JP7202165B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置及び内燃機関のバルブタイミング制御システム - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置及び内燃機関のバルブタイミング制御システム Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関のバルブタイミング制御装置及び内燃機関のバルブタイミング制御システムに関する。
例えば、特許文献1に記載された従来のバルブタイミング制御装置は、ハウジングとベーンロータとの間に、前記ベーンロータをハウジングに対して所定の相対回転角度位置でロックするロック機構が設けられている。
そして、機関始動時には、オイルポンプから吐出された作動油が、カムシャフト内の油通路から遅角側通路などを介して各遅角油圧室に供給される一方、各進角油圧室内の油圧は、進角側通路などを通って外部に排出される。また、各遅角油圧室に供給された油圧は、前記ベーンに有する第1径方向油孔を介して第1受圧室に流入し、この高油圧によって前記ロック機構のロックピンがロック穴から抜け出して、ハウジングに対するベーンロータのロックを解除する。これによってベーンロータは、ハウジングに対して最大遅角側へ相対回転する。
機関運転状態に変化によって、各遅角油圧室内の油圧が排出される一方、オイルポンプから吐出された作動油が、カムシャフト内の油通路から進角側通路などを介して各進角油圧室内に供給される。このとき、前記一つの進角油圧室に流入した油圧は、前記ベーンに有する第2径方向油孔を介して第2受圧室にも供給されるので、ロックピンは、ロック穴から抜け出した状態が維持される。これによって、ベーンロータは、最大進角方向へ相対回転するようになっている。
特開2018-91342号公報(図6、図7)
ところで、近年、車両の駆動源として電動モータと内燃機関を併用したハイブリット車両などが提供されている。これらの車両の走行中において、内燃機関の停止状態から例えばアクセルペダルを急に踏み込んで内燃機関の始動を開始させる場合がある。この場合、遅角側でロック状態にあるロックピンをロック穴から早期に抜け出させて、ベーンロータを進角側へ速やかに相対回転させることにより機関の高出力化などを図りたいといったニーズがある。
しかしながら、前記従来のバルブタイミング制御装置にあっては、カムシャフト内の油通路から前記第2受圧室までの通路長が比較的長くなっている。このため、前記ロックピンがロック穴から抜け出すまでの所要時間が長くなるおそれがある。
本発明は、ベーンロータを相対回転させる際に、ロックピンがロック穴からの抜け出すまでの所要時間を短縮できると共に、ロックピンが抜け出した直後のベーンロータのばたつきを抑制することが可能な内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを一つの目的としている。
本発明の好ましい態様としては、とりわけ、ベーンロータに設けられ、カムシャフトの内部に設けられた第1油通路と遅角作動室とを連通する遅角油通路と、前記ベーンロータに設けられ、前記カムシャフトの内部に前記第1油通路と異なる位置に設けられた第2油通路と前記進角作動室とを連通する進角油通路と、前記ベーンロータの前端面に径方向に沿って設けられ、前記第2油通路と前記ロック穴とを連通するロック解除通路と、を備え、
前記遅角油通路は、前記第1油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向に延びた第1径方向油孔に径方向で少なくとも一部が重なるように連通し、前記ロック解除通路は、前記第2油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向へ延びた第2径方向油孔に径方向で少なくとも一部が重なるように連通していることを特徴としている。
本発明の好ましい態様によれば、ロックピンがロック穴から抜け出すまでの所要時間を短縮できると共に、ロックピンの抜け出し直後のベーンロータのばたつきを抑制することができる。
本発明に係るバルブタイミング制御装置の第1実施形態における油圧回路を含めた全体構成を示す概略図である。 本実施形態における主要な構成部材を示す分解斜視図である。 本実施形態に供されるフロントプレートとカムボルトを外して示すバルブタイミング制御装置の正面図である。 本実施形態に供されるベーンロータを最進角側に相対回転させた状態を示す図1のA-A線断面図である。 図1のB-B線から断面した一部拡大図である。 本実施形態に供されるベーンロータの正面図である。 図6のC-C線断面図である。 ロック機構を示す図1の要部拡大図である。 本発明の第2実施形態の主たる構成部材を示す斜視図である。 第2実施形態におけるフロントプレートとカムボルトを取り外して示すバルブタイミング制御装置の正面図である。 本発明の第3実施形態におけるフロントプレートを外して示すバルブタイミング制御装置の正面図である。 図11のD-D線断面図である。 図11のE-E線断面図である。 図11のF-F線断面図である。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置を吸気弁側に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るバルブタイミング制御装置の第1実施形態における油圧回路を含めた全体構成を示す概略図、図2は本実施形態における主要な構成部材を示す分解斜視図、図3は本実施形態に供されるフロントプレートとカムボルトを外して示すバルブタイミング制御装置の正面図、図4は本実施形態に供されるベーンロータを最進角側に相対回転させた状態を示す図1のA-A線断面図である。
このバルブタイミング制御装置は、図1及び図2に示すように、機関の図外のクランクシャフトによってタイミングチェーンを介して回転駆動されるスプロケット1と、該スプロケット1に対して相対回動可能に設けられた吸気弁側のカムシャフト2と、スプロケット1とカムシャフト2との間に配置されて、該両者1,2の相対回動位置を変換する位相変更機構3と、該位相変更機構3の作動をロックするロック機構4と、を備えている。
スプロケット1は、例えば鉄系金属によって一体に形成され、円盤状のスプロケット本体1aと、該スプロケット本体1aの外周に一体に設けられ、タイミングチェーンが巻回される歯車部1bと、を有している。
スプロケット本体1aは、中央にカムシャフト2の回転軸方向の一端部2aが挿入される挿入孔1cが貫通形成されている。また、スプロケット1は、内側面1dの外周部に複数(本実施形態では4つ)の雌ねじ孔1eが周方向の等間隔位置に設けられている。
また、スプロケット1の内側面1dの所定位置には、後述するハウジング本体11との円周方向の位置決めを行う位置決め用のピン50が設けられている。
なお、スプロケット1は、後述するハウジング本体11の一端開口を閉塞するリアプレートになっている。
カムシャフト2は、図外のシリンダヘッドにカム軸受を介して回転自在に支持されている。また、カムシャフト2の外周面所定位置には、図外の吸気弁をバルブスプリングのばね力に抗して開作動させる複数の駆動カムが一体に設けられている。カムシャフト2は、一端部2aの内部回転軸線方向に後述するカムボルト6が挿通するボルト挿通孔2bが設けられ、このボルト挿通孔2bの先端側には、カムボルト6の雄ねじ部6cが螺着する雌ねじ孔2cが形成されている。カムシャフト2は、一端部2aがスプロケット1の挿入孔1cに相対回転可能に挿入されて該スプロケット1を軸受している。
カムボルト6は、六角形状の頭部6aと、頭部6aの一端中央から延びた軸部6bと、軸部6bの軸方向のほぼ中央位置から先端部に亘って形成された雄ねじ部6cと、から構成されている。
位相変更機構3は、カムシャフト2の一端部2a側に配置され、内部に作動室を有するハウジング5と、カムシャフト2の一端部2aにカムボルト6によって軸方向から固定されて、ハウジング5の内部に相対回転可能に収容されたベーンロータ7と、を備えている。
