JP7201519B2 - 貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法 - Google Patents

貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7201519B2
JP7201519B2 JP2019079553A JP2019079553A JP7201519B2 JP 7201519 B2 JP7201519 B2 JP 7201519B2 JP 2019079553 A JP2019079553 A JP 2019079553A JP 2019079553 A JP2019079553 A JP 2019079553A JP 7201519 B2 JP7201519 B2 JP 7201519B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shell
shells
calcium carbonate
organic
organic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019079553A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020176033A (ja
Inventor
川 秀 夫 皆
丸 重 徳 田
畑 涼 太 前
Original Assignee
大泉建設株式会社
皆川 秀夫
田丸 重徳
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 大泉建設株式会社, 皆川 秀夫, 田丸 重徳 filed Critical 大泉建設株式会社
Priority to JP2019079553A priority Critical patent/JP7201519B2/ja
Publication of JP2020176033A publication Critical patent/JP2020176033A/ja
Priority to JP2022138039A priority patent/JP2022173221A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7201519B2 publication Critical patent/JP7201519B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Description

特許法第30条第2項適用 平成30年度(2018年度)卒業論文発表会にて発表
この発明は、天然の貝殻から貝殻含有成分を抽出し、該貝殻含有成分に基づき炭酸カルシウム結晶を製造する方法に関するものであり、特に、大量に発生する帆立貝殻などを有効活用するために、その中間生成物を効率的に製造する方法を提供する分野は勿論のこと、貝殻の輸送、保管、洗浄および粉砕処理に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
非常に保存性の良い生物体の部分として貝殻は、種々の機能を有しており、太古の昔から、貨幣、装身具、容器、玩具、生薬などに活用されてきていることは、遺跡の中から産出する様々な遺品などによって証明される有用な素材であることに相違ないものの、青森県における帆立貝養殖産業は、青森県や青森県ほたて流通振興協会、漁業者など、官民一体の施策により、陸奥湾における養殖、加工産業が安定生産体制になり、平成27年には168億5,763万円と、漁獲高では北海道に次ぎ全国第2位、特に養殖物帆立貝では第1位であり、その結果、大量の貝殻が発生、堆積し続けていてその処分が追いつかない状態にあって、それら堆積する貝殻の有効活用が喫緊の課題になり続けて久しいものの、未だ決定的な手法が見出されないままにあって、これまでにも、古来から知られるとおりの種々の機能を有する帆立貝の貝殻は、融雪剤、土壌改良剤、肥料、舗装材、壁材、塗料、消臭剤、抗菌剤、食品添加物、塗料、人工漁礁または採苗コレクタ等といった各方面での有効活用がなされてきているにも拘わらず、さらなる活用法が待望視されている実情に変わりがなく、貝殻の新たな面での展開が求められている。
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記に列挙する特許文献1(1)、(2)に提案されているものなどが散見される。
その中の特許文献1(1)の文献「貝殻から球場の炭酸カルシウムを製造する方法」で開示する技術は、貝殻を強酸で溶解し、これに炭酸アンモニウムを添加するようにした、言わば「無機化学反応」を利用して比較的容易に球状の人工貝殻を作出するようにするものであり、また、特許文献1(2)「異方的炭酸カルシウムの結晶」に記載のように、炭酸カルシウム結晶を製造する方法などが知られている。
しかし、前記した事例のような「無機化学反応」によって作出される球状の炭酸カルシウム(人工貝殻)の主な目的は、流動性や平滑性などの機能を付与し、顔料や建材への活用や紙などへの塗工性改善、あるいは歯磨き粉や化粧品への添加などを狙ったものであり、また、後記の文献に見られる炭酸カルシウム結晶の製造方法も、室温・常圧付近条件下かつ簡便なプロセスで、炭酸カルシウム多形の1つであるカルサイト結晶の配向を巨視的スケールで制御する手法に関し、簡便な成形加工と配向制御が可能な液晶性を、硬くてもろい無機セラミックスに付与する手法を確立し、従来困難であった巨視的スケールでの炭酸カルシウム結晶の配列ならびに配向制御の方法を提供しようとするものであり、貝殻由来の炭酸カルシウムの有する脱臭効果や抗菌効果を積極的に引き出し、活用しようとするものではなかった。
(1)特開2007-63062号公報 (2)特開2016-175792号公報
(1)矢吹 稔、「キチン・キトサンのはなし」、技報堂出版株式会社、1992年10月、p.17-21 (2)長澤 寛道、「バイオミネラリゼーションの科学」、化学と生物、2004年、第42巻、第5号、p.340-345 (3)遠藤 一佳、更科 功、「生体鉱物に含まれる有機基質タンパク質の構造と機能」、地質ニュース、2007年、632号、p.41-45 (4)I.Sarashina、K.Endo、「The complete primary structure of molluscan shell protein 1 (MSP-1), an acidic glycoprotein in the shell matrix of the scallop Patinopecten yessoensis」、Marine Biotechnology、2001年、第3巻、p.362-369 (5)M.Suzuki、他6名、「An acidic matrix protein, Pif, is a key macromolecule for nacre formation」、Science、2009年、第325巻、p.1388-1390
(問題意識)
これまでに提案され、実用化されてきている貝殻、特にホタテ貝殻は、ホタテ貝養殖産業の一大産地である青森県において大量廃棄物として長い間に亘って問題視され続けてきており、例えば、御当地での有効利用として凍結防止剤への応用なども実施されてきてはいたものの、ホタテ貝殻から凍結防止剤を製造するには、洗浄、粉砕、焼成などの経費のかさむ工程を経なければならず、一般的な塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどの凍結防止剤に比較して価格差で約8倍にも達してしまうことなどから普及には至らず終いであり、ホタテ貝殻の御当地に適った、より低コストの活用手段が求め続けられてきている現状にあり、長らく青森県に在住するものとして、その問題に大いに関心を抱いてきた。
(発明の目的)
しかしながら、これまでに提案されている、例えば上記したような従来技術では、炭酸カルシウム結晶を貝殻が有する天然の結晶に十分に近づけることができないため、それら製造方法による、これまでに知られた炭酸カルシウム結晶を用いた材料では、天然の貝殻を用いた素材固有の機能、特に脱臭効果や抗菌効果を積極的に引き出すまでには至っていない。
この発明では、天然の貝殻の結晶に、より近い炭酸カルシウム結晶の製造を実現化できる、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法、および、その製造過程で得られる中間生成物を提供することを目的とし、その固有の機能である脱臭効果や抗菌効果の有効活用を図るようにし、地方の主要産業である農業への活用を果たすことができるようにして、大量廃棄物である貝殻、特に青森にあってはホタテ貝殻の有効利用を促進しようとするものである。
