1.テーブルの概要
本願発明の第1実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態は、本願発明の吊下げ収納箱の取付角度調整構造をテーブルに適用したものである。なお、本願発明は、天板の下方に収納箱を吊下げ配置可能な空間を有する天板付什器に適用可能である。
図1及び図2に示すように、本実施形態におけるテーブルは、長方形の天板1を有している。各方向を特定するため、前後・左右の文言を使用するが、図1に示すように、テーブルにおける天板1の長手方向(幅方向)を左右方向とし、これと直交した方向(奥行き方向)を前後方向と定義している。
本実施形態におけるテーブルは長方形の仕様であり、平面視長方形の天板1と、天板1を支える4本の脚2とを有している。脚2は、天板1のコーナー部(四隅部)に位置しており、脚2上端が天板1の下面と連結することで、4本の脚2が天板1を支持している。
天板1の左右方向に延びる中心線に沿った部位の左右2か所には、平面視四角形(正方形)の配線穴6が空いている。天板1は木製であり、例えば図1(B)に示すように、天板1の下面には、短辺の近くに配置された前後長手のエンドフレーム3と、左右のエンドフレーム3の間に配置された左右長手の補強桟4とが重ねられており、エンドフレーム3がボルト5(図2(B)参照)で固定されている(エンドフレーム3と補強桟4との両方を天板1に固定してもよい。)。
補強桟4とエンドフレーム3は、天板を支持する天板支持フレームを構成する。補強桟4とエンドフレーム3とは、溶接によって固定されていてもよいし、ボルトで固定されていてもよい。ボルトで固定する場合は、例えば、エンドフレーム3に、補強桟4の内部に嵌入する角形のボス体を横向きに突設して、補強桟4に下方から挿通したボルトを補強桟4に捩じ込む方式を採用することが可能であり、この場合は、補強桟4とエンドフレーム3とを強固に固定できる。
補強桟4とエンドフレーム3と脚2によって、テーブルの骨組みが構成されている。天板1は木製のものを使用しているが、スチール製のものを使用したり、紙製等の軽量コア部材の上下両面に金属板(スチール板)を接着した積層品を使用したりすることも可能である。
一方のエンドフレーム3の一端部に、収納箱41がブラケット51を介して吊下げ連結されている。収納箱41は、全体が天板1の下方に位置するようにしながら、天板1の1つの角部(隅部)の近傍に配置されている。すなわち、収納箱41は、1本の脚2の近傍に配置されている。
2.脚及びエンドフレームの構造
図1~図4に示すように、脚2は、天板1の下面に固定される脚ブラケット8と、脚ブラケット8に取り付けた脚支柱9と、脚支柱9の下端に取り付けた捩じ込み式のアジャスタ25とで構成されている。なお、各脚2において、アジャスタ25に替えてキャスター(車輪)を脚支柱9に取り付けることも可能である。
脚ブラケット8は、例えばアルミニウムを材料にしたダイキャスト品である(樹脂の成形品でもよい)。脚ブラケット8の一端側に、角管状の脚支柱9が連結されている。下方から嵌め込んでいる。脚ブラケット8の他端側は、角管状のエンドフレーム3の端部に連結されている。脚ブラケット8は、上下に開口する4つのボルト挿通穴に下方から挿通される4本のボルト27(図7(B)参照)で天板1に固定される。これに伴って、天板1の各コーナー部には、4つずつの雌ネジ穴(鬼目ナット)が設けられている。
天板支持フレームを構成するエンドフレーム3の上面には、錐台状の上向き台座部28が飛び飛びで複数個膨出形成されており、この台座部28がボルト5で天板1に固定されている。従って、天板1とエンドフレーム3との間には、台座部28の突出高さと同じ寸法の隙間S(図4(A)及び図9参照)が空いている。なお、エンドフレーム3の上面に板材(スペーサ)を溶接等で固定しても、エンドフレーム3と天板1との間に隙間を空けることができる。また、エンドフレーム3のうち各台座部28の下方部には大きな穴30(図8参照)が空いており、この穴30に、上下に開口した樹脂製の筒体31(図9参照)を装着している。
3.収納箱の構造
図1~図4に示すように、収納箱41は、天板1の1つの角部の下方で、左右2本のうち一方のエンドフレーム3の一端部に、ブラケット51を介して吊下げ連結されている。収納箱41は、金属製であり、前後方向に開口する四角筒状の形態を有し、天板部42と、天板部42の左右端部から垂下する左右の側板部43,43と、側板部43,43の下端部同士を連結する底板部44とを備えている。
