JP7203659B2 - 積層パネル材の製造方法及び積層パネル材 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化性樹脂を用いた積層パネル材と、その製造方法とに関する。
下記特許文献1には、繊維強化性樹脂を用いた積層パネル材、より具体的には、車両のエンジンフードが開示されている。特許文献1に開示された積層パネル材は、一対の繊維強化樹脂(FRP)パネルで発泡コア材を挟み込んで形成されており、その周縁では一対のFRPパネル同士が接合されている。
国際公開第2006/025315号
特許文献1に開示された積層パネル材では、その製造中に圧縮力が積層パネル材に作用すると発泡コア材の内部の空気が発泡コア材とFRPパネルとの間に移動して滞留する。積層パネル材の周縁は一対のFRPパネルが接合されているため、この滞留した空気は、積層パネル材の内部から外部には排出されない(排出されにくい)。滞留した空気は、発泡コア材とFRPパネルとの接合強度を低下させるため、積層パネル材の強度や剛性の低下の原因となる。また、滞留した空気は、FRPパネルの表面に膨らみを生じさせ、美観を損ねる原因にもなる。
従って、本発明の目的は、内部の不要な空気を排出することで優れた強度及び剛性並びに優れた美観を実現できる積層パネル材と、その積層材パネル材を製造する方法とを提供することにある。
本発明に係る積層材パネル材の製造方法では、繊維強化熱硬化性樹脂製の第一層、第一層と周縁で接合される繊維強化熱硬化性樹脂製の第二層、及び、第一層と第二層との間に設けられる発泡コア層からなる積層パネル材が製造される。具体的には、第一層(又は第二層)のプリプレグには予め複数の貫通孔が形成されている。第一層のプリプレグ、発泡コア層及び第二層のプリプレグを順に積層して賦形することで積層体を形成する。積層体を金型内で加熱しつつ加圧すると共に金型内を真空引きして繊維強化熱硬化性樹脂を硬化させる。
また、本発明に係る積層パネル材は、繊維強化熱硬化性樹脂製の第一層、第一層と周縁で接合される繊維強化熱硬化性樹脂製の第二層、及び、第一層と第二層との間に設けられる発泡コア層を備えている。ここで、第一層(又は第二層)の繊維強化熱硬化性樹脂の発泡コア層との面接部には、複数の貫通孔が形成されている。
本発明に係る積層パネル材の製造方法によれば、内部の不要な空気を排出して強度及び剛性並びに美観に優れた積層パネル材を製造できる。また、本発明に係る積層パネル材は、製造中に内部の不要な空気が排出されるので強度及び剛性並びに美観に優れる。
図1は、実施形態に係る積層パネル材(エンジンフード)の分解斜視図である。 図2は、上記積層パネル材に接着される補助パネルの下面斜視図である。 図3は、上記積層パネル材の部分断面図である。
以下、図1~図4を参照しつつ実施形態に係る積層パネル材(及びその製造方法)について説明する。
本実施形態の積層パネル材は、車両のエンジンフード(ボンネットとも呼ばれる)として用いられている。エンジンフードは、図1に示されるように、エンジンコンパートメント側から、フードインナーパネル(第一層)1、発泡コアパネル(発泡コア層)3、及び、フードアウターパネル(第二層)2が積層されて形成されている。フードインナーパネル1及びフードアウターパネル2は、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製であり、互いに周縁で接合されている。フードインナーパネル1及びフードアウターパネル2は、周縁以外の部分では互いに離間しており、この部分に発泡樹脂製の発泡コアパネル3が収納されている。
フードインナーパネル1は、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂とするCFRP製であり、エンジンフードと同じ大きさを有している。フードインナーパネル1の周縁には、フードアウターパネル2との接合部となるフランジ10が形成されている。フードアウターパネル2との接合は、エンジンフードの製造に行われるが、エンジンフードの製造方法につては追って詳しく説明する。フランジ10の内側は、フードアウターパネル2との間に発泡コアパネル3を収納するための空間を形成する。フードインナーパネル1の周縁部、より詳しくは、フランジ10のすぐ内側には、周縁に沿って複数のスリット(貫通孔)11が断続的に形成されている。即ち、スリット11は、フードインナーパネル1の発泡コアパネル3との面接部に形成されている。各スリット11は、フードインナーパネル1を貫通している。