また、位相変更機構3は、ハウジング5の作動室を後述する複数(本実施形態では4つ)の第1~第4シュー8a~8dと複数(本実施形態では4枚)のベーン22~25によってそれぞれ4つに分けられた遅角作動室である遅角油圧室9及び進角作動室である進角油圧室10と、この各遅角油圧室9と各進角油圧室10にそれぞれ油圧を選択的に給排する油圧回路と、を備えている。
ハウジング5は、軸方向両端が開口されたほぼ円筒状のハウジング本体11と、このハウジング本体11の回転軸方向の前端開口を閉塞するフロントプレート12と、ハウジング本体11の軸方向の後端開口を閉塞するリアプレートであるスプロケット1、とを備えている。ハウジング本体11とフロントプレート12及びスプロケット1は、本実施形態では4本のボルト14によって回転軸方向から共締めにより一体的に結合されている。
ハウジング本体11は、金属粉末を圧縮して焼結された焼結金属によって一体に形成され、外周に軽量化を図るための4つの凹溝11aが周方向のほぼ等間隔位置に設けられている。また、ハウジング本体11の内周面の各凹溝11aに対応した位置には、4つの第1~第4シュー8a~8dが軸心方向へ向かって突出して設けられている。
各シュー8a~8dは、図3に示すように、それぞれがカムシャフト2の回転軸方向から視た側面視がほぼ台形状に形成されている。また各シュー8a~8dは、それぞれの先端部に軸方向に沿って形成されたシール溝内にほぼコ字形状のシール部材16がそれぞれ嵌着固定されている。各シュー8a~8eの径方向外周側、つまり、ハウジング本体11の内周面に対する結合部である付け根部側の内部軸方向には、各ボルト14が挿通するボルト挿通孔17がそれぞれ貫通形成されている。
なお、ハウジング本体11は、第1シュー8aに対応した第1凹溝11aの底面にスプロケット1のピン50が軸方向から嵌入して位置決めを行うほぼU字形状の溝部11bが軸方向に沿って形成されている。
フロントプレート12は、金属板をプレスによって比較的薄肉な円板状に形成され、中央にカムボルト6の頭部6aが挿入される挿入孔12aが貫通形成されている。また、フロントプレート12は、外周側の周方向等間隔位置に各ボルト14が挿通する4つのボルト孔12bが貫通形成されている。
図5は図1のB-B線から断面した一部拡大図、図6は本実施形態に供されるベーンロータの正面図、図7は図6のC-C線断面図である。
ベーンロータ7は、焼結金属によって一体に形成されており、図2~図7に示すように、中央に有する円筒状のロータ21と、該ロータ21の外周面の円周方向のほぼ等間隔位置に放射状に突出された4枚の第1~第4ベーン22~25と、を備えている。
ロータ21は、中央に挿通孔21aが回転軸方向に沿って貫通形成されていると共に、スプロケット1側の一端部に円筒状の嵌合溝21bが形成されている。この嵌合溝21bには、カムシャフト2の一端部2aが回転軸方向から挿入配置されている。また、ロータ21は、挿通孔21a内に軸部6bが軸方向から挿通したカムボルト6によってカムシャフト2の一端部2aに軸方向から結合されている。ロータ21は、外周面が各シュー8a~8eのシール部材16に摺動しつつ回転するようになっている。
また、ロータ21は、図1~図3に示すように、各ベーン22~25のそれぞれの両側の径方向に各遅角油圧室9に連通する4つの遅角油通路19a、19b、19c、19dが径方向に沿ってそれぞれ貫通形成されている。
さらに、ロータ21は、スプロケット1側のベーンロータ7の前端面7bに各進角油圧室10に連通する4つの進角油通路20a、20b、20c、20dが径方向に沿ってそれぞれ形成されている。
各遅角油通路19a~19dは、ロータ21の内部を例えばドリル加工によって径方向に沿って貫通形成されている。
これに対して、各進角油通路20a~20dは、図7にも示すように、ベーンロータ7(ロータ21)のスプロケット1側の前端面7bに、例えばベーンロータ7の焼結成形時に径方向の通路溝として一緒に形成されている。したがって、各進角油通路20a~20dは、ハウジング本体11の内部にベーンロータ7を収容した状態でスプロケット1の内側面1dと前記通路溝との間に形成されるようになっている。
各ベーン22~25は、それぞれが各シュー8a~8e間に配置されていると共に、各先端面に軸方向に形成されたシール溝内にハウジング本体11の内周面11cに摺接するほぼコ字形状のシール部材26がそれぞれ嵌着されている。
また、各ベーン22~25は、第1ベーン22が最大幅に形成され、他の3枚の第2~第4ベーン23~25が第1ベーン22よりも十分に小さい幅でかつほぼ同一の幅に設定されている。つまり、第1ベーン22は、後述する摺動用孔37を形成する必要から周方向の幅厚さが厚くなっていると共に、周方向の一側面にブロック状の突起部22aが一体に設けられている。この突起部22aは、後述するように、ベーンロータ7の最大時計方向(最進角側)への相対回転時に対向する第2シュー8bに回転方向から当接して機械的なストッパとしての機能を有している。
このように、最大幅の第1ベーン22に対して他の3つのベーン23~25の幅をそれぞれ小さくすることによってベーンロータ7全体の重量バランスを均一化するようになっている。
ベーンロータ7が、図3に示す最大反時計方向(最遅角側)へ回転すると、第1ベーン22の他側面が第1シュー8aの対向側面に当接してハウジング5に対する最大遅角側の相対回転位置が機械的に規制されるようになっている。一方、ベーンロータ7が、図4に示す最大時計方向へ回転すると、第1ベーン22の突起部22aの外側面が第2シュー8bの対向側面に当接して最大進角側の相対回転位置が機械的に規制されるようになっている。
なお、第1ベーン22が第1、第2シュー8a、8bに当接した状態では、他のベーン23~25は円周方向で対向するいずれのシュー8a~8eにも当接しないようになっている。これにより、ベーンロータ7は、各遅角、進角油圧室9,10に油圧が供給された際の相対回転の応答性が向上する。
油圧回路は、各遅角油圧室9と各進角油圧室10に対して油圧を選択的に供給するか、あるいは各遅角油圧室9と進角油圧室10内の油を選択的に排出するものである。
すなわち、図1に示すように、各遅角油圧室9に各遅角油通路19a~19dを介して連通する遅角側通路29と、各進角油圧室10に各進角油通路20a~20dを介して連通する進角側通路30と、該遅角、進角油通路29,30に設けられた電磁切換弁31と、各通路29,30に電磁切換弁31を介して油圧を選択的に供給するオイルポンプ32と、遅角側通路29と進角側通路30に電磁切換弁31を介して選択的に連通するドレン通路33と、を備えている。なお、前記オイルポンプ32の吸入通路32bとドレン通路33はオイルパン34に連通している。
両遅角側通路29と進角側通路30は、主として図外のシリンダブロックやシリンダヘッドの内部に形成されている。遅角側通路29は、図1、図3及び図4に示すように、カムシャフト一端部2aの内部軸方向に沿って形成された第1油通路である一対の遅角通路部29a、29bを有している。この一対の遅角通路部29a、29bは、カムシャフト2の回転軸線Pを中心とした径方向の対称位置に配置されている。また、各遅角通路部29a、29bは、カムシャフト一端部2aの先端部側の一端部から径方向に沿って貫通した一対の第1径方向油孔29c、29dが設けられている。
また、カムシャフト一端部2aの各第1径方向油孔29c、29dが開口した外周には、この各第1径方向油孔29c、29dと各遅角油通路19とを連通する第1環状溝(グルーブ溝)35が設けられている。
したがって、各遅角油通路19は、内端側の一端開口が第1環状溝35に臨み、外端側の他端開口が各遅角油圧室9に臨んでいる。
また、図3及び図4に示すように、Y線上にある一つの遅角油通路19aは、一つの第1径方向油孔29cに対してカムシャフト2の回転軸線Pを中心とする径方向でその大部分が互いに重なっている(オーバーラップ)している。したがって、一つの遅角油通路19aと一つの第1径方向油孔29cは、Y線上において直線状に連通しており、第1径方向油孔29cから第1環状溝35と遅角油通路19aを介して一つの遅角油圧室9aまでの供給経路(Y線上経路)が十分に短くなっている。
