JP7201268B1 - 駐車場地盤可逆的補強方法、駐車場および円板状補強具 - Google Patents

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Abstract

【課題】駐車場の地盤を部分的に補強する技術であってその補強を可逆的に行い得るものを提供する。【解決手段】駐車場10の地盤面上において、複数の円板状補強具20が、車両に想定される左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、離散的に一列を成すように配列される。それら円板状補強具20は、左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなるように配列される。駐車場10に適合する車両として、左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡のそれぞれの中心線間距離に適合するトレッドを有する車両が想定される。一例においては、複数の円板状補強具20が、想定車両が左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿って走行する際、想定車両のいずれのタイヤもいずれの円板状補強具20にも接触しないという事象が発生しないように設定された配列パターンに従って並ぶ。【選択図】図1

Description

本発明は、駐車場の地盤を部分的に補強する技術に関し、特に、駐車場の地盤を可逆的に補強する技術に関するものである。
オーナによって所有される土地が売却される可能性があるかまたはその予定があるとき、その売却までの間、その土地は遊休地または空地となる。そこで、オーナは、その売却までの間、その土地を駐車場としてユーザに貸し出して賃料収入を得るために、その土地を利用して暫定的に駐車場を経営する場合がある。この場合、その駐車場経営は、土地オーナが個人で行う場合もあれば専門の運営業者に委託する場合もある。
駐車場経営の形態の種類の如何を問わず、土地オーナが、遊休地を更地(例えば、地面が土のままである未舗装の土地)のまま駐車場として利用することを希望し、砂利舗装、コンクリート舗装、アスファルト舗装などの整地を行ったうえで駐車場として利用することに消極的である場合がある。
この場合、その駐車場の原地盤が軟弱であるとかその地盤の水はけが不良であると、降雨、降雪などの悪天候中またはその後に、地盤表層に少なくとも局所的に水溜りができてその場所がぬかるむ(泥化する)という不都合が発生する可能性がある。
このように、駐車場にぬかるみが発生すると、その駐車場に車両が入場する際にもその駐車場から退場する際にも、車両のタイヤが地盤面に対してグリップ力を失い、タイヤがスリップしてやがて空転し、その結果、車両が駐車場内において立ち往生(車両が身動きできないこと)すなわちスタックしてしまう可能性がある。
ところで、駐車場の地盤面をスリップし難くする対策として、セメント系固化材、砕石や砂利を原地盤の土壌改良材(土壌補強材、土壌強化材)として地表に散布するという対策が存在する。
しかし、土地オーナは、駐車場を完全に更地として利用することに固執し、そのため、そのような対策を採用することについてすら消極的である場合もある。
一方、車両のスタックに関連する技術として、従来から、車両がスタックしてしまうことを防止ないしは予防する技術(例えば、特許文献1および2参照。)と、車両がスタックしたときにそのスタックから車両が脱出することを支援する技術(例えば、特許文献3および4参照。)とが存在する。
具体的には、特許文献1は、傾斜路でも車両がスリップすることを防止するために、駐車場スペースなどの地盤を良好なものとして確保するために軟弱地盤に一面に敷鉄板(連続体)を敷設する技術を開示している。
特許文献2は、車両のスリップを防止するために、軟弱地盤上にロードマットを敷設する技術を開示している。
特許文献3は、悪路上での走行中に車両がスタックしたときに、その車両のタイヤと路面との間にバンド(連続体)状の脱輪脱出具を挿入する技術を開示している。
特許文献4は、砂利道、泥道、ぬかるみ、雪道等の軟弱地盤において車両がスタックしたときに、その車両のタイヤと軟弱地盤の表面との間にバンド(連続体)状のタイヤ脱出具を挿入する技術を開示している。
それら特許文献1-4は、いずれも、車両のスタックを防止または解消するために、タイヤと接地面との間に、連続体を、車両の走行軌跡またはタイヤの走行軌跡に沿って介在させてタイヤのグリック力を回復させる技術を開示している。
特開2016-14260号公報 実用新案登録第3166375号公報 特開2000-16008号公報 特許第3016068号公報
本発明者は、前述のように、土地オーナが駐車場を更地として利用することを希望する場合に、その駐車場の原地盤が軟弱であっても、そのことが原因でその駐車場内において車両がスタックしてしまうことを防止することを可能にする対策について研究した。
その結果、本発明者は、駐車場の設営段階において、土壌改良剤に代えて簡単な道具を簡単な作業で駐車場の地盤表面に敷設することにより、駐車場の解体撤去段階において、簡単な作業でありながら駐車場の地盤を完全に現状回復できる(前記道具が使命を終えて撤去されたならば地盤においてその道具の補強効果が消滅する)ように、すなわち、駐車場の地盤を可逆的に補強することが重要であることに気が付いた。
このように、土地オーナーの立場および駐車場管理業者の立場からすると、ある土地が駐車場としての使用を終えるとその土地を使用前の状態に復元することが容易であることが要望される。
以上説明した事情を背景とし、本発明は、駐車場の地盤を部分的に補強する技術であってその補強を可逆的に行い得るものを提供することを課題としてなされたものである。
その課題を解決するために、本発明の第1の側面によれば、左タイヤおよび右タイヤを有する車両が駐車可能な駐車場の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強する方法であって、
複数の円板状補強具を準備する準備工程と、
それら準備された円板状補強具を前記駐車場の地盤の表面に、複数の敷設条件を満たすように敷設する敷設工程と
を含み、
前記複数の敷設条件は、
(a)前記複数の円板状補強具が、前記車両に想定される左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、離散的に一列を成すように配列される領域を含むように配列されるという条件と、
(b)前記複数の円板状補強具が、前記左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなるように配列される領域を含むように配列されるという条件と
(c)前記複数の円板状補強具が、前記車両が前記左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿って走行する際、前記車両のいずれのタイヤもいずれの円板状補強具にも接触しないという事象が発生しないように設定された配列パターンに従って並ぶという条件と
を含む駐車場地盤可逆的補強方法が提供される。
また、本発明のあるアスペクトによれば、左タイヤおよび右タイヤを有する車両が駐車可能な駐車場であって、
複数の円板状補強具が前記駐車場の地盤の表面に、
(a)前記車両に想定される左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、離散的に一列を成すという条件と、
(b)前記左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなるという条件と、
(c)前記車両が前記左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿って走行する際、前記車両のいずれのタイヤもいずれの円板状補強具にも接触しないという事象が発生しないように設定された配列パターンに従って並ぶという条件と
