下方に位置している。これにより、切替弁体が開弁した状態では、第1流路の下流端から第3流路の遷移流路部に洗浄水が流入した際、第3流路における遷移流路部の上流端と主流路部の上端との間の流域を広く確保することができる。
また、遷移流路部から主流路部に洗浄水が流入した際に、主流路部の上端に衝突することを抑制することができる。
したがって、切替弁体の開弁時に、第1流路から第3流路に流れ込む際に渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
よって、切替部により第1洗浄工程(いわゆる、リム吐水)の給水経路から第2洗浄工程(いわゆる、リム・ジェット吐水)の給水経路に切り替わった状態においても、リム・ジェット吐水による洗浄性能を確実に維持しながら、異音の発生を効果的に抑制することができる。
このように構成された本発明においては、第1流路の分岐部から第2流路に沿って延びる第2流路中心軸線が、分岐部から第1流路の下流側に向って延びる第1流路中心軸線に対して直角又は鋭角で交差している。これにより、上流側から分岐部に流れ込んだ洗浄水が分岐部の下流側の第1流路に流れ込むと共に、分岐部から第2流路にも分岐して流れ込み易くすることができる。
したがって、第1流路から第2流路へ分岐する分岐部付近又はその下流側の第1流路や第2流路内で渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
なお、以下、本明細書中において「洗浄水の流量」や「吐水流量」等という表現の中で使用されている「流量」という用語については、単位時間当たりの体積変化[L/min](いわゆる、「体積流量」又は「瞬間流量」とも呼ぶ)を意味している。
図1は、本発明の一実施形態による水洗大便器の全体概略構成図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器1は、陶器等からなる便器本体2、及び、この便器本体2の後方に配置された機能部4をそれぞれ備えている。
便器本体2は、ボウル部6、リム吐水口8aを含むリム給水路8、ジェット吐水口10aを含むジェット給水路10、及び、排水トラップ管路12(排水トラップ部)をそれぞれ備えている。
給水管14は、その上流側が水道に直結されている。また、電磁弁16は、貯水タンク18の上流側の給水管14の途中に設けられ、コントローラ24(制御部)の制御により開閉されるようになっている。これにより、給水管14内の洗浄水が貯水タンク18内に供給又は停止されるようになっている。
また、加圧ポンプ20の羽根車(図示せず)の回転数N[rpm]は、コントローラ24の制御により調整可能となっている。
まず、図2は、本発明の一実施形態による水洗大便器の切替弁装置の縦断面図であり、閉弁状態を示し、図3は、本発明の一実施形態による水洗大便器の切替弁装置の縦断面図であり、開弁状態を示す。
まず、図1~図3に示すように、上流側給水路28(第1流路)は、加圧ポンプ20から延びる給水路26に接続されており、その下流側が切替弁体34まで鉛直方向上方に延びている。すなわち、切替弁体34は、上流側給水路28(第1流路)の軸方向上の対向する位置に配置されている。
つぎに、図1~図3に示すように、リム給水路30(第2流路)は、切替弁体34よりも上流側に位置している上流側給水路28の途中の分岐部B1から分岐しており、その下流側が便器本体2のリム吐水口8aの上流側のリム給水路8に接続されている。
また、図1~図3に示すように、ジェット給水路32(第3流路)においては、切替弁体34により開閉される上流端(上流側給水路28の上端且つ下流端)より下流側の流域が側方に延びている。さらに、ジェット給水路32(第3流路)の下流側は、便器本体2のジェット吐水口10aの上流側のジェット給水路10に接続されている。
これにより、便器本体2のリム給水路8を通過して、リム吐水口8aからボウル部6内に吐水されるリム吐水が外部へ飛び散る等の機外漏水を抑制することができるようになっている。
