JP6700122B2 - 繊維強化樹脂製のサイドシル構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体構造を構成する繊維強化樹脂製のサイドシル構造に関する。
乗用車等の車体の側部の構造として、車体側部の下部に位置するサイドシルと、下端側がサイドシルに接続されて上下方向に延びるセンターピラーとを備えた構造が知られている。従来の車体側部の構造は、鉄鋼板等の金属材料により構成されている。金属製のサイドシル及びセンターピラーの一体構造は、車体の外部側に位置するアウタ部材と、車体の内部側に位置するインナ部材とを有し、これらのアウタ部材及びインナ部材が接合されて構成されている。
一方、近年では、車体の軽量化を目的として、車体構造を炭素繊維強化樹脂を用いて製造することが検討されている。例えば、特許文献1には、2ドアクーペ用のセンターピラーに炭素繊維強化樹脂を採用した技術が開示されている。かかる特許文献1に開示されたセンターピラーの構造では、インナに引張強度の高い炭素繊維強化樹脂製の部材が用いられ、アウタに軽金属であるアルミニウム製の部材が用いられている。
国際公開第2015/025572号
ここで、車体のさらなる大規模な軽量化を図るには、アウタ部材にも炭素繊維強化樹脂製の部材を採用することが有効である。車体構造を炭素繊維強化樹脂により構成する場合においても、従来の金属製のサイドシル及びセンターピラーと同様に、開断面形状のアウタ部材と、開断面形状のインナ部材とを接合して閉断面形状の構造とされ得る。かかる構造では、車体側部に衝撃荷重が入力された際に、サイドシルのアウタ部材及びインナ部材に応力が集中して、サイドシルが破断するおそれがある。
図11は、炭素繊維強化樹脂により構成したサイドシル及びセンターピラーに対して、車幅方向(車体Y軸方向)に衝撃荷重が入力された場合において、サイドシルが変形する様子を示す模式図である。サイドシルに対して車体Y軸方向に衝撃荷重が入力した場合、アウタ部材及びインナ部材にすべての応力が集中することになり、また、その変形量も大きくなる。したがって、サイドシルが破断して、衝撃荷重を吸収できずに、車体全体への衝撃を低減できないおそれがある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、繊維強化樹脂製のサイドシルへの応力集中を緩和して、金属製のサイドシルと同等の衝撃吸収荷重を実現可能な、新規かつ改良された繊維強化樹脂製のサイドシル構造を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、立体形状部及びアウタフランジ部を有する第1の繊維強化樹脂体と、アウタフランジ部に接合される第2の繊維強化樹脂体と、により閉じた閉断面形状をなす車幅方向の外側に配置される繊維強化樹脂製のアウタ部材と、アウタフランジ部に接合されて車幅方向の内側に配置される繊維強化樹脂製のインナ部材と、軸方向が車長方向に沿って配置されて外周面の一部がアウタ部材の立体形状部の内面に接合された筒状部、及び、筒状部の上下方向にそれぞれ設けられアウタフランジ部に接合される補強フランジ部を有する金属リンフォースと、を備え、補強フランジ部の上下方向の端部は、アウタフランジ部の上下方向の端部よりも内側に位置する繊維強化樹脂製のサイドシル構造が提供される。
金属リンフォースは、閉じた閉断面形状をなすアウタ部材の内側に埋設されてもよい。
アウタ部材の立体形状部を第1の立体形状部とし、金属リンフォースを第1の金属リンフォースとしたときに、インナ部材が第2の立体形状部を有し、軸方向が車長方向に沿って配置されて外周面の一部がインナ部材の第2の立体形状部の内面に接合された筒状部を有する第2の金属リンフォースを有してもよい。
第2の金属リンフォースは、インナフランジ部に接合される補強フランジ部を有してもよい。
サイドシル構造は、センターピラーと一体的に形成され、金属リンフォースは、少なくともサイドシルの部分に設けられてもよい。
以上説明したように本発明によれば、繊維強化樹脂製のサイドシルへの応力集中を緩和して、金属製のサイドシルと同等の衝撃吸収荷重を実現することができる。