を満たすように敷設され、それにより、前記複数の円板状補強具によって表層部が部分的にかつ可逆的に補強された地盤を有する駐車場が提供される。
また、本発明の第2の側面によれば、駐車場内の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強するために前記地盤の表面に撤去可能に敷設される円板状補強具であって、
上面と下面とを有する円板部と、
その円板部を前記表層部に係留させるための係留具と
を含み、
前記係留具は、前記円板部の下面から軸方向に突出するが、前記円板部を軸方向に投影して得られるシルエットから半径方向外向きに突出しない形状を有し、
その係留具は、少なくとも下端面において開口する軸方向穴を有する円筒部を有し、その円筒部のうちの少なくとも下端部は、前記地盤の土壌内に食い込んで投錨効果を発揮する円板状補強具が提供される。
また、本発明の第3の側面によれば、駐車場の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強することによって前記駐車場内で車両がスタックすることを防止する方法であって、
複数の円板状補強具を準備する準備工程と、
それら準備された円板状補強具を前記駐車場の地盤の表面に、複数の敷設条件を満たすように敷設する敷設工程と
を含み、
前記複数の敷設条件は、
(a)前記複数の円板状補強具が、前記車両に想定される左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、離散的に一列を成すように配列されるという条件と、
(b)前記複数の円板状補強具が、前記左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなるように配列されるという条件と、
(c)前記複数の円板状補強具が、前記左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、前後方向に隙間なく並ぶか、または、円板状補強具の直径の約50%に匹敵する寸法、約30%以上約50%未満に匹敵する寸法もしくは約10%以上約30%未満に匹敵する寸法を有する隙間を隔てて並ぶという条件と
を含む駐車場内車両スタック防止方法が提供される。
また、本発明の第4の側面によれば、駐車場内の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強することによって前記駐車場内で車両がスタックすることを防止するために前記地盤の表面に敷設される円板状補強具であって、
上面と下面とを有する円板部と、
その円板部を前記表層部に係留させるための係留具と
を含み、
前記係留具は、前記円板部の下面から軸方向に突出するが、前記円板部を軸方向に投影して得られるシルエットから半径方向外向きに突出しない形状を有し、
その係留具のうち軸方向に延びる中心部は、前記地盤の土壌に対して食い込んで投錨効果を発揮する中空部材として構成される円板状補強具が提供される。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
(1) 駐車場の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強することによって前記駐車場内で車両がスタックすることを防止する方法であって、
複数の円板状補強具を準備する準備工程と、
それら準備された円板状補強具を前記駐車場の地盤の表面に、複数の敷設条件を満たすように敷設する敷設工程と
を含み、
前記複数の敷設条件は、
(a)前記複数の円板状補強具が、前記車両に想定される左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、離散的に一列を成すように配列されるという条件と、
(b)前記複数の円板状補強具が、前記左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなるように配列されるという条件と
を含む駐車場内車両スタック防止方法。
(2) 前記複数の敷設条件は、さらに、
(c)各円板状補強具が、それの概して平坦な上側部において露出する一方、それの下側部において前記地盤に係留させられるという条件と、
(d)各円板状補強具が、それに上向きの外力が作用すると、前記地盤から離脱可能であるという条件と
のうちの少なくとも一方を含む(1)項に記載の駐車場内車両スタック防止方法。
(3) 前記敷設工程は、前記複数の円板状補強具を前記駐車場の地盤の表面に、それら円板状補強具を真横から見た場合に、それら円板状補強具が互い違いに隙間なく並ぶか、または、隙間を隔てて並ぶように敷設する工程を含む(1)または(2)項に記載の駐車場内車両スタック防止方法。
(4) 駐車場内の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強することによって前記駐車場内で車両がスタックすることを防止するために前記地盤の表面に敷設される円板状補強具であって、
上面と下面とを有する円板部と、
その円板部を前記表層部に係留させるための係留具と
を含み、
前記係留具は、前記円板部の下面から軸方向に突出するが、前記円板部を軸方向に投影して得られるシルエットから半径方向外向きに突出しない形状を有する円板状補強具。
(5) 前記円板部は、軸方向に貫通する貫通穴を有しており、
前記係留具は、
前記貫通穴の内径と同径またはそれより小径の外径を有するとともに前記円板部の厚さ寸法より長い長さ寸法を有する円筒部と、
その円筒部の一端において半径方向外向きに張り出すフランジと
を含み、
前記円筒部が前記円板部の上面から前記貫通穴内に、前記フランジが前記円板部の上面に突き当たるまで挿入されることによって前記係留具が前記円板部に組み付けられ、それにより、前記円筒部のうちの先端部が前記円板部の下面から突出し、
前記円筒部のうち、その突出する部分が前記地盤内に進入し、それにより、前記円板状補強具が前記地盤に係留させられる(4)項に記載の円板状補強具。
(6) 前記円板部は、前記上面および下面と、外周面と、前記上面と前記外周面との間の上側円周縁と、前記下面と前記外周面との間の下側円周縁とを含み、
前記上側円周縁および下側円周縁は、いずれも、面取りされている(4)または(5)項に記載の円板状補強具。
(7) 前記円板部は、外周面を有し、その外周面は、半径方向外向きに凸となる曲面を成している(4)または(5)項に記載の円板状補強具。
(11) 駐車場の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強する方法であって、
複数の円板状補強具を準備する準備工程と、
それら準備された円板状補強具を前記駐車場の地盤の表面に、複数の敷設条件を満たすように敷設する敷設工程と
を含み、
前記複数の敷設条件は、
(a)前記複数の円板状補強具が、前記車両に想定される左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、離散的に一列を成すように配列される領域を含むように配列されるという条件と、
(b)前記複数の円板状補強具が、前記左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなるように領域を含むように配列されるという条件と
を含み、
前記駐車場に適合する車両として、前記左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡のそれぞれの中心線間距離に適合するトレッドを有する車両が想定される駐車場地盤可逆的補強方法。
(12) 前記複数の敷設条件は、さらに、
(c)前記複数の円板状補強具が、前記想定車両が前記左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿って走行する際、前記想定車両のいずれのタイヤもいずれの円板状補強具にも接触しないという事象が発生しないように設定された配列パターンに従って並ぶという条件を含む(11)項に記載の駐車場地盤可逆的補強方法。