なお、本実施形態においては、リム給水路8に定流量弁35を設けているが、切替弁装置22に定流量機能を付与してもよい。
特に、図1及び図2に示すように、切替弁体34が閉弁している状態では、上流側給水路28内の洗浄水のすべてが、分岐部B1からリム給水路30(第2流路)及び便器本体2側のリム給水路8を経てリム吐水口8aに供給されるようになっている。
一方、図3に示すように、切替弁体34が開弁している状態では、上流側給水路28内の洗浄水の一部が、分岐部B1からリム給水路30(第2流路)及び便器本体2側のリム給水路8を経てリム吐水口8aに供給されるようになっていると共に、上流側給水路28内の洗浄水の大半以上が、分岐部B1からジェット給水路32(第3流路)及び便器本体2側のジェット給水路10を経てジェット吐水口10aに供給されるようになっている。
弁体部34aは、鉛直方向に延びる上流側給水路28の中心軸線C1方向(流路軸方向)上の対向する位置に配置されている。
これにより、弁体部34aの下面(受圧面S0)が加圧ポンプ20により加圧された上流側給水路28内の洗浄水の水圧を受けて、切替弁体34が閉止状態から開弁動作を開始するようになっている。
ここで、弁体部34aの下面(受圧面S0)が加圧ポンプ20により加圧された上流側給水路28内の洗浄水の水圧を受けて、切替弁体34が閉止状態から開弁動作を開始するときの水圧を「境界水圧P0[kPa]」とすると、弁体部34aの下面(受圧面S0)が加圧ポンプ20により加圧された上流側給水路28内の洗浄水の所定水圧(境界水圧P0[kPa])以上の水圧を受けた場合には、切替弁体34(34a、34b、34b)が上流側給水路28の流路軸方向と同一方向(弁軸部34cの軸方向(作動軸方向))に機械的に作動することができようになっている。これにより、ジェット給水路32の上流端が水圧に応じて弁体部34aにより開閉可能となっている。
なお、本実施形態において、「切替弁体34が機械的に作動する」とは、切替弁体34が電気信号による制御や電磁力等により電気的に作動(電気的に開閉)する電気式の弁体とは異なることを意味しており、切替弁体34が開閉時に水圧等が直接的に作用することにより押圧されて機械的に作動(機械的に開閉)する機械式の弁体であることを意味している。
これにより、図2に示す閉弁状態の上流側給水路28内の洗浄水の水圧(静圧)P1及び図3に示す開弁状態の上流側給水路28内の洗浄水の水圧(動圧)P2について、弁体部34aの受圧面S0に対して周方向全体に亘ってほぼ均等に作用させることができるようになっている。よって、切替弁体34による給水経路の切替時の動作をより安定化させることができるようになっている。
圧縮コイルばね36(付勢部)は、その下端が切替弁体34の支持部34bにより支持されていると共に、上端が支持部材40(支持部)により支持されている。
また、この圧縮コイルばね36(付勢部)は、圧縮された撓み量に応じて、切替弁体34(34a、34b、34b)に対して閉弁させる方向の付勢する付勢力を作用するようになっている。
そして、閉弁状態の切替弁体34の弁体部34aの受圧面S0に所定水圧(境界水圧P0[kPa])以上の水圧(静圧)P1が作用した場合には、図3に示すように、切替弁体34の弁体部34aが上昇して開弁状態に切り替わるようになっている。
さらに、図3に示すように、開弁状態の切替弁体34の弁体部34aの受圧面S0に所定水圧(境界水圧P0[kPa])以上の水圧(動圧)P2(≧P0)が作用している場合には、水圧(動圧)P2相当の流体力が圧縮コイルばね36の圧縮撓みに応じた付勢力F2を上回るため、切替弁体34が付勢力F2に抗して開弁方向に作動しており、切替弁体34の開弁状態が維持されるようになっている。
この環状シール部材38は、切替弁体34の弁軸部34cが挿入されることにより、切替弁体34の弁軸部34cの外周面の上部に取り付けられた状態で支持部材40により保持される。これにより、切替弁体34の弁軸部34cは、環状シール部材38を介して支持部材40により作動軸方向に摺動可能に支持された状態となる。