天板部42と底板部44は互いに平行に設けられており、左右の側板部43,43は互いに平行に設けられている。天板部42及び底板部44と側板部43は互いに直交している。また、収納箱41は、奥側(前側)の開口の下寄り部位を塞ぐ起立板部45を備えており、底板部44上に載置された物品が奥側へ落下しないように構成されている。
収納箱41は、天板部42の上面に固着された前後一対の補強板部46,46を備えている。補強板部46,46は、それぞれ左右方向に延びる金属板からなり、前後に間隔を空けて設けられている。天板部42及び補強板部46には、第1取付穴47、第2取付穴48及び工具挿通穴49が設けられている。
図4(B)に示すように、第1取付穴47は、略ダルマ形であり、大径部47aと、大径部47aから手前向き(後向き)に延びる取付溝部47bを備えている。大径部47aの開口は、後述する第1取付ボルト61の頭部径よりも大きな径を有する。取付溝部47bの溝幅は、第1取付ボルト61の頭部径よりも小さく、かつ軸部径よりもわずかに大きな寸法を有する。
第2取付穴48の開口は、円形であり、後述する第2取付ボルト62の頭部径よりも小さく、かつ軸部径よりもわずかに大きな径を有する。工具挿通穴49の開口は、円形であり、後述する取付角度調整ボルト63の頭部径よりも小さく、かつ取付角度調整ボルト63を回すための工具の先端部径よりも大きな径を有する。
天板部42には、第1取付穴47、第2取付穴48及び工具挿通穴49が4つずつ設けられている。第1取付穴47及び第2取付穴48は、補強板部46と重なる位置に設けられており、天板部42及び補強板部46を上下方向に貫通している。ただし、4つの第1取付穴47のうち手前側の左右に並ぶ2つの第1取付穴47は、大径部47aが補強板部46とは重ならない位置に設けられおり、取付溝部47bが補強板部46と重なる位置に設けられて天板部42及び補強板部46を貫通している。
4つの第1取付穴47は、取付溝部47bが、中心位置を収納箱41の重心Gとして側板部43と平行な2辺を有する長方形の各頂点に位置するように、配置されている。4つの第2取付穴48は、各第1取付穴47の取付溝部47bの左右方向外側位置に、左右に並ぶ第1取付穴47の取付溝部47b同士の間隔と同じ間隔を空けて、1つずつ設けられている。すなわち、4つの第2取付穴48は、中心位置を重心Gとして側板部43と平行な2辺を有する長方形の各頂点に位置している。つまり、左右方向に沿って等間隔に並ぶ第2取付穴48、取付溝部47b、取付溝部47b、第2取付穴48の列が前後に2組設けられている。
4つの工具挿通穴49は、前後方向に並ぶ第1取付穴47の取付溝部47b同士の中間位置と、前後方向に並ぶ第2取付穴48同士の中間位置に設けられており、重心Gを通って左右方向に延びる直線に沿って等間隔に配置されている。
図3に示すように、脚2の近傍に配置される側板部43には、脚2に対向する面の手前側下寄りの角部近傍に、ゴムなどの弾性体からなる緩衝部材50が取り付けられている。緩衝部材50は、側板部43と脚2との間に配置され、収納箱41の脚側への移動を規制するとともに、収納箱41と脚2とが接触して収納箱41や脚2が損傷するのを防止する。
4.ブラケットの構造及び取付構造
図5~図9に示すように、ブラケット51は、ベース部材52とスライド部材53とを備えている。ベース部材52とスライド部材53は、金属製の板材が切断加工、穴あけ加工、折り曲げ加工されて形成されたものである。
ベース部材52は、上向きに開口する略U字形の形態を有し、ベース底板部52aと、ベース底板部52aの左右一端部から上向きに延びるベース側フレーム挟持板部52bと、ベース底板部52aの左右他端部から上向きに延びる連結側板部52cとを備えている。ベース側フレーム挟持板部52bの上端部には、連結側板部52c側に向けて突設されたベース側係止爪部52dが設けられている。ベース底板部52aの前後両端部には、ベース側フレーム挟持板部52bよりも低い高さで、前後一対の補強リブ部52eが立設されている。
ベース底板部52aの上面に4つの取付ナット56が固着されている。取付ナット56は、収納箱41の取付穴47,48に挿通される取付ボルト61,62が捩じ込まれるナットであり、前後に並ぶ第1取付穴47の各取付溝部47bに対応する位置と、その隣に位置する前後の第2取付穴48に対応する位置とに設けられている。ベース底板部52aには、取付ナット56の固着位置に、取付ボルト61,62の軸部を挿通可能な取付ボルト挿通穴52f(図5(B)及び図8参照)が設けられている。