フードアウターパネル2も、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂とするCFRP製であり、エンジンフードと同じ大きさを有している。フードアウターパネル2の表面は、エンジンフードの表面となるため、美麗な外観を呈するように滑らかな曲面を形成している。フードアウターパネル2の表面には、デザインとしてのキャラクターラインも形成されている。上述したフードインナーパネル1や後述する発泡コアパネル3は、基本的には、このフードアウターパネル2の形状に合わせて形成されている。
発泡コアパネル3は、m-PPE(変性ポリフェニレンエーテル)を発泡させた後に硬化させて形成されており、エンジンフードの重量増加を抑制しつつエンジンフードに強度及び剛性を付与する。発泡コアパネル3は、図1に示されるように、エンジンフードの大きさよりもやや小さい大きさを有している。発泡コアパネル3は発泡樹脂であるので内部に多数の気泡を含んでいるため、防音効果も有している。また、発泡コアパネル3は発泡樹脂であるので、衝撃を受けて潰れることで衝撃エネルギーを吸収するEA材としても機能する。発泡コアパネル3は、その一面の全体でフードインナーパネル1と面接しており、その他面の全体でフードアウターパネル2と面接している。
上述したエンジンフードは、そのエンジンコンパートメント側の表面、即ち、フードインナーパネル1の下面に図2に示されるインナーフレーム(補助パネル)4も備えている。本実施形態のインナーフレーム4は、枠状のパネルとして形成されており、フードインナーパネル1の下面に接着剤によって接着されている。インナーフレーム4は、エンジンフードに強度及び剛性を付加するとともに、ロックストライカやヒンジブラケットの取付部としても機能する。また、上述したスリット11を塞ぐ役目もある。また、車両の前方衝突時にはエンジンフードを前後方向の中央を曲げ起点として曲げることでボンネットがフロントウインドシールドを突き破って車室に侵入するのを防止するが、インナーフレーム4はこの曲げモードも実現する。以下、インナーフレーム4について詳しく説明する。
エンジンフードを示す図1は俯瞰図であるが、インナーフレーム4を示す図2は仰観図である。本実施形態のインナーフレーム4は、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂とするCFRP製であるが、金属製でもよい。インナーフレーム4は、フードインナーパネル1の外形とほぼ同じ(わずかに小さい)大きさを有している。インナーフレーム4は、部分的にビードやバルジを有しているが、それ以外の部分ではフードインナーパネル1と面接している(接着されている)。
図2左下が車体前方で、右上が車体後方になる。インナーフレーム4の前部両側には、バルジ40が形成されている。各バルジ40の頂面(下面)には、補強プレート41を介してロックストライカ(図示せず)が取り付けられる。本実施形態の補強プレート41は、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂とするCFRP製であるが、金属製でもよい。補強プレート41は、接着剤やリベットなどによってインナーフレーム4と接合される。補強プレート41には、ロックストライカ取付用のナットがインサートされている。
インナーフレーム4の前部中央にも、バルジ42が形成されている。バルジ42の頂面(下面)には、ロックされたエンジンフードを上方に付勢してエンジンフードの振動を抑制するコイルスプリング(図示せず)が補強プレート43を介して取り付けられる。本実施形態の補強プレート43は、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂とするCFRP製であるが、金属製でもよい。補強プレート43は、接着剤やリベットなどによってインナーフレーム4と接合される。補強プレート43には、コイルスプリング取付用のナットがインサートされている。
インナーフレーム4の後端に沿って、ビード44が形成されている。ビード44の両端の頂面(下面)には、エンジンフードの開閉支点となるヒンジのブラケット(図示せず)が補強プレート45を介してそれぞれ取り付けられる。本実施形態の補強プレート45は、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂とするCFRP製であるが、金属製でもよい。補強プレート45は、接着剤やリベットなどによってインナーフレーム4と接合される。補強プレート45は、ヒンジブラケットを取り付けるボルト及びナットによってインナーフレーム4と共締めされる。ボルト又はナットは、インナーフレーム4をフードインナーパネル1に接合する前にインナーフレーム4及び補強プレート45に取り付けられる。