また、図2及び図3に示すように、環状シール部材38(緩衝部)は、切替弁体34の作動軸方向に対して垂直な方向の緩衝力f0を切替弁体34の弁軸部34cに作用するようになっている。
これにより、環状シール部材38は、支持部材40の内部スペースV1が大気開放される程度に、切替弁体34の弁軸部34cの外周面に接触している。これにより、切替弁体34の弁軸部34cが作動軸方向に摺動した際には、環状シール部材38が切替弁体34の弁軸部34cに対して動摩擦力等を作用させて、摺動抵抗を付与することができるようになっている。
これらにより、貯水タンク18内の洗浄水がオーバーフロー水位に到達したとしても、これらの部材34,36,38,40が水没することを確実に防ぐことができ、切替弁装置22の動作不良や劣化を防ぐことができるようになっている。
ここで、本実施形態においては、角度θが90度(直角)に設定されている例(θ=90°)について説明するが、角度θについては、0度よりも大きく且つ90度未満(0°<θ<90°)の角度(鋭角)になるように設定されてもよい。
これらにより、図1~図3に示すように、上流側から上流側給水路28(第1流路)の分岐部B1に流れ込んだ洗浄水が、分岐部B1の下流側の上流側給水路28に流れ込むと共に、分岐部B1からリム給水路30(第2流路)にも分岐して流れ込み易くすることができるようになっている。
また、上流側給水路28(第1流路)からリム給水路30(第2流路)へ分岐する分岐部B1付近又はその下流側の上流側給水路28やリム給水路30内で渦流が発生することを効果的に抑制することができるようになっている。
まず、ジェット給水路32の遷移流路部32aは、切替弁体34より開閉される上流端32c(上流側給水路28の下流端)から主流路部32bまで遷移するように形成された流路である。
また、ジェット給水路32の主流路部32bは、遷移流路部32aの下流端から側方、すなわち、上流側給水路28(第1流路)の鉛直方向に延びる中心軸線C1に対して直交する方向に延びるように形成された流路である。
さらに、ジェット給水路32の遷移流路部32aの上流端32c(上流側給水路28の下流端)は、主流路部32bの上端32dよりも下方に位置している。
これらにより、図3に示すように、切替弁体34が開弁した状態では、上流側給水路28(第1流路)の下流端32cからジェット給水路32(第3流路)の遷移流路部32aに洗浄水が流入した際、遷移流路部32aの上流端32cと主流路部32bの上端32dとの間の流域を広く確保することができるようになっている。
したがって、切替弁体34の開弁時に、上流側給水路28(第1流路)からジェット給水路32(第3流路)に流れ込む際に渦流が発生することを効果的に抑制することができるようになっている。
ここで、本実施形態においては、第2流路断面積A2が第1流路断面積A1よりも大きく設定されている(A2>A1)。
さらに、図2及び図3に示すように、切替弁装置22の上流側給水路28(第1流路)における分岐部B1よりも下流側の第2流路断面積A2は、リム給水路30(第2流路)の第4流路断面積A4よりも大きく設定されている(A2>A4)。
また、図2及び図3に示すように、切替弁装置22の上流側給水路28(第1流路)における分岐部B1よりも上流側の第1流路断面積A1は、リム給水路30(第2流路)の第4流路断面積A4よりも大きく設定されている(A1>A4)。
図4は、本発明の一実施形態による水洗大便器の基本動作を示すタイムチャートである。また、図5は、本発明の一実施形態による水洗大便器の全体概略構成図であり、切替弁装置の開弁状態を示す。
さらに、図6は、本発明の一実施形態による水洗大便器において、加圧ポンプの回転数に対するリム吐水、ジェット吐水、及び、リム・ジェット吐水のそれぞれの流量Q[L/min]と圧力[kPa]との関係を示す特性図である。
なお、図6に示す特性図においては、加圧ポンプ20の回転数N毎に描かれた流量Q[L/min]と圧力[kPa]との関係を示す曲線が等高線状に複数描かれている。また、図6では、リム吐水、ジェット吐水、及び、リム・ジェット吐水のそれぞれに対応する流量Q[L/min]と圧力[kPa]との関係を示す曲線がそれぞれ放物線状に描かれている。さらに、図6では、切替弁体34が稼働したときに取り得る流量Q[L/min]と圧力[kPa]との関係の軌跡を太線及びバツ印で示している。