(13) 前記配列パターンは、前記想定車両が前記駐車場において前記左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿って走行するにつれて前記想定車両の複数のタイヤが1個ずつまたは複数個ずつ順次いずれかの円板状補強具に接触する順序と、前記想定車両のホイールベースとに基づき、前記想定車両のいずれのタイヤもいずれの円板状補強具にも接触しないという事象が発生しないように設定される(12)項に記載の駐車場地盤可逆的補強方法。
(14) 前記複数の敷設条件は、さらに、
(d)各円板状補強具が、それの概して平坦な上側部において露出する一方、それの下側部において前記地盤に係留させられるという条件と、
(e)各円板状補強具が、それに上向きの外力が作用すると、前記地盤から離脱可能であるという条件と
のうちの少なくとも一方を含む(11)ないし(13)項のいずれかに記載の駐車場地盤可逆的補強方法。
(15) 前記敷設工程は、前記複数の円板状補強具を前記駐車場の地盤の表面に、それら円板状補強具を真横から見た場合に、それら円板状補強具が互い違いに隙間なく並ぶか、または、隙間を隔てて並ぶように敷設する工程を含む(11)ないし(14)項のいずれかに記載の駐車場地盤可逆的補強方法。
(16) 駐車場内の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強するために前記地盤の表面に撤去可能に敷設される円板状補強具であって、
上面と下面とを有する円板部と、
その円板部を前記表層部に係留させるための係留具と
を含み、
前記係留具は、前記円板部の下面から軸方向に突出するが、前記円板部を軸方向に投影して得られるシルエットから半径方向外向きに突出しない形状を有し、
その係留具は、少なくとも下端面において開口する軸方向穴を有する円筒部を有し、その円筒部のうちの少なくとも下端部は、前記地盤の土壌内に食い込んで投錨効果を発揮する円板状補強具。
図1は、本発明の例示的な一実施形態に従う駐車場内車両スタック防止方法(または駐車場地盤可逆的補強方法)が実施された例示的な駐車場を例示的な複数の円板状補強具と共に示す斜視図である。 図2は、図1における複数の円板状補強具のうちの一つを代表的に示す斜視図である。 図3(a)は、図2に示す円板状補強具を示す断面図であり、同図(b)は、図2に示す円板状補強具を、図1に示す駐車場の原地盤に部分的に埋設された使用状態で示す側面図である。 図4(a)は、図1に示す駐車場において、車両のタイヤがある瞬間に円板状補強具の中心近傍部に位置するためにその円板状補強具が傾斜しない様子を説明するための側面図であり、同図(b)は、そのタイヤがある瞬間に円板状補強具の外形線隣接部に位置するためにその円板状補強具が傾斜してしまう様子を説明するための側面図である。 図5(a)は、図1に示す複数の円板状補強具が駐車場の地盤面上に例示的な第1のパターンで配列される様子を説明するための平面図であり、同図(b)は、例示的な第2のパターンで配列される様子を説明するための平面図である。 図6は、図1に示す駐車場の例示的な設営工事および解体撤去工事を示す工程図である。 図7(a)は、本発明の例示的な別の実施形態に従う駐車場内車両スタック防止方法(または駐車場地盤可逆的補強方法)を実施するために用いられる円板状補強具のうちの係留具の別の中空構造を示す断面図であり、同図(b)は、さらに別の中空構造を示す断面図である。 図8(a)は、本発明の例示的なさらに別の実施形態に従う駐車場内車両スタック防止方法(または駐車場地盤可逆的補強方法)を実施するために用いられる複数の円板状補強具の別の配列パターンを示す平面図であり、同図(b)は、車両の4個のタイヤの位置関係を概念的に示す平面図である。 図9は、本発明の例示的なさらに別の実施形態に従う駐車場内車両スタック防止方法(または駐車場地盤可逆的補強方法)を実施するために用いられる複数の円板状補強具のさらに別の配列パターンを示す平面図である。
以下、本発明のさらに具体的で例示的ないくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
<概略説明>
図1には、本発明の一実施形態に従う駐車場内車両スタック防止方法(以下、「スタック防止方法」と略称する。)が実施された例示的な駐車場10が、例示的な複数の円板状補強具20と共に斜視図で示されている。このスタック防止方法は、本発明の一実施形態に従う駐車場地盤可逆的補強方法の一例である。
図1に示すように、駐車場10の地盤面上に複数本の境界ロープ12が張られ、それにより、駐車場10の地盤面上の敷地が複数の車室(スペースの例としての駐車スペース)14に仕切られている。
このスタック防止方法は、駐車場10の地盤の表層部(図3(b)参照)を部分的にかつ可逆的に補強して駐車場10内で車両がスタックすることを防止する方法である。ここに、「可逆的に」という字句は、円板状補強具20が補強前の地盤面上に敷設されれば、その地盤面が補強され、その後、円板状補強具20が地盤面から撤去回収されれば、その地盤面が、補強前の地盤面に復元するという意味を有する。
概略的には、このスタック防止方法は、複数の円板状補強具20を準備する準備工程と、それら準備された円板状補強具20を駐車場10の地盤の表面に敷設する敷設工程とを有する。
図1に示すように、このスタック防止方法が実施されると、複数の円板状補強具20が駐車場10の地盤面上に、各車室14ごとに、各車室14に幾何学的に適合する駐車車両すなわち適合駐車車両として想定される車両40(図4参照)に想定される左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、離散的に一列を成して配列されるように、敷設される。
ここに、「適合駐車車両」は、例えば、車両40のトレッド(すなわち、左右のタイヤ42,42(図4参照)の接地面中心間の距離)が車室14内の地盤面上に固定的に想定された左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡のそれぞれの中心線間距離に適合するという基準、車両40の全幅が車室14の幅寸法に適合するという観点、車両40の全長が車室14の奥行き寸法に適合するという基準などのうちの少なくとも1つを満たす種類または型式の車両40を意味する。
ここに、「離散的である」という用語は、「幾何学的に離散的である」ということを意味する用語として使用される場合と、「構造的に離散的である(構造的に連続体を構成していない)」ということを意味する用語として使用される場合とがある。
具体的には、「離散的である」という用語は、複数の円板状補強具20が平面視において隙間を隔てて配列される場合(図5(a)および(b)参照)のその配列を説明するために、「幾何学的に離散的である」ということを意味する用語として使用される。
また、「離散的である」という用語は、複数の円板状補強具20が相互に機械的に連結されていない(相互に分離可能である、相互に自由に変位可能である)ことに着目し、複数の円板状補強具20が平面視において隙間なしで配列される部分領域が存在する場合(図9参照)のその部分領域の配列を説明するためにも、この場合には「構造的に離散的である」ということを意味する用語として、使用される。
左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡のそれぞれの中心線間の距離は、注目される車室14に駐車されることが想定される種類(例えば、型式または型式群)の車両40(その車室14に適切に駐車されることが可能である種類の車両40)のトレッドに応じて設定される。車両40のトレッドは、例えば、軽自動車については、約1.25-約1.5mであり、また、小型自動車については、約1.5mであり、また、普通自動車については、約1.6-約1.7mである。