また、車両衝突時にエンジンフードの後端をポップアップする機構が採用されている場合、ポップアップアクチュエータのロッドの先端は補強プレート45と当接してエンジンフードの後端を持ち上げる。この場合、ヒンジは特殊なリンク機構により伸長する。なお、上述したバルジ40及び42並びにビード44には空気抜きの孔が形成されるか、あるいは、上述したインサートナットや取り付けられるボルトのボルト孔が空気抜きの孔として機能する。
インナーフレーム4の両側部の前後方向の中央には、それぞれスリット46が形成されている。スリット46は車両横方向に延びている。スリット46の部分は、エンジンフードの強度及び剛性が弱められるので、上述したように、車両の前方衝突時にはエンジンフードの折れ曲がりの起点となる。インナーフレーム4は、接着剤によってフードインナーパネル1に接着されるが、この際、全てのスリット11はインナーフレーム4によって塞がれる。スリット11は、フードインナーパネル1、即ち、エンジンフードの強度及び剛性を低下させる原因となり得るが、インナーフレーム4が取り付けられることで、エンジンフードの強度及び剛性の低下が回避される。
全てのスリット11はインナーフレーム4によって塞がれるので、エンジンフードの裏面の外観も美麗なものとなる。また、スリット11からエンジンフードの内部(即ち、発泡コア層3)への水の侵入も防止される。本実施形態では、スリット11は、上述したバルジ40及び42、ビード44、並び、にスリット46の何れとも重ならない。なお、全てのスリット11がインナーフレーム4によって塞がれるのが好ましいが、一部のスリット11が塞がれないことは許容し得る(例えば、バルジ40及び42、又は、ビード44の内部に位置し、エンジンフードの内部への水の侵入が防止される場合)。また、各スリット11は完全にインナーフレーム4によって塞がれるのが好ましいが、その一部のみが塞がれるのも許容し得る。
図1中のIII-III断面図である図3に示されるように、本実施形態では、各スリット11の内部は、インナーフレーム4をフードインナーパネル1に接着するための接着剤5で埋められる。スリット11の内部に空間は残らないので、気体の膨張収縮によるインナーフレーム4とフードインナーパネル1との剥離や、インナーフレーム4とフードインナーパネル1と間での亀裂の形成を防止できる。また、図3に示されるように、本実施形態では、フードインナーパネル1、フードアウターパネル2及びインナーフレーム4の端縁は、接着剤5によって処理されている。
上述したエンジンフード(積層パネル材)の製造方法について説明する。まず、予め、所定形状の発泡コアパネル3が成形される。このとき、発泡コアパネル3は、エンジンフードの内部での最終的な厚さよりも若干厚くなるように形成される。発泡コアパネル3は、後述するプレス工程で圧縮され、エンジンフードの内部では最終的な厚さに成形される。
次に、賦形用の型などを用いて、フードインナーパネル1のCFRPプリプレグを賦形する。フードインナーパネル1のCFRPプリプレグには、予めスリット11が形成されている。その上に、発泡コアパネル3を積層する。最後に、さらにその上に、フードアウターパネル2のCFRPプリプレグを積層して賦形する。このとき、フードアウターパネル2の周縁はフードインナーパネル1のCFRPプリプレグの周縁と密着される。このようにして、フードインナーパネル1のCFRPプリプレグ、発泡コアパネル3及びフードアウターパネル2のCFRPプリプレグを積層した積層体が製作される。
なお、本実施形態では、スリット11の形成されたフードインナーパネル(第一層)1、発泡コアパネル3、フードアウターパネル(第二層)2のCFRPプリプレグの順に積層したが、逆順で積層しても構わない。なお、この場合、フードアウターパネル2が第一層で、フードインナーパネル1が第二層であり、スリット(貫通孔)11の形成された第一層、発泡コア層、第二層の順に積層されることになる。