このとき、図1及び図2に示すように、切替弁装置22の切替弁体34においては、圧縮コイルばね36が切替弁体34に作用する付勢力F1が、切替弁装置22の上流側給水路28(第1流路)内の水圧P1(境界水圧P0未満の静圧、P1<P0)が弁体部34aの受圧面S0に作用する流体力を上回っている。これにより、弁体部34aは、上昇することなく、最低位置にあり、ジェット給水路32の遷移流路部32aの上流端32c(上流側給水路26の下流端)を閉止している状態(閉弁状態)となる。
したがって、図1及び図6に示すように、加圧ポンプ20から回転数N1で切替弁装置22の上流側給水路28内に供給された洗浄水W1(図6の水圧P1[kPa]及び流量Q1[L/min])は、上流側給水路28の分岐部B1からリム給水路30(第2流路)のみに供給されるため、ジェット給水路32(第3流路)に供給されることはない。
そして、このリム給水路30内の洗浄水は、定流量弁35を通過し、便器本体2のリム給水路8のリム吐水口8aからボウル部6に吐水される。これにより、図4に示す時刻t1から時刻t2までの時間(例えば、t2-t1=2.5秒)では、リム吐水口8aからの1回目のリム吐水が実行され、第1洗浄工程として、1回目のリム洗浄(いわゆる、「前リム洗浄」)が実行される。
このとき、図2、図3及び図5に示すように、切替弁装置22の切替弁体34においては、切替弁装置22の上流側給水路28(第1流路)内の水圧(静圧)P1が弁体部34aの受圧面S0に作用する流体力が、圧縮コイルばね36が切替弁体34に作用する付勢力F1を上回るようになる。これにより、図4の時刻t2では、弁体部34aが、ジェット給水路32の遷移流路部32aの上流端32c(上流側給水路26の下流端)を閉止している状態(図2参照)から上昇し、開弁している状態となる(図3参照)。
また、図3に示すように、開弁した状態の弁体部34aの受圧面S0においては、水圧(動圧)P2が作用するようになり、この水圧(動圧)P2に相当する流体力についても圧縮コイルばね36による付勢力F2を上回っているため、切替弁体34の開弁状態が維持される(図3参照)。
したがって、図5及び図6に示すように、加圧ポンプ20から回転数N2で切替弁装置22の上流側給水路28内に供給された洗浄水W1(図6の水圧P2[kPa]及び流量Q2[L/min])のうちの一部の洗浄水W2(図6の水圧P2[kPa]及び流量Q3[L/min])が、リム吐水用として、上流側給水路28の分岐部B1からリム給水路30(第2流路)に供給される。
同時に、図5及び図6に示すように、加圧ポンプ20から回転数N2で切替弁装置22の上流側給水路28内に供給された洗浄水W1(図6の水圧P2[kPa]及び流量Q2[L/min])のうちの残部の洗浄水W3(図6の水圧P2[kPa]及び流量Q4[L/min])が、ジェット吐水用として、上流側給水路28の分岐部B1からジェット給水路32(第3流路)に供給される。
そして、図5に示すように、リム給水路30内の洗浄水W2(流量Q3[L/min])は、定流量弁35を通過し、便器本体2のリム給水路8のリム吐水口8aからボウル部6に吐水される。これにより、2回目のリム吐水が実行され、第2洗浄工程として、2回目のリム洗浄(いわゆる、「中リム洗浄」)が実行される。
同時に、図5に示すように、ジェット給水路32内の洗浄水W3については、リム給水路30内の洗浄水W2(流量Q3[L/min])よりも大きい流量Q4[L/min](Q4>Q3)で流れ、便器本体2のジェット給水路10のジェット吐水口10aからボウル部6に吐水される。これにより、1回目のジェット吐水が実行され、第2洗浄工程として、1回目のジェット洗浄が実行される。