また、ベース底板部52aの上面には、左右一対の取付角度調整ナット54が固着されている。取付角度調整ナット54は、前後に並ぶ取付ナット56同士の中間位置に設けられている。ベース底板部52aには、取付角度調整ナット54の固着位置に、取付角度調整ボルト63の軸部を挿通可能な調整ボルト挿通穴52i(図5(B)及び図9参照)が設けられている。各取付角度調整ナット54には、取付角度調整ボルト63が下方から調整ボルト挿通穴52iを介して捩じ込まれる。取付角度調整ナット54と取付角度調整ボルト63は、取付角度調整具10を構成する。
ベース底板部52aには、左右方向に延びる前後一対の横長溝52gが形成されている。横長溝52gは、ベース底板部52aを上下方向に貫通しており、ベース底板部52aの左右中央位置から、連結側板部52cに向かって、取付ナット56と取付角度調整ナットとの間の位置まで延びている。横長溝52gの溝幅は、後述するスライドボルト55の頭部55aの径よりも小さく、かつスライドボルト55の軸部を挿通可能な寸法で形成されている。
ベース部材52の連結側板部52cには、ベース側フレーム挟持板部52bに対向する面の前後中央部上寄り部位に、連結ナット57が固着されている。連結側板部52cには、連結ナット57の固着位置に、後述する連結ボルト58の軸部を挿通可能な連結ボルト挿通穴52h(図9参照)が設けられている。
また、ベース側フレーム挟持板部52bには、連結側板部52cに対向する面に、前後一対の滑り止め部材59が貼り付けられている。滑り止め部材59は、ゴム材などの弾性体からなり、補強リブ部52eよりも高い位置に設けられ、ブラケット51がエンドフレーム3に取り付けられたときに、滑り止め部材59とエンドフレーム3側面部との間の摩擦力によってブラケット51の前後移動を抑制する機能を有する。
スライド部材53は、底面が開口された略箱型の形態を有し、スライド天板部53aと、スライド天板部53aの左右一端部から下向きに延びるスライド側板部53cと、スライド天板部53aの左右他端部の中央部から下向きに延びるスライド側フレーム挟持板部53bとを備えている。スライド側板部53cの前後中央部上寄り部位に、後述する連結ボルト58の軸部を挿通可能な連結ボルト挿通穴53h(図9参照)が設けられている。
スライド天板部53aには、スライド側フレーム挟持板部53bを前後で挟んで、スライド側板部53cの上端部から遠ざかる向きに略水平に突設された前後一対のスライド側係止爪部53dが設けられている。スライド天板部53aの前後両端部には、スライド側板部53c及びスライド側フレーム挟持板部53bと同程度の上下寸法で下向きに延びる前後一対のカバー板部53eが垂下している。
スライド側フレーム挟持板部53bの下端部には、スライド側板部53cの下端部側へ向けて延びる前後一対のスライドボルト受け部53fが突設されている。スライドボルト受け部53fには、スライドボルト55が捩じ込まれるスライド雌ネジ穴53gがそれぞれ形成されている。
スライドボルト55は、ベース部材52の横長溝52gに下方から挿通されてスライド雌ネジ穴53gに捩じ込まれる。スライドボルト55を緩めた状態では、スライドボルト55の軸部中途部が横長溝52gに沿って左右方向へ移動可能に構成されており、ベース部材52とスライド部材53は、相対的に左右方向にスライド可能に連結される。すなわち、ベース側フレーム挟持板部52b及びベース側係止爪部52dと、スライド側フレーム挟持板部53b及びスライド側係止爪部53dとの間の広狭を調整可能に構成されている。
図7に示すように、ブラケット51をエンドフレーム3に取り付ける際には、スライドボルト55を緩め、ベース側係止爪部52dとスライド側係止爪部53dとの間隔をエンドフレーム3の幅よりも広くする。エンドフレーム3をベース側係止爪部52dとスライド側係止爪部53dとの間の空間を通過させ、エンドフレーム3がベース側フレーム挟持板部52bとスライド側フレーム挟持板部53bとの間に位置するようにブラケット51を配置する。ベース側フレーム挟持板部52bに貼付された滑り止め部材59と、スライド側フレーム挟持板部53bとがエンドフレーム3の側面部に当接するように、ベース部材52とスライド部材53を相対的にスライドさせる。これにより、ベース側係止爪部52d及びスライド側係止爪部53dは、天板1とエンドフレーム3上面との間の隙間Sに挿入される。
スライドボルト55を軽く締め込んで仮止めすることで、ベース部材52とスライド部材53との相対的な移動が規制され、ブラケット51がエンドフレーム3に落下不能に連結される。連結ボルト58を、スライド部材53のスライド側板部53cの左右方向外側から連結ボルト挿通穴53hとベース部材52の連結ボルト挿通穴52hを介して、連結ナット57に捩じ込んむ。連結ボルト58を締め付けることで、連結側板部52cとスライド側板部53cとの間隔が狭くなるとともに、ベース側フレーム挟持板部52b(滑り止め部材59)とスライド側フレーム挟持板部53bとがエンドフレーム3の左右両側面部を強固に挟持する。なお、滑り止め部材59は、その厚みが薄くなるように弾性変形する。その後、仮止めした前後のスライドボルト55を締め込んで、ベース部材52とスライド部材53との連結を強固にする。