本発明の実施の形態に係る車体構造を示す模式図である。 同実施形態に係る車体構造のサイドシル部分を示す斜視図である。 同実施形態に係る車体構造のサイドシル部分の構成を示す斜視図である。 同実施形態に係る車体構造のサイドシル部分を車幅方向外側から見た図である。 同実施形態に係る車体構造のサイドシル部分の断面図である。 本実施形態に係る車体構造のサイドシル部分への衝撃荷重入力時の様子を示す模式図である。 同実施形態に係る車体構造のサイドシル部分の構成を示す断面図である。 第1の参考例に係る車体構造のサイドシル部分を示す説明図である。 第2の参考例に係る車体構造のサイドシル部分を示す断面図である。 アウタ部材及びインナ部材に金属リンフォースを有する例を示す説明図である。 比較例に係る車体構造のサイドシル部分への衝撃荷重入力時の様子を示す模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
図1は、本発明の実施の形態に係るサイドシル構造を適用可能な車体側部構造1の外観を示す模式図である。図1に示す車体側部構造1は、乗用車の前方に向かって左側部の構造の一部を概略的に示している。なお、図1に示すように、本明細書において、車両の前後方向(車長方向)を車体X軸方向とも言い、車幅方向を車体Y軸方向とも言い、車両の高さ方向を車体Z軸方向とも言う。
車体側部構造1は、ルーフピラー5と、リアピラー4と、フロントピラー2と、センターピラー3と、サイドシル6等により構成されている。ルーフピラー5は、車両の車室空間の上部に、車体X軸方向に沿って延在し、車両の屋根のサイド部分を形成している。サイドシル6は、車両の側部の下部に、車体X軸方向に沿って延在する。
フロントピラー2は、下端がサイドシル6の前端に接続され、上端がルーフピラー5の前端に接続される。フロントピラー2は、車両の車室空間を構成する前部を形成し、フロントガラスのサイドを支持するように配置される。リアピラー4は、下端がサイドシル6の後端に接続され、上端がルーフピラー5の後端に接続される。センターピラー3は、下端がサイドシル6の車体X軸方向中央部に接続され、上端がルーフピラー5の車体X軸方向中央部に接続される。
サイドシル6、ルーフピラー5、フロントピラー2、及びセンターピラー3の間には、フロントドア用の開口部が形成されている。また、サイドシル6、ルーフピラー5、リアピラー4、及びセンターピラー3の間には、リアドア用の開口部が形成されている。車体側部構造1を構成する各部材は、さらに複数の部材により構成されている。例えば、各部材は、車両の外部側のアウタ部材と、車両の内部側のインナ部材とを接合して構成され得る。
かかる車体側部構造1において、少なくとも、センターピラー3と、センターピラー3が接続されるルーフピラー5の少なくとも中央部と、センターピラー3が接続されるサイドシル6の少なくとも中央部とは、繊維強化樹脂により一体的に形成された構造部材10からなる。かかる構造部材10は、センターピラー3を構成するセンターピラー部12と、センターピラー部12の上端に接続されたルーフピラー部16と、センターピラー部12の下端に接続されたサイドシル部14とを有する。かかる構造部材10も、アウタ部材とインナ部材とが接合されて構成されている。
図2〜図5は、構造部材10の構成例を説明するための図であり、構造部材10のうち、サイドシル部14を含む下端側を示している。図2は、サイドシル部14を含む下端側を示す斜視図であり、構造部材10を、車両の外部側、かつ、後方側から見た図を示している。図3は、図2に示した構造部材10を、アウタ部材30とインナ部材20とに分離した状態を示している。図4は、アウタ部材30を車両の外部側から見た図であり、図5は、図4のアウタ部材30のI−I断面を矢印方向に見た断面図である。
本実施形態に係る車体側部構造において、構造部材10のサイドシル部14は、軸方向が車体X軸方向に沿って配置された中空の筒形状を有する。また、センターピラー部12は、軸方向が車体Z軸方向に沿って配置された中空の筒形状を有する。かかる構造部材10は、アウタ部材30とインナ部材20とを有し、これらのアウタ部材30及びインナ部材20が接合されて構成されている。
本実施形態に係る車体側部構造1では、インナ部材20は、アウタ部材30側に開放された開断面形状を有する。かかるインナ部材20は、立体形状部(第2の立体形状部)23と、立体形状部23の端部に沿って設けられ、アウタ部材30に接合されるインナフランジ部21とを有する。つまり、サイドシル部14のYZ断面、及びセンターピラー部12のXY断面は、略ハット型の断面形状を有する。かかるインナ部材20は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂と強化繊維とを用いた繊維強化樹脂を用いて形成される複数層の複合材料であり、高強度、かつ、軽量化を実現可能になっている。