次に、積層体全体を、賦形用の型ごとバキュームバック内に収納して密閉し、バキュームバック内を真空引き(脱気)する。真空引きによって、一対のプリプレグの間、即ち、発泡コアパネル3の内部からも空気がスリット11を通して除去される。発泡コアパネル3は、多数の気泡を有する発泡体であるため、一部の空気は発泡コアパネル3の内部には残るが、その表面近傍の空気は除去される。この結果、一対のプリプレグは発泡コアパネル3と密着される。
真空引き時には、フードインナーパネル1のCFRPプリプレグと発泡コアパネル3との間に溜まる空気も、スリット11を通って完全に除去される。また、フードアウターパネル2のCFRPプリプレグと発泡コアパネル3との間に溜まる空気も、発泡コアパネル3の周縁を回り込んで、やはりスリット11を通って完全に除去される。ここで、スリット11は、フードインナーパネル1(エンジンフード)の周縁に沿って形成されているため、反対側のフードアウターパネル2のCFRPプリプレグと発泡コアパネル3との間に溜まる空気も効果的に除去することができる。
次に、積層体をバキュームバッグから取り出して、プレス金型にセットする。金型はプリプレグの熱硬化性樹脂を硬化させるために加熱されており、金型を閉じることで、積層体は圧縮される。この圧縮は、主として発泡コアパネル3に作用し、発泡コアパネル3はその厚さが若干減るように圧縮される(例えば、厚さ:-10%)。発泡コアパネル3が圧縮されることで、発泡コアパネル3とプリプレグとはしっかりと密着され、かつ、プリプレグは金型のキャビティ内面にしっかりと密着される。この結果、発泡コアパネル3とフードインナーパネル1との接合、及び、発泡コアパネル3とフードアウターパネル2との接合がしっかりと行われる。また、フードアウターパネル2がキャビティ内面の形状を正確に写し取るので、エンジンフード表面の外観が優れたものとなる。同様に、フードインナーパネル1もキャビティ内面の形状を正確に写し取るので、エンジンフード裏面の外観も優れたものとなる。
また、キャビティ内の真空引き(脱気)も行われる。上述したように、プレスによって発泡コアパネル3は圧縮され、発泡コアパネル3内部の空気の一部が外部に、即ち、発泡コアパネル3とプリプレグとの間に漏出する。プリプレグの周縁は接合されているため、この空気は周縁からは排出されないが、やはり、スリット11を通って除去される。このときも、スリット11が形成されていないフードアウターパネル2のCFRPプリプレグと発泡コアパネル3との間に漏出した空気は、発泡コアパネル3の周縁を回り込んで、スリット11を通って完全に除去される。上述したように、スリット11がフードインナーパネル1(エンジンフード)の周縁に沿って形成されているため、フードアウターパネル2のCFRPプリプレグと発泡コアパネル3との間に漏出した空気も効果的に除去され得る。
プリプレグのマトリクス樹脂、即ち、熱硬化性樹脂は、金型内で100℃以上に加熱され、一旦軟化した後に硬化反応が進行する。本実施形態の発泡コアパネル3はm-PPE製であり、このときの加熱温度にも耐えうる。また、一対のプリプレグは、それらの周縁でマトリクス樹脂同士が融合して、周縁で一体化する(図3参照)。なお、図3では、プリプレグ内の繊維シート(本実施形態では直角な二方向に織られた繊維シート)が模式的に一枚しか示されていないが、実際には、必要な複数枚の繊維シートが含まれている。マトリクス樹脂の硬化後、金型内である程度冷却した後、成形後の積層体、即ち、エンジンフード(積層パネル材)を金型から取り出す。
エンジンフードの冷却後、フードインナーパネル1にインナーフレーム4が接着される。インナーフレーム4は、予め別の工程でプレス形成され、不要な部分が切断除去されている。また、インナーフレーム4には、補強プレート41、43及び45やロックストライカ及びヒンジブラケットも取り付けられている。インナーフレーム4のフードインナーパネル1への接着時には、上述したように、スリット11の内部にも接着剤が充填され、全てのスリット11がインナーフレーム4によって覆われる。なお、必要に応じて、エンジンフードの塗装後にインナーフレーム4が接着されてもよいし、インナーフレーム4の接着後にエンジンフード塗装して、その後に補強プレート41、43及び45やロックストライカ及びヒンジブラケットが取り付けられてもよい。