一方、進角側通路30は、カムシャフト一端部2aの内部軸方向に沿って形成された第2油通路である一対の進角通路部30a、30bを有している。この一対の進角通路部30a、30bは、同じくカムシャフト2の回転軸線Pを中心とした径方向の対称位置に配置され、かつ各遅角通路部29a、29bに対して周方向のほぼ90°ずれた位置に形成されている。
また、一対の進角通路部30a、30bは、図5に示すように、それぞれに対応した2つの進角油通路20a,20cに対してベーンロータ7の円周方向へ所定距離だけ偏倚した位置に形成されている。また、各進角通路部30a、30bは、カムシャフト一端部2aの先端部内の一端部から径方向に沿って貫通した一対の第2径方向油孔30c、30dを有している。この各第2径方向油孔30c、30dは、各第1径方向油孔29c、29dの形成位置よりもスプロケット1寄りに配置されている。
なお、一対の第2径方向油孔30c、30dは、前記2つの進角油通路20a,20c以外の他の2つの進角油通路20b、20dとは周方向の約90°の角度位置で離間している。
さらに、カムシャフト一端部2aの各第2径方向油孔30c、30dが開口した外周には、この各第2径方向油孔30c、30dと4つの進角油通路20a~20dとを連通する第2環状溝(グルーブ溝)36が設けられている。
したがって、各進角油通路20a~20dは、内端側の一端開口20eが第2環状溝36に臨み、外端側の他端開口20fが各進角油圧室10に臨んでいる。
なお、第2径方向油孔30dは、請求項2における第3径方向油孔に相当し、これに連通する進角油圧室10が第2の進角作動室に相当し、さらにこの進角油圧室10に連通する進角油通路20cが第3の進角油通路に相当している。また、第2径方向油孔30dに連通する進角通路部30bが第3油通路に相当している。
そして、図5に示すように、例えば、一つの進角通路部30aから第2径方向油孔30cと第2環状溝36及び一つの進角油通路20aを介して一つの進角油圧室10までの供給経路S1は、クランク状に屈曲形成されている。また、同じく他の進角通路部30bから第2径方向油孔30dと第2環状溝36及び他の進角油通路20cを介して他の一つの進角油圧室10までの供給経路S2もクランク状に屈曲形成されている。
また、各進角油圧室10側では、図5に示すように、各第2径方向油孔30c、30dから第2環状溝36と各進角油通路20までの供給経路が全体的に長くなっている。その中で2つの供給経路S1,S2は、比較的短くなっているものの、これらの供給経路S1,S2も、クランク状に屈曲形成されて迂回した経路になることから、直線状に形成した場合に比較して長くなっている。
電磁切換弁31は、4ポート4方向3位置の弁であって、図外のコントロールユニット(ECU)からの出力信号によって各通路29,30とオイルポンプ32の吐出通路32aとドレン通路33とを選択的に切り換え制御するようになっている。
ECUは、内部のコンピュータが図外のクランク角センサやエアーフローメータ、水温センサ、スロットルバルブ開度センサなどの各種センサ類からの情報信号を入力して現在の機関運転状態を検出する。また、ECUは、機関運転状態に応じて電磁切換弁31のコイルに制御電流を出力するようになっている。
図8は本実施形態に供されるロック機構を示す図1の要部拡大図である。
ロック機構4は、図1、図2及び図8に示すように、第1ベーン22の内部軸方向に貫通形成された摺動用孔37と、この摺動用孔37内に摺動自在に収容されて、スプロケット1に対して進退可能に設けられたロックピン38と、スプロケット1の内側面1dの所定位置に形成され、ロックピン38の先端部38aが挿入されてベーンロータ7をロックするロック穴39と、機関の始動状態に応じてロックピン38の先端部38aをロック穴39に挿入させ、あるいは抜け出させる挿入・解除機構と、から構成されている。
摺動用孔37は、図8に示すように、内周面が段差径状に形成されて、スプロケット1側の前端側の小径孔37aと、後端側の大径孔37bとを有し、この小径孔37aと大径孔37bとの間に環状の第1段差部37cが形成されている。
ロックピン38は、図2及び図8に示すように、ロック穴39と摺動用孔37に対応して外周面が段差径状に形成され、最小径の先端部38aと、該先端部38a側より後ろ側の内部中空状の小径部38b及び大径部38cと、この小径部38bと大径部38cとの間に形成された第2段差部38dと、を有している。先端部38aは、中実になっていると共に、外周面が截頭円錐状に形成されてロック穴39内に挿入し易い形状になっている。
また、摺動用孔37の第1段差部37cとロックピン38の第2段差部38dとの間には、環状の第1受圧室40aが形成されている。また、ロックピン38の先端部38aとロック穴39との間には、第2受圧室40bが形成されている。これら第1、第2受圧室40a、40bは、挿入・解除機構の一部を構成している。
ロック穴39は、スプロケット1に穿設された固定用孔1fに圧入固定されたロック穴構成部41によって形成されている。このロック穴構成部41は、硬質な金属材によって有底円筒状のカップ状に形成されている。
固定用孔1fは、スプロケット1の円周方向の遅角油圧室9の第1シュー8a寄りに臨む位置に貫通形成されている。したがって、ロック穴39は、その位置がロック穴構成部41を介してベーンロータ7が最大遅角側に相対回転した場合にロックピン38と軸方向から対向する位置になっている。
これによって、ロックピン38の先端部38aがロック穴39に挿入した場合には、ハウジング5とベーンロータ7の相対回転角度が機関始動に適した最遅角の変換角度となるように設定されている。
また、ベーンロータ7の後端面には、摺動用孔37の後端と連通する呼吸溝7aがロータ21の径方向に沿って形成されている。この呼吸溝7aは、フロントプレート13の挿入孔12aを介して外気と連通している。これによって、ロックピン38の摺動用孔37内での良好な摺動性を確保するようになっている。
挿入・解除機構は、ロックピン38の後端部とフロントプレート12の内端面との間に弾装されて、ロックピン38を進出方向(ロック穴39方向)へ付勢するコイルスプリング42と、ロック穴39と第1、第2受圧室40a、40b内にそれぞれ油圧を供給してロックピン38を後退させる解除用油圧回路と、から構成されている。
コイルスプリング42は、ベーンロータ7が最遅角側へ相対回転した際に、そのばね力によってロックピン38を進出移動させて先端部38aをロック穴39内に挿入させる。これにより、ベーンロータ7は、ハウジング5に対してロックされるようになっている。
解除用油圧回路は、図6~図8に示すように、2つの供給経路から第1、第2受圧室40a、40bにそれぞれ油圧を供給してロックピン38を後退移動させるようになっている。
すなわち、一つの供給経路は、図3、図4及び図8に示すように、第1ベーン22の一つの遅角油圧室9(9a)側の側部に周方向へ直線状に形成された第1ロック解除油路43を利用している。この第1ロック解除油路43は、第1ベーン22の遅角油圧室9a側の側部を例えばドリルによって孔開け加工したものであって、横断面円形状に形成されている。また、この第1ロック解除油路43は、一端開口が一つの遅角油圧室9aに臨み、他端開口が第1受圧室40aに臨んでいる。したがって、一つの供給経路は、各遅角油圧室9に油圧が供給された際に、一つの遅角油圧室9aに供給された油圧を、第1ロック解除油路43を介して第1受圧室40aに供給する経路である。
一方、他の供給経路は、図1に示すように、ベーンロータ7のスプロケット1側の前端面7bに各進角油通路20とは別個独立して形成された第2ロック解除油路44を利用している。
すなわち、第2ロック解除油路44は、図1、図5~図8に示すように、ベーンロータ1の前端面7bにおいて、ロータ21と第1ベーン22の結合部位にベーンロータ7の回転軸心側から径方向外側に向かって細長い通路溝として形成されている。この第2ロック解除油路44は、各進角油通路20a~20dと同じくベーンロータ7の焼結成形時に、細長い通路溝として一緒に成形されている。そして、第2ロック解除油路44は、ハウジング本体11の内部に収容された状態でベーンロータ7の前端面7bに対向配置されるスプロケット1の内側面1dとの間で油路として構成されるようになっている。