また、図4の時刻t3から時刻t4までの時間では、加圧ポンプ20の回転数N3[rpm]が、図4の時刻t2から時刻t3の期間の加圧ポンプ20の回転数N2[rpm]よりも低下した分だけ、時刻t3から時刻t4までの時間の切替弁装置22の上流側給水路28(第1流路)内の水圧(動圧)P3[kPa]及び流量Q5[L/min](図6参照)のそれぞれについても、時刻t2から時刻t3までの時間の水圧(動圧)P2及び流量Q2[L/min](図6参照)よりも低下する(P3<P2、Q5<Q2)。
しかしながら、図4の時刻t3から時刻t4までの時間においても、切替弁装置22の上流側給水路28(第1流路)内の水圧(動圧)P3が弁体部34aの受圧面S0に作用する流体力が、圧縮コイルばね36が切替弁体34に作用する付勢力F2を上回っているため、切替弁体34の開弁状態が維持される。
これらにより、2回目のリム吐水の実行が維持されながら、2回目のジェット吐水が実行され、第2洗浄工程として、2回目のリム洗浄(いわゆる、「中リム洗浄」)が継続されながら、2回目のジェット洗浄が実行される。
これらの結果、図4に示す時刻t2から時刻t4までの時間では、リム吐水口8aからのリム吐水とジェット吐水口10aからのジェット吐水とにより、いわゆる、「リム・ジェット吐水」が実行され、第2洗浄工程として、中リム洗浄及びジェット洗浄の双方が並行に実行される。
また、図4の時刻t4から時刻t5までの時間では、加圧ポンプ20の回転数N4[rpm]が、図4の時刻t1から時刻t2までの時間の加圧ポンプ20の回転数N1[rpm]よりも低下した分だけ、時刻t4から時刻t5までの時間の切替弁装置22の上流側給水路28(第1流路)内の水圧(静圧)P4[kPa]及び流量Q6[L/min](図6参照)のそれぞれについても、時刻t2から時刻t3までの時間の水圧(静圧)P1及び流量Q1[L/min](図6参照)よりも低下する(P4<P1、Q6<Q1)。
このとき、図1及び図2に示すように、切替弁装置22の切替弁体34においては、圧縮コイルばね36が切替弁体34に作用する付勢力F1が、切替弁装置22の上流側給水路28(第1流路)内の水圧(静圧)P4が弁体部34aの受圧面S0に作用する流体力を上回っている。これにより、時刻t4以後の切替弁体34の弁体部34aは、最低位置まで下降しており、ジェット給水路32の遷移流路部32aの上流端32c(上流側給水路26の下流端)を再び閉止している状態(閉弁状態)となる。
したがって、図1及び図6に示すように、加圧ポンプ20から回転数N4で切替弁装置22の上流側給水路28内に供給された洗浄水(図6の水圧P4[kPa]及び流量Q6[L/min])は、上流側給水路28の分岐部B1からリム給水路30(第2流路)のみに供給されるため、ジェット給水路32(第3流路)に供給されることはない。
そして、このリム給水路30内の洗浄水は、図4に示す時刻t4から時刻t5までの時間(例えば、t5-t4=5.0秒)では、リム吐水口8aからの3回目のリム吐水が実行され、第3洗浄工程として、3回目のリム洗浄(いわゆる、「後リム洗浄」)が実行される。
図7に示すように、本発明の一実施形態の水洗大便器1とは異なる比較例の水洗大便器100においては、切替弁装置122の切替弁体134が閉弁状態から開弁状態に切り替わった状態では、上流側給水路128においてリム給水路130に分岐する分岐部B101やその下流側の流路(リム給水路130、ジェット給水路132)が複雑になる。このため、その複雑な流路部分(例えば、図7の渦流が発生し易い領域R101,102参照)で渦流等が発生することなる。したがって、リム吐水口8aやジェット吐水口10aに供給する洗浄水の流量が乱れることに加えて、異音が発生してしまうという問題がある。
これに対し、上述した本発明の水洗大便器においては、図1~図6に示すように、切替弁装置22の給水路28内の洗浄水をリム給水路30,8を経てリム吐水口8aから吐水する第1洗浄工程(前リム洗浄工程)でリム吐水を実行させた後に、リム吐水口8aからの吐水を継続させながら、給水路28内の洗浄水をジェット給水路32,10を経てジェット吐水口10aから吐水する第2洗浄工程(中リム洗浄/ジェット洗浄工程)でリム・ジェット吐水を実行させる。