インナ部材20は、例えば、炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂シートを積層して成形される。強化繊維は、例えば、車体の高さ方向に沿って配向する連続繊維又は長繊維であってもよい。連続繊維を含む繊維強化樹脂シートは、連続する繊維にマトリックス樹脂を含浸させて形成され得る。使用可能な連続繊維としては、例えば、炭素繊維が挙げられるが、他の繊維が用いられてもよく、さらには、複数の繊維が組み合わせられて用いられてもよい。ただし、炭素繊維は、機械特性に優れていることから、強化繊維が炭素繊維を含むことが好ましい。
繊維強化樹脂のマトリックス樹脂には、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合合成樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、又はポリイミド樹脂等が例示される。
マトリックス樹脂としては、これらの熱可塑性樹脂のうちの1種類、あるいは2種類以上の混合物が使用され得る。あるいは、マトリックス樹脂は、これらの熱可塑性樹脂の共重合体であってもよい。熱可塑性樹脂が混合物である場合には、さらに相溶化剤が併用されてもよい。さらに、熱可塑性樹脂には、難燃剤として臭素系難燃剤、シリコン系難燃剤、赤燐などが加えられてもよい。
熱可塑性樹脂及び連続繊維を用いた繊維強化樹脂シートによりインナ部材20を成形する場合、例えば、プレス成形法が採用され得る。インナ部材20をプレス成形する場合、例えば、繊維強化樹脂シートを複数枚積層して所定の厚さのプリプレグを形成した後、かかるプリプレグを、熱可塑性樹脂の融点以上に加熱し、成形型に投入して、さらに、プリプレグを熱可塑性樹脂の融点未満に冷却することで、インナ部材20が形成される。積層される複数の繊維強化樹脂シートの連続繊維の配向方向は、一方向に揃えられてもよいし、異ならせてもよい。なお、熱可塑性樹脂を用いる場合のインナ部材20の成形方法は、プレス成形法に限られない。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂等が例示される。マトリックス樹脂としては、これらの熱硬化性樹脂のうちの1種類、あるいは2種類以上の混合物が使用され得る。これらの熱硬化性樹脂が用いられる場合、熱硬化性樹脂に、適宜の硬化剤や反応促進剤が加えられてもよい。
熱硬化性樹脂及び連続繊維を用いた繊維強化樹脂シートによりインナ部材20を成形する場合、例えば、オートクレーブ成形法が採用され得る。インナ部材20をオートクレーブ成形する場合、例えば、繊維強化樹脂シートを複数枚積層して所定の厚さのプリプレグを形成した後、成形型上にプリプレグを載置してバッギングした後、オートクレーブ装置内で、バッグ内を真空状態にしながら、プリプレグを加熱し硬化させることで、インナ部材20が形成される。積層される複数の繊維強化樹脂シートの連続繊維の配向方向は、一方向に揃えられてもよいし、異ならせてもよい。なお、熱硬化性樹脂を用いる場合のインナ部材20の成形方法は、オートクレーブ成形法に限られない。
また、アウタ部材30は、立体形状部(第1の立体形状部)33と、立体形状部33の端部に沿って設けられ、インナ部材20に接合されるアウタフランジ部31とを有する。アウタ部材30は、インナ部材20側に開放されておらず、サイドシル部14のYZ断面、及びセンターピラー部12のXY断面は、ハット型断面の開口部を閉じた閉断面形状を有する。かかるアウタ部材30は、例えば連続繊維を含む繊維強化樹脂シートと、金属リンフォース50とにより構成される。
かかるアウタ部材30は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂と強化繊維とを用いた繊維強化樹脂を用いて形成される複数層の複合材料であり、高強度、かつ、軽量化を実現可能になっている。アウタ部材30は、例えば、連続繊維又は長繊維を含む繊維強化樹脂シート、及び、あらかじめ形成された金属リンフォース50により成形される。連続繊維を含む繊維強化樹脂シートは、インナ部材20の成形に用いられ得る繊維強化樹脂シートと同一のシートが用いられ得る。