また、第2ロック解除油路44は、図6に示すように、全体がベーンロータ7の回転軸心P1と摺動用孔37の軸心P2を結ぶ直線Xよりも第1ベーン22の突起部22a寄りに僅かに偏倚して配置されている。これによって、第2ロック解除油路44の両側部の肉厚をほぼ均一化させて剛性を確保しつつ突起部22aを含む第1ベーン22の重量バランスを調整している。
さらに、第2ロック解除油路44は、図5に示すように、一つの第2径方向油孔30cに対してカムシャフト2の回転軸線Pを中心とする径方向でその大部分が互いに重なっている(オーバーラップ)している。このオーバーラップ量は、少なくとも一部でも良く、この一部とは、両者44、30cの対向する開口面積の約1/10以上が重なっていることを示している。
また、この第2ロック解除油路44は、一端開口44aが第2環状溝36に臨み、他端開口44bが摺動用孔37の小径孔37aの先端部を介してロック穴39に直接的に臨んでいる。したがって、図5に示すように、第2径方向油孔30cから第2環状溝36と第2ロック解除油路44を介してロック穴39までの供給経路S3は、直線的になっている。
一方、前述したように、第2径方向油孔30c、30dから第2環状溝36及び各進角油通路20a、20cを介して各進角油圧室10、10までの供給経路S1,S2は、それぞれクランク状に屈曲している。したがって、第2径方向油孔30cからロック穴39までの直線的な供給経路S3の通路長さAは、前記それぞれの供給経路S1、S2の通路長さB、Cよりも短く設定されている。
各遅角通路部29a、29bから第1環状溝35に供給された油圧は、一旦、遅角油圧室9に流入して、ここから第1ロック解除油路43を介して第1受圧室40aに供給される。一方、各進角通路部30a、30bから第2環状溝36に供給された油圧は、直接的に第2ロック解除油路44から第2受圧室40bに供給される。
これら第1、第2受圧室40a、40bに供給された油圧によって、ロックピン38は、コイルスプリング42のばね力に抗して後退移動して、先端部38aがロック穴39から抜け出てロックが解除される。これにより、ハウジング5に対するベーンロータ7の自由な相対回転が許容されるようになっている。
〔本実施形態の作用〕
以下、本実施形態の作用を説明する。まず、イグニッションスイッチをオフ操作して機関を停止した際には、ECUからの電磁切換弁31のコイルへの給電も停止されて非通電状態になると共に、オイルポンプ32の駆動も停止される。
また、機関が完全に停止する前には、ベーンロータ7が、カムシャフト2に作用する交番トルクによって最大遅角位置に相対回転する(図3参照)。この最大遅角位置では、ロック穴39に油圧が供給されないので、ロックピン38の先端部38aが、コイルスプリング42のばね力によってロック穴39内に挿入して、ベーンロータ7を再始動に適した最遅角側の位置にロックする。
次に、イグニッションスイッチをオン操作して機関が再始動されてクランキングが開始されると、このクランキングの段階においては、ECUからの電磁切換弁31のコイルへの非通電状態が維持される。これによって、オイルポンプ32の吐出通路39aと遅角側通路29を連通させる。同時に、進角側通路30とドレン通路33を連通させる。
また、機関の再始動によってオイルポンプ32が駆動を開始する。これにより、オイルポンプ32から吐出された作動油は、遅角側通路29などを介して各遅角油圧室9内に流入して、該各遅角油圧室9が高圧になる。一方、各進角油圧室10内の作動油は、進角側通路30などを通ってドレン通路33からオイルパン34内に排出されて、各進角油圧室10内が低圧になる。
したがって、各遅角油圧室9の容積の拡大状態が維持されていることに伴い、ベーンロータ7が、図3に示すように、反時計方向へ回転した状態となっている。つまり、第1ベーン22の一側面が、第1シュー8aの対向側面に当接してそれ以上の反時計方向の回転が規制されている。これにより、ベーンロータ7は、ハウジング5に対して最大遅角側の相対回転位置に保持される。つまり、カムシャフト2は、スプロケット1に対して相対回転角度位置が最遅角側に維持されて、各吸気弁の開閉タイミングが最遅角側になる。
また、一つの遅角油圧室9aに供給された作動油(油圧)は、第1ロック解除油路43を通って第1受圧室40a内に流入する。しかし、作動油の流入初期の段階では、第1受圧室40aが未だ高圧にならないことから、ベーンロータ7は、ロック機構によるロック状態が維持される。
その後、第1受圧室40aの内部が所定圧に上昇すると、ロックピン38は、コイルスプリング42のばね力に抗して後退移動する。これにより、ロックピン38の先端部38aがロック穴39から抜け出して、ベーンロータ7は、ハウジング5に対するロックが解除されて、自由な相対回転が許容される。このとき、各遅角油圧室9の内部圧が高くなっていることから、ベーンロータ7は、最大遅角側の相対回転位置に保持された状態が維持されている。
このように、機関再始動時には、ベーンロータ7が、最大遅角側の相対回転位置に保持されることから、スムーズなクランキングによって良好な始動性が得られる。また、ベーンロータ7のばたつきが抑制されて、各ベーン22~25と各シュー8a~8eとの間の干渉が抑制される。
特に、本実施形態では、図4に示すように、少なくとも一つの遅角油通路19aが第1径方向油孔29cと径方向で互いの対向する開口部のほぼ全体が重なるように連通している。換言すれば、両者19a、29cは、直接的かつ直線状に連通している。このため、遅角側通路29から第1環状溝35に流入した作動油は、第1径方向油孔29cから遅角油通路19aへ直線状でかつ直接的に流入する。したがって、一つの遅角油圧室9aには、作動油が速やかに供給することが可能になる。これにより、ベーンロータ7を、最遅角位置に速やかに保持することができる。したがって、ベーンロータ7は、ロックピン38がロック穴39から抜け出した直後において、カムシャフト2に発生する交番トルクなどに起因するばたつきの発生が十分に抑制される。この結果、第1ベーン22と第1シュー8aなどとの干渉打音の発生を効果的に抑制することができる。
次に、機関が例えばアイドリング運転などの所定の機関運転状態に移行した場合は、ECUから電磁切換弁31のコイルに制御電流が出力される。これによって、吐出通路39aと進角側通路30が連通されると同時に、遅角側通路29とドレン通路33を連通させる。このため、各遅角油圧室9内の作動油は、各遅角油通路19a~19dや第1環状溝35、第1径方向油孔29c、29d及び遅角側通路29(遅角通路部29a、29b)を介してドレン通路33からオイルパン34内に排出される。これによって、各遅角油圧室9は、低圧になる。
一方、オイルポンプ32から圧送された作動油は、進角側通路30(進角通路部30a、30b)から第2径方向油孔30c、30dを通って第2環状溝36に流入する。ここから、各進角油通路20a~20dを通って各進角油圧室10に供給される。これによって、各進角油圧室10は、内部が高圧になる。
このとき、第2環状溝36に流入した作動油は、第2ロック解除油路44を通って第2受圧室40bに直接的に供給されるため、今度はこの油圧によって第2受圧室40の容積が拡大する。これにより、ロックピン38は、後退移動して先端部38aがロック穴39から抜け出した状態が維持される。
したがって、ベーンロータ7は、図4に示すように、ハウジング5に対して時計方向へ相対回転して、第1ベーン22の他側面が第2シュー8bの対向側面に当接して、それ以上の時計方向の回転が規制される。これにより、カムシャフト2は、スプロケット1に対して相対回動位相が最進角側に変換される。この結果、吸気弁の開閉タイミングが最進角側に制御されて、かかる運転域における機関の性能を向上させることができる。
そして、各進角油圧室10には、第2環状溝36からこの第2環状溝36を周方向に流動して各進角油通路20a~20dを通って作動油が供給される。すなわち、2つの進角油圧室10,10には、2つの進角油通路20a、20cを介して屈曲した供給経路S2,S3などを通って迂回しながら供給される。他の2つの進角油圧室10,10には、進角油通路20b、20dを介してさらに長い供給経路を通って供給される。