この際、図3に示すように、切替弁装置22の切替弁体34が閉弁状態から開弁状態に切り替わった状態になるが、この切替弁体34の開弁状態では、上流側給水路28(第1流路)における分岐部B1よりも上流側の第1流路断面積A1が分岐部B1よりも下流側の上流側給水路28(第1流路)の第2流路断面積A2とは異なっている。これにより、上流側から分岐部B1に流れ込んだ洗浄水が分岐部B1の下流側の上流側給水路28(第1流路)やリム給水路30(第2流路)に流れ易くなる。
したがって、上流側給水路28(第1流路)からリム給水路30(第2流路)へ分岐する分岐部B1付近又はその下流側の上流側給水路28(第1流路)やリム給水路30(第2流路)内で渦流が発生することを抑制することができる。
よって、第1洗浄工程(前リム洗浄工程)におけるリム吐水の給水経路(リム給水路30,8)から第2洗浄工程(中リム洗浄/ジェット洗浄工程)におけるリム・ジェット吐水の給水経路(リム給水路30,8及びジェット給水路32,10)に切り替わった状態においても、リム・ジェット吐水による洗浄性能を維持しながら、異音の発生を抑制することができる。
したがって、切替弁体34の開弁時に、上流側給水路28(第1流路)からジェット給水路32(第3流路)に流れ込む際に渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
したがって、上流側給水路28(第1流路)からリム給水路30(第2流路)へ分岐する分岐部B1付近又はその下流側の上流側給水路28(第1流路)やリム給水路30(第2流路)内で渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
したがって、上流側給水路28(第1流路)からリム給水路30(第2流路)へ分岐する分岐部B1付近又はその下流側の上流側給水路28(第1流路)やリム給水路30(第2流路)内で渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
また、遷移流路部32aから主流路部32bに洗浄水が流入した際に、主流路部32bの上端32dに衝突することを抑制することができる。
したがって、切替弁体34の開弁時に、上流側給水路28(第1流路)からジェット給水路32(第3流路)に流れ込む際に渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
これにより、上流側から上流側給水路28(第1流路)の分岐部B1に流れ込んだ洗浄水が分岐部B1の下流側の上流側給水路28(第1流路)に流れ込むと共に、分岐部B1からリム給水路30(第2流路)にも分岐して流れ込み易くすることができる。
したがって、上流側給水路28(第1流路)からリム給水路30(第2流路)へ分岐する分岐部B1付近又はその下流側の上流側給水路28(第1流路)やリム給水路30(第2流路)内で渦流が発生することを効果的に抑制することができる。
2 便器本体
4 機能部
6 ボウル部
8 リム給水路
8a リム吐水口
10 ジェット給水路
10a ジェット吐水口
12 排水トラップ管路(排水トラップ部)
14 給水管
16 電磁弁
18 貯水タンク
20 加圧ポンプ
22 切替弁装置(切替部)
24 コントローラ(制御部)
26 給水路
28 上流側給水路(第1流路)
30 リム給水路(第2流路)
32 ジェット給水路(第3流路)
32a ジェット給水路の遷移流路部
32b ジェット給水路の主流路部
32c ジェット給水路の遷移流路部の上流端、上流側給水路の下流端
32d ジェット給水路の主流路部の上端
34 切替弁体
34a ダイヤフラム型の弁体部
34b 支持部
34c 弁軸部
35 定流量弁
36 圧縮コイルばね(付勢部)
38 環状シール部材(緩衝部)
40 支持部材(支持部)
100 比較例による水洗大便器
122 切替弁装置
128 上流側給水路
130 リム給水路
132 ジェット給水路
134 切替弁体
A1 流路断面積(第1流路の第1流路断面積)
A2 流路断面積(第1流路の第2流路断面積)