図5に示したように、金属リンフォース50は、筒状部53と、補強フランジ部55とを有する。筒状部53は、軸方向が車体X軸方向に沿って配置され、外周面の一部が、立体形状部33の内面に接合されている。本実施形態に係る構造部材10では、筒状部53は、アウタ部材30の立体形状部33に配置され、立体形状部33の形状に略一致する形状となっている。また、補強フランジ部55は、筒状部53のうちの、インナ部材20側の面から上下方向にそれぞれ延在して設けられている。かかる補強フランジ部55は、アウタ部材30のアウタフランジ部31に配置される。
金属リンフォース50は、例えば、鉄鋼板により構成される。ただし、本実施形態に係る構造部材10において、金属リンフォース50は、補強部材として機能することから、その厚さは、従来の金属製のサイドシル等の構造部材に比べて薄くされ得る。ただし、金属リンフォース50の構成材料としては、鉄鋼板に限られず、その他の金属あるいは軽金属が用いられてもよい。
本実施形態に係る車体側部構造1の構造部材10では、アウタ部材30の少なくともサイドシル部14が、繊維強化樹脂部40中に金属リンフォース50を埋設したインプラント構造を有している。つまり、金属リンフォース50の車両外部側の外周面だけでなく、車両内部側の外周面全体にも繊維強化樹脂が配置され、金属リンフォース50は、繊維強化樹脂部40により被覆されている。
繊維強化樹脂部40と金属リンフォース50との界面は、例えば接着剤を用いて接合されている。繊維強化樹脂からなる部材の場合、部材の一部に穿孔を施すことにより、連続繊維が切断されて強度が低下するおそれがある。このため、アウタ部材30における当該界面は、接着剤により接合され、強度の低下が防止されている。また、金属リンフォース50の外周面の略全体を接着面として、繊維強化樹脂部40との接合に用いることができるため、例えば、衝撃荷重の入力時に、繊維強化樹脂部40が金属リンフォース50から剥離するおそれを低減することができる。
かかる構成のアウタ部材30を有する本実施形態に係る構造部材10のサイドシル部14は、車体側部に入力される衝撃荷重に対する強度が高められている。図6は、車体側部に衝撃荷重が入力されたときの、サイドシル部14の変形の仕方を説明するための模式図である。本実施形態に係る構造部材10は、筒状部53及び補強フランジ部55を有する金属リンフォース50がインプラントされたアウタ部材30を備えているために、車体側部に衝撃荷重が入力された場合であっても、繊維強化樹脂からなる構成部分だけでなく、金属リンフォース50の全体にも応力を分散させることができる。したがって、側面衝突時に、サイドシル部14に対して車体Y軸方向に作用する圧縮荷重に対する耐性を向上させることができる。
このとき、金属リンフォース50が、筒状部53及び補強フランジ部55を有し、金属リンフォース50の外周面全体が繊維強化樹脂部40に接着接合されているために、衝撃荷重の入力時に、繊維強化樹脂部40と金属リンフォース50とが剥離しにくくなっている。また、金属リンフォース50は閉断面形状を有しているために、衝撃荷重の入力時に上下方向に拡がらないようになっている。したがって、側面衝突時に、サイドシル部14に対して車体Z軸方向に作用する引張荷重に対する耐性を向上させることができる。これにより、繊維強化樹脂部40及び金属リンフォース50が一体となって、衝撃荷重を受け止めることができ、サイドシル部14の変形を少なくすることができる。
図7は、金属リンフォース50が埋設されたアウタ部材30の製造方法の一例を示す説明図である。金属リンフォース50を繊維強化樹脂部40で被覆する場合、例えば、第1工程で、成形するアウタ部材30の形状に対応する立体部41a及びフランジ部41bを有する繊維強化樹脂体41の内部側に、筒状部53及び補強フランジ部55を有する金属リンフォース50を配置する。このとき、繊維強化樹脂体41に接する金属リンフォース50の外周面に接着剤を塗布し、繊維強化樹脂体41と金属リンフォース50とを接着する。金属リンフォース50の補強フランジ部55の上下方向の端部は、繊維強化樹脂体41のフランジ部41bの端部よりも内側に位置している。
さらに、第2工程で、金属リンフォース50の外周面のうち、繊維強化樹脂体41が接合された面とは反対側の面に対して、繊維強化樹脂体42を配置する。このとき、繊維強化樹脂体42に接する金属リンフォース50の外周面に接着剤を塗布し、繊維強化樹脂体42と金属リンフォース50とを接着する。金属リンフォース50の補強フランジ部55の上下方向の端部は、繊維強化樹脂体42の上下方向の端部よりも内側に位置している。これにより、金属リンフォース50に接着される繊維強化樹脂体41及び繊維強化樹脂体42の上下方向の端部は、金属リンフォース50の補強フランジ部55よりも外側(上側又は下側)で互いに接する。