以下に示している幾つかの実施例からも明確に理解されるように、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、カルボキシル基(-COOH)をもつ有機酸溶液に貝殻を浸漬し、飽和溶解液および該貝殻の有機基質を抽出する抽出工程と、前記抽出工程で抽出された当該有機基質に炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する添加工程と、前記添加工程で水溶液の添加された有機基質を加熱処理し、該水溶液を蒸発させる蒸発工程とが含まれている構成を要旨とする貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法となる。
この発明の基本をなす貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法を、より具体的に示すと、1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ有機酸溶液の所定容量に対して貝殻の所定重量を浸漬して飽和溶解液および該貝殻の有機基質を抽出する抽出工程と、前記抽出工程で抽出された当該有機基質に、炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する添加工程と、前記添加工程で水溶液の添加された有機基質を加熱処理し、該水溶液を蒸発させる蒸発工程とが含まれている構成からなる貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法となる。
この発明の基本をなす貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法を、さらに具体的には、1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ有機酸溶液の所定容量に対して貝殻の所定重量を浸漬し、中和反応が飽和するのを炭酸ガスの気泡発生がなくなることにより判断し、中和反応が飽和したと判断した後に飽和溶解液および有機基質と1回目の抽出を終えた貝殻とを分離し、1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ新たな有機酸溶液の所定容量に対して該1回目の抽出を終えた貝殻の所定重量を浸漬し、中和反応が飽和するのを炭酸ガスの気泡発生がなくなることにより判断し、中和反応が飽和したと判断した後に飽和溶解液および有機基質と2回目の抽出を終えた貝殻とを分離するという工程を複数回に渡って繰り返し、1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ新たな有機酸溶液と貝殻との中和反応が、弱まったか、または、無くなったかの何れか一方と判断するまで複数回に渡って貝殻の有機基質を抽出する抽出工程と、前記抽出工程で複数回に渡って抽出された当該有機基質に、炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する添加工程と、前記添加工程で水溶液の添加された有機基質を加熱処理し、該水溶液を蒸発させる蒸発工程とが含まれている構成からなる貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法と言うことができる。
以上のとおり、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、自然界に多く存在するカルサイトに酷似する人工貝殻を得ることができ、これによって貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を含む材料が有する機能を、天然の貝殻を用いた材料の機能に格段に近づけることができるから、様々な用途への応用、利用が期待されるものとなり、しかも天然の貝殻の粉砕や焼成などのような従前まで必要とされてきた経費の嵩む工程を一切不要とし、より高率的かつ低コストにて生産可能となり、格段に市場競争力に優れた炭酸カルシウム結晶を提供することができ、しかも、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法の実施過程に生成される中間生成物は、その飽和溶解液または有機基質の少なくとも何れか一方が、天然の貝殻由来の秀でた脱臭効果および抗菌効果を発揮するものとなり、天然の貝殻由来故の安全性を備えており、消臭や殺菌、制菌などの多彩な分野への利用が予想されるという格別の効果を発揮することになる。
加えて、抽出対象となる貝殻に対し、所定濃度のカルボキシル基をもつ有機酸溶液を、炭酸ガスの発生が収まる毎に入れ替え、それら貝殻が完全に溶解するまで繰り返されるようにした抽出工程とすることにより、貝殻からより効率的に有機基質を抽出することができ、さらに、カルボキシル基をもつ有機酸溶液の容量と貝殻の重量との割合が、溶解容積比(溶解槽の実容積と貝殻の重量との比率)で0.25kg/Lとなるようにした、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法によれば、有機酸溶液と貝殻との中和反応の進行をより効率的なものとし、しかも急速な中和反応の発生と、それに伴う炭酸ガスの気泡の大量発生を抑制、制御して緩やかなものとし、より安全且つ経済的に貝殻由来の炭酸カルシウム結晶および、その製造方法における中間生成物を生産することができる。
そして、抽出工程の全てを常温下で行い、カルボキシル基をもつ有機酸溶液の所定容量に対して貝殻の所定重量を浸漬し、中和反応が飽和するのを炭酸ガスの気泡発生がなくなることにより判断し、中和反応が飽和したと判断した後に飽和溶解液および有機基質と貝殻とを分離する工程を1週間単位で4回繰り返し、合計1箇月間に渡って貝殻の有機基質を抽出するようにした、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法によると、抽出工程の全体の時間および工数をより正確に管理し、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶および、その製造方法における中間生成物を、より安定して生産し、計画的に提供できるという効果を奏する。
添加工程にて、当該有機基質に界面活性剤を添加する工程と、前記工程で界面活性剤が添加された有機基質を擂り潰す工程と、前記工程で擂り潰された有機基質に炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する工程とを含むものとした、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法によれば、例えば、陰イオン性界面活性剤が添加された有機基質をすり鉢にて擂り潰すことにより、ゼリー状の有機基質を取得することができ、添加工程に続く蒸発工程にて、より取り扱い易くなり、しかも有機基質のタンパク質が球状から糸状に変化し、界面活性剤を添加しない場合とは異なる結晶構造の炭酸カルシウム結晶が得られるから、より幅広い分野への利用が期待されるものとなる。
さらに、添加工程にて、炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を、人工海水によるものとした、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法は、この発明の中間生成物の一つである有機基質(タンパク質)に人工海水を添加し、同有機基質(タンパク質)の生化学反応を利用して生成した人工貝殻は、自然界に多く存在するカルサイトに酷似する人工貝殻を得ることができ、これによって貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を含む材料が有する機能を、天然の貝殻それ自体、または、天然の貝殻を機械的、熱的に加工するなどした従来型の材料の機能に格段に近づけることができ、この発明によって製造された貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の応用、利用範囲をさらに広げることができると予想される。
抽出工程にて、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬された貝殻表面にブラシを掛け、同表面の被膜を除去する工程を含むものとした、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法によれば、カルボキシル基をもつ有機酸溶液への浸漬により、軟化された貝殻の表面の被膜を、貝殻の表面にブラシを掛けることによって除去するようにしたから、カルボキシル基をもつ有機酸溶液と貝殻との中和反応をより促進することができ、抽出工程をさらに短時間にて処理可能とし、格段に効率的に貝殻の飽和溶解液および有機基質を抽出し、この発明の中間生成物、および、この発明によって製造される貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の生産性を大幅に向上することができる。