これに対して、第2受圧室40bには、前述のように、作動油(油圧)が第2環状溝36から第2ロック解除油路44(供給経路S3)を通って直接的かつ直線的に供給される。このため、各進角油圧室10内の油圧の立ち上がりよりも第2受圧室40b内での油圧の立ち上がり速くなる。
このため、ロックピン38は、ベーンロータ7が進角側へ相対回転する前に速やかに後退移動して先端部38aがロック穴39から速やかに抜け出すことができる。
つまり、従来の技術のように、ロック解除用の油圧が、第2環状溝36から各進角油圧室10を通って(迂回して)第2受圧室40bに供給される場合には、先に進角油圧室10の油圧が上昇してベーンロータ7が進角側へ相対回転しようとする。このため、ロックピン38は、ロック穴39から完全に抜け出す前にベーンロータ7の回転によって先端部38aに剪断方向から干渉してロック穴39の孔縁に引っ掛かってスムーズに抜け出せないおそれがある。
これに対して、本実施形態では、作動油が第2環状溝36から第2ロック解除油路44(供給経路S3)を通って直接的かつ直線的に第2受圧室40bに供給される。したがって、例えば車両の走行中において、内燃機関の停止状態から例えばアクセルペダルを急に踏み込んで急発進させた場合に、遅角側でロック状態にあるロックピン38がロック穴39から早期に抜け出して、ベーンロータ7を進角側へ速やかに相対回転させることが可能になる。この結果、機関の高出力化を満足させることができる。
以上のように、本実施形態では、例えば、機関の再始動時には、ロックピン38が、ベーンロータ7の進角側への相対回転よりも前にロック穴39から速やかに抜け出すことができる。したがって、ベーンロータ7は、進角側への安定かつ速やかに相対回転することができる。
なお、前述した一つの遅角油圧室9aに対する作動油の速やかな供給による効果は、機関再始動だけではなく、機関再始動後の機関運転状態が変化した場合にも効果を発揮する。すなわち、機関運転状態の変化によって、ベーンロータ7が、進角側の相対回転位置から遅角側へ相対回転しようとする場合にも、少なくとも一つの遅角油圧室9aには作動油が前述した直線的な供給経路によって速やかに供給される。したがって、ベーンロータ7は、遅角油圧室9aの油圧とこれに隣接する進角油圧室10内の油圧との相対的な対抗油圧によってばたつきの発生が十分に抑制される。
また、本実施形態では、各進角油通路20や第2ロック解除油路44をベーンロータ7の焼結成形時に一緒に成形することができるので、製造作業が容易になり、製造コストの低減化が図れる。
さらに、第2ロック解除油路44の形成位置が、前述したように、第1ベーン22の周方向の突起部22aの有する一方側へ偏倚(オフセット)した位置になっている。換言すれば、第2ロック解除油路44を、第1ベーン22の周方向幅の中央位置に形成した場合には、第2ロック解除油路44と第1ベーン22の周方向一方側(突起部22aと反対側)の端面との間の肉厚が薄くなってしまう。そこで、第2ロック解除油路44を前述した偏倚した位置にすると、第2ロック解除油路44を挟んだ第1ベーン22の周方向の両側の肉厚を確保することができる。この結果、第1ベーン22の耐久性の低下を抑制できる。
なお、第2ロック解除油路44の形成位置は、第1ベーン22の周方向の幅厚さによって自由に変更可能であり、前述のように偏倚させずに第1ベーン22の周方向幅の中央に配置することも可能である。
また、ハイブリッド車両に用いられる内燃機関においては、モータによる走行中に内燃機関が停止状態から始動へ移行することが多く存在する。この場合、内燃機関の回転数が急激に上昇し、オイルポンプから供給される作動油の速度が通常の車両停止時からの始動に対して速くバルブタイミング制御装置に供給される。そして、ロックピン38をロック穴39から早期に脱出させてバルブタイミング制御装置を作動させたいというニーズがある。そのニーズに対して、研究によりカムシャフト2の第1径方向油孔29cと遅角油通路19aとの距離、及び第2径方向油孔30cと第2受圧室40bとの距離の関係が影響することが分かってきた。
特に本実施形態では、第2径方向油孔30c、30dから第2環状溝36及び各進角油通路20a、20cを介して各進角油圧室10、10までの供給経路S1,S2は、それぞれクランク状に屈曲させている。したがって、第2径方向油孔30cからロック穴39までの直線的な供給経路S3の通路長さAは、前記それぞれの供給経路S1、S2の通路長さB、Cよりも短く設定されている。この長さの関係が逆であると、ロックピン38がロック穴39から抜ける前に進角油圧室10に作動油が充満し易くなる。これにより、第1ベーン22が進角側へ移動し易くなる。このため、ロックピン38が、ロック穴39の孔縁に押し付けられて抜け難くなるおそれがあることが分かった。この時間差は数msであり短時間ではあるが、大きな効果が得られることが分かった。
〔第2実施形態〕
図9及び図10は第2実施形態を示し、4つの進角油通路20と第2ロック解除油路44を、ベーンロータ7に代えてスプロケット1の内側面1dに通路溝状に形成したものである。
すなわち、4つの進角油通路20は、図9に示すように、スプロケット本体1aの挿入孔1cから内側面1d上で前記挿入孔1cの中心から放射方向に沿って通路溝状に形成されている。また、第2ロック解除油路44は、同じくスプロケット本体1aの挿入孔1cから内側面1dの径方向に沿って通路溝状に形成されて、ロック穴39の孔縁まで延びている。
各第2径方向油孔30c、30dや第2環状溝36は、各進角油通路20や第2ロック解除油路44の形成位置の変更に伴いカムシャフト2の一端部2aであってスプロケット本体1aの挿入孔1c寄りに形成されている。
したがって、各進角油通路20は、図10に示すように、スプロケット本体1aの内周側の各一端開口20eが第2環状溝36に臨み、外周側の他端開口20fが各進角油圧室10に臨んでいる。
第2ロック解除油路44は、一端開口44aが第2環状溝36に臨み、他端開口44bが切り欠かれたロック穴構成部41の端縁を介してロック穴39に臨んでいる。
なお、各進角油通路20と第2ロック解除油路44は、ハウジング5内にベーンロータ7を収容して組み付けた後に、このベーンロータ7の前端面7bとの間に形成されることになる。
他の構成は第1実施形態と同じである。
したがって、この実施形態によれば、機関の停止時には、図10に示すように、ベーンロータ7は、カムシャフト2の交番トルクによって最遅角側の位置に相対回転する。また、この時点では、ロック機構のロックピン38の先端部38aがコイルスプリング42のばね力によってロック穴39に挿入され、ベーンロータ7がハウジング5に対して最遅角の相対回転位置でロックされる。
また、機関運転状態の変化によって、ベーンロータ7が遅角側から進角側へ相対回転しようとした際には、第1実施形態と同じ供給経路S1、S2、S3によって各進角油圧室10よりも先にロック穴39に第2ロック解除油路44から作動油が速やかに供給される。したがって、ロックピン38は、ベーンロータ7が遅角側へ相対回転し始めるよりも先に先端部38aがロック穴39から抜け出すことができる。このため、第1実施形態と同じく、ロックピン38は、先端部38aがロック穴39孔縁に引っ掛かることなくスムーズに抜け出すことが可能になる。
各進角油通路20や第2ロック解除油路44を、スプロケット本体1aの内側面1dに形成したことから、これらをスプロケット1の成形後に切削加工によって成形できるので、その成形作業が容易である。
また、スプロケット1を、例えば焼結金属で成形した場合には、各進角油通路20や第2ロック解除油路44も一緒に成形できるので、これらの成形作業がさらに容易になり、コストの低減化も図れる。
〔第3実施形態〕
図11~図14は第3実施形態を示し、遅角側通路29の遅角通路部の構成を変更すると共に、進角側通路30の進角通路部の構成を変更した。さらに、ロータ21の内部で各進角油通路20a~20dと第2ロック解除油路44をベーンロータ7の回転軸方向でオフセット配置したものである。