繊維強化樹脂体41の端部と繊維強化樹脂体42の端部とは、接着剤を用いて接着されてもよい。あるいは、繊維強化樹脂体41の端部と繊維強化樹脂体42の端部とを接触させた状態で、繊維強化樹脂体41,42を溶融し、硬化させてもよい。これにより、金属リンフォース50が繊維強化樹脂部40により被覆されたサイドシル部14を形成することができる。
繊維強化樹脂体41又は繊維強化樹脂体42は、それぞれ、単一の繊維強化樹脂シート、又は、複数枚の繊維強化樹脂シートの積層体とすることができる。また、繊維強化樹脂体41又は繊維強化樹脂体42は、それぞれ、あらかじめ硬化させられた成形部材であってもよいが、金属リンフォース50との接着面の平坦性が低下して、接着強度が低下することを防ぐためには、繊維強化樹脂体41,42と金属リンフォース50とを接合した後に、繊維強化樹脂体41,42を硬化させることが好ましい。
例えば、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化樹脂を用いる場合、成形型上に、繊維強化樹脂体41を構成する、溶融させた一枚又は複数枚の繊維強化樹脂シートを配置し、その上に、金属リンフォース50を、接着剤層を介して配置する。さらに、繊維強化樹脂体42を構成する、溶融させた一枚又は複数枚の繊維強化樹脂シートを、金属リンフォース50上に、接着剤層を介して配置して、対向する成形型を相対的に近付けて加圧しながら繊維強化樹脂体41,42を冷却硬化させる。これにより、繊維強化樹脂体41,42の端部同士が溶融接合された構造部材10を成形することができる。
また、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化樹脂を用いる場合、成形型上に、繊維強化樹脂体41を構成する、硬化前の一枚又は複数枚の繊維強化樹脂シートを配置し、その上に、金属リンフォース50を、接着剤層を介して配置する。さらに、繊維強化樹脂体42を構成する、硬化前の一枚又は複数枚の繊維強化樹脂シートを、金属リンフォース50上に、接着剤層を介して配置して、対向する成形型を相対的に近付けて加圧しながら繊維強化樹脂体41,42を加熱硬化させる。これにより、繊維強化樹脂体41,42の端部同士が溶融接合された構造部材10を成形することができる。
なお、繊維強化樹脂体41に対して金属リンフォース50を接合し、さらに金属リンフォース50に対して繊維強化樹脂体42を接合するのではなく、あらかじめ繊維強化樹脂体42が接合された金属リンフォース50を、繊維強化樹脂体41に対して接合してもよい。
これに対して、図8及び図9は、参考例に係る構造部材又はアウタ部材を示している。図8は、それぞれ開断面形状を有するアウタ部材91及びインナ部材95の間に、金属や繊維強化樹脂等からなる補強板93を挟持させたサイドシル部に対して衝撃荷重が入力された様子を示している。図8に示した第1の参考例に係るサイドシル部の場合、アウタ部材91又はインナ部材95と、補強板93との接合部がフランジ部のみとなって、接着面積が小さくなっている。このため、側面衝突時には、アウタ部材91が補強板95から剥離して、サイドシル部に発生する車体Z軸方向の引張荷重に耐えることができない。また、アウタ部材91の立体形状部は、補強板93から浮いた状態となっており、側面衝突時にサイドシル部に発生する車体Y軸方向の圧縮荷重に耐えることができない。したがって、第1の参考例に係るサイドシル部は、側面衝突時に破断しやすくなっている。
また、図9は、アウタ部材96を閉断面形状に構成しつつ、アウタ部材96における、インナ部材側の面の内側に金属補強板97を配置した第2の参考例に係るアウタ部材96を示している。第2の参考例に係るアウタ部材96は、金属補強板97のインナ部材側の面と繊維強化樹脂部99との接着面積が大きくされ、かつ、金属補強板97の端部が繊維強化樹脂部99に埋め込まれている。ただし、第2の参考例に係るアウタ部材96は、立体形状部98が金属補強板97から浮いた状態となっている。したがって、側面衝突時にアウタ部材96に作用する車体Y軸方向への圧縮荷重に耐えられないどころか、アウタ部材96の成形時に、立体形状部98を加圧成形することができない。このため、アウタ部材96の強度及び剛性を確保することができない。