抽出工程にて、カルボキシル基をもつ有機酸溶液が、果実の搾り滓から生成されたカルボキシル基をもつ有機酸溶液、または、酒粕から生成されたカルボキシル基をもつ有機酸溶液の少なくとも何れか一方とされた、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法によれば、従前まで有効利用されずに産業廃棄物として処理されていた食品残渣を有効利用し、さらに低コストに貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法を実施可能なものとなる。
この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法の製造過程で生成された中間生成物であって、アスパラギン酸が主成分であるタンパク質を含む貝殻の有機基質を含む中間生成物は、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法によって自然界に多く存在するカルサイトに酷似する人工貝殻を得ることができるから、天然の貝殻を用いた材料の機能に格段に近づけることができるから、様々な用途への応用、利用が期待されるものとなる。
また、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法の製造過程で生成された中間生成物であって、カルシウムイオンを多く含む弱酸性の飽和溶解液を含む中間生成物は、その原液が弱酸性を有するので、その化学的反応によって殺菌、抗菌、消臭などの様々な作用を発揮するものとまり、多方面での応用、利用ができるものである。
以下、この発明の、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法に関する各実施形態について図1ないし図5を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法は、抽出工程と、添加工程と、蒸発工程とを含む。
抽出工程は、貝殻を、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬することにより当該貝殻の有機基質を抽出する工程である。この例では、貝殻は、帆立貝の貝殻である。なお、貝殻は、帆立貝と異なる貝(例えば、牡蠣、又は、アコヤ貝等)の貝殻であってもよい。そして、抽出工程を経て得られた飽和溶解液または有機基質の少なくとも何れか一方が、この発明の中間生成物となる。
そして、抽出工程は、抽出対象となる貝殻に対し、所定濃度のカルボキシル基をもつ有機酸溶液を、炭酸ガスの発生が収まる毎に入れ替え、それら貝殻が完全に溶解するまで繰り返されるようにすることが可能であり、より具体的には、後述する実施例にも示しているように、1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ有機酸溶液の所定容量に対して貝殻の所定重量を浸漬し、中和反応が飽和するのを炭酸ガスの気泡発生がなくなることにより判断し、中和反応が飽和したと判断した後に飽和溶解液および有機基質と1回目の抽出を終えた貝殻とを分離し、1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ新たな有機酸溶液の所定容量に対して該1回目の抽出を終えた貝殻の所定重量を浸漬し、中和反応が飽和するのを炭酸ガスの気泡発生がなくなることにより判断し、中和反応が飽和したと判断した後に飽和溶解液および有機基質と2回目の抽出を終えた貝殻とを分離するという工程を複数回に渡って繰り返し、1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ新たな有機酸溶液と貝殻との中和反応が、弱まったか、または、無くなったかの何れか一方と判断するまで複数回に渡って貝殻の有機基質を抽出するようにしたものとすることができる。
さらに、カルボキシル基をもつ有機酸溶液と貝殻との中和反応を促進するために、例えば、容器に投入されたカルボキシル基をもつ有機酸溶液に貝殻を浸漬する抽出工程中に、該容器自体か、または、該容器に設けられたスクリューかの少なくとも何れか一方を連続的または間欠的に一方向の回転、または、交互反転回転の少なくとも何れか一方によって撹拌したり、振動を加えたりすることが可能であり、より具体的には、超音波や可聴音波、例えば、低周波超音波、高周波超音波、低周波可聴音波、高周波可聴音波などの少なくとも何れか一つを加振したりすることができる。
また、抽出工程は、効率的且つ高品質の飽和溶解液および有機基質を得ようとすると、カルボキシル基をもつ有機酸溶液の容量と貝殻の重量との割合が、溶解容積比(溶解槽の実容積と貝殻の重量との比率)で0.25kg/Lとなるようにするのが望ましく、0.25kg/Lの割合よりも、貝殻の重量を増加したり、有機酸溶液の容量を減らしたりすると、上位に配された貝殻が有機酸溶液に完全に没しない状態となってしまい効率的な抽出ができなくなる虞があり、また、0.25kg/Lの割合よりも、貝殻の重量を減らしたり、有機酸溶液の容量を増加したりした場合には、得られる飽和溶解液のカルシウムイオンの濃度が低くなってしまう虞があり、貝殻から抽出される飽和溶解液および有機基質の品質が悪化する虞がある。
抽出工程にて、カルボキシル基をもつ有機酸溶液の容量と貝殻の重量との割合を例えば、前述したように、溶解容積比(溶解槽の実容積と貝殻の重量との比率)で例えば0.25kg/Lとなるようにするのが良く、1回目の有機酸溶液が飽和状態となり、飽和溶解液および有機基質と貝殻とを分離した後、1回目の抽出を終えた貝殻は、抽出された成分量に応じた重量が減少しているから、厳密には、2回目に使用する新たな有機酸溶液の使用容量を例えば0.25kg/Lの比率となるよう減ずることとなり、このように厳密に抽出工程を実施することが可能である外、中和反応が無くなるまで、1回目の有機酸溶液と同じ容量の新たな有機酸溶液に、2回目の抽出以降の貝殻を浸漬し、例えば0.25kg/Lより僅かながら小さな溶解容積比で実施するようにすることができる。
また、抽出工程にて、有機酸溶液に貝殻を浸漬した後、有機酸溶液の中和反応が無くなり、該(有機酸溶液)飽和溶解液を貝殻から分離した後、該分離した貝殻を、新しい有機酸溶液に浸漬し、処理を進めた結果、有機酸溶液が飽和状態に至らないのに、貝殻の有効成分が尽きて中和反応が発生しなくなった場合には、その飽和状態に至っていない有機酸溶液から、有効成分の尽きた貝殻を分離し、該有効成分の尽きた貝殻から飽和状態に至らないまま分離された有機酸溶液を、飽和溶解液(この発明の中間生成物)と略同等のものとして利用することが可能である外、その飽和状態に至っていない有機酸溶液から、有効成分の尽きた貝殻を分離し、未だ飽和状態に至っていない該有機酸溶液に対し、新たな貝殻を浸漬し、該有機酸溶液が飽和状態となるまで処理するようにし、中和反応が無くなった該(有機酸溶液)飽和溶解液を貝殻から分離し、該分離した貝殻を、さらに新しい有機酸溶液に浸漬し、処理を進めるようにすることができる。
さらにまた、後述する実施例にも示しているように、抽出工程は、全て常温下で行い、カルボキシル基をもつ有機酸溶液の所定容量に対して貝殻の所定重量を浸漬し、中和反応が飽和するのを炭酸ガスの気泡発生がなくなることにより判断し、中和反応が飽和したと判断した後に飽和溶解液および有機基質と貝殻とを分離する工程を1週間単位で4回繰り返し、合計1箇月間に渡って貝殻の有機基質を抽出するようにすることが可能である。
加えて、抽出工程では、カルボキシル基をもつ有機酸溶液が、果実の搾り滓から生成されたカルボキシル基をもつ有機酸溶液、または、酒粕から生成されたカルボキシル基をもつ有機酸溶液の少なくとも何れか一方とされたものとすることができる。
添加工程は、抽出工程にて抽出された有機基質に、炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する工程である。この例では、水溶液は、人工海水である。
なお、水溶液は、人工海水と異なる水溶液(例えば、天然海水等)であってもよい。
蒸発工程は、添加工程にて水溶液が添加された有機基質を加熱することにより当該水溶液を蒸発させる工程である。例えば、蒸発工程は、自然乾燥、除湿乾燥、強制的な送風による乾燥、気圧減圧による乾燥、その他の乾燥条件によって実施することが可能である。