5.収納箱の吊下げ構造
図8及び図9に示すように、ブラケット51の左右の取付角度調整ナット54に、下方から調整ボルト挿通穴52iを介して取付角度調整ボルト63を捩じ込む一方、前後の取付ナット56に下方から取付ボルト挿通穴52fを介して第1取付ボルト61を捩じ込む。なお、ブラケット51への第1取付ボルト61及び取付角度調整ボルト63の取付けは、ブラケット51をエンドフレーム3に取り付ける前に行ってもよい。
第1取付ボルト61の頭部とブラケット51のベース底板部52aとの間隔が、収納箱41の天板部42と補強板部46の合計厚みよりも大きくなるようにした状態で、ブラケット51の下方に収納箱41を配置する。収納箱41を持ち上げて、前後の第1取付ボルト61の頭部を手前側から見て右側の前後の第1取付穴47の大径部47aに上方から挿通させた後、収納箱41を奥向き(前向き)にスライドさせて、第1取付ボルト61の軸部を第1取付穴47の取付溝部47bに位置させる。作業者が収納箱41から手を放すと、第1取付ボルト61の頭部が天板部42の下面に当接し、収納箱41は第1取付ボルト61に落下不能に支持される。
前後の第1取付ボルト61を締め込んで、収納箱41の補強板部46の上面をブラケット51のベース底板部52aに当接させる。収納箱41は、平面視で重心Gよりも右寄りの前後2箇所で吊下げ連結される。収納箱41の天板部42とブラケット51の下部との間には隙間が形成されている。ブラケット51に取り付けられた前後のスライドボルト55の頭部55a及び左右の取付角度調整ボルト63の頭部63aの頭部高さは、補強板部46の厚みよりも小さく形成されており、頭部55a,63aは、補強板部46とベース底板部52aとの接触を阻害しない。また、取付角度調整ボルト63の頭部63aの下方には、収納箱41の天板部42に設けられた工具挿通穴49が配置されている。
次に、ブラケット51の4つの取付ナット56のうち、第1取付ボルト61が取り付けられていない前後2つの取付ナット56に、収納箱41の第2取付穴48及びブラケット51の取付ボルト挿通穴52fを介して、下方から第2取付ボルト62を捩じ込んで締め込む。これにより、収納箱41は、2本の第1取付ボルト61と2本の第2取付ボルト62の合計4本のボルトで、ブラケット51に強固に吊下げ連結される。
なお、第2取付穴48は、第2取付ボルト62の軸部径よりも少しだけ大きな径で形成されているので、収納箱41に使用者の足が当たるなどして前後左右方向に力が加わっても、第2取付ボルト62の軸部が第2取付穴48の内壁に接触することで、収納箱41の変位が規制される。また、第1取付穴47は、取付溝部47bが大径部47aに対して手前側に設けられているので、収納箱41に手前側から力が加わっても、第1取付ボルト61の軸部が取付溝部47bの端部内壁に接触することで、収納箱41の変位が規制される。
6.収納箱の取付角度調整構造
本実施形態では、取付角度調整構造Cは、取付角度調整具10を構成する取付角度調整ボルト63(雄ネジ)と取付角度調整ナット54(雌ネジ)を用いて、収納箱41とブラケット51との間の広狭を調整することで、天板1に対する収納箱41の取付角度を調整可能に構成されている。具体的には、取付角度調整ボルト63の取付角度調整ナット54への捩じ込み程度を調整することでブラケット51と取付角度調整ボルト63の頭部63aとの間隔を調整し、取付角度調整ボルト63の頭部63aに収納箱41の天板部42上面を接触させることで、取付ボルト61,62を締め込んだときの天板部42の角度を調整する。
図10(A)に示すように、収納箱41の天板部42を手前側から見て右下がりに調整したい場合、第2取付ボルト62を取り付ける前の状態、又は第2取付ボルト62を緩めた状態で、右側の取付角度調整ボルト63に、下方から工具挿通穴49を介して工具先端部を連結し、当該取付角度調整ボルト63を緩める方向へ回す。当該取付角度調整ボルト63の頭部63aが収納箱41の天板部42を押し下げ、ブラケット51の下部右寄り部位と収納箱41の天板部42との間隔が広がることで、収納箱41は第1取付ボルト61による固定箇所近傍を中心として手前側から見て時計回りに回動する。その後、第2取付ボルト62を締め付けることで、右側の取付角度調整ボルト63によってブラケット51の下部左寄り部位と収納箱41の天板部42との間隔が維持されながら、収納箱41がブラケット51に強固に固定される。