以上説明したように、本実施形態に係る繊維強化樹脂製のサイドシル部14を含む構造部材10によれば、車体側部に衝撃荷重が入力されたときに、サイドシル部14のアウタ部材30及びインナ部材20の繊維強化樹脂製の構成部分だけでなく、アウタ部材30に備えられた金属リンフォース50にも応力を分散させることができる。また、アウタ部材30の繊維強化樹脂製の構成部分と金属リンフォース50とは、立体形状部33及びアウタフランジ部31を利用して大面積で接合されるため、衝撃荷重の入力時に剥離することが抑制される。このため、側面衝突時にサイドシル部14に対して車体Y軸方向に作用する圧縮荷重に対する耐性が高められるとともに、車体Z軸方向に作用する引張荷重に対する耐性が高められている。したがって、サイドシル部14の強度及び剛性が高められ、サイドシル部14の衝撃吸収荷重を増大させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、上記の実施形態及び各変形例を互いに組み合わせた態様も、当然に本発明の技術的範囲に属する。
例えば、上記実施形態に係る構造部材10は、サイドシル部14とセンターピラー部12とが一体的に成形されていたが、本発明は係る例に限定されない。例えば、サイドシル部14がセンターピラー部12とは別の構造部材として形成されていてもよい。
また、上記実施形態に係る構造部材10は、アウタ部材30のサイドシル部14に金属リンフォース50を備えているが、本発明は係る例に限定されない。例えば、図10に示すように、アウタ部材30と併せて、インナ部材20も同様に、筒状部53及び補強フランジ部55を有する金属リンフォース50を繊維強化樹脂部40で被覆した構成とされてもよい。アウタ部材30及びインナ部材20ともに金属リンフォース50を備えることにより、サイドシル部14の圧縮強度及び引張強度がさらに高められ、サイドシル部14の衝撃吸収荷重をさらに高めることができる。
1 車体側部構造
10 構造部材
12 センターピラー部
14 サイドシル部
20 インナ部材
30 アウタ部材
31 アウタフランジ部
33 立体形状部(第1の立体形状部)
40 繊維強化樹脂部
41,42 繊維強化樹脂体
50 金属リンフォース
53 筒状部
55 補強フランジ部

Claims (5)

  1. 立体形状部及びアウタフランジ部を有する第1の繊維強化樹脂体と、前記アウタフランジ部に接合される第2の繊維強化樹脂体と、により閉じた閉断面形状をなす、車幅方向の外側に配置される繊維強化樹脂製のアウタ部材と、
    前記アウタフランジ部に接合されて、前記車幅方向の内側に配置される繊維強化樹脂製のインナ部材と、
    軸方向が車長方向に沿って配置されて外周面の一部が前記アウタ部材の前記立体形状部の内面に接合された筒状部、及び、前記筒状部の上下方向にそれぞれ設けられ前記アウタフランジ部に接合される補強フランジ部を有する金属リンフォースと、を備え
    前記補強フランジ部の上下方向の端部は、前記アウタフランジ部の上下方向の端部よりも内側に位置する、繊維強化樹脂製のサイドシル構造。
  2. 記金属リンフォースは、前記閉じた閉断面形状をなす前記アウタ部材の内側に埋設される、請求項1に記載の繊維強化樹脂製のサイドシル構造。
  3. 前記アウタ部材の前記立体形状部を第1の立体形状部とし、前記金属リンフォースを第1の金属リンフォースとしたときに、
    前記インナ部材が第2の立体形状部を有し、
    軸方向が車長方向に沿って配置されて外周面の一部が前記インナ部材の前記第2の立体形状部の内面に接合された筒状部を有する第2の金属リンフォースを有する、請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂製のサイドシル構造。
  4. 前記インナ部材は更にインナフランジ部を有し、
    前記第2の金属リンフォースは、前記インナフランジ部に接合される補強フランジ部を有する、請求項に記載の繊維強化樹脂製のサイドシル構造。
  5. 前記サイドシル構造は、センターピラーと一体的に形成され、前記金属リンフォースは、少なくともサイドシルの部分に設けられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂製のサイドシル構造。
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