<駐車場10の説明>
1.駐車場10の立地条件
駐車場10は、屋外駐車場であり、降雨時、降雪時(雪解け時を含む)には、駐車場10の地盤が雨、雪の影響を受ける可能性がある。
2.駐車場10の地盤(土質)条件
駐車場10は、地面が土(小石混じり、砂混じりなど)のままである非舗装の駐車場である。この駐車場10の地盤は、舗装面より地盤より軟弱であり、水はけが悪い(透水性が低い)。よって、この駐車場10においては、雨天時、降雪時に、土壌が水分を含んで泥化したり、地盤表層に水溜りが発生する可能性がある。
3.駐車場10の運営条件
駐車場10は、オーナによって所有される土地が売却される可能性があるかまたはその予定があるとき、その売却までの間、ユーザに貸し出される駐車場である。これに代えて、駐車場10は、恒久的に駐車場として使用される運営されるものであってもよい。
図2には、複数の円板状補強具20のうちの一つが代表的に斜視図で示されている。
<円板状補強具20の説明>
1.部品構成
円板状補強具20は、円板部30と、その円板部30を駐車場10の地盤の表層部に係留させるための係留具32とを有する。
2.円板状補強具20の材料に関する特性
円板部30は、例えば、木製であり、それの上面60が平滑ではなく凹凸を有し、それにより、図4に示すように、円板部30の上面60に車両40のタイヤ42が接触すると、そのタイヤ42が円板部30上でグリップ力を平滑面より確保し易い。
これに対し、係留具32は、金属製または合成樹脂製である。係留具32が金属製または合成樹脂製である場合には、木製である場合より、係留具32の素材を、図2に例示するように軸線に沿って複数の断面を有するというようにやや複雑な目標形状(最終形状)に加工する作業の単純化が容易となる。ただし、係留具32は、木製であってもよい。
3.円板状補強具20の形状に関する特性
円板部30は、平面視において、概して円形、楕円形、長円などを成す外形線を有している。いずれにしても、円板部30は、外形線が、それの平面視において、急変部(例えば、角部)を有しないように、1本または複数本の曲線で定義されるものであればよい。すなわち、円板部30は、外形曲線性を有するのである。
ところで、円板状補強具20が駐車場10の地盤面上に敷設されて使用される場合には、図4(a)に示すように、タイヤ42が、ある瞬間に、円板状補強具20上にそれの中心近傍部に位置する可能性と、同図(b)に示すように、タイヤ42が、ある瞬間に、円板状補強具20上にそれの外形線隣接部(円板状補強具20の各側面のうち、その円板状補強具20の外形線に隣接する環状領域)に位置する可能性とがある。
タイヤ42が円板状補強具20の中心近傍部に位置する場合には、タイヤ42から円板状補強具20に偏荷重が実質的に作用せず、その結果、円板状補強具20にそれを傾斜させるモーメントが実質的に発生しない。この場合、同図(a)に示すように、円板状補強具20が水平姿勢に維持される。
これに対し、タイヤ42が円板状補強具20の外形線隣接部に位置する場合には、タイヤ42から円板状補強具20に偏荷重が作用し、その結果、円板状補強具20にそれを傾斜させる向きの偏荷重モーメントが発生する。その偏荷重モーメントが、円板状補強具20が地盤に係留する力に基づくカウンターモーメント(対抗モーメント)に打ち勝つと、同図(b)に示すように、円板状補強具20が地盤面に対して予定外に傾斜する傾斜姿勢に遷移する。
円板状補強具20の予定外の傾斜角が過大である(許容値より大きい)と、傾斜している円板状補強具20の円板部30の上端部が車両40のボディまたはシャシーの下面(外面、外板など)に局部的に接触してしまう可能性がある。そのため、そのときの接触力が過大である(許容値より大きい)と、車両40が円板部30によって損傷してしまう可能性がある。
このような事態を回避するために、本実施形態においては、円板部30が、前述のように、外形曲線性を有する。このおかげで、円板部30の縁部が車両40のボディまたはシャシーの下面に局部的に接触しても、当該縁部に、円板部30の面直視において、鋭利な部分が存在しないため、その部分が存在する場合(例えば、円板部30の外形線が、4つの角部を有する矩形を成す場合)に比べ、車両40の外面の損傷度が軽減される。
図3(a)に示すように、円板部30は、軸方向に貫通する貫通穴50を有している。一方、係留具32は、円筒部52と、その円筒部52の一端において半径方向外向きに張り出すフランジ54とを有する。円筒部52は、貫通穴50の内径と同径またはそれより小径の外径を有するとともに円板部30の厚さ寸法より長い長さ寸法を有する。円筒部52は、図2および図3(a)に示すように、貫通穴56を有する。
4.円板状補強具20のサイズに関する特性
一例においては、円板部30の直径が、普通乗用車用の車室14について、約300-約500mmである。円板部30の直径は、普通乗用車用の車室14と軽自動車用の車室14とで互いに異なるように設定してもよい。
別の例においては、円板部30が、図5に示すように、平面視において、各車室14に適合する駐車車両として想定される車両40に想定されるタイヤのトレッド幅より長い直径を有する。トレッド幅は、軽自動車については、例えば、約145-約175mmであり、また、普通乗用車については、例えば、約185-約235mmである。
別の例においては、円板部30が、図示しないが、平面視において、各車室14に適合する駐車車両として想定される車両40に想定されるタイヤのトレッド幅より短い直径を有する。このとき、円板部30の直径は、例えば、トレッド幅の約80%以上約100%未満の寸法、約60%以上約80%未満の寸法、約40%以上約60%未満の寸法、または約50%以上約100%未満の寸法を有する。
5.円板状補強具20の個別(単体)設置方法
図3(b)に側面図で示すように、各円板状補強具20は、単体では、駐車場10の原地盤(当初の地盤。工事に取り掛かる前の手を加えない自然の地盤)に部分的に埋設されるように設置され、その状態で使用される。
一例においては、同図(b)に示すように、各円板状補強具20が、円板部30の略下半分が駐車場10の地盤内に埋設される深さで地盤面に沿って設置される。
別の例においては、図示しないが、各円板状補強具20が、円板部30の上面60から露出しているフランジ54の上面のみが地盤面から露出する深さで地盤面に沿って設置される。
それら例においては、いずれも、少なくとも各円板状補強具20の円板部30の一部であって下面62を含むものと係留部32の全体とが地中に埋設され、それにより、各円板状補強具20が地盤に係留される。
それら例においては、いずれも、各円板状補強具20のうちの少なくとも一部(少なくともフランジ54の上面)が地盤面から露出する。その露出部は、車室14に想定されたタイヤ軌跡の目印として、車両40の運転者によって視認可能であるから、運転者は、運転中、車室14に想定されたタイヤ軌跡を想像しながらそれに沿って車両40を操舵することを支援される。
一例においては、同図(b)に示すように、各円板状補強具20の係留具32が、原地盤のうちの表層部の土壌内に埋設されるか、または、その表層部を貫通してそれより硬質の層内に進入するように、各円板状補強具20が地盤面上に敷設される。
6.円板状補強具20の係留力に関する特性
円筒部52は、中実部材に置換してもよいが、本実施形態におけるように、貫通穴56を軸方向穴として有する中空部材であれば、円筒部52の軽量化と、円板状補強具20の係留力向上とが同時に達成される。
その係留力向上という効果が得られる理由を説明するに、円板状補強具20が地盤面上に敷設される際に、図3(b)に例示するように、その円板状補強具20の円筒部52が地盤の土壌内に食い込んで投錨効果を発揮するが、そのとき、円筒部52が土壌と接触する面積(貫通穴56の内周面分の面積が追加される)が中実部材を用いる場合より増加し、それにより、円板状補強具20と土壌との間の粘着力が増加し、ひいては、円板状補強具20の投錨効果が増加するからである。