本実施形態によれば、積層体を金型内で加圧及び加熱する際に発泡コアパネル3が圧縮されて内部から空気が漏出する。しかし、プレス成形中にも金型(のキャビティ)内が真空引き(脱気)されるので、この漏出した空気は、スリット(貫通孔)11を通して積層体の外部に排出される。このため、積層体の周縁が接合されていても、積層体の内部から確実に不要な空気を排出することができる。従って、フードインナーパネル1と発泡コアパネル3との間に空気が残ることはなく、フードインナーパネル1と発泡コアパネル3とは確実に接合される。また、フードアウターパネル2と発泡コアパネル3との間にも空気が残ることはなく、フードアウターパネル2と発泡コアパネル3とは確実に接合される。この結果、エンジンフード(積層パネル材)の優れた強度及び剛性並びに優れた美観を実現できる。
特に、本実施形態では、積層体のプレス成形に先立って、賦形された積層体をバキュームバックに収納して真空引き(脱気)する。これにより、賦形された積層体の内部から、予め余分な空気を排出しておくことで、プレス成形に先立ってフードインナーパネル1、フードアウターパネル2及び発泡コアパネル3を密着させることができる。従って、プレス成形時には、発泡コアパネル3の圧縮によって発泡コアパネル3内部から漏出する空気のみを排出すればよく、より確実に積層体内部から空気を排出できる。この結果、エンジンフード(積層パネル材)の優れた強度及び剛性並びに優れた美観をより確実に実現できる。
また、本実施形態では、積層体をプレス成形して形成されたエンジンフードに、スリット11を閉塞し、かつ、スリット11の内部を接着剤で埋めるように、インナーフレーム(補助パネル)4が接着される。従って、スリット11が形成されることで低下するフードインナーパネル1の強度及び剛性がインナーフレーム4によって補完される。また、インナーフレーム4によってスリット11が隠されるため、エンジンフードの裏面の外観もさらに美麗となる。さらに、スリット11が接着剤で埋められ、かつ、インナーフレーム4で閉塞されるため、スリット11からエンジンフード内部への水の侵入を確実に防止できる。またさらに、スリット11内部に空気が残らないため、空気の膨張収縮による、発泡コアパネル3とフードインナーパネル1との剥離やインナーフレーム4とフードインナーパネル1との剥離、あるいは、スリット11を始点とする亀裂を防止することができる。
さらに、本実施形態の積層パネル材はエンジンフードである。このため、スリット11は車体外表面ではないフードインナーパネル(第一層)1にのみ形成された。この結果、車体外表面となるフードアウターパネル(第二層)2にはスリットが形成されないため、美麗な車体外観を実現できる。特に、広い面積を持つエンジンフードの外観はデザイン上重要である。また、インナーフレーム4を利用してエンジンフードのヒンジブラケットやロックストライカを取り付けることができるため、エンジンフード本体(フードインナーパネル1、フードアウターパネル2及び発泡コアパネル3)に余計な加工を行わなくて済む。
本実施形態のエンジンフードは、上述したように、フードインナーパネル1、フードアウターパネル2及び発泡コアパネル3を備え、フードインナーパネル1にスリット(貫通孔)11が形成されている。このようなエンジンフード(積層パネル材)を製造するに際してどのような工程を採るとしても、積層パネル材内部の空気は、貫通孔を通って外部に排出され得る。従って、エンジンフード(積層パネル材)の優れた強度及び剛性並びに優れた美観を実現できる。
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、フードインナーパネル(第一層)1、フードアウターパネル(第二層)2及びインナーフレーム(補助パネル)4は、CFRP製であったが、GFRP等の他の繊維強化樹脂(FRP)製でもよい。また、インナーフレーム4だけ、フードインナーパネル1及びフードアウターパネル2と異なる材質や製法(RTM法や短繊維を用いた射出成形法等)による他の種類のFRPで形成されてもよい(上述したようにインナーフレーム4は金属製でもよい)。ただし、互いに接合されるフードインナーパネル1とフードアウターパネル2とは同じFRPで形成されるのが好ましい。
また、上記実施形態の発泡コアパネル(発泡コア層)3は、発泡m-PPE製であったが、発泡材であれば他の材質によって形成されてもよい。ただし、エンジンフードとして用いられる場合は、エンジンフードとしての強度及び剛性や、耐熱性を満たす必要があるのは言うまでもない。さらに、発泡コアパネル(発泡コア層)3は、独立気泡タイプ[closed-cell type]又は半独立半連続気泡タイプ[semi closed-cell type]の発泡材で形成されるのが好ましい。半独立半連続気泡タイプの発泡材では、その圧縮前は内部に連続気泡[open cells]と独立気泡[closed cells]とが混在し、その圧縮後には連続気泡が潰れて独立気泡が残る。独立気泡タイプ又は半独立半連続気泡タイプの発泡コアパネル3は、衝撃吸収性に優れ、かつ、その内部への水の侵入をより防止できる。