このようにして、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶が製造される。
以上、説明してきたように、第1実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法は、貝殻を、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬することにより、当該貝殻の中間生成物として抽出された有機基質および飽和溶解液を生成する抽出工程と、当該抽出された有機基質に、炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する添加工程と、当該水溶液が添加された有機基質を加熱することにより当該水溶液を蒸発させる蒸発工程とを含んでいる。
これによれば、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を製造することができ、表現を変えて示すならば、貝殻を弱酸で溶解、その中間生成物の一つである有機基質(タンパク質)に人工海水を添加し、同有機基質(タンパク質)の生化学反応を利用し、作出した人工貝殻であり、自然界に多く存在するカルサイトに酷似する人工貝殻を得ることができ、これによって貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を含む材料が有する機能を、天然の貝殻を用いた材料の機能に格段に近づけることができる。
第1実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法における、添加工程において添加される水溶液は、人工海水である。
貝は、海水を用いて貝殻を形成する。したがって、上記製造方法によれば、貝が貝殻を形成する方法に、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法を近づけることができる。これにより、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を貝殻が有する結晶に、より一層近づけることができる。
更に、第1実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法において、抽出工程は、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬された貝殻の表面にブラシをかけることにより、当該表面の被膜を除去する工程を含む。
これによれば、有機基質を高い純度にて抽出できる。これにより、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を貝殻が有する結晶に、より一層近づけることができる。
除去工程は、後述する実施例にも示すように、貝殻を、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬させてから、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬された貝殻の表面の被膜が軟化した頃に、貝殻の表面に同貝殻の表面が、白色化するまでブラシを掛ける工程であり、一度のブラシ掛けで一部の被膜しか除去できない場合には、再度、貝殻を、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬させ、当該貝殻の表面の残存する被膜が軟化した頃に、再度、ブラシ掛けを行い、貝殻の表面が、白色化するまでブラシ掛けするように行うことが可能である。
<第2実施形態>
第2実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法は、添加工程が、第1実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法と相違する。
第2実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法における添加工程は、抽出工程にて抽出された有機基質に界面活性剤を添加する工程と、当該界面活性剤が添加された有機基質を擂り潰す工程と、当該擂り潰された有機基質に、炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する工程とを含む。
この例では、水溶液は、人工海水である。なお、水溶液は、人工海水と異なる水溶液(例えば、天然海水等)であってもよい。
この例では、界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤である。この例では、界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(Sodium Dodecyl Sulfate;SDS)である。なお、界面活性剤は、該SDS以外の界面活性剤であってもよい。
第2実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法によれば、界面活性剤を用いない場合と異なる貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を製造できる。これにより、例えば、前記第1実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法と、第2実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法とを交互に実施して互いに異なる結晶を有する複数の層を含む材料を製造できる。
実施例1の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法を用いて製造された貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の一例を表わす図である。 実施例2の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法を用いて製造された貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の一例を表わす図である。 この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法における抽出工程によって取得された有機基質に含まれるタンパク質を構成するアミノ酸の組成を表わすグラフである。 この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法における抽出工程によって取得された飽和溶解液の成分を表わす表である。 この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法における抽出工程によって取得された飽和溶解液が有する抗菌効果について調べるために用いられた細菌を表わす表である。
実施例1においては、第1実施形態にも示したように、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に貝殻を浸漬し、飽和溶解液および該貝殻の有機基質を抽出する抽出工程と、前記抽出工程で抽出された当該有機基質に炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する添加工程と、前記添加工程で水溶液の添加された有機基質を加熱処理し、該水溶液を蒸発させる蒸発工程とが含まれている貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法を用いて、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を製造した。
先ず、水道水で洗浄した帆立貝(この例では、成貝)の貝殻を50枚用意した。
次いで、貝殻を、破砕することなく容器(この例では、容量が9Lである容器)に投入し、次ぎに、カルボキシル基をもつ有機酸溶液を用意した。この例では、カルボキシル基をもつ有機酸溶液は、工業用酢酸(この例では、純度が99%である酢酸)を水道水で希釈することにより、モル濃度が1mol/Lとなるように調整されたものである。
次いで、カルボキシル基をもつ有機酸溶液(この例では、容量が9Lの容器に対し、8Lまで溶液で満たし、残りの1L分の空間を、気泡を貯める空間とした。)を容器に注入することにより、貝殻を、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に対し、(この例では、容器の実容積(8L)と貝殻の重量(2Kg)の溶解容積比(R=2kg/8L=0.25kg/Lの条件で)浸漬させた。