なお、ここに「投錨効果」という効果は、円板状補強具20が左右のタイヤ軌跡間で互い違いに配列される場合(すなわち、異位相で配列される場合)であるか、互い違いとなることなく同位相で配列される場合であるかを問わず、発揮される。
図2に示すように、係留具32は、円板部30の下面62から軸方向に突出するが、円板部30を軸方向に投影して得られるシルエットから半径方向外向きに突出しない形状を有する。一例においては、係留具32は、円板部30の外径より小さい外径を有する。
図3(a)に示すように、円板部30は、上面60および下面62と、外周面70と、上面60と外周面70との間の上側円周縁72と、下面62と外周面70との間の下側円周縁74とを有する。本実施形態においては、上側円周縁72および下側円周縁74が、いずれも、面取り(R面取りまたはC面取り)されている。
上側円周縁72が面取りされていない場合には、円板部30が傾斜したときに、上側円周縁72は、それの断面視(側面視)において急変部(例えば、鋭利な角部、直角の角部)となる部分で局部的に車両40の外板に接触する可能性がある。
これに対し、本実施形態におけるように、上側円周縁72および下側円周縁74のうち少なくとも上側円周縁72が面取りされている場合には、円板部30が傾斜したときに、上側円周縁72が局部的に車両40の外面に接触しても、その車両40が損傷する程度が軽減される。
一例においては、車両40の損傷可能性をさらに軽減するために、外周面70の断面形状が半径方向外向きに凸となる曲面を成している。
<スタック防止方法>
本実施形態に従うスタック防止方法は、次のように、次に例示する準備工程と敷設工程とがそれらの順に実施されるように実施される。
1.準備工程
この準備工程においては、作業者が、複数の円板状補強具20を準備する。一例においては、各円板状補強具20が次の工程で製作されることによって準備される。
(1)円板部30を準備する工程
円板部30は、例えば、素材から切り出すか、目標形状と同じ形状を有する市販品を購入するか、目標形状と同じ形状を有する使用済の部材を再利用するか、入手した素材に対して必要な後加工を加えるなどすることにより、準備される。
(2)係留部32を準備する工程
係留部32も、円板部30と同様にして準備される。
(3)円板部30に係留部32を組み付ける工程
円筒部52を円板部30の上面60から貫通穴50内に、フランジ54が円板部30の上面60に突き当たるまで挿入することによって係留具32を円板部30に組み付ける。それにより、円筒部52のうちの先端部が円板部30の下面62から突出する。円筒部52のうち、その突出する部分が地盤内に進入し、それにより、円板状補強具20が地盤に係留させられる。
図2に示すように、円板状補強具20においては、円板部30および係留具32を結合して固定するために、締結具等の取付金具が使用されない。具体的には、例えば、円板部30に係留部32を組み付ける工程において、両者の結合固定のために、ボルト等の締結具が使用されず、それに代えて、圧入、ねじ込み、接着、溶接、溶着などが行われる。
締結具等の取付金具が円板状補強具20に使用されると、円板状補強具20の使用中にその取付金具が意に反して緩んでしまい、その取付金具が円板状補強具20から突出したり離脱する可能性がある。その場合には、そのような予定外の挙動を示す取付金具が車両40の外板に接触してその車両40を損傷させるおそれがある。
本実施形態においては、円板状補強具20が取付金具を使用しないから、その取付金具の予定外の挙動が原因で車両40が損傷せずに済む。
2.敷設工程(全体設置工程)
この敷設工程においては、上記作業者または別の作業者が、前記準備された複数の円板状補強具20を駐車場10の地盤面に次に例示列挙する複数の敷設条件が同時に満たされるように敷設する。
(a)第1の敷設条件:複数の円板状補強具20が、車両40に想定される左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、離散的に一列を成すように配列されるという条件
(b)第2の敷設条件:複数の円板状補強具20が、左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなるように(千鳥状に、または交互に)配列されるという条件
なお、前記複数の敷設条件は、任意選択的に、さらに、(c)第3の敷設条件:各円板状補強具20が、それの概して平坦な上側部において露出する一方、それの下側部において駐車場10の地盤に係留させられるという条件と、(d)第4の敷設条件:各円板状補強具20が、それに上向きの外力が作用すると、駐車場10の地盤から離脱可能であるという条件とのうちの少なくとも一方を有してもよい。
<複数の円板状補強具20を配列するパターン>
1.例示的な第1の配列パターン
図5(a)には、複数の円板状補強具20が駐車場10の地盤面上に例示的な第1のパターンで配列される様子が平面図で示されている。この配列パターンによれば、複数の円板状補強具20が駐車場10の地盤面に、それら円板状補強具20を真横から(左右方向に)見た場合に(側面視において)、それら円板状補強具20が見かけ上、隙間なく並ぶように敷設される。
図示の配列パターンにおいては、左タイヤ軌跡上の円板状補強具20と右タイヤ軌跡上の円板状補強具20とが、それらを一緒に左右方向に見た場合に(側面視において)、全く互いにオーバーラップしないように配列されているが、部分的に互いにオーバーラップする別の配列パターンを採用してもよい。
2.例示的な第2の配列パターン
同図(b)には、複数の円板状補強具20が駐車場10の地盤面上に例示的な第2のパターンで配列される様子が平面図で示されている。このパターンによれば、複数の円板状補強具20が駐車場10の地盤面に、それら円板状補強具20を真横から(左右方向に)見た場合に(側面視において)、それら円板状補強具20が見かけ上、隙間gを隔てて並ぶように敷設される。
ここに、隙間gは、例えば、円板状補強具20の直径の約80%-約100%に匹敵する寸法、約60%-約80%に匹敵する寸法、約50%-約60%に匹敵する寸法、約50%に匹敵する寸法、約30%-約50%に匹敵する寸法、または、約10%-約30%に匹敵する寸法を有してもよい。
また、隙間gは、同じ1本のタイヤ軌跡において、均等(一様)に分布されるものであっても非均等(非一様)に分布されるものであってもよい。
図示の配列パターンにおいては、左タイヤ軌跡上の円板状補強具20と右タイヤ軌跡上の円板状補強具20とが、それらを一緒に左右方向に見た場合に、全く互いにオーバーラップしないように配列されている。
ところで、同図(b)に示すように、複数の円板状補強具20が、隙間gを隔てて並ぶとともに、左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなるように配列される例によれば、それら円板状補強具20が平面視において隙間なく並ぶ場合より、各車室14に設置することが必要な円板状補強具20が削減され、さらに、複数の円板状補強具20が左右のタイヤ軌跡の間で同位相となるように(互い違いにならないように)配列される場合(側面視において隙間なく並ぶ場合)より、円板状補強具20の所要数が削減される。
また、同図(b)に示す例においては、車両40が車室14内で停止しているかまたは走行しているときに、1台の車両40の4個のタイヤ42がいずれも、いずれかの円板状補強具20に接触することは必ずしも保証されない。
しかし、同図(b)に示す例においては、各車室14に駐車可能な種類の車両40のホイールベースの平均値(標準値)(約2,000-約3,000mm。通常、車両40のトレッドに応じて異なる寸法または寸法レンジ)を見込んで、円板状補強具20のサイズ、および、同じタイヤ軌跡上における円板状補強具20間のピッチが、車両40の4個のタイヤ42がいずれも、いずれの円板状補強具20にも接触しないという事象が発生しないように設定される。