また、上述した実施形態では、積層パネル材がエンジンフードであった。しかし、積層パネル材はエンジンフード以外のパネル材であってもよい。さらに、積層パネル材によっては第一層と第二層との両方に貫通孔が形成されてもよく、この方が積層パネル材内部の空気はより効果的に排出され得る。外観の美麗さとの関係で、貫通孔を両方に設けるか、一方のみに設けるかが決定されればよい。
本発明の積層パネル材(及びその形成方法)は、エンジンフードとして用いられ得る。
1 フードインナーパネル(第一層)
2 フードアウターパネル(第二層)
3 発泡コアパネル(発泡コア層)
4 インナーフレーム(補助パネル)

Claims (7)

  1. 繊維強化熱硬化性樹脂製の第一層、前記第一層と周縁で接合される繊維強化熱硬化性樹脂製の第二層、及び、前記第一層と前記第二層との間に設けられて前記第一層及び前記第二層と面接部により面接される発泡コア層、を備えた積層パネル材の製造方法であって、
    前記第一層又は前記第二層を形成する前記繊維強化熱硬化性樹脂のプリプレグにおける前記発泡コア層との前記面接部の周縁に沿って予め複数の貫通孔を形成し、
    前記第一層を形成する前記繊維強化熱硬化性樹脂のプリプレグを賦形し、
    賦形された前記第一層の上に予め成形された前記発泡コア層を積層し、
    前記発泡コア層の上にさらに前記第二層の前記繊維強化熱硬化性樹脂のプリプレグを積層して賦形し、かつ、前記第二層の前記周縁を前記第一層の前記周縁と密着させて積層体を形成し、
    前記積層体を金型内で加熱しつつ加圧すると共に前記金型内を真空引きして前記繊維強化熱硬化性樹脂を硬化させる、ことを特徴とする積層パネル材の製造方法。
  2. 前記積層体の形成後に前記積層体全体をバキュームバッグ内に収納して真空引きし、
    前記積層体を前記バキュームバッグから取り出して前記金型内にセットして、前記積層体を金型内で加熱しつつ加圧すると共に前記金型内を真空引きして前記繊維強化熱硬化性樹脂を硬化させる、ことを特徴とする請求項1に記載の積層パネル材の製造方法。
  3. 前記繊維強化熱硬化性樹脂の硬化後に、前記貫通孔が形成された前記第一層又は前記第二層の表面に補助パネルを接着剤によって接着して、前記補助パネルによって前記貫通孔を閉塞すると共に、前記貫通孔の内部を前記接着剤で埋める、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層パネル材の製造方法。
  4. 前記積層パネル材が車両のエンジンフードであり、
    前記第一層が前記エンジンフードのインナーパネルで、前記第二層が前記エンジンフードのアウターパネルであり、
    前記貫通孔が前記第一層のみに形成され、
    前記補助パネルに、前記エンジンフードのヒンジブラケット、及び、前記エンジンフードのロックストライカを取り付ける、ことを特徴とする請求項3に記載の積層パネル材の製造方法。
  5. 積層パネル材において、
    繊維強化熱硬化性樹脂製の第一層と、
    前記第一層と周縁で接合された繊維強化熱硬化性樹脂製の第二層と
    前記第一層と前記第二層との間に設けられて前記第一層及び前記第二層と面接部により面接された発泡コア層とを備えており、
    前記第一層又は前記第二層を形成する前記繊維強化熱硬化性樹脂における前記発泡コア層との前記面接部の周縁に沿って複数の貫通孔が形成されている、ことを特徴とする積層パネル材。
  6. 前記第一層又は前記第二層に接着剤によって接着された、前記貫通孔を閉塞する補助パネルをさらに備えており、前記貫通孔の内部が前記接着剤で埋められている、請求項5に記載の積層パネル材。
  7. 前記積層パネル材が車両のエンジンフードであり、
    前記第一層が前記エンジンフードのインナーパネルで、前記第二層が前記エンジンフードのアウターパネルであり、
    前記貫通孔が前記第一層のみに形成され、
    前記補助パネルに、前記エンジンフードのヒンジブラケット、及び、前記エンジンフードのロックストライカが取り付けられている、ことを特徴とする請求項6に記載の積層パネル材。
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