貝殻を、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬させてから1日後、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬された貝殻の表面の被膜は、軟化していた。この時点にて、貝殻の表面にブラシを掛けることにより、当該表面の被膜を除去した。これにより、貝殻の表面は、白色化した。
また、貝殻がカルボキシル基をもつ有機酸溶液としての酢酸(工業用酢酸)溶液に浸漬させられた直後から大量の気泡が発生した。この気泡の主成分は、貝殻の主成分である炭酸カルシウム(CaCO)が酢酸と反応することによって溶解し、当該反応に伴って生成された炭酸イオン(CO 2-)がガス化した二酸化炭素(CO)であると推定される。
浸漬を経た飽和溶解液は、後述する有機基質以外の沈殿物が存在しておらず、透明であった。該飽和溶解液においては、貝殻の主成分である炭酸カルシウム(CaCO)から生成されたカルシウムイオン(Ca2+)が、2個の酢酸イオン(CHCOO)と配位結合することにより、キレート化した結果、化学的に安定な状態が維持されていると推定される。
貝殻を、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬させてから1週間後、気泡の発生が認められなくなった。この時点にて、酢酸と炭酸カルシウムとの中和反応が飽和したことが推定される。
この例では、貝殻を、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬させてから1週間が経過する毎に、容器内のカルボキシル基をもつ有機酸溶液(飽和溶解液)を、新しい前記と同量(この例では、容器の実容積(8L)と貝殻の重量(2Kg)の溶解容積比(R=2kg/8L=0.25kg/Lの条件で)のカルボキシル基をもつ新たな有機酸溶液に入れ替えた。
貝殻のカルボキシル基をもつ有機酸溶液への浸漬を開始してから約1箇月(約4週間)後、有機基質と飽和溶解液とを取得した。
有機基質は、キチンと、タンパク質と、色素とを含む複合体であると推定される。有機基質の乾物重(換言すると、乾燥重量)は、原料である貝殻の乾物重に対して0.5%ないし1%であった。
次いで、取得された有機基質を加工することなく、そのままの状態にて板ガラスに載置した。
そして、0.5mol/Lの塩化ナトリウム(NaCl)と、0.011mol/Lの塩化カリウム(KCl)とが溶解した人工海水に、最終濃度が0.01mol/Lの塩化カルシウム(CaCl2)と、0.008mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO3))となるように調整した炭酸カルシウム結晶化溶液を加え、板ガラスに載置された有機基質に添加した。
その後、有機基質に添加された人工海水を過飽和状態にするため、板ガラスを25℃ないし30℃の温度にて加熱することにより、人工海水を蒸発させた。
このようにして、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶が製造された。
製造された貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いて観察した。観察された貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の一例は、図1に表されるように二次元結晶であった。
製造された貝殻由来の炭酸カルシウム結晶は、方解石の結晶構造を示し、帆立貝の貝殻の主要部分を占める方解石層に類似することが判った。
実施例2においては、第2実施形態の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法を用いて、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を製造した。
実施例2の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法において、有機基質を取得するまでの工程は、実施例1と同様である。
まず、取得された有機基質に、陰イオン性界面活性剤(この例では、SDS)を添加した。SDSは、タンパク質を立体構造化する硫黄結合(S-S)を切除することにより、タンパク質を球状から糸状に変化させることが知られている。
その後、陰イオン性界面活性剤が添加された有機基質をすり鉢にて擂り潰すことにより、ゼリー状の有機基質を取得した。
そして、取得されたゼリー状の有機基質を板ガラスに塗布してから、0.5mol/Lの塩化ナトリウム(NaCl)と、0.011mol/Lの塩化カリウム(KCl)とが溶解した人工海水をに、最終濃度が0.01mol/Lの塩化カルシウム(CaCl2)と、0.008mol/Lの炭酸水素ナトリウム(NaHCO3))となるように調整した炭酸カルシウム結晶化溶液を加え、板ガラスに塗布された有機基質に添加した。
さらに、有機基質に添加された人工海水を過飽和状態にするため、板ガラスを25℃ないし30℃の温度にて加熱することにより、人工海水を蒸発させて、貝殻由来の炭酸カルシウム結晶が製造された。
製造された貝殻由来の炭酸カルシウム結晶を、SEMを用いて観察した。観察された貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の一例は、図2に表されるように三次元結晶であった。
製造された貝殻由来の炭酸カルシウム結晶は、方解石の結晶構造を示し、帆立貝の貝殻の主要部分を占める方解石層に類似することが判った。
<有機基質>
この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法における抽出工程にて取得された有機基質について説明を加える。
有機基質は、昆虫類の外骨格又はカニ殻の構造(例えば、非特許文献1(1)を参照)を参考にすると、キチン、タンパク質、および色素の複合体であると推定される。
ところで、キチンは、セルロースに類似する。このため、キチンが繊維束を形成し、その繊維束の周囲にタンパク質が付着していることが推定される。また、キチンは透明であることが知られている(例えば、非特許文献1(1)を参照)。一方、有機基質は、薄茶褐色を呈していることから、色素を含むことが推定される。
また、抽出工程にて取得された有機基質を加水分解し、有機基質に含まれるタンパク質を構成するアミノ酸の組成を調べた。
図3に表されるように、5%以上の組成比を有するアミノ酸は、約27%のアスパラギン酸(「Asp」と略記)と、約18%のセリン(「Ser」と略記)と、約16%のグリシン(「Gly」と略記)と、約9%のホスホセリン(「P-Ser」と略記)と、約9%のリシン(「Lyc」と略記)と、約5%のグルタミン酸(「Gly」と略記)と、である。5%以上の組成比を有するアミノ酸群の組成比の総和は、約84%である。
アスパラギン酸は、最も多い。また、ホスホセリンおよびセリンを併せたセリン類の組成比は、約27%である。アスパラギン酸およびセリン類を併せたアミノ酸群の組成比の総和は、約54%である。
アスパラギン酸は、2つのカルボキシル基(-COOH)を有する酸性アミノ酸の一種である。したがって、アスパラギン酸は、海水中で、カルシウムイオンをキレート化することが推定される。また、ホスホセリンおよびセリンのセリン類は、リン酸と結合する性質を有する。これにより、アスパラギン酸およびセリン類は、炭酸カルシウムの結晶化、又は、その再石灰化の機能を有することが推定される(例えば、以下の非特許文献1(2)および1(3)を参照)。
また、抽出工程にて取得された有機基質に含まれるタンパク質の1つのアミノ酸配列を調べた。
当該タンパク質は、43個のアミノ酸からなり、記号列「LDTDKDLEFHLDSLLNAAEDGGGGDAAGAEEAAPAADLSGGSK」により表される。アミノ酸毎の、記号列における記号および個数は、表1のように表される。
Figure 0007201519000001
当該タンパク質のアミノ酸配列は、有機基質をトリプシン消化処理(例えば、以下の非特許文献1(4)および1(5)を参照。)した後、低速の液体クロマトグラムを用いることによって同定された。
当該タンパク質は、7個のアスパラギン酸と、4個のグルタミン酸と、3個のセリンとを含む。これらの14個のアミノ酸は、43個のアミノ酸の約1/3の数である。
したがって、当該タンパク質は、「生物鉱化」と呼ばれる現象に寄与するタンパク質であることが推定される。
<飽和溶解液>
この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法における抽出工程にて取得された飽和溶解液について説明を加える。