なお、各車室14において、車止め200(図8参照)が地盤面上に固定されて車両40の停止位置が一義的に決まるため、車両40の各タイヤ42の停止位置と、各円板状補強具20の設置位置との相対位置も一義的に決まる。
そして、車両40のいずれかのタイヤ42でもいずれかの円板状補強具20に接触すれば、その車両40の少なくとも1個のタイヤ42のグリップ力が確保される。
このグリップ力確保は、車両40が特に、差動制限型デファレンシャル(LSD)(例えば、ビスカスLSD,回転数感応式LSD)が搭載されている場合には、必ず起こり、車両40の発進が可能となる。
とはいえ、そのような機能が装備されていない車両40である場合でも、いずれの円板状補強具20にも接触していないタイヤ42と原地盤との間にグリップ力が、たとえ小さくても、確保されれば、グリップ力確保は起こり、車両40の発進が可能となる。
その結果、いずれの場合でも、円板状補強具20のおかげで、車両40が駐車場10内でスタックすることが防止される。
同図(b)に示す例を採用すれば、駐車場10内での車両40のスタックを防止しつつ、駐車場10に設置される円板状補強具20の数を最小化することが容易となる。一方、円板状補強具20の数が少ないほど、円板状補強具20という設備のコストが安価で済むととも円板状補強具20を設置するために必要な工数および人件費が少なくて済む。
ところで、複数の円板状補強具20が取り得る複数の配列パターンのうち、複数の円板状補強具20がそれらを一緒に左右方向から見た場合に隙間なく並ぶもの(見かけ連続配列パターン)を採用すれば、車両40(図4参照)のいずれのタイヤ42(同図参照)も必ずいずれかの円板状補強具20に接触することが保証され、その結果、いずれのタイヤ42のグリップ力も確保されて車両40のスタックが防止されることが自明である。
具体的には、図5(a)に示す見かけ連続配列パターンを採用する場合には、例えば、車両40のうちの左右前輪対と左右後輪対とのうちの少なくとも一方において、左車輪と右車輪とが交互に、かつ、いずれかの瞬間においては双方の車輪が同時に、それぞれ対応する円板状補強具20に接触する。
しかし、複数の円板状補強具20が取り得る複数の配列パターンのうち、複数の円板状補強具20がそれらを一緒に左右方向に見た場合に隙間gを隔てて並ぶもの(見かけ離散配列パターン)を採用する場合であっても、その隙間gが、例えば、円板状補強具20の直径の約50%に匹敵する寸法、約30%以上約50%未満に匹敵する寸法もしくは約10%以上約30%未満に匹敵する寸法を有するというように、円板状補強具20の直径の約50%に匹敵する寸法を実質的に超えないときには、車両40のいずれのタイヤ42もいずれの円板状補強具20にも接触しないという事象が発生しないことが期待される。
その理由を詳説するに、マクロな物理現象として、タイヤ42のトレッド(横幅部)が円板状補強具20の表面に接触すると、その接触領域においてタイヤ42が部分的に弾性変形して扁平化させられ、その結果、タイヤ42のトレッドが一点で円板状補強具20に接触するのではなく、実質的な面積を有する領域で円板状補強具20に接触する(タイヤ42と円板状補強具20との接触面積が拡大し、事実上、タイヤ42が拡径したことと等価である)という事実に着目すれば、見かけ上、上記の程度の大きさの隙間しか隔てることなく複数の円板状補強具20が配列される場合には、それら円板状補強具20は、今回注目する力学現象が上述のように、タイヤ42のトレッドの寸法レンジ(例えば、約145-約235mm)からして、マクロ的であることを踏まえると、見かけ上、隙間なく並んだ複数の円板状補強具20の列と同視できるからである。
具体的には、図5(b)に示す見かけ離散配列パターンを採用する場合には、例えば、車両40のうちの左右前輪対と左右後輪対とのうちの少なくとも一方において、左車輪と右車輪とが交互に、かつ、いずれの瞬間においても双方の車輪が同時に接触することはないように、それぞれ対応する円板状補強具20に接触することが可能である。
<駐車場10の工事全般>
図6には、駐車場10の例示的な設営工事および解体撤去工事が工程図で示されている。
まず、駐車場10の例示的な設営工事においては、複数の円板状補強具20の部品(円板部30および係留部32)を調達する工程と、それら調達された部品を組み立てて複数の円板状補強具20を取得する工程と、それら取得された複数の円板状補強具20を駐車場10の地盤面上に敷設する工程とがそれらの順に実施される。
その結果、駐車場10の地盤が部分的に(すなわち、各円板状補強部20が位置する部分に限り)、かつ、土壌改良剤を散布することなく、可逆的に補強される。
次に、駐車場10の例示的な解体撤去工事においては、駐車場10の地盤面から複数の円板状補強具20を撤去してそれらを回収する撤去工程が実施される。
前述のように、各円板状補強具20は、それに上向きの外力が作用すると、駐車場10の地盤から離脱可能であるようにその地盤面上に敷設されている。
よって、作業者は、追加の作業を行うことなく、また、道具を使用することを必須とすることなく通常は素手で、各円板状補強具20を地盤面から引き揚げるかまたは引き抜くことにより、各円板状補強具20を地盤面から簡単に撤去することが可能である。
その結果、駐車場10が簡単かつ完全に更地に復元し、当該土地のオーナは、例えば、その更地を別の目的で使用することが可能となる。
<係留具32のうちの円筒部52の別のいくつかの例>
図7(a)は、本発明の例示的な別の実施形態に従う駐車場内車両スタック防止方法(または駐車場地盤可逆的補強方法)を実施するために用いられる円板状補強具32のうちの係留具32の別の中空構造を示す断面図である。
図2および図3(a)を参照して前述した例においては、係留具32が、単一部品として、かつ、軸方向穴であって円筒部52の下端面(図3(a)においては、右端面)に開口するものが、円筒部52を全体的に貫通する貫通穴56として形成されているが、係留具32は、投錨効果の向上という同じ目的を達するために、他の形態の軸方向穴を有してもよい。いずれにしても、その軸方向穴は、円筒部52と同軸であっても非同軸であってもよい。
図7(a)に示す例においては、係留具32が、前述した例と同様に、単一部品として構成される。さらに、この係留具32は、同軸穴であって、円筒部52の下端面(図3(a)においては、右端面)に開口し、かつ、円筒部52の長さ方向中間位置において底部を有するもの、すなわち、有底穴156を有してもよい。
この例においては、係留具32のうち組付け状態において円板部30の表面から露出する部分が閉塞されていて、地盤の土壌に連通した穴を有しないため、地盤の土壌が上昇して係留具32の表面に出現せずに済む。その結果、円板状補強具20が、審美性の点でもタイヤ42のグリップ特性の点でも向上する。
同図(b)に示す別の例においては、係留具32が、第2の円筒部170をも有し、それにより、複数部品(例えば、2部品)の組合せ体として構成される。さらに、この係留具32は、円筒部52が有底穴156に準じた有底穴171を有するというように中空構造とされる(中実構造でもよい)。同様に、第2の円筒部170は、貫通穴172を有する。
それら円筒部52と第2の円筒部170とは、それぞれの外周面と内周面との間において締結されることにより、組み付けられる。その締結方法として、例えば、ねじ結合、圧入などがある。その組付け状態においては、有底穴171が貫通穴172と連通し、それらは、互いに共同して、係留具32の長さ方向中間位置において底部を有する有底穴156を構成する。さらに、その組付け状態においては、円板部30がそれの厚さ方向にフランジ54の肩面と第2の円筒部170の上端面とによって挟持されることにより、円板部30に係留具32が組付けられる。
この例においては、係留具32のうち、円筒部52および第2の円筒部170という2部品が互いに共同して、前記「円筒部」の別の例を構成する。