A3 流路断面積(第3流路の第3流路断面積)
A4 流路断面積(第2流路の第4流路断面積)
B1 分岐部
B101 分岐部
C1 切替弁装置の上流側給水路の中心軸線(第1流路中心軸線)
C2 切替弁装置のリム給水路の中心軸線(第2流路中心軸線)
f0 緩衝力、摩擦力
F1 付勢力
F2 付勢力
N1 加圧ポンプの回転数
N2 加圧ポンプの回転数
N3 加圧ポンプの回転数
N4 加圧ポンプの回転数
O1 切替弁体の弁体部の中心
P0 境界水圧(所定水圧)
P1 水圧(静圧)
P2 水圧(動圧)
P3 水圧(動圧)
P4 水圧(静圧)
Q1 流量[L/min](第1流量)
Q2 流量[L/min](第2流量)
Q3 流量[L/min]
Q4 流量[L/min]
Q5 流量[L/min]
Q6 流量[L/min](第3流量)
R101 渦流が発生し易い領域
R102 渦流が発生し易い領域
S0 受圧面
V1 内部スペース
W1 上流側給水路(第1流路)の洗浄水
W2 リム給水路(第2流路)の洗浄水
W3 ジェット給水路(第3流路)の洗浄水
WO 貯水タンクのオーバーフロー水位
Claims (6)
- 加圧した洗浄水によって洗浄される水洗大便器であって、
洗浄水を貯水する貯水タンクと、
ボウル部と、洗浄水を吐水するリム吐水口及びジェット吐水口と、排水トラップ部と、を備えた便器本体と、
上記貯水タンクから洗浄水を上記リム吐水口及び上記ジェット吐水口のそれぞれに供給可能にする給水路と、
この給水路に設けられて上記リム吐水口及び上記ジェット吐水口のそれぞれに洗浄水を供給する給水経路を切り替える切替部であって、まず、上記給水路内の洗浄水を上記リム吐水口から吐水する第1洗浄工程を実行させ、その後、上記リム吐水口からの吐水を継続させながら上記給水路内の洗浄水を上記ジェット吐水口から吐水する第2洗浄工程を実行させるように上記給水経路を切り替える上記切替部と、
上記貯水タンクから上記給水路に供給する洗浄水を加圧し、上記給水路の洗浄水の流量を調整可能にする加圧ポンプであって、上記第1洗浄工程時に圧送する洗浄水の第1流量よりも上記第2洗浄工程時に圧送する洗浄水の第2流量の方が大きくなるように調整可能である上記加圧ポンプと、を有し、
上記切替部は、上記加圧ポンプにより加圧された洗浄水の水圧を受けて機械的に作動し且つ上記給水路から少なくとも上記ジェット吐水口への給水経路を開閉する切替弁体と、上記加圧ポンプからの洗浄水が供給され上記切替弁体まで延びる第1流路と、この第1流路における分岐部から分岐して上記リム吐水口へ洗浄水を供給する第2流路と、上記切替弁体から上記ジェット吐水口へ洗浄水を供給する第3流路と、を備えており、
上記分岐部よりも上流側の上記第1流路の第1流路断面積(A1)は、上記分岐部よりも下流側の上記第1流路の第2流路断面積(A2)とは異なっており、上記第2流路断面積(A2)は、上記第1流路断面積(A1)よりも大きいことを特徴とする水洗大便器。 - 上記第3流路の第3流路断面積(A3)は、上記第1流路の第2流路断面積(A2)よりも大きい請求項1記載の水洗大便器。
- 上記第1流路の第2流路断面積(A2)は、上記第2流路の第4流路断面積(A4)よりも大きい請求項1又は2に記載の水洗大便器。
- 上記第1流路の第1流路断面積(A1)は、上記第2流路の第4流路断面積(A4)よりも大きい請求項1乃至3の何れか1項に記載の水洗大便器。
- 上記第3流路は、上記第2流路に対して側方に延びる主流路部と、上記切替弁体より開閉される上流端から上記主流路部まで遷移する遷移流路部と、を備えており、
上記遷移流路部の上流端は、上記主流路部の上端よりも下方に位置している請求項1乃至4の何れか1項に記載の水洗大便器。 - 上記分岐部から上記第2流路に沿って延びる第2流路中心軸線は、上記分岐部から上記第1流路の下流側に向って延びる第1流路中心軸線に対して直角又は鋭角で交差している請求項1乃至5の何れか1項に記載の水洗大便器。
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