先ず、抽出工程にて取得された飽和溶解液の成分を調べた。飽和溶解液の成分は、図4のように表される。
図4においては、飽和溶解液の成分に加えて、比較対象として、帆立貝の貝殻を、粒径が数mmとなるように破砕した粒状体の成分と、帆立貝の貝殻を、粒径が0.1mm以下となるように破砕し、1000℃にて焼成することによって粉末化した焼成粉末の成分とも表される。
粒状体は、貝殻そのものである。したがって、粒状体の主成分は、炭酸カルシウム(CaCO)である。このため、粒状体の成分において、39%のカルシウムと12%の全炭素とが、約1/2に相当する51%を占める。
焼成粉末は、加熱されることにより、炭素が燃焼するため、主成分が酸化カルシウム(CaO)である。このため、焼成粉末の成分において、カルシウムが53%を占めている。また、焼成粉末は、pHが12.7であり、強アルカリ性を有する。
飽和溶解液は、酢酸と炭酸カルシウムとが反応したことにより、飽和状態に近いことが推定される。このため、飽和溶解液の成分において、カルシウムの濃度(15000mg/L)と、全炭素の濃度(21000 mg/L)とが著しく高く、互いに近い値を有する。
なお、粒状体、焼成粉末、および飽和溶解液の何れにおいても、人体に有害であるカドミウム(Cd)、鉛(Pb)、砒素(As)、および水銀(Hg)は、検出されず、環境基準値以下であった。
次に、飽和溶解液が有する脱臭効果について調べた。脱臭の対象である悪臭物質として、アルカリ性、中性、および酸性の悪臭ガスを夫々代表するアンモニアガス(NH)、メチルメルカプタン(CHSH)、および硫化水素(HS)を用いた。
なお、メチルメルカプタンは、他の悪臭ガスに比較して水に溶け難い。また、飽和溶解液は、pHが5.5である。脱臭効果に対するpHの影響を抑制するため、飽和溶解液は、pHが7.0となるように調整された。飽和溶解液のpHの調整は、強アルカリ性を有する、帆立貝の焼成粉末を添加することによって行われた。
pHが7.0となるように調整された飽和溶解液の、3種の悪臭ガスに対する脱臭効果は、表2ないし表4のように表される。表2ないし表4は、アンモニアガス、メチルメルカプタン、および硫化水素の濃度の、経過時間に対する変化を夫々表わす。
Figure 0007201519000002
Figure 0007201519000003
Figure 0007201519000004
飽和溶解液の原液は、アンモニアガスに対して顕著な脱臭効果を有する。飽和溶解液を10倍に希釈した液(10倍希釈液)は、対照試料である水(「対照(水)」と表記)と同様に、アンモニアガスにのみ脱臭効果を有する。水は、アンモニアガスを溶解することにより脱臭することが知られている。このため、10倍希釈液は、水に対して顕著な脱臭効果を有しないと判断されても良い。
飽和溶解液の原液は、図4に表されるように、カルシウムイオン(Ca2+)を多く含んでいる。したがって、カルシウムイオン(Ca2+)がアンモニアガス(NH)と配位結合することによりアンミン錯イオン([Ca(NH2+)が生成される。これにより、1molのカルシウムイオンに対して、8mol、即ち、8倍のアンモニアガスが結合される。このため、飽和溶解液の原液がアンモニアガスに対して顕著な脱臭効果を示すことが推定される。
なお、抽出工程にて取得された飽和溶解液を、pHの調整を行うことなく用いた場合、飽和溶解液は、pHが5.5であり、弱酸性を有するので、アンモニアガスに対する脱臭効果がより一層向上することが推定される。
また、この飽和溶解液が、メチルメルカプタンおよび硫化水素に対して脱臭効果を示さなかった理由は、メチルメルカプタンが難溶解性のガスであるため、硫化水素がカルシウムイオンと配位結合しないためと夫々推定される。
次に、飽和溶解液が有する抗菌効果について調べた。図5に表されるように、抗菌の対象である細菌として、大腸菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌 O157、リステリア属菌、および、芽胞菌を用いた。大腸菌は、食品全般において増殖することがある。
腸炎ビブリオは、魚介類において増殖することがある。腸管出血性大腸菌 O157は、肉類において増殖することがある。リステリア属菌は、低温(例えば、4℃)にて、食肉、乳製品、および、野菜において増殖することがある。芽胞菌は、高温(例えば、100℃)に対する耐性を有する。
抗菌効果を高めるため、飽和溶解液は、pHが12.0となるように調整された。飽和溶解液のpHの調整は、強アルカリ性を有する、帆立貝の焼成粉末を添加することにより行われた。また、飽和溶解液を10倍に希釈した液(10倍希釈液)は、pHが11.0であった。飽和溶解液の、5種の細菌に対する抗菌効果は、表5のように表される。対照試料(「対照」と表記)は、生理食塩水である。
Figure 0007201519000005
飽和溶解液の原液は、1時間後、芽胞菌を除いて、細菌の数である菌数を顕著に減少させ、顕著な抗菌効果を有する。10倍希釈液も、大腸菌および腸炎ビブリオに対して顕著な抗菌効果を有する。飽和溶解液の原液が顕著な抗菌効果を有する理由は、pHが12であり、強アルカリ性を有することに加え、カルシウムイオン(Ca2+)の濃度が高いためであると推定される。
カルシウムイオンは、細胞内の神経伝達に関与することが知られている。細胞の内外でカルシウムイオンの濃度の差が過大である場合、浸透圧の差等によってカルシウムイオンが細胞内に過剰に浸入し、細胞の神経伝達を麻痺させる可能性がある。飽和溶解液の原液に比較して、10倍希釈液は、カルシウムイオンの濃度が低いため、腸管出血性大腸菌 O157、および、リステリア属菌に対する抗菌効果が低下したと推定される。
芽胞菌は、苛酷な条件において高い耐久性を有する細胞膜を形成することが知られている。このため、飽和溶解液の芽胞菌に対する抗菌効果は、他の細菌に比較して低下したと推定される。
<変形例>
実施例1および実施例2において、カルボキシル基をもつ有機酸溶液は、工業用酢酸を用いて生成された。
ところで、例えば、食品残渣から抽出された有機酸を用いてカルボキシル基をもつ有機酸溶液を生成することは、資源循環の観点から望ましいと言える。また、カルボキシル基をもつ有機酸溶液を生成するコストを抑制することも期待される。
そこで、食品、および、食品残渣から抽出される有機酸を調べた。
例えば、青森県内で製造されたリンゴ酢および酒粕には、表6および表7に表されるように、有機酸が含まれる。
Figure 0007201519000006
Figure 0007201519000007
表6に表されるように、100mLのリンゴ酢には、4.96gの酢酸と、0.19gのリンゴ酸とが含まれていた。
表7に表されるように、100gの酒粕には、0.03gのクエン酸と、0.03gのリンゴ酸と、0.02gの酢酸と、0.03gのコハク酸とが含まれていた。酒粕には、多種類の有機酸が含まれることが分かった。
例えば、リンゴ酢の主原料である、リンゴの搾り滓からカルボキシル基をもつ有機酸溶液を生成し、生成したカルボキシル基をもつ有機酸溶液を抽出工程において用いてもよい。また、酒粕からカルボキシル基をもつ有機酸溶液を生成し、生成したカルボキシル基をもつ有機酸溶液を抽出工程において用いてもよい。
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されない。
例えば、上述した実施形態に、この発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられて良く、また、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法を用いて製造された貝殻由来の炭酸カルシウム結晶は、人工貝殻の製造等の工業において用いられても良いし、接骨等の医療において用いられても良い。
(結 び)
叙述の如く、この発明の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造作業も容易で、従前までの貝殻由来の炭酸カルシウム製造の技術に比較して大型の粉砕機や焼成炉などを一切必要としないから、大幅にその生産性を高め、天然の貝殻由来の炭酸カルシウムと、同等の科学的物性を有する炭酸カルシウム結晶をより効率的に生産し、低廉化して遥かに経済的に提供できることとなり、ホタテ貝の生産地など、産業廃棄物となって大量に野積みされた貝殻を経済的に処理する方法を模索する漁協や地方公共団体はもとより、同様の問題を抱える食品加工業界や養殖業界においても高く評価され、様々な技術分野において広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。