すなわち、遅角側通路29のカムシャフト2の一端部2aの内部軸方向には、4本の遅角通路部29a、29a、29b、29bが設けられている。この4本の遅角通路部29a~29bは、カムシャフト一端部2aの内部周方向のほぼ等間隔位置に設けられている。この各遅角通路部29a~29bは、カムシャフト一端部2aの回転軸線方向の所定位置から径方向に延びる4つの第1径方向油孔29c、29c、29d、29dを有している。この各第1径方向油孔29c~29dは、各遅角油通路19a~19dにそれぞれ連通している。
進角側通路30の進角通路部30eは、図12に示すように、カムシャフト2のボルト挿通孔2bの内周面とカムボルト6の軸部6bの外周面との間に形成されている。進角通路部30eは、円筒状に形成されて、カムボルト6の頭部6aのフランジ部6dの着座用端面まで延びている。
また、第2ロック解除油路44は、例えばドリル加工によって、カムシャフト2の一端部2aの先端面付近からロータ21の径方向及び軸方向にほぼL字形状に屈曲形成されている。つまり、この第2ロック解除油路44は、ロータ21の挿通孔21aから径方向へ延びていると共に、ロック機構付近でカムシャフト2方向へ軸方向に延びて全体がほぼL字形状に形成されている。また、第2ロック解除油路44は、カムボルト6の軸部6b側の一端開口44aが進角通路部30eに臨み、ロック機構側に軸方向に沿って形成された他端開口44bがロック穴39に臨んでいる。
進角油通路20は、各進角油圧室10に対応して4つ設けられていると共に、それぞれが第2ロック解除油路44よりも前方のフロントプレート12寄りに配置されている。各進角油通路20は、ロータ21の内部を挿通孔21aから径方向に沿って貫通形成されて、カムボルト6の軸部6b側の一端開口20eが進角通路部30eに臨み、他端開口20fが各進角油圧室10に臨んでいる。
このように、第2ロック解除油路44と各進角油通路20a~20dは、カムボルト6の軸方向においてオフセット配置されている。つまり、第2ロック解除油路44が、カムシャフト2寄りに、各進角油通路20a~20dが、フロントプレート12寄りに配置されている。このため、進角通路部30eから第2ロック解除油路44を介してロック穴39(第2受圧室40b)までの供給経路S4は、進角通路部30eから各進角油通路20a~20dを介して各進角油圧室10までの供給経路S5よりも短くなっている。
したがって、機関運転状態の変化に伴いオイルポンプ32から進角通路部30eに供給された作動油は、先に第2ロック解除油路44から第2受圧室40bに供給され、その後、各進角油通路20a~20dから各進角油圧室10に供給される。このため、第2受圧室40b内の油圧の立ち上がりが、各進角油圧室10内の油圧の立ち上がりに方が速くなる。特に、第2受圧室40bの容積は、各進角油圧室10全体の容積よりも十分に小さいことから、油圧の立ち上がり速度の差は大きい。
よって、ロックピン38は、第2受圧室40bへの供給油圧によってコイルスプリング42のばね力に抗して速やかに後退移動して先端部38aがロック穴39から抜け出す。その後、ベーンロータ7が、各進角油圧室10への供給油圧によって進角側へ相対回転する。
したがって、前述したロックピン38のロック穴39の孔縁に対する引っ掛かり現象を効果的に抑制することが可能になる。
なお、この時間差は約十数msであるから、たとえ作動油が予め各進角油圧室10にある程度供給されている状態でもロックピン38の引っ掛かりを十分に抑制できる。
また、各遅角通路部29a~29bなどをそれぞれ独立した形で設けたことから、各遅角油圧室9への作動油の供給速度が第1、第2実施形態の場合に比較して速くなる。これによって、バルブタイミング制御装置の制御応答性が向上する。
他の構成は第1実施形態と同様であるから、一つの遅角油圧室9(9a)へ作動油を速やかに供給してベーンロータ7のばたつきを抑制するなど、第1実施形態と同じ作用効果が得られる。
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、本発明のバルブタイミング制御装置を吸気弁側ばかりか排気弁側にも適用するが可能である。この場合、機関停止時には、ベーンロータ7が、ロック機構4のロックピンとロック穴によってハウジング5に対して最進角側の相対回転位置にロックされ、機関の再始動直後には各進角油圧室10に作動油が供給される。
また、第2実施形態では、ロック解除油路44や進角油通路20をスプロケット1の内側面1dに設けているが、遅角油通路19をスプロケット1の内側面1dなどに設けることも可能である。
さらに、各実施形態では、第1、2環状溝35,36を、カムシャフト2の外周面に設けられているが、これらをロータ21の内周面に形成することも可能である。
以上説明した実施形態に基づく内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
その一つの態様として、内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
クランクシャフトからの回転力が伝達され、内部に作動室を有するハウジングと、カムシャフトに固定されるロータと、前記ロータに一体に回転すると共に前記作動室を周方向の一方である遅角作動室と周方向の他方である進角作動室とに分けるベーンと、を有し、前記ハウジングと相対回転可能なベーンロータと、前記ベーンロータに設けられた収容孔に摺動可能に配置され、前記ベーンロータが前記ハウジングに対して最遅角側へ相対回転した位置で、前記ハウジングに設けられたロック穴に挿入可能なロックピンと、前記ベーンロータまたは前記ハウジングの一方に設けられ、前記カムシャフトの内部に設けられた第1油通路と前記遅角作動室とを連通する遅角油通路と、前記ベーンロータまたは前記ハウジングの他方に設けられ、前記カムシャフトの内部に前記第1油通路と異なる位置に設けられた第2油通路と前記進角作動室とを連通する進角油通路と、前記ベーンロータまたは前記ハウジングのいずれか一方に径方向に沿って設けられ、前記第2油通路と前記ロック穴とを連通するロック解除通路と、を備え、
前記遅角油通路は、前記第1油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向に延びた第1径方向油孔に径方向で少なくとも一部が重なるように連通し、前記ロック解除通路は、前記第2油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向へ延びた第2径方向油孔に径方向で少なくとも一部が重なるように連通している。
さらに好ましくは、前記ハウジングは、第2の作動室を有し、前記ベーンロータは、前記第2の作動室を周方向の一方である第2の遅角作動室と周方向の他方である第2の進角作動室に分ける第2のベーンを有し、前記ベーンロータまたは前記ハウジングは、前記カムシャフトの内部に設けられて前記第1油通路と第2油通路とは異なる第3油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向に延びた第3径方向油孔と前記第2の進角作動室を連通する第3の進角油通路を有し、前記第2径方向油孔の前記カムシャフト外周の一端開口から前記ロック解除通路を介して前記ロック穴までの通路長さAは、前記第3径方向油孔の前記カムシャフト外周の一端開口から第3の進角油通路を介して前記第2の進角作動室までの通路長さBよりも短くなっている。 この発明の態様によれば、第3油通路から最も近い第2の進角作動室へ作動油が到達するよりも先にロック穴に作動油が到達するので、ロックピンが先に抜け出させることができる。
さらに好ましくは、前記第3の進角油通路における前記ベーンロータの周方向幅の中心が、前記第3径方向油孔の前記一端開口における前記ベーンロータの周方向幅の中心に対して周方向へ所定量ずれている。
さらに好ましくは、前記進角油通路の前記ベーンロータの周方向幅の中心は、前記第2径方向油孔の一端開口の周方向幅の中心に対して前記ベーンロータの周方向にずれていると共に、前記ロック解除通路の周方向幅の中心と前記一端開口の周方向幅の中心の周方向のずれよりも大きくなっている。