他方、図10(B)に示すように、収納箱41の天板部42を手前側から見て左下がりに調整したい場合には、第2取付ボルト62を取り付けた後、第1取付ボルト61を緩めた状態で、左側の取付角度調整ボルト63に、下方から工具挿通穴49を介して工具先端部を連結し、当該取付角度調整ボルト63を緩める方向へ回す。これにより、ブラケット51の下部左寄り部位と収納箱41の天板部42との間隔が広がり、収納箱41は第2取付ボルト62による固定箇所近傍を中心として手前側から見て半時計回りに回動する。その後、第1取付ボルト61を締め付けることで、左側の取付角度調整ボルト63によってブラケット51の下部左寄り部位と収納箱41の天板部42との間隔が維持されながら、収納箱41がブラケット51に強固に固定される。
このように、本実施形態の吊下げ収納箱の取付角度調整構造Cは、左右の取付角度調整ボルト63の捩じ込み具合を調整することで、収納箱41の取付角度を手前側から見て時計回り又は半時計回りに所望の角度に調整できる。
本実施形態の吊下げ収納箱の取付角度調整構造Cは、天板1に取り付けられるブラケット51に吊下げ連結される収納箱41とブラケット51との間の広狭を調節することで、天板1に対する収納箱41の取付角度を調整する取付角度調整具10を備えている。これにより、天板1に対する収納箱41の取付角度を容易に調整でき、天板1の下方に収納箱41を吊下げ連結した際の外観を良好にできる。また、収納箱41が真っ直ぐに取り付いている場合でも、収納箱41の近傍に脚2等の比較物があり、当該比較物が傾いているなどの問題で比較物との隙間が均一で無い場合にも、当該隙間が均一になるように調整することで外観を良くすることができる。
また、取付角度調整具10は、収納箱41の上方に配置されており、取付角度調整具が収納箱41の内部に露出しないので、収納箱41の意匠を損なわずに収納箱41の取付角度を調整できる。また、取付角度調整具と収納箱41に収容される物品との接触を防止でき、当該物品及び取付角度調整具の損傷や、収納箱への物品の出し入れを取付角度調整具が阻害するのを防止できる。
また、収納箱41には、取付角度調整ボルト63の下方に、取付角度調整ボルトを回す工具の先端部を挿通可能な工具挿通穴49が設けられているので、収納箱41をブラケット51に連結した状態で取付角度調整ボルト63の取付角度調整ナット54への捩じ込み具合を調整できる。すなわち、収納箱41をブラケット51から取り外すことなく収納箱41の取付角度を調整できるので、収納箱41の取付角度調整作業の容易性及び迅速性が向上する。
また、天板1の下面と連結するエンドフレーム3(天板支持フレームの一例)にブラケット51が取り付けられる構成であって、ブラケット51は、エンドフレーム3を挟持することで、天板1が連結された状態のエンドフレーム3に着脱自在に取付可能に構成されている。したがって、ブラケット51を連結するために天板1やエンドフレーム3を追加で加工したり、専用の連結具を設けたりしなくても、天板1の下方にブラケット51を配置できる。これにより、既存の天板付什器に対して、設計変更や追加加工を行わずに製造コストの上昇を抑制しながら、収納箱41を簡単に吊下げ配置できる。
また、本実施形態では、収納箱41は、収納箱41の重心Gに対して平面視でズレた位置(本実施形態では手前側から見て重心Gに対して右側にズレた位置)で吊り下げられている。収納箱41が重心Gに対して平面視でズレた位置で吊り下げられることで傾いた状態になったとしても、取付角度調整具10を用いて天板1に対する収納箱41の取付角度を修正でき、天板1の下方に収納箱41を吊下げ連結した際の外観を良好にできる。そして、収納箱41を、収納箱41の重心Gに対して平面視でズレた位置でブラケット51に吊下げ連結することで、例えば天板1の周縁部近傍で吊下げ連結しながら収納箱41全体を天板1の下方に配置できるなど、吊下げ連結位置の自由度が向上する。
7.他の実施形態
次に、図11及び図12を参照しながら、吊下げ収納箱の取付角度調整構造Cの他の実施形態について説明する。本実施形態において、図1~図10を参照して説明した上記実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、これらの部分の詳細な説明は省略する。
本実施形態では、収納箱41は、天板1の下面に取り付けられるブラケット71に吊下げ連結されている。収納箱41は、図1~図10に示した上記実施形態と同様であり、天板1の手前右角部の近傍位置で、天板1の下方に配置されている。