Claims (10)

  1. カルボキシル基をもつ有機酸溶液に貝殻を浸漬し、飽和溶解液および該貝殻の有機基質を抽出する抽出工程と、前記抽出工程で抽出された当該有機基質に炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する添加工程と、前記添加工程で水溶液の添加された有機基質の該水溶液を蒸発させる蒸発工程とが含まれていることを特徴とする貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法。
  2. 1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ有機酸溶液の所定容量に対して貝殻の所定重量を浸漬して飽和溶解液および該貝殻の有機基質を抽出する抽出工程と、前記抽出工程で抽出された当該有機基質に、炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する添加工程と、前記添加工程で水溶液の添加された有機基質を加熱処理し、該水溶液を蒸発させる蒸発工程とが含まれていることを特徴とする貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法。
  3. 1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ有機酸溶液の所定容量に対して貝殻の所定重量を浸漬し、中和反応が飽和するのを炭酸ガスの気泡発生がなくなることにより判断し、中和反応が飽和したと判断した後に飽和溶解液および有機基質と1回目の抽出を終えた貝殻とを分離し、1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ新たな有機酸溶液の所定容量に対して該1回目の抽出を終えた貝殻の所定重量を浸漬し、中和反応が飽和するのを炭酸ガスの気泡発生がなくなることにより判断し、中和反応が飽和したと判断した後に飽和溶解液および有機基質と2回目の抽出を終えた貝殻とを分離するという工程を複数回に渡って繰り返し、1M濃度(1モル/L)としたカルボキシル基をもつ新たな有機酸溶液と貝殻との中和反応が、弱まったか、または、無くなったかの何れか一方と判断するまで複数回に渡って貝殻の有機基質を抽出する抽出工程と、前記抽出工程で複数回に渡って抽出された当該有機基質に、炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する添加工程と、前記添加工程で水溶液の添加された有機基質を加熱処理し、該水溶液を蒸発させる蒸発工程とが含まれていることを特徴とする貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法。
  4. 抽出工程は、抽出対象となる貝殻に対し、所定濃度のカルボキシル基をもつ有機酸溶液を、炭酸ガスの発生が収まる毎に入れ替え、それら貝殻が完全に溶解するまで繰り返されるようにした、請求項1または2何れか一記載の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法。
  5. 抽出工程は、カルボキシル基をもつ有機酸溶液の容量と貝殻の重量との割合が、溶解容積比(溶解槽の実容積と貝殻の重量との比率)で0.25kg/Lとなるようにした、請求項1ないし4何れか一記載の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法。
  6. 抽出工程は、全て常温下で行い、カルボキシル基をもつ有機酸溶液の所定容量に対して貝殻の所定重量を浸漬し、中和反応が飽和するのを炭酸ガスの気泡発生がなくなることにより判断し、中和反応が飽和したと判断した後に飽和溶解液および有機基質と貝殻とを分離する工程を1週間単位で4回繰り返し、合計1箇月間に渡って貝殻の有機基質を抽出するようにした、請求項5を選択した請求項3記載の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法。
  7. 抽出工程にて、カルボキシル基をもつ有機酸溶液が、果実の搾り滓から生成されたカルボキシル基をもつ有機酸溶液、または、酒粕から生成されたカルボキシル基をもつ有機酸溶液の少なくとも何れか一方とされた、請求項1ないし6何れか一記載の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法。
  8. 抽出工程は、カルボキシル基をもつ有機酸溶液に浸漬され、表面の被膜が軟化した貝殻の表面にブラシを掛け、同貝殻の表面の被膜を除去する工程を含むものとした、請求項1ないし7何れか一記載の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法。
  9. 添加工程が、当該有機基質に界面活性剤を添加する工程と、前記工程で界面活性剤が添加された有機基質を擂り潰す工程と、前記工程で擂り潰された有機基質に炭酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液を添加する工程とを含むものとした、請求項1ないし7何れか一記載の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法。
  10. 添加工程にて、酸イオンおよびカルシウムイオンを含む水溶液は、人工海水によるものとした、請求項1ないし8何れか一記載の貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法。
JP2019079553A 2019-04-18 2019-04-18 貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法 Active JP7201519B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019079553A JP7201519B2 (ja) 2019-04-18 2019-04-18 貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法
JP2022138039A JP2022173221A (ja) 2019-04-18 2022-08-31 貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造から得られる中間生成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019079553A JP7201519B2 (ja) 2019-04-18 2019-04-18 貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022138039A Division JP2022173221A (ja) 2019-04-18 2022-08-31 貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造から得られる中間生成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020176033A JP2020176033A (ja) 2020-10-29
JP7201519B2 true JP7201519B2 (ja) 2023-01-10