この発明の態様によれば、ロック穴までの通路長さが、進角作動室までの通路長さよりも短いことから、第2油通路から第2径方向油孔に流入した作動油は、進角作動室よりもロック穴への供給が早くなる。これによって、進角作動室の油圧の上昇よりもロックピンのロック穴からの抜け出しが早くなる。
さらに好ましくは、前記ロック解除通路は、前記ベーンロータの回転軸方向において前記第3の進角油通路に対して前記カムシャフト側に位置ずれしている。
ロック解除通路の位置をカムシャフト側にずらすことによっても進角油通路よりも通路長を短くできる。
さらに好ましくは、前記ベーンは、前記遅角作動室側の一側部に突起部が設けられ、前記ロック解除通路は、前記ロータとベーンに跨って設けられ、前記ロック解除通路の直径方向の中心が、前記ベーンロータの回転軸心とロックピンの軸線を結ぶ直線に対して前記突起部側に位置ずれしている。
この発明の態様によれば、ロック解除通路の形成位置が、突起部を含めたベーンの周方向の全体の肉厚のほぼ中央位置になっている。換言すれば、ロック解除通路の形成位置をベーンの周方向の一方側へ偏倚した位置にすると、ロック解除通路とベーンの周方向一方側の端面との間の肉厚が薄くなってしまう。しかし、ロック解除通路を前述のようにすると、ロック解除通路を挟んだベーンの周方向の両側の肉厚を確保することができる。この結果、ベーンの耐久性の低下を抑制できる。
さらに好ましくは、前記カムシャフトの外周または前記ベーンロータの内周に設けられて、前記第1径方向油孔と遅角油通路とを連通する第1環状溝と、前記カムシャフトの外周または前記ベーンロータの内周であって、前記第1環状溝よりも前記カムシャフトの回転軸方向へずれた位置に設けられ、前記第3径方向油孔と前記ロック解除通路を連通する第2環状溝と、をさらに有し、前記通路長さAは、前記第2径方向油孔から前記第2環状溝及び前記ロック解除通路を介して前記ロック穴までの距離であり、前記通路長さBは、前記第3径方向油孔から前記第2環状溝を介して前記ベーンロータの回転方向へずれた前記第3の進角油通路と前記第2の進角作動室までの距離である。
この発明の態様によれば、第2環状溝を利用して通路長さAを、通路Bよりも短くしているので、その分、ロック解除の速度が速くなる。
さらに好ましくは、前記ロック解除通路は、前記ベーンと前記ロータの回転軸線方向の一端面に設けられた通路溝である。
さらに好ましくは、前記ロック解除通路は、前記ハウジングの一端開口を閉塞するリアプレートの内側面に設けられた通路溝である。
別の好ましい態様としては、内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
クランクシャフトからの回転力が伝達され、内部に作動室を有するハウジングと、カムシャフトに固定されるロータと、前記ロータと一体に回転すると共に前記作動室を周方向の一方である進角作動室と周方向の他方である遅角作動室とに分けるベーンと、を有し、前記ハウジングと相対回転可能なベーンロータと、前記ベーンロータに設けられた収容孔に摺動可能に配置され、前記ベーンロータが前記ハウジングに対して最進角側へ相対回転した位置で、前記ハウジングに設けられたロック穴に挿入可能なロックピンと、前記ベーンロータまたは前記ハウジングの一方に設けられ、前記カムシャフトの内部に設けられた第1油通路と前記遅角作動室とを連通する遅角油通路と、前記ベーンロータまたは前記ハウジングの他方に設けられ、前記カムシャフトの内部に前記第1油通路とは異なる位置に設けられた第2油通路と前記進角作動室とを連通する進角油通路と、前記ベーンロータまたは前記ハウジングのいずれか一方に径方向に沿って設けられ、前記第1油通路と前記ロック穴とを連通するロック解除通路と、を備え、
前記進角油通路は、前記第2油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向に延びた第2径方向油孔に径方向で少なくとも一部が重なるように連通し、前記ロック解除通路は、前記第1油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向へ延びた第1径方向油孔と径方向で少なくとも一部が重なるように連通している。
この発明の態様によれば、排気側のカムシャフトへの適用が可能になる。
さらに別の好ましい態様としては、カムシャフトと、前記カムシャフトに取り付けられる内燃機関のバルブタイミング制御装置とを含む内燃機関のバルブタイミング制御システムであって、
クランクシャフトからの回転力が伝達され、内部に作動室を有するハウジングと、カムシャフトに固定されるロータと、前記ロータに一体に回転すると共に前記作動室を周方向の一方である遅角作動室と周方向の他方である進角作動室とに分けるベーンと、を有し、前記ハウジングと相対回転可能なベーンロータと、前記ベーンに設けられた収容孔に摺動可能に配置され、前記ハウジングに設けられたロック穴に挿入可能なロックピンと、前記カムシャフトの外周または前記ベーンロータの内周に設けられた第1環状溝及び第2環状溝と、前記カムシャフトの内部に設けられ、前記第1環状溝に開口する第1径方向油孔を有する第1油通路と、前記カムシャフトの内部に設けられ、前記第2環状溝に開口する第2径方向油孔を有する第2油通路と、前記ベーンロータまたは前記ハウジングに設けられ、前記第1環状溝と前記遅角作動室を連通する遅角油通路と、前記ベーンロータまたは前記ハウジングに設けられ、前記第2環状溝と前記進角作動室を連通する進角油通路と、前記ベーンロータまたは前記ハウジングに設けられ、前記第2環状溝と前記ロック穴とを連通するロック解除通路と、を備え、
前記進角油通路は、前記第1径方向油孔に対して前記ベーンロータの回転軸を中心とする半径方向で少なくとも一部がオーバーラップし、前記ロック解除通路は、前記第2径方向油孔に対して前記ベーンロータの回転軸を中心とする半径方向で少なくとも一部がオーバーラップしている。
1…スプロケット、1a…スプロケット本体、1d…内側面、2…カムシャフト、2a…一端部、2b…ボルト挿通孔、3…位相変換機構、4…ロック機構、5…ハウジング、7…ベーンロータ、8a~8e…第1~第4シュー、9…遅角油圧室、10…進角油圧室、11…ハウジング本体、12…フロントプレート、19a~19d…遅角油通路、20a~20d…進角油通路、21…ロータ、22…第1ベーン、23~25…第2~第4ベーン、29…遅角側通路、29a・29b…遅角通路部(第1油通路)、29c、29d…第1径方向油孔、30…進角側通路、30a・30b……進角通路部(第2、第3油通路)、30c・30d…第2径方向油孔、30e…進角通路部(第2油通路)、31…電磁切換弁、32…オイルポンプ、33…ドレン通路、35…第1環状溝、36…第2環状溝、37…摺動用孔、38…ロックピン、38a…先端部、39…ロック穴、40a…第1受圧室、40b…第2受圧室、42…コイルスプリング、43…第1ロック解除油路、44…第2ロック解除油路(ロック解除通路)、A…通路長さ、B…通路長さ、S1・S2・S3…供給経路。

Claims (11)

  1. 内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
    クランクシャフトからの回転力が伝達され、内部に作動室を有するハウジングと、
    カムシャフトに固定されるロータと、前記ロータに一体に回転すると共に前記作動室を周方向の一方である遅角作動室と周方向の他方である進角作動室とに分けるベーンと、を有し、前記ハウジングと相対回転可能なベーンロータと、
    前記ベーンロータに設けられた収容孔に摺動可能に配置され、前記ベーンロータが前記ハウジングに対して最遅角側へ相対回転した位置で、前記ハウジングに設けられたロック穴に挿入可能なロックピンと、
    前記ベーンロータまたは前記ハウジングの一方に設けられ、前記カムシャフトの内部に設けられた第1油通路と前記遅角作動室とを連通する遅角油通路と、
    前記ベーンロータまたは前記ハウジングの他方に設けられ、前記カムシャフトの内部に前記第1油通路と異なる位置に設けられた第2油通路と前記進角作動室とを連通する進角油通路と、
    前記ベーンロータまたは前記ハウジングのいずれか一方に径方向に沿って設けられ、前記第2油通路と前記ロック穴とを連通するロック解除通路と、
    を備え、