ブラケット71は、ブラケット本体部材72とカバー部材73とを備えている。ブラケット本体部材72は、金属製の板材が切断加工、穴あけ加工、折り曲げ加工されて形成されたものである。
ブラケット本体部材72は、上向き及び手前向きに開口する略箱形の形態を有し、略矩形板状の本体底板部72aを備えている。本体底板部72aの左右両端部には、上向きに延びる左右一対の本体側板部72bが立設されている。左右の本体側板部72bの上端部には、左右内向きに延びる略矩形の本体取付部72cがそれぞれ突設されている。左右の本体取付部72c同士は間隔を空けて設けられている。本体底板部72aの前端部(奥側の端部)から上向きに、左右の本体取付部72cの前端部同士の間の空間を塞ぐカバー部72gが立設されている。カバー部材73は、左右の本体取付部72cの後端部(手前側の端部)同士の間の空間を塞ぐように、ブラケット本体部材72に取外し可能に取り付けられる。
本体底板部72aの上面に、左右一対の取付角度調整ナット54と4つの取付ナット56とが固着されている。取付角度調整ナット54及び取付ナット56の配置は、図1~図10を参照して説明した上記実施形態におけるブラケット51での配置と同じである。本体底板部72aには、取付角度調整ナット54及び取付ナット56の固着位置に、ボルト挿通穴が設けられている。各取付角度調整ナット54には、取付角度調整ボルト63が下方から捩じ込まれる。この実施形態でも、取付角度調整ナット54と取付角度調整ボルト63は、取付角度調整具10を構成する。
左右の本体取付部72cのうち一方の本体取付部72cに、前後一対の第1ブラケット取付穴72dが形成されている。第1ブラケット取付穴72dは、略ダルマ形であり、大径部72daと、大径部72daから手前向き(後向き)に延びる取付溝部72dbを備えている。大径部72daの開口は、後述する第1ブラケット取付ボルト81の頭部径よりも大きな径を有する。取付溝部72dbの溝幅は、第1ブラケット取付ボルト81の頭部径よりも小さく、かつ軸部径よりもわずかに大きな寸法を有する。
左右の本体取付部72cのうち他方の本体取付部72cに、前後一対の第2ブラケット取付穴72eが形成されている。第2ブラケット取付穴72eの開口は、円形であり、後述する第2ブラケット取付ボルト82の頭部径よりも小さく、かつ軸部径よりもわずかに大きな径を有する。2つの第1ブラケット取付穴72dの取付溝部72dbと、2つの第2ブラケット取付穴72eは、本体側板部72bと平行な2辺を有する長方形の各頂点に位置している。
また、本体底板部72aには、前後の第1ブラケット取付穴72dの取付溝部72dbの下方位置と、前後の第2ブラケット取付穴72eの下方位置とに、工具挿通穴72fが形成されている。工具挿通穴72fは、本体底板部72aを上下方向に貫通しており、ブラケット取付ボルト81,82の頭部径よりも大きな開口径を有している。
図12(C)に示すように、天板1の下面には、ブラケット71の取付位置に4つのブラケット取付雌ネジ穴83が埋め込まれている。4つのブラケット取付雌ネジ穴83は、ブラケット取付ボルト81,82が捩じ込まれる雌ネジ穴であり、第1ブラケット取付穴72dの取付溝部72dbに対応する位置と、第2ブラケット取付穴72eに対応する位置とに設けられている。
ブラケット71を天板1の下面に取り付ける際には、まず、手前側から見て右側の前後一対のブラケット取付雌ネジ穴83に、第1ブラケット取付ボルト81を捩じ込む。第1ブラケット取付ボルト81は、その頭部と天板1下面との間に、ブラケット71の本体取付部72cの厚み寸法よりも大きな間隔を空けて、ブラケット取付雌ネジ穴83に取り付けられる。
次に、ブラケット71の第1ブラケット取付穴72dの大径部72daに上方から第1ブラケット取付ボルト81の頭部を挿通させ、その後、ブラケット71を奥側(後側)へスライドさせる。これにより、第1ブラケット取付ボルト81の軸部が第1ブラケット取付穴72dの取付溝部72dbに挿通されるとともに、第1ブラケット取付ボルト81の頭部が取付溝部72dbの周囲の本体取付部72c下面に接触し、ブラケット71は、第1ブラケット取付ボルト81に落下不能に吊下げ支持される。
次に、手前側から見て左側の前後一対のブラケット取付雌ネジ穴83に、左側の前後一対の工具挿通穴72f及び第2ブラケット取付穴72eを介して、前後一対の第2ブラケット取付ボルト82を下方から捩じ込む。工具の先端部を下方から工具挿通穴72fを介してブラケット取付ボルト81,82に順次連結し、ブラケット取付ボルト81,82を順次締め込んで、天板1の下面にブラケット71を強固に連結する。