いずれにしても、係留具32は、投錨効果の向上のために、少なくとも下端面において開口する軸方向穴を有してもよく、換言するに、係留具32は、目的達成のため、少なくとも、その係留具32のうち、敷設されると駐車場10の地盤の土壌に接触する部分としての下端部(円板部30の下面より下側の部分)において、空洞化させられてもよいのである。
<別の配列パターンの例>
図8(a)は、本発明の例示的なさらに別の実施形態に従う駐車場内車両スタック防止方法(または駐車場地盤可逆的補強方法)を実施するために用いられる複数の円板状補強具20の別の配列パターンを示す平面図である。同図(b)は、車両40の4個のタイヤ42の平面的な位置関係を概念的に示す平面図である。4個のタイヤ42は、左前輪(FL輪)、右前輪(FR輪)、左後輪(RL輪)および右後輪(RR輪)である。
既に、図5を参照しつつ、車両40のいずれのタイヤ42もいずれの円板状補強具20にも接触しないという事象が発生しないための複数の円板状補強具20の配列パターンの一例を説明したが、そのような配列パターンは他にも多数存在する。
例えば、図8(a)に例示するように、出庫時に、車両40が車室12から退場する向きに進行し、その際、4個のタイヤ42が、左輪側から右輪側に(またはそれとは逆向きに)、また、後輪側から前輪側に(またはそれとは逆向きに)1輪ずつ、幾何学的に対応する1個の円板状補強具20に接触するための配列パターンが存在する。
具体的には、この配列パターンによれば、4個のタイヤ42が、RL輪、RR輪、FL輪およびFR輪の順に1輪ずつ、幾何学的に対応する1個の円板状補強具20に接触してグリップ力が確保される。
図示の例においては、車両40の停止位置(後退限度位置)が車止め200によって一義的に定義される。同図には、説明の便宜上、車室12に想定された左タイヤ軌跡に沿って複数の仮想上の円板状補強具20(それぞれ二点鎖線の白丸で表す)が一列に、平面視において隙間なく並んで示されており、それらがL列を構成している。同様に、同じ車室12に想定された右タイヤ軌跡に沿って複数の仮想上の円板状補強具20(それぞれ二点鎖線の白丸で表す)が一列に、平面視において隙間なく並んで示されており、それらがR列を構成している。それら仮想上の円板状補強具20のうち、実線の白丸および斜線ハッチングで表されるものが、駐車場10の地盤面上に実際に敷設される複数の円板状補強具20を示す。
図示の例において、説明の便宜上、車両40を、同図において右向きに、かつ、円板状補強具20と同じピッチで離散的に動かすことを想定する。
まず、停止位置(t=1)において、左後輪が円板状補強具20に接触し(RL1)、他の車輪はいずれも円板状補強具20に接触しない。
次の移動位置(t=2)において、右後輪が円板状補強具20に接触し(RR2)、他の車輪はいずれも円板状補強具20に接触しない。
次の移動位置(t=3)において、左前輪が円板状補強具20に接触し(FL3)、他の車輪はいずれも円板状補強具20に接触しない。
次の移動位置(t=4)において、右前輪が円板状補強具20に接触し(FR4)、他の車輪はいずれも円板状補強具20に接触しない。
次の移動位置(t=5)において、左後輪が円板状補強具20に接触し(RL5)、他の車輪はいずれも円板状補強具20に接触しない。
次の移動位置(t=6)において、右後輪が円板状補強具20に接触し(RR6)、他の車輪はいずれも円板状補強具20に接触しない。
この配列パターンにおいては、左タイヤ軌跡に沿って並んだ複数の円板状補強具20の位相と、右タイヤ軌跡に沿って並んだ複数の円板状補強具20の位相とが、側面視において、1個の円板状補強具20分の長さだけずれている。すなわち、両者間に位相差として1個の円板状補強具20分の長さが存在するのである。
さらに、この配列パターンにおいては、左タイヤ軌跡に沿って並んだ複数の円板状補強具20も、右タイヤ軌跡に沿って並んだ複数の円板状補強具20も、平面視において、車両40のホイールベースに見合う枚数の円板状補強具20の合計長さに見合う隙間を隔てて離散的に並んでいる。
同じ車室12に適合する車両40の型式は1つとは限らず、通常、複数の存在する。よって、複数種類の適合車両40のホイールベースに幅があることになる。その幅を見込むために、例えば、図8(a)において、各円板状補強具20の前後に示された2個の白丸の位置にそれぞれ、追加の円板状補強具20を敷設してもよい。
この場合には、左タイヤ軌跡に沿って敷設される複数の円板状補強具20と、右タイヤ軌跡に沿って敷設される複数の円板状補強具20とが、すべての位置において、互い違いに配置されるわけではなく、1つの車室12に属する複数の円板状補強具10の配列体に、互い違いに配列される異位相領域と、互い違いに配列されない同位相領域とが併存することになる。
以上要するに、図示の配列パターンは、車両40が駐車場10において左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿って走行するにつれて車両40の複数のタイヤ42が1個ずつまたは複数個ずつ順次いずれかの円板状補強具20に接触する順序(シーケンス)と、車両40のホイールベースとに基づき、車両40のいずれのタイヤ42もいずれの円板状補強具20にも接触しないという事象が発生しないように設定されるのである。
ところで、複数の円板状補強具20の配列パターンを検討するためのアプローチとして次のものも存在する。
単純な幾何学論により、車室12のサイズが決まれば、それに適合する車両40の型式(種類)が決まる。
車両40の型式が決まれば、その車両40のホイールベースが決まり、そのホイールベースが決まれば、車両40のいずれのタイヤもいずれの円板状補強具20にも接触しないという事象が発生しないようにするのに適した、円板状補強具間ピッチ(円板状補強具20の中心間距離)が決まる。
円板状補強具間ピッチと、円板状補強具サイズ(平面視における円板状補強具20のサイズまたは直径など)とが決まれば、車両40のいずれのタイヤ41もいずれの円板状補強具20にも接触しないという事象が発生しないようにするのに適した、円板状補強具間隙間(隣接した2個の円板状補強具の中間に存在する空間)の長さが決まる。
このアプローチにおいては、複数の制御変数として、車両40の型式(通常は、複数の型式から成る型式群)、平均的ホイールベース、円板状補強具間ピッチ、円板状補強具サイズおよび円板状補強具間隙間が存在する。ただし、このアプローチにおいては、その構成の単純化を重視し、タイヤ42の直径が制御変数から除外される。
このアプローチにおいては、車両40のいずれのタイヤ42もいずれの円板状補強具20にも接触しないという事象が発生しないという拘束条件のもと、それら制御変数のうち、車両40の型式および円板状補強具サイズは、いずれも、他の制御変数に依存しない独立変数であるのに対し、平均的ホイールベース、円板状補強具間ピッチおよび円板状補強具間隙間は、いずれも、他の制御変数に依存する従属変数である。
そして、上記拘束条件のもと、それら制御変数間には、車両40の型式と円板状補強具サイズとが決まれば、円板状補強具間隙間が決まるという因果関係が成立する。
この知見を踏まえ、このアプローチによれば、上記拘束条件と車両40の型式とから円板状補強具間隙間が導出される。
<複合化された(ハイブリッドな)配列パターンの例>
図9は、本発明の例示的なさらに別の実施形態に従う駐車場内車両スタック防止方法(または駐車場地盤可逆的補強方法)を実施するために用いられる複数の円板状補強具のさらに別の配列パターンを示す平面図である。
図示の配列パターンは、左右のタイヤ軌跡上に敷設される複数の円板状補強具20の集まりである主要補強具群Aと、その主要補強具群の外側(または左右のタイヤ軌跡に挟まれる中間の領域)に敷設される複数の円板状補強具20の集まりである付随補強具群Bとを有する。
主要補強具群Aは、左右のタイヤ軌跡に沿って、図5(a)に示す配列パターンと同じ配列パターンまたは別の配列パターンに従って互い違いに(異位相に)配列される複数の円板状補強具20を有する。