Family

ID=72936602

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019079553A Active JP7201519B2 (ja) 2019-04-18 2019-04-18 貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法
JP2022138039A Pending JP2022173221A (ja) 2019-04-18 2022-08-31 貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造から得られる中間生成物

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022138039A Pending JP2022173221A (ja) 2019-04-18 2022-08-31 貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造から得られる中間生成物

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP7201519B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006225314A (ja) 2005-02-17 2006-08-31 Univ Kansai カニ殻由来のカルシウム塩結晶抑制物質
JP2007215526A (ja) 2006-02-13 2007-08-30 Kazuyuki Aso 貝殻カルシウムの崩壊性造粒物の製造方法。
JP2016079097A (ja) 2014-10-09 2016-05-16 株式会社 ダイ・リッシェル カルシウムイオン錯体化液、それによる脱臭用原液および同抗菌用原液、ならびにそれらを利用した脱臭方法および同抗菌方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3397546B2 (ja) * 1995-11-02 2003-04-14 株式会社東芝 廃棄貝の処理方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006225314A (ja) 2005-02-17 2006-08-31 Univ Kansai カニ殻由来のカルシウム塩結晶抑制物質
JP2007215526A (ja) 2006-02-13 2007-08-30 Kazuyuki Aso 貝殻カルシウムの崩壊性造粒物の製造方法。
JP2016079097A (ja) 2014-10-09 2016-05-16 株式会社 ダイ・リッシェル カルシウムイオン錯体化液、それによる脱臭用原液および同抗菌用原液、ならびにそれらを利用した脱臭方法および同抗菌方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020176033A (ja) 2020-10-29
JP2022173221A (ja) 2022-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Rajasulochana et al. Biosynthesis and characterization of gold nanoparticles using the alga Kappaphycus alvarezii
Weiss et al. The distribution of chitin in larval shells of the bivalve mollusk Mytilus galloprovincialis
CN108083691A (zh) 一种贝壳粉涂料的制备工艺
KR20170085353A (ko) 꼬막 패각 소성 분말을 이용한 천연 비료 조성물 및 그 제조방법
JP5794604B2 (ja) 生物由来の石灰質物質からのタンパク質の除去方法
JP7201519B2 (ja) 貝殻由来の炭酸カルシウム結晶の製造方法
JP3327542B2 (ja) 水質改善剤及びその製造方法並びに該水質改善剤により処理された処理水
CN101658203A (zh) 凹凸棒柿子脱涩保鲜剂
WO1995029250A1 (fr) Procede de fabrication de matiere minerale inactivee, et matiere inactivee ainsi obtenue
JP2020138958A (ja) 水溶性ケイ素を含有する美容健康用組成物の製造方法および水溶性イオン化ケイ素の調整方法
CN101999708B (zh) 低卵膜含量乌贼卵鱼子酱制作方法
KR101112781B1 (ko) 김양식용 천연 활성 조성물
Rahman et al. Extracellular matrix protein in calcified endoskeleton: a potential additive for crystal growth and design
US6261604B1 (en) Soil amendment with insect control capabilities
KR20210067297A (ko) 미네랄 워터를 유효성분으로 포함하는 잔류농약 제거용 조성물 및 이의 제조방법
JP4482890B2 (ja) 食塩の製造方法
KR20140105163A (ko) 녹조제거조성물 및 녹조제거방법
KR102437895B1 (ko) 이온 칼슘 제조방법
JP2015054192A (ja) ホタテ液冷水製造法
KR102575619B1 (ko) 굴 패각 유래 수산화인회석의 제조방법 및 이로부터 제조된 수산화인회석
Murphy Adding value to waste from the aquaculture industry: the development of green processing technologies, characterization, and applications of waste blue mussel shells
Nguyen Investigation of enzymatic hydrolysis process to valorize waste mussel shells
Ehrlich et al. The Circle: Biomineralization-Demineralization-Remineralization in Nature
JPS5832805A (ja) 赤潮処理剤およびその製造方法
KR20200097906A (ko) 굴 껍데기를 재활용한 생활용품 제조용 비드의 생산 방법 연구

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190419

A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20190418

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190531

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220310

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220705

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220830

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7201519

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150