天板1の下面にブラケット71に、図1~図10を参照して説明した上記実施形態と同様にして、収納箱41を吊下げ連結する。なお、本実施形態では、手前側から見て左側の前後一対の第1取付穴47及び前後一対の第2取付穴48に、第1取付ボルト61及び第2取付ボルト62が挿通され、収納箱41は、収納箱41の重心に対して平面視で左寄りの位置でブラケット71に吊下げ連結される。
この実施形態でも、図1~図10を参照して説明した上記実施形態と同様にして、吊下げ収納箱の取付角度調整構造Cは、左右の取付角度調整ボルト63の捩じ込み具合を調整することで、収納箱41の取付角度を手前側から見て時計回り又は半時計回りに所望の角度に調整できる。
8.さらに他の実施形態
次に、図13を参照しながら、吊下げ収納箱の取付角度調整構造Cの他の実施形態について説明する。本実施形態において、図1~図10を参照して説明した上記実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、これらの部分の詳細な説明は省略する。
本実施形態では、収納箱41は、天板1の下面に吊下げ連結される。収納箱41は、図1~図10に示した上記実施形態と同様である。天板1の下面には、収納箱41の取付位置に4つの収納箱取付雌ネジ穴84(図13(C)参照)が埋め込まれている。4つの収納箱取付雌ネジ穴84は、収納箱41の取付穴47,48に挿通される取付ボルト61,62が捩じ込まれる雌ネジ穴であり、前後に並ぶ第1取付穴47の各取付溝部47bに対応する位置と、その隣に位置する前後の第2取付穴48に対応する位置とに設けられている。
天板1の下面には、収納箱41の取付位置に、左右一対の取付角度調整雌ネジ穴64が埋め込まれている。取付角度調整雌ネジ穴64は、前後に並ぶ収納箱取付雌ネジ穴84同士の中間位置に設けられている。各取付角度調整雌ネジ穴64には、取付角度調整ボルト63が下方から捩じ込まれる。この実施形態では、取付角度調整雌ネジ穴64と取付角度調整ボルト63は、取付角度調整具10を構成する。
収納箱41を天板1の下面に取り付ける際には、まず、手前側から見て右側の前後一対の収納箱取付雌ネジ穴84に、第1取付ボルト61を捩じ込む。第1取付ボルト61は、その頭部と天板1下面との間に、収納箱41の天板部42と補強板部46との合計厚み寸法よりも大きな間隔を空けて、収納箱取付雌ネジ穴84に取り付けられる。
次に、収納箱41の第1取付穴47の大径部47aに上方から第1取付ボルト61の頭部を挿通させ、その後、収納箱41を奥側(後側)へスライドさせる。これにより、第1取付ボルト61の軸部が第1取付穴47の取付溝部47bに挿通されるとともに、第1取付ボルト61の頭部が取付溝部47bの周囲の天板部42下面に接触し、収納箱41は、第1取付ボルト61に落下不能に吊下げ支持される。
次に、手前側から見て左側の前後一対の収納箱取付雌ネジ穴84に、収納箱41の第2取付穴48を介して、前後一対の第2取付ボルト62を下方から捩じ込む。取付ボルト61,62を順次締め込んで、天板1の下面に収納箱41を強固に連結する。なお、本実施形態では、手前側から見て左側の前後一対の第1取付穴47及び前後一対の第2取付穴48に、第1取付ボルト61及び第2取付ボルト62が挿通され、収納箱41は、収納箱41の重心に対して平面視で左寄りの位置で天板1に吊下げ連結される。
この実施形態でも、図1~図10を参照して説明した上記実施形態と同様にして、吊下げ収納箱の取付角度調整構造Cは、左右の取付角度調整ボルト63の捩じ込み具合を調整することで、収納箱41の取付角度を手前側から見て時計回り又は半時計回りに所望の角度に調整できる。
本実施形態の吊下げ収納箱の取付角度調整構造Cは、天板1に吊下げ連結される収納箱41と天板1との間の広狭を調節することで天板1に対する収納箱41の取付角度を調整する取付角度調整具10を備えている。取付角度調整具10は、収納箱41の上方に配置されている。これにより、取付角度調整具10を用いて収納箱41と天板1との間の広狭を調整することで天板1に対する収納箱41の取付角度を容易に調整でき、天板1の下方に収納箱41を吊下げ連結した際の外観を良好にできる。さらに、取付角度調整具10が収納箱41の内部に露出しないので、収納箱41の意匠を損なわずに収納箱41の取付角度を調整できるとともに、取付角度調整具10と収納箱41に収容される物品との接触を防止できる。
9.さらに他の実施形態
次に、図14を参照しながら、吊下げ収納箱の取付角度調整構造Cの他の実施形態について説明する。本実施形態において、図1~図10を参照して説明した上記実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、これらの部分の詳細な説明は省略する。