この主要補強具群Aは、さらに、特徴的なものとして、反対側のタイヤ軌跡上に存在する円板状補強具20と同位相に、かつ、車止め200に隣接する位置に敷設される円板状補強具20aをも有する。
この円板状補強具20aが追加されると、車両40の停止位置(後退限度位置)において、左右の後輪がいずれも、幾何学的にそれぞれ対応する円板状補強具20および20aに接触する。そのおがけで、車両40の発進時に、左右の後輪のいずれにもトラクションが同時に効果的に発生することが保証され、それにより、車室12からの車両40のスムーズな発進が支援される。
これに対し、付随補強具群Bは、主要補強具群Aに属する複数の円板状補強具20のうちの一部であって、運転者や乗客が車両40に対して乗降する際に着地すべき場所に敷設される複数の円板状補強具20bを有する。それら円板状補強具20bは、複数の円板状補強具20と同位相であっても異位相であってもよく、隣接して敷設してもよいし隙間を隔てて敷設してもよい。
それら円板状補強具20bを追加したおかげで、運転者や乗客は、車両40に対する乗降時に、最初の一歩を踏み出すときに、雨や雪でぬかるんでいるかもしれない地盤面に直に着地せずに済む。
この例においては、主要補強具群Aに属する複数の円板状補強具20が、車両40のタイヤ42の動線に沿って敷設されるのに対し、付随補強具群Bに属する複数の円板状補強具20が、車両40の運転者または乗客としての人間の動線に沿って敷設される。
以上、本発明の例示的ないくつかの実施形態を、それらが駐車場内車両スタック防止方法として具現化された場合のいくつかの例として説明した。
それら例示的ないくつかの実施形態は、上述の複数の円板状補強具20を駐車場10への敷設前の状態、すなわち、複数の部品の集まりとして収容する車両スタック防止キットを用いて実施される。また、それら例示的な実施形態は、それら円板状補強具20が駐車場10の地盤面上に前述の例示的な配列パターンで配列されるように敷設されて成る車両スタック防止ユニットを用いて実施される。
その車両スタック防止ユニットにおいては、複数の円板状補強具20が前記配列パターンまたは別の配列パターンに従って離散的に配列されるように空間に固定されるのに対し、上述の車両スタック防止キットにおいては、それら円板状補強具20が、例えば、目標の配列パターンに従うことなく、規則的にまたは不規則的にパッケージ(例えば、軟質材より成る袋、剛質材より成る箱など)内に収容されるかもしれない。
以上、本発明の例示的ないくつかの実施形態を、それらが駐車場内車両スタック防止方法として具現化された場合のいくつかの例として説明した。
しかし、本発明には、複数の円板状補強具20を左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなる領域を含むように左右のタイヤ軌跡に沿って撤去可能に敷設することにより、駐車場10の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強するという思想も内在している。
この思想は、駐車場10内での車両40のスタック防止に寄与するものの、車両40が駐車場10内で停止しているかまたは走行しているときに、1台の車両40の4個のタイヤ42がいずれもいずれの円板状補強具20にも接触しないという事象が発生しないことが必ずしも保証されない(ある瞬間において、いずれのタイヤ42もいずれの円板状補強具20にも接触しない可能性がある)態様で、かつ、駐車場地盤可逆的補強方法または駐車場地盤可逆的補強ユニットとして具現化してもよい。
以上、本発明の例示的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。

Claims (6)

  1. 左タイヤおよび右タイヤを有する車両が駐車可能な駐車場の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強する方法であって、
    複数の円板状補強具を準備する準備工程と、
    それら準備された円板状補強具を前記駐車場の地盤の表面に、複数の敷設条件を満たすように敷設する敷設工程と
    を含み、
    前記複数の敷設条件は、
    (a)前記複数の円板状補強具が、前記車両に想定される左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、離散的に一列を成すように配列される領域を含むように配列されるという条件と、
    (b)前記複数の円板状補強具が、前記左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなるように配列される領域を含むように配列されるという条件と
    (c)前記複数の円板状補強具が、前記車両が前記左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿って走行する際、前記車両のいずれのタイヤもいずれの円板状補強具にも接触しないという事象が発生しないように設定された配列パターンに従って並ぶという条件と
    を含む駐車場地盤可逆的補強方法。
  2. 左タイヤおよび右タイヤを有する車両が駐車可能な駐車場であって、
    複数の円板状補強具が前記駐車場の地盤の表面に、
    (a)前記車両に想定される左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿ってそれぞれ、離散的に一列を成すという条件と、
    (b)前記左右のタイヤ軌跡の間で互い違いとなるという条件と、
    (c)前記車両が前記左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿って走行する際、前記車両のいずれのタイヤもいずれの円板状補強具にも接触しないという事象が発生しないように設定された配列パターンに従って並ぶという条件
    を満たすように敷設され、それにより、前記複数の円板状補強具によって表層部が部分的にかつ可逆的に補強された地盤を有する駐車場。
  3. 前記配列パターンは、前記車両が前記駐車場において前記左タイヤ軌跡および右タイヤ軌跡に沿って走行するにつれて前記車両の複数のタイヤが1個ずつまたは複数個ずつ順次いずれかの円板状補強具に接触する順序と、前記車両のホイールベースとに基づき、前記車両のいずれのタイヤもいずれの円板状補強具にも接触しないという事象が発生しないように設定される請求項に記載の駐車場地盤可逆的補強方法。
  4. 前記複数の敷設条件は、さらに、
    (d)各円板状補強具が、それの概して平坦な上側部において露出する一方、それの下側部において前記地盤に係留させられるという条件と、
    (e)各円板状補強具が、それに上向きの外力が作用すると、前記地盤から離脱可能であるという条件と
    のうちの少なくとも一方を含む請求項1または3に記載の駐車場地盤可逆的補強方法。
  5. 前記敷設工程は、前記複数の円板状補強具を前記駐車場の地盤の表面に、それら円板状補強具を真横から見た場合に、それら円板状補強具が互い違いに隙間なく並ぶか、または、隙間を隔てて並ぶように敷設する工程を含む請求項1,3または4に記載の駐車場地盤可逆的補強方法。
  6. 駐車場内の地盤の表層部を部分的にかつ可逆的に補強するために前記地盤の表面に撤去可能に敷設される円板状補強具であって、
    上面と下面とを有する円板部と、
    その円板部を前記表層部に係留させるための係留具と
    を含み、
    前記係留具は、前記円板部の下面から軸方向に突出するが、前記円板部を軸方向に投影して得られるシルエットから半径方向外向きに突出しない形状を有し、
    その係留具は、少なくとも下端面において開口する軸方向穴を有する円筒部を有し、その円筒部のうちの少なくとも下端部は、前記地盤の土壌内に食い込んで投錨効果を発揮する円板状補強具。
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