    前記遅角油通路は、前記第1油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向に延びた第1径方向油孔に径方向で少なくとも一部が重なるように連通し、
    前記ロック解除通路は、前記第2油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向へ延びた第2径方向油孔に径方向で少なくとも一部が重なるように連通していることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記ハウジングは、第2の作動室を有し、
    前記ベーンロータは、前記第2の作動室を周方向の一方である第2の遅角作動室と周方向の他方である第2の進角作動室に分ける第2のベーンを有し、
    前記ベーンロータまたは前記ハウジングは、前記カムシャフトの内部に設けられて前記第1油通路と第2油通路とは異なる第3油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向に延びた第3径方向油孔と前記第2の進角作動室を連通する第3の進角油通路を有し、
    前記第2径方向油孔の前記カムシャフト外周の一端開口から前記ロック解除通路を介して前記ロック穴までの通路長さAは、前記第3径方向油孔の前記カムシャフト外周の一端開口から第3の進角油通路を介して前記第2の進角作動室までの通路長さBよりも短いことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記第3の進角油通路における前記ベーンロータの周方向幅の中心が、前記第3径方向油孔の前記一端開口における前記ベーンロータの周方向幅の中心に対して周方向へ所定量ずれていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記進角油通路の前記ベーンロータの周方向幅の中心は、前記第2径方向油孔の一端開口の周方向幅の中心に対して前記ベーンロータの周方向にずれていると共に、前記ロック解除通路の周方向幅の中心と前記一端開口の周方向幅の中心の周方向のずれよりも大きいことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記ロック解除通路は、前記ベーンロータの回転軸方向において前記第3の進角油通路に対して前記カムシャフト側に位置ずれしていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記ベーンは、前記遅角作動室側の一側部に突起部が設けられ、
    前記ロック解除通路は、前記ロータとベーンに跨って設けられ、前記ロック解除通路の直径方向の中心が、前記ベーンロータの回転軸心とロックピンの軸線を結ぶ直線に対して前記突起部側に偏っていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記カムシャフトの外周または前記ベーンロータの内周に設けられて、前記第1径方向油孔と遅角油通路とを連通する第1環状溝と、
    前記カムシャフトの外周または前記ベーンロータの内周であって、前記第1環状溝よりも前記カムシャフトの回転軸方向へずれた位置に設けられ、前記第3径方向油孔と前記ロック解除通路を連通する第2環状溝と、
    をさらに有し、
    前記通路長さAは、前記第2径方向油孔から前記第2環状溝及び前記ロック解除通路を介して前記ロック穴までの距離であり、
    前記通路長さBは、前記第3径方向油孔から前記第2環状溝を介して前記ベーンロータの回転方向へずれた前記第3の進角油通路と前記第2の進角作動室までの距離であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記ロック解除通路は、前記ベーンと前記ロータの回転軸線方向の一端面に設けられた通路溝であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  9. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記ロック解除通路は、前記ハウジングの一端開口を閉塞するリアプレートの内側面に設けられた通路溝であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  10. 内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
    クランクシャフトからの回転力が伝達され、内部に作動室を有するハウジングと、
    カムシャフトに固定されるロータと、前記ロータと一体に回転すると共に前記作動室を周方向の一方である進角作動室と周方向の他方である遅角作動室とに分けるベーンと、を有し、前記ハウジングと相対回転可能なベーンロータと、
    前記ベーンロータに設けられた収容孔に摺動可能に配置され、前記ベーンロータが前記ハウジングに対して最進角側へ相対回転した位置で、前記ハウジングに設けられたロック穴に挿入可能なロックピンと、
    前記ベーンロータまたは前記ハウジングの一方に設けられ、前記カムシャフトの内部に設けられた第1油通路と前記遅角作動室とを連通する遅角油通路と、
    前記ベーンロータまたは前記ハウジングの他方に設けられ、前記カムシャフトの内部に前記第1油通路とは異なる位置に設けられた第2油通路と前記進角作動室とを連通する進角油通路と、
    前記ベーンロータまたは前記ハウジングのいずれか一方に径方向に沿って設けられ、前記第1油通路と前記ロック穴とを連通するロック解除通路と、
    を備え、
    前記進角油通路は、前記第2油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向に延びた第2径方向油孔に径方向で少なくとも一部が重なるように連通し、
    前記ロック解除通路は、前記第1油通路から前記カムシャフトの回転軸に対して径方向へ延びた第1径方向油孔と径方向で少なくとも一部が重なるように連通していることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  11. カムシャフトと、前記カムシャフトに取り付けられる内燃機関のバルブタイミング制御装置とを含む内燃機関のバルブタイミング制御システムであって、
    クランクシャフトからの回転力が伝達され、内部に作動室を有するハウジングと、
    カムシャフトに固定されるロータと、前記ロータに一体に回転すると共に前記作動室を周方向の一方である遅角作動室と周方向の他方である進角作動室とに分けるベーンと、を有し、前記ハウジングと相対回転可能なベーンロータと、
    前記ベーンに設けられた収容孔に摺動可能に配置され、前記ハウジングに設けられたロック穴に挿入可能なロックピンと、
    前記カムシャフトの外周または前記ベーンロータの内周に設けられた第1環状溝及び第2環状溝と、
    前記カムシャフトの内部に設けられ、前記第1環状溝に開口する第1径方向油孔を有する第1油通路と、
    前記カムシャフトの内部に設けられ、前記第2環状溝に開口する第2径方向油孔を有する第2油通路と、
    前記ベーンロータまたは前記ハウジングに設けられ、前記第1環状溝と前記遅角作動室を連通する遅角油通路と、
    前記ベーンロータまたは前記ハウジングに設けられ、前記第2環状溝と前記進角作動室を連通する進角油通路と、
    前記ベーンロータまたは前記ハウジングに設けられ、前記第2環状溝と前記ロック穴とを連通するロック解除通路と、
    を備え、
    前記遅角油通路は、前記第1径方向油孔に対して前記ベーンロータの回転軸を中心とする半径方向で少なくとも一部がオーバーラップし、
    前記ロック解除通路は、前記第2径方向油孔に対して前記ベーンロータの回転軸を中心とする半径方向で少なくとも一部がオーバーラップしていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御システム。
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