本実施形態では、収納箱41は、エンドフレーム3に取り付けられたブラケット51Aに吊下げ連結される。ブラケット51Aは、上記実施形態のブラケット51と比較して、取付角度調整ナット54及び調整ボルト挿通穴52i(図5~図9等参照)が設けられていない。ブラケット51Aのその他の構成は、ブラケット51と同じである。
収納箱41Aは、上記実施形態の収納箱41と比較して、左右一対の工具挿通穴49(図4、図8及び図9等参照)に替えて、取付角度調整ボルト63と噛み合う左右一対の取付角度調整雌ネジ穴91が形成されている。収納箱41Aのその他の構成は、収納箱41と同じである。
吊下げ収納箱の取付角度調整構造CAは、天板1に吊下げ連結される収納箱41Aと天板1との間の広狭を調節することで天板1に対する収納箱41Aの取付角度を調整する取付角度調整具10Aを備えている。取付角度調整ボルト63と取付角度調整雌ネジ穴91は、取付角度調整具10Aを構成している。この実施形態では、収納箱41Aは、上記実施形態と同様に、取付ボルト61,62によってブラケット51に吊下げ連結される。
収納箱41Aの取付角度を調整する際には、第1取付ボルト61又は第2取付ボルト62を緩めた状態で、左右の取付角度調整雌ネジ穴91のいずれかに取付角度調整ボルト63を下方から捩じ込んで、取付角度調整ボルト63のネジ先部をブラケット51の下部に当接させる。取付角度調整ボルト63を取付角度調整雌ネジ穴91へ捩じ込むほど、収納箱41Aの天板部42上面からの取付角度調整ボルト63の突出長さが長くなり、ブラケット51の下部と収納箱41Aの天板部42との間隔が広がって、収納箱41Aは手前側から見て時計回り又は半時計回りに回動する。
収納箱41Aを所望の取付角度に調整した後、緩めた第1取付ボルト61又は第2取付ボルト62を締め付けることで、取付角度調整ボルト63によってブラケット51の下部と収納箱41の天板部42との間隔が維持されながら、収納箱41がブラケット51に強固に固定される。
このように、吊下げ収納箱の取付角度調整構造CAは、左右の取付角度調整ボルト63の捩じ込み具合を調整することで、収納箱41の取付角度を手前側から見て時計回り又は半時計回りに所望の角度に調整できる。なお、図14では、左右の取付角度調整雌ネジ穴91のそれぞれに取付角度調整ボルト63が捩じ込まれた状態を図示しているが、収納箱41の取付角度が手前側から見て時計回り又は半時計回りに調整する際には、いずれか一方の取付角度調整ボルト63を取り付ければ足りる。また、収納箱41の取付角度調整が不要な場合には、取付角度調整ボルト63を取付角度調整雌ネジ穴91に捩じ込む必要はない。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、上記実施形態では、収納箱41,41Aは、ブラケット51、71又は天板1に、4本の取付ボルト61,62を用いて、4箇所で固定(吊下げ連結)されているが、本発明において、収納箱は、少なくとも1箇所でブラケット又は天板に固定されていればよく、収納箱とブラケット又は天板との固定箇所の数や配置は適宜変更可能である。
また、上記実施形態では、取付角度調整具10又は10Aが左右2箇所に設けられているが、本発明において、取付角度調整具は少なくとも1箇所に設けられていればよく、取付角度調整具の数や配置は特に限定されない。例えば、収納箱とブラケット又は天板との固定箇所に対して、取付角度調整具を前後方向に沿って配置すれば、収納箱の取付角度を前上がり又は前下がりに調整可能になる。
また、図1~図10に示した実施形態と図11及び図12に示した実施形態では、取付角度調整ボルト63は、ブラケット51又は71に設けられた取付角度調整ナット54に捩じ込まれているが、取付角度調整ボルトと噛み合う雌ネジ穴は、ブラケットの底板部に形成されていてもよい。また、図14に示した実施形態では、取付角度調整ボルト63は、収納箱41Aの天板部42に設けられた取付角度調整雌ネジ穴91に捩じ込まれているが、取付角度調整ボルトと噛み合う雌ネジ穴は、天板部42に固着されたナットに形成されていてもよい。
また、本願発明において、天板は、上下方向に伸縮可能な電動式の伸縮脚部に支持されていて高さ位置調整可能に設けられているようにしてもよい。このような伸縮脚部の例は、例えば特開2017-79890号公報に開示されている。伸縮脚部を伸長させて天板を上昇位置に配置した状態で収納箱の取付角度調整を行うことで当該調整作業のし易さが向上する。また、伸縮脚部の伸縮具合によって天板の高さ位置を調整可能な構成でありながら、天板に対する収納箱の位置は一定なので、例えば天板が上昇位置に位置しているときに使用者は屈むことなく収納箱を使用でき、収納箱の使い勝